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成果と課題

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Academic year: 2021

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成果と課題

著者 萩原 彰彦

雑誌名 研究紀要 : 共に創りあげる授業

20

ページ 84‑84

発行年 2020‑03

出版者 静岡大学教育学部附属静岡中学校

URL http://doi.org/10.14945/00027153

(2)

静岡大学教育学部附属静岡中学校 研究紀要(第20号)

-84-

成果と課題

本年度の美術科では,「感性豊かに,創造していく人」を育むために,主に次の二点を意識して授業実践 をしてきました。一つ目は,子どもが表したいという思い(主題)をもち,追求したくなる題材の研究です。

外部機関と連携をしたり,マスキングテープなどの新しい素材を用いたりして,子どもの思いを確かめなが ら実践をしました。二つ目は,造形的な見方・考え方を働かせた,美術科ならではの対話活動についての研 究です。各題材の本質にせまる対話とは,どのようなものなのかを授業者が具体的にイメージすることから 始めました。

成果

デザイン分野では,3年生は「ロゴデザイン制作」(実践報告参照),2年生は「新入生に附属中の魅力 を伝えるポスター制作」を行いました。ロゴデザイン制作では,外部企業からデザインを依頼されるという 設定を用意したことで,子どもたちが,デザイナーになりきって細部にまでこだわり,デザイナーらしい対 話を重ねながらよりよいものを追求することができました。題材のまとめの時間には,デザインの本質につ いて堂々と語り合うなど,デザイナーの見方や考え方が身についた姿を見せました。2年生のポスターデザ インの実践では,導入で広告ポスターの鑑賞を行いました。後日,広告やキャッチコピーに興味をもった子 どもたちが,日常生活で見つけた魅力的な広告やキャッチコピーについて,自然に語り合う場面が見られま した。週1時間という限られた時間の中で造形的な見方・考え方を身につけ,日常生活の中の美を発見し,

それを誰かと語り合える子どもたちは,美術科が願う「感性豊かに創造していく人」に近づいていると言え るでしょう。

絵画・彫刻分野では,1年生で「瞬間アート(紙粘土による立体塑像制作)」を行いました。「時間が止 まった世界において,決まった形のない水や炎はどのような姿を見せるのか,激しい動きをしている人や動 物はどのような姿を見せるのかなどを想像して,自分なりの一瞬の美を表現しよう」となげかけました。子 どもたちは,蛇口から出る水をスロー動画で撮影したり,動いている友達を連写で撮影したりしながら,自 分が表したい一瞬を見つけていきました。2年生では「mtアート」(マスキングテープによる名画の模写)

を行いました。絵の具ではなく,色とりどりのマスキングテープを画材として扱うことで,特に絵を描くこ とに苦手意識をもっている子どもにとって,表現したいという思いを引き出すことができました。簡単に貼 り直しができるテープの特性も,失敗を恐れずに試行錯誤する姿につながったのだと思います。また,ちぎ り方や重ね方を工夫することで,自分なりの技法を見つける姿も見られました。このような姿から,題材や 素材に魅力を感じ,表したい思いを強くもった子どもたちは,粘り強く試行錯誤し,よりよい表現をめざし て追求できるのだと感じました。また,仲間との対話だけでなく,素材との対話や自己内対話も,「美術科 ならではの対話」であることを確認することができました。

課題

週1時間(1,2年生は1.3時間)の美術の授業で扱える内容には,限りがあります。じっくりと時間を かけて追求させたい場面と,そうではない場面とを意識して題材の構成をする必要があると感じました。ま た,子どもたちが自分たちの学びを自覚し,題材で学んだ知識や技能を実際に使える知識や技能にしていく ために,1年間,あるいは3年間の題材の配列について,意図的に組んでいく必要があります。学びのつな がりを意識していくことで,一つ一つの題材についてもねらいが明確になり,より効果的に精選された内容 になるのではないかと思います。

研究発表会の事後研修会で話題になったのが,教師の子どもへのかかわり方についてです。教師がどこま で教えるのか,どのタイミングで伝えるのか等に関して,参会者の先生方も日々迷いながら実践しているこ とがわかりました。どのような声かけや問い直しが,子どもたちの発想を引き出し,深い学びに向かう対話 をうながすのかを意識したうえで,意図的にかかわっていく必要があると考えました。例えば,研究発表会 の公開授業では,ホワイトボードなどの伝達ツール,画用紙や色鉛筆などの材料,参考資料などを子どもた ちが必要感をもったタイミングで自由に使用できる環境を用意しました(実践報告参照)。事後研修会では,

すべてのグループに共通してホワイトボードを使わせるべきではないか,意図的にグループのメンバーを編 成した方がよいのではないか,など様々なご意見をいただきました。美術科の教師にとって,他校の先生方 との交流によって,気がつくことや学べることは多くあると感じました。今後も,目の前の子どもの思いや 表現を確認しながら,よりよい授業をつくっていきたいと考えています。

参照

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