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Academic year: 2021

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成果と課題

著者 長田 敬司, 小池 智美, 植木 さつき

雑誌名 研究紀要 : 共に創りあげる授業

巻 20

ページ 139‑139

発行年 2020‑03

出版者 静岡大学教育学部附属静岡中学校

URL http://doi.org/10.14945/00027167

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静岡大学教育学部附属静岡中学校 研究紀要(第

20

号)

- 139 -

成果と課題

「世界の人々とつながる人」を育むために, 「英語科ならではの文化」を味わうことのできる授業をめざ して,子どもたちの「伝えたい!」 「知りたい!」という思いがあふれ出てくるような題材を開発し,実践 を重ねてきました。コミュニケーションの本質に気づいたり発見したりして,さらに,積極的にコミュニケ ーションを図ろうとする子どもたちの姿が多く見られました。

1年生では, 「よりよいコミュニケーションとは何だろう」という問いをもち,追求していきました。は じめは,知っている英語をとにかく使おうとしていた子どもたちでしたが, 「相手のことを理解したい」 「相 手のことを理解していないと,コミュニケーションが進まない」などとコミュニケーションをとるためには 相手を意識することが大切であることに気がつきました。そして,実際に初対面の外国人に様々な質問をす ることで相手の情報を聞き出し,相手にとって必要な情報を提供したり,相手が興味をもっていることにつ いて会話を続けたりするなど,相手の状況に照らし合わせてコミュニケーションを楽しんでいました。この ような姿は英語科で育みたい人間像である「世界の人々とつながる人」のあらわれであると考えます。

2年生では,日頃から自分たちが行っているコミュニケーションでの経験を基にコミュニケーションに ついて考えました。相手に合わせて話す内容や使う言葉を変えるということを無意識的に行っていること に気づきました。子どもたちはその気づきが英語を使ってコミュニケーションをする場合においても,相手 に合わせて内容や表現を工夫して,コミュニケーションを楽しもうとする姿勢につながりました。相手が理 解していないような表情を見せたときは,理解できているかを質問したり,別の表現を使って伝えたりする など自分の思いや考えを粘り強く伝えようとしていました。また,自分の言いたいことをどのように表現す ればよいかわからないと感じた子どもは,友だちや

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に語彙や表現についてのアドバイスをもらいなが ら,英語表現を学んでいきました。このような姿は英語科の主張する「異言語や異文化に対する多面的な知 識,積極的なコミュニケーションを図ろうとする態度,聞く・読む・話す・書くなどの技能(英語運用力)

を総動員しながら,思いや考えを英語で表現しながら伝え合うことで,多様な語彙使用を促し,英語表現を 主体的に学ぶ」という「英語科ならではの文化」を味わう姿だと考えます。

3年生では,話し手の内容に疑問があったら聞き手はそのままにせず,質問をして話し手の真意を確かめ たり思いを引き出したりしながら,ディスカッションやディベートを行いました。社会問題や異文化間の 軋轢

あつれき

をテーマにディスカッションやディベート形式で話すことが多く,多くの子どもたちが英語で話すこ とや聞くことだけに力を注ぐのではなく,仲間の意見を理解し,さらに,自分の価値観を見直したり,新た な価値観を生んだりすることもありました。これは,英語科の主張する「異言語・異文化をもつ人々に思い を馳せ,そのような人々とのかかわりについても考えが及んでいく」という「英語科ならではの文化」を味 わったからこそのあらわれだと考えます。

題材を通して,仲間と英語でコミュニケーションをすることに達成感や充実感を味わった子どもたちは,

「追求の記録」に「多くの人たちとコミュニケーションをとりたい」という世界の人々とつながろうとする 思いを記しています。子どもたちは,学んだことを生かし,自信をもって世界中の人々とのコミュニケーシ ョンを楽しむことでしょう。また,自分の価値観や文化を大切にし,異言語・異文化をもつ人々と積極的に かかわっていくことでしょう。

本研究では,自分の思いや考えを伝え合うような英語でのやりとりを通して, 「伝わった」という達成感 や充実感を味わい,さらに,積極的にコミュニケーションを図ろうとすることを, 「英語科ならではの文化」

と捉え,大切にしてきました。日常的なコミュニケーションの場面に近づけることに重点を置き,即興的な やりとりにも挑戦しました。しかしながら,伝えたい思いや考えはあるのに,英語で伝えることができない ときには,英文ではなく,単語だけ,時には日本語で伝えてしまう子どもの姿も見られました。 「単語だけ で何とか通じたけれど,○○のように言えばもっとスマートに正確に伝わることがわかった」という英語表 現の学びの場をどのように設定するのかが課題であると考えています。また,伝えたいことがあるのに英語 で言えないときに,あきらめずに既知の単語や表現,ジェスチャーなどを総動員し,コミュニケーションを 図ろうとする粘り強い態度がどのように育まれていくのかについて明らかにすることも課題です。

コミュニケーションの達成感や充実感を味わうことを引き続き大切にし,題材開発や本研究から見いだ

された課題への取り組みにも挑戦していきたいと考えます。

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