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(1)

77

コンクリートの圧縮,引張,曲げ強度試験 に関する若干の実験結果について

孤 島 法 夫*

On the Results of some Experiments with the Compressive,

Tensile and Bending Strength Tests of Concrete

by Nor{o KOJIMA

1.まえがき

 コンクリートが硬化し強度発現する状態については,古くから多数の研究成果があり,

定の法則性が判明している性状が多い。しかし,それぞれの提案式等は種々の条件やそ の式の適用範囲により,多少の相違を示している。それら既成の結果を参考にしようとす

る場合には,各実験室等のそれぞれの条件でコンクリートの基本的性質を調べ,それらの 成果と対比させる必要がある。

 本実験は,硬化コンクリートの代表的性質である圧縮強度,引張強度,曲げ強度につい て若干の試験を行い,場合によっては既応の結果と較べつつ,そこにあらわれる傾向や相

互関係を調べてみる。

 今回扱うコンクリートの種類はプレーンコンクリートと高性能減水剤混入コンクリート

の計2種類で,それぞれ材令7日と28日について強度試験を行った。

2. 使用材料

 セメントは,アサノ普通セメントを使用した。細骨材は鬼怒川産川砂,粗骨材は奥多摩

産砕石を用いた。又,混和剤は花王石鹸のマイティ150を使用した。

 骨材の特性値を表1に示す。又,セメントの比重は3.15であった。

表1 骨材の物理試験結果

比重1吸水率(%) 単位容積重丑(kg/m3)  粗粒将3

粗 骨 材 細 骨 材

2.64 2.56

0.4

1.1

1538 1588

6.96 2.60

*理工学部土木工学科助教授 コンクリート工学

(2)

3.試験方法

 3.1 コンクリートの打ち込み

 コンクリートの練りまぜは1001強制練リミキサーを用い,1パッチから圧縮及び引張 強度試験用供試体φ10cm×20 cm,曲げ強度試験用供試体15cm×15 cm×53 cmを打ち

込み水中養生をした。

 3.2 試験項目と試験方法

 試験項目は材令7日と28日のそれぞれ圧縮強度,引張強度,曲げ強度の各試験であり,

試験方法はJISによった。又,圧縮強度試験では,ワイヤーストレインゲージによるひず

み測定を行い,静弾性係数を求めた。

4. コンクリートの配合

 コンクリートの配合は,水セメント比を40%,50%,60%とし,それぞれの水セメン ト比についてスランプを5cm,12 cmの2種類として,プレーンコンクリートと高性能 減水剤使用コンクリートのそれぞれに組みあわせた。配合表及びコンクリート練り上り時

の測定結果を表2に示す。

表2配合表と練り上り時の測定値

lii  位  妃  (kg/m ) 純り上リ時の測定値

記号

机骨材の

最大寸法(e・}

スランプ

 (cm)

水セメント比 W/C(9フ}

細骨材牢

s/a(96)

水 w

セメン}C

尉1材S 事問材G 混和剤

スランプ(cm) 空気{1{(%) コンクリート江 度 (℃)

A−1

5士2 40

41

181 452 688 1005

5.7 2.5 27.5

A−2 12±2 40

41

195 489 660 965

10.2 LO 22.0

A−3 5±2 50 43 181 361 753 1014

6.6 L1 26.0

A−4 12土2 50

41

205 410 677 988

14.0 L5 27.0

A−5 5±2 60 45 193 322 788 979

6.7 0.5 27.5

A−6 12±2 60 45 218 364 744 924

12.2 1.0 26.0

B−1

25

5土2 40

41

140 350 764 1109

5.25 5.1 3.0 20.0

B−2 12±2 40

41

154 385 728 1055

5.77 12.7 3.5 19.0

B−3 5土2 50 43 159 318 781 1044

4.77 4.8 2.2 17.0

B−4 12生2 50

41

163 326 750 1096

4.68 12.4 1.4 15.0

B−5 5土2 60 45 169 281 820 1018

4.21 5.6 2.8 14.0

B−6 12±2 60 45 191 318 781 969

4.77 10.6 3.2 15.5

※混和剤は高性能減水剤マイティ150を{吏用

5. 試験結果及び考察

強度試験結果及び静弾性係数を表3に示す。

 5.1 静弾性係数

 静弾性係数と圧縮強度との関係を図1−1,図1−−2に示す。試みにアメリカコンクリート 学会の式E=4270W3/2σ、1/2(Wは単位重量Z/m3)と比較してみると,σ、=200〜500 kg/

cm2では7日,28日材令ともに近似した結果が得られている1)。

 弾性係数を,E=aρ3/2σc1/2(ρは硬化コンクリートの比重)の形で表示した式は多く,

係数が4200〜5600程度の範囲に収まっている2)。今回の結果からは,σ,=600kg/cm2で

は,表示式と20%程度の差が生じている。

(3)

79 表3試験結果

コンクリートの種類

φ(kg/c㎡) 巧(kg/c㎡) 砺(kg/c㎡)

E(×105kg/α㌃り

記 号 混和剤

W/C閲

スランプ

 (cm) 7日

28日

7日

28日

7日

28日

7日

28日

A−1 40 5 428 478 31 39 633.18 3.47

A−2

40 12 393 529 27 36 52 60 2.94 3.20

A−3

50 5 408 433 26 32 562.71 3.10

A−4

プレーン 50 12 265 371 24

一 47 54 2.26 2.58

A−5

60 5 197 339 19 22 33 55 2.64 3.05

A−6

60 12 234 424 19 一 36 57 2.79 3.13

B−1 40 5 596 686 31 39 50 75 3.32 3.68

B−2

40 12 573 645 30 38 55 75 2.96 3.31

B−3

50 5 392 538 27 31 52 57 2.94 3.34 B−4

高性能

減水剤 50 12 328 467 26 27 51 65 2.26 2.63

B−5 60 5 244 352 20 25 39 50 2.31 2.77

B−6

60 12 311 350 22 26 52 63 2.71 3.00

※以上の結果は供試体3本についてのデータの平均値である。

 ×los

音4

国 3

菖 2

    300        400         500         600         700

       圧縮強度σ2ε(k9/cm「)

    図1−1 弾性係数と圧縮強度の関係

X

x O

X

X

Ox

o

O

xOX

 XO

×

O

{○実験f直

×E=4270Wζα+

 ×los

言4K

国 3

筥  2

  x

X

X

o

.06

OXX o

9  0実験値 {  ×E=4270W署σ・4

200

300      400      500         60

         圧縮強度σ7(kg/c㎡)

図1−2弾性係数と圧縮強度の関係

5.2圧縮強度,引張強度とセメント水比

 圧縮強度とセメント水比の関係を図2−1,図2−2に示す。高性能減水剤は硬練りコンク

リートで効果的であるが,σ28=600kg/cm2程度ではq/W=40%のプレーンコンクリー トのスランプ5cmよりも減水剤使用の12 cmの場合の方が強度が高い。又,プレーンコ

ンクリートでは,硬練りと軟練りによる差はなく,セメント協会の提案式に近いグラフと

(4)

80

SOO

 600

ξ400 慧

「E

 200

600

\400

竺 B

誓200

O 0

 一スフンプ

。ラ.プ鷺≧ダ21ぐ・>cニニ〆

,         

,;ち

v;tPt i

プー    _d●◆

      , φ t−一一

○プレーン、スランプ5cm

⑦プレーン、スランプ12c隅

ムマイティ、スランプ5cm

▲マイテK、スランプ12cm

L67      2.0 2.5

セメント水比(C/W)

図2−1σ2s−C/W関係式

(△);σ2s=391C/W−280

(▲);σ2s=353C/W−292

セメント胞会F−21の式 セメント鶴会F−19の式

(○};σ2St161C/W十85.

(●);σ2s=142C/W十149

(△);σ7=423C/W−459

一一

r ■.

/   一.t: r 一

/ /:;−r ;

//,ジー

   ,,一二:: ノ

=ち=二一てうプレーン、スランプ5(・m

    ●プレーン、スランプ12( m

,一

乙:ニー ムマイティ、スランプ5(・m

1.67    2.0

セメント水比(C/W)

2.5

(○);σ7=275C/W−255

(●);σ7=197C/W−107 セメント協会F−21 セメント協会F−19

図2−2 σrC/ur関係式

40

    0      0   3      ウa

舌O\O当︶皆唱︹培巳障

10

      1.67       2.0       2.5

      セメント水比(C/W)

 図3引張強度とセメント水比(スランプ5cm)

  一     ●一一一一一一一

/ク乙●        ,

        ,       ,    ,

.sx /   ノーt

◇シ/rノ!    ,,

,,

1    ・●ρ      ,

   ,

   , ・

○プレーンコンクリート ムマイティ150

一一 セメント協会F−19の式

なっている3) )。一方,高性能減水剤を使用すると,スランプによる影響が多少表われて いる。材令7日についても同様の傾向がでている。

 図3は引張強度とセメント水比の関係である。狭い強度範囲であるが直線表示ができ

る。ここではプレーンコンクリートと高性能減水剤使用コンクリートに差はない。

(5)

81

 5.3圧縮強度と単位水量,単位セメント量

 図4−1に圧縮強度と単位セメント量の関係を示すが,高性能減水剤の効果がでている。

又,スランプによる影響も明らかであり,材令7日と28日でも,同様の傾向が認められ る。それに対して,引張強度と単位セメント量の関係(同図)は,高性能減水剤は引張強

度発現に有効でないことを示している。

 図4−2には圧縮強度と単位水量の関係を示す。ここでも高性能減水剤の効果,スランプ の影響が28日材令,7日材令ともに明確に出ているが,折れ線の傾向にバラツキがみられ

る。尚,スランプによる影響は,高性能減水剤使用コンクリートの方がプレーンコンクリ

トより小さい。

 5.4 各強度間の相互関係

 圧縮強度と引張強度の関係を図5−1,図5−2に示す。σ,が大きくなるにつれてσtの伸 びは小さくなり,それに対して古くから多くの提案がなされている2)8)。その幾つかと今 回の結果を比較してみると,プレーンコンクリートでは硬練りと軟練りにかかわらず,又,

(蒜1

6eo

e

e 弩苦培宗

200

Ioo

40

30

20

:ヨ;1二二」三L

1D 200    30e

         LLg/mノ

   』「位セメント鼠

図4−1単位セメント量と強度

(㎏/orn

回︷曙︹芒WU﹈

800

1怜7口蟻薫翼;;;

600

、 、   、

、、  、

、  、

\、

400

、、

ベー一一一  、     、一■》一▲

︑ ︑

︑△

︑︑ b

200 b

ニリ      め       あむ      ねむ      ヱお

      単位水量       (kg/m }

 図4−2 単位水量と圧縮強度

〔瑠

40

30

20

霧■蟹ぶ巳ひ

10 0

7L一ン

コンクリート

o

/マイテd50

●ノ

o !

♂沢

1←挽

⊃プレーンコンク1∫一トスランア5〈丁

●ブレーンコンクリートスランアロず

_7イティr5Gえランプ5pm

▲7{ティ15杖ラン7】2・

図5−1

:00        4SO        6eo        FIU

       lトだ/>rJ

   圧絨1強rX(o、 2e

圧縮強度と引張強度の関係

(材令28日)

㌧元1

  le

峯寸

恰  10

Ic

o

圧£.1弦2ac n

【・:フf

o

● !1 ▲!

へ「:

咋一,コンクリー}スランプ5げ

●イレーン=/ク1】一、プランプ12▼

ニツイニd災7ランプ5巳

▲∵fテ】巽7ラ,フ12±

カけ        れほ        るロ        じゆコ

  圧t 1蜘皇の      (t「t iCt

図5−2 圧縮強度と引張強度の関係

   (材令7日)

(6)

10

8

Q 9

p/ oj.

4

    200         400         6GO         ε00

       (kg/¢        圧継強度(た

図6圧縮強度と曲げ強度の関係

   (材令28日)

アノリカボルトランド

  セメントじ会 o△

o

o

    ▲

     ●

・     ●

   ■

ムマイティ150zランプ5m

s ムマイラィ150スランプ12調

・     ●

  赤  沢 Oプレーンコンクリー}スランプ5

0プレーンコンクリートスランプ12

〔L

陥副

  60 堅

≡ 40

 20  10      20       30      40

      (kg/af)

      引張強tWac 図7 曲げ強度と引張強度の関係

   舩

o  ●

∠⇔

絶鰺︸ サ/▲

     ●

   !!● !!

鏡三鑑,,.、匿殻こ地,,.,}摺

材令7日と28日とによらず諸式の表現と近似するが,高性能減水剤は圧縮強度のみ増加さ

せるので,これらの式から平行移動したようになる。又,σ,/σtの値は材令7日では11〜

15,28日で12〜17であり,材令からみても引張強度の伸びは少ない。

 次に圧縮強度と曲げ強度の関係を図6−1,図6−2に示す。σ,/σbとσ,の関係では,高 性能減水剤やスランプによる差異は明確ではない。又,a,=300〜500 kg/cm2でVま,赤 沢8)の結果の延長上にあるようにみえるが,600kg/cm2附近では傾向が明らかではない7)。

 一方,曲げ強度と引張強度の関係からみると(図7),セメント協会の結果1°)より大き めに出ており,主として曲げ強度の方に原因があるようである。

 5.5材令と強度,弾性係数

 図8に材令7日と28日圧縮強度の関係を示す。この関係式を求めたものは多くあり,そ の代表的なものを同図に示すと,今回の結果はパラツキがみえるものの線としては,比較

的既応の結果に近い。高性能減水剤の場合も多くの傾向の範囲に収まっている。

 引張強度の7日材令と28日材令の関係も直線的に表わせる(図9)。又,曲げ強度につ

(kg/cr )

日=器やご

εCO

σロ=1.02σ7+105.3

(阿鼠原京第一工オ,局)

70C

σ翼=0.97σ7+117(辺路公団}

    1

∫t

マイテイ150の‡、㌧果

600

/ 8  /

500

o

プレーンコンクリート

● の礼X

o

ft 400

σロ=0.εε3σ7+112

 / / ン

300

200

      200        300         400         500         600

      (kg/ctf)

       材令7日圧縮強度

図8 材令7日と28日の圧縮強度の関係

(7)

83

ε\呈︶.ξ堅餐竺へ尋父田W

40

σn・=1・45σ76・2●

3C

20

1D

つプレーンコンク17−}スランプ5偶

●プレーン=ンクリー}スランプ12ほ ニマイティ1SOスランプ5㎝

▲マイティ15似ランプ12=

o 10 20 30       40

    7日材令引張弦度巧γ(kg/否)

図9材令7日と28日の引張強度の関係

ur

o

/ti︸︶ neg﹇.eHil:ttg蒼gz

s〔1

偽3.=74.ε 06z■

60

40

iマィテく150スランプ5{m

▲マイティ150スランプ12c露

●プレーンコンクリー}スランプ12.

20

    1.0       1.2       1.4       1.6

      ab 2S

      ahT

図10材令7日と28日の曲げ強度の関係

、こ1e

3.G

3.4

   

M

   加   註

手i\Ml︶ U︐−︑士手い∈↑べ↑一匡mW

2.6

2.4

2幽

〜・・ ・・・  ・・・  ・・…  。  …  li{。,

       7川《{Tr,srr.ttrc〔L[/らr)

 図11材令7日と28日の弾性係数

  o

o

△   ▲

Oプレーンコンクリートスランプ5偲

●プレーンコンク1)一トスランプハ2マ

∴マイティ15eスランア5<惰

▲マイティ150スランプ12文

(8)

いての材令による強度関係は,σb2s/σb7=1.1〜1.5ではσb2sとの間で直線表示ができる

(図10)6)。

 図11は7日と28日材令の弾性係数の関係を示すが,スランプや混和剤によらずほぼ一 定の傾向を示している。又,7日材令の値にかかわらず,材令による弾性係数の増加量は

0.3〜0.45で,平均では0. 38(いずれも×105kg/cm2)であった。

6. ま と め

 1) 圧縮強度と引張強度の関係や,材令7日と28日の圧縮強度関係からみると,既応の

各提案式はプレーンコンクリートの結果に比較的よく一致していた。

 2)圧縮強度とセメント水比の関係については,プレーンコンクリートではスランプに

よる影響もないが,高性能減水剤を用いるとスランプの影響が多少出た。既応の結果でも

影響を認めているようである5)。

 3)一般に材令7日では,種々の条件から水和過程がまちまちで強度発現も一定しない といわれるが,今回得られたように,7日材令のσ,−C/Uiや,σt−C/Wが直線関係に

あることが,強度発現過程の目安となるであろう。

 4)今後の課題として

 ① 7日材令の強度や弾性係数から,28日材令の値を推定する場合に,7日材令におけ る強度発現や水和の状態について必要となる前提条件を明確にし,更に若材令の場合の水

和や強度について検討したい。

 ②強度に関する多くの既応の結果に関しては,普通養生のプレーンコンクリートで比 較的強度の高い場合に対する適否や,AE剤や分散剤を用いた場合との比較を明確にした

い。

 付   記

 この報告は三浦一郎教授の御指導により,昭和59年度卒業研究生の山宮君,山中君,千

住君,徳留君が行った実験をまとめたものであり,ここに謝意を表する次第です。

 文   献

1) A.Pauw;Static Modulus of Elasticity of Concrete as Affected by Density, J. ACI 37−

   6 p. 679−687, 1960

2)岡田他:コンクリートェ学ハンドブヅク 朝倉書店1981

3) コンクリート専門委員会:富配合かた練りコンクリートのセメント水比と圧縮強度および引張

  強度との関係に関する報告 セメント協会F−19,1968

4) コンクリート専門委員会:砕石を用いた軟練りコンクリートの配合および強度に関する報告,

  セメント協会F・−211969

5)長滝,米重:高性能減水剤高強度コンクリートへの応用 セメントコンクリート No.427−9

  ア.18〜ア.25 1982

6)A.M. Neille:コンクリートの特性技報堂出版1981 7)近藤他:コンクリート工学ハンドブック 朝倉書店1965

8)赤沢:コンクリーbの圧縮による内部応力を求むる新試験法 土木学会誌29−117771943

9)柳田:材令28日圧縮強度と材令7日圧縮強度との関係についての既応の資料 コンクリートラ   イブラリー38p.211974

10) コンクリート専門委員会:砕石を用いた舗装用コンクリートの圧縮強度および曲げ強度に関す

  る報告 セメント協会F−201968

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