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(1)

281g

纂 読

=外法交献抄=

1.肺底腫を合併ぜろ慢性間質性肺     炎の鑑別診噺と剖楡示説

著者等の高山研究所(Davos)に紹介された一老婦の肺疾患に就て臨床的考察を試み,併せ て其の剖槍回読を附記してみる.

 病歴並に臨床所見 4年前に感冒に罹り,爾來引績き咳漱を訴へ,呼吸困難を件ふに至 る.喀疫は殆ど見られないが一般状態は漸次増悪する.現症 呼吸促進し,「チアノーゼ」

がある.爾肺共に有響性打診昔,右上上部に馬廻,爾肺下葉に梢々著明な濁音,前胸部所々 に呼吸音鋭,右上葉及び爾肺下葉に捻髪音多し,肺下界比較的低位(胸部レ.像略).喀疾の 結核菌陰性.Dav(rsに到着して4日目に死亡.診断 ヅ像によ砂血行性叉は粟粒結核が考へ

られ,所々の有単性打診音の所見と一致するが,下葉の濁音の読明がつかない.種々の塵肺 は病歴上除外できる.血行性播種による粟粒性肺癌も否定される.寧ろHtibsehmannの毛 細氣果枝炎叉は粟粒氣管枝肺炎が考へられる.Assman nが記載する閉鎖性毛細氣管枝炎とVb ふのがある.組織學的には,Nitroser Gasの吸入による中毒例は後者と類似の所見を呈す る.何れにしても本例の臨床像は以上の場合に相似の病理解剖學的機韓に基くものと思考さ れ,「インフルエンザ」に誘獲された慢性小限局性氣管枝性肺炎にして二次的に肺氣腫を俘ふ

ものと信ぜられる.

 剖検所見 主なるものは早早下葉下縁の高度の胞状肺氣腫,限局性無氣肺,特殊の慢性氣 日枝周園性肺炎,肺炎部癒着(其他診断省略).要するに慢性肺氣腫と肺間質部の特殊の鞍鼻

とである.帥ち肺胞は二大され,壁には高き殿子形上皮細胞ありて腺癌を想はしめる.結締 織の護育著しく,弾力繊維に富み,血管壁は硬化し,粘液腺叉零敗萎縮し,氣管枝は炎衝性 化し,結締織疲痕性組織中には圓形細胞の浸潤竈を認める.即ち毛細氣管枝周園糞及び是に 導かれた小限局性病竈である.

 如斯き炎衝性攣化は,箪に慢性肺氣腫のみを以て読明されなV・.他の病因どして,既往症 に明かなる如く,「インフルエンザ」を考へ,是によりて毛細氣管枝周園炎が間質性浸潤と共 に惹起したものであると解してみる.而してDavos(高山)に滞在するに至った事が,其の 肺に於ける組織學的障碍(上述)と相侯って,呼吸困難を招憎したものと思考する.尚,肺胞 上皮の腺癌様攣化は,間質に於ける浸潤竈或は結締織化等による壁の肥厚が,血管と肺胞間 の瓦斯交換を遮断し,櫨って招來されたる物理化學的の攣化の爲に,肺胞上皮に増殖と化生       [ 298 )

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とを惹起したものと読明してみる.

      〈Th. Janssen und F. Roulet Beitrage Klin. Tbk. 88, 2, 1936.)

2・肺門部の解剖學的所見と「レン

       トゲン、像の比較

 著者は生髄30例の肺門部「レ線槍査を行ひ,更に其の剖槍所見とを比較封照し,次の如き 結論を得た.

 結核叉は腫瘍性病竈を呈しない肺の炭浸潤様淋巴腺を槍索せしに,腺實質は破壊され,代 って炭粉は著明に沈着し,結締織叉侵入護達する事張度であった.此際顯微鏡的には該部の 結核性病竈は詮明出來なかった.如斯き關係にある淋巴腺の炭浸潤像は,小見に於ても高年 者同様に認められる.

 肺門部領域には「レ、像にて屡々濃厚像Verdichtungが見られるものであるが,此者は該部 に於ける炭化した淋巴腺と是に随饗した織維組織:Fibroseに擦るものと見傲される.

 上述の如き炭化せる淋巴腺に近接して,結核性(乾酪攣性竈を有する)淋巴腺が存する場合 殊に其の性駅を呈示する著明なる肺結核竈が共存する=場合でも,「レ.學的には夫等爾者を匠 別する事は不可能である.

 同様に,淋巴腺に輻岡三腫瘍病竈が存する場合にも,「レ.像では何等特有の性歌を認むる 事が耳蝉ぬ.

 前述の如く,炭浸潤群塊肺胞淋巴腺炎は,各年齢を通じて極めて屡々見出さるNものであ り,且つ「レ,學的には結核性胸管枝淋巴腺炎との鑑別は殆ど不可能なるもの故,2,3の型 の結核性氣管枝淋巴腺炎の「レ.學的診断たるや極めて慣重に決定さるべきである.

       (L.Protass 11. L. Funstei1ゴBeitr. K:lin. Tbk 88,1,50,1936.〉

3. Vitamim A(Vogan)を以てする種々       胃疾患の治療に就て

 著者は胃疾患を有する40例の外來患者に封しvitamin Aを以て庭置し,主としてVogan を用ひた.5滴宛1日3回,食前にとらしめ,是を連用して,其闇他の藥翻を服用せしめな V・.其の治療成績を概括すれば次の如くである.

 胃症朕の滑失,下痢の申纒,食慾充進,髄重増加等を來さしめ得る.

 減酸症及び正常酸度の場合,Voganには胃液酸度充進の能力がある.

 胃及び十二指腸潰瘍の5例にては、症歌消槌し,罷重も著しく増加したが,Vogan服用の 前後に於ける胃液酸度の成績は箪一・でなV・.振ってvitamin Aには,胃酸産生作用,肥艀       r 9 ).

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2820 纂

作用,無酸叉は減酸症の下痢症欣に封ずる作用等を墨示できる.

      (R. Boller Z. klin. Med. 130, 2, 163, 1036.)

4・胸骨穿刺に擦ろ骨髄所見の判定

 A血kinにより唱導せられた骨髄穿刺は,今や必要鋏く可からざる門門法となった.唯に 血液病のみに止らす,諸種感染性疾患,中毒症並に腫瘍等の診断に肥しては決定的成績を嗣 げつSある.

 Arinkinの穿刺は,:Novocainを以て皮膚及び骨膜を麻序せしめ, II乃至III肋間高を穿刺する.是には マンドリンを具備する特殊の胸骨針叉は太い腰椎穿刺針を用ふる.穿刺液量は多くは0.2cc乃至O・3ccで ある。直ちに時計皿に移す.覆蓋硝子標本を作製し,i欠で残部に蔭酸加里を加へおく.後に細胞計算をす る.穿刺に於て吸引不可能となれば,絢槻弓ソーダ馬糧法に縁る.年齢8歳以、上には行ひ得る.若いなら ば,脛骨の方が一層良い,内側にて膝闘節に近く%部位を穿刺する.何れにしても,合併症はなく,麻酵 が完全ならぼ疹痛も無く,何回でも施行出來る.唯骨髄の吸引に際して,瞬時索引性疹痛を訴へし者が 2,3あった.

 著者は諸種疾患に適用して次の如き成績を得,診噺的債値ある槍査法なりと結論した.印 ち各不明の貧血にては先づ骨髄穿刺法は試むべきである.是に慮り,ポリクロマヂー一・,有核 赤血球,嗜肇基盤赤血球の出現を謹明し,從來よりもより適確に,再生能力が判定せられ

る.殊に再生不能性貧血に樹して然うである.白血病では病期が明確に分る.殊に急性推 進,急性骨髄性型は容易に知られる.最も重要な事は,他の方法を以てしては知る事の出來 ない骨髄系の状態や其の障擬程度が知悉し得られる事である.血液所見と骨髄所見とが異る

「アロイケミー症例では,骨髄穿刺は極めて債値あるものである.叉多くの出血性素質に際 しては,本検査は決定的に債値がある.能く造血小板の歌態を究め得るからである.

 血液所見のみでは,各種の疾患の白血球減少症の歌態は何れも殆ど同一の攣化を示すが,

骨髄槍査成績は其際一々読明せられる.從って骨髄の獣化は實に個艦に就て先づ決定せらる べき潜勢である.斯くして,潜在性感染性疾患も謹明せられ得る.網状織細胞系の騒動は,

骨髄穿刺によりてのみ知られ得るものなるが故である.

 次に腫瘍殊に骨髄の一次性腫瘍,例へば「ミエローム」の如きもの工診断は可能である.二 次的韓移性の夫は,本質的には前者の場合に比し難しV・。

 本法に撫るならば,部門堅剛が認められてみるに拘らす,穿刺液に就ての鑑別は常に可能 であり,殊に頻回の穿刺により得たる成績を曲線に:て示せるMyelogrammを作製する時は,

一暦と正確を期し得るのであって,臨床的目的に封しては完壁と謂へやう.

       (N. Markoff Dtsch. Arch. klin Med. 179, 2, 1936.)

【300ユ

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5・年少時,亜酸化鐵(Fe203)塵埃を 吸入し肺癌腫に罹患ぜろ姉弟の例

as2 Z

 肺臓癌の診断を受けた姉弟.姉は44歳で弟は36歳である.彼等の母親は或る時計會肚の工 場で働いてみた.其塵では亜酸化鐵Eisenoxydが飛冷してみる.2人の姉弟は,出生後直ち

に弟が12歳になる迄,作業中の母と同室であり,後には仕事の手助けをしてみた.

 玄玄に射て著者は,上記の2症例から,肺臓癌の難生機輻を追求して次の如く読明してみ る.帥ち蚕齢は,:FetO3の塵埃吸入による外來性原因的要約が,24年の潜伏期を経て,癌腫 の獲病を招致せしものである.從ひて幼年者には金扇性塵埃の室氣吸入は避けしむべきであ るといひ,更に著者は前記工場からの樹一例の直入の症例を墨げ,從來男性の肺臓癌は婦人 の夫に比し,6倍に及ぶとされてみるが,環境の如何によりては,女性は男性と少くも同頻 度に侵さるSものなる事を附言してみる.

       (T. R. Dryfus Z. klin. Med. 130, 2, 1936.)

=内側交際抄一

1・「ツベルクリン、療法の本:態に就て

 「ツベルクリン」療法の本態に關して之が原働性冤疫療法なりや,或は刺戟療法なりやに就 て質疑を懐くもの多し.「ツベルクリン」は菌艦の毒素であって冤疫學上一種の「ワクチン」と 見るべきものなり.本療法に於て同一患者に於て甲病竈には有利に作用したものが同時に乙 病竈を悪化せしめる事は屡々目撃することで手事實を刺戟療法から見ると共時の「ツベルク リン」:量が甲病竈には適當:量であったが乙病竈に翼しては過大量:であった爲め斯る現象を呈 したものと云へる.

 「ワクチン」療法は患膣に冤疫が成立してから有効である.「ツベルクリン」療法に於ても特 心性肋膜炎の初期や初期喀血或は早期浸潤などの初期で冤疫が未だ成立しないか或は成立し て居てもそれが極く微弱な場合は多くは有害無効なり.若し本療法が原働性冤疫療法である ならば脇連に未だ冤疫が成立して居なV・時期に有効でなければならぬ.

 以上の事よりして本療法は刺戟療法の一種と考へられ特に本療法綾行中でも疾病そのもの が少くとも臨鉢的に治癒に赴くと最:初陽性であった大谷氏喰菌現象が陰性に韓する.若し

「ツベルクリン」療法が原軸性琵疫療法であるならば疾病が治癒に赴V・たからとて斜鼻現象陰 となることは断じてない筈である.此貼丈を以てしても本療法が原働性琵疫療法ではないと 云ふに充分である.

 有熱の肺結核患者に「ツベルクリン」療法を施した場合注射の翌日より罷温下降し4−6日 後には薔態に復するのが間々ある.斯かる現象は冤疫療法詮では到底読明出來ない.若し罷       [ 301 ]

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2822

温下降が高島二二によるものとせぱ隔りに短時間で成立し,叉短日数で溝失するからであ る.刺戟療法で斯かる現象は猫り「ツベルクリン」療法のみならす「ワクチン」療法,沃度療法 などにも見らる.叉斯様な程度の刺戟を反復して居る中に疾病は追々と快方に赴くなb.さ れば「ツベルクリン」に限らす他の療法でも病冠反慮せへ惹起せしめ得るならば「ツベルクリ

ン」療法と同様の結果を忌め得ること當然なるも本療法は最もよく病竈反憲を惹起せしめる 事より最:善の治療法な砂と.

       (大谷彬亮 治療及塵法 第17年 第17…巻 1580頁)

2・狡心症の藥物療法

 垂心症の療法として問題になるものは,獲作時に於ける救急療法である.即ち冠欺動脹の 擾張を直り,苦痛を鎭歴し,心臓を働かして循環機能を整調することである.

 救急最初の虚置として血管接張剤が用ひらる.主なるものは亜硝酸アミル」,「=トログリ セリン」,亜硝酸ソーダ」等である.

 虞方 「ニトログリセリン」 1.0     「アルコー・一一ル」    100.0  上記数滴を水に混じ頓服(1日敷回)

 稜作時「=ト・グリセリン錠1−2錠頓服     (言圭1錠はO.5mg)

    亜硝酸アミル」    10.0

 上記滴瓶より2−3滴手布に落下し之を嗅入(1日敏回)

 心臓絞総感,疹痛等の苦痛を除去する高めに麻醇剤の注射をする事は本病が心臓嚢弱を現 はす性質上無暗に之を使用する事は禁ずべき事である.心臓衰弱甚しからざる時は之を用ひ て苦痛を緩解し途に密画を浩退せしむる事がある.叉血管攣縮を解除する目的で「パパペリ ン」が用ひらる.屡々麻醇剤,彊心剤と伍用される.「ヂウレチン」等の「テオブロミン」剤が 叉冠欣動脈撞張の作用あるを以て用ぴらる,

 叉「ルミナール」,「ベロナ・・一ル」等の鎭静剤が屡鳶之に伍用される.

    「テオミナール」 1錠(O.33)

 上記獲作時頓服

 「テオミナール」は「テオブロミン」0.3,「ルミナ・一・・一ル」0.03より域:る.

 内服に堪へられない時は「オイフィリン液,酪酸ソーダ,テオチン溶液等の静脈内注射が 用ひらる.冠歌動脈の高張,鎭痛の工作を加ふると共に二二を行ひ血液循環機構に刺戟を加 へて之を整調し叉高調葡萄高島の静三内注射が試みられる(薦血量以内に於て).

 強心,興奮剤としては「カフtイン」,「ストロファンチンj,「ヂ言路リス二二,「カンフル 捌,「カルヂアツォPル」等が用ぴらる.

      t 3Q2 ]

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 其他赤酒,「エ・一テル性二三丁幾も投與される.左心室の衰弱を來して心臓性囎息の現は れたるが如き場合には強心剃は訣くべからざるものである.

 心筋疾患,心嚢疾患(心嚢炎殊に癒着の存する場合)の時は概して「ヂギタリス」等の心筋刺 戟剤は禁忌である.寧ろ心臓の愛惜庇護に力め,心嚢癒着の楊合は外科的に癒着剥離をなし 然る後心臓鼓舞の方法を講ずる.

 護作後の間三時に於ける療法  原 因 療法

 血管紳経性独心症は心身の安静を圖砂聯脛鎭静剤を與へ彊肚療法を試むべきである.

 動脹硬化機輻に基因すると考へられる時には「ヨード」投與,徽毒性二化に因る場合には注 意して駆徽療法を行ふ.

 大動脹根部の傷害による循環失調に關聯するが如き場合には適當なる強心法,安静,濾血 等をなす.

 心筋梗塞,心冠状動脹の血栓は狡心症との鑑別が困難である「ヂギタリス」等を避け,心臓 の愛惜を肥るべきである.

 其他丁丁用ひられる新療法として心臓ホルモン」の注射が試みられてみる.「カルヂノン」,

「ラカルノ・・ル」等が之である.心臓興奮素を有し心冠歌動脈を損張すると云はる.

      (藤井尚久 臨床署學第24年 第6號 昭和11年)

3.血管枝喘息の診漸と治療

 診断の項は省略する.

 封症療法 「アドレナリン」,「エフゴドリン」或は其他の劃症療法藥の適用は成る可く早期 に用ふ即きものである.只しかし嚢作が李素の経験上短期間で二丁するものであることが丁 丁され得る場合は別である.

 旧い旧作のときは,「アスト・・一ル」,「アドレナリン」等の軍一吸入も亦効あb.

   アトロピン」注射も千倍液05−LO 3ぐ内服藥としても効あり,副作用はなV・.

 次に以上のもので効なき時は「モルヒネJを用ひられてるるがこれは「アトロピン」を混じた 製剤,例へば「パントポンアトロピンJ,「ナルコポンアトロピン」,1ドバルピン」等の0.5−

1・O粍を用ふる時は「モルヒネ」注射による副作用を豫防し得て好都合である.

 以上の外輕度の獲作に封しては,喘息煙草,喘息粉等用ひられる場合もある.

 根治療法 脱感作療法として蕾「ツベルクリン」,「カゼオザン」,「パスパート」,「ウムス チン」,「ムルチン」,「プロペタント」等=甚だ多い.

 轄地療法 韓地が相當の効果をもたらすことはあるが,叉逆の場合もある.如何なる例に 如何なる場合が有効であるか否かと云ふことは豫測することは出來ない.

 喘息獲作の原因を「アレルギ・・」となすもの或は精示申作用となすもの,或は大氣の物理的性       [ 3a3 )

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質に關聯して考へる人達に依bて夫々「アレルti ・一ン」から遽ざかるからだと云ひ或は三分の 二二を主要素とするもの,或は縣地先きの大氣の影響なりと主張する.

 何れにしろ試験的に韓地療法が推奨されてるる。

X線照射療法これには脾臓照射法,肺臓照射法,以上を合併したる混合照射法等襲表され てはみるが,共の結果については甚しき懸隔ありて一定の効果率を見出すことは困難であ

る.

 沃度油注入療法 「モルヨドー・・一ル」,「リピョドール」等を氣管枝内に注入して好結果あb。

 印ち注入量は護作が完全に停止(自然)してみる時を選び,1回注入量として40%「モルヨ ドール」叉は「リピヨドール」20−30粍を用ひ,注入間隔を7−10日聞置き位ひ、の割合で行ふ.

高山1回は二三,第2回は右欄臥居,第3回は左側臥居とする.

 以上の外に「キュンメル」氏頸部交感神経切除術,小澤氏手術,三熱療法,二二療法,呼吸 蓮動療法,食事療法,藥物療三等あb.

       (:岩永芳男 診噺と治療第23雀 第;8號 第;270冊)

4.「チブス」菌性腸膜炎に点て

 「チブス」生騒膜炎に就きて内外文献を揚げ詳細に記述し下の如く結論せり.

 1 「チブス」性麟膜炎中には拶膜症欣を以て獲忙し,固有の腸「チブス」症歌を全く示さぬ か,叉は数日逞れて漸く之を現す所謂二二性拶膜炎がある、斯る場合には拶脊臆液中にのみ

「チブス」菌を詮明し,血液其他には,途に之を目明し得た場合がある.

 2 腸「チブス」経過中臆膜炎の獲現時期は,恢復期以後に最も多く,初期之に亜ぐも,其 他何れの時期にても焚現する.

 3 「チブス」二二膜炎にては,臨床,解腿,爾所見極端に拉行せぬ事多し.

 4 「チブス」性騒膜炎は必ずしも重症腸「チブス」に二二するとは限らぬ.二二のものにも 化膿性拶膜炎の獲現を見る事あり.

 5 男女の罹患率は男子に遙に多し.但し此の敷の相違は感染機會にもよるものにして男 子の脳膜が女子のそれに比して「チブス」菌に襲はれ易きためとは考へられなV・.

 6 年齢では小見,青年期に多く30歳以後は稀れである.

 7 本症の経過は急劇にして豫後は不良,時に化膿性のものにては殆んど縄望なり.

 8 腸「チブス」罹患及豫防注射が贋膜炎二三を防ぎうるや否やは疑問なり.

 9 「チブス」性麟膜炎獲現には必ずしも強毒菌の感染を必要とせざるが如し.

 10本症の併護は比較的膿格榮養共に良好なるものに多く,叉腸「チブス」潜伏期拉に罹患 初期に於ける不三生がかなのの關係をもつものS如し.

 11化膿性隅膜炎には「チブス」菌以外の化膿菌の混合感染を必要とせぬものならん.

      (小宮昇次 日萩讐學 第25年第7號 第297, 1157頁)

       [ 304 ]

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月 報

一一

○{

第54回金澤眼科集談會例會抄

      昭和ll年2月16日午後3時より於金澤醤大眼科第一診察室

       第1席 栓塞性血管炎:による眼内出血

       武村貞之助(金大眼科)

      第2席 外傷性虹彩嚢腫(標本供覧)

      林      脩 (金大眼科)

 患者は今まで眼を病んだことのない健康な23歳の鐵工で,4年位前に作業中鐵片で右眼に外傷を受け,

鐵片は手術で除去されたが,昨年3月頃から右眼に差明が起り,ユ0月頃から盆々強くなり,時々眼痛や頭 痛があると云って,12月に外來を訪れた.

 硯力は,右0・08(矯正不能),左0・3(1・2x−225D)左眼は輕い近視があるだけで,他に異常がない.右 眼には結膜充血と角膜周擁充血があり,角膜の耳側で輪部に接して療痕があり,前房には大小4個の虹彩 護腫が見られ,瞳孔の大部分を塞いでみる,刺戟症賦が彊いので12月16日に嚢腫の全摘出を行った.

 組織學的所見  嚢腫は内外の2層から成ってみる.内層は角膜輪部附近の上皮に似た激層の上皮細胞 から成り,外暦は「クロマトホーレソ」のある結締織で,その表層を1−2層の色素上皮が被ふてるる.

 本例は以上の病歴と所見所から,角膜輪回附近の上皮が鐵片によって損傷された虹彩組織に移殖され,

そこで次第に増殖して虹彩の表面を被ふて嚢状となり,その中に漿液が貯溜して生じたものと考へられ

る.

        第3席 硝子艦動脈遺残を件ふ覗紳経乳頭メラノージス」

      田邊太郎(金大眼科)

 近く原著として護表す.

      第4席 茸中毒による動眼紳経麻痺

      倉 知 與 志(金大眼科)

我國では茸中毒の症例は毎年相當の激に達するに相違なく,從って其際現れる眼障害例も砂くないので あらうが,眼科方面に於ける報告は極めて少い.これは記載漏れも一因をなすであらうが,恐らく一般に        [ 305 ]

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は全身症状の輕快と共に眼症朕も消失して,特に眼科署の診療を乞ふに至らないためと考へられる.

 私が今度報告するのは,茸申毒による至身症状恢復後も長く動眼瀞脛の麻痺を残してみたもので,此の 例の榛に重篤な眼障害は比較的稀で且つ,興味あるものと思ふ.

 患者 土○ま038歳 女.

 病歴昭和10年11月24日,書及び夕食に柿の古木に綾生した茸を食べ,i翌朝10時昏睡駄態となった,呼吸

 難,流灘,散瞳,高度の鼓腸があった.同日午後1⑪時頃畳醒し姶め,26日朝には大盟意識を回復した が,自ら開瞼不可能だつた.瞳孔散大,眼瞼下垂等の症状は,左側は4−5日で浦失したけれども,右側 は容易に消退せず且つ弱覗があると云ふので主治署から當科へ紹介されたものである,

 初診時所見 (昭和10年12月13日)覗力 右=02,準則〇・7(共に眼鏡不憲).外見,左眼は正常だが,

右眼瞼は完全に下垂し,眼球は約6粍外尉して居る.眼球運動は,外方へは正常だが,上方及び内方へは 僅かに動き,下方へは殆ど動かない,右眼角膜には鼻下側縁に底を置き先端を中心部に向けてみる襖歌の 薄鶉がある.槍影法では右眼,縦軸凸2D,横軸凸1 D,左眼は縦軸凸O・5D,横軸凸1D.瞳孔径は右約

7粍・左約4粍.眼底には雨眼共攣化がない㌧!塾ルマン・巡イ三」望ケ,村田3氏血清反慮共に陰性,

ビルケー氏反懸も陰性.

療法二二,酵母,乳酸菌配稠等の内服,初め鰹水,後に「モクソー・瀞脈内注射,褻汗,温器 法,ソラールラソブ照射等.

 経過 昭和11年1月6日,二二,右==O・6,左=0・8.右眼の眼球運動は各方面共殆ど正常に復したが,

唯内方のみは面々不充分である,外斜覗は尚存在する.右眼瞼下垂も大いに輕減したが,左眼に比べて瞼 裂は尚小さい.

 1月10日,斜視手術(三韓及び後轄).

 1月20日,覗力,右一〇.4,左=・O・9.斜覗は治癒,眼瞼下垂は尚僅かに存在したが退院二二した.

 至経過を通じて複像はなかった.之を要するに本例は茸の毒素によって核障害に基く動眼紳経麻痺を起 したものと考へられる.

第5席 リンゲル氏液内盤類濃度の角膜新陳代謝に及ぼす影響

高良武春(金大眼科)

日眼誌上に護表す.

第6席 爾側下眼瞼外翻症の1手術甲

高  澤 豊 (三國)

 患者30歳 女.

 初診 昭和10年11月18日.

 既往症 十数年前より「トラコーマ」に罹患し,特に醤療らしきものを受けざりし.常に眼隙縁の獲赤あ り,且眼脂流涙あり,敏年前より下眼瞼が外翻し,流涙彊くなれり.家族的に特に記すべき程のことなし.

 現症 爾眼下眼瞼少しく外翻して,「赤ソペーJをしたるや5にて,外観少し醜,涙職やx外翻し,外皆 部は装赤,羅潤せり,上下眼瞼結膜は謹赤漏濁肥厚,乳曙の増殖,2,3の穎粒を認む.

       [ 306 ]

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 嘘置経過 暫時,硲酸銀,硫酸亜鉛にて庭脅せる後クーソト氏法により,引歌外方約2粍を離れたる庭 より外方に向ひ,回縁に切開を加へ,結膜瞼板を,皮膚筋層より剥離,切開内端より由縁切開線の1/2約 4粍を底邊とせる模歌に,瞼板結膜を切除し,夫k相封ずる創縁を縫合せり.

 1週間後に抜糸するに,右眼に蟄ては創面癒合宜し.左眼の場合には断状額縁の部分は,充分癒合せず して,少しく小模賦の鉄損部を残したるも,自然に簸痕三二を擁し外観を損することなく2週間後に治癒 し,左右とも外観を整へ流涙を止むるに至れり.

 興味あるは本例に於て,瞼板を剥離するに,肥厚せる瞼板が,鋭匙によりて容易に掻爬せられ,瞼板病 攣部が,これにて一掃せられたる観ありしことにて,特に右眼に於てこの饗化強く,從ってこの手術によ

to s下眼瞼結膜の其後の経過は尊爵は硫配水により甚だしく短縮せられたり,又結膜の透明も著しく恢復 したをた認めたり.

      b.或「トラコー一v」患者10ケ月の経過に就て  患者 工8歳 亭亭

 初診 昭和10年4月15日

 饒荏症 昭和10年初めより霧視を訴へ,4月初めより特に覗力障碍強くなる.左は小児時代よわ霧親を 訴へ其程度は右よらも強し.

 現症 右眼角膜に小白斑及墾不規則に散在t,左眼角膜は礪蔓性の掴濁及び淡性「パンヌス」を認む.

 覗力右0・1左眼前手動

 庭置 硫亜水,0.3%硝酸銀,3−5%硫動銅,「ヂオニソ」水職眼,「アトロピン」織,羅法,黄軟膏,

「クペロン」,青島式擦過法,カイニソグ氏法,

 患者は最初刺戟症賦激しきため既に敏ケ月署療を受け刺戟症状殆んど無くなり,初診時にはこれ以上治 らぬものやも知れざるも護書に差支へる旨訴へたり.演者は患者が青年なるが故に氣永く治療すればする 程のことあるべきを説き,緩和なる治療10ケ月に及び最終覗力

 右0.5左0・3,を得たb,

 此間 カイニソグ氏法を施すことに左右夫々6回,

 青島式擦過法を行ふこと其後4回宛行ひたり.

 この青島式擦過法を行ふ頃が可成り結膜面もよくなり居たるも,総じて此法は之を綴纏するに,終りに 擦過により出血せざる程度に至るを以て,この時が此方法を止むべき時かと考らる.演者は本例に於て其 後の並置を銅「クペロン」黄軟膏の擦入による転置を專らとせるに経過良しきが如し.(自抄)

       第7席 形質細胞Plasmazellenの出現を特異とする虹彩毛様髄炎       (標本供覧)

       田上清貞(富山)

 荻原老婦60歳,初診昭和10,6,20日,膿格稽や小.貧血性,押経質:.左眼,績護性緑内障.逃隠,左眼,

眼前指数.虹彩毛繕盟炎後の瞳孔遮断症あり.眼屋40mmH.G・右眼,覗力0.4.ビルケー氏反懸(一)

徽毒血清本懸全然(→ 20/vl眼墜滅退のためTrepanを行ひしも鎭痛に至らず.20/Ix患眼を摘出す.

 其の病理組織所見に於て,虹彩及び毛檬髄に顯著なる炎性細胞浸潤あり,一般にかSる慢性炎に於ては 小淋巴細胞の浸潤を主とせるものなるにも不拘,然らずして,こは驚嘆すべき程殆んど全部か豊富なる        [ :st 7 )

(11)

2829      想    報

Plasmazellenと可威に多敷のEosinophile LeucσyctenとFibrob】astenの存することは菅沼病理強に Henke−Lubarschの眼科病理押書に依れば判例の娼きは稀有にして且つ頗る注目すべきことな勺とて,

眼葡萄膜に於ての慢性炎性細胞成分につきての卑見を述ぶる所あのたり(自抄〕.

第8席 窓掛が教室照度に及ぼす影響に:就て

葛  西 明 (金大眼科)

 窓掛を装用することにより敢室内照度が如何に愛化するかに就て研究せるもの頗る稀なり.然も,敢室 照明の問題は新興覗科學の護達に俘ひ,三々學校衛生上其の重要性を加ふるに至れる秋に際し,余は金澤 地方に於ける學校教室照明に就て實験せる傍ら,窓掛が教室照度に及ぼす影響に就て調査せり。其の概要 を報告せんとするものなり.

 昭和10年11月始めより同年12月下句に至る期間金澤第一三二校,女子師範學棟に於て,前者は南窓教室 後者は東窓教室にして何れも2階の教室に干て窓側列,申三門廊下側列の前列,申央,後列に就て午SU 8 時,正午,午後3時の照度と窓掛を用ひたる時の照度とを計測し,之を天候別,晴天,曇天,暗天,雨天

日に匿別して襯察せり.

 南窓教室晴天日に窓掛を用ゆる時は敢室内照度は著しく照度の差異を減じ,午前に於ては窓側列は約4 割,申央列及び廊下側列,前列,申央は約3割,中央列及び廊下側列後列は約4割照度の減少を來し,正 午に於ては窓側列,申言は約8割減少するも,後列は僅に滅少す.中央列は前列は反て照度を壇し中央部 は墜化なく,後列は約3割の減少を示す.廊下側列は各部共に照度著しく塘加す.

 午後3時頃に於ては各列の前列は照度著しく埆加し,廊下側列申央も叉僅に増し,窓側列中央,後列及 中央列後列は減少せるを示す.

 東窓教室晴天日に窓掛を用ゆる時は教室内横列,縦列の配光状況可良となり,午前に於ては窓側列,前 列,中央部は約3割,廊下側前列にては約2割照度を壇加す,されど中央列前列,窓側列後列は約3割減 少し,其の他の部位は約9割以上の滅少を示す.正午に於ては窓側列前列,中央約3割,其の他の部位は 約6割下降し,午後に於ては窓掛列前列,申央約5割,其の後列及び申央列の前列,中央は約7割,廊下 側列は約6割の減少を來すも申央後列は補助窓よりの透過光線の爲愛化を認めず.

 尚曇天目,其の他に『呪て實下せる照度に干て述べ窓掛の鷹用は猫り直射を防ぎ頭部充血を除き,眩暉を 避くるのみならず敢室内照度の均齊を保つ上に於て覗器衛生上必要なるものと結論せb.(2, 17)

      第9席一一種:の網膜攣性症

       中  島     實 (金大)

 32歳の女昭和7年頭部頸部の踵脹と共に爾眼醗赤,分泌等の後右眼の覗力障碍加はるへ云ふ.眼底は一 般に萎縮し不正反射を綱膜面に見る外に黄斑部に紅色斑あり,境界は明かなれども鮮鏡ならず,色に封ず る申心暗職を謹明す.黄斑部に紅色斑を生ずべき如何なる疾患とも適合せず.歎ケ月間各種の治療を行ふ も全く攣化を示さず.結局一・waの綱島攣性症ならんと考ふ.

第10席創傷療法,殺菌剤憲用法,刺戟療法,顔面小プラスチック

石  川 昇 (金大)

[ soB ]

参照

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