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ドイ ツ法 に お け る宣 誓 要 求 制度 の意 義 と機 能(3・ 完)

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ドイ ツ法 に お け る宣 誓 要 求 制度 の意 義 と機 能(3・ 完)

証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 の事 案 解 明 義 務 を 考 察 す るた め の 基礎 的作 業 と して

伊 東 俊 明

第 一章 序 言

第 二章 ドイ ツ民事 訴訟 法 にお け る宣 誓要 求制 度 第一節 宣誓 要求 の具 体例

第二節 当事 者宣 誓制 度 の概 観 第三節 宣誓 要求 制度

第 一款 宣 誓要 求 の法 的性 質

第二 款 宣 誓要 求 に対す る証 明責 任 を負 わ ない当事 者 の応答 強制 第 三款 宣 誓要 求 の許容 要件

第四節 小 括

第 三章19世 紀 中期 か ら1933年 まで の ドイ ツの議論 状況 第一節CPO410条 の立 法沿 革

第一 款 ハ ノ ー フ ァー草 案(以 上,51巻2・3号) 第二 款 プロ イセ ン草案

第三 款 北 ドイ ツ草 案 第 四款CPO成

第五 款 小括(以 上,51巻4号) 第二節 裁 判例 ・学 説 の状 況

第一 款 裁判 例 第二 款 学 説 第三 款 小括

第三節 宣 誓 要求制 度 の廃 止 の影響 第 四章 結語(以 上,本 号)

〔215〕

(2)

第三 章19世 紀 中 期 か ら1933年 まで の ドイ ツの 議 論 状況

第 二 節 裁 判 例 ・学 説 の状 況

本 節 で は,CPO410条(ZPOa.E445条)の 前 権 利 者 」 概 念 お よ び 「代 理 人 」 概 念 の 解 釈 に 関 す る,当 時 の ドイ ツの 裁 判 実 務 ・学 説 にお け る 議 論 を整 理 し検 討 す る 。 こ の作 業 に よ り,当 時 の ドイ ツの 裁 判 実 務 ・学 説 は,CPOの 法 担 当 者 と同 様 に,「 証 明 責 任 を負 う 当 事 者 の 証 明 窮 状 の 回 復 」 と 「証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 の 情 報 収 集 能 力 」 とい う事 情 を考 慮 して 宣 誓 要 求 の 許 容 範 囲 を確 定 し,そ の うえ で,宣 誓 要 求 の許 容 範 囲 を拡 張 す る傾 向 に あ っ た こ と を 明 らか にす る。

第 一 款 裁 判 例 第 一 項 前 権 利 者 」

前 権 利 者 」 概 念 の 内容 に つ い て 定 め た 条 文 は,CPO(ZPOa.F.)

に は存 在 し なか っ た 。 ど の よ う な者 が,CPO410条(ZPOa.F.445条)の 権 利 者 」 に該 当す る か は,裁 判 実 務 ・学 説 に お け る解 釈 ・運 用 に委 ね られ て い た 。 以 下 で は,第 三 者 の 「前 権 利 者 」 該 当性 の 判 断 につ い て,リ ー デ ィ ン グ ・ケ ー ス と して 引 用 さ れ るRGの 裁 判 例 を と りあ げ る。

裁 判 例1】RGUrt.v.24.10.1885(RGZ15,368)

Xの 債 務 者 で あ るAは,Yに 対 して も債 務 を負 っ て い た。Aは,Yに 対 し て,公 正 証 書 を交 付 して い た 。Yは,Aの 有 す る債 権 を 差 し押 さ えた 。Xは, Yに 対 して,債 権 の 差 押 え の取 消 しを求 め た の が 本 件 で あ る 。

本 件 で は,取 消 法(Anfechtungsgesetz)3条1項 の 「第 三 者 」 に該 当 す るAの 詐 害 意 思 の証 明 が 問 題 とな っ た。Xは,Aの 詐 害 意 思 を 証 明 す る た め, Yに 対 して,YがAの 詐 害 意 思 を知 っ て い た こ とに つ い て宣 誓 要 求 を した 。 Aは,形 式 的 に み る と,CPO410条(ZPOa.F.445条)の 前 権 利 者 」(ま た は 「代 理 人 」)に 該 当 し な い た め,こ の よ う な 宣 誓 要 求 が 許 容 さ れ る か 否 か が 問 題 とな っ た。

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ドイ ツ法 に お け る 宣 誓 要 求 制 度 の 意 義 と機 能(3・ 完) 217

第 一 審 お よ び 原 審 は,い ず れ も,Xの 請 求 を棄 却 した 。 原 審 は,「YはA の 権 利 承 継 人 で は な い 」,す な わ ち,AはCPO410条(ZPOa.F.445条)の 権 利 者 」 に 該 当 し な い と し て,宣 誓 要 求 を 認 め な か っ た。Xが 上 告 した 。 RGは,原 審 が 取 消 法3条1項 に 基 づ く取 消 を認 め なか っ た の は違 法 で あ る

と した。

[判 旨]「CPO410条(ZPOa整445条)の 前 権 利 者 』 を ど の よ う に 解 釈 す べ きで あ るか に つ い て は,明 文 の規 定 を欠 く。 そ の た め,そ れ は,権 利 譲 渡(ObergangvonRechten)の 概 念,お よ び,宣 誓 証 明(Eidesbeweis) に と っ て の 権 利 譲 渡 の 意 義 に よ っ て判 断 され な け れ ば な ら な い 」。 取 消 法 を 適 用 す る に あ た り,本 件 の よ う な公 正 証 書 に基 づ く債 権 の差 押 え と任 意 の 権 利 譲 渡 と を区 別 す る こ と は で きず,AはCPO410条(ZPOaF.445条)の 権 利 者 」 に 該 当 す る 。

本 件 に お い て 宣 誓 要 求 の許 容 範 囲 を拡 張 す る根 拠 は,以 下 の とお りで あ る。

第 一 の根 拠 は,相 手 方(証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者)の 恣 意 に基 づ く証 拠 方 法 の 喪 失(Verlust)を 保 護 す る 必 要 が あ る こ とで あ る(証 明 責 任 を負 う当 事 者 は,相 手 方 の 地 位 の変 動 が な け れ ば,そ の 証 拠 方 法 を保 持 す る こ と が で きた)。 第 二 の 根 拠 は,宣 誓 要 求 さ れ る証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 は, 当 該 事 実 の真 実 性,あ るい は,不 真 実 性 に つ い て確 信 を得 る こ とが で きる 地 位 にあ る こ とが 推 定 され る とい う こ とで あ る」。

以 上 の よ う に,【 裁 判 例1】 は,第 三 者 の 「前 権 利 者 」 該 当性 を判 断 す る に あ た っ て,実 体 法 上 の 「権 利 承 継 」 の 有 無 と い う こ とだ け で な く,「 証 拠 方 法 の 喪 失 か ら証 明責 任 を負 う当 事 者 を保 護 す る必 要 が あ る こ と」,お よ び,

証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 は 主 張 事 実 の真 偽 につ い て 確 信 を得 る こ とが で き る地 位 に あ る こ と」 とい う 訴 訟 法 上 の利 益 状 況 を 重 視 して い る 。 同様 の 判 断 枠 組 み を 採 用 し,指 図 人 は 指 図 受 取 人 の 「前 権 利 者 」 に あ た る と判 断 した 裁 判 例 と して,RGUrt。v。23.11.1899(RGZ45,369)が あ る117)。

裁 判 例1】 の 後 に,実 体 法 上 の 関係 の 有 無 を重 視 す る判 断 を した 裁 判

(4)

例118)も 出 さ れ た が,次 に 挙 げ る 【裁 判 例2】 に よ っ て,【 裁 判 例1】 の 判 断 枠 組 み を採 用 す る こ とが,RGの 考 え 方 と して確 立 さ れ る こ と に な っ た よ

う で あ る119)。

裁 判 例2】RGUrt.v.5.11.1900(RGZ47,66)

手 形 の 裏 書 人 が,手 形 の所 持 人 の 「前 権 利 者 」 に該 当す る か 否 か が 問 題 と な っ た事 例 で あ る 。

[判 旨]「Planckは,訴 訟 法 の 適 用 に とっ て,前 権 利 者 や 代 理 人 と い う 私 法 上 の 概 念 が 必 ず し も決 定 的 と な らな い こ と を 認 め る。factaalienaに い て の 宣 誓 要 求 を認 め る 限 り,ZPOa.F.445条(CPO410条 〉 は,『 証 明 責 任 を負 う 当事 者 は,相 手 方 の前 権 利 者 や代 理 人 の行 為 お よ び 認 識 に 関す る証 拠 方 法 を獲 得 す る こ とが しば しば 不 可 能 で あ る。 そ れ に対 して,相 手 方 は, 原 則 と して,証 拠 方 法 を収 集 す る こ とが で き る。 従 っ て,当 該 事 実 につ い て 調 査 を実 施 す る こ とを 義 務 づ け て も衡 平 に 反 しな い』 とい う考 え 方 に基 づ い て い る」。 そ の た め,裏 書 人 が 手 形 の 所 持 人 の 「前 権 利 者 」 に該 当 す る120)。

以 上 の 裁 判 例 の 判 断 に鑑 み る と,RGは,実 体 法 的 な判 断枠 組 み で は な く,訴 訟 法 的 な判 断枠 組 み に よ り,第 三 者 の 「前 権 利 者 」 該 当性 を判 断 し て い た と い え る 。 こ れ は,ハ ノ ー フ ァ ー草 案 の 起 草 過 程 にお い て提 出 さ れ た

117)実 体 法 的 に み る と,指 図 受 取 人 は,指 図 人 の 権 利 承 継 人 と は い え な い 。 同 様 の 判 断 を す る も の と し て,RGUrt.v.10.3.1899(RGZ43,387)が あ る 。 118)RGUrt.v.12.3.1900(Gruchots44,1087)は,「 訴 訟 法,と り わ け,ZPOaE445

条(CPO410条)に お け る 権 利 承 継 人 と は,他 者 の 権 利 か ら 自 己 の 権 利 を 導 き 出 す こ と が で き る 者 に 限 る 」 と し,裏 書 人(lndossant)は,被 裏 書 人(lndossatar) の 「前 権 利 者 」 に 該 当 す る と 判 断 し た 。 同 様 の 判 断 を す る 裁 判 例 と し て,OLG CelleUrt.24.1.1900(SeuffA55,446)(以 下,高 等 地 方 裁 判 所 は,OLGと 記 す) な ど が あ る 。

119)【 裁 判 例2】 の 判 断 枠 組 み を 採 用 し た 裁 判 例 と し て,RGUrt.v.30、6.1903 (SeuffA59,175)[債 務 者 が 取 消 訴 訟 の 被 告 の 前 権 利 者 に あ た る と し た 事 例];RG Urt.v.4.11.1902(RGZ53,8)[債 務 者 が 破 産 管 財 人 の 前 権 利 者 と あ た る と し た 事 例];RGUrt.v.13.7.1908(RGZ69,186)[妻 が 死 亡 し た 夫 の 前 権 利 者 に あ た る と し た 事 例]な ど が あ る 。

120)RGUrt.v.1&12.1901(JW1902,76)も,裏 書 人 が 被 裏 書 人 の 「前 権 利 者 」 に あ た る と し た 。

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ドイ ツ法 にお け る 宣 誓 要 求 制 度 の 意 義 と機 能(3・ 完) 2ヱ9

反 対 案3】 と親 和 性 を 有 して い る(前 述 本 章 第 一 節 第 一 款 参 照)。 当 時 の ドイ ツ の 裁 判 実 務 は,宣 誓 要 求 の 許 容 範 囲 を 判 断 す る に あ た っ て,CPOの 立 法 担 当者 と 同様 に,「 証 明 責 任 を 負 う当 事 者 の 証 明 窮 状 の 回復 」 と 「証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 の 情 報 収 集 能 力 」 とい う事 情 を考 慮 して お り,そ の う え で,「 前 権 利 者 」 の 範 囲 を拡 張 す る 傾 向 に あ っ た とい え る。

第 二 項 代 理 人 」

代 理 人 」 概 念 は,前 項 で み た 「前 権 利 者 」 概 念 と比 べ る と,裁 判 実 務 にお い て あ ま り問 題 と され る こ とは な く,比 較 的早 い 時 期 にRGの 考 え 方

が 固 ま っ た よ う で あ る121)。 リ ー デ ィ ン グ ・ケ ー ス と し て 引 用 さ れ るRGの 裁 判 例 は,次 の よ うに 判 示 す る 。

裁 判 例3】RGUrt.v.10.3.1885(RGZ13,357)

[判 旨]「CPO410条(ZPOa.F.445条)の 代 理 人 と は,当 事 者(本 人) の 名 で,あ る い は,当 事 者 の た め に行 為 し,当 事 者 が そ の 行 為 を 自己 の行 為 とみ なす 者,ま た は,み な さ な け れ ば な らな い 者 とい う意 味 に お い て 理 解 す べ きで あ る」。

裁 判 例3】 は,「 代 理 人 とは,(そ の 者 の)行 為 につ い て 当 事 者 が 責 任 を 負 う者 とい う意 味 に お い て理 解 す べ きで あ る」 とい う第 三 草 案 の 理 由書 の 考 え 方122)よ り も,「 代 理 人 」 概 念 を制 限 的 に解 釈 す る。 理 由 書 の 考 え方 に よる と,第 三 者 と の 間 に 実 体 法 的 な責 任 関 係 が 存 在 す れ ば よ い こ と に な る が,RGは,当 事 者 が 責 任 を負 う者 の全 て が,必 ず し も,実 体 法 的 な 意 味 に お け る 「代 理 人」 と い う こ と に は な らな い と し て,【 裁 判 例3】 の よ う に判 断 した 。

もっ と も,「 代 理 人 」 概 念 を こ の よ う に制 限 的 に解 釈 して も,当 事 者 が 責 任 を負 う者 が,当 事 者 の 「前 権 利 者 」に該 当 す るか とい う問 題 は残 っ て お り,

121)Walsmann,aaO.(Anm.57),S.251.

122)Hahn,aaO.(Anm.21),S.332=Motive,S.277.

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こ れ らが 当事 者 の 「前 権 利 者 」 に 該 当 す る と判 断 さ れ る場 合 が あ る こ と に な る。 な お,任 意 代 理 人 に 限 らず,法 定 代 理 人 も,ZPOa.F.445条(CPO410

条)の 代 理 人 」 に該 当 す る と解 され て い た123)。

以 上 の よ うに,RGは,前 節 で み た 「前 権 利 者 」概 念 と は異 な り,「代 理 人 」 概 念 は 制 限 的 に解 釈 して い た と い え る 。

第 二 款 学 説

当 時 の ドイ ツの 学 説 は,「 前 権 利 者 」 概 念 お よ び 「代 理 人 」 概 念 の 解 釈 に つ い て,前 款 で み たRGの 考 え 方 に概 ね従 っ て い る とい え る。 と りわ け,

代 理 人 」 概 念 に つ い て は,【 裁 判 例3】 の 考 え 方 を そ の ま ま援 用 す る もの が 多 い124)。 そ こ で,本 款 で は,「 前 権 利 者 」 概 念 を 中 心 に,学 説 の 状 況 を 整 理 す る 。

裁 判 例21が 引 用 す る と こ ろ のPlanckは,CPO410条(ZPOa.E

445条)の 権 利 承 継 が 認 め られ る か 否 か は,「 前 権 利 者 や 代 理 人 の 私 法 上 の概 念 の 理 解 に と らわ れ る こ とな く,民 法,あ るい は,そ れ 以 外 の 関 係 を規 律 す る 法 に 基 づ い て 判 断 され な け れ ば な らな い」 と い う125)。Planckは,第 者 の 「前 権 利 者 」 該 当 性 の判 断 につ い て,実 体 法 の 理 解 を参 照 しつ つ,訴 法 的 な 観 点 も取 り入 れ る べ き で あ る こ と を 主 張 して い る と い え る126)。

Endemannも,第 三 者 の 「前 権 利 者 」 該 当 性 は,「 民 法 に よ っ て 定 ま る」 と

123)ま た,「 前 権 利 者 の 代 理 人 」 もZPOa.F,445条 の 「代 理 人 」 に 該 当 す る と い う 裁 判 例 も あ っ た(Walsmann,aaO.(Anm.57),S.251)。

124)Rosenberg,aaO.(Anm.15),S.381;Hellwig,aaO.(Anm.15),S.727.

125)Planck,aaO.(Anm.39》,S.307f.

126)Struckmann/Kochも,前 権 利 者 と 代 理 人 の 解 釈 は 「民 法 に よ っ て 定 ま る 」 と し つ つ,RGが 採 用 す る 訴 訟 法 的 な 判 断 枠 組 み を 採 用 す る(ders.,ZPO,9.Aufi.

(1910),§445Rdnr.2)。RGと 同 様 の 考 え 方 を 採 用 す る 学 説 と し て, Stein/Jonas,ZPO,11.Au乱,(1928),§4451H;Seuffert/Walsmann,ZPOt11.Au乱,

(1932),§445Rdnr.1;Kisch,DerGegenstandderEideszuschiebung,RheinZ.

Bd12.(1923),SS,389ff.,395.な ど が あ る 。 な お,RGの 考 え 方 に 積 極 的 に 反 対 す る 見 解 は 見 当 た ら な か っ た 。

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ドイ ツ法 にお け る 宣 誓 要 求 制 度 の 意 義 と機 能(3・ 完) 221

しつ つ も,前 権 利 者 の 行 為 お よ び認 識 につ い て,証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 は,「 宣 誓 を す る の に 必 要 と な る解 明(Aufklarung)を な す こ とが で き る」

と して,訴 訟 法 的 な 観 点 を取 り込 ん で い る127)。

Rosenbergは,ZPOa.F.445条 の 「前 権 利 者 」 を,「Sachlegitimationや 訟 追 行 権 限 を根 拠 づ け る法 的 地 位 を宣 誓 要 求 さ れ る 当 事 者 に対 して 譲 渡 した 者 」 とい う意 味 で 理 解 す る128)。 ま た,Walsmannは,RGの 裁 判 例 の 検 討 を踏 ま え て,「 当 事 者 の 法 的 地 位 が 第 三 者 の 法 的 地 位 に 由 来 す る」 場 合 に, この 「第 三 者 」 が,ZPOaE445条(CPO410条)の 前 権 利 者 」 に 該 当 す る とい う129)。 こ れ らは,「 前 権 利 者 」 該 当 性 を,実 体 法 的 な 意 味 で の 権 利 承 継 よ り も拡 張 して解 釈 しよ う とす る見 解 とい え る130)。

Kleinfellerは,「 当 事 者 が,自 己 の 前 権 利 者 の 行 為 につ い て,自 己 の 行 為 と同 じ程 度 に,十 分 か つ確 実 に,何 らか の こ と を知 り う る とい う こ とが 決 定 的 で あ る 」 と して,第 三 者 の 「前 権 利 者 」 該 当 性 の 判 断 に つ い て,「 証 明責 任 を負 わ な い 当 事 者 の情 報 収 集 能力 」 の有 無 が 重 要 で あ る こ とを 明 示 的 に 主 張 す る131)。

さ ら に,Bohnは,訴 訟 法 的 な 観 点 を,よ り前 面 に 出 し,第 三 者 の 「前 権 利 者 」 該 当 性 を 判 断 す る に あ た っ て は,「 衡 平 の観 点 か ら,証 明 責 任 を負 う 当事 者 は,証 明 責 任 を負 わ ない 当事 者 に対 して 宣 誓 要 求 で き る権 利 を付 与 さ れ る べ きか 否 か 」 とい う視 点 と 「証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 が,主 張 事 実 に

127)Endemann,aaO.(Anm.17),S.313£Endemannは,譲 渡 人 や 売 り 主 な ど が 「前 権 利 者 」 に 該 当 す る と い う 。 ま た,「 代 理 人 」 に は,「 代 表 者(Reprasentant)」

に よ る 代 理 だ け で な く,仲 買 人 や 問 屋 に よ る 代 理 も 含 ま れ る と い う 。 128)Rosenberg,aaO.(Anm.15),S.381;Hellwig,aaO.(Anm.15>,S.726f.も 同 旨 。 129)Walsmann,aaO.(Anm.57),S.247.

130)Goldschmidtは,「 前 権 利 者 」 概 念 は 拡 張 し て 解 釈 さ れ る べ き で あ る と 明 示 的 に 主 張 す る(ders.,aaO.(Anm.19),S.148)。

131)Kleinfelier,aaO.(Anm.55),S.260.Schmidtも,当 事 者 が,第 三 者 の 行 為,あ る い は,認 識 に つ い て,「 有 益 な 情 報(eineguteInformation)」 を 有 し て い る こ と が 推 定 さ れ る 場 合 に,例 外 的 に,factaalienaに つ い て の 宣 誓 要 求 が 許 容 さ れ る と い う(ders.,aaO.(Anm39>,S.532)。

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つ い て何 らか の こ と を知 り う るか 否 か 」とい う視 点 が 重 要 で あ る とい う132)。

こ の よ う に,当 時 の ドイ ツ の 学 説 は,RGと 同 様 に,「 前 権 利 者 」 概 念 を 解 釈 す る に あ た っ て,訴 訟 法 的 な観 点 を取 り入 れ,「 前 権 利 者 」 概 念 を拡 張

し て解 釈 し よ う とす る傾 向 に あ っ た とい え る。

第 三 款 小 括

以 上 の よ うに,宣 誓 要 求 の 許 容 範 囲 につ い て,当 時 の ドイ ツ の裁 判 実 務 ・学 説 の考 え方 は,CPOの 立 法 担 当 者 の 考 え方 と概 ね 一 致 して い た 。 も っ と も,当 時 の ドイ ツ の裁 判 実 務 ・学 説 は,証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 の 情 報 収 集 能 力 を重 視 し,「前 権 利 者 」を拡 張 して 解 釈 す る 傾 向 に あ っ た 。これ は, CPOの 第 一 草 案 や 第 三 草 案 の 理 由 書(前 述 本 章 第 一 節 第 四款 第 三 項 参 照) が 挙 げ る 「取 引 ・経 済 社 会 の 実 際 的 な 必 要 性 」 や 「取 引 の 要 請 」 とい う こ と

を考 慮 し た もの で あ り,CPOの 立 法 担 当 者 の 考 え 方 に適 合 し て い る とい え るで あ ろ う。

当 時 の ドイ ッ の 裁 判 実 務 ・学 説 は,CPOの 立 法 担 当 者 と同 様 に,次 の よ う な考 え方 に 立 っ て い た とい え る。 す な わ ち,「 証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 が,自 己 の有 す る情 報,お よ び,収 集 し うる 情 報 に基 づ い て 主 張 事 実 の 真 偽 を判 断 で きる に も拘 らず,何 も しな い で い る こ と は,当 事 者 間 の衡 平 に 反 す る」 とい う考 え 方 で あ る 。 当 時 の ドイ ツ の裁 判 実 務 ・学 説 は,宣 誓 要 求 が 許 容 され る範 囲 で,証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 に対 して,事 案 解 明 の た め に,一 定 の 行 為 義 務(情 報 収 集 義 務 ・確 信 形 成 義 務)を 課 す こ と に よ り,当 事 者 間 の衡 平 を 図 ろ う と して い た とい え るで あ ろ う133)134)。

132)Bohn,aaO.(Anm.39),S.12ff.

133)CPO成 立 か ら1933年 まで の,否 認 の 規 律 の あ り方 に 関 す る ドイ ツ の 裁 判 例 を整 理 す る 。 否 認 の 規 律 に つ い て 判 断 し たRGの 公 刊 裁 判 例 は 少 な い(下 級 審 の 裁 判 例 と し て は,OLGBraunschweigUrt.v.6.7.1888(SeuffA44,59)が あ る。

た だ し,こ れ は,消 極 的 事 実 が 証 明 主 題 で あ っ た 事 案 で あ り,ま た,単 純 否 認

を 主 張 過 程 で 不 適 法 と して 却 下 す る の で は な く,自 由 心 証 に 基 づ く判 断 に お い

て,単 純 否 認 を した 当 事 者 に 不 利 な 事 実 認 定 が な さ れ る とす る も の で あ る)。 当

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ドイ ツ法 におけ る宣誓 要 求制 度の 意義 と機 能(3・ 完)

223

時 の ドイ ツ の 体 系 書 ・コ ン メ ン タ ー ル で し ば し ば 引 用 さ れ る の は,次 に 挙 げ る 二 つ の 裁 判 例 で あ る 。

【裁 判 例4】RGUrt.v.1.12.1910(JW1911,184)

Xが,様 々 な 費 目 を 記 載 した 計 算 書 に 基 づ い て,Yに 対 して 費 用 の 支 払 を 求 め た 。Yは,Xの 主 張 を 否 認 す る 旨 の 陳 述 を し た 。 裁 判 所 は,Xの 主 張 を全 て 否 認 す る つ も りな の か ど うか とい う点 に つ い て 釈 明 し た。 そ れ に対 し て,Yは,

「Xの 主 張 を 全 て 否 認 す る趣 旨 で は な い 。 しか し,Xの 主 張 の どの 点 を 否 認 す る の か を述 べ る こ と が で き な い 。 い ず れ に せ よ,Xが 主 張 す る 費 目は,数 額 の 点 に つ い て 正 し く な い 」 と 答 え た 。 原 審 は,こ の よ う なYの 否 認 は 不 適 法 で あ る と判 断 し た 。 そ れ に 対 して,Yは,ZPOa.F.138条 お よ びZPOa.F.139条 違 反 を 理 由 に上 告 した 。RGは,ZPOaF.139条 違 反 は 認 め られ な い と した う え で, 次 の よ う に判 示 した 。

[判 旨]「 当 事 者 が 相 手 方 の 主 張 す る事 実 を 否 認 す る 意 思 が あ る か 否 か と い う こ と は,裁 判 所 が,当 事 者 の 全 て の 陳 述 や そ の 他 の 行 為 を 評 価 して 決 定 す べ き 問 題 で あ る 。この こ と は,多 くの 事 実 を含 む 一 般 的 な 陳 述 に つ い て も当 て は ま る。

こ の 判 断 は,訴 訟 上 の 経 過 の 評 価 が 問 題 と な っ て い る た め,上 告 裁 判 所 の 自 由 な 審 査 に 服 す る 。Yが,Xの 主 張 の 全 て を 否 認 す る の で は な く,個 別 的 に 否 認 す る が,そ れ 以 上 の こ と を述 べ る こ と は で き な い と 陳 述 す る 場 合 に は,Xの 計 算 書 に 記 載 さ れ る 様 々 な 費 目 の う ち,い ず れ を 否 認 す る趣 旨 で あ る の か と い う

こ とが 全 く分 か ら な い 。 こ の よ う な 一 般 的 で 特 定 さ れ て い な い 否 認 は,事 実 状 況 か ら み て 不 十 分 で あ り,ま た,訴 訟 法 に も 適 合 しな い も の で あ る 。 本 件 は, 個 別 的 な 費 目 に対 す る 特 定 した 否 認 が な さ れ て お らず,ま た,ど の 費 目 を否 認 し,

ど の 費 目 は 否 認 し な い の か と い うYの 意 思 に つ い て の 手 が か り も欠 け て い る 場 合 で あ る 。 こ の よ う な 場 合 に は,Yの 陳 述 が 不 特 定 で あ る た め,Xの 主 張 す る 個 別 的 な 主 張 の 全 て が 十 分 な特 定 性 を も っ て 否 認 さ れ な か っ た こ と に な る 。従 っ て,擬i制 自 白 が 成 立 す る こ と に な ら ざ る を え な い 」。

【 裁 判 例5】RGUrt.v.5.12.1911(JWI912,199)(事 実 関 係 不 明)

[判 旨]「ZPOaF.138条 に よ り,当 事 者 は,相 手 方 の 主 張 した 事 実 に 対 し て 陳 述 し な け れ ば な ら な い 。Yが 相 手 方 の 主 張 を 明 確 に は 否 認 せ ず,ま た,そ の 他 の 陳 述 か ら 否 認 をす る 意 思 が 認 め られ な い 場 合 に は,当 該 主 張 事 実 は 自 白 さ れ た も の とみ な さ れ る 。 相 手 方 の 主 張 を否 認 す る 意 思 を 表 明 す る た め に,ど の よ う な 内 容 の 陳 述 を し な け れ ば な ら な い の か を定 め た 条 文 は 存 在 し な い 。 と り わ け,否 認 が 有 効 と な る た め に,具 体 的 な 陳 述 が 必 要 と な る の か,ま た,ど の く らい 具 体 的 な 陳 述 が 必 要 と な る の か と い う こ と を定 め た 条 文 は 存 在 し な い の で あ る。 理 由 書 や 北 ドイ ツ 草 案 の 委 員 会 の 審 議 録 の よ う に,個 別 的 な 事 案 に お い て,相 手 方 に 対 し て 証 明 を 必 要 と さ せ る,十 分 に具 体 化 さ れ た(理 由 付 け さ れ た)否 認 が な さ れ た か 否 か は,裁 判 所 の 評 価 に 委 ね られ て い る 。 原 審 は,個 別 具 体 的 な 事 実 状 況 を 考 慮 し て,Xの 主 張 す る 労 務 の 提 供 と そ の 代 金 の 適 切 性 を 明 確 に 否 認 す るYが,Y自 身 の 考 え に よ る と,ど の 程 度 の 労 務 が 提 供 さ れ て,

ど の 程 度 の 代 金 が 適 切 で あ る の か と い う具 体 的 な 陳 述 を し た か 否 か を審 査 せ ず

に,Xの 主 張 全 体 につ い て 擬 制 自 白 の 成 立 を 認 め た。 しか し,原 審 は 判 決 をす

(10)

る に あ た っ て,特 別 な 事 情 に よ り具 体 的 な 陳 述 が で き な い とい うYの 主 張 を考 慮 し て い な い 。 こ のYの 主 張 が 正 し い と仮 定 す る と,具 体 的 な 陳 述 を し な か っ た こ とか ら直 ち に,YがXの 主 張 を 安 易 に 否 認 す る も の で あ る と判 断 す る こ と は で き な い 」。

【 裁 判 例4】 は,証 明 の 対 象 が 特 定 で き な い よ う な 否 認 は 不 適 法 で あ る と して, 証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 に 対 し て,証 明 の 対 象 が 明 ら か に な る 程 度 の 否 認 の 具 体 化 を 要 求 し て い る。 こ れ は,CPOの 立 法 担 当 者 の 考 え て い た 否 認 の 規 律 の あ り方(前 掲 注112)参 照)と 一 致 して い る とい え る。

そ れ に 対 し て,【 裁 判 例5】 は,【 裁 判 例4】 の 考 え 方 を 一 歩 進 め て,証 明 の 対 象 を 明 らか に す る とい う こ と を超 え て,証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 に 対 して, 反 対 事 象 を陳 述 す る こ と を 要 求 す る 。 も っ と も,【 裁 判 例5】 は,そ の根 拠 に つ い て は 何 も述 べ て い な い 。

【 裁 判 例5】 は,第 三 草 案 の 理 由 書 と 北 ドイ ツ 草 案 の 審 議 録 を引 用 す るが,む し ろ,ハ ノ ー フ ァ ー 草 案 の 起 草 過 程 に お い て 提 出 さ れ 却 下 さ れ た 意 見(前 掲 注 112)参 照)と 親 和 性 を 有 し て い る と い え る で あ ろ う 。

も っ と も,否 認 の 規 律 の あ り方 に つ い て 判 断 し た裁 判 例 が 少 な い た め,【 裁 判 例5】 の 規 律 が,当 時 の ドイ ツ のRGの 裁 判 実 務 に お い て 安 定 した も の と な っ て い た か ど う か を 特 定 す る こ と は で き な い 。 しか し,少 な く と も,証 明 の 対 象 が 明 ら か に な ら な い 否 認 は 認 め ら れ な い と い う限 りに お い て,当 時 の ドイ ツ の 裁 判 実 務 とCPOの 立 法 担 当 者 の 考 え 方(前 掲 注112)参 照)と は 一 致 して い た

とい え る で あ ろ う 。

134)CPO成 立 か ら1933年 ま で の,否 認 の 規 律 に 関 す る ドイ ツ の 学 説 に お け る 議 論 を 整 理 す る 。 否 認 の 規 律 に つ い て 論 じた モ ノ グ ラ フ ィー は 見 当 た ら ず,こ の 問 題 は,体 系 書 や コ ン メ ン タ ー ル で 説 明 さ れ る に止 ま っ て い た よ う で あ る 。

【 裁 判 例4】 や 【裁 判 例5】 が 公 刊 さ れ る ま で は,単 に,「 裁 判 所 が,状 況 に 応 じ て,否 認 が 認 め ら れ る か ど う か を 判 断 す る 」 と だ け 述 べ る 見 解 が 多 く

(Endemann,aaO.(Anm.17),470ff.;JuliusPetersen/ErnstRemel6/Ernst Anger,CivilprozessordnungfUrdasDeutscheReich,5.Au乱,1904,§138Rdnr.

2;Stein/Gaupp,ZPO,8.AufL,1906,§1381;Seuffert,ZPO,8.Aufl.f1902,§138

Rdnr.2;Struckmann/Koch,ZPO,9.AufL,1910,§138Rdnr.1な ど を 参 照),否 認 が,ど の よ う な場 合 に 認 め ら れ,ま た,ど の く らい 具 体 化 さ れ な け れ ば な ら

な い か と い う こ と は,あ ま り問 題 と さ れ て い な か っ た よ う で あ る 。

し か し,そ の な か で,Weismannは,1903年 に,【 裁 判 例5】 と 同 様 の 否 認 の 規 律 方 法 を 明 示 的 に 主 張 して い た 。Weismannの 主 張 は,以 下 の とお りで あ る。

「具 体 化 さ れ た 主 張 は ,被 告 に対 して,個 別的 な返 答 を強制 す る ことに なる。

す な わ ち,被 告 は,全 て の 個 別 的 な事 実 上 の モ メ ン ト に対 して,ど の よ う な 範

囲 に お い て,自 自 す る か,あ る い は,否 認 す る か とい う こ と を 陳 述 し な け れ ば

な ら な い の で あ る。被 告 が 知 っ て い る と 考 え られ る 事 実(被 告 の 行 為,あ る い は,

被 告 自 身 が 認 識 した 事 実)が 問 題 と な っ て い る 場 合 に は,こ の 事 実 に 関 す る 情

報 を 開 示 し な け れ ば な ら な い 。 … 従 っ て,当 事 者 が 相 手 方 の 主 張 に対 して,単

純 否 認 を す る こ と で,常 に 十 分 で あ る と い う こ と は で き な い 。 事 実 を 全 て

(11)

ドイ ツ 法 に お け る宣 誓 要 求 制 度 の 意 義 と機 能(3・ 完) 225

次 節 で は,こ の よ う に当 事 者 間 の 衡 平 を 図 る と い う機 能 を有 して い た 宣 誓 要 求 制 度 の廃 止 に伴 う影 響 につ い て 考 え る。

(ganzlich)否 認 す る場 合 に は,単 純 否 認 で 十 分 で あ る。 しか し,単 に,特 定 の 事 実 につ い て の み 否 認 す る 場 合 に は,『 事 情 が 異 な る』 と述 べ る だ け で は 不 十 分 で あ り,『 事 情 が ど の よ う で あ っ た の か(wie)』 と い う こ と を述 べ な け れ ば な ら な い 。訴 訟 関 係 の 信 義 誠 実(TreuundGlauben)が,こ の こ と を 要 求 す る」。

「当 事 者 が ,相 手 方 が特 定 の契 約 を締 結す るに あた っ て行 った 交渉 が他 の 内 容 の もの で あ っ た と述 べ る 場 合 に は,そ の 当 事 者 は,そ の 交 渉 が どの よ う な 内 容 の もの で あ っ た の か,ま た,そ の よ う な 内 容 で あ っ た と す る と,そ もそ も 契 約 を締 結 し な か っ た か 否 か,あ る い は,他 の 契 約 を 締 結 し た か 否 か と い う こ と を述 べ な け れ ば な らな い 。当 事 者 が 相 手 方 の 主 張 す る金 額 を 否 認 す る場 合 に は, 金 額 は い く らで あ る の か,あ る い は,特 定 の 金 額 の 取 り決 め を し て い な い か ど う か とい う こ と を述 べ な け れ ば な ら な い 。引 き渡 さ れ た 商 品 が 契 約 の 内 容 に 適 っ た も の で あ る こ と を 否 認 す る場 合 に は,な ぜ,そ れ が 契 約 に 適 っ て い な い の か と い う こ と も述 べ な け れ ば な ら な い 」(ders.,aaO.(Anm39),S.112)。

【 裁 判 例4】 や 【 裁 判 例5】 の 公 刊 以 降 は,「 原 則 と して 単 純 否 認 は 認 め ら れ な い 。 否 認 を 具 体 化 す る こ と が 期 待 で き る 場 合 に は,積 極 否 認 を し な け れ ば な ら な い 」 と す る 見 解 が 多 い よ う で あ る 。

例 え ば,A.F6rster/RichardKann,ZPO,3.AufL,1913,§138Rdnr.2は,「 相 手 方 の 主 張 が,証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 が 情 報 を 有 す る,あ る い は,情 報 を 収 集 し う る 事 実 関 係 に 関 連 す る 場 合 に は,全 て の 個 別 的 な 事 実 に つ い て, PunktfUrPunktに 陳 述 し な け れ ば な ら な い 。 こ の よ う な 場 合 に,一 般 的 な 否 認 す る こ と は,陳 述 し な い こ と と同 じで あ る」 と い う。

Stein/Jonas,ZPO,14.Auf1.,1928,§1381Rdnr.2は,「 否 認 が 有 効 で あ る た め に,具 体 的 な 陳 述 を 付 加 す る こ とが 必 要 と な る か 否 か,お よ び,ど の よ う な 範 囲 で そ れ が 必 要 とな る か と い う こ と は,裁 判 官 の 評 価 に 委 ね ら れ て い る 。 原 則 と して,否 認 は 具 体 化 さ れ な け れ ば な ら な い が,否 認 の 具 体 化 が 期 待 で き な い 場 合 に は,単 純 否 認 を す る こ と が 認 め られ る 」 と い う 。

Seuffert/Walsmann,ZPO,12.AufL,1932,§138Rdnr.2は,「 詳 細 な 事 実 を 主 張 す る こ とが 期 待 で き な い 場 合 に は,状 況 に よ っ て,単 純 否 認 を す る こ と が 認 め られ る 。 しか し,一 般 的 に は,積 極 否 認 が 要 求 さ れ る」 と い う。

そ の 他,OttoFischer,LehrbuchdesdeutschenZivilprozeB‑undKonkurs‑

rechts,1918,S.167;AdolfStOlzel/Friedrich,SchulungfUrdiezivilistischePra‑

xis,Erst.Teil,10.Aufl.1930,SS.73ff,128fな ど を 参 照 。 も っ と も,い ず れ の 見 解 も,積 極 否 認 が 要 求 され る 根 拠 に つ い て は 明 ら か に して い な い 。

否 認 の 具 体 化 の 程 度 に つ い て は,こ の 時 期 の 学 説 も,【 裁 判 例5】 やWeis‑

mannと 同 様 の 考 え 方 を 明 示 的 に 主 張 す る もの は な い よ うで あ る 。 従 っ て,こ の 時 期 に お い て も,【 裁 判 例5】 やWeismannが 示 した 否 認 の 規 律 の あ り方 が,

ドイ ツ の 学 説 に お い て 安 定 した も の と な っ て い た と は い え な い よ う に 思 わ れ る 。

(12)

第 三 節 宣 誓 要 求 制 度 の廃 止 の 影 響

一1930年 に 開 催 さ れ た 第36回 ドイ ツ法 曹 大 会 に お い て

,オ ー ス トリ ア に 倣 っ て,ド イ ツ に お い て も,当 事 者 宣 誓 制 度 の 代 わ りに 当 事 者 尋 問 制 度 を導 入 す べ きで あ る こ とが 可 決 され た(賛 成25・ 反 対5)。 同大 会 で は,「 当 事 者 宣 誓 制 度 は形 骸 化 して い る 」,「当 事 者 宣 誓 制 度 は 自由 心 証 主 義 に 反 す る」,「 誓 命 題 の 作 成 が 困 難 で あ る」 な ど と い う 様 々 な批 判 が な さ れ た よ う で あ る135)。 もっ と も,こ れ らの 批 判 の ほ とん どは,宣 誓 の効 果 が 「完 全 な 証 明 」 とい う形 式 的 証 拠 力 を有 して い た こ と に起 因す る もの で あ っ た と理 解 され て い る136)。

こ の 第36回 ドイ ツ法 曹 大 会 の 決 定 を う け137),1933年 のZPO改 正138)で, 当 事 者 尋 問 制 度 が新 た に採 用 され る こ と に な っ た139)。

ドイ ツ法 に新 た に導 入 され た 当事 者 尋 問制 度 と当 事 者 宣 誓 制 度 とは, 以 下 の 点 に お い て,異 な っ て い る。

第 一 は,当 事 者 尋 問 は,factaalienaとfactapropriaと を 区 別 せ ず,全 の 事 実 に つ い て 実 施 す る こ とが で き る点 で あ る140)。 当 事 者 尋 問 制 度 の も と

135)当 事 者 宣 誓 制 度 に 対 す る 批 判 は,MUnks,aaO.(Anm.21),S.157ff.;

Heinz‑WernerGlttcklich,ParteivernehmungnachdemZivilprozeBrecht,1938,

S.29f.に 簡 潔 に ま と め ら れ て い る 。 ま た,竜 寄 ・前 掲 注5)39頁 以 下 も 参 照 。 136)MUnks,aaO.(Anm.21),S.172.

137)1931年 に 公 表 さ れ たZPO改 正 草 案(§ §434‑445)も,当 事 者 宣 誓 制 度 で は な く 当 事 者 尋 問 制 度 を 採 用 し て い た(EntwurfeinerZivilprozeBordnung,1931,S.

100ff.)。

138)GesetzzurAnderungdesVerfahrensinbttrgerlichenRechtsstreitigkeiten vom27.10.1933.RGBII,S.780.

139)P.Schmidtは,一 定 の 事 実 問 題 の 確 定 に つ い て の 処 分 権 能 を 当 事 者 に 認 め て い た 宣 誓 要 求 制 度 の 廃 止 に よ り,「 法 的 平 和 の 確 保 」 か ら 「実 体 的 真 実 の 発 見 」 へ, 訴 訟 理 念(ProzeBidee)の 転 換 が な さ れ た と い う(ders.,aaO.(Anm.59),S.

105ff.)。

140)Stein/Jonas/Leipol(1,ZPO,21.AufL,1999,§445Rdnr.5.

ZPO445条 「(1)当事 者 の 一 方 が,自 己 に 課 せ ら れ た 証 明 を 他 の 証 拠 方 法 に よ っ て 完 全 に は 行 わ ず,ま た は,他 の 証 拠 方 法 を 提 出 し な い と き に は,証 明 す べ き 事 実 に 関 し て,相 手 方 を 尋 問 す る こ と を 申 し 立 て る こ と に よ り,証 拠 を 申 し 出

る こ と が で き る 」。

(13)

ドイ ツ法 におけ る宣誓 要求 制度 の意 義 と機能(3・ 完)

227 で は,証 明 主 題 が,factaalienaで あ る か,あ る い は,factapropriaで あ る か と い う こ と は,当 事 者 の 証 言 の 証 拠 価 値 の 評 価 に お い て 問 題 と な る に す ぎ

な く な っ た141)。

第 二 は,当 事 者 尋 問 の 証 拠 価 値 が 裁 判 所 の 自 由心 証 に よ る評 価 に委 ね られ て い る 点 で あ る142)。 当事 者 宣 誓 制 度 と は異 な り,当 事 者 尋 問 制 度 の も とで は,当 事 者 が 証 明 主 題 の 真 偽 の 確 定 に つ い て 責 任 を 負 わ な い た め,facta propriaに つ い て は 「覚 え て い な い 」 と証 言 す る こ と が 認 め ら れ,ま た, factaalienaに つ い て は 「知 らな い 」 と証 言 す る こ とが 認 め られ る143)。 そ の た め,当 事 者 は,自 己 の 行 為 に 関 す る情 報,お よ び,第 三 者 の 行 為 に関 す る 情 報 を収 集 す る こ とが 容 易 で あ っ た と して も,そ の よ うな 情 報 を収 集 す る義 務 は 負 わ な い の で あ る144>。

第 三 は,当 事 者 は,証 人 と は異 な り,当 事 者 尋 問 に応 じ る法 的 な義 務 を負 わ な い と一 般 に解 さ れ て い る 点 で あ る145)。 当事 者 が 当 事 者 尋 問 を拒 絶 した 場 合 に は,直 ち に,証 明 主 題 が 証 明 され た とみ な さ れ る の で は な く,裁 判 所 は,拒 絶 理 由 を評 価 して,そ の効 果 を判 断 す べ きで あ る と解 さ れ て い る146)。

当事 者 尋 問 制 度 の も とで は,当 事 者 は,自 己 の 有 す る情 報 を開 示 す る 義 務 も

141)Stein/Jonas/Leipol(1,ZPO,21.AufL,1999,§445Rdnr.6.

142)ZPO453条 「(1)裁判 所 は,当 事 者 の 証 言 をZPO286条 に 基 づ い て 自 由 に 評 価 し な け れ ば な ら な い 。(2)当 事 者 が 証 言 あ る い は 宣 誓 を 拒 絶 し た 場 合 に は,ZPO446 条 を 準 用 す る 」。

143)Stein/Jonas/Leipo1(1,ZPO,21.AufL,1999,§445Rdnr.5.

144)伊 東 ・前 掲 注107)662頁 参 照 。

145)Stein/Jonas/Leipold,ZPO,21.AufL,1999,§446Rdnr.1;MUnchenerKommen‑

tarzurZivilprozeBordnung,B(1.2.,1992,[KlausSchreiber],§446Rdnr.1;

Rosenberg/Schwab/Gottwald,Zivilprozessrec比15.Au乱,1993,S.728.

ZPO446条 「相 手 方 が 尋 問 さ れ る こ と を 拒 絶 す る 場 合,あ る い は,裁 判 所 の 要 請 に 対 し て 何 ら 陳 述 を し な い 場 合 に は,裁 判 所 は,全 て の 事 情,と り わ け, 拒 絶 の た め に 主 張 さ れ た 理 由 を 斜 酌 し て,自 由 な 心 証 に よ り,主 張 事 実 が 証 明 さ れ た と み な す べ き か 否 か を 判 断 し な け れ ば な ら な い 」。

146)Stein/Jonas/Leipold,ZPO,21.Au乱,1999,§446Rdnr.8.証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 が 当 事 者 尋 問 に 応 じ な い 場 合 で あ っ て も,証 明 責 任 を 負 う 当 事 者 の 主 張 事 実 が 証 明 さ れ た と み な さ れ な い 場 合 が あ る こ と に な る 。

(14)

負 わ な い とい え る 。

当 事 者 宣 誓 制 度 と は異 な り,当 事 者 尋 問 制 度 の も と で は,主 張 事 実 を 否 認 し,証 明 の 必 要 性 を生 じ させ た証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 は,そ の 主 張 事 実 の真 偽 を確 定 しな くて も よ い147)。 す な わ ち,証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 は,主 張 事 実 に 関 す る情 報 を 収 集 し,主 張 事 実 の真 偽 につ い て確 信 を形 成 す る義 務 を負 わ な い の で あ る 。 そ の た め,当 事 者 尋 問 制 度 は,証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 の 有 す る情 報,お よ び,収 集 し う る情 報 を事 案 解 明 の た め に使 用 させ る こ と に よ り当 事 者 間 の 衡 平 を 図 る とい う,宣 誓 要 求 制 度 が 有 して い た機 能 を 十 分 に果 たす こ とが で き ない よ うに 思 われ る148)。

こ の よ う な制 度 的 背 景 の も と,近 時 の ドイ ツ の裁 判 実 務 で は,証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 を事 案 解 明 に協 力 させ る様 々 な規 律 が な さ れ て い る。 そ れ は,当 事 者 尋 問 の よ う な証 明 過 程 にお け る 規 律 で は な く149),証 明 主 題 を 確 定 す る主 張 過 程 に お け る規 律 で あ る。 具 体 的 に は,以 下 の とお りで あ る。

BGHは,不 知 の 陳 述 の 許 容 性 を判 断 す る に あ た っ て,不 知 の 陳 述 以 外 の 応 答(否 認 ま た は 自 白)を す る こ と につ い て期 待 可 能 性 が 認 め られ る 場 合 に は,証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 に対 して 「調 査 義 務 」 を課 す とい う規 律 を採 用 す る150)。 こ れ は,証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 に つ い て,主 張 事 実 に 関 す る情 報 量 を増 加 させ る こ と に よ り,不 知 の陳 述 が 許 容 さ れ る場 面 を 限 定 し, 積 極 否 認 ま た は 自 白 が な され る 場 面 を 多 くす る こ と を指 向 して い る と い え

る 。

147)PeterMorhard,DieInformationspflichtderParteienbeiErklarungmitNicht‑

wissen,Diss.1993,S。14f.当 事 者 宣 誓 制 度 の も と で は,宣 誓 要 求 が 許 容 さ れ る 範 囲 で,証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 は,証 明 の 必 要 性 を 生 じ さ せ た 代 償 と し て, 主 張 事 実 の 真 偽 を 確 定 す る こ と が 要 求 さ れ て い た 。

148)Morhard,aaO.(Anm.147),S.16.

149)ド イ ツ の 裁 判 実 務 で 当 事 者 尋 問 が あ ま り 実 施 さ れ な い こ と に つ い て は,福 永 ・ 前 掲 注10)236頁 参 照 。

150)BGHUrt,v.15.11.1989(BG}IZIO9,205).こ の 裁 判 例 に つ い て は,伊 東 ・前 掲 注 107)639頁 参 照 。 ち な み に,CPO制 定 当 時 は,「 自 己 の 行 為,あ る い は,認 識 の 対 象 」 と い う 要 件 を 形 式 的 に 適 用 し て,不 知 の 陳 述 の 許 容 性 を 判 断 し て い た 。

(15)

ドイ ツ法 に お け る 宣 誓 要 求 制 度 の 意 義 と機 能(3・ 完) 229

ま た,BGHは,具 体 化 さ れ た 主 張 事 実 を 否 認 す る 場 合 に,証 明責 任 を負 わ な い 当事 者 に対 して,原 則 と して,主 張 事 実 に 関 す る情 報 を 開示 す る こ と

を要 求 す る151)。 い わ ゆ る 「積 極 否 認 義 務(否 認 の 具 体 化 義 務)」 で あ る 。 た だ し,BGHは,証 明 責 任 を負 う 当事 者 の 主 張 が 具 体 化 さ れ て い な い 場 合 に は,単 純 否 認 をす る こ と を認 め る152)。 ま た,証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 に つ い て,否 認 を具 体 化 す る こ とが 期 待 で き な い 場 合153)に も,例 外 的 に,

151)BGHUrt.v.20.2.1961(NJW1962,826);BGHUrt.v.16.5.1962(NJW1962, 1394);BGHUrt.v.9.7,1974(NJW1974,1710);BGHUrt.v.2&7.1974 (NJW1974,1822);BGHUrt.v、12.12.1979(NJW1980,591);BGHUrt.v.11.6.

1985(NJW‑RR1986,60);BGHUrt.v.17.3.1987(BGHZIOO,190)な ど を 参 照 。 な お,た と え 否 認 が 具 体 化 さ れ て い て も,情 報 を 有 し て い な い 弁 護 士 の 「当 て ず っ ぽ う の(insBlauehinein)」 否 認 は 認 め ら れ な い と し た 裁 判 例 も あ る(OLG K61nUrt.v.27.2.1991(MDR1992,79))。

ド イ ツ に お け る 積 極 否 認 義 務(否 認 の 具 体 化 義 務)に 関 す る 判 例 法 理 に つ い て は,松 本 博 之 「 ド イ ツ 民 事 訴 訟 に お け る 証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 の 具 体 的 事 実 陳 述=証 拠 提 出 義 務(一)」 法 学 雑 誌45巻3‑4号(1999)566頁,同 「(二)」

法 学 雑 誌46巻1号(1999)35頁,同 「(三)」 法 学 雑 誌46巻2号(1999)208頁, 同 「(四)」 法 学 雑 誌46巻3号(2000)363頁,同 「(五)」 法 学 雑 誌46巻4号(2000) 527頁 参 照 。

近 時 の ド イ ツ の 学 説 も,BGHの 判 例 法 理 に 概 ね 従 っ て い る 。

Rosenberg/Schwab/Gottwald,ZiVilprozessrecht,15.Aufl.,1993,S.653;MUnchener KommentarzurZivilprozeBordnung,2.Aufi.,Bd.1.,2000[EgbertPeters],§138 Rdnr.19;Hans‑JoachimMusielak(herg.),KommentarzurZivilprozeBord‑

mung,1999[AstridStadler],§138Rdnr.9;Stein/Jonas/Leipold,ZPO,21.AufL, 1993.§138Rdnr.28;Z611er,ZivilprozeBordnung,21.AufL.1999[Reinhard Greger】,§138Rdnr.8a;OthmarJauernig,ZivilprozeBrecht,25.AufL,1998,S, 166f.;Musielak,GrundkursZPO,3.Aufl.1995,Rdnr.348;KurtSchellham‑

mer,ZivilprozeB,8.AufL,1999,S.157な ど を 参 照 。 152)BGHUrt.v.9.7.1974(NJW1974,1710);BGHUrt.v.26.4.1989(NJW‑RR1989,

898)な ど を 参 照 。

さ ら に,証 明 主 題 が 消 極 的 事 実 で あ る 場 合 や 当 事 者 間 で 情 報 の 偏 在 が 認 め ら れ る 場 合 な ど に は,証 明 責 任 を 負 う 当 事 者 の 主 張 が 具 体 化 さ れ て い な く と も,証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 は 否 認 を 具 体 化 す る こ と が 義 務 づ け ら れ る こ と が あ る 。

こ の 問 題 に 関 す る 近 時 の 裁 判 例 と し て,BGHUrt.v.11.6.1990(NJW1990, 3151);BGHUrt.v。9.11.1995(NJWI996,315);BGHUrt.v.13.3.1996

(NJW1996,1826);BGHUrt.v.17.10.1996(NJW1997,128);BGHUrt.v.7.12.

1998(BGHZ140,156)な ど を 参 照 。

153)例 え ば,主 張 事 実 が 証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 の 認 識 領 域 外 で 生 じ た 事 象 で あ る 場 合 や 主 張 事 実 に 関 す る 情 報 を 開 示 す る こ と が 第 三 者 に 対 す る 守 秘 義 務 違 反

(16)

単 純 否 認 を す る こ とが 認 め られ る154)。

否 認 の具 体 化 の程 度 につ い て,BGHは,「 自 己 の 見 解 に よ る と,事 情 は ど の よ う で あ っ た の か」 と い う反 対 事 象(Gegendarstellung)を 陳 述 す る こ と を要 求 す る155)。

この よ うに,近 時 の ドイ ツ の裁 判 実 務 は,宣 誓 要 求 の 許 容 範 囲 の確 定 と同 様 に,証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 の 「情 報 へ の 近 接 性 」とい う事 情 を考 慮 し, 不 知 の 陳 述 と単 純 否 認 を規 制 して い る。 こ れ は,主 張 過 程 にお い て,主 張 事 実 に 関 す る情 報 の 収 集 ・開 示 を義 務 づ け る こ と に よ り,証 明 責 任 を負 わ ない 当事 者 を事 案 解 明 に協 力 させ て い る とい え る で あ ろ う。

こ の よ う な 「調 査 義 務 」 や 「積 極 否 認 義 務(否 認 の 具 体 化 義 務)」 は,宣 誓 要 求 制 度 の も とで,証 明 責 任 を負 わ ない 当事 者 が 負 っ て い た 行 為 義 務(情 報 収 集 義 務 ・確 信 形 成 義 務)を 一 定 の範 囲 で補 充 して い る とい え る156)。 も っ と も,宣 誓 要 求 の よ うに,自 由心 証 が 尽 きた 後 の 証 明過 程 にお け る 事 案 解

と な る 場 合 な ど で あ る 。 な お,前 者 の 場 合 は,不 知 の 陳 述 の 許 容 性 の 問 題 と も 関 係 し て く る 。

154)BGHUrt.v.11.6.1985(JZ1985,908);BGH,Urt.v.ll.6.1985(VersR1986,239);

BGHUrt.v.6.10.1989(NJW‑RR1990,78);BGHUrt.v.7.12.1998(BGHZ140, 156)な ど を 参 照 。

な お,Schellhammerは,あ ま り に 過 度 に 具 体 化 を 要 求 す る こ と は,当 事 者 の 審 問 請 求 権 を 侵 害 す る こ と に な る と 指 摘 す る(ders.,aaO.(Anm.151),S.157)。

ま た,証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 は,否 認 を 具 体 化 で き な い 理 由 を 述 べ な け れ ば な ら な い と い う 見 解 も 主 張 さ れ て い る(BielefeldPetraZerbe,DieEinlass‑

ungdesBeklagtenaufdieKlageausanwaltlicherSicht,Diss.1998,82f£)。

155)BGHUrt.v.16.5.1962(NJW1962,1394);BGHUrt.v.9,7.1974(NJW1974, 1710);BGHUrt.v.15.10.1986(NJW1987,1201);BGHUrt。v.7.2.1984

(BGHZ90,112);BGHUrt.v.4.6,1996(DB1996,1869)な ど を 参 照 。 な お,被 告 が 翻 訳 さ れ た 文 書 の 正 当 性 を 否 認 す る に あ た っ て,被 告 が,そ の 言 語 を 習 得 し て い る 場 合 に は,自 己 の 見 解 に よ る 正 確 な 翻 訳 を 陳 述 し な け れ ば な ら な い と す る 裁 判 例(OLGKoblenzUrt.v.12.2.1985(IPRax1986,40))も あ る 。

学 説 は,Stein/Jonas/Leipold,ZPO,21.Aufl.,1993,§138,Rdnr.28;Stadler, aaO.(Anm.151),Rdnr.10;Jauernig,aaO.(Anm.151),S.166£;Musielak,aaO.

(Anm.151),Rdnr.348;Greger,aaO.(Anm.151),Rdnr.8a;Peters,aaO.(Anm.

151),Rdnr.29な ど を 参 照 。 こ れ は,先 に み た,【 裁 判 例5】 やWeismannの 考 え 方 と 一 致 し て い る(前 掲 注133),注134)参 照)。

(17)

ド イ ツ 法 に お け る 宣 誓 要 求 制 度 の 意 義 と機 能(3・ 完) 231

明 へ の 協 力 で は な く,主 張 過 程 に お け る事 案 解 明 へ の協 力 が 問 題 とな っ て い る た め,宣 誓 要 求 制 度 に 関 す る議 論 を,そ の ま ま,近 時 の 事 案 解 明義 務 論 に あ て は め る こ とは で きな い 。 なぜ な ら,主 張 過 程 に お け る 規 律 の場 合 に は, 費 用 を要 す る証 拠 調 べ の範 囲 を 限 定 す る とい う,宣 誓 要 求 の 場 面 で は 問 題 と な りえ なか っ た 事 情 が 加 わ っ て くる か らで あ る。 ま た,主 張 過 程 に お い て 証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 の 単 純 否 認 を認 め る と,主 張 事 実 に関 す る情 報 が 何 も開示 され な い た め,証 明 責 任 を負 う当 事 者 は,証 明 の対 象 が 明 確 とな らな い ま まで 証 明活 動 を しな け れ ば な らな い とい う不 利 益 を被 りう る。 他 方,証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 に 対 す る 宣 誓 要 求 を 認 め な い こ とは,直 接 に,証 責 任 を負 う 当事 者 の 敗 訴 に つ なが る 。 こ の よ う に,主 張 過 程 と宣 誓 要 求 の 場 面 とで は,証 明 責 任 を負 う 当事 者 が 被 る不 利 益 の 内容 ・程 度 が異 な っ て い る 。

しか しな が ら,「 主 張 事 実 に 関 す る情 報 へ の 近 接 性 が 認 め られ る証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 が,情 報 を収 集 ・開 示 しな い こ とに よ り,証 明 責 任 を負 う 当 事 者 に対 して不 利 益 を与 え て は な ら な い」 とい う考 え 方 につ い て は,主 張 過 程 に お け る規 律 と宣 誓 要 求 制 度 との 問 で,一 定 の共 通 性 を見 出す こ とが で き る 。 従 っ て,「 証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 が 事 案 解 明 に全 くの不 協 力 を決 め 込 ん だ ま ま で,証 明 責 任 を負 う 当 事 者 が 敗 訴 す る こ とは,当 事 者 間 の 衡 平 の 観 点 か ら許 容 され な い 」 とい うCPOの 立 法 担 当 者 の 考 え方 は,若 干 変 容 しなが ら も,近 時 の ドイ ツの 事 案 解 明 義 務 論 に 受 け継 が れ て い る と理 解 す る こ とが で き る で あ ろ う。

も っ と も,近 時 の ドイ ツ法 の 事 案 解 明義 務 論 を理 解 す る た め に は,な

156)Morhard,aaO.(Anm.147),S.16.宣 誓 要 求 制 度 の も と で は,主 張 事 実 を 単 純 否

認 す る(あ る い は,不 知 の 陳 述 を す る)こ と に よ っ て,証 明 の 必 要 性 を 生 じ さ

せ た 証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 も,宣 誓 要 求 が 許 容 さ れ る 範 囲 で,事 案 解 明 の

た め に,一 定 の 行 為 義 務 を 負 う こ と が,制 度 的 に 要 求 さ れ て い た 。 そ の た め,

主 張 過 程 に お い て,証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 の 否 認(不 知 の 陳 述)を 規 制 す

る と い う こ とが,あ ま り問 題 と な ら な か っ た の で は な い か と考 え られ る 。 こ の

理 解 を 前 提 とす る と,宣 誓 要 求 制 度 の 廃 止 が,主 張 過 程 に お い て 否 認 と不 知 の

陳 述 を 規 制 す る 必 要 性 を 生 じ させ た 一 つ の 要 因 と い え る の で は な か ろ うか 。

(18)

ぜ,証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 が 主 張 過 程 にお い て 情 報 を 開示 し な け れ ば な ら な い の か157),ま た,ど の よ う な範 囲 で 情 報 を 開示 しな け れ ば な ら な い の

157)Morhardは,証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 に 対 して 否 認 の 具 体 化 を 義 務 づ け る こ と は,「 費 用 が か か る 証 拠 調 べ を 行 う 前 に,両 当 事 者 の 陳 述 可 能 性 (Erklarungspotential)を 使 い 尽 くす 」 と い う 考 え 方 に 基 づ い て い る と い う (ders.,aaO.(Anm.147),S.26)。Morhardは,証 明 責 任 を 負 わ な い 当 事 者 に 対 し て 事 案 解 明 義 務(Morhardは 「 情 報 義 務(lnformationsp且icht)」 と 呼 ぶ)を 課 す こ と に よ っ て,主 張 事 実 に 関 す る 情 報(例 え ば,否 認 を す る 理 由,証 人 の 有 無 や 証 人 の 名 前 ・住 所 な ど)が 当 事 者 間 に共 有 さ れ る こ と に な り,無 駄 な 証 拠 調 べ が 回 避 さ れ う る こ と に 着 目 す る 。 す な わ ち,そ の よ う な情 報 に 基 づ き, 証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 は,「 もは や 主 張 事 実 を争 う こ とが で き な く」 な り, 他 方,証 明 責 任 を 負 う当 事 者 は,「 も は や 自 己 の 主 張 に 固 執 しな く な る 」 場 合 が あ る と い う(ders.,aaO.(Anm.147),S.132ff.)。Morhardは,こ の こ と を 「当 事 者 に よ る 事 実 関 係 の 探 査(dieparteiseitigeSachverhaltsermittlung)」 と表 現 す る。こ れ は,主 張 過 程 に お け る 当 事 者 主 体 の 事 案 解 明 手 続 とい う こ とが で き, 宣 誓 要 求 制 度 と の 共 通 性 が 見 出 さ れ 興 味 深 い 。

ま た,StUrnerは,「 事 案 解 明 義 務(Aufklarungspflicht)」 を,「 リ ス ク を 負 担 す る 当 事 者 お よ び裁 判 所 と い う 国 家 に 対 す る 」 義 務 と し た う え で,事 案 解 明 の 「主 た る 受 益 者(HauptnutznieBer)」 は,リ ス ク(証 明 責 任)を 負 う 当事 者 で あ る とい う 。 そ し て,「 裁 判 所 は,国 家 の 所 轄 機 関 と して,事 案 解 明 義 務 の 履 行 を 監 視 して,そ の 履 行 を促 す にす ぎ な い 」 と して,事 案 解 明 義 務 違 反 の 効 果 は 当 事 者 間 に お い て 生 じる に す ぎず,そ こ で の 当 事 者 間 の 利 益 状 況 は,「 平 等 な 市 民 間 の 私 法 上 の 義 務 と 類 似 し て い る 」 と い う(RolfStUrner,Die AufklarungspflichtderParteiendesZivilprozesses,Habili.,1976,S.94)。 こ の

よ う に,StUrnerは,事 案 解 明 義 務 を 当 事 者 間 の 関 係 に お い て 理 解 し よ う と す る 。 こ れ に よ る と,事 案 解 明 義 務 の根 拠 は,当 事 者 と 裁 判 所 と の 関 係 の 規 律 と い う よ り も,両 当 事 者 間 の 利 益 状 況 の 調 整 に 求 め ら れ る こ と に な りそ うで あ る 。 こ の よ う に,当 事 者 間 に お け る 事 案 解 明 と い う こ と に つ い て,費 用 を 要 す る 証 拠 調 べ(特 に 人 証)の 回 避 を 強 調 す る か 否 か は 別 と し て,Morhardの 見 解 との 共 通 性 を見 出 す こ とが で き る 。StUrnerの 事 案 解 明 義 務 論 に つ い て は,廣 尾 勝 彰 「 訴 訟 資 料 の 収 集 に 関 す る 当 事 者 の 役 割(一)」 九 大 法 学52号(1986)151頁,春 日 偉 知 郎 『 民 事 証 拠 法 研 究 』(1991,有 斐 閣)242頁,畑 瑞 穂 「民 事 訴 訟 に お け る 主 張 過 程 の 規 律(二)」 法 協114巻1号(1997)10頁 参 照 。

Stadlerは,積 極 否 認 義 務(否 認 の 具 体 化 義 務)の 根 拠 と し て,「 証 明 の 必 要

性 を 明 確 に す る こ と」 と 「 訴 訟 資 料 を で き る 限 り完 全 に す る こ と 」 を挙 げ る

(ders.,aaO.(Anm.151),§13811.Rdnr.9)。 もっ と も,Stadlerは,そ の 両 者 の

関 係 を 明 ら か に して い な い 。 そ の 他,ZPO138条1項 の 真 実 義 務 ・完 全 陳 述 義

務 を 挙 げ る も の,ZPO138条2項 お よ び 同 条3項 を 挙 げ る もの,ZPO138条4

項 を 挙 げ る もの,一 般 的 訴 訟 促 進 義 務 を挙 げ る もの な ど が あ り,見 解 の 一 致 が

み られ な い の が 現 状 の よ うで あ る 。

(19)

ドイ ツ法 におけ る宣誓 要 求制 度の 意義 と機 能(3・ 完)233

か,さ ら に,情 報 を 開 示 し ない 場 合 の 効 果 は何 で あ る の か158)と い う 問 題 を つ め て検 討 しな け れ ば な らな い 。 しか し,こ れ らの 作 業 は本 稿 が 扱 う問 題 領 域 の枠 を超 え て い る。 そ の た め,本 稿 で は,ド イ ツ 法 は,CPO制 定 当 時 か ら,証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 が 主 張 事 実 に 関 す る情 報 を収 集 ・開示 し ない こ と に よ り,証 明責 任 を負 う当 事 者 に 対 して不 利 益 を与 え る こ と は,当 事 者 間 の 衡 平 に 反 す る とい う考 え 方 に立 っ て い た こ と を指 摘 す る に止 め る 。換 言 す れ ば,ド イ ツ法 で は,証 明 責 任 の所 在 に拘 束 され な い,事 案 解 明 の た め の 行 為 義 務 の 分 配 が 考 え られ て きた とい え る で あ ろ う。

第四章 結 語

ドイ ツ法 に つ い て の 考 察 か ら,以 下 の こ とが 明 らか に な っ た。

第 一 は,ド イ ツ民 事 訴 訟 法 の 宣 誓 要 求 制 度 は,一 定 の事 実 問 題 の確 定 を 当 事 者 の イ ニ シ ア テ ィ ブ に委 ね た 「当事 者 主 体 の事 案 解 明 手 続 」 と して捉 え る こ とが で き る こ とで あ る。 宣 誓 要 求 が 許 容 さ れ る 場 合 に は,当 該 事 実 問 題 に つ い て,裁 判 所 の事 実 認 定 権 限 が 排 除 され る こ と に な る。

も っ と も,当 事 者 主 体 の事 案 解 明 手 続 と い っ て も,主 張 事 実 の 真 偽 の確 定 は,も っ ぱ ら,宣 誓 要 求 に対 す る証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 の 応 答 の 態 様 如 何 にか か っ て い た。 宣 誓 要 求 が 許 容 され る範 囲 に お い て,証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 は,主 張 事 実 に 関 す る 情 報 を収 集 し,主 張 事 実 の真 偽 につ い て確 信 を形 成 しな け れ ば な ら な か っ た 。 こ の 意 味 に お い て,証 明責 任 を負 わ な い 当 事 者 は,事 案 解 明 の た め に,一 定 の 行 為 義 務(情 報 収 集 義 務 ・確 信 形 成 義 務)

を負 っ て い た とい え る。

第 二 は,宣 誓 要 求 の 許 容 範 囲 の 確 定 に つ い て,「 証 明 責 任 を負 う 当事 者 の 証 明 窮 状 の 回 復 」 と 「証 明 責 任 を負 わ ない 当事 者 の 情 報 収 集 能 力 」 が 考 慮 さ

158)ド イ ツ の 裁 判 実 務 は,否 認 の 具 体 化 が な さ れ て い な い,あ る い は,具 体 化 が 不 十 分 で あ る 場 合 に は,否 認 と して の 効 力 を認 め ず,主 張 事 実 に つ い て 擬 制 自 白

を成 立 させ る と い う 規 律 を採 用 して い る。

(20)

れ,当 事 者 間 の 利 益 状 況 の 調 整 が 問 題 とな っ て い た こ とで あ る 。 情 報 収 集 能 力 の 有 無 の判 断 につ い て は,証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 と主 張 事 実 に 関す る 情 報 との 間 の 近 接 性 が 考 慮 さ れ て い た。

第 三 は,CPOの 立 法 担 当 者 は,主 張 事 実 に 関 す る情 報 を有 す る,ま た は, 情 報 を収 集 し う る証 明 責 任 を負 わ ない 当事 者 が,事 案 解 明 の た め に何 も しな

い こ と に よ り,証 明 責 任 を負 う当事 者 が 敗 訴 す る こ とは,当 事 者 間 の 衡 平 に 反 す る と考 え て い た こ と で あ る。CPOの 立 法 担 当者 は,宣 誓 要 求 制 度 が, 事 案 解 明 につ い て,当 事 者 間 の衡 平 を 図 る とい う機 能 を果 た す こ と を期 待 し

て い た とい え る 。

当 時 の ドイ ツ の 裁 判 実 務 ・学 説 も,CPOの 立 法 担 当 者 の こ の よ う な考 え 方 に従 い,そ の う え で,宣 誓 要 求 の 許 容 範 囲 を拡 張 す る 傾 向 に あ っ た 。

第 四 は,近 時 の ドイ ッ の 裁 判 実 務 ・学 説 は,主 張 過 程 にお い て,証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 の 不 知 の 陳 述 や 否 認 を規 制 す る こ とに よ り,宣 誓 要 求 制 度 の も とで の 行 為 義 務(情 報 収 集 義 務 ・確 信 形 成 義 務)を 一 定 の 範 囲 で 補 充 し て い る とい え る こ とで あ る 。 具 体 的 に は,一 定 の 場 合 に,証 明 責 任 を負 わ な い 当事 者 に対 して,調 査 義 務 や 積 極 否 認 義 務(否 認 の具 体 化 義 務)を 課 す と い う規 律 で あ る。 こ の よ うな 義 務 を 課 す に あ た っ て は,宣 誓 要 求 の 許 容 範 囲 の 確 定 と同 様 に,証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 と主 張 事 実 に 関 す る情 報 と の近 接 性 が 考 慮 さ れ て い る。

宣 誓 要 求 制 度 と主 張 過 程 に お け る 規 律 と は,「 主 張 事 実 に 関 す る情 報 へ の 近 接 性 が 認 め られ る証 明責 任 を負 わ な い 当事 者 が,情 報 を 収 集 ・開示 し な い こ と に よ り,証 明 責 任 を負 う当 事 者 に対 して不 利 益 を与 え て は な らな い 」 と い う共 通 の 考 え 方 を基 礎 に して い る とい う こ とが で きた 。

以 上 の ドイ ツ法 に つ い て の考 察 結 果 を 参 考 にす る と,以 下 の 点 にお い て,わ が 国 と ドイ ツ とで は,事 案 解 明 義 務 論 の 前 提 が 異 な っ て い る こ とが 明

らか に な っ た。

ドイ ツ法 は,CPO制 定 当 時 か ら,証 明 責 任 を負 わ な い 当 事 者 が 事 案 解 明 の た め に何 も しな い で い る こ とは認 め な い とい う考 え方 に 立 っ て い た 。 ドイ

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