マ ル ソ ウ ダの人 工 ふ 化 と仔 魚 飼 育 につ いで
* * * 原田輝雄 ・村 * *
田 修 ・古谷秀樹…
Ⅰ 緒 言 合肉 が多 いので刺 身 には されず ,節 に加工 され料理 の出 しに利用 2'され る.
マ ル ソウ ダの人工ふ化 と仔魚 飼育 に成功 した報 告
BLEEKERは ヒ ラソ
dと共 にサ バ科 ソウ ダガ ツオ属 の
1卜で,カツオ ・マ クロ などと近縁 の種 類 で あ るが, はみ られ ないので,筆 者 らは和 歌山県 串本町大島 の マ ル ソ ウ ダの体 の横断面 はほ とん ど円形 で胸 甲 は徐 定置網 関係 者 の協 力 によ り,紀伊 半島沿 岸 に来遊 す 徐 に しか も一様 に細 くなって い るが, ヒ ラソウ ダで るマ ル ソウ ダか ら採 卵 および探相 を試 み, 人工授 精 は体 の横断 面 が多少側 扇 して お り,胸 甲 は両背鰭 の してふ化 させ,ふ化仔魚 を飼 育 す る方法 を明 らかに 中央下 で急 に細 長 となって後進 して い る. マ ル ソ ウ す ると共 に, マ グロ類 の人工ふ化仔魚飼育技術 開発
タは北 海道以 南,東 印度 諸島 に分布 して い るが,血 の手 が か りを得 る目的で本研究 を行 なった.
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*本報告の概要は昭和4年1
**水種子科海水増殖亨研究室
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月 9日本水産学会秋季大全で講演 した . b ofMa eF hCu
***近畿大学水産研究所
114 近 畿 大 学 農 事 部 紀 要 第 6号 (1973)
Ⅱ 実験材料 および方法
採卵 ・人工授精 ・ふ化 1972年 5月下旬 か ら7 月上旬 まで,和歌山県 串本町大島樫 野定置網わ 揚網 船 に乗船 し,漁権 され るマル ソウダの成熟状態 を調 査 し,熟度 の高 いもの か ら卵 および精液 を採取 して 乾導法 による人工才受精 を試 みた.授精 卵 は船上で よ く洗 い,余分 な精液 を除去 して後 ,海水 と共 にポ リ エチ レン袋 に入 れ, それ を防熟 した卵輸送箱 (54cm x40cmX40cm) に収容 して船 と自動車で 串本町大島 打越 の本学水産研究戸斤分室 まで輸送 し, ここで‑ た ん0.03トンパ ンライ ト水槽 に収容 して沈下卵 を除去 し,発生状態 を観察 して,良好 な卵のみ を再 び卵輸 送箱 に収容 して,船 と汽車で和歌 山県 白浜の本学水 産研究 所 白浜実験場へ輸送 した. 白浜へ到着 した卵 は まず0.03トン水槽 に収容,沈下卯 を除去 の後,浮 上卵の一部 を計数 して0.03トン水槽 に収容,ふ化率 調査試験 に向 け,他 は0.03,0.50および3.00トン水 槽 に収容 して水温 を21℃ か ら24℃ の間 に保 ち,発生 を観察 し,写真 に撮影 しなが らふ化 を待 った.ふ化 用水 は クロ レラ添加海水で, これ にゆ るや かな通気 を行 なった.ふ化の開始 および終 了の時刻 を測定 し てふ化 に要 した時 間 を算 出 し,ふ化仔魚 を数 えてふ 化率 を計算 し, さらに仔魚 の大 きさを測定 した.
仔 魚飼育 一部 の水槽 の仔魚 は計数後別 の水槽 に移転 したが,他 の大部 分のふ化槽で は, それがそ の まま飼育水槽 と して使用 され,仔魚 の移転 は なか った.仔魚 の初期飼育 に用 い られた水槽 は,0.5トン および 3トン水槽で,全長10cm以上 に成長 して か ら 30トン水槽 を使用 した.飼育水 はふ化後約 2週 間 ク
ロ レラ添加海水で, その後 は徐徐 に流水式 に切替 え た.仔魚 にはふ化後 3‑ 4日か ら培養 した シオ ミズ ソボ ワム シを与 え,ふ化後 7日頃 から海産動物 プ ラ ンク トンをまぜ与 え,ふ化後20日頃 か ら小魚 の ミン チ を与 えた.仔魚の成長 に伴 い,時時 と りあげて魚 体 を測定 す ると共 に,写真 に撮影 した.
Ⅲ 実験結果
採卵 ・人工授精 ・ふ化 1972年 5月下旬 か ら 7 月下旬 までの間,定置網 の漁獲物 の中 か ら熟 したマ ル ソウダを選 び採 卵 を試 みた ところ,5月28日,同 29日, 6月16日,同24日および同25日の合計 5回浮 上卯 を得 たが,人工授精 の結果ふ化仔魚 が得 られた のは, 6月16日,同24日および同25日に採 卵 した 3 回で あった.
第 1回の 5月28日の場 合は,採卵時刻午前 5時45
分,採卵時 の漁場水温 18.8℃ で あった. これ を大島 分室へ運 び浮上卯 を計数 した ところ 1,200個で あっ たが,間 もな く全部 の卵 が沈下死亡 した.授精 しな かった と思 われ る.
第 2回の 5月29日の場 合 は,採卵時刻午後 2時40 分,採 卵時 の漁場水温 18.8℃ で あった. これ を大鳥 分室へ運 び浮上卵 を計数 した ところ 600個 あ り, さ らに白浜実験場へ輸送 した ところわず かに 5個 とな った. これは発生 が進 み
,
艦体 が形成 されたが, そ の後ふ化 まで に全部死 亡 した.第 3回の 6月16日の場 合 は,午前 5時30分採卵後 ただ ちに人工授精 を行 なったが,採卵時 の漁場 水温 は18.8℃ で あった.大島分室へ輸送 し,浮上卵 を計 数 した ところ22,000個 あったが, 白浜へ輸送 し,17
日午後 8時検卵 した ところ,艦体 が形成 された卵 が 7,500個 あ り,平均卵径 は0.97hmで あった.
第 4回の 6月24日の場合 は,午後 5時30分採卵後 ただ ちに人工授精 を行 なったが,採卵時 の漁場水温 は21.3℃ で あった.大島分室へ輸送,浮上卯 を計数 した ところ17,000個 あったが,25日午後 2時 白浜 到 着時棉卵 した ところ,艦体形成卵10,500個 あ り,平
均卵径 は0.975mmで あった.
第 5回の6月25日の場 合 は,午前5時30分採 卵後 た だ ち に人 工授 精 を行 在 った.採 卵時 の漁場水温 20.4℃ で あった.大島分室へ輸送,浮上卵 を計数 した ところ27,000個 あったが,同 日午後 2時30分 白浜到 着時検卵 した ところ,桑実期 の卯21,000個 あ り,平 均卯径 は0.985mmで あった.
以上 を通 じ,大島分室へ到着 した時 の浮上卵の合 計 は67,890個 , 白浜実験場 へ到着時 の それは39,005 個 となる.
6月17日午後 8時 白浜へ到着 した卵52個 を0.03ト ンパ ンライ ト水槽 にクロ レラ海水 と共 に収容 し,過 気 を続 けなが ら水温 22.5℃ 〜23.3℃ に保 ったところ, 同 日午後11時30分 か ら翌18日午前8時30分 まで にふ 化 し,正常形 の仔魚 17尾 (32.7%)および奇形仔魚 28尾 (53.9%)が得 られた. また, 6月25日午後 2 時 白浜へ到着 した卯50個 を水温 21.5℃ 〜23.5℃ に保
ち,同様 に してふ化 させた場 合 には,正常形 の仔魚 16尾 (32%)および奇形仔魚 7尾 (14%)が得 られ た. ほ とん どの卵 はふ化数時 間前 に沈下 した.
仔 魚飼育 ふ化仔魚 の飼育 には小型 の 0.5トン パ ンライ ト水槽 および大型 の 3トンF・R・P・水槽 お よび30トンナ イロ ン水槽 が用 い られた.
115
0 5.
原 田輝雄 ・村田修 ・古谷秀樹:マ ルソウ ダの人工ふ化 と仔魚飼育 につ いて
トンパ ンライ ト製 円筒形小型水槽で飼 育 した場 TabJelに示 し,大型水槽 で餌 育 した場 合 との成長 令 ,ふ化後25日頃 まで は,マ ダイ ・プ リ ・ヒラメな
ミンチ を摂取 す るよ うにをって急激 に成長度 の増大 た仔魚 は,ふ化後20日には全長
30
%で あった.
Ⅳ 考 察
紀伊 半島 の南部沿岸 に 5月下旬 ‑6月下旬 に来遊 す るマル ソウダか ら熟卵 が採取 され ることが明 らか となったが,本案験 の結果 か らその採卵期 の水温 は
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どとはは同様 な成長速度 を示 したが, その後小魚 の らわか るよ うに,ふ化 当 日全長 0‑ 3. で あっ の比較 を Fi・1g に示 す. Tablelおよび Fi.1か
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0 6.かmの仔魚 は,ふ化後 18Elには全長49 ,体 高 80mm. 0 8g.
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とな り, 36日には全長8 ,価 に成長, さらに52日には最 も大 き 7mm
8mm 0 7. ,体重 高1 ,体 重
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‑ 7 0gに成長 した.
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トン 大型 円筒形水槽 でふ化後 日まで 以上 になった境 か ら成長 が鈍 り,次次 と死亡 しふ化 3 F. . . 42 後43E]まで にすべて死亡 した.大型水槽 と比較す る 飼育 し, その後 は 30トンナイロ ン大型 円筒形水槽 へ
と小型水槽 で はふ化後約 3週 間の成長 がは るかに劣 移 して飼育 した場 合 には,初期 か ら極 めて速 い成長 っていた.小型水槽で飼育 した仔魚 の成長 に伴 う全 がみ られた.成長 に伴 う全長,尾 さ体長.体 高,価 良 , 尾 さ体 長 ,体 高 ,体 重 などの魚体測定記録 を 重 などの測 定 記録 を Table2に示 し,小型水槽 で飼
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い個体 で,全長15 ,尾 さ体 長1 ,体 高2 , 体重37gに成長 した. その後 は成長 が とま り,ふ化 後58日まで に全部死亡 した.
飼育 中の仔魚の死 亡は餌付 け後数 日間 に多 く,ふ 化後 2週 間経過 して か らは しば らくの 間死亡 は少 な
2 8
1 ℃ 〜 2 ℃付近 にあるもの と思 われる.マ ルソウダ F R P. . . かった.最 も生存率 の高 かった 3トン 水槽 の場 合,ふ化後 18日を迎 えた時 の生存率 は2 4.
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の仔魚 は,マ ダイ ・ブ リ ・ヒラマサ などの よ うな肉 食性魚類の それ と同様 な餌料で育つ ことがわかった が, その成長 は速 く,特 に大型水槽 において著 しい a)
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116 近 畿 大 学 農 学 部 紀 要 第 6号 (1973) ことが明 らかと在った.小型水槽で全長数cm内外,
大型水槽 で12cm内外 となって から成長 が鈍 り,大型 水槽 で はふ化後42日に広 い30トン水槽 に移 したが, ふ化後58日まで に全部 が死亡 した. この原 因 につ い ては,餌料の供給不足 ・水槽 の広 さに起因す る運動 不足 と体 表の損傷 ・飼育水質の悪化 をどが考 えられ る.卵 は浮性 で直径 1mに近 く,ふ化前 に一・たん沈 下 す ること,仔魚 は シオ ミズ ッボ ワム シや海産 プ ラ
ンク トンを摂取 して速 い成長 を示 す ことをどの点で, キハ ダの卵 や仔魚 に似 てお り3),マ グロ類 の人工ふ 化仔魚飼育 の研究上,参考 となるところが少 を くな いと思 われる. また,天然 マルソウダか らの採 卵, 人工ふ化 およびふ化仔魚 の未成魚 までの飼 育の可能 性 が実証 されて,本研究 の 目的 はほぼ達 せ られた と 考 えられる.
Ⅴ 要 約
1.1972年 5月か ら 7月 までの間,和 歌山県串本 町大島樫 野定置網 か ら漁樺 され るマル ソウダか ら採 卵 ・人工授精 を試み,授精卵 を得 て同県 白浜町 の本 学水産研究所へ輸送 し,ふ化 ・仔魚 の飼育実験 を行
をった.
2.紀伊 半島南部沿岸 に 5‑6月 (水温 18℃‑22
℃)に来遊 す るマルソウダか ら熟卵 が採取 され,人 工授精 ・ふ化 が可能 なことが明 らかと与った.
3.卵 は直径0.98mm内外の分離浮性卵で,1個 の 油球 を持 ち,水温22.5‑23.3℃ で は,授精後35時 間 か ら44時 間 までの間でふ化 した.
4.仔魚 は培養 した シオ ミズ ツボ ワム シ ・天 然海 産 プ ランク トン ・小魚 の ミンチ などを摂取 して成長 し,ふ化 当 日全長3.94mm内外の仔魚 は,小型水槽 で
はふ化後20 .‑ l0m日85 l. ,3 90 9.m4日8.‑ 50mmに成長 したが,大型水槽で はふ化後 18日49.0mm,40日140.0 mm,52日1440 5..‑170mmに成長 した.
5.本実験 の結果,マ ルソウダの採卵 ・人工ふ化 および仔魚 から未成魚 までの飼 育 が可能 なことが実 証 され,マ グロ類の人工ふ化 ・仔魚飼育研究上参考
となると思 われ る知 見が得 られた.
本実旗 を行 な うに当 り,樫 野弁天前大敷組 合長堀 口徳 一郎氏 ほか従 業員の諸氏 には,採卵 に関 し格別 な御協 力 をいただいた.本学水産学科学生南勝啓 ・ 永野俊夫 ・神 田高司の諸氏 には採卵並 に卵輸送 につ いて,本学水産研究所技術補助員横山達雄氏 ほ か従 業員 の諸氏並 に本学水産学科学生八木基明氏 はか海 水増殖学専攻学生 の諸氏 には仔魚 の飼育 につ いて, また,本学 水産研究所書記成山恵津子 ・柳生真 由美 ・ 大滝 ひ とみ ・岡本尚子 の諸嬢 には資料の整理 につ い て, それぞれ御協 力 をいただ いた.上記の諸氏 に厚 く御礼 申 し上 げる. なお,本実験 は水産庁 の昭和47 年度 マ グロ頬養殖技術 開発企業化試験 委託 費 によっ て行 なわれた.水産庁調査研究部並 に遠洋水産研究 所 の諸氏 に厚 く御礼 申 し上 げ る。
文 献
1) 松 原 喜 代 松 :魚 類 の形 態 と検索.石崎書店 , p.518(1955).
2)阿部 宗 明 :原 色 魚 類 検索図鑑 .北隆館,p,86 (1963).
3)原 田輝雄 ・水野兼八郎 ・村 田修 ・宮下盛 ・古谷 秀樹 :本誌 ,(4,15 5 17)) 4‑12(91.
(昭和48年 2月5日受理)
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