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有 明 海 産 サ ッ パ の 産 卵,卵 発 生 お よ び 仔 魚 に つ い て

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有 明 海 産 サ ッ パ の 産 卵,卵 発 生 お よ び 仔 魚 に つ い て

Egg Development and Larval Stages of the Small Clupeoid Fish, Harengula zunasi BLEEKER and Some Informations

about the Spawning and Nursery in Ariake Sound

Toru TAKITA

Harengula zunasi BLEEKER, a small clupeoid fish, is commonly distributed along the coasts of Southern China and Japan, particularly in bays and inland seas.

On May 6, 1962, artificial insemination of this fish was carried out at Kashima City which faces Ariake Sound and the development of eggs and hatched larvae were observed.

The spawning season of this fish seems to extend from April to August in Ariake Sound.

The fish seems to spawn within the short definite time from 3.00 to 5.00 p.m.

The followings are the ranges in body length of matured individuals.

Female : 85-96 mm Male : 65-105 mm

The egg is bouyant, colorless and spherical in shape, measuring 1.74-1.91 mm in diameter, and has a single oil globule, measuring 0.11 mm. The perivitelline space is wide and the yolk is segmented.

The hatching took place 45 hours after insemination at the water temperature of 15°-20°C.

The newly hatched larva, measuring 2.71 mm in total length, had 37+6=43 myomeres (the number of vertebrae of this fish is 42). The dorsal maigin of the body was scattered with melanophores.

The 40-hour-old larva was 4.79 mm in total length and the eyes became yellow, and then they became black gradually in the subsequent

10 hours.

The 114-hour-old larva was 5.61 mm in total length and the yolk was entirely absorbed.

The melanophores of the larval body first appeared on the dorsal margin of the body, and then they gradually shifted to the ventral

margin. Accordingly, the melanophores were distributed on the almost whole body of the larva 65 hours after hatching when they were on the way of shifting, and they shifted to the ventral margin 91 hours after hatching.

From April to June, 1964, a study was made on the distribution of fish eggs and larvae in Ariake Sound by some cruises and there were

(2)

found some facts about the spawning of this fish and the nursery of larvae. The spawning and the nursery of larvae seem to be carried out near the estuaries and the adjacent shallow waters in Ariake Sound where the adults are abunduntly distributed in warm seasons.

 サッパHa re ngu/la 2unasi BLEEKERは小型のニシン科魚類の一種である.サッパ属の 魚1)2)は北アメリカ南岸および中央アメリカ沿岸とインド洋から太平洋西岸にかけて分布し ているが,本種は南支那海沿岸および我国に分布している.本邦ではサッパ属の魚はこれ までに本種だけが知られており,南日本を中心に北は北海道までの浅海に分布している.

サッパは我国各地の沿岸の内湾や河口附近に多く,種々の漁法で漁獲されているが,品種 に関する研究報告は少ない.本種の生活史については内田3)による後期仔魚期および稚魚 期の形態の記載があるが,その生態および卵発生とふ化仔魚についてはほとんど知られて いない.これはサッパが各地で漁獲されているにかかわらず,市場価値が低く,水産的に 重要視されていないためと考えられる.筆者はこれまで,内湾および河口域における魚類 の増殖生態について研究を進めてきたが,その一部として,九州の代表的な内湾である有 明海においてサッパ(Fig.1)の産卵生態および初期生活史について調査を行なった.こ

  ・㌔璽櫛噸 陣、

Fig. 1 Matured specimens of H. zunasi.

    A: male, 104mm in total length B: female, 135mm

こでは,人工授精による卵発生とふ化仔魚の観察結果および,有明海における魚卵,二途 魚の採集調査結果から,本法の人工授精によって得られた知識をもとにして,本種の増殖 生態について明らかに出来たことを報告する.本文に入るに当り,御指導と御校閲の労を とられた本学部道津喜衛助教授および卵,旧記魚採集の機会を与えられた山田鉄雄教授に 対し,深謝の意を表する.また,本研究は筆者が九州大学大学院に在学中に始めたもので

あり,当時御指導を賜った同大学農学部塚原博教授に対し,厚く御礼申し上げる.

 有明海においてサッパは周年,湾内に広く棲息しているようであるが,冬期以外の時期 には湾奥部の小型定置網で多く漁獲され,他のもっと深い水域での漁獲が少ないことから

(3)

長崎大学水産学部研究報告 第2i号 (1966) 173        みると,この時期には奥部の浅い水域や河口附近(水深1〜5m)に多く分布していると 思われる.冬期には恥部ではほとんど漁獲されず,湾の申央部のやや深い水域(水深20〜

50m)で主にあんこう網によって漁獲されており,サッパは当湾内で季節的な浅深移動を 行なっていると考えられる.

 産卵期:後で述べる成熟魚の出現期および天然卵の採集状況からみて,有明海における サッパの産卵期は1964年は4〜8月,盛期は5〜6月であったが,その前後数年にわたる 調査結果からみると,年によっては上記の時期より約1月もあとにずれることがあるよう

である.

 天然卵および至言の分布:1963年12月より1964年11月まで,およそ月に1度のわりで,

有明海の中央部より奥部において(Fig.2)後に述べる方法によって魚卵,稚仔魚の採集 調査を行なったが,このうち,サッパの卵

については採集個体数の多かっt4月17〜

19日,5月13〜15日,6月12〜14日の3回 の資料によって,仔魚は6月12〜14日の1 回のみの資料によって,本種の卵および仔 魚の分布について検討を行なった.

 調査船には小型漁船を用いたため,あら かじめ決めた採集定点をたどることが出来 ず,採集点は各月の調査ごとに少しつつ異 なっている.4,5,6月の採集点数はそれ ぞれ25,29,25であったが,各月とも調 査水域を3つに区分し,採集は連続した3 日間で行なった.1日の採集はおよそ8時 より16時の間に行なった.採集漁具は2種 類の稚魚ネットを用い,その1つは口径 60cm,長さ約150cm,前部殆は目合180 経のもじ網を,後部2/3はGG38の飾絹を 用いた表層曳稚魚ネット,他の一つは表層 曳稚魚ネットを改造した底曳網で亨海底を 曳くときに泥がはいらないように特に考慮

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Fig. 2 Map o・f Ariake Sound, shaded     area showing the area of inve−

    stigation.

したものであり,口径1m,長さ約2.5m,前部は上記と同じ目合のもじ網,後方1/3部分 がGG26の筋絹で出来ている稚魚ネットの口部鉄枠を取りはずし,.もじ網の袖をつけ,浮 子と沈子をつけたもので,網口を拡げるために小型のオッターボー・一一 ,ド(30cm×30cm)を,

また,底層を曳くために重さ7kgのディプレッサーを取りつけた.これら2つの稚魚 ネットを各採集点で同時に約1.5ノ・ットの速さで10分間,水平に曳網した.これらの網の 採集物より,後に述べる人工授精,ふ化実験によって得た卵,仔魚の知識,および内田3 による稚高高の報告にしたがってサッパの卵と仔魚をえらび出し・7卵は表層曳のみによる 採集個体数を,仔魚は2つの採集具による採集個体数の合計をFig.3に示した.このう

ち,採集卵数分布図(A〜C)によると,・1採集点で50卵以上を採集した地点は各月とも ほとんど湾奥部にあり,サッパ卵は湾奥部に多く流入している河川の河口域近くに密な集

(4)

団をなしていたと思われる.後に述べると おり,有明海においてはサッパの毎日の 産卵は15〜17時の比較的短い時間内にいっ せいに行われるために,同一日に産まれた 天然卵はその発生状態がほぼ一定している が,4,5月は同一日にとれたサッパの天 然卵を発生段階のいちじるしい違いによっ て2〜3群に分けることが出来,また,

水温が比較的低い(表層水の日中の水温は 16。〜21。C)ことから,この時期に産まれ たサッパ卵は産卵後ふ化するまでに2〜3 日以上を要すると思われ,天然卵が潮流や 吹送流等によって,その生み出された水域 からかなり移動することも考えられる.し かし,6月は調査水域,採集点数,採集方 法が4,5月とほとんど違わなかったにも かかわらず,採集された全てのサッパ卵が ほぼ同じ発生状態(採集時間による多少の ずれを考慮に入れた)にあり,また,この 時期は水温が高く,210〜220Cであったこ とから,後述の筆者が行なったサッパの人 工授精卵の飼育結果からみて,6月のサッ パ天然卵の発生は4,5月にくらべてかな

り早く進み,6月に採集された全てのサッ パ天然卵は採集日の前日の夕刻に産み出さ れたもののみであると推定された.したが って,6月における採集主唱の分布は産卵

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Fig. 3 Collection stations and areal occu−

    rrences of eggs and larvae of H.

    zunasi in cruises in 1964.

    A: egg occurrences at 25 stations,

     collections made on Apr. 17−v      19, 1964.

    B: egg occurrences at 29 stations,

     May 13一一15, 19b 4.

    C: egg occurrences at 25 stations,

     June 12A−14, 1964.

    D: larva occurrences at 24 statio−

     ns, June 12−s−14, 1964.

後およそ半日を経過したサッパ卵だけによるものであり,4,5月の卵数分布にくらべて,

産卵された時の卵の分布状態をより良く保っていたと考えられるが,この月にもサッパ卵 の出現は湾奥部の浅所や河口附近で多い.この三図部ではサッパ卵の出現は各月とも西側 に多い傾向がみられ,東側では西側と同様,多くの河川が流入しており,水深も浅く,東西 の海洋学的な条件の相違は見出しがたいが,サッパ卵の採集量は少ない.例年5〜6月に はサッパの天然卵を多数採集出来た湾守部西側水域で,刺網(コノシP流網)や小型定置 網(竹羽瀬)等によって大量のサッパ産卵群が漁獲され,その時期には他の水域での漁獲i が少ない.以上のことがらより,サッパの産卵はFig。3, A, B, Cでサッパ天然卵の採集 量の多い水域,すなわち,湾奥部西側の河口附近および岸に近い浅い水域で主に行われる

と思われる.この水域の水深は1〜20mであるが,大部分は1〜5mの浅海である.

 6月12〜14日に行なった魚卵,稚旗魚採集調査で得られたサッパ仔魚の体長は4〜21mm で,垂直鰭未形成期より各垂直鰭は完成し,胸鰭の鰭条を形成中の時期である.Fig.3, D より明らかなように,仔魚を多く採集した水域と天然卵を多く採集した水域とは接近して

(5)

長崎大学水産学部研究報告 第21号 (1966) 175

いる場合が多く,この仔魚採集個体数の分布からみると,有明海においては,サッパの仔 魚はその産卵場に近い水域,すなわち,心奥部の河口附近および岸近くの浅い水域に多く,

比較的狭い水域に密に集中して分布しており,外洋水の影響の強い,比較的深い水域では 分布量は少ないと考えられる.なお,七種の稚仔魚は時に有明海に注ぐ河川の中にもはい

り,下流の海水の影響のほとんどない水域にも現れることがある.

 産卵時間:サッパ産卵群の採集は磁心瀬漁獲物より行なった.この漁具4)(Fig.4)は 岸より5〜10km,水深1〜8mの所に設置されている小型定置網で,竹を海底のやわら かい泥に垂直に突き立てて2列,扇状に並べて潮を受け,扇の要の部分に当るところに袋 網を固着して,潮流に流される魚群を集めて獲る漁法である.操業は主に大潮前後の約10

日間に2〜3人の漁夫で行い,午後の最干潮時の数時間前に出漁するが,1回の出漁で通 常,民心と午前の2回の最干潮時に網を揚げて翌朝帰港する.

Fig. 4 Takehaze, a kind of set net in Ariake Sound.

 1961年5月1〜2日と30〜31日の2回,佐賀県鹿島市沖の同一の欝欝瀬の漁獲物より サッパ成魚の採集を行ない,体長と熟度を測定した(測定はいずれもホルマリン固定標本 について行なった).その体長組成をFig.5に示す.このうち,雄魚はほとんど全ての 個体が精液を出し,完熟の状態であったが,

雌魚は調査総数80尾のうち,卵巣が大きく,

透明卵をもった完熟個体(生殖巣重量が29 以上)は14尾で,その体長範囲は85〜96mm であった.この時にとれた雌魚について夕刻 にとれた魚群と早朝にとれた魚群との熟度を 比較してみると,雌魚総個体数に対する完熟 雌魚の個体数の割合は夕刻の場合5/29と9/15 であったのに対して,早朝にとれた魚群では

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Fig. 5 Size frequency of H. zunasi     caught on May 1−s−2 and 30N−

    31, 1961. A: female B: male

いずれも卵巣が小さく,完熟個体は皆無であった.また,1960年,1961年と1963年の各 産卵期における調査の結果を総合しても,夕刻に漁獲されたサッパ魚群には完熟雌個体が 多く,それらより得た卵を用いて人工授精をすることが出来たが,朝の漁獲必中には完熟 卵をもった個体はほとんどなく,卵巣は小さく,少数の個体からわずかばかり透明卵をし ぼり出せる程度であり,この卵を用いて人工授精を試みてみても決して受精しなかった,

(6)

したがって,夕刻(15〜18時)には産卵前または産卵中の魚群を,早朝(3〜5時)には 産卵後の魚群を漁獲したものと考えられる.

 1962年5月6日(月令1.9)と1963年6月22日(月令0.6)の夜間に前述の竹羽瀬の近く に船をとめ,各々17〜3時までの10時間,潮流を利用して,稚魚ネットによって天然卵の 採集を行なった.この時にとれたサッパ卵の発生状態は同一時刻ではほぼ一定しており,

時間の経過に従って発生の進むのが確かめられた.この天然卵を採集した時刻とその卵発 生の状態からみると,有明海におけるサッパの産卵は15〜17時の比較的短い時間内にいっ せいに行われると考えられる.産卵時間と月令とが関連しているかどうかについては調査 を行なっていない.

卵および卵内発生

 卵:受精卵は球形の分離浮性卵で,卵径は1.74〜1.91mm,囲卵腔は広く,卵黄径は 0.91〜1.09mmである.卵膜,卵黄ともに無色透明であるが,卵黄には泡沫構造があり,

泡沫の直径は約0.2mmである.油球は1個で,その直径は約0.11mmである.

 有明海において二種が産卵し,本種の天然卵が多く分布していると考えられる水域はか なり塩分が低く*,採集の結果から,天然卵は中層または上層に浮んでいることがわかって

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Fig. 6 Developing eggs of H. 2unasi.

    a: Embryo formation, 20 hrs. after insemination. b: Closure     of blastopore, 21 hrs. c: Eye vesicle formation, 24 hrs. d: Op−

    tic lens formation, 30 hrs. e: Otocyst formation, 36 hrs. f: s     hours before hatching.

*前述の卵,二二魚採集調査と同時に行なった表層水の比重測定の結果より,1採集点において50  個以上のサッパ卵が採集された場所の海水比重の範囲をみると,4月は19.7〜22.3,5月は20.0  〜23.1,6月は14,1〜20.5であった.

(7)

長崎大学水産学部研究報告 第21号 (1966) 177

いる.

 卵内発生(Fig.6, a〜f):人工授精は佐賀県鹿島市沖の竹羽瀬で漁獲された完熟魚を用 いて1961年5月1日と1962年5月6日の2回行なったが,卵内発生の経過はほとんど同じ であったので,ここでは1962年のものについて記述する.

 媒精は5月6EI 17時50分に漁船上で乾導法によって行ない,受精後,受精卵を実験室 に持ち帰るまでの20時間は,ルーペによって卵発生の観察を行なった.受精後20時間の 受精卵飼育水温は15。〜16.5。C,それ以後は17。〜20。Cにおいて受精後45時間でふ化が始

まった.

 受精後1時間で第1卵割が始まる.3時間後に16細胞期,5時間後に桑実期に達する.

12時間後に胞胚期,13時間後にのう胚;期に達する.20時間後に被包が卵黄の2/3をおおい,

胚体が形成される(Fig.6, a).21時間後に原口が閉鎖する(b).23時聞後に筋肉節が現 れ,24時間後に眼胞が出現し(c),筋肉節は11を数えた.30時間後にKupffer胞が出現

し,眼球が形成され,胚体の背面に黒色胞が現れる(d).34時間後に心ぞうが鼓動し始め,

筋肉節は31を数えた.36時聞で速撃が形成された(e).45時間でふ化が始まり,その後2 時間で約1割がふ化した.

魚(Fig.7, a〜e)

 ふ化直後の仔魚(Fig.7, a)の全長は2.71mm,卵黄長径は1.21mm,油球は卵黄中央 の平面に位置している.筋肉節数は37+6=43(成魚の脊椎骨数は42),肛門はいちじるし く体の後方に位置している.仔魚の膜鰭は背側は宇部より後方,腹側は卵黄のうより後万 の全域にわたっている.眼球に色素はなく,口もまだ開いていない.黒色胞が頭部から尾 部の前部までの背面のみに散在している.この仔魚はガラス水槽内では卵黄を上にして水 面直下に浮んで静止している.

 ふ化後40時間の仔魚(b)は全長4.79mm,卵黄長径は0。87mmである.胸鰭の原基が 現れる.体の背面のみに並んでいた黒色胞はその一部が体側へ移行する.また,頭部背面 にも黒色胞が出現する.この時期に眼球の周囲が黄色となり,これより約10時間後には眼 球全体が黄色となり,その直ぐ後に黒色素が現れる.

 ふ化後65時間の仔魚(c)は全長5.18mm,卵黄長径は0.65mmであるが,油球は痕跡 的にしか残っていない.体の黒色胞は腹面へ移行途中で,体側面のほぼ全体に散在してい

る.

 ふ化後91時間の仔魚(d)は全長5.22mm,卵黄長径は0.44mmで,口が開く.体の黒 色胞は壁面への移行をほぼ終り,胴部の前半では消化管の背面に,後方では消化管の馬面

に2列に並ぶ.肛門の直前では1個の大きな黒色胞が消化管の背面にある.尾部にも腹面 に数個の黒色胞がまばらに1列に並んでいる.体の背面と側面には黒色胞はほとんど残っ てなく,頭部の黒色胞も少なくなって,吻部にわずかに残っているだけである.

 ふ化後114時間の仔魚(e)は全長5.61mm,卵黄を吸収しつくし,あごが発達する。学 期はこの後3日間生きていたが,この期間の体長と体型の変化はほとんど認められなかっ た.なお,ふ化仔魚の飼育水温は16.5。〜20.0。Cであった.

(8)

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Fig. 7 Larvae of H. zunasi.

    a: Newly hatched larva, 2.71mm in total length. b: Prolarva 40     hrs. old, 4.79mm. c: Prolarva 65 hrs. old, 5.18mm. d: Prolar−

    va 91 hrs. old, 5.22mm. e: Post larva 114 hrs. old, 5.61mm.

 伊東5)は硬骨魚類の産卵時間に関する報告の中で,ニシン目の大多数の魚は夜間,特に 薄暮から前夜半に産卵を行なうと述べている.また,桑谷,古旗,船田6)はコノシロKo−

nosirus Punctatusの完熟雌個体を16時半に採集しており,その報告の中で完熟魚を得る には採捕時刻に対する配慮の必要なことを指摘している.有明海のコノシロも,先に述べ たサッパの天然卵の場合と同じく,その天然卵の発生状態よりみて,比較的短い時間内に いっせいに産卵を行なうと考えられるが,この2種類の魚の天然卵の発生状態を比較して

も,同じ時刻にとれたものでは発生状態がよく似ており,両三はほぼ同じ時刻に産卵を行 なうと考えられ,その時刻は上記の2つの報告の結果に近い.

(9)

長崎大学水産学部研究報告 第21号 (1966) 179

 サッパの天然卵の採集の際に本種の卵と同時にコノシロの卵も採集されることが多い.

この両者の卵は形がよく似ており,従来,この両者の天然卵は区別が困難とされているが7),

有明海産の両種の卵のホルマリン標本を各々20個つつ測定した結果によれば,コノシロの 卵径は1.26〜1.56mm(1.36mm),卵黄径は0.84〜1.08mm(0.96mm)であり,サッパ の卵径は1.50〜1.80mm(1.68mm),卵黄径は0.78〜0.90mm(0.81mm)であり,前者 は後者にくらべて卵径が小さく,逆に卵黄径が大きいという相異があり,また,多数の 天然卵を取り扱う場合には,上記のことによって,前者は後者にくらべて囲卵腔が狭いと いうことで容易に区別することが出来た.

 硬骨魚類の胚体および幼期にみられる色素胞の移動についてはOrton8)の報告があり,

その中でサッパと同じイワシ類のSardinOPs caeruleaの前期仔魚について体の色素胞の 背面から腹面への移動がくわしく述べられている.また,内田3)もコノシロの前期仔魚に ついてほぼ同様な観察を行なっているが,筆者がサッパについて観察した色素胞の移動は これらの報告の結果とほぼ一致している.

 上記のコノシv仔魚の観察を行なった内田の報告によれば,コノシロの前期仔魚も背面 のみにあった黒色胞が腹面に移行するが,尾部背面の黒色胞の一部は他の黒色胞が移行し た後も背面に残り,したがって,コノシロ後期仔魚の尾部には背腹両面に黒色胞がみられ るとされている.これに対し,筆者が有明海産のサッパ仔魚について観察した結果によれ ば,サッパ後期仔魚の尾部の黒色胞は全て腹面に移り,背面には残らない.有明海奥部で はサッパ二二と同時にコノシロ二二もとれる場合が多く,両三の形態は非常によく似てい るが,この黒色胞の排列状態の違いは水戸7)も瀬戸内海産の二種について指摘しており,

尾鰭形成前の後期仔魚期(尾鰭形成後は尾部の黒色胞は不明りょうとなる)のサッパとコ ノシロとの重要な区別点となる.

1) REGAN, C. T.: Ann. Mag. IVat. Hist.,8 (19), 377一一395 (1917)

2) SvEToviEov, A. N.: Fauna of U. S. S, R. Fishes, 2 (1), 180−v183 (1952)

3) 内田外8名:日本産魚類の稚魚期の研究,(1952)

4)水産庁有明海漁業調整事務局:有明海の漁業,7〜10,1〜28(1961)

5) 伊東裕方:日生態会誌,9(3),116〜120(1959)

6)桑谷幸正,古宇喜太夫,船田秀之助:水産増殖,4(3),31〜37(1956)

7) 水戸敏:内水研刊行物C,4,2〜4(1965)

8) ORToN, G. L::ノour. Morphol.,93(1),69〜89 pls.1〜5(1953)

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