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Academic year: 2021

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-27- 近畿大学工業高等専門学校

総合システム工学科 機械システムコース

那智黒石粉末利用法のFS検討

-補助ガスの影響-

中 村 信 広

久 貝 克 弥

Feasibility study on effective utilizing methods of Nachiguro stone powder

Influence of auxiliary gas

Nobuhiro NAKAMURA and Katsuya KUGAI

Nachiguro stone is a natural stone produced in the Kumano Region and is used for producing Ink stone and Goishi.

In the production of Ink stone and Goishi, a large amount of powder appears as a byproduct.

In a previous report, we reported about the characteristics of Nachiguro coating which is manufactured by thermal spraying method. However, Nachiguro stone powder were turned from black to brown by the oxidation. We prevented the Nachiguro coating from oxidizing by using for N2 gas and CO2 gas as auxiliary gas.

It is obvious that Nachiguro coating were remained black by using for CO2 gas as auxiliary gas.

Keyword Nachiguro stone powder, Thermal spraying method

1.緒 言

那智黒石は、熊野地域で産出される漆黒のある天然石で あり、硯や碁石に加工されているが、この加工時に大量の 削り粉末が発生する。現在、この削り粉末は、樹脂と混ぜ た練り製品として使用されているが、他に利用されていな い。本研究では、那智黒石粉末の新しい利用方法と新商品 の開発を目的として、焼結加工法に着目して研究を進めて きたが、焼結加工で那智黒石と同様に漆黒を失うことなく 焼結できることが明らかになった。前報 1では、焼結加 工と同じく粉末を利用する溶射加工が那智黒石粉末の利 用にも適した加工法であるか否かについて、溶射装置が安 価かつ施工場所も選ばないフレーム溶射加工を用いた場 合について報告した。その結果、フレーム溶射加工法で那 智黒石粉末を溶射した皮膜は、補助ガスに圧縮空気を使用 するため、溶射加工中から那智黒石粉末の酸化が始まり、

那智黒溶射皮膜は、黒色になることなく茶色に変色する ことが明らかになった。

今回、溶射加工中の那智黒石粉末の酸化を防止する方法 として補助ガスに窒素ガスおよび炭酸ガスを使用し、溶射 フレームを空気中からシールドして溶射加工をおこなっ た。本報では、補助ガスに窒素ガスおよび炭酸ガスを使用 して那智黒石粉末を溶射した場合の溶射皮膜の結果につ いて報告する。

2.実験方法および装置 2.1フレーム溶射加工法

本実験に使用したフレーム溶射装置の概略図を図1に 示す。那智黒石溶射皮膜は、あらかじめブラスト加工を施 したSUS304基材(100㎜×100㎜×5㎜)上に溶射距離 100㎜で溶射を行って製作した。燃料ガスは、アセチレン ガスおよび酸素ガスを使用し、ガス流量はそれぞれ酸素ガ ス40Ⅼ/min、アセチレンガス30ⅬPLQの一定で行った。

また、補助ガスは、窒素ガスおよび炭酸ガスともに 30

Ⅼ/min とした。粉末の搬送は、一般的にキャリアガスを 利用するが、今回は補助ガスのベンチュリ効果による自然 吸引で行った。なお、補助ガスに圧縮空気を使用した場合 も比較として製作した。

(2)

-28- 図1 フレーム溶射装置の概略図

2.2那智黒石粉末

溶射加工に使用する那智黒石粉末は、そのままでは粉末 粒径が大きいため、自動乳鉢で36時間粉砕した後に、さ らにアルミナボールミルで48時間粉砕した粉末を使用し た。なお、この時の平均粒径は、約1.54μmである。

3.実験結果および考察 3.1補助ガスの影響

図2は、補助ガスに窒素ガスおよび炭酸ガスを使用して 那智黒石粉末を溶射した溶射皮膜の表面の写真である。

(a)炭酸ガス (b)窒素ガス

(C) 圧縮空気

図2 各補助ガスで溶射した那智黒石溶射皮膜 の表面写真

写真から見てわかるように、補助ガスに圧縮空気を使用 した場合、那智黒石溶射皮膜は茶色に変色しているが、窒

素ガスを使用した場合は、やや茶色に変色している所が見 られるが、圧縮空気と比較して溶射皮膜が黒色になってい ることがわかる。また、炭酸ガスを使用した場合も窒素ガ スと同様に溶射皮膜が黒色になっているが、茶色に変色し ている所が窒素ガスと比較して少なくなっている。

これは溶射加工中の火炎による那智黒石粉末の酸化が 補助ガスにより抑制されているためであると思われる。

図3の写真は、粉末を供給しないで、それぞれ補助ガス 別に溶射火炎の状況を観察したものである。

図3 各補助ガスによる火炎の状況

この写真から、補助ガスの相違により火炎の状況、特に 火炎の長さが変化していることがわかる。火炎の長さは、

圧縮空気の場合では約 28 ㎝、窒素ガスの場合では約 23

㎝、炭酸ガスの場合では約21㎝と従来の補助ガスである 圧縮空気と比較して火炎の長さが短くなっている。

これは、火炎の周囲に窒素ガスおよび炭酸ガスにより大 気と遮断されたためであると思われる。

従って、補助ガスに窒素ガスや炭酸ガスを使用すること により、那智黒石粉末の酸化が抑制されることがわかり、

那智黒石と同じ黒色の溶射皮膜を製作できることが分か った。

4.結 言

溶射加工時に生じる酸化を防止するために、補助ガスに 窒素ガスや炭酸ガスを使用した結果、黒色の溶射皮膜を作 成できることがわかった。特に、炭酸ガスを使用した場合、

より酸化を防止する効果が大きくなることがわかった。

参考文献

1)近畿大学工業高等専門学校研究紀要、中村信広、久貝 克也、第11号(2017)、pp.25‐27

参照

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