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ドーナツの特性におよぼす各種糖質およ び澱粉の影響

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(1)

ド ーナ ツの特性にお よ ぼす各種糖質 お よ び澱粉の影響

Ef fects of various carbohydrates and starches

前 田 智 子*

安 藤 ひと み**

M AEDA Tomoko

ANDOU Hitomi

on the properties

森 田 尚 文***

MORITA Naofumi

of doughnut

ド ーナ ツの美味 し さ と 健康志向の向上 を目指す上で、 重要な要素のひと つに 「低吸油性」 があ る。 本研究では、 通常の 小麦粉に各種糖質 や澱粉 を代替 し て ド ーナ ツ を調製 し 、 ド ーナ ツ生地お よ び揚げ ド ーナ ツ の品質、 特 に吸油性にお よ ぼす 影響に つい て検討 を行 っ た。 ハイ ア ミ ロ ース内部、 外皮は ド ーナ ツ に低吸油性 を も た ら し 、 粉飴 A は ド ーナ ツ の食感改 善 と 美味 し さ を向上す る結果が得 ら れた。 即 ち、 ハイ ア ミ ロ ース内部、 外皮は ド ーナ ツの 「 みかけ の油脂量」 を顕著 に低 下 さ せ、 その傾向は添加量の増加に よ り 段階的 に強 く な り 、 部位別 では特に内部 よ り も外皮 で よ り 効果が見 ら れた。 し か し 、 最 も 低吸油性 を示 し たハイ ア ミ ロ ース外皮 を含 む ド ーナ ツ の調製2時間後の官能評価で は、 テ ク ス チ ヤー に関す る項 目や、 味、 総合評価 にお い て良好 な結果は得 ら れなか っ た。 一方、 ハイ ア ミ ロ ース内部では、 そ の低吸油性は外皮 よ り も 劣 っ て い たが、 ほぼ全 て の項目 で、 無代替の コ ン ト ロ ール と 有意差は見 ら れなか っ た。 従 っ て、 ハイ ア ミ ロ ース内部は、 ド ーナ ツ の美味 し さ を保 ち かつ低吸油性 を も た ら す優 れた新奇食品素材で あ る と 考 え ら れた。 ま た、 粉館 A は ド ーナ ツ に低吸油性 を も た ら さ なか っ たが、 調製 2 日間経過 し た官能評価で も 、 テ ク スチ ヤーや味に関す る項目、 さ ら に総合評価 にお い て、 コ ン ト ロ ールよ り も 有意に良好 な結果 を示 し た。 さ ら に、 そ の代替率10%で は、 「 みかけ の油脂量」 が コ ン ト ロ ールと 同程度 で あ っ た。 従 っ て、 粉飴 A は代替率 の低下や他の素材 と の併用 を検討す れば、 ド ーナ ツ の美味 し さ の向 上に加え、 低吸油性 を示す素材であ る と 期待 さ れた。 キ ーワ ー ド : ド ーナ ツ, 小麦粉, 加工澱粉, 糖質, 低吸油性

Key words : doughnut, wheat flour, modified-starch, carbohydrate, low-oil absorbing ability

1 . は じ めに ド ーナ ツ と は, 小麦粉, 卵, 糖類, シ ヨ ー ト ニ ン グ, ミ ル ク 等 と 膨張剤 ま たはイ ース ト を混ぜ て作 っ た菓子生 地あ るいはパ ン生地 (発酵生地) を油 で揚げ た も ので あ る。 菓子生地の ド ーナ ツ ( ケ ーキ ド ーナ ツ) と パ ン生地 の ド ーナ ツ ( イ ース ト ド ーナ ツ) では, 製法, 工程に違 いがあ り , おのず と 味, 食感, 保存性に も違いが出て く る。 ケ ーキ ド ーナ ツは , 普通 ミ キ シ ン グ し た副材料の中 に小麦粉 と 膨張剤 を加え て軽 く 混合 し て生地 を作 る。 こ の生地は, ケ ーキ と し ての性格上糖分が多 く , フ ラ イ ン グ時の吸油率 (揚げ油の吸着割合) も , イ ース ト ド ーナ ツ よ り も 高 く 老化 も遅い。 し か し , 発酵工程 も ない ため 比較的製法 も簡単 で短い工程時間で出来上が る と い う 特 徴があ る。 現在, 様々な種類の ド ーナ ツが販売 さ れてい るが, 日 本 では , ケ ーキ ド ーナ ツ を主流 と す る ド ーナ ツ チ ェ ー ン が多 い。 一方で, 近年, 肥満や生活習慣病が多 く 見 ら れ る ため, 単に 「美味 し い」 だけ で な く , 低脂肪, 低カ ロ リ ーで, 体に良い食品 を摂取 し たい と い う 健康志向 も 強 ま り つつあ る。 こ れま で に も ド ーナ ツの材料 配合 や調製 方 法 等 と 吸 油 量 と の関 係 に つ い て は 報告 が さ れ て い

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, 2)。 ま た , 経験的 には ド ーナ ツ には, 油 で揚 げ な い も の, コ ラ ーゲ ン入 り の も の, お か ら が入 っ た も の, 国 産材料 を使 っ た も のな ど様々 な調理法や食品素材 な どの 視点 か ら工夫がな さ れて き た。 し か し , 実際には具体的 な低吸油性 ド ーナ ツ の調製が確立 さ れてい ない のが現状 であ る。 そ こ で, 本研究では, 日本人に と っ て.馴染みの あ るケ ーキ ド ーナ ツ を と り あげ, 特 に低吸油性に着目 し ド ーナ ツ生地に各種糖類や澱粉 を添加す る こ と によ っ て, 吸油率の低い ド ーナ ツの調製 を目指す こ と と し た。 す な わち, 通常の小麦粉に各種糖質や澱粉 を代替 し て ド ーナ ツ を調製 し , ド ーナ ツ生地お よ び揚げ ド ーナ ツ の品質 , 特に吸油性におよ ぼす影響 につい て検討 を行 っ た。 2 . 実験試料 ド ーナ ツの調製には, 薄力小麦粉 ( 日清製粉㈱) , 各 種の糖質, 澱粉, 上白糖 (三井製糖㈱) , 牛乳 ( グリ コ 乳業 (株) ) , 有塩バ タ ー (雪印乳業㈱) , ベ ーキ ン グパ ウダー (日清 フ ーズ㈱) , 塩化ナ ト リ ウム (和光純薬㈱) を使用 し た。 なお, 各種糖質 と 加工澱粉等は, 表 1 に示 す 8 種類と し , 以下こ れら の表記は表 1 に示す略語を用 い る。 * 兵庫教育大学大学院教育内容 ・ 方法開発専攻行動開発系教育 コ ース * * 京都文教短期大学 * * * (株) FUDAI, 東洋食品工業短期大学 平成25年 4 月26 日受理

(2)

3 . 実験方法

3-1. 各種澱粉の特性 (1) 膨潤率測定 貝沼 ら 3) が提案 し た簡易法 を用い て測定 し た。 表 1 の試料 を用 い て , 器具には, 試験管 , ボル テ ツ ク ス , 遠 心分離, 天秤 を使用 し , 以下の実験方法で行 っ た。 < 加熱な し の場合 > 各試験管 (40ml 容量) の重 さ を測定 し , 各試料 を約 1 g 秤量す る。 ミ リ Q30m1 を添加 し , ボル テ ッ ク ス に 約10秒間かけ, 60℃, 75min で20分間振 と う さ せ る。 3,000rpm で10分間遠心分離 を行 っ た後, 上澄 み液 を捨 て, 沈澱部分の重量 を測定 をす る。 < 加熱あり の場合> 各試験管 ( 5 mi 容量) の重 さ を測定 し , 各試料 を約 0.2g 秤量す る。 ミ リ Q 5m1 を添加 し , 上記と同様に行 っ た。 加熱は, 100°C で15分間 と し た。 < 評価方法> 膨潤前後の試料重 さ を, 各々A, B と し , 試料が膨潤 後に吸水 し た水の重 さ を C ( = B

-

A) と し た。 膨潤率 (%) は (B/A) X100と (C/A) X100から求めた。 (2) ビ ス コ ア ミ ロ グラ フ測定 ビス コ ア ミ ロ グラ フ で は, 澱粉の加熱 と 冷却 に よ る糊 化及 び老化過程で の粘性変化 を測定す る。 AAc c 法 4) によ り , 糊化開始温度, 糊化粘度, そ し て最高粘度 ( ピー ク) に到達 し た時の糊化 ピーク温度, さ ら に高温 (93°C) で, 一定保持 し た後の粘度 ( ブ レ イ ク ダウ ン粘度) , 冷 却後 (30°C) の粘度 (最終粘度) な どを測定 し た。 3-2. ド ーナ ツ の調製 ド ーナ ツ の調製には, 各種調理書におけ る ケ ーキ ド ー ナツの配合等から平均的な材料配合 を考慮 し, 表 2 に示 すよ う な配合 を決定 し た。 すなわち小麦粉に対 し , 重量 べ一 スで各種糖質およ び澱粉を10% ~ 50%添加 し, こ れ ら の素材 を含 ま ない ド ーナ ツ を コ ン ト ロ ールと し た。 調 製方法は以下に示 し , その工程 を写真 1 に示す。

表 1 . 各種糖質 と 澱粉

試料名 試料説明 略語 澱粉 (小麦由来) 小麦粉から抽出した澱粉100%, 小麦澱粉 難消化性デキストリン (とうもろこし由来) 分子量2,000。 DE※= 8。澱粉粉体を加熱、酸添加などをして得られる加工澱粉。血糖の上 昇をゆるやかにするなどの効果があり特定栄養食品に利用されている , デキストリン イヌリン (チコリ由来) 分子量5,500。 チコリ根をはじめ36,000種類以上の植物中に存在する、天然の多糖類。 イヌリン 粉飴 (とうもろこし由来) 分子量680。DE※= 25。粉e合は粉を水とともに加熱した糊液を酸または酵素で加水分解 (湿 ' 式分解) したDE※= 20- 40の粉末。 粉飴A 粉 (とうもろこし由来) 分子量500。 DE※= 40。上記に同じ。 粉飴B リン酸架橋澱粉 (強) (タピオカ由来) 澱粉の水酸基同士を結合 (この様式にはエステル結合とエーテル結合がある) した粉。 リン酸架橋 エーテル化澱粉 (強) (タピオカ由来) 澱粉水酸基の水素原子をアルキル基と置換 ( エーテル結合) した粉。 エーテル化 ハイアミロース小麦内層部 (小麦由来) ハイアミロース小麦の内層部から得られた粉で、主に胚乳を主成分とする , ハイアミロース内部 ハイアミロース小麦外層部 (小麦由来) ハイアミロース小麦の外層部から得られた粉で、主に外皮を主成分とする。 ハイアミロース外皮

※DE, Dextrose equivalent. 澱粉の分解程度 を固形分中のグルコ ースに換算 し た直接還元糖百分率

表 2 . ド ーナ ツの調製材料 と 配合表 8 0 0 0 0 0 1 9 8 7 6 5 l

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0 5 5 5 5 5 5 2 2 2 2 2 2 写真 1 . ド ーナ ツの調製方法

(薄力粉100%で調製 し た ド ーナ ツ

= コ ン ト ロ ール)

l

0 0 0 0 0 0 2 2 2 2 2 2 5 5 5 5 5 5 l

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0

(3)

1 . 材料 を計量 し , 粉類は袋 に入 れて50回振 る。 あ ら か じ め, 濾紙の重 さ を測定す る。 2 . バ タ ー以外 の材料 を レ デス ミ キサ ー (大正電気㈱) で低速 2 分間 ミ キ シ ン グす る。 3 . 電子 レ ン ジ (600W) で10秒間加熱 し , 軟 ら か く し たバ タ ー を加 え , さ ら に レ デース ミ キサ ーで低速 3 分間 ミ キ シ ン グす る。 4 . 打 ち粉 (強力粉) を し , 麺棒で伸ば し , 型抜き (外 円直径 6 cm, 内円直径 3 cm) をす る。 5 . 生地の重量は, 25-27g の範囲で小数点以下第 2 位ま で測定 し た。 6 . 以下の条件で油ち よう し た。 揚げ油: 700m1 温度: 160-170℃ (温度計で調整) 揚げ時間: 3 分 ( 2 回裏返 し を含む。 ド ーナツ生地 表面 1 分, ド ーナ ツ生地裏面 1 分, ド ーナ ツ生地表 面30秒, ド ーナ ツ生地裏面30秒と し た) 油切り 方法: 10回振り 切り (鍋際には接触させない) 7 . 金網上に設置 し た濾紙に ド ーナ ツ を置 く 。 8 . 10分間室温で放冷。 3-3. ド ーナ ツの品質評価 ド ーナ ツの品質 につい て, 油ち よう 過程におけ る ド ー ナ ツの重量増加率 と 油 ち よう 後 におけ る濾紙への油の染 み出 し 量の測定 を, 下記のと お り に行 っ た。 (1) 油 ち よ う 過程に お け る ド ーナ ツ の重量増加率

官能評価①

・サンプル (調製2時間経過)

コントロール、ハイアミロース内部40%、

ハイアミロース外皮40%、エーテル化20%

・対象

H大学 学生

l 3名

評価項目 1. 色 2. 口ざわり 3. 硬さ 4. ガム性 5. フワフワ感 6. 油っぽさ 7.甘さ 8. 酸味 9. 味 10. 総合評価 以上10 項目を 5段階評価した。 (評点法) 油 ち よ う 前後 におけ る ド ーナ ツの重量変化から 重量増 加率 を求めた。 重量増加率 (%) = 1揚げ ドーナツの重量 (油ち よう 後)

-

ド ーナ ツ生地の重量 (油 ち よう 前) l ÷ ド ーナ ツ生地 の重量 (油ち よう 前) x 100 (2) 油 ち よ う 後に お け る濾紙への油の染 み出 し 量 ド ーナ ツ か ら 濾紙への油の染 み出 し 量は, 10分間 ド ー ナ ツ を濾紙上に放置 し た前後 での濾紙の重量変化 か ら求 め た。 濾紙への油 の染 み出 し 量 (g) = ド ーナ ツ か ら の油が 染 み込 んだ濾紙の重量 濾紙の重量 3-4. ド ーナ ツの低吸油性 と 美味 し さ の追求 3-3 よ り , 特に低吸油性 を示 し た糖質や澱粉 を取 り 上 げ, 低吸油性と 美味 し さ への影響 を検討 し た。 (1) ド ーナ ツの比容積 ド ーナ ツ表面全体 を ア ル ミ ホイ ルで包 み, ナ タ ネ法 に よ り 下記の式 から求めた。 比容積 = ド ーナ ツの体積 (cm) ÷ ド ーナ ツの質量 (g) (2) ド ーナ ツの油脂量 ソ ツ ク ス レ 一法 5) を 使 っ て ド ーナ ツ の油 脂 量 を 測定 し た。 (3) 水分含量 と 水分活性 水分含量は, 加熱乾式水分計 (㈱エ ー ・ ア ン ド デイ) MS-70 を使用 し , 試料2.3~ 2.8g の範囲で秤量 し , 130℃ でマニ ュ アルに従い測定 し た。 水分活性は, 水分活性装

官能評価②

・ サンプル (調製z日間経過)

コントロール、粉船A20%、エーテル化20%

・対象

K大学 学生 l 2名

評価項目 〇

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図 1 . 官能評価の方法

(4)

置 Novasina IC-500 AW-LAB ( 日本 シイ ベルヘグナー ㈱) を使用 し , 試料 をケ ースの 7 分目ま で充填 し , マニ ュ ア ルに従い測定 し た。 (4) 官能評価 図 1 に示す内容で官能評価 を行 っ た。 各 ド ーナ ツは, 1 個 を 4 等分 し容器に入れ乾燥 し ないよ う に し た。 ①に つい ては主 に低吸油性 を , ② につい ては テ ク ス チ ヤー を 中心に比較す るこ と を目的に評価 し た。

4 . 実験結果 と 考察

4-1. 膨潤率の結果 非加熱時の膨潤率の結果 を写真 2 と 表 3 に示す。 ハイ ア ミ ロ ース外皮が372% と , 最 も膨潤す る結果 と な っ た。 次いで, イ ヌ リ ン272%, ハイ アミ ロ ース内部234%, エー テル化206%, リ ン酸架橋187%, 小麦澱粉185% と な っ た。 デキス ト リ ン, 粉始 A, B は溶解 し た。 外皮, 内部 と も にハイ ア ミ ロ ースが高い値 を示 し てい る。 一般にハイ ア ミ ロ ースは糊化温度が非常 に高い と さ れてい るが, 今回の膨潤率の高 さ は水 を多 量に吸着 し た ため と 推察 で き る。 高い値 を示 し たイ ヌ リ ンは天然の水 溶性食物繊維であ る ため, 食物繊維の保水性 を表す結果 で あ る と い え る。 エ ー テル化澱粉は, エ ーテ ル化の特性

A

B

C

D

と し て膨潤が促進 さ れた こ と が分か る。 リ ン酸架橋澱粉 は小麦澱粉 と 同程度の膨潤率 を示 し た。 こ れは架橋によ り タ ピ オ カ 澱粉 の膨潤 が抑制 さ れた と 推察 さ れた。 次に加熱後の膨潤率の結果を写真 3 と 表 3 に示す。 小 麦澱粉は加熱す るこ と で非加熱よ り も約 3 倍以上の膨潤 率 を示 し た。 加熱によ り 膨潤が進む澱粉の特性 を よ く 表 し てい る。 デキス ト リ ン, 粉飴 A, B は非加熱時 と 同様 に溶解 し , イ ヌ リ ンも 溶解す る よ う に な っ た。 こ れは低 分子の食物繊維が加熱によ り 分解 さ れ, 溶解性 を示 し た と 考え ら れる。 一方 , ハイ ア ミ ロ ースは加熱 をす る と , 非加熱時に比 べ, いず れも 膨潤率は増加 し た。 一般に, ハイ ア ミ ロ ー スは135°C 以上 で完全 に糊化 す る と い わ れて い る た め, 完全糊化 し てい るわけ ではないが, 一部糊化によ り , こ のよ う な値 を示 し たのでは ない か と 推察 さ れる。 ま た, 加熱前 と 同様にリ ン酸架橋澱粉は膨潤 を抑制 し低値 を, エ ーテル化澱粉は膨潤 を促進 し 高値 を, そ れぞれ示 し た。 従 っ て, こ れら の加工澱粉の特性は加熱の有無 にかかわ ら ず同 じ傾向 を示 し た。 4-2. 各種澱粉の糊化特性 ビス コ ア ミ ロ グラ フ の結果, デキ ス ト リ ン, イ ヌ リ ン, 粉飴 A, B, リ ン酸架橋, ハイ ア ミ ロ ース内部, 外皮は

E

F

G

H

l

写真 2 . 違心分離後の試料の様子 (非加熱)

A, 小麦澱粉; B, デキス ト リ ン; C, イ ヌ リ ン; D, 粉飴 A; E, 粉飴 B; F, リ ン酸架橋; G, エ ーテル化;

H, ハイ ア ミ ロ ース内部; l , ハイ ア ミ ロ ース外皮

表 3 . 各種糖質と 澱粉の膨潤率

試料

小麦澱粉 デキストリン イヌリン

粉飴A

粉 B

リン酸架橋

エーテル化 ハイアミロース内部

ハイアミロース外皮 膨潤率 (B

185%

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272%

_

187%

206%

234%

372%

'A X100) (0

%

0

625%

502%

689%

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577%

膨潤率 (

加熱なし

85%

_

172%

_

87%

106%

134%

272%

525%

402%

589%

470%

477%

(5)

A

B

C

D

E

F

G

H

l

写真 3 . 加熱後の試料の様子

A, 小麦澱粉; B, デキス ト リ ン; C, イ ヌ リ ン; D, 粉飴 A; E, 粉飴 B; F, リ ン酸架橋; G, エ ーテル化;

H, ハイ ア ミ ロ ース内部; l , ハイ ア ミ ロ ース外皮

( 。/。 ) 0 0 0 0 0 0 0 6 5 4 3 2 - ピ ー ク を示 さ な か っ た。 デキ ス ト リ ン, 粉飴 A, B は酸 や酵素で分解 し得 ら れる加工澱粉であ るので, 分子量が 小 さ い。 こ のため, 先の膨潤率の結果で も得 ら れた よ う に膨潤前に溶解 し て し まい粘性 を示 さ なか っ た と 推測で き る。 イ ヌ リ ンも膨潤率結果 と同様に, 水溶性食物繊維 で あ る ため水 に溶解 し て し ま い粘性 を示 さ なか っ た と 考 え ら れる。 リ ン酸架橋澱粉は先の膨潤率の結果で糊化抑

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図 2 . ド ーナ ツの重量増加率 ( みかけの油脂量) 制 を示 し たが, こ の特性が今回の ビス コ ア ミ ロ グラ フ で も粘性 を示 さ ない と い う 結果に至 っ た と 思われる。 ハイ ア ミ ロ ースは既述の と お り , 完全糊化温度が135°C 以上 で あ る ため今回の条件下 では膨潤 し なか っ た と 考え ら れ る。 次 に ピー ク を示 し た薄力粉, 小麦澱粉, エ ーテル化澱 粉 につい ては, 糊化 ピ ーク 温度は, 各々, 92.3°C , 96.8

(6)

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試料 (3 ): 1 :- 一一一 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 、 、、, \。

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試料 図 3 . ド ーナ ツ から濾紙への油の染 み出 し量 ( みかけの油脂量) ℃, 66.0℃と な っ た。 エ ーテル化澱粉の温度が低いのは, 先の膨潤率の結果で得 ら れた膨潤促進の特性に よ る と 考 え ら れた。 糊化粘度は, 薄力粉791BU, 小麦澱粉400BU, エ ーテル化 澱粉934Bu で あ っ た。 薄力粉の粘度が小麦 澱粉に比べ て, 約 2 倍近 く も 高いのは, 弾性や粘性 を強 化 す る グル テ ンが含 ま れてい る た め と 思 われる。 エ ー テ ル化澱粉に よ る粘度増加 も既述の通り , 膨潤促進の特性 に起因 す る結果 と いえ る。 ま た, ブ レイ ク ダウ ンの値は,

薄力粉126BU, 小麦澱粉30BU, エ ーテル化澱粉159BU と な り , エ ーテル化は膨潤 と 結晶崩壊 を促進 し てい た。 ト ー タ ルセ ツト バ ツクは薄力粉873BU, 小麦澱粉920BU, エ ー テ ル化 澱粉299BU と な っ た。 ト ー タ ルセ ツ ト バ ツ ク は結晶性 を な く し た澱粉が どの程度再結晶化 し たか, す なわち老化の程度 を示す指標の ひと つであ る。 エ ーテ ル化澱粉は他の 2 つに比べ, 低値 を示 し たこ と から , 粘 性の高い ゲルを形成 し つつ も , 澱粉の崩壊 と 再結晶化は 抑制 さ れた と いえ る。 す なわち , こ のこ と が老化耐性に つ なが る と い う 特徴 も エ ー テル化は も た ら す も の と 考え ら れる。 4-3. ド ーナ ツ の特性 に お よ ぼ す各種糖質 お よ び加工 澱 粉の影響 (1 ) ド ーナ ツの重量増加率 と i演紙への油の染み出 し量測 定結果 イ ヌ リ ン10%, リ ン酸架橋10%, エーテル化10%-30%, ハイ ア ミ ロ ース内部20-40%, ハイ ア ミ ロ ース外皮20-50 % に おい て ド ーナ ツ の重量増加率が低下 し た (図 2 ) 。 また, リ ン酸架橋10%, エ ーテル化10%, 30%, ハイ ア ミ ロ ース内部20-40%, ハイ アミ ロ ース外皮20-50% にお い て濾紙への染 み出 し 量が低下 し た (図 3 ) 。 従 っ て, リ ン酸架橋, エ ーテル化, ハイ ア ミ ロ ース内部 と 外皮は 見かけ の油脂量が低下す る傾向 を示 し た。 ま た, エ ーテ ル化では, 代替率が増加す る と みかけの、1由脂量が低下 し , 20%以上の代替で ガム性が現れた (写真 4 ) 。 リ ン酸架 橋 では, 10 %代替 ド ーナ ツのみかけ の油脂量が低下 し , 20%以上の代替で苦味が現れた (写真 4 ) 。 さ ら に, 粉 飴 A では生地の流動性が高 く な り , 20% で フ ワ フ ワ と したテク スチ ヤー を示 し, 良好な影響を与えた (写真 4 )。 (2) ド ーナ ツの特性に お よ ぼす新奇小麦粉 の影響 ハイ ア ミ ロ ース内部では以下の特徴が見 ら れた (写真

5 )。

・ 代替率が増加す る と みかけ の油脂量が顕著に低下 ・ 生地は コ ン ト ロ ールに比べ硬い ・ 味 や食感は, コ ン ト ロ ールに近い ド ーナ ツ ・ 油 ち よう 後の ド ーナ ツの外側は色が濃い

(7)

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油ちよう前 油ちよう後

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油ちよう後 油ちよう前 油ちよう後 各種糖質 と i、殿粉 を含 む ド ーナ ツ の外観写真 油ちよう前 一 油ちよう後 ミキシング後 油ちよう前 油ちよう後 写真 5 . ハ イ ア ミ ロ ー ス を含 む ド ーナ ツ の外観写真

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試料 図 4 . ド ーナ ツの油脂量 (実際に含 ま れる油脂量) ま た, ハイ ア ミ ロ ース外皮 では以下の特徴が見 ら れた (写真 5 ) 。 ・ 代替率の増加でみかけの油脂量が顕著に低下 ・ ミ キ シ ン グ後の生地が 1 つに ま と ま ら ず, 生地は, コ ン ト ロ ールに比べ硬い ・ ド ーナ ツ生地の色 も , 揚げ ド ーナ ツ共に色が濃い ・ 外皮独特の味 ・ ド ーナ ツ の テ ク ス チ ヤーは , ク ッ キ ーの よ う に 硬 く , 膨 ら み も少 ない 4-4. ド ーナ ツの低吸油性 と 美味 し さ の追求 (1) 比容積測定結果 薄力粉の一部 を粉始 A で代替す る と , 生地 を ド ーナ ツ型で抜 く こ と がで き なか っ た (写真 4 ) 。 コ ン ト ロ ー ル と 測定条件 を同 じ にす る ため, ま た リ ン グ状の ド ーナ ツは体積 を測定す る際に誤差が出 る ため, 生地 を型で抜 かず, パ ラ フ ィ ン紙上に円形 に ド ーナ ツ生地 を乗せ油で 揚げ る こ と と し た。 コ ン ト ロ ール と 粉飴 A 20% の ド ー ナ ツの比容積は各々, 2.25cm/g と 2.21cm/g で, 両者間に 大 き な差が見 ら れなかっ た。 粉始 A 20% にす る こ と で, 生地の重量増加率 と ド ーナ ツから の油の染 み出 し 量 と も に コ ン ト ロ ールの 2 倍近い値 を示 し た。 従 っ て, 粉始 A は低吸油性につ なが ら ない素材 であ る と 考え ら れた。 (2) 油脂量測定結果 図 4 よ り , ハイ ア ミ ロ ース内部, 外皮40-50% , エ ー デル化30%代替 し た ド ーナ ツ の油脂量は コ ン ト ロ ールに 比べ減少 し た。 従 っ て, こ れら の素材は ド ーナ ツ に低吸 油性 を も た ら す こ と が明 ら かと な っ た。 (3) 水分活性及び水分含量測定結果 ド ーナ ツ生地の水分含量 と 水分活性につい ては試料間 で大 き な差は見 ら れなか っ た。 ハイ ア ミ ロ ース内部 , 外 皮は顕著に ド ーナ ツの水分含量と 水分活性 を低下 させた。 つま り , ハイ ア ミ ロ ース内部, 外皮は, 油ち よう 時に コ ン ト ロ ールよ り 水分流出が多 い に も 関わら ず, 吸油性は 低い傾向 を示 し た。 (4) 官能評価結果 粉始20% は ド ーナ ツの食感改善効果, 美味 し さ を向上 さ せ た (図 5 ) 。 ま た, ハイ ア ミ ロ ース内部は味, テ ク スチ ヤー と も に コ ン ト ロ ールと 同程度の美味 し さ を示 し , 一方 , ハイ ア ミ ロ ース外皮は, 味, テ ク チ ヤー と も に コ ン ト ロ ールに劣 ると いう 傾向 を示 し た (図 6 ) 。

5 . 結論

各種糖質 や澱粉が ド ーナ ツの品質 におよ ぼす影響 を図 7 に ま と めた。 8 種類の素材の中で , ハイ ア ミ ロ ース内 部, 外皮 , エ ーテ ル化は ド ーナ ツ に低吸油性 を も た ら す こ と , ま た, 粉始 A は ド ーナ ツの食感改善 と 美味 し さ を向上す る結果が得 ら れた。 ド ーナ ツの美味 し さ につい て調べた結果, 最 も低吸油

(9)

図 5 . ド ーナ ツの官能評価結果 (調製 2 日後に測定) 3 - P、 2 -

rl

tく 1 -0 ・

l l l l l l l l l 1 t -◇ -

つ 口コントロール 評価項日 ■ ハイアミロース外皮40% 図 6 . ド ーナ ツの官能評価結果 (調製 2 時間後に測定) 性 を も た ら し たハイ ア ミ ロ ー ス外皮 を含 む ド ーナ ツ の調 製 2 時間後の官能評価では, テ ク ス チ ヤー に関す る項目 や, 味, 総合評価におい て良好 な結果は得 ら れなかっ た。 従 っ て, 今後ハイ ア ミ ロ ース外皮 を ド ーナ ツ材料に代替 す る ためには, その使用量等 を更に検討す る必要があ る と 思わ れる。 一方, ハイ アミ ロ ース内部の低吸油性は外皮よ り も劣 っ てい たが, 同 じ条件下の官能評価では, ほぼ全 ての項目 で コ ン ト ロ ールと 有意差はな く , コ ン ト ロ ールと 同程度 の美味 し さ を保 っ てい た。 し か し , 今回 デー タ 一 を示 し てはい ないが, 2 日後の官能評価では, ハイ ア ミ ロ ース 内部は コ ン ト ロ ールに比べ有意に硬い と い う 結果 と な っ

(10)

ハイアミロース

外皮 (4u-

L)

u 。代替)

- 最も低吸油性に優れる

・ テクスチヤーや味はドーナツ

として改良が必要

・味、テクスチヤー の改善

低カロリー食品への利用

低吸油性に優れる

. . , ・

テクスチヤーや味はドーナツ

、 ・

代替率を増加し、低吸油性

として良好

を追求

- 低吸油性に優れる

' 30%代替ではガム性を示す

・ 代替率を段階的に増加し、

低吸油性とガム性の関係を

官能評価で明確化

代替率を低下し、食感改善

と低吸油性を追求

図 7 . 各種糖質や澱粉 が ド ーナ ツの品質に およぼす影響 た。 従 っ て こ の素材は, 調製直後の ド ーナ ツ では味, テ ク ス チ ヤー と も に コ ン ト ロ ール並 みの品質 を保 つが, 数 日間経過す る と老化が激 し く テ ク スチ ヤー を保持 し 続け る こ と は難 し い こ と が分か っ た。 エ ーテル化は, 30%代替時に低吸油性が明 ら かと な っ た。 従 っ て今後は, 代替率 と テ ク ス チ ヤー と の関係 を調 べ てい く 必要があ る。 粉飴 A は ド ーナ ツ に低吸油性 を も た ら さ なか っ たが, コ ン ト ロ ールやハイ ア ミ ロ ー ス内部 を代替 し た ド ーナ ツ が時間経過と 共に老化傾向 を示 し た一方で, 調製 2 日後 の官能評価で も , コ ン ト ロ ールよ り も有意に良好 な結果 を示 し た。 従 っ て , 粉始 A は ド ーナ ツ の品質 に有 意な 食感改善と美味 し さ向上効果 を与え, さ ら にこ の特性を 長時間保持でき るこ と が示唆 さ れた。 ま た代替率10% の ド ーナ ツの 「 みかけ の油脂量」 は, コ ン ト ロ ールと 同程 度 であ っ た。 従 っ て, 代替率 を さ ら に低下 さ せ, 低吸油 傾向 を示 し たハイ ア ミ ロ ース内部, 外皮 と の組み合わせ を行 う な ど併用方法 を再検討す れば, ド ーナ ツ と し ての 美味 し さ と 低吸油性 を も示す ド ーナ ツの製品化 も可能で あ る と 考え ら れた。

参考文献

1 ) 佐藤之紀, 高田昌子, 野口駿, ド ーナツの吸油量に 影響す る要因 一 ド ウの配合 と 大 き さ の影響 一 , 日本家

政学会誌, 42, 377-380 (1991) .

2 ) 佐藤之紀, 高田昌子, 野口駿, ド ーナツ調製時の油 脂の動き に関する一考察, 日本家政学会誌, 42,

275-278 (1991) .

3 ) 貝沼主二, 小田恒郎, 鈴木繁男 澱粉のリ ン酸誘導 体に関す る研究 (第 p 械) 無水 リ ン酸によ る架橋型リ ン酸澱粉の合成, 澱粉工誌, 14, 24-28 (1967) . 4 ) American Association of Cereal Chemists. Approved

Methods of the AACC, 10th ed., Method 22-12. The as-sociation: St. Paul, M N. (2000) .

5 ) 堤 忠一, 食品分析ハ ン ド ブ ッ ク , 小原哲二郎 ・ 鈴 木 隆 雄 ・ 岩 尾 祐 之 監 修 , 第 3 版 , p 36, 建帛 社

表 2 .  ド ーナ ツの調製材料 と 配合表 8 0 0 0 0 0 198765  l ~ 、 ◆l  00000012345  l  555555 222222 ・ l ・ ~ 0  l  0  555555 222222  写真 1
図 5 .  ド ーナ ツの官能評価結果  (調製 2 日後に測定)  3 -  P 、 2 -  rl  tく 1  -0 ・  、  l  l  l  l  l  l  l  l  l 1 t  -◇  つ  - 、 口コントロール 評価項日  ■ ハイアミロース外皮40%  図 6

参照

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