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博 士 ( 工 学 ) 佐 藤 光 一

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 佐 藤 光 一

学 位 論 文 題 名

水 中 ス ト ラ ッ ト 式 構 造 物 の 構 造 特 性 と 設 計 法 に 関 す る 研 究 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近年,戦後建設した港湾施設の老朽化・陳腐化や船型の大型化に対応するために,岸壁の更 新や増深等の港湾再開発が各地で計画・推進されている。その際,限られた水域・用地内での 狭 隘 域施 工を余 儀なくさ れ,在 来工法で の対応 が困難に なると いった問 題があっ た。

  このよう蕨背景の下に,シンプルな構造で,設計の自由度が高く,耐震性に優れ,特殊な施 工設備や技量を必要としない水中ストラット式構造物(前方杭型,後方杭型,中詰土型)を考 案・開発した。しかし,新しい構造形式である本構造物を実用化するためには,その構造特性 等を最大限に活かした設計法を研究・提案する必要があった。

  本研究では,水中ストラット式構造物の設計上の課題を,基本形である前方杭型については 実験と理論解析を中心に,発展型である後方杭型と中詰土型については理論解析を中心に解明 す る と と も に , こ れ ら の 成 果 を 活 か し た 設 計 法 を 提 案 す る こ と を 目 的 と し た 。

  本研究でとりあげた設計上の課題は,(1)全体構造の設計(2)細部構造の設計(3ぢ肖波構造の 設計(4)耐氷設計(5)後方杭型水中ストラット式構造物の設計(6)中詰土型水中ストラット 式構造物の設計等である。

  (1)全体構造の設計に関する課題には,ぐD全体構造の変形及び断面カの計算を行うための構造 モ デル の設定と 計算法 @下部構 造構成部 材の支 配方程式 ◎格点 の結合条 件@横 抵抗に 関 す る 群 杭 効 果 の 影 響 ◎ 改 良 地 盤 中の 構 造 設計 法 と 地盤 改 良 範 囲の 設 定 があ る 。

  実大規模構造体水平載荷試験等と理論解析から,全体構造の変形及び断面カは,下部構造と 上部構造を―体として骨組構造計算を行えばよいこと,下部構造構成部材には非線形弾性地盤 反カを受ける梁(港研方式杭)の支配方程式の適合性が最もよいカ1線形弾性地盤反カを受け る弾性床上の梁の支配方程式を適用しても実用上問題のないこと,久保らが提案している横抵 抗に関する群杭効果の評価方法は過大な設計結果を与えること,格点は剛結合節点とレて機能 す るこ と 等 を 明ら か に する と と もに , こ れら の 結 果を 反映し た設計法 を提案 した。

  改良地盤中の構造設計法等については,改良幅と改良深度を変化させた床堀置換夕イプの人 工地盤中における構造模型に対する水平載荷試験と理論解析から,所定の改良幅以上あればニ 層系地盤として挙動すること,特定の改良形状のときには改良体があたかも剛体のように変位 す る こ と 等 を 明 ら か す る とと も に ,こ れ ら の結 果 を 反映 し た 設 計法 を 提 案し た 。

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(2)

  (2)細部構造の設計に関する課 題には,の格点の設計法(管軸方向付着強度,パンチング強度)

@新 たに考案した杭頭ー梁結合 部の設計法がある。

  API等 に は 格 点 の 設 計 法 ( 以 下 、API法 ) が , そ の 適 用 範 囲 ( 鋼 管 杭 の 径 厚 比 (Dit) く40等 ) と と も に 規 定 さ れ て い る 。 しか し, 本構 造物 に 使用 する 鋼管 杭 のD/tは60〜100と 薄 肉 でAPI法の 適 用範 囲外 であ る。 ま た, 本構 造物 では 格 点の みが グラ ウ ト接 合さ れて いる た め ,杭 打ち 等の 施工 誤 差の影 響が格点の管軸方向付着強度 に敏感に現れる可能性があ る。こ のた め,これらの影響を再現し た格点の部分実大模型に対す る載荷試験を実施した。その結果,

鋼 管 杭の 直径 板厚 比(Dit)が100程度 の薄 肉 鋼管 の場 合で も ,ま た杭 打ち 等の施工誤 差があ る 場 合で もAP|法 を適 用 でき るこ とを 明ら か にし た。 本結 合 部を 含む 実大 構造模型に 対する 載 荷 試験 を実 施し た。 そ の結果 ,杭頭―梁結合部は完全な剛 結合節点として挙動しない ことを 明ら かにするとともに,杭頭一 梁結合部の構造仕様を反映レ た構造設計(解析)法を提案レた。

(3)新 た に考 案し たフ ィン 形 消波 部材 を有 する 水 中ス トラ ット 式 構造 物の 設計 に関 す る課 題 には ,反 射波 特 性, 伝達 波特性及び波圧特性の解明が ある。このため,模型水理 実験により,

反射率,伝達率,波カ分布 等を明らかにするとともに ,消波構造物としての設計法を提案した。

(4)耐 氷 設計 に関 する 課題 と レて ,氷 盤移 動 による重 防食被覆鋼管杭等の摩耗特 性及び氷盤凍 着に よる 重防 食 被覆 鋼管 杭等の凍着特性の解明がある 。このため,各種の重防食 被覆鋼材等に 対し て, 往復 運 動方 式の 摩耗試験及び押し抜き試験を 実施することにより摩耗特 性及び凍着特 性を 調査 した 結 果, ボリ エチレン等は防食だけでなく ,氷盤移動による鋼表面の 摩耗や氷盤凍 着 に よ る 部 材 軸 方 向 カ の 作 用 か ら鋼 構造 物を 保 護す るの に有 効 蔽こ とが 明ら かと な った 。

(5)後方 杭型 水中 ス トラット式構造物の設計法 につむ1ては,斜材(ストラ ット部材)に作用す る裏 埋土 の 載荷 重効 果,後方杭の仮想地盤面の 設定等について検討・提案 した。そして,提案 し た 設 計 法 に よ る 設 計 例 を 示 す こ と に よ り , 構 造 設 計 が 可 能 な こ と 示 し た 。

(6)中詰 土 型水 中ス トラ ット 式 構造 物の 設計 法につい ては,中詰土と→体的に挙動 する壁体構 成 部材 等に 関す る 部材剛性 方程式を誘導するとともに ,中詰土を有する壁体構造物 特有の境界 条 件等 の処 理を 考 慮した剛 性マ卜リックス法によるカ 学的挙動解析法を開発した。 そして,本 解 析 法 に よ る 設 計 例 を 示 す こ と に よ り , 構 造 設 計 が 可 能 な こ と 示 し た 。

(7)耐 震設 計 と(8)疲労設計につい ては,既往の設計技術のレ ビューとその適応性について 試設 計 を 通 じ て 検 討 す る と と も に , 耐 震 性 , 耐 疲 労 性 の ― 層 の 向 上 方 策 を 提 案 し た 。

  これらの研究 成果をもとに,釧路港東港 区‐7.5m岸壁,苫小牧港西港区‑14mコンテナバース,

室蘭港入江地区 岸壁・物揚場,小樽港色内 地区防波堤,虻田漁港‑3.5m岸壁,標津漁港‐4.Om耐 震 岸 壁 , 石 狩 湾 新 港‑14m岸 壁 な ど 多 く の 港 湾 ・ 漁 港 構 造 物 が 設 計 ・ 施 工 さ れ て い る 。   今後 は, 沿岸 域分 野にとどまらす,河 川・砂防等他分野への展開を 図るとともに,上部エの プ レキ ャス ト化 ・軽 量化に係わる新たな 構造要素の発明 開発とその 設計法を確立することに よ り , 急 速 施 工 の 一 層 の 推 進 と 耐 震 性 の 向 上 を 図 る 必 要 が あ る と 考 え る 。     以上

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(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

水中ストラット式構造物の構造特性と設計法に関する研究

  近年、戦後建設した港湾施設の老朽化・陳腐化や船型の大型化に対応するために、岸壁 の更新や増深棟の港湾再開発が各地で計画・推進されている。その際、限られた水域・用 地内での狭隘息施工を余儀なくされ、在来工法での対応が困難になるといった問題があつ た。

  このような背景の下に、著者はシンプルな構造で、設計の自由度が高く、耐震性に優れ、

特殊な施工設備や技量を必要としなぃ水中ストラット式構造物(前方杭型、後方杭型、中詰 土型)を考案・開発した。しかし、新しい構造形式である本構造物を実用化するためには、

そ の 構 造 特 性 を 最 大 限 に 活 か し た 設 計 法 を 研 究 ・ 提 案 す る 必 要 が あ っ た 。   本論文は、水中ストラット式構造物の設計上の課題を、基本形である前方杭型について は実験と理論解析を中心に、発展的である後方杭型と中詰土型にっいては理論解析を中心 に 解明 する とと もに 、@ 全体 構造物 の設計法◎細部構造の設計法◎消波構造の設計法

◎ 耐氷 設計 法◎ 後方 杭型 水中 ストラ ット式構造物の設計法◎中詰土型水中ストラヅト 式構造物の設計法を中心課題とし、全16章より成り立っている。

  @全体構造物の設計法に関する課題では、実大規模構造体水平載荷試験等と理論解析か ら、全体構造の変形及び断面カは、下部構造と上部構造を一体化して骨組構造計算を行え ばよいこと、下部構造構成部材には非線形弾性地盤反カを受ける簗(港研方式杭)の支配方程 式を適用しても実用上問題のないこと、久保らが提案している横抵抗に関する群杭効果の 評価方法は課題な設計結果を与えること、格点は剛結合節点として機能すること等を明ら かにするとともに、これらの結果を反映した設計法を提案した。

  改良地盤中の構造設計法等については、改良幅と改良深度を変化させた床堀置換夕イブ の人口地盤中における構造模型に対する水平載荷試験と理論解析から、所定の改良幅以上 あれば二層系地盤として挙動すること、特定の改良形状のときには改良体があたかも剛体 のように変位すること等を明らかにするとともに、これらの結果を反映した設計法を提案

‑ 228

浩 一

   

一 隆

   

   

清 浩

   

伯 浦

藤 上

三 佐

三 山

授 授

授 授

   

   

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

した。

  ◎細部構造の設計に関する課題では、API等には格点の設計法(以下、API法)が、その適 用範囲(鋼管杭の径厚比(D/t)く40等)とともに規定されている。しかし、本構造に使用す る 鋼管 杭のD/tは60〜100と薄肉でAPI法の適用範囲外である。また、 本構造では格点の みがグラ ウトされているため、杭打ち等の施工誤差の影響が格点の管軸方向付着強度に敏 感に現れ る可能性がある。このため、これらの影響を再現した格点の部分実大模型に対す る載荷試 験を実施した。その結果、鋼管杭の径板厚比(D/t)が100程度の薄肉鋼管の場合で も、また 杭打ち等の施工誤差がある場合でもAPI法を適用できることを明らかにした。本 結合部を 含む実大構造模型に対する載荷試験を実施した。その結果、杭頭一簗結合部は完 全な剛結 合節点として挙動しないことを明らかにするとともに、杭頭一簗結合部の構造仕 様を反映した構造設計(解析)法を提案した。

  ◎消波 構造の設計法では、新たに考案したフイン形消波部材を有する水中ストラット式 構造物の 設計に関する課題については、模型水理実験により、反射、伝達率、波力分布等 を 明 ら か に す る と と も に 、 消 波 構 造 物 と し て の 設 計 法 を 提 案 し た 。

  @耐氷設計に関する課題では、各種の重防食被覆鋼材等に対して、往復運動方式の摩耗 試験及び押し抜き試験を実施することにより摩耗特性及び凍着特性を調査した結果、ポリ エチレン等は防食だけでなく、氷盤移動による鋼表面の摩耗や氷盤凍着による部材軸方向 カ の 作 用 か ら 鋼 構 造 物 を 保 護 す る の に 有 効 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。

  ◎後方杭型水中ストラット式構造物の設計法については、斜材(ストラット部材)に作用す る裏埋土の載荷重効果、後方杭の仮想地盤面の設定等について検討・提案し、提案した設 計 法 に よ る 設 計 例 を 示 す こ と に よ り 、 構 造 設 計 が 可 能 な こ と を 示 し た 。

  ◎中詰土型水中スト ラット式構造物の設計法については、中詰土と一体的に挙動する壁 体構成部材等に関する 部材剛性方程式を誘導するとともに、中詰土を有する壁体構造物特 有の境界条件等の処理を考慮した剛性マトリックス法によるカ学的挙動解析法を開発した。

そして、本解析法によ る設計例を示すことにより、構造設計が可能なことを示した。さら に、耐震設計と疲労設 計については、既往の設計技術のレピューとその適応性について試 設 計 を 通 じ て 検 討 す る と と もに 、耐 震性 、 耐疲 労性 の一 層の 向上 方策 を提 案し た。

  これらの研究成果とともに、釧路港束港区.7.5m岸壁、苫小牧港西港区‑14mコンテナバ ース、石狩湾新港‑14m岸壁など多くの港湾・漁港構造物でこの水中ストラット式構造物が 採用され、設計、施工に本論文の成果が用いられている。

  これを要するに、著者は水中ストラット式構造物を開発し、その設計法を確立するとと もに、多くの構造工学ヒの新知見を示したもので、港湾工学、沿岸海洋工学それに構造工 学の発展に寄与するところ大いなるものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)

の学位を授与される資格あるものと認める。

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