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ニホンッキノワグマ(

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 飯 渕 る り 子

学 位 論 文 題 名

ニホンッキノワグマ(U7's7tts 励ibetanzts japonicus) に お け る 精 巣 機 能 の 季 節 変 化 の 制御 機序 に関 す る研 究

学位 論文内容の要旨

  多 く の 野 生 動 物 は 、 食 物 が 豊 富な 時期 に出 産し 、子 育て を 行う ため に、1年 のう ち特 定 の 時 期 に の み 繁 殖 を 行 う 。 本 研 究 の 対 象 で あ る ニ ホ ン ツ キ ノワ グマ は長 日性 季節 繁殖 動 物 で あ り 、 雄 雌 と も に 性 腺 の 機 能 が 季 節 に よ っ て 大 き く 変 化す る。 雄ツ キノ ワグ マの 繁 殖 に つ い て は 、 精 子 形 成 お よ び テ ス ト ス テ 口 ン 濃 度 の 変 化 につ いて よく 調べ られ てき た が 、 そ の 変 化 の 機 序 に つ い て は ま だ 分 か っ て い な い こ と が 多い 。そ こで 本研 究で は、 ツ キ ノ ワ グ マ の 精 巣 機 能 の 季 節 変 化 を も た ら す 生 理 学 的 機 序 の一 端を 解明 する こと を目 的 と し た 。 性 腺 機 能 の 変 化 は 、 主 に 視 床 下 部 一 下 垂 体 一 性 腺 軸を 中心 とす る内 分泌 系お よ び 精 巣 局 所 に お け る 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン の 作 用 に よ り も たら され る。 その ため 本研 究 で は 、 下 垂 体 か ら 分 泌 さ れ る 性 腺 刺 激 ホ ル モ ン お よ び 精 巣 にお ける 性ス テロ イド ホル モ ン 合成 に関 わる ステ 口イ ド代 謝酵 素に 注目 して 研究 を行 っ た。

  屋 外 で 活 動 し 、 冬 は 冬 眠 す る な ど 自 然 に 近 い 状 態 で 飼 育 され てい る成 熟雄 ツキ ノワ グ マ を 用 い 、 精 巣 の 活 性 期 (5〜7月) 、退 行期 (10へ11月) お よび 精子 形成 再開 期(12〜4 月 ) に 精 巣 組 織 お よ び 血 液 を 採 取 し た 。 精 子 形 成 再 開 期 に は 月1回 の 採 材 を 行 っ た 。   ま ず 、 血 漿 テ ス ト ス テ 口 ン 、 性 腺 刺 激 ホ ル モ ン (FSHお よ びLH)、 イ ン ヒ ピ ン 濃 度 の 変 化 と 精 巣 に お け る 性 腺 刺 激 ホ ル モ ン 受 容 体 (FSHrお よ びLHr)のmRNA発 現 に つ い て 調 ぺ た 。 血 漿 テ ス ト ス テ ロ ン お よ び イ ン ヒ ピ ン 濃 度 は 精 子 形 成再 開期 およ び活 性期 に精 巣 サ イ ズ の 増 大 に 伴 っ て 有 意 に 上 昇 し 、FSH濃 度 は 精 子 形 成 再 開 期 に 上 昇 す る 傾 向 に あ っ た 。FSHr mRNAは 、 精 細 管 基 底 部 に調 べた 全て の月 にお いて 発現 が認 めら れた こと から 、 FSHが 精 子 形 成 に 対 し て 促 進 的 に 働 い て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。LH受 容 体 のmRNAは 問 質 組 織 に 発 現 が 認 め ら れ た が 、LH濃 度 お よ びLH受 容 体 の 発 現に は有 意な 変化 は認 めら れ な か っ た 。 イ ン ヒ ピ ン の 濃 度 変 化 は テ ス ト ス テ 口 ン の 変 化 と同 調し てお り、 精巣 機能 の 活 性化 に伴 って 上昇 した と考 えら れた 。

  次 に ツ キ ノ ワ グ マ に お け る ス テ ロ イ ド 代 謝 酵 素 のmRNA塩 基 配 列 を 決 定 し 、in situ hybridization法に より 精巣 に おけ る発 現部 位を 調べ た。 性ス テロ イドホルモン合成は、精 巣 内 で コ レ ス テ ロ ー ル が5種 の ス テ ロ イ ド 代 謝 酵 素(P450scc,3ロHSD,P450c17,17ロ HSD3お よ びP450arom)の 作 用 を 受 け る こ と に よ り 合 成 さ れ る 。 ツ キ ノ ワ グ マ に お け る ス テ ロ イ ド 代 謝 酵 素mRNA配 列 は 、 い ず れ も イ ヌ と 高 い 相 同 性 を 示 し た 。P450scc、3ロHSD

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およ びP450c17 の mRNA 発現は 問質 組織 に認 めら れ、 一方 、17 ロHSD3 mRNA は問質組織 に加えて精細管の基底部でも発現が認められた。これらのことから、問質組織でアンド ロステンジオンまでの代謝が行われ、問質組織に加えて精細管基底部でもテストステ口 ン合成が行われている可能性があると考えられた。また、エストロジェンは精細胞とラ イディッヒ細胞が産生場所であると考えられた。

   続いてこの5 種の酵素と、ミトコンドリアヘのコレステ口ール輸送に関わるStAR 夕ン パク質の遺伝子発現量の季節変化を調べた。その結果、アンドロジェン合成に関わる4 種の酵素のうち3 ロHSD mRNA のみ発現が、退行期に比べて活性期に有意に高い値を示し た。3 ロHSD の遺伝子発現変化は血漿テストステ口ン濃度変化と同調しており、この酵素 の遺伝子発現の制御がライディッヒ細胞のテストステロン合成能の季節変化に関係して いると考えられた。一方、P450arom mRNA も活性期に有意に高い発現が認められた。血 漿工 スト ロジェン濃度には、mRNA 発現の変化に伴う変動は認められなかったものの、

精 巣 に お け る エ ス ト 口 ジ ェ ン 合 成 も 季 節 に よ っ て 変 動 す る と 考 え ら れ た 。    最後にテストステロンの標的であるアンド口ジェン受容体の発現を免疫組織化学的に 検出した。アンドロジェン受容体は、活性期の精巣においてセルトリ細胞、ライディツ ヒ細胞などの体細胞に認められ、テストステ口ンはこれらの細胞に作用すると考えられ た。

   本研究では、顕著な性腺機能の季節変化を示すツキノワグマという動物において、精 巣機能変化の制御に関わる繁殖生理的機序の一端を明らかにした。本研究で得られた結 果は、季節繁殖動物における性腺の季節性のメカニズムを解明する上で、比較繁殖生理 学的な観点から興味深い知見を提供するものと考えられる。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査   教授   坪田敏男 副査   教授   高橋芳幸 副査   教授   昆   泰寛

副査   教授   片桐成二(酪農学園大学)

学 位 論 文 題 名

ニホンツキノワグマ( Ursrtts 励ibetanus jap07z 施勿 s )に お け る 精 巣 機 能 の 季 節 変 化 の 制 御 機 序 に 関 す る 研 究

  多くの野生動物は、食物が豊富な時期に出産し、子育てを行うために、1年のうち特定 の時期にのみ繁殖を行う。ニホンツキノワグマは長日季節繁殖動物であり、雄ツキノワ グマの性腺機能である精子形成およびテストステロン濃度が季節によって変化すること はよく調べられてきたが、その変化の機序についてはまだ分かっていないことが多しゝ。

そこで本研究では、ツキノワグマの精巣機能の季節変化をもたらす生物学的機序の一端 を解明することを目的とし、下垂体からの性腺刺激ホルモン分泌および精巣におけるス テ ロ イ ド 代 謝 酵 素 の 発 現 と 、 精 巣 機 能 の 変 化 と の 関 係 を 中 心 に 調 べ た 。   クマ牧場で飼育されている成熟雄ツキノワグマを用い、精巣の活性期(5〜7月)、退 行期(10〜11月)および精子形成再開期(12〜4月)に精巣組織および血液を採取した。

精子形成再開期には月1回の採材を行った。

  血漿テストステ口ンおよびインヒピン濃度は精子形成再開期および活性期に精巣サイ ズの増大に 伴って有 意に上昇 し、FSH濃度は精子形成再開期に上昇する傾向にあった。

FSH受容体mRNAは、 調べた全 ての月に おいて、 精細管基 底部に発現が認められ、FSHお よびテストステロン分泌の増加が精子形成に対して促進的に働いていることが示唆され た。 血 漿LH濃 度お よ び精 巣 のLH受 容体 の発現に は有意な変 化は認め られなか った。

  ツキノワグマ精巣で発現するステロイド代謝酵素(P450scc,3BHSD,P450c17,17BHSD3 およびP450arom)mRNA配列 は、いず れもイヌの配列と高い相同性を示した。各酵素の発 現から、ライディッヒ細胞ではテストステロンおよびェストロジェンが、また、伸長型 精子細胞ではエストロジェンが合成されていると考えられた。アンドロジェン合成に関 わる4種の酵 素のうち 、3BHSD mRNAのみに有意な発現変化が認められ、血漿テストステ ロン濃度変化を伴っていた。このことから、この酵素の遺伝子発現の制御がライディツ ヒ細胞のテストステロン合成能の季節変化に最も深く関与していると考えられた。一方、

血漿エスト口ジェン濃度には変動は認められなかったが、精巣におけるエストロジェン 合成も季節によって変化することが示唆された。

  最後に精巣のアンドロジェン受容体発現を免疫組織化学的に検出した。アンドロジェ ン受容体は、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞などの体細胞に認められ、テストステ口 ンはこれらの細胞に作用すると考えられた。

  本研究では、ツキノワグマにおいて性腺刺激ホルモン分泌およびステロイド代謝酵素 発現が精巣機能変化の制御機序の一端に関わっている知見を提示した。これらの知見は、

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ツキノワグマをはじめとする季節繁殖動物の季節繁殖性メカニズムを明らかにする上で その意義は大きい。よって審査員一同は、上記博士論文提出者飯渕るり子氏の博士論 文は、 北海 道大 学大 学院 獣医 学研 究科 規定 第6 条 の規 定に よる 本研 究科 の行う博士 論文の審査等に合格と認めた。

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