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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士(工 学)    池尻圭 太郎

学 位 論 文 題 名

Growth IVIechanism of III ― VSemiconductor Nanowires by Selective Area rvIetalorganic Vapor Phase Epitaxy    (有機金属気相選択成長法によるIn‑v 族化合物半導体ナノワイヤの      成長メカニズムの研究)

学位論文内容の要旨

数 十ナ丿メートルの 直径を有する一次元 量子細線構造である半導体ナノワイヤは、その特徴的教形 状 に起因する量子効 果、表面積効果を利 用することによって、次世代電子・光デバイスの材料とし て 期 待されて いる。特にm‑v族化合物半導 体ナノワイヤは、 ヘテロ構造を作製 することで、光デ バ イスや、電子デバ イスをどに広く応用 できる可能性を持つことから近年注目されている。半導体 ナノワイヤの成長には、従来、Au粒子をどを触媒材料に用いた気相−液相‐固相(Vapor‑Liquid‑S olid;

VLS)成長法が プロセスの簡便さ から広く使われて きた。しかし、VLS法は、触 媒を介する結晶成 長 法であるため、ナ 丿ワイヤ中に触媒が 不純物として混入することにより素子の特性劣化を引き起 こ す 懸念があ るほか、精密をワ イヤの位置サイズ 制御が困難であるを どの課題がある。 このVLS 法 に対し、有機金属 気相選択成長法は、 触媒を用い教い半導体結晶成長手法であるため、触媒物質 に よる汚染の影響を 回避すると同時に、 リソグラフイ技術により精密に作製されたマスクパターン に より位置・サイズ の制御がナノメート ルオーダーで可能である。この手法を(111)面基板上にお こ をうと、成長条件 を適切に設定するこ とで[‑110]垂直側面によって囲まれた六角柱のナノワイヤ 構 造を作製すること ができるものの、そ の詳細毅成長特性及び結晶成長メカニズムに関しては未解 明 の部分が多く、VLS法との相 違点等も含め議論 とをっていた。本研究では、この有機金属気相選 択 成長法によるナノ ワイヤの成長メカニ ズムを解明し、ナノワイヤのデバイス応用に向けた基礎成 長技術の確立を目指す。

本 論 文 は 第1章 か ら 第 6章 ま で で 構 成 さ れ て い る 。 以 下 に 各 章 の 要 旨 を 示 す 。 第1章 は 、 本 研 究 の 背 景 と 目 的 に つ い て 示 す と と も に 各 章 の 概 要 を 説 明 し て い る 。 第2章は 、これまで報 告された半導体ナノ ワイヤ成長に関す る研究報告を体系 的に述べるととも に、本研究の位置づけを説明する。

第3章は、本 研究で用いた有機 金属気相選択成長 法の基本的を成長特性を述ベ、構造作製及び分析 に用いた装置の説明に関して説明している。

第4章は 、GaAsの有機 金属気相選択成長法 に焦点を当て、ナ ノワイヤの基本的 を成長特性に関し て 議論している。GaAsを異をる面方位の 基板上に選択成長 させることで、ナ ノワイヤ構造は特定 の 面方位基板上にの み成長することを確 認した。この結果から、有機金属気相選択成長法によるナ ノ ワ イヤ成長 がファセッティン グ成長機構であり 、金属触媒に起因し たVLS成 長法とは全く異を る 成長機構であるこ とを証明した。さら に、ファセッティング成長機構の特性を利用して、成長条 件 を変えることで、 ナノワイヤ構造の縦 方向および横方向の成長を独立して制御できることを明ら かにした。この結果により、一連の成長でナ丿ワイヤ中にへテロ構造を縦(軸)方向及び横(動径)

方 向それぞれ独立し て形成する要素技術 を確立し、薄膜成長では不可能であった、様々を優れた三 次元的をデバイス構造の作製が可能であることを示した。

(2)

第5章 は、GaAsナノワイ ヤの特異を成長特 性および成長過程が 、回転双晶発生に 起因するという 成長モデル(Twinning growth model)を提案 した。このモデルは 、成長初期段階で四面体状の結晶 が形成される過 程で、結晶上面で回 転双晶が形成されることで、六角柱の側面を構成する方向への 横方向成長が進 展し、最終的に六角 柱状の結晶へと変化するというモデルである。このモデルを実 証するために、 初期段階での成長初 期過程における回 転双晶を含む四面 体構造の発生頻度に対す る、成長条件依 存性とマスク開口部 の直径依存性に関して解析した。その結果、ナノワイヤ成長速 度と成長中の回 転双晶の発生頻度と の相関関係を明らかにし、成長モデルを実験的に実証した。ま た、GaAsナノワ イヤの透過型電子顕 微鏡観察より、成 長構造中の回転双 晶の存在確率を詳細に解 析することで、 回転双晶の発生頻度 はGaAs(lll)B面における表面再構成と相関関係があることを 明らかにし、回 転双晶の発生メカニ ズムを解明した。

第6章は 、InPナ ノワイヤの選択成長 において確認され る、成長条件に依 存した結晶構造の変化に ついて議論して いる。InPナノワイヤは、成 長条件を変化させる ことで、バルク結晶と同様の閃亜 鉛鉱構造(ZB) の結晶構造を有するものと、ウルツ鉱構造(WZ)を有するものが得られている。InP ナノワイヤで構 造相転移が起きる境界の成長条件下で成長したInPナ丿ワイ・ヤの外観形状と結晶構 造を評価し、相 転移機構を明らかに した。

第7章は 、InPナ ノワイヤの成長方向 に着目した。InPナノワイヤ は、成長基板の面方位が(111)A の場合は基板に 垂直にナ丿ワイヤが 成長するが、(111)B基板を用いた場合は成長条件を変えるこ とにより、三回 対称の[l11]A方向 にワイヤ構造が成長する、テトラポット状の三方向成長構造が 得られることが わかっている。本章 では、成長構造の結晶構造を評価することで三方向成長構造の 成長 メカ ニ ズム を明らかにすると ともに、InPナノワイヤ成長 中にZnドーピング を行い、各フア セットの表面状 態を変化させること で(111)B面上にも六角柱のワイヤ構造が成長可能であること を示した。この 結果は同時に、シリ コンのようを無極性基板上にIII―V半導体ナノワイヤを成長さ せ る 際 に 、 成 長 条 件 に よ っ て 成 長 方 向 を 制 御 可 能 で あ る こ と を 示 し て い る 。 第8章 は、 上記 の研究に より解明したナノ ワイヤの基礎成長機 構を応用し、安価 で省資源な発光 デ′くイス作製 を目的としたポリシ リコン薄膜上のナノワイヤ成長を行い、成長過程の分析を行っ た。 ポリ シ リコ ン薄 膜 を堆 積さ せ た基 板を 用 いてGaAsのMOW)E選 択 成長 を行 い 、六角柱構造 のGaAsナ丿ワイ ヤ成長を確認した。 開口部には、ナノ ワイヤ構造の他に 、ヒロック状の構造と成 長が起きていを い開口部があった。 これらの成長構造の存在確率を、開口部の直径依存性と成長条 件依存性につい て分析し、開ロ部と ポリシリコン結晶粒のサイズの関係から成長構造の成長モデル に関して考察を 行い、成長構造依存 性の原理を解明した。また、成長条件により、ワイヤ構造の成 長確率と成長レ ートを高めることが できることを明ら かにした。

第9章 で は 以 上 の こ と を ま と め て 結 論 を 出 し 、 将 来 の 展 望 を 述 べ て い る 。

―608―

(3)

学位論文審査の要旨 主査 副査

副査 副査

教授 教授 教授 准教授

福井 橋詰 本久 原

学 位 論 文 題 名

孝志      保 順一 真二郎

GrowthMechanism of III ― VSemiconductor Nanowires by Selective Area IVIetalorganic Vapor Phase Epitaxy    (有機金属気相選択成長法によるIII‑V 族化合物半導体ナノワイヤの      成長メカニズムの研究)

数十 ナノメートルの直径を有する一次元量子細線構造である半導体ナノワイヤは、その特徴的を形 状に 起因する量子効果、表面積効果を利用することによって、次世代電子・光デバイスの材料とし て期 待され てい る。特 にm‑v族化合 物半導 体ナ ノワイ ヤは、 ヘテロ 構造を作製することで、光デ バイ スや、電子デバイスをどに広く応用できる可能性を持つことから近年注目されている。半導体 ナノワイヤの成長には、従来、Au粒子をどを触媒材料に用いた気相‐液相一固相(Vapor‑Liquid‑Solid;

VLS)成 長法が プロセ スの 簡便さ から広 く使わ れてき た。 しかし 、VLS法は、触媒を介する結晶成 長法 であるため、ナノワイヤ中に触媒が不純物として混入することにより素子の特性劣化を引き起 こ す 懸 念が あ る ほ か 、精 密 を ワ イ ヤの 位置 サイ ズ制御 が困難 である 毅どの 課題 がある 。  ゛ このVLS法 に対 し、有 機金属気相選択成長法は、触媒を用いをい半導体結晶成長手法であるため、

触媒 物質による汚染の影響を回避すると同時に、リソグラフイ技術により精密に作製されたマスク パタ ーンに より 位置・ サイズの制御がナノメートルオーダーで可能である。この手法を(111)面基 板上 におこ をう と、成 長条件を適切に設定することで110垂直側面によって囲まれた六角柱のナノ ワイ ヤ構造を作製することができるものの、その詳細を成長特性及び結晶成長メカニズムに関して は未解明の部分が多く、VLS法との相違点等も含め議論と誼っていた。

本論 文は、この有機金属気相選択成長法によるナノワイヤの成長メカニズムを解明し、ナノワイヤ のデ バイス 応用 に向け た基礎成長技術の確立を目指すものである。以下に各章の要旨を示す。第1 章は 、本研 究の 背景と 目的について示すとともに各章の概要を説明している。第2章は、これまで 報告 された半導体ナノワイヤ成長に関する研究報告を体系的に述べるとともに、本研究の位置づけ を説 明する 。第3章は 、本研究で用いた有機金属気相選択成長法の基本的顔成長特性を述ベ、構造 作製及び分析に用いた装置の説明に関して説明している。

第4章は 、GaAsの 有機金 属気相 選択 成長法 に焦点 を当て 、ナノ ワイ ヤの基本的を成長特性に関し て議 論して いる 。GaAsを 異をる 面方位 の基板 上に選択成長させることで、ナ丿ワイヤ構造は特定 の面 方位基板上にのみ成長することを確認した。この結果から、有機金属気相選択成長法によるナ ノワ イヤ成 長が ファセ ッティ ング成 長機 構であ り、金 属触媒 に起因 したVLS成長法とは全く異な る成長機構であることを証明した。

第5章は 、GaAsナ ノワイ ヤの特 異を 成長特 性およ び成長 過程が 、回 転双晶発生に起因するという

―609−

(4)

成 長モデ ル(Twinning growth model)を提案した。このモデルは、成長初期段階で四面体状の結晶 が 形成さ れる過程で、結晶上面で回転双晶が形成されることで、六角柱の側面を構成する方向への 横 方 向 成 長 が 進 展 し 、 最 終 的 に 六 角 柱 状 の 結 晶 へ と 変 化 す る と い う モ デ ル で あ る 。 第6章は 、InPナノ ワイヤ の選択 成長に おい て確認 される、成長条件に依存した結晶構造の変化に つ いて議 論して いる。InPナ ノワ イヤは、成長条件を変化させることで、バルク結晶と同様の閃亜 鉛 鉱構造 (ZB)の 結晶 構造を 有する ものと 、ウル ツ鉱構造(WZ)を有するものが得られている。

第7章は 、成 長構造 の結晶 構造を 評価することで三方向成長構造の成長メカニズムを明らかにする と ともに 、InPナノワ イヤ成 長中 にZnドー ピング を行 い、各 ファセ ットの 表面状態を変化させる こ と で (111)B面 上 に も 六 角 柱 の ワ イ ヤ 構 造 が 成 長 可 能 で あ る こ と を 示 し た 。 第8章は 、安 価で省 資源春 発光デ バイス 作製 を目的 とした ポリシ リコ ン薄膜上のナノワイヤ成長 を 行 い 、 成長 過 程 の 分 析を 行った 。ポリ シリコ ン薄膜 を堆 積させ た基板 を用い てGaAsのMOVPE 選 択成長 を行い 、六角 柱構造 のGaAsナ ノワ イヤ成 長を確 認した 。第9章で は以上のことをまとめ て 結論を 出し、 将来の 展望を 述べ ている 。

  こ れを要 するに、著者は、半導体ナノワイヤの形成機構に関する新知見を得たものであり、半導 体 ナノテ クノロジー分野の発展に貢献するところ大をるものがある。よって著者は、北海道大学博 士 (工学 )の学 位を授 与され る資 格ある ものと 認める 。

―610−

参照

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