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遺伝性複合糖質代謝異常症とネフローゼ症候群の尿中オリゴ糖排泄の比較研究

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Academic year: 2021

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Title

遺伝性複合糖質代謝異常症とネフローゼ症候群の尿中オリ

ゴ糖排泄の比較研究( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

大宮, 史朗

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)乙 第967号

Issue Date

1995-03-24

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/15298

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名(本籍)

学位の種類

学位授与番号

学位授与日付

学位授与の要件

学位論文題目

朗(岐阜県)

士(医学)

乙第

967

平成

7

3

24

学位規則第4条第2項該当

遺伝性複合糖質代謝異常症とネフローゼ症候群の尿中オリゴ糖排泄の比較研究

(主査)教授

(副査)教授

教授

遺伝性複合糖質代謝異常症は糖蛋白糖鎖の分解を司るライソゾーム由来ユキソグリコシダーゼの遺伝的欠損症で,尿中オリ

ゴ糖の分析が,その病態解析,スクリーニング,亜型診断等を目的として行われてきている。

われわれの施設では遺伝性複合糖質代謝異常症のスクリーニングおよび診断を目的として尿中オリゴ糖の薄層クロマトグラ

フィー・木幡らの考案したBioGelを用いたオリゴ糖分画装置(以下BioGelSystem)を用いて尿中オリゴ糖の構造解析

を行い・157例中8例に遺伝性複合糖質代謝異常症を見いだした0しかし,精神発達遅滞,骨変化等から先天代謝異常症を疑わ れたネフローゼ症候群の幼児例で・尿中オリゴ糖薄層クロマトグラフィーを行ったところ,陽性バンドを認め,BioGelSystem でもgalactosyloligosaccharideの排泄を認め,可能な限りライソゾーム酵素活性を測定したが,すべて正常範囲である症 例に遭遇した。 申請者らはオリゴ糖分析による遺伝性複合糖質代謝異常症の診断を確立するためには.ネフローゼ症候群による尿中オリゴ

糖の変化を知る必要があると考え,そのネフローゼ症候群の尿中オリゴ糖の分析を進めると同時に,GMl-ガングリオシドーシ

ス,ガラクトシアリドーシス,シアリドーシスの尿中オリゴ糖排泄を量的,質的に比較検討した。

Ⅰ.対象

ネフローゼ症候群5例(急性期2例,慢性期3例),ガラクトシアリドーシス9例(1ateinfantiletype4例,juvenile/

adulttype5例),シアリドーシス5例(infantiletype2例,1atetype3例),GMl-ガングリオシドーシス6例(type

2A4例,type2B2例),対照6例の計31例を対象とした。

Ⅱ.研究方法 1.薄層クロマトグラフィーによるスクリーニング クレアチニン2mg相当の尿を遠心し,Dowex50wX8.DowexlX8の2層カラムに通し脱塩した後,活性化したシリ コンプレートにスポットし,展開発色させた。 2.オリゴ糖分析 クレアチニン10mg相当の尿を濃縮後,BioGelP-4にかけ,オリゴ糖の粗分画を得た。オリゴ糖粗分画を,濾紙にスポッ トし・n-ブタノール‥エタノール‥蒸留水=4:1‥1(展開溶媒Ⅰ)にて,下降法ペーパークロマトグラフィーを24時間行っ た0その後スポット部分から5cmまでの濾紙を蒸留水に十分浸した後,遠心抽出操作を繰り返してオリゴ糖分画とした。 オリゴ糖分画に内部標準物質を加え,NaB3Hlにて還元末端標識を行った。展開溶媒Ⅰで下降法ペーパークロマトグラフィー を行いt3H標識オリゴ糖ときH標識内部標準物質を分離,ラジオクロマトスキャナーでそれぞれのピークを同定しピークの放 射活性を測定し,標識効率を算出,尿中オリゴ糖総排泄量および各分画の排泄量を計算した。 3H標識オリゴ糖を高圧濾紙電気泳動装置を用いて3000V,1・5時間の条件で泳動を行った。ラジオクロマトスキャナーで放

射活性ピークを検出し・neutraloligosaccharideと3つのシァル酸結合オリゴ糖の分画(monosialylatedoligosaccharide,

disialylated01igosaccharide,trisialylatedoligosaccharide)の泳動位置を,BPBの泳動位置を参考に決定した。決 定された各分画のピークにあたるそれぞれの濾紙を切り出し蒸留水により抽出,減圧乾固したoneutraloligosaccharideは glucose oligomerとともにBio GelSystemにアプライした。溶出した各分画を液体シンチレーションカウンターにて3H 標識オリゴ糖の放射活性を測定し,neutral01igosapcharideの分画パターンをプロットした0シァル鞍結合オリゴ糖は,シ

アリダーゼ処割こよって中性化した後・neutraloligosaccharideと同様にBio GelSystemにアプライしglucose

(3)

unitに応じて各亜分画の位置を決定した。オリゴ糖糖鎖内における単糖の配列順序を決定するために,種々のエキソグリコシ

ダーゼ(ナタ豆のβ-ガラクトシダーゼ,ナタ豆のβ-N-アセチルへキソサミニダーゼ,ナタ豆のα-マンノシダーゼ,カタツム

リのβ-マンノシダーゼ)を利用し,アスパラギン結合糖鎖の逐次分解を行った。また,オリゴ糖の単糖結合様式を決定するた

め,各オリゴ糖分画のサンプルをメチル化分析した。

Ⅲ.結果 遺伝性複合糖質代謝異常症(GMl-ガングリオシドーシス,シアリドーシス,ガラクトシアリドーシス)とネフローゼ症候群

の尿中オリゴ糖を質的,量的に比較し,以下の特徴を明らかにした。

1.薄層クロマトグラフィーによる尿中オリゴ糖スクリーニングではネフローゼ症候群,ガラクトシアリドーシス,シアリドー

シス,GM.-ガングリオシドーシス患者の薄層クロマトグラフィーでの陽性バンドの特徴的なパターンは見いだせなかった。

2.ネフローゼ症候群の尿中総オリゴ糖排泄量(nmol/mg creatinine)は66.7±21.4(n=5),ガラクトシアリドーシス

1ateinfantile typeでは24.5±2.1(n=4),juvenile/adult typeでは9.9±3.0(n=5),シアリド,シスinfantile type

では55.6±12,0(n=2),1ate typeでは16.1±4.8(n=3),GMl-ガングリオシドーシスtype2Aでは382.9±198.3(n=4),

type2Bでは93.2±45.1(n=2),対照2.6±0.5(n=6)であった。中性オリゴ糖のみを排泄する遺伝性複合糖質代謝異常症

のオリゴ糖排泄量は,Sialylated

oligosaccharideを排泄する遺伝性複合糖質代謝異常症の尿中オリゴ糖排泄量より高値で

あった。ネフローゼ症候群の尿中オリゴ糖排泄量は,中性オリゴ糖のみを排泄する遺伝性複合糖質代謝異常症の群(GMl-ガン

グリオシドーシスなど)と,Sialylated

oligosaccharideを排泄する群(ガラクトシアリドーシス,シアリドーシス)の中

間に位置した。

3.高圧濾紙電気泳動と逐次分解による尿中オリゴ糖分析では,GMl-ガングリオシドーシスではgalactosyloligosaccharide

の排泄を,シアリドーシスではsialylated

oligosaccharideの排泄を,ガラクトシアリドーシスとネフローゼ症候群では

galactosyloligosaccharideとsialylated oligosaccharide両者の排泄を認めた。

4.ネフローゼ症候群での高分子圭のneutraloligosaccharideのneutraloligosaccharide全体に対する排泄割合は,

GMl-ガングリオシドーシス,ガラクトシアリドーシスよりも高かった。

5.ネフローゼ症候群では,Sialylatedoligosaccharide全体に対する陰性により強く荷電したtrisialylatedoligosaccharide

の排泄割合はガラクトシアリドーシス,シアリドーシスにおける割合よりも高かった。

6.ネフローゼ症候群でのsialylated oligosaccharideの各分画(monosialylated oligosaccharide,disialylated oligosaccharide,trisialylated

oligosaccharide)での高分子量オリゴ糖の占める割合は,ガラクトシアリドーシス,シ

アリドーシスより高かった。 7.GMl-ガングリオシドーシス,ガラクトシアリドーシス,シアリドーシス,ネフローゼ症候群での尿中オリゴ糖の構造分析 の結果,neutraloligosaccharide39種,Sialylated oligosaccharide21種を同定した。 これらの知見は尿中オリゴ糖を用いた遺伝性複合糖質代謝異常症の診断をより正確なものへと導くことができた。

論文審査の結果の要旨

申請者 大宮史朗は,遺伝性複合糖質代謝異常症(GMl-ガングリオシドーシス,ガラクトシアリドーシス,シアリドーシス)

とネフローゼ症候群の尿中オリゴ糖排泄について,薄層クロマトグラフィー,Bio

GelSystem,メチル化分析等を用いて検 討し,遺伝性複合糖質代謝異常症に比べネフローゼ症候群では比較的高分子真の中性オリゴ糖,酸性オリゴ糖の排泄が多く, 酸性オリゴ糖の中でのtrisialylated oligosaccharideの割合が高いことを明らかにした。 この研究は.小児科学ならびに先天代謝異常症の研究の進歩発展に,少なからず寄与するところが大きいものと認める。

[主論文公表誌]

遺伝性複合糖質代謝異常症とネフローゼ症候群の尿中オリゴ糖排泄の比較研究 平成7年3月発行予定 岐阜大医紀 43(2):掲載予定 152

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