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正 常 ヒ ト 歯 肉 線 維 芽細 胞 に

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 董    莉

     学 位 論 文 題 名

正 常 ヒ ト 歯 肉 線 維 芽細 胞 に

intercellular adhesion molecule‑l  (ICAN/I‑1) を誘導する Myc 砂ム硲 絖ロ駆厖微カ銘絖細胞膜リポタンパク質について

学 位 論 文 内 容 の要 旨

[研究目的]

  口 腔 感 染 症 は 内 因 感 染 症 であ り、 混合 感染 症で ある :し たが って 、あ る特 定の 病 原体を見出そうという試みはほとんど!ほ意味である。しかしながら、感染病巣において 優 位 を 占 め る 微 生 物 の 生 物 学 的 性 状 の 詳 細 、 感 染 病 巣 に お け る 動 態 に 関 す る 知 見 なくして口腔感染症の病因論は成り立ち得ない:

  歯 垢 な ら び に 歯 肉 溝 を 主 た る 生 息 部 位 と し て い るMycoplasma salivariumは歯 周 病巣 をは じめ とし てlコ腔 感 染病巣で増殖し ており、宿主はこれに対して抗体応答して い る 。 こ れ は 、M salivariumが 口腔 感染 病巣 にお いて 何ら かの 病囚 的役 割を 来た し てい るこ とを 示唆 して いる 。M. salivariumは潜在的に病原因子となりうる多彩な生物 学的活性をそなえているっ

  本 研究 は、M. salivai‑ium細 胞膜 由来 リポ タン パク 質 の正常ヒト歯肉線維芽細胞に 対す るintercellular adhesion molecule‑l(ICAM−1)産生誘導活性について検索し、

併せ て、 炎症 性サ イト カイ ン産 生誘 導活 性等 につ いて も 調べることを目的として企画 された:

喇.料と方法]

  M. salivai‑ium細 胞膜 の調製 :M. salivai‑izim ATCC 23064をウマ血清(10%)添加 培 地 で 増 殖 せ た : 培 養 液 を15,oooxgで15分 間遠 心し て集 め、 洗浄 した 糸Ill胞を 蒸 留 水 に 浮 遊 さ せ て 、 超 音 波処 理で 破砕 し、100,oooxg上 清 を捨 て、 沈殿 物を 翁‖ 胞 膜とした:

  リ ポ タン パク 質(LPsal)の 抽出 : トリ 卜ンX‑114二 相分 離法 で トリ トンX‑114可 溶性 両分をLPsalとした。

  ヒ ト 由 来 細 胞 と 培 養 : 株 化 正 常 ヒ 卜 歯 肉 線 維 芽 細 胞[Gin‑l ATCC CRL‑1292な ら びにGin‑F、(旧)解剖学第一講座)]、株化正常ヒト歯根 膜線維芽細胞匸PDLF、(旧)

解 剖 学 第 一 講 座 ) ] 、 株 化 ヒ ト 臍 帯 血 管 内 皮 細 胞(HUVEC、 生 化 学 工 業 ) な ら び に ヒ ト 末 梢 単 核 球(PBMC)を ウ シ 胎 児 血 清 加DME培 地 、RPMI1640培 地 あ る い は MCDB 104培地で培養した:

  接 着 分 子 な ら び に サ イ ト カ イ のmRNAの 分 析 :Msalivai‑ium細 胞 膜 あ る い は LPsalで 刺 激 し た 細 胞 か らRNAを 調 製 し 、RT‑PCRで 接 着 分 子 な ら び に サ イ 卜 カ イ のmRNAの発現を確認したっ

  ICAM‑1の 測 定 :Cell‑ELISA法 で 細 胞 表 面 に 発 現 し たICAM‑1を 測 定 し た :

(2)

  ICAM‑1産生誘導活性をもっりポタンパク質の解析:モノサイトブロッテイッグ法で カ¥析した:

[結果]

  MS細 胞 膜 の 接 着 因 子 (ICAM‑Iな ら び に VCAM‑1)発 現 誘 導 活 性 : M salivar ium細胞 膜 でGin‑l、細 胞 を 刺激 す ると 、ICAM‑1な ら びにVC」W−1の mRNAを発現し、ICAM‐1を細胞表層に発現した。

  LPsalのIC」へM‐1産生誘導活性:LPsalにM閉〃、ゼげ′z´灯?細胞膜のICAM‐1産生 誘 導 活 性 の 約37% が 回 収 さ れ を 。 こ の 活 性 はLPsalをproteinaseKな ら び に endoglucosidaseHで 処理しても変わらず、lip叩roteinlipase処理で90%以上失わ れたっ

  LPsalはSDS・PAGEで 分 子 量 の 異 な る 多 数 の 画 分 に 分 か れ 、 活 性 は40〜50 kDa、60〜80kDaの 複 数の りポ タンパク 質に認め られた。 これらの タンパク質 は proteinaseKで 消 化さ れ て10kDa以下 の低分子 量の物質 となるが 、その活 性は変 わ らず、リ ピッド部 分にあることが示唆された。なお、LPsalの活性はpolymyxinB 存 在下で失 活しなか ったので、LPSの影響を全く受けていないことが確認された。

  LPsalの サ イト カ イン 産 生 誘導 活 性 :LPsalでGin―F、PBMCなら びにHUVECを 刺 激 す ると 炎 症 性サ イ トカ インがmRNAレ ベルで発 現した。 すなわち、Gin‐Fは IL‐6、凡−8な らびにMCP‐1を、PBMCはn汀a、凡‐1ロ 、IL‐6、凡 ‐8ならびに MCP‐1を 、 そ し てHUVECはIL‐8な ら び にMCP‐1を 、 そ れ ぞ れ 、 発 現 し た 。

[考察]

  ICAM―1は白血 球に発現 しているLFA‑1ならびにMac‑lと結合し て、白血球の血 管外遊出に深くかかわっている。自血球はセレクチンとグリカンとの緩い結合で血管 壁に粘着してローリングする。白血球の流速が緩やかになるのに伴い、炎症部位で 産生され た炎症性 サイトカインの刺激によって白血球のLFA‑1ならびにMac−1など のインテグリンが活性化され、セレクチンは細胞から遊離していく。インテグリンと血管 内皮 翁Il胞 のICAM‑1、VCAM‑1など との結合 により、 白血球は 血管内皮 細胞ヘ緊 密・強固 に接着し て、血管外ヘ遊出する。血管外ヘ遊出した白血球はIL‑8、MCP‑1 等のケモカインによって炎症の場ヘ引き寄せられ線維芽細胞に発現したIC」楜‐1と 結合し、炎症局所に留まる。

  LPsalは 血 管 内皮 細 胞と 歯肉なら ぴに歯根 膜線維芽 細胞にICAM‐1ならびにケ モカインの産生を、末梢血単核球には炎症性サイトカインならぴにケモカインの産生 を誘導する炎症誘発因子であること、そしてその活性はりッビド部分に担われている ことを、本研究は明らかにした。

  M閉′´M.´z´″?は口腔感染病巣において優位を占める微生物群に属する。本研究 は、M鉛ん1桝.ぬ刪の生物学的活性について新知見を追加し、口腔感染症の病因論 に新たな問題を提起した。

(3)

学位論文審査の要旨

主 査   教 授   渡 邊 継 男 副 査   教 授   松 本   章 副 査   教 授   久 保 木 芳 徳

     学位論文題名

正常ヒト歯肉線維芽細胞に

intercellular adhesion molecule‑l  (ICAM‑1) を誘導する Mycoplas7na salivarjuyn 細胞膜リポタンパク質について

審 査 委 員 は 、 個 別 に 、 学 位 申 請 論 文 の 内 容 な ら び に 関 連 す る 事 項 に っ い て 口 頭 試 問 で 試 験 を 行 っ た 。 学 位 申 請 論 文 の 要 旨 と 審 査 の 内 容 は 下 記 の 通 り で あ る 。

[研 究目 的] 口腔 感染 症 は内 因感 染症 であ り、 混合 感染症である。 したがって、ある 特定 の病 原体 を見 出そ う とい う試 みは ほと んど 無意 味である。しか しながら、感染病 巣 に お い て 優 位 を 占 め る 微 生 物 の 生 物 学 的 性 状 の 詳 細 、 感 染 病 巣 に お け る 動 態 に 関す る知 見な くし て口 腔 感染 症の 病因 論は 成り 立ち 得な い。

  歯 垢な らび に歯 肉溝 を 主た る生 息部 位と して いるtVfycoplasma salivariumは 歯周 病巣 をは じめ とし て口 腔 感染 病巣 で増 殖し てお り、 宿主はこれに対 して抗体応答して いる :こ れは 、M. salivariumが 口腔 感染 病巣 にお い て何 らか の病 因的 役割 を果 たし てい るこ とを 示唆 して い る。M. salivariumは潜在的に病原因子とな りうる多彩な生物 学的 活性 をそ なえ てい る 。

  本 研 究 は 、M. saみMfz刪細 胞膜 由来 リポ タン パク 質の 正常 ヒト 歯肉 線維 芽 細胞 に 対するintercellularadhesionmolecule.1(IC´W−1)産生誘導活性 にっいて検索し、

併せ て、 炎症 性サ イ卜 カ イン 産生 誘導 活性 等に つい ても調べること を目的として企画 され た。

附 料 と 方 法 ]M. salivarium (MS)細 胞 膜 の 調 製 :MS ATCC 23064を 馬 血 清 (10% ) 添 加 培 地 で 増 殖 せ た 。 培 養 液 を15,oooXgで15分 間 遠 心 し て 集 め 、 洗 浄 し た 細 胞 を 蒸 留 水 に 浮 遊 さ せ て 、 超 音 波 処 理 で 破 砕 し 、100,000Xg上 清 を 捨 て 、 沈 殿 物を 細胞 膜と した 。

  リポ タン パク 質くLPsal)の 抽出 :トリトンX‑114ニ相分離法でトリトンX―114可溶性 画 分をLPsalと し た。

  ヒ ト 由 来 細 胞 と 培 養 : 株 化 正 常 ヒ ト 歯 肉 線 維 芽 細 胞 [Gin‑l ATCC CRL‑1292なら び にGin‑F、 (旧)解剖学第一講座)]、株化正常ヒト歯根膜線維芽 細胞[PDLF、(旧)

解 剖 学 第 一 講 座 ) ] 、 株 化 ヒ ト 臍 帯 血 管 内 皮 細 胞(HUVEC、 生 化 学 工 業 ) な ら び に ヒ ト 末 梢 単 核 球(PBMC)を ウ シ 胎 児 血 清 加DME培 地 、RPMI1640培 地 あ る い は MCDB 104培 地で 培養 した 。

  接 着 分 子 な ら び に サ イ ト カ イ のmRNAの 分 析 :MS細 胞 膜 あ る い はLPsalで 刺 激

(4)

し た 細 胞 か らRNAを 調 製 し 、RT‑PCRで 接 着 分 子 な ら び に サ イ ト カ イのmRNAの 発現を確認した:

  ICAM‑1の 測 定 :Cell‑ELISA法 で 細 胞 表 面 に 発 現 し たICAM‑1を 測 定 し た :   ICAM‑1産生誘導活性をもっりポタンパク質の解析:モノサイ卜ブロッテイッグ法で 解析した。

[ 結 果 ]MS細 胞 膜 の 接 着 因 子(ICAM‑Iな ら び にVCAM‑1) 発 現 誘 導 活性 :MS 細 胞 膜 でGin‑l細 胞 を 刺 激 す る と 、ICAM‑1な ら ぴ にVCAMー1のmRNAを 発 現 し、ICAM‑1を細胞表層に発現した。

  LPsalのIC´揃 ‐1産 生誘 導活性:LPsalにMS細胞膜のIC」`M‐1産生誘導活性 の約37%が回収された。この活性はLPsalをproteinaseKならびにendoglucosidase Hで 処 理 し て も 変 わ ら ず 、lipoproteinlipase処 理 で90% 以 上 失 わ れ た 。   LPsalはSDSlPAGEで 分 子 量 の 異 な る 多 数 の 画 分 に 分 か れ 、 活 性 は40〜50 kDa、60〜80kDaの 複数 のり ポタ ンパ ク質 に認 めら れた 。ニれらのタンパク質は proteinaseKで消 化さ れてlokDa以下 の低 分子 量の 物質 となるが、その活性は変 わらず、リピッド部分にあることが示唆された。なお、LPsalの活性はpolymyxinB 存在下で失活しなかったので、LPSの影響を全く受けていないことが確認された。

  LPsalの サ イ ト カ イ ン 産 生 誘 導 活 性 :LPs甜でQn‐F、PBMCならび にHUVECを 刺 激す ると 炎症性 サイ トカ インがmRlNAレベルで発現した。すなわち、Gin‐Fは IL‐6、 凡‐8なら びにMCPー1を、PBMCはn汀Q、凡‐1ロ、凡‐6、凡‐8ならびに MCP‐1を 、 そ し てmrVECはIL‐8な ら び にMCP‐1を 、 そ れ ぞ れ 、 発 現し た 。

[ 考察 ]ICAM‑1は白 血球 に発 現し てい るLFA‑1な らび にMac‑lと結合して、白血 球の血管外遊出に深くかかわっている。自血球はセレクチンとグリカンとの緩い結合 で血管壁に粘着してローリングする。白血球の流速が緩やかになるのに伴い、炎症 部 位で 産生 され た炎 症性 サイ トカ イン の刺激 によ って 白血球のLFAー1ならびに Mac‑lなどのインテグリンが活性化され、セレクチンは細胞から遊離していく。インテ グ リン と血 管内 皮細 胞のICAM‑1、VCAM‑1など との 結合 により、白血球は血管内 皮細胞ヘ緊密・強固に接着して、血管外ヘ遊出する。血管外ヘ遊出した白血球は IL‑8、MCP‑1等の ケモ カイ ンによって炎症の場ヘ引き寄せられ線維芽細胞に発現 したIC」`M−1と結合し、炎症局所に留まる。

  LPsむは血管内皮細胞と歯肉ならびに歯根膜線維芽細胞にI(:AM−1ならびにケ モカインの産生を、末梢血単核球には炎症性サイトカインならびにケモカインの産生 を誘導する炎症誘発因子であること、そしてその活性はりッピド部分に担われている ニとを、本研究は明らかにした。

  M鍛伽ロ灯z mは口腔感染病巣において優位を占める微生物群に属する。本研究 は、At卿んv田 f2′mの生物学的活性にっいて新知見を追加し、口腔感染症の病因論 に新たな問題を提起した。

  申請者は審査委員からの下記の質問に対して明快に回答し、専門領域のみなら ず 、 関 連 領 域 に つ い て も 充 分 な 知 識 を 持 っ て い る も の と 判 断 さ れ た 一   以上の所見に基づき、申請者は博士(歯学)を授与される資格があるものと認め

1.M. saん朋′f釘朋細胞膜で刺激したGin‐1細胞に発現するVC」`M‐1量の経時的変 化 。2.proteinaseK未 処 理LPsalの10kDa以 下の 画分 に活 性が 認め られ ない 理 由。3.ICAM←1産生誘導活性を担うりピッドの種類と構造:4.PBMCでIC」`M‐1 の 発 現 を 調 べ な か っ た 理 由 。5.Gin―1、Gin‐F、HUVECなら びにPDLFに対 す るICAM‐1発 現 誘 導 活 性 の 強 度 の 順 位 :6.an‐1、Gin・F、HUVEC、PDLF な らび にPBMCに 対す るVCAM−1発現 誘導 活性 を調 べなかった理由。7.トリトン

(5)

X−114ニ相分離法によるりポプロテイン分離法:8.モノサイトウエスタン法の原理。

9.LPSの構造。10.LPSとポリミキシンBとの結合様式:11.LPsalに対するGin‑l 細 胞 の レ セ プ タ ← 一 12. マ イ コ プ ラ ズ マ 細 胞 の 構 造 。 そ の 他 。

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参照

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