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ヒト皮膚線維芽細胞における

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コスメトロジー研究報告 10号(2002)

ヒト皮膚線維芽細胞における I 型コラーゲン遺伝子の 個人依存性発現制御機構

畑  隆  一  郎

神奈川歯科大学  歯学部口腔生化学

我々は先にI 型コラーゲンα2鎖(COL1A2)遺伝子の転写性制御領域である遺伝子の上流及び 第一イントロンに2つの反復配列を見い出し、この反復配列の組み合わせにより、COL1A2遺伝 子の転写活性が制御されていること、及び、高い転写促進活性を示す反復配列の組み合わせ(ハ プロタイプ)が全身にⅠ型コラーゲンが異常に蓄積する疾患である強皮症に対する感受性に関与 していることを報告した。本研究ではこの転写制御機構を明らかにするために各種コンストラク トのトポアイソマーを二次元電気泳動法で分離し、転写制御領域の高次構造、特に右巻きの B 型構造から左巻きのZ型ラセンへの転移を解析した。

【結果および考察】

最近DNAの高次構造がDNAの一次構造(塩基配列)と同様に生物情報を持っていることが明 らかになってきた。我々は先にCOL1A2 遺伝子の上流と第一イントロンに二つの2塩基反復配 列が存在し、この二つの反復配列の組み合わせにより COL1A2 遺伝子の転写活性が促進される こと、及びこの配列の組み合わせのうち(13,6,8)-12 の組み合わせをホモに持つものはⅠ型コ ラーゲン遺伝子の転写活性が促進されている強皮症患者ゲノムにのみに存在し、対照の正常な個 体由来のゲノムでは存在しないことを報告した。そこでこれらの反復配列による COL1A2 遺伝 子の転写促進機構を明らかにするために二つの反復配列の高次構造を解析した。上流反復配列、

イントロン反復配列の両者が塩基配列からはZ型構造を取りうることが推定されたが、今回の結 果は転写開始点の上流のみに左巻きラセンのZ型構造をとった領域が存在することが明らかに なった。Z型構造の存在量は上流反復配列の長さに比例することから、反復配列部分がZ型構造 をとっていると思われる。B型ラセンからZ型ラセンへの転移においては超ラセン密度の減少を 伴い、これは2次元電気泳動の1次元目におけるトポアイソマーの泳動距離の負への変化によっ て示される。B型ラセンから十字架型構造への高次構造の変化によっても超ラセン密度の減少を 伴う。上流反復配列はCG反復配列を含むので十字架型構造を取りうる。十字架型構造を取った 時の超ラセンのリラクセーションの総量は i′/10.4(i′はCG反復配列の長さ)で示される。

(19,7,8)-12 の反復配列を持つコンストラクトの上流反復配列が十字架型を取るとすると超ラ

センのリラクセーションの総量はCG反復配列を構成する塩基が 2×7=14なので 1.35(14/10.4) となる。一方、上流反復配列のみがB型ラセンからZ型ラセンへの転移に起こす際の超ラセンの リラクセーションの総量は13.28(74/10.4+74/12、74は上流反復配列の総塩基数)である。後者の 値は 2次元電気泳動による超ラセンのリラクセーションの実測値13(40-27)と一致する。この結 果から、用いたコンストラクトは上流反復配列がB型ラセンからZ型ラセンへの転移を起こした

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コスメトロジー研究報告 10号(2002)

ことを支持している。さらに本研究で用いた反復数の異なるコンストラクトの電気泳動における 泳動距離の負へのシフトはトポアイソマー番号27で起こっており、この値からB型ラセンから Z型ラセンへの転移における超ラセン密度はおよそ-0.036(-10.4Y/Z、4つのコンストラクトでそ

れぞれ、27/7742,27/7736,27/7732,27/7740)と算出され、これは過去の反復配列による値と一致す

る。以上の結果は用いたコンストラクトは上流反復配列のみがZ型構造を取っていることを示す。

しかし、本研究の結果で測定した Z 型構造の存在量と転写促進活性は単純な比例関係を示さな いので、COL1A2遺伝子の反復配列による転写促進活性を制御する因子はDNAのZ型構造以外 にも存在することが示された。これら結果は遺伝子の転写促進において現在の知見では説明でき ない新しい制御機構の存在を示唆しており、COL1A2遺伝子の研究はこの転写制御の分子機構の 研究に好個の材料となるばかりでなく、遺伝子の転写制御と疾患感受性の解明に重要であると考 えられる。

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