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Title
共培養されたラット歯根膜線維芽細胞と歯髄線維芽細胞
のメカニカルストレスによるRANKL/OPG の発現
Author(s)
安村, 敏彦; 西井, 康; 末石, 研二; 松坂, 賢一; 井上,
孝
Journal
歯科学報, 112(4): 544-544
URL
http://hdl.handle.net/10130/2905
Right
目的:歯科矯正治中に起きる歯根吸収は無髄歯と比 較し,有髄歯の方が多く発現する事が報告されてい る。すなわち圧を受けた歯髄の存在が歯根吸収に影 響を及ぼしている可能性があることが示唆されてい る。しかし,今までに基礎科学的に証明したものは ほとんどない。本研究ではラット歯髄線維芽細胞 (DPC)存 在 下 で 培 養 ラ ッ ト 歯 根 膜 線 維 芽 細 胞 (PDL)にメカニカルストレスを与えることで, 産生される RANKL/OPG について分子生物学的な 検討を行った。 方法:5週齢の Sprague-Dawley 系,雄性ラットの 上顎切歯より歯根膜と歯髄組織を採取し通法に従っ て培養したのち第5,6継代目の細胞を実験に用い た。PDL と DPC を共培養した PDL 細胞および単 層培養した PDL 細胞を用いた。実験群としてメカ ニカルストレスを与えた2群(共培養,単層培養), 対照群としては与えていない2群の計4群に分け た。メカニカルストレスは遠心機によって4800rpm (Naito et al. 2009)の遠心力を20分与えた。1,3 日後に通法に従い mRNA を抽出し,定量 RT-PCR (TaqMan 7500 Fast, Applied Biosystems)にて
RA-NKL/OPG の発現量を検索した。 成績および考察:PDL の RANKL の発現量におい て,共培養および単層培養共に実験群は対照群と比 較し有意に高い値を示した(p<0.05)。また共培 養と単層培養の実験群を比較した結果,共培養は RANKL が高く有意差が認められ た(p<0.05)。 OPG の発現量では共培養したものは経時的に増加 傾向を示し,単層培養では減少傾向を示したが,共 に有意差は認められなかった。また共培養と単層培 養の実験群を比較した結果1日後では単層培養の方 が有意に高い値(p<0.05)を示したが,3日後に おいて有意差は認められなかった。これらの結果か らメカニカルストレスによって歯根膜線維芽細胞は RANKL および OPG を発現するが,歯髄線維芽細 胞が存在する事によって,RANKL の発現が促進さ れる事が示唆された。 目的:歯科領域において,骨欠損部の早期治癒が求 められている。HMG-COA 還元酵素阻害薬である フルバスタチン(第二世代スタチン)には,骨形成 促進作用が知られている。しかし,老人性骨粗鬆症 といわれる低代謝型骨粗鬆症に対する骨形成の局所 効果についてはあまり検討されていない。そこで 我々は低代謝回転型骨粗鬆症モデルラットにフルバ スタチンを局所投与し,骨欠損部における骨形成過 程について検討した。 方法:15週齢の雄性高血圧自然発症ラット6匹を低 代謝型骨粗鬆症モデルとして用いた。麻酔下にて左 右大腿骨中央部を直径1.5mm のラウンドバーで骨 欠損させた。実験群として,0.3mM に調製したフ ルバスタチンをフリーズドライしたゼラチンバイド ロゲルに浸透し,それを外径1.5mm 長さ2.2mm 厚 さ20μm のチタンチューブに填入したものを製作し た。対照群はチタンチューブにゼラチンハイドロゲ ルのみを入れた試料を製作した。各群を術直後,7 日目,14日目,21日目にマイクロ CT で撮影し,骨 形成量を TRI-3D-BON にて計測した。21日目で屠 殺した個体から大腿骨を採取し,脱灰標本として光 学顕微鏡下で観察を行った。 成 績 お よ び 考 察:マイクロCT およびTRI-3D-BON にて得られた結果では,実験群・対照群ともに経時 的に骨形成量は増加したが,各群の平均値では7日 目,14日目と21日目間では差を示さなかった。各個 体にて対照群に対する実験群の骨形成増加率の比較 を行ったところ,7日目,21日目では両者に差を認 めなかったが,14日目では実験群が有意に大きな値 を示した。骨形成の増加量に個体差を認めるもの の,個々の動物について経時的に解析することによ り,骨形成量の差がより顕著に認められた。21日目 の組織学的観察ではチタンチューブ内は,成熟した 新生骨が認められ,新生骨は母床の皮質骨と連続し て観察された。またチタンチューブ周囲にも新生骨 が観察された。以上より,フルバスタチンを局所投 与することで,低代謝回転型骨粗鬆症ラットの骨形 成を増加させることが示唆された。