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博士(理学)小亀一弘 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(理学)小亀一弘 学位論文題名

A taxonomic study of the family Scytosiphonaceae     (Scytosiphonales, Phaeophyceae) in Japan

(日本産褐藻カヤモノリ科(ScytosIphonaceae)の分類学的研究)

学位論文内容の要旨

  褐 藻 カ ヤ モ ノ リ 科 (Scytosiphonaceae) の 藻 類 は 世 界 中 に 分 布 し て お り 、 比 較 的 簡 単な外部形態をもっものが多い。カヤモノリ科が含まれるカヤモ丿リ目

Scytosiphonales) は 、 多 列 形 成 的 な 大 型 の 配 偶 体 ( 直 立 体 ) と 単 列 形 成 的 な 小 型 の 胞 子 体 ( ほ ふ く 体 ) と が 交 代 す る 異 型 世 代 交 代 と 、 細 胞 が 大 き な ピ レ 丿 イ ド を 一 個 も つ 色 素 体 を ー 個 含 む こ と に よ り 特 徴 づ け ら れ て い る 。 カ ヤ モ ノ リ 目 に は 現 在 ム ラ チ ド リ 科 (Chnoosporaceae) と カ ヤ モ ノ リ 科 の2科 が 置 か れ 、 カ ヤ モ ノ リ 科 に は 一 般 に67 属 が 認 め ら れ て い る 。 カ ヤ モ ノ リ 科 の 分 類 に つ い て は こ れ ま で 、 藻 体 の 外 部 形 態 、 体 構 造 、 複 子 嚢 斑 の 形 、 複 子 嚢 の 長 さ 、 ア ス コ シ ス ト の 有 無 な ど の 形 質 が 用 い ら れ て き た が 、 そ れ ら の 形 質 の 分 類 学 的 評 価 に は 異 諭 も 多 く 、 属 の 定 義 や 種 の 区 別 に 曖 味 さ が あ っ た 。 生 活 史 の 研 究 報 告 は 比 較 的 多 い が 、 自 然 下 で の 胞 子 体 は 、 微 小 で あ る た め ご く 一 部 の 種 に お い て 知 ら れ る の み で 、 そ の た め 、 配 偶 体 の 形 質 の み が 分 類 に 用 い ら れ ていた。

  本 研 究 で は 、 日 本 産 褐 藻 カ ヤ モ ノ リ 科 の 種 を 明 確 に 認 識 す る こ と 、 自 然 下 で の 胞 子 体 の 探 索 、 分 類 形 質 の 検 討 ・ 評 価 、 生 活 史 の 解 明 を 目 的 と し て 、 以 下 の12種 に っ い て 形 態 分 類学 的 研 究を 行 っ た; フ ク ロノ リ (rlpoPロ ノaS/灯 ロロs8)、 ウ ス カワ フ ク ロノリ

(F. pereぎrノロa)、ホソワタモ(r.phaeロcfact/ノョ)、ワタモ(F,みulノロsa)、  カゴ.メノリ

(HydrロCノォthrusピノathratus)  カヤモノリ(Scytoゴiphロロノロ冒Pロtar ia)、  カヤモドキ

(J.ロョkairae)、ウスカヤモ(J.ぎraピilノざ)、ヒラカヤモ(J.teロellus)、  ホソバセイ ヨウノ丶ノでノリ(PetオノDロノazロぷterif olia)、  セイヨウノ丶′ヾノリ(P,fascia)、  /、/ヾノリ

P. みingha,r iae)。 各 々 の 種 類 に っ い て 日 本 各 地 から 材 料 を採 集 し 、光 学 顕 微 鏡レ ベ ル

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までの 形態観察を 行い、詳細 な記載を行った。また、培養により生活史の各ステージ を観察 した。ウス カワフクロ ノリ、ワタモ、カヤモノリ、カヤモドキ、ウスカヤモ、

ヒラカ ヤモ、ホソ バセイヨウ ハバ丿リ、セイヨウハバ丿りについては、野外で胞子体 を採集 し、その形 態観察と培 養を行った。また、北海道大学理学部標本室所蔵の標本 にっいても観察した。

  その結 果、ウスカ ヮフクロ丿 りは日本においてこれまでフクロノりと混同されてい たIが、実際は、北海道から九州に広く分布し、北海道でフク口ノりとされていたもの はすべ てウスカヮ フク口丿り であること を確認した 。カヤモノ リ属の3種(カヤモド キ、ウ スカヤモ、 ヒラカヤモ )を藻体の厚さ、複子嚢の形態、アスコシストの有無、

配偶子 の大きさ、 胞子体の形 態の特徴の組み合わせから新種と認めた。セイヨウハバ ノリ属 とハバノリ 属(Endaracbne)の 形態的な類 似性を認め 、ハバノりの学名として Pe t81ロ 々 i8み ノ 々 ぎ haiiae Vinogradovaを 用 い る こ と を 支 持 し た 。   分類学 的形質の検 討にっいて は、これまで重要視されていなかった直立体の初期形 態、複 子嚢の形態 、アスコシ ストの有無、胞子体の形態をカヤモノリ科の分類に有効 であると認め、これらの形質を用いることにより種を明確に区別できることを示した。

  直立体 の初期形態 にっいては 、ほふく部の単列直立糸が多列形成的に発達する単列 型(uniseriate type)とほふく部が隆起する球状型(spherical type)を認め、前者は カヤモ ノリ属とセ イヨウハパ ノリ属の種類に、後者はフク口ノリ属とカゴメノリ属の 種類に 見られるこ とを観察し 、科のレベルの分類形質として利用できる可能性を指摘 した。複子嚢の形態にっいては、成熟時に複子嚢間の接着が弱くクチクラに覆われナょ いloose typeと 複子 嚢 間の 接 着が 強 くク チ クラに 覆われるpacked typeを認め、 種 の分類 に有効であ ることを示 した。アスコシストは、個体によりその量は変化が大き いが、 その有無は 種により一 定しており、種の分類に有効であると判断した。胞子体 の形態 は、体構造 、複子嚢の 有無、アスコシストの有無、単子嚢が頂生か側生か、側 糸の有 無により特 徴づけるこ とができ、種の分類に有効であることを示した。また、

胞子体を形態的に4っの群に分けることを試みた。

  生活史 にっいては 、ホソワタ モを除く種について単子嚢を形成する胞子体を培養下 で得て 、異型の生 活史を観察 した。カヤモノリ目では、胞子体には単子嚢しか形成し なぃと 考えられて いたが、フ クロ丿リ、ウスカヮフクロノリ、カゴメ丿りの胞子体で

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は単子嚢に加え、複子嚢も形成することを明らかにした。また、カヤモドキとセイヨ ウハバノりの有性生殖を含む異型世代交代の生活史を明らかにした。今回観察した培 養下の各々の生活史を比較し、胞子体の繁殖様式により以下の3っの生活史型を認め た:I.胞子体は夏の条件で複子嚢を形成し繁殖する;  ll.胞子体は夏の条件で単 子嚢 により 繁殖する;III.胞子体は夏の条件で生殖器は形成しない。また、これら 3っ の生 活史 型は、 それ ぞれ 、胞 子体の 形態と密接な関係があることを指摘した。

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学位論文審査の要旨 主 査

  

教 授

  

吉 田 忠 生 副 査

  

教 授

  

舘 脇 正 和 副 査

  

教 授

  

増 田 道 夫 副査   助教授   堀口健雄

学 位 論 文 題 名

A taxonomic study of the family Scytosiphonaceae     (Scytosiphonales, Phaeophyceae) in Japan

( 日 本 産 褐 藻 カ ヤ モ ノ リ 科(Scytosiphonaceae)の分 類 学的 研 究 )

  カ ヤ モノ リ 科 の藻 類 は褐 藻 植 物の 中 で ,多 列 形成 的 を 大形 の 配偶 体 と ,単 列 形成的 な 小形 の 胞子 体 と の間 の 異型 の 世 代交 代 をし , 細 胞に 顕 著 なピ レ ノイ ド を もつ 葉緑体 を 一個 含 むと い う こと で 明確 に 特 徴づ け られ た 群 であ る . これ ま で, 生 活 史に 関して い くっ か の種 が 研 究対 象 とさ れ , 有性 生 殖の 存 在 が報 告 さ れて い るけ れ ど も, 種レペ ル で取 り 扱わ れ る こと は 少詮 か っ た・

  本 研 究で は , 室内 培 養と 野 外 観察 に よ り, 世 代交 代 の 各段 階 を確 認 し ,そ れ それの 世 代の 形 態的 な 特 徴を 明 らか に し て, 配 偶体 に お いて 註 複 子嚢 の 形態 や ア スコ シスト と 呼ぷ 特 別な 細 胞 の有 無 など に 注 目し , これ ま で 明確 で な かっ た 小形 の 聴 子体 世代を 詳 細 に 観 察 す る こ と に よ り , 日 本 産 の カ ヤ モ ノ リ 科 藻 類 の412穂 を 研 究 し た . そ れ ら は フ ク ロ ノ リ 属フ ク ロ 丿リColpoenia sinuosa

regrina,ホ ソ ワ タ モCphaeodactyla, ワ タ モ i) Hydroclathrus clathratus;

ウ ス カ ワ フ ク ロ ノ リCpe Cbullosa;カ ゴ メノ リ属カゴ メノ カヤ モ ノリ 屬 カヤモノ リScytosiplionlornentaria カ ヤ モ ド キSnakamurae, ウス カ ヤモ S. gracilis,ヒラ カヤモ.S.tenellus;セ

イ ヨウハバ ノリ属ホ ソパセイ ヨウハ´ くノリPetalonia zosterifoli&,セイヨウハ丿マノ Pfascia, ハ パ ノ リPbinghamiaeで あ り , こ の う ち , ウ ス カ ワ フ ク ロ ノ り は 申 請 者に よ って は じ めて 日 本 に産 する ことが明 らかにさ れ,カヤ モドキ, ウスカヤモ , ヒ ラ カ ヤ モ の3種 は 種 々 の 特 徴 に よ っ て 新 種と 認 めら れ た もの で ある . セ イヨ ウ ハパ

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ノ り に つ い て , こ れ ま で 各 国 の 研究 者の 研究 にも かかわ らず 未知 であ った 有性 生殖 の 存 在 を は じ め て 明 ら か に し た ・

  配 偶 体 世 代 の 初 期 発 生 様 式 の 観察 によ って ,カ ヤモノ リ属 とセ イヨ ウハ バノ リ属 で は , 直 立 す る 一 列 細 胞 糸 が 多 列 形成 的に 分裂 して 体を構 成す るの に対 して ,フ クロ ノ リ 属 と カ ゴ メ 丿 リ 属 で は 匍 甸 部 が隆 起し て球 状の 体を構 成す るこ とを 認め ,こ の特 徴 で カ ヤ モ ノ リ 科 が ニ つ の 群 に 分 けら れる こと を示 した. これ まで 独立 の属 とさ れて い

たハ パノリ属 れた .

Endarachne は セイ ヨウハパノリ属との区別が明・確でをいとして纏めら

小形 の胞 子体 世代 には その 形態 から これ までCoロpsone nia属,lficrospongium属,

Stragularia ,  Hapterophycus属 な る こ と が 示 され た.Hapterophycus

と さ れ てき たい くっ かの 型が あり ,種 によっ て異 属 を ど , こ れ ま で 独 立 の 分 類群 と さ れ て い た も の が カ ヤ モ ノ リ 科 藻 類 の 生 活 史 の1世 代 で あ る こ と が 証 明 さ れ た. また ,種 によ って 胞 子 体 に 単 子 嚢 だ け で な く , 後 子 嚢も 同時 に形 成する もの があ るこ とが 観察 され た.

  そ れ そ れ の 檀 が 示 す 生 活 史 の 型 は 胞 子 体 の 繁 殖 様 式 によ っ て3型 に鵜 めら れ, 生活 史 の 型 の 違 い は , そ れ そ れ の 種 の 生 存 戦 略 と の 関 連で 理 解 さ れ る こ と を 諭 議 し た ‐   本 研 究 は , こ れ ま で 断 片 的 な 研 究で 生活 史も 不明確 だっ た分 類群 につ いて ,旧 来の 研 究 方 法 に , 制 御 さ れ た 条 件 下 で の培 養実 験も 加えて ,明 快な 結諭 を得 たも ので ,日 本 の 海 藻 相 の 解 明 と , 分 類 学 分 野 で の 貢 献 が 著 し く, 審 査 員 一 同 は , 申 請 者 が 博 士

( 理 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 誼 資 格 が あ る と 認 め た.

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