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大気中二酸化炭素の溶解による アルカリ性トンネル排水の中和

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 青 木 卓 也

学 位 論 文 題 名

大気中二酸化炭素の溶解による アルカリ性トンネル排水の中和

学位論文内容の要旨

  北 海 道中 央部からや や東方に位置する標高約950mの山岳トンネルにおいて, トンネル覆工背面 より湧出する地下 水が,トンネル建設中はもと より完成後も継続してアルカリ性を呈することが認 められており,そ のpHは10〜11に及ぶ,この湧 水は,トンネル底部の中央排水管に集水後,終点坑 ロ部に送水され, トンネル排水として敷地外へ排出されている.このトンネル排水の放流先は,公共 用水 域 と橡 ることから ,放流水pHが環境基準であ るpH6.5〜8.5と教ることが望 まれる.トンネル 建設期間中は,坑 口付近に中和処理装置を設置し,液化炭酸ガスを中和剤とする動カを要する機械式 での中和処理を行 ってから放流していた.しかし,その設備や中和剤にコストを要するため,アルカ リ性トンネル排水 が継続的に排出される限りこのコストは常に加算される.このため,このトンネル 排水がアルカリ性 を呈する原因を究明するとと もに,自然の浄化作用を活用する合理的教中和対策 が求められている .

  本研究では,地 下水がアルカリ性を呈する原因を究明し,周辺沢水との混合による希釈の効果や大 気中 の 二酸 化炭素の溶 解促進によるpHの低減効果 ,す顔わちこれら自然の浄化 作用による中和法 を構築するもので ある.本論文は6章で構成さ れている.

  第1章では,本論 文の序章として,本研究の背景,調査地点の概要,トンネル排水系統および地質 構成について述べ た.

  第2章では,トン ネル排水がアルカリ性を呈する原因を究明するため,トンネル掘削時の調査ポー リングコアから代 表的叔岩石を選択し,それらに対する溶出試験を実施するとともに,トンネル排水 および周辺沢水の 水質調査を実施した,その結果,本トンネルの主要教地質である頁岩や砂岩および 礫岩中に含まれる 鉱物のひとつである方解石の 溶解反応がトンネル排水をアルカリ性にする主教原 因と推定された. また,トンネル排水は,二酸化炭素が十分に溶存してい誼い状態にあり、RpHの測 定結 果 から 大気中の二 酸化炭素との十分教接触面 積および接触時間を確保する ことでpHを低下さ せることが期待で きる,

  第3章では,トン ネル排水および周辺沢水の 水質調査から得られた水質デ ータを基に,地球化学 コ ー ド で あ るPHREEQEあ る い はPHREEQCに よ る 地 球 化 学 解 析 を 行 っ た .そ の 結果 ,渇 水期 の よう誼沢水の水量 が少をい場合は,トンネル排 水に対して沢水との希釈だけでは環境基準値を達成 でき を いこ と,トンネ ル排水と沢水との合流水のpHは地球化学解析によって評 価できることがわ かった,一方,こ の地球化学解析によって,大気中の二酸化炭素を十分に溶解した平衡時にはトンネ ル排水は環境基準 値内のpH8.4程度とをること がわかった.このことは,大 気中の二酸化炭素を効 率 的 に 溶 解 さ せ る こ と で ア ル カ リ 性 の ト ン ネ ル 排 水 のpHを 低 減 で き る可 能 性を 示唆 する .

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  第4章で は,大 気中の 二酸化炭素の溶解を促進させる方法を明らかにするために,室内基礎試験 で効率的に大気中の二酸化炭素を溶解させる方法を検討し,さらに水路形式の模型を用いた室内水 路試験および現地水路試験を実施した.これらの試験結果から,大気中の二酸化炭素を効率的に溶解 させるためには,気液接触面積を大きくし,液境膜厚さを低下させる曝気が有効であった,また,気 液接触時間を長くすることも有効であった.したがって,無動カで上記の条件とするには,現地斜面 の落差を利用した越流堰方式が有望であると判断された.さらに,水路試験におけるpHの低減挙動 は,大気と平衡状態にある炭酸と排水中の炭酸との濃度差に関する一次反応モデルで評価できた.す 教わち,トンネル排水が流下する過程での大気中二酸化炭素の溶解速度は,気液接触面積,貯留容積・

二酸化炭素の液境膜拡散係数,液境膜厚からをる速度定数と液境膜間の炭酸濃度差から算出できる.

  第5章では,上記の結果を踏まえpH低減に必要次気液接触面積,貯留容積,滞留時間を決定し,そ れらの値を用いて中和水路構造物を設計・施工した.その結果,本水路構造物がpH低減に対して有 効であることを示すとともに,アルカリ性トンネル排水への大気中二酸化炭素の溶解モデルが検証 された.

  第6章で は,炭 酸塩の 溶解を 主捺原因 とする 自然由 来のア ルカリ 性のト ンネル排水のpHを低下 させるためには,大気中の二酸化炭素の溶解を促進させることが重要であり,気液の接触面積,接触 時間,撹拌強度を確保することが必要であることを結論づけた.

  本成果を用いることで,各地で排出されるアルカリ性を呈する地下水に対して,自然の浄化作用に より中和できることが示唆された.

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(3)

学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授 教 授 教 授 准 教 授

五 十嵐 高 橋 米 田 原 田

学 位 論 文 題 名

敏文 正宏 哲朗 周作

大気 中二酸化炭素の溶解による アル カリ性トンネル排水の中和

  北海 道 中央 部からやや東方に位置す る標高約950mの山岳トンネ ルにおいて.トンネル覆エ背 面 より湧 出する地下水が,トンネル 建設中はもとより完成後も継 続してアルカリ性を呈することが認 められ ており,そのpHは10〜11に 及ぶ,この湧水は,トンネル 底部の中央排水管に集水後,終点坑 ロ部に 送水され,トンネル排水として敷地外ヘ排出されている.このトンネル排水の放流先は,公共 用 水域 と 没る ことから,放流水pHが環 境基準であるpH6.5〜8.5と 教ることが望まれる.トンネ ル 建設期 間中は,坑口付近に中和処理装置を設置し,液化炭酸ガスを中和剤とする動カを要する機械式 での中 和処理を行ってから放流していた.しかし,その設備や中和剤にコストを要するため,アルカ リ性ト ンネル排水が継続的に排出される限りこのコストは常に加算される.このため,このトンネル 排水が アルカリ性を呈する原因を 究明するとともに,自然の浄 化作用を活用する合理的誼中和対策 が求め られている.

  本研 究では,地下水がアルカリ性を呈する原因を究明し,周辺沢水との混合による希釈の効果や大 気 中の 二 酸化 炭素の溶解促進によるpHの低減効果,すをわちこれ ら自然の浄化作用による中和 法 を構築 するものである.本論文は6章で構成されている.

  第1章では,本論文の序章として ,本研究の背景,調査地点の概要,トンネル排水系統および地質 構成に ついて述べた,

  第2章では,トンネル排水がアル カリ性を呈する原因を究明するため,トンネル掘削時の調査ポー リング コアから代表的な岩石を選択し,それらに対する溶出試験を実施するとともに,トンネル排水 および 周辺沢水の水質調査を実施した,その結果,本トンネルの主要教地質である頁岩や砂岩および 礫岩中 に含まれる鉱物のひとつで ある方解石の溶解反応がトン ネル排水をアルカリ性にする主を原 因と推 定された.また,トンネル 排水は,二酸化炭素が十分に溶存していをい状態にあり,RpHの測 定 結果 か ら大 気中の二酸化炭素との十 分教接触面積および接触時 間を確保することでpHを低下 さ せるこ とが期待できる,

  第3章では,トンネル排水および 周辺沢水の水質調査から得 られた水質データを基に,地球化学 コ ー ド で あ るPHREEQEあ る い はPHREEQCに よ る 地 球 化 学 解 析 を 行 っ た . その 結 果, 渇水 期の

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ようを 沢水の水量が少歡い場合は,トンネル排水に対して沢水との希釈だけでは環境基準値を達成 できを いこと ,トン ネル排 水と沢 水との 合流水 のpHは地球化学解析によって評価できることがわ かった,一方,ての地球化学解析によって,大気中の二酸化炭素を十分に溶解した平衡時にはトンネ ル排水 は環境 基準値 内のpH8.4程度とをることがわかった.てのことは,大気中の二酸化炭素を効 率 的 に 溶 解 さ せる こ と で アル カ リ 性 のト ン ネ ル 排水 のpHを 低 減 で きる 可 能 性 を示 唆 す る ,   第4章 では, 大気中 の二酸化 炭素の溶解を促進させる方法を明らかにするために,室内基礎試験 で効率 的に大気中の二酸化炭素を溶解させる方法を検討し,さらに水路形式の模型を用いた室内水 路試験および現地水路試験を実施した,これらの試験結果から,大気中の二酸化炭素を効率的に溶解 させるためには,気液接触面積を大きくし,液境膜厚さを低下させる曝気が有効であった,また,気 液接触時間を長くすることも有効であった.したがって,無動カで上記の条件とするには,現地斜面 の落差 を利用した越流堰方式が有望であると判断された.さらに,水路試験におけるpHの低減挙動 は。大気と平衡状態にある炭酸と排水中の炭酸との濃度差に関する一次反応モデルで評価できた.す 改わち,トンネル排水が流下する過程での大気中二酸化炭素の溶解速度は,気液接触面積,貯留容積,

二酸化炭素の液境膜拡散係数,液境膜厚からをる速度定数と液境膜間の炭酸濃度差から算出できる.

  第5章では,上記の結果を踏まえpH低減に必要顔気液接触面積,貯留容積,滞留時間を決定し,そ れらの 値を用いて中和水路構造物を設計・施工した.その結果,本水路構造物がpH低滅に対して有 効であ ることを示すとともに,アルカリ性トンネル排水への大気中二酸化炭素の溶解モデルが検証 された.

  第6章 では, 炭酸塩 の溶解を 主顔原 因とす る自然 由来の アルカ リ性の トンネル排水のpHを低下 させるためには,大気中の二酸化炭素の溶解を促進させることが重要であり,気液の接触面積,接触 時間,撹拌強度を確保することが必要であることを結諭づけた,

  本成果を用いることで,各地で排出されるアルカリ性を呈する地下水に対して,自然の浄化作用に より中和できることが示唆された,

  これ を要するに,著者は炭酸塩の溶解を主教原因とする自然由来のアルカリ性のトンネル排水の 性状を 把握し ,周辺 河川に よる希 釈作用 および 大気中二酸化炭素の溶解反応を利用したpH低滅が 可能で あること,大気中二酸化炭素溶解を促進させる水路構造物によってアルカリ水の環境負荷を さらに低減できることを明らかにしたものであり,水環境工学,トンネル工学に寄与するところ大極 るものがある.

  よ っ て 著 者 は , 北 海道 大 学 博 士( 工 学 ) の学 位 を 授 与さ れ る 資 格が あ る も のと 認 め る .

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