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小坂太一郎 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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小坂太一郎 論文内容の要旨

主 論 文

Helicobacter bilis colonization of the biliary system in patients with pancreaticobiliary maljunction

(膵胆管合流異常におけるHelicobacter bilisの胆道内定着の検討)

小坂太一郎 田島義証 黒木 保 三島壮太 足立智彦 常岡伯紹 福田顕三 兼松隆之

(British Journal of Surgery in press)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻

(主任指導教員:兼松隆之教授)

緒 言

胆道癌の高リスク群の一つとして膵胆管合流異常(以下 PBM)が知られており、そ の原因は胆道内への膵液逆流による胆道粘膜障害や p53 等の癌関連遺伝子発現などが 提唱されているが、その発癌機序は十分に解明されていない。一方、近年胆汁耐性 Helicobacter属菌であるHelicobacter bilis(以下H.bilis)がヒト胆道組織検体の PCR より検出され、その胆道内への定着と胆道発癌との関連が示唆される報告がなさ れている。当科でも胆道癌症例、胆道発癌高リスク群である肝内結石症例における

Helicobacter 属菌定着の検討を行い、発癌との関連性を報告してきた。本研究では

PBM 患者の胆道への H.bilis の定着を明らかにし、PBM における胆道発癌機序と H.bilisとの関連を検討する。

対象と方法 対象

2000 年から 2008 年までに当施設で外科的加療を受けた PBM 患者 17 例を PBM 群とし た。ERCP もしくは MRCP で長い共通管の存在を確認することで PBM の診断とした。コ ントロール群は PBM を有さない胆道良性疾患の患者とした。なお、本研究は長崎大学 病院の臨床倫理委員会の承認を得た。

方法

各患者の胆道検体(胆汁、胆嚢・管外胆管組織)50mg から DNA extraction kit を 用いて DNA を抽出した。

各検体の DNA に対し、H.bilis16S rRNA 特異的プライマーである C62/12、H.pylori ウレアーゼ A 遺伝子特異的プライマーである HPU1/2 を用いた特異的 PCR 法による検

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討を行った。

結 果

1.PBM 群とコントロール群のH.bilis、H.pylori特異的 PCR の陽性率の検討

H.bilis DNA PCR においては PBM 群 17 例中 12 例(71%)で陽性となり、これはコ ントロール群の陽性率 27 例中 8 例(30%)と比較して有意に高率となった (p<0.01)。

H.pylori DNA PCR では PBM 群で 17 例中 1 例(6%)、コントロール群 27 例中 2 例

(7%)と共に低い陽性率となり、両群間の陽性率に有意差は認めなかった。

2.PBM 群におけるH.bilis陽性率の検討 年齢

PBM 群の小児症例、8 例中 6 例(75%)においてH.bilis DNA 陽性となり、成人症 例の陽性率(9 例中 6 例(67%))と同様に高い陽性率を示した。

総胆管拡張の有無

総胆管拡張を有する症例では 11 例中 8 例(73%)が陽性であり、拡張のない症例 では 6 例中 4 例(67%)が陽性であった。

膵胆管合流形態

C-P union(総胆管が膵管の途中に合流する形態)症例 12 例中 9 例(75%)で陽 性であり、P-C union(主膵管が総胆管の途中に合流する形態)症例 5 例中 3 例 (60%)で陽性であった。

胆汁内アミラーゼ値

H.bilis陽性の症例群の胆汁内アミラーゼ値は平均 31,354±28,756 IU/L であっ たのに対し H.bilis 陰性症例群の胆汁内アミラーゼ値は平均 42,979±43,621 IU/L となり、両群間に有意差を認めなかった。

考 察

胆道癌高リスク群である PBM 患者の胆道内にH.bilis DNA を高率に同定し、H.bilis の胆道内定着が示唆された。H.bilis は胆汁耐性を持つことが知られていたが、膵液 耐性に関しては不明であった。今回の検討において胆汁内アミラーゼ高値の症例から

H.bilis陽性が確認された。このことからH.bilisは胆汁のみならず膵液にも高い

耐性を持っていることが示された。また、PBM では膵液の胆道内逆流により胆道粘膜 障害が惹起される。このような粘膜障害部位では細菌定着が起こりやすいとされてお

り、H.bilisの胆道内定着を容易にしている一因と思われる。

今回、2 ヶ月齢の小児 PBM 症例において H.bilis陽性を認め、PBM 症例において小 児期からのH.bilis胆道内持続感染があることが示唆された。我々は肝胆道系悪性腫 瘍、ならびに胆管癌高リスク群である肝内結石症症例において H.bilis を含む

Helicobacter属菌に対する特異的 PCR 法で高率に陽性を呈すること、陽性症例に対す

る組織病理学的検討で胆道上皮細胞の増殖活性が亢進していることを既に報告して いるが(Kuroki et al. Hepato-Gastroenterology 2002、Fukuda et al. Carcinogenesis 2002)、PBM においても同様の機序でH.bilisが発癌に関与している可能性が考えられ た。

今後もH.bilis胆道感染と胆道発癌との関連の検討が胆道発癌機序の解明の一助に

なることを期待する。

参照

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