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石井 玲子 論文内容の要旨 主 論 文

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Academic year: 2021

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石井 玲子 論文内容の要旨

主 論 文

A Long-term Follow-up of Serum Myeloperoxidase Antineutrophil Cytoplasmic Antibodies (MPO-ANCA) in Patients with Graves Disease Treated with Propylthiouracil

(プロピルチオウラシルで治療されたバセドウ病患者における血清抗好中球細胞質 ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)の長期経過)

石井玲子、今泉美彩、井手 茜、世羅至子、植木郁子、堀江一郎、

安藤隆雄、宇佐俊郎、江島英理、芦澤潔人、江口勝美

Endocrine Journal571 20101月掲載予定)

長崎大学大学院医学研究科内科系専攻 (指導教授:江口 勝美教授)

緒 言

バセドウ病のプロピルチオウラシル(PTU)治療により血清抗好中球細胞質ミエロ ペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)が陽性になるケースがあることが知られてい る。その多くは無症状であるが、時に血管炎を起こし、重篤な腎炎、肺病変、皮膚症 状等を呈することがあり、MPO-ANCA陽性患者の長期予後を検討することは臨床的 に重要と考えられる。

以前当科でPTU治療を行ったバセドウ病患者の37.5%MPO-ANCAが認められ た こ と を Sera ら が 報 告 し て い る (Sera, Thyroid 10, 595, 2000)が 、 今 回 、 MPO-ANCA陽性患者におけるMPO-ANCA値の長期自然経過とその臨床的意義を検 討した。

対象と方法

19961999 年に当院で PTU 治療を受け、MPO-ANCA 陽性であったバセドウ病 患者21名のうち、当院で1年以上経過観察ができた13名(平均年齢:42歳、男性 2 例、女性 11 例)を対象とした。MPO-ANCA と血管炎の発症リスクについて患者 のインフォームドコンセントを得た上で、8名はPTU治療を中止し、5名は治療を継 続した。

MPO-ANCA値の経過と血管炎症状、所見および尿所見について後ろ向きに検討し た。平均観察期間は5.6±3.0年間1.3-10.1年)で、MPO-ANCAELISANIPRO 基準値<20EU)を用いて測定した。

結 果

PTUを中止した8名の患者のうち7名でMPO-ANCA値が低下した。PTU中止後、

3名のMPO-ANCA値は5年以内に陰性化した一方、 5名では5年以上陽性のまま であった。5年以上陽性が持続した患者では、初回MPO-ANCA値が有意に高かった。

PTU を中止した8名の患者のうち 1 名において認められていた血管炎症状(関節痛 と紫斑)はPTU中止後速やかに改善、消失した。

(2)

PTUを継続した5名の患者のうち3名はMPO-ANCA値は陽性のままであったが、

初回のMPO-ANCA値が低かった2名は自然に陰性化した。

今回経過観察を行った全例で、観察期間中に新たな血管炎症状、所見、尿異常を認 めた症例はなかった。

考 察

PTU 中止後MPO-ANCA 値は低下することが示されたが、長期に渡って陽性が持 続することがあり、MPO-ANCA 陽性の症例ではPTU 中止後も新たな血管炎の発症 が懸念される。しかし、本研究では PTU 中止後陽性が持続した症例でも新たな血管 炎は発症しなかった。高抗体値を示す症例でより血管炎を発症しやすいとの報告があ ることから(Ye, Clin Exp Immunol, 142, 116, 2005) 、PTU中止で抗体値が低下する ことにより、血管炎発症のリスクが低くなった可能性が考えられる。PTU 中止後の MPO-ANCA持続陽性と新たな血管炎発症との関連性は低いことが示唆されたが、今 後多数例での検討が必要である。

また、本研究では PTU を継続した群でも新たな血管炎の発症はなく、低抗体値の 症例の中には自然に陰性化した症例もあった。しかしながらMPO-ANCA値の上昇傾 向がある症例では、血管炎を発症する危険性が高くなることが予想されるため、慎重 な経過観察やPTU中止の検討が必要と考えられる。

参照

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