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佐藤信也 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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佐藤信也 論文内容の要旨

主 論 文

Expression of myeloperoxidase and gene mutations in AML patients with normal karyotype: double CEBPA mutations are associated with high

percentage of MPO positivity in leukemic blasts

染色体正常核型 AML におけるミエロペルオキシダーゼ(MPO)発現率と遺伝子変異に ついての検討: double CEBPA 遺伝子変異を有する症例は

白血病芽球の MPO 陽性率が高い

佐藤信也、對馬秀樹、安東恒史、糸永英弘、今泉芳孝、今西大介、岩永正子、

田口潤、福島卓也、吉田真一郎、波多智子、森内幸美、栗山一孝、間野博行、

朝長万左男、宮﨑泰司

International Journal of Hematology 94:81–89 2011

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線医療科学専攻

(主任指導教員:宮﨑泰司 教授)

緒 言

急性骨髄性白血病(AML)は造血器悪性腫瘍の一つで、化学療法や造血幹細胞移植 などの適切な治療を行えば約半数の症例が治癒する疾患である。現在どのような症例 にどのような治療法を選択すれば良いかに関する研究が行われているが、治療法の選 択にあたっては予後の予測が必要不可欠である。AML では白血病細胞の染色体異常が 最も強力な予後予測因子とされているが、約半数の症例では染色体異常が検出されな いため染色体以外の予後予測因子の同定が急務となっている。近年染色体正常症例に おいてはFLT3、NPM1、CEBPA等の遺伝子変異が予後と関連することが報告されている。

ミエロペルオキシダーゼ(MPO)は過酸化水素と塩素イオンから次亜塩素酸を産生 する反応を触媒する骨髄系細胞に特異的な酵素で、主に好中球や単球のアズール顆粒 内に多く存在するが、低レベルの MPO 発現は正常の骨髄球系の前駆細胞や AML の芽球 にも認められる。一般的に芽球の MPO 陽性率は急性白血病の病型分類に用いられてい るが、我々はこれまで白血病芽球の MPO 陽性率が染色体正常 AML 症例において強力な 予後予測因子として機能することを報告してきた。今回この論文では AML 症例の臨床 検体を用いて、正常核型 AML の二つの予後因子である AML 芽球の MPO 発現率と、遺伝 子変異(FLT3、NPM1、CEBPA)にどのような関係があるかを検討した。

対象と方法

(対象)

1990 年 12 月~2010 年 12 月に長崎大学病院血液内科で診断された染色体正常核型 de novo AML 60 症例。

(方法)

芽球の MPO 陽性率算出

骨髄塗抹標本を MPO 染色し、芽球 100 個の MPO 陽性率を算出。

(2)

FLT3、NPM1、CEBPA遺伝子変異の検出

検体(骨髄血、末梢血)から単核球を分離後、genomic DNA を抽出。PCR 法にて 各遺伝子を増幅した後、直接シークエンス法で遺伝子変異を同定。

③MPO 陽性率とFLT3、NPM1、CEBPA各遺伝子変異との相関関係の解析

CEBPA両アレル変異(CEBPAdouble-mut)群、NPM1変異かつFLT3変異なし群、その 他の遺伝子タイプ群、の3群で MPO 陽性率との関連を解析。臨床病態(年齢、

Performance status、白血病病型、初診時白血球数等)と遺伝子変異の関連も 統計学的解析を実施。

結 果

①芽球における MPO 陽性率

60 症例中 28 症例で MPO 陽性率が高く(MPO>50%、MPO High)、32 症例では陽性率 が低かった(MPO≦50%、MPO Low)

②遺伝子変異の同定

FLT3 遺伝子:exon14 と 15 の間に繰り返し配列が挿入される internal tandem duplication 変異(FTL3-ITD)が 11 症例(18.3%)。NPM1 遺伝子:exon12 のフレ ームシフト変異が 19 症例(31.7%)CEBPA遺伝子:11 症例(18.3%)に遺伝子変異

(挿入、欠損、置換)。そのうち 10 症例が 2 つのアレル両方に変異が起こる CEBPAdouble-mut

③臨床病態と遺伝子変異の相関関係

1. 治療強度を合わせた 36 症例での検討では、これまでの報告と同様に、MPO Low 群より MPO High 群が、またCEBPAdouble-mut群が他の genotype より予後良好の傾 向があった。

2. FLT3-ITD 陽性例は陰性例より有意に白血球数が多かった。

3. CEBPAdouble-mut群は全例が MPO High であり、その他の遺伝子タイプ群と比較し MPO 陽性率が有意に高かった。しかしながら CEBPAdouble-mut群と NPM1 変異群(FLT3 変異なし)の間、NPM1変異群(FLT3変異なし)とその他の遺伝子タイプ群の間 では、MPO 陽性率の有意差はなかった。

考 察

我々は AML 予後因子として芽球の MPO 陽性率を提唱しているが、今回の報告では、

正常核型 AML の予後因子とされているFLT3、NPM1、CEBPAの遺伝子変異と MPO 陽性率 がどのような関係にあるかを検討した。一般的にNPM1変異陽性かつFLT3-ITD なし症 例や CEBPAdouble-mutを有する症例は予後良好であるとされているが、CEBPAdouble-mutを持 つ症例群は全例 MPO 陽性率が高かった。両者には有意な相関があり、予後良好の正常 核型 AML の病態を考える上で興味深い。以前我々は MPO 高発現白血病細胞が MPO 低発 現細胞より抗がん剤(Ara-C)に対する感受性が高いことを報告しており、CEBPA変異 例の予後が良好なのは MPO 陽性率が高いことによる可能性も考えられ、今後更に検討 が必要である。今後も AML 正常核型症例において MPO 発現率と相互関係を持つ遺伝子 変異を検索する予定である。

参照

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