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プラスチックボルトの締結特性に関する研究 Tightening Characteristics of Polymer Bolts

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(1)

プラスチックボルトの締結特性に関する研究 Tightening Characteristics of Polymer Bolts

精密工学専攻

24

号 佐原 直人

Naoto Sahara

1. 1.

1. 1.緒言 緒言 緒言 緒言

ボルト締結は,高い信頼性と優れた分解性を有することか ら,多くの構造体の機械的締結部に使用されている.近年,

軽量化・耐腐食性・絶縁性・非磁性を兼ね備えたボルト締結 が求められており,金属ボルトの代替部品としてプラスチッ クボルトへの需要が高まっている.しかしながら,金属ボル トの研究に比べ,プラスチックボルトの締結特性の研究はほ とんど行われていない(1)

プラスチックボルトを使用する上での課題は,その機械的 物性値が歪と時間に依存する材料特性にある.この両特性は,

ボルトの締結強度を高め信頼性を向上させることとトレー ドオフの関係にある.本研究の目的は,前記の二つの依存性 がボルトの締結強度とゆるみに及ぼす影響を明らかにする ことである.

Fig.1 に本研究の概要を示す.初めに歪に依存性する弾性 係数を考慮した FEM 解析モデルを構築し,ボルトにおける応 力分布の解析を行った.この解析結果と実験的な破断面解析 とを合わせて,ボルト内部における応力分布と破壊の特性を 考察した(図中の①).次いで,プラスチック材料の粘弾性効 果を考慮した締結ゆるみモデルを提案し,軸力低下実験の結 果と比較し考察を行った(図中の②).

2.

2.

2.

2.実験装置 実験装置 実験装置 実験装置

本研究では,材料物性の異なる二種類のプラスチックを使 用した.結晶性材料の PP(ポリプロピレン)と,非結晶性材料 の PC(ポリカーボネート)である.

締結実験装置を Fig.2 に示す.装置の構成はボルトの締結

を行うナットランナー(CORETEC 株式会社製 AC サーボナット ランナー2520S 型)と,そのコントローラである.ボルト軸力 はセンターホール型ロードセル(株式会社昭和測器製 荷重 変速器 HCS-100kN)で測定し,その出力をデータロガーで処理 した.サーボモータの締結トルク,回転角,締付け速度,締 結時間のパラメータは,制御プログラム上で設定する.破断 面観察には,実体顕微鏡(Nikon 製 SMZ-2T)を使用した.

プラスチック材料の定量的な機械的物性値を調べるため,

引張試験機(株式会社 T.S.E 製 Auto com 万能試験機 TAC-500N)を使用した.この際,試験片はプラスチックボル トから NC 加工機を用いて切り出した.

3. 3.

3. 3.締結 締結 締結 締結強度 強度 強度 強度特性 特性 特性 特性

3.1

3.1 3.1

3.1 プラスチックボルトのプラスチックボルトのプラスチックボルトのプラスチックボルトの締結特性締結特性締結特性 締結特性

ボルト締結時の力学モデルをベースとして,プラスチック 材料の弾性係数に及ぼす歪効果,さらにボルトの形状効果を 考慮した FEM 解析モデルについて以下に述べる.

① 締結強度特性締結強度特性締結強度特性締結強度特性

課題:応力分布と破壊のメカニズムの解明 提案

提案 提案

提案::歪依存性歪依存性歪依存性を歪依存性を考慮考慮考慮したモデル考慮したモデルしたモデルしたモデル

解析: 材質効果 実験:破断面解析

有限要素解析 ・材料別破壊機構

形状効果 ・形状・材質・速度変化 応力分布応力集中許容応力破壊

② ゆるみゆるみゆるみ特性ゆるみ特性特性特性

課題:軸力低下の予測と原因解明 要求事項

要求事項要求事項

要求事項 研究目的研究目的研究目的研究目的 提案提案提案提案::粘弾性効果粘弾性効果粘弾性効果を粘弾性効果を考慮考慮考慮考慮したモデルしたモデルしたモデルしたモデル((MaxwellMaxwellMaxwellモデルMaxwellモデルモデルモデル)

・締結強度 プラスチック材料特性 実験:締結直後における軸力低下実験

・ゆるまない を考慮したモデルの提案 ・Maxwellモデルによる近似の妥当性を検証 と考察により締結の信頼 ・初期軸力の影響を考察

トレードオフ 性向上を目指す ・材料の結晶構造による影響を考察 プラスチック材料特性

研究背景 研究背景 研究背景

研究背景とと目的目的目的目的 締結特性締結特性締結特性締結特性

F : Axial force

T : Torque

Slope effect

α

α´

β

F F

Fsinβ

Fcosβ

cosβ cosα´ F A-A

B-B B

B A

A Fs

sinβ cosα´ Fs

Fcosβ Fssinβ Fssinβ

Fscosβ

Fs:ネジ面接線力 F:軸力

α

α´

β

F F

Fsinβ

Fcosβ

cosβ cosα´ Fcosβ cosα´ F A-A

B-B B

B A

A Fs

sinβ cosα´ Fssinβ cosα´ Fs

Fcosβ Fssinβ Fssinβ

Fscosβ

Fs:ネジ面接線力 F:軸力 Stress distribution

FffffFffff

Bending stress σM

σ

τ

Shearing stress Axial

stress F : Axial force

T : Torque

Slope effect

α

α´

β

F F

Fsinβ

Fcosβ

cosβ cosα´ F A-A

B-B B

B A

A Fs

sinβ cosα´ Fs

Fcosβ Fssinβ Fssinβ

Fscosβ

Fs:ネジ面接線力 F:軸力

α

α´

β

F F

Fsinβ

Fcosβ

cosβ cosα´ Fcosβ cosα´ F A-A

B-B B

B A

A Fs

sinβ cosα´ Fssinβ cosα´ Fs

Fcosβ Fssinβ Fssinβ

Fscosβ

Fs:ネジ面接線力 F:軸力 Stress distribution

FffffFffff

Bending stress σM

σ

τ

Shearing stress Axial

stress

Fig.1 Research flow and concept Microscope

PC

Data logger

AC Servo controlled nut runner Controller

Load cell Microscope

PC

Data logger

AC Servo controlled nut runner Controller

Load cell

Fig.2 Experimental setup

(2)

3.3.

3.3.1.1.1.1.1111 ボルトのボルトのボルトのボルトの締結締結締結締結力学力学力学力学

ボルトを締付けることによって発生する基本的な力学関係 は,次の式(1)~式(3)で表わされる(2).すなわち,ボルトを トルクTで締付けることにより,ネジ山の斜面効果で軸力F が発生する.この軸力によりネジ山には軸力による曲げ応力 σMが発生する.ボルト本体には,トルクTによるせん断応力 τ軸力Fによる引張り応力σがそれぞれ発生し,ボルト締結 体は組み合わせ応力状態にある.



 

 +

=

2 2

tan cos

2 d

T P

F d s

π α

µ (1)

( ) ( ) r

d G r T

r 4

2

32 γ π

τ = = (2)

Ab

E = F

= ε

σ (3)

3.3.

3.3.1.1.1.1.2222 弾性係数弾性係数弾性係数弾性係数のの歪依存性歪依存性歪依存性 歪依存性

Fig.3 に代表的な材料の応力歪線図を示す.金属材料ボル トの場合,降伏点以下の応力では図中の①線に示すような線 形弾性特性と考えられる.一方,本研究が対象としているプ ラスチック材料は,図中の②線に示すような非線形弾性特性 となる(3)(以下,これを歪依存性と呼ぶ).

プラスチックボルトの応力分布を解析する場合はこの特性 を考慮すべきであり,本研究ではこの歪依存性を考慮したプ ラスチックボルトの三次元 FEM モデルを構築し,応力分布解 析を行うことで破壊のメカニズムを考察した.

3.

3.

3.

3.1111....3333 ボルトボルトボルトボルト形状形状形状の形状の及及ぼすぼすぼすぼす影響影響影響影響

プラスチック材料の弾性係数の歪依存性により,ボルト締 結体全体の歪分布を解析することが破壊の考察に不可欠で ある.応力集中により破壊の起点となることが多いボルトネ ジ谷部における主応力解析も有益である.

ボルト特有の形状に配慮した FEM 解析モデルを構築し,軸 力を付加した状態の二次元 FEM 解析を行い,ボルト形状効果 を検証した.この解析モデルのネジ山形状は JIS B 0205-1 の規定値を用いた.

3.3.

3.3.2222 FEMFEMFEMFEM 解析解析解析解析条件条件条件条件及及びび破断面解析破断面解析破断面解析 破断面解析

プラスチックの歪依存性を考慮した FEM 解析モデルの解析 結果と,実際のボルト破断面解析の結果とを比較することで 破壊のメカニズムを考察する.以下の解析条件と実験条件を 用いた.

3.2.

3.2.

3.2.

3.2.1111 FEMFEMFEMFEM 解析条件解析条件解析条件解析条件

本研究では ANSYS11.0 の解析ソフトを使用し,ボルトの形 状効果を解析するための二次元 FEM モデルと,組み合わせ応

力状態を解析するための三次元 FEM モデルを構築した.

PP 材料と PC 材料の定量的な物性値を求めるため,万能試 験機を用いた定速引張試験を行い,その非線形性を解析ソフ トに代入した.ここでポアソン比は共に 0.35,ネジ面摩擦係 数は 0.1 とした.比較のために SUS 材料ボルトの解析も行い,

弾性係数として 200[GPa]で一定の線形性モデルを用いた.な おポアソン比は 0.3,ネジ面摩擦係数は 0.1 とした.

二次元 FEM モデルは四辺形 8 節点要素によりメッシュ分割 した.ボルト頭部側座面とナット側座面に対し,軸力 10[kN]

を負荷した状態で,歪分布解析と主応力解析を行った.

Fig.4 に示す三次元 FEM モデルでは,要素数を削減しつつ メッシュを細かくするため,ネジ山基底部と軸中心部におい てそれぞれ四面体 10 節点要素と六面体 8 節点要素を使用し た.その形状を用いてナットの自由度を全て固定した状態で ボルトを軸に対して 135[deg]回転させ,その条件下での応力 分布を解析した.

3.2.

3.2.

3.2.

3.2.2222 破断面解析破断面解析破断面解析の破断面解析の実験実験実験実験条件条件条件条件

ボルト破断面解析では,PP,PC,比較のための SUS 材料の 3 種類を用いて,それぞれ破断するまで締結した.各実験で はボルト頭部側座面,ナット側座面,おねじ部,めねじ部に マシン油を塗布し,摩擦状態が同じになるように配慮した.

3.33.3

3.33.3 解析解析解析解析およびおよびおよびおよび実験実験実験の実験の結果結果結果結果とと考察考察考察考察 3.3.1

3.3.1 3.3.1

3.3.1 歪・・主応力主応力主応力・主応力・相当応力相当応力相当応力相当応力のの分布状態分布状態分布状態 分布状態

ボルト締結状態における FEM 解析例を Fig.5 に示す.

同図(a)はボルトネジ部の歪分布を示す.第一はめ合いネ ジ部の谷底(以下,第一ネジ谷部と称す)に歪が集中しており,

第二ネジ谷部以降では歪が低下する様子が分かる.おねじ全 体の歪分布解析の結果から,他にも首下部や不完全ネジ部に 歪集中が観られた.これらのことから,ボルト本体の破壊発 生箇所は主に第一ネジ谷部,首下部,不完全ネジ部の三カ所 であることが推察される.

Fig.5-(b)の細い矢印(図中の )は第一主応力の大きさ と方向を表している.第一ネジ谷部に発生する主応力は,軸 線に対して第一ネジ山の頂の方へと傾いている.このことか ら,一般にき裂は主応力に対して直角な方向に進むので,ボ ルトの場合は谷底から軸中心に向けてえぐれる形で進展す ると推察される.

Fig.5 の(c)はプラスチック材料ボルト,(d)は比較のため の SUS 材料ボルトのそれぞれ応力分布を示す.応力分布の傾 向は先の(a)とほぼ同様であるが,軸外周部と軸中心部との 応力差はプラスチックボルトの方が小さく,SUS 材料ボルト は大きいことが特徴的である.

3.3.2 3.3.2 3.3.2

3.3.2 FEMFEMFEM 解析FEM解析解析解析によるによるによるによる考察考察考察考察

応力分布に及ぼす歪依存性の影響を PP 材料ボルトと SUS 材料ボルトを対比しながら FEM 解析した.

Fig.6 は第一ネジ山の基底部に作用する曲げ応力を示した.

F:軸力,T:締付けトルク,d2:おねじ有効径の基準寸法 µs:ネジ面摩擦係数,α:ネジ山角,P:ピッチ

G:横弾性係数,E:縦弾性係数,r:半径方向距離 Ab:おねじ谷径の基準寸法を直径とする円柱の断面積

Fig.4 Bolt and nut modeled by 3D-FEM

Fig.3 Typical stress-strain curves

Strain [%]

Stress[N/m2]

Metal

Plastics

no linear area

Strain [%]

Stress[N/m2]

Metal

Plastics

no linear area

(3)

(c) Equivalent stress evolution on PP bolt 34.7[MPa]

Bolt Bolt Bolt Bolt

(d) Equivalent stress evolution on SUS bolt 39000[MPa]

Bolt Bolt Bolt Bolt Bottom of head

Imperfect Thread

1stEngaged thread Clamped part

Nut

Bolt

(b) Orientation of principal stress at thread (a) Strain evolution at thread

BoltBolt BoltBolt Nut

(a) Strain evolution at thread

BoltBolt BoltBolt Nut

Nut

Bolt Nut

Bolt

横軸は応力,縦軸はネジ山を梁とみなした場合における中立 軸からの距離を示す.SUS 材料ボルトの応力分布は直線的で あるのに対し,PP 材料ボルトは弾性係数が歪分布の影響を受 けるため曲線的である.

ボルトの中心軸から半径方向に沿ってネジ谷部までの応 力分布を,せん断応力について Fig.7,相当応力について Fig.8 に示す.

Fig.7 のせん断応力の場合も SUS 材料ボルトは直線的分布 を示すのに対し,PP 材料ボルトは歪が大きい外周部でなだら かな曲線的分布を示す.Fig.8 の SUS 材料ボルトの相当応力 はネジ谷部の応力集中効果が大きいため,外周部において急 増する曲線となっている.一方の PP 材料ボルトは歪の大き いネジ谷部で応力分布が飽和的になる傾向を示す.

3.3.3 3.3.3 3.3.3

3.3.3 破断面解析破断面解析破断面解析の破断面解析の結果結果結果と結果と考察考察考察 考察

SUS 材料ボルトの破断面を Fig.9,プラスチック材料ボルト の破断面を Fig.10 に示す.第一ネジ谷部で発生した破断例 である.両図ともに破断面は軸方向側にややえぐれており,

これは主応力解析の結果と一致している.

Fig.9 より SUS 材料ボルトの破断面には,端面外周にき裂 が確認できる.このき裂は第一ネジ谷部が起点となって破壊 したことを示しており,このことは,第一ネジ谷部で相当応 力が急激に増加する FEM 解析の結果が裏付けている(Fig.8).

PP 材料ボルトの端面外周に目立ったき裂はないが,外周に 沿った無数の細かい切れ目が確認できた(Fig.10).この切れ 目はプラスチック材料がせん断破壊したことを示す破断面 である.すなわちプラスチックボルトは第一ネジ谷部で外周 に沿ってずれる(せん断する)形で徐々に破壊したことを示 しており,これはプラスチックボルトの第一ネジ谷部の外周 付近で応力分布が飽和的になった FEM 解析が裏付けている(4)

破断面解析と FEM 解析の結果は良く一致している.歪依存 性を考慮した FEM 解析モデルの有効性が確認できたことによ り,プラスチックボルトの締結時における応力分布や破壊の メカニズムが予測可能となる.

4.

4.

4.

4.ゆるみ ゆるみ ゆるみ ゆるみ特性 特性 特性 特性

4.14.1

4.14.1 締結締結締結締結ゆるみゆるみゆるみゆるみにに及及ぼすぼすぼす粘弾性効果ぼす粘弾性効果粘弾性効果粘弾性効果

一般的にボルトの締結強度はボルト本体の弾性変形に基づ く軸力によって保証している.しかし,この軸力が低下する と締結強度が低下し,ボルト締結強度の信頼性は著しく低下 する.

プラスチック材料をボルト材として使用する場合には,プ ラスチック材料特有の応力緩和現象を考慮することが軸力

Fig.9 Fracture surface on SUS Fig.10 Fracture surface on PP Fig.5 Example of bolt FEM analysis

Crack

Fig.7 Shearing stress distribution

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

0 1 2 3 4 5

PP bolts SUS bolts

Shearing stress on PP [MPa] Shearing stress on SUS [MPa]

Radial distance [mm]

Fig.8 Equivalent stress distribution

5000 6000 7000 8000 9000 10000 11000 12000

27 28 29 30 31 32 33

0 1 2 3 4 5

PP bolts SUS bolts

Equivalent stress on PP [MPa] Equivalent stress on SUS [MPa]

Radial distance [mm]

1.0[mm] 1.0[mm]

Imperfect thread

Fig.6 Bending stress distribution

-40 -20 0 20 40

-15000 -10000 -5000 0 5000 10000 15000 -0.8

-0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8

Bending stress on PP bolt[MPa]

Bending stress on SUS bolt[MPa]

Distance from neutral axis [mm] Threadroot

(4)

低下によるゆるみの観点から非常に重要となる.

本研究では,コイルバネEとダッシュポットηを直列結合 させた Maxwell モデルにより,応力緩和現象を表現する.こ のモデルにおける応力σと歪εの関係を次式(4)に示す(5)

η σ σ

ε = +

dt d E dt

d 1 (4)

上式より,時間変数としての緩和弾性率E(t)は次式(5)のよ うに導かれる.

) (

) exp ) ( (

0

t E t E

t

E τ η

τ ε

σ  =

−

=

=     (5)

上式のτは緩和時間と呼ばれ,材料固有の値をとる.この 緩和弾性率E(t)を式(3)に代入し,時間関数としての軸力F(t) を求めると次式(6)が導かれる.ここでF(t)を初期軸力F0 除した値φを軸力低下比として式(7)のように定義した.

 



−

=

=AEtε F τt

t

F() b () 0 0exp (6)

( )= = −  

φt F(t) F0 exp τt (7) 式(7)より軸力低下比φは,初期軸力に関係なく材料固有 の緩和時間τによって決まることが分かる.またこの指数関 数式が定量化できれば,プラスチックボルトの軸力低下が予 測可能となる.

4.24.2

4.24.2 軸力低下軸力低下軸力低下軸力低下のの実験条件実験条件実験条件実験条件

予備実験の結果により,本研究における応力緩和現象は締 結後ほぼ 5 分間で緩和幅の 8 割程度が出現することを確認し た.そこで,ナットランナーを使用して目標軸力までの締結 を行い,締結後 5 分間の軸力をロードセルにより計測した.

そのデータを用いて実験値としての緩和時間τを計算により 求めた.

4.3 4.3 4.3

4.3 実験結果実験結果実験結果実験結果

式(7)で定義した軸力低下比について実験的に求めた結果 を,PC 材料ボルトについて Fig.11,PP 材料ボルトについて Fig.12 に片対数グラフで示す.

両図より,PC 材料ボルトは軸力の安定状態までにかかる時 間が短いのに対し,PP 材料ボルトはその時間が長い.また,

緩和現象による 5 分後の軸力低下幅は PC 材料ボルトより PP 材料ボルトの方が 4 倍程度大きくなった.

両図によれば,5 分間の軸力低下量のうち,PC 材料ボルト の場合は締結直後から 3[sec],PP 材料ボルトの場合は 30[sec]で 7 割程度低下している.

4.4 4.4 4.4 4.4 考察考察考察 考察

Fig.11 と Fig.12 において,締結直後の軸力低下比φは片 対数グラフでほぼ直線近似できるので,式(7)の緩和時間τ を実験的に求めた.その結果を Fig.13 に示す.またこの緩 和時間を用いた理論直線として Fig.11 と Fig,12 に示す.

緩和時間τは PC 材料が PP 材料より約 2.5 倍長いことが分 かる.結晶性材料の PP 材料は,非結晶性材料の PC 材料に比 べ,形状を変える際の摩擦抵抗が大きい.このため,結晶性 材料ボルトは式(5)の粘性項ηが大きくなるため,緩和時間τ が大きくなると考えられる.

緩和時間τは初期軸力に関係せず材料固有の値となること も,実験的に示されている.

以上のことから式(6)及び式(7)で示した Maxwell モデルに よる軸力低下モデルは,初期軸力低下現象をよく説明でき,

また全軸力低下幅のおよそ 6 割程度まで定量的に説明出来る ことが分かった.

5.

5.

5.

5.結言 結言 結言 結言

プラスチックボルトの締結強度特性とゆるみ特性の解明を 目的として,歪依存性を考慮した FEM 解析モデルと粘弾性効 果を考慮したモデルを構築し,実験結果と比較,検証するこ とで以下のことを明らかにした.

締結強度特性については,

ボルト締結体は第一ネジ谷部に歪が最も集中する

はめ合いネジ谷部のき裂は軸方向にえぐれて伝播する

プラスチック材料ボルトは歪依存性により軸外周部で応 力が飽和的になり,第一ネジ谷部の外周に沿って細かな 切れ目が生じて破壊する.

ゆるみ特性については,

緩和時間は初期軸力に関係せず材料固有の値である

結晶性材料ボルトは非結晶性材料に比べ緩和時間が長い

Maxwell モデルにより軸力低下予測は可能である.

今後はプラスチックボルトにおける温度特性の影響を考 慮した強度特性とゆるみ特性を検討することが課題である と考えられる.

参考文献参考文献 参考文献参考文献

(1)斉当健一:プラスチックねじの強度評価に関する基礎的 研究,日本ねじ研究協会誌,(1985) pp.299-308.

(2)酒井智次:ねじ締結概論,養賢堂

(3)BASF社資料:Review of mathematical design methods for thermoplastic machine parts

(4)吉田亨:破断面の見方,日刊工業新聞社

(5)深堀 美英:設計のための高分子の力学,技報堂出版

0.93

0 5 10 15 20 25

Reduction ratio of axial forcelogφ

Elapsed time [sec]

Fig.11 Tightening force relaxation on PC bolts

F0 1.2[kN]

F0 1.7[kN]

F0 2.2[kN]

Eq(7) 1.2[kN]

Eq(7) 1.7[kN]

Eq(7) 2.2[kN]

0.7

0 30 60 90 120 150

Reduction ratio of axial forcelogφ

Elapsed time [sec]

F0 1.2[kN]

F0 1.5[kN]

F0 2.0[kN]

Eq(7) 1.2[kN]

Eq(7) 1.5[kN]

Eq(7) 2.0[kN]

Fig.12 Tightening force relaxation on PP bolts

Fig.13 Influence of initial axial force on relaxation time

0 50 100 150 200

0.0 1.0 2.0 3.0

Relaxation time τ[sec]

Initial axial force F0[kN]

PP bolts PC bolts

Initial axial force F0 [kN]

参照

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