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水蒸気改質器の伝熱特性に関する研究

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Academic year: 2021

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     博士(工学)宇佐美 学位論文題名

水蒸気改質器の伝熱特性に関する研究 学位論文内容の要旨

  エネルギー消費の節約と地球環境保全および経済発展を持続させるという近未来におけ るトリレンマに直面している今日,クリーンで且つ再生可能なエネルギーとして,水素工 ネルギーに多くの関心が寄せられている.水素を工業的に得る方法としては,炭化水素の 改 質 , 水 の 電 気 分 解 , 水 の 熱 化 学 分 解 , 石 炭 の ガ ス 化 な ど が 挙 げ ら れ る .   改質は,水蒸気改質,部分酸化および直接改質に大別されるが,水蒸気改質が歴史的に も古く,技術的にも成熟域に達しており,現状では,水素製造技術の中心に位置するもの と考えられる.

  水蒸気改質は,一般に,炭化水素中の水素よりも多量の水素を水から得ることができ,

従来より,最も広範囲に利用されている方式であって,二ッケル系改質触媒層における吸 熱反応が支配的であることと,反応速度が高温になる程増加することにより特徴付けられ ており,ふく射伝熱を利用した改質管の使用環境は材料の限界的な高温域に達している.

このことは,改質器の開発や運用において多くのトラプルを生む主要因になっている.→

方,吸熱反応が支配的な改質管における熱伝達挙動は伝熱工学的にも興味を惹く事象が多 く,従来より,個々の改質管の伝熱特性を実験的または解析的に把握し公表していること も見受けられるが,伝熱特性について総括的に一般化された定量的な研究があまりなされ ていないのが現状である.

  化学工業的な水素製造方法として発達して来た炭化水素の水蒸気改質技術は,近年燃料 電池用の水素ガスを得る手法に応用されるようになって来た,燃料電池用改質器は,都市 部への設置に対応するために,設置面積の低減を強いられ,従来の改質器よ りも容積負荷 が増大しており,改質管の使用環境はさらに過酷なものとなっている.このような改質器 を最適に設計し,運用するには,火炉におけるふく射伝熱特性を高精度で把握するのみな らず,改質管における反応を伴う伝熱特性の詳細を把握し,計画に反映する必要がある.

  試作あるいは開発された燃料電池用改質器は,現状では実用化の域に達したと思われる ものも少なくないが,それらの多くは,伝熱工学的に最適化が図られているとは言い難い.

その主要な根拠は,改質管内の熱伝達特性が定量化されていないことに併せて,火炉に関 する簡便で且つ精度を維持できるふく射伝熱解析法が少ないことである.その結果,従来 多くの場合,燃焼負荷によって改質管の最高メタル温度をコントロールし,触媒活性の径 時劣化や硫黄付着等による性能低下を考慮しつっも,充分過ぎる触媒層容積を提供して,

所定の改質性能を確保して来たのが実状である.

  このような現状を鑑み,本研究においては,改質器の熱的設計の最適化に供する基礎資 料を提供することを目的として,まず,代表的な燃料電池用多管式供試改質器の改質管内 における伝熱特性を実測値および一次元数値解析を通して推定し,吸熱反応を伴う層内熱 伝達率の増大傾向を明らかにした.次に,等温壁を有する実機スケールの改質管を想定し

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た二次元定常解析を実施し,改質触媒層の定常状態における熱伝達特性および層内の反応 特性を把握することによって,解析モデルと解析手法の妥当性を確認した.さらに,定常 実験結果を整理することによって,改質触媒層における熱伝達や反応を支配する因子の一 般的な定量化を図り,改質器の最適設計に有効な無次元数および整理式を得た.また,改 質器の負荷変化を想定した反応系の非定常状態における熱伝達および反応への支配因子の 効果を実験と解析の両面から検討し,併せて過渡的な粒子・流体聞熱伝達の影響について 考察し,過渡状態においても壁面の熱伝達が系全体を支配することを明らかにした.一方,

火炉に関する簡便で高精度なふく射伝熱解析法としては,三次元解析をー次元的に処理す ることのできる擬多次元理論解析モデルを提案し,火炉におけるふく射変換体の効果に注 目したふく射伝熱解析を行い,解析モデルの有効性を確認した.これらの研究成果により,

改質器の最適設計に関する必須資料を提供することができた.

  本論文 は,8章より 構成され ている.第1章は,緒諭であって,改質器および水蒸気改 質技術 の位置づ けを論 じ,改質 器の伝熱特性研究の意義と本研究の概要を述べている.

  第2章においては,改質器の伝熱特性に関する従来の研究および充填層における非反応 系ならびに反応系伝熱特性に関する既存の研究について概観すると共に,本研究の目的お よび位置づけを明らかにした.

  第3章では,代表的な供試改質器の性能を把握し,一次元定常モデルによる解析的な検 討によって,改質管内の伝熱特性を把握し,吸熱反応を伴う層内熱伝達率が増大する傾向 を明らかにした.また,触媒層内の熱利用割合を検討し.,顕熱の一部が反応に消費されて いるこ とを示した.さらに,改質反応に影響する因子であるガス温度,S/C値,流速など の効果を実験および数値解析を通して定量的に予測し,改質器の性能評価に供し得る解析 モデルを確立した.

  第4章においては,等温壁の改質管によって形成された改質触媒層内の伝熱および反応 特性に関して,二次元定常モデルによる解析的な検討を実施し,実験結果との比較検討を 行うと共に,熱伝達率や反応に影響する因子である流速,S/C値,、壁面温度および入口温 度などの効果を実験と解析の両面から検討することによって,解析モデルと解析手法の妥 当性を確認した.

  第5章では,実機スケールの改質管による定常実験的な検討を行い,管内流速,壁面温 度,層 内温度,触媒粒子径およびS/C値などの支配因子の熱伝達ならびに反応への効果を 総括的に定量化し,吸熱反応を伴う改質管内面の熱伝達率が増大する機構を解明した.ま た,熱伝達率およびメタン転換率に関して新しい無次元数を導入した整理を行い,改質器 の最適設計に有効となるー般的な整理式を提示した.

  第6章においては,粒子・流体間熱伝達の影響を含め,負荷変化を想定した二次元非定 常モデルによる解析的な検討を実施すると共に,過渡的な状態における改質触媒層内の熱 伝達および反応特性を検討し,壁面の熱伝達が系全体を支配することを明らかにした.ま た,改質触媒層における過渡的な熱伝達および反応を支配する流速や壁面温度などの因子 の 影 響 を 実 験 結 果 と の 比 較 に よ っ て 検 討 し , 解 析 モ デ ル の 有 効 性 を 確 認 し た .   第7章では,比較的簡便に三次元性を考慮でき,且つ精度を維持できるふく射解析手法 を提案し,これを用いて,供試改質器火炉内に設置した多孔質ふく射変換体の効果に注目 したふく射伝熱特性を解析的に検討した.解析に際しては,三次元解析を擬多次元解析モ デルによって一次元的に取り扱っており,ガスの吸収係数,ガス流速,改質管内流速など の影響を検討すると共に,二次元解析結果との比較を通して,提案した解析モデルおよび 解析手法の妥当性を検証した.

  第8章は,結 諭であ って,本 研究で得 られた 結果およ び成果 を要約して述べてある.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 ″ 文 題 名

水蒸気改質器の伝熱特性に関する研究

  水 素を工業 的に得 る方法の 代表的 な技術で ある炭化水素の水蒸気改質は,著しい吸熱反 応 が支配的 であり ,Iふ く射伝熱を利用した改質管の使用環境は材料の限界的な高温域に達 しているため,反応器設計においては熱的な最適設計が課題となっている.一方,吸熱反応 が支配的な改質管における熱伝達挙動は伝熱工学的にも興味を惹く事象が多く,従来より,

個 々の改質 管の伝 熱特性を 実験的ま たは解 析的に把握し公表しているものは見受けられる が , 伝 熱特 性 に つい て 総 括的 に 一 般化 さ れ た定 量 的 な 研究 は あ まり なされて いない .   こ のような 現状を 鑑み,本 研究に おいては ,改質器の熱的設計の最適化に供する基礎資 料 を提供す ること を目的と して,代 表的な 燃料電池用多管式供試改質器の改質管内におけ る 伝熱特性 を実験 および解 析により 明らか にし,改質触媒層における熱伝達や反応を支配 す る因子の 一般的 な定量化 を図り, 改質器 の最適設計に有効な無次元数および整理式を提 案 している .一方 ,火炉に 関する簡 便で高 精度なふく射伝熱解析法としては,三次元解析 を 一次元的 に処理 すること のできる 擬多次 元理論解析モデルを提案し,解析モデルの有効 性を確認している,

  本 論文 は ,8章より 構成さ れている .第1章は, 緒論であ って, 改質器お よび水 蒸気改 質 技 術 の位 置 づけを論 じ,改 質器の伝 熱特性 研究の意 義と本研 究の概 要を述べ ている .   第2章に おいて は,改質 器の伝熱 特性に 関する従 来の研 究および 充填層 における非反応 系 ならびに 反応系 伝熱特性 に関する 既存の 研究について概観すると共に,本研究の目的お よび位置づけを明らかにしている.

  第3章で は,代 表的な供 試改質器 の性能 を実測し ,これ に対する 一次元 定常モデルによ る 解析的な 検討に よって, 改質管内 の伝熱 特性を把握し,吸熱反応を伴う改質管において は 、層内熱 伝達率 が増大す る傾向を 明らか にしている.また,触媒層内の熱利用割合を検 討 し,顕熱 の一部 が反応に 消費され ること を示している.さらに,改質反応に影響する因 子であるガス温度,S/C値,流速などの効果を実験および数値解析を通して定量的に予測し,

改質器の性能評価に供し得る解析モデルを確立している.

  第4章に おいて は,等温 壁の改質 管によ って形成 された 改質触媒 層内の 伝熱および反応

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弘 登

彦 彦

昌  

  一

池 宮

工 山

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

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特性 に関して,二次元定常モデルによる解析的 な検討を実施し,実験結果との比較検討を 行うと共に,熱伝達率や反応に影響する因子 である流速,S/C値,壁面温度および入口温度 など の効果を実験と解析の両面から検討するこ とによって,解析モデルと解析手法の妥当 性を確認している.

  第5章で は, 実機 スケ ール の改質管による定 常実験的な検討を行い,管内流速,壁面温 度,層内温度,触媒粒子径およびS/C値などの支配因子の熱伝達ならびに反応への効果を総 括的に定量化し,吸熱反応を伴う改質管内面の熱伝達率が増大する機構を解明した.また,

熱伝 達率およびメタン転換率に関して新しい無 次元数を導入した整理を行い,改質器の最 適設計に有効となる一般的な整理式を提示し ている・

  第6章に おい ては ,粒 子・ 流体間熱伝達の影 響を含め,負荷変化を想定した二次元非定 常モ デルによる解析的な検討を実施すると共に ,過渡的な状態における改質触媒層内の熱 伝達および反応特性を検討し,壁面の熱伝達が系全体を支配することを明らかにしている・

また ,改質触媒層における過渡的な熱伝達およ び反応を支配する流速や壁面温度などの因 子 の 影 響 を 実 験 結 果 と の比 較 によ って 検討 し, 解析 モデ ルの 有効 性を 確認 して いる .   第7章で は, 比較 的簡 便に 三次元性を考慮で き,且つ精度を維持できるふく射解析手法 を提 案し,これを用いて,供試改質器火炉内に 設置した多孔質ふく射変換体の効果に注目 した ふく射伝熱特性を解析的に検討している, 解析に際しては,三次元解析を擬多次元解 析モ デルによって一次元的に取り扱っており, ガスの吸収係数,ガス流速,改質管内流速 など の影響を検討すると共に,二次元解析結果 との比較を通して,提案した解析モデルお よび解析手法の妥当性を検証している.

  第8章は ,結 論で あっ て, 本研 究で 得ら れた 結果 およ び成 果 を要 約し て述 べて いる.

  こ れを要するに,著者は,水蒸気改質器の最 適な熱設計に不可欠な,改質器への輻射に よる 入熱量の実用的な予測手法の開発を行うと 共に,改質管の管肉熱伝達特性に関する新 知見 を得たものであり,水蒸気改質工学ならび に伝熱工学に貢献するところ大なるものが ある。よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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