愛知工業大学研究報告 第28号 平成5年
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法を適用したコンクリートの
曲げ、被壊の追跡に関する実験的研究
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1 .はじめに 筆者らは、従来からコンクリートの微視的破壊機 構を解明するためにA E
法を適用し、静的載荷時の A E挙動や繰返し載荷時のカイザー効果並びにA E の周波数特性など、コンクリート内部で発生するA Eの基礎的特性を調べるとともに、 A E法による破 壊源探査や微視的破壊過程の追跡、AE
の原波形解 析などを行い、 A E法の妥当性や可能性を確かめる ための一連の検討を行ってきたυ -8)。 本研究では、 曲げを受けるプレーンコンクリートおよび鋼繊維補 強コンクリートの破壊過程の追跡に対するA E
法の 適用性についての検討、並びに壊力学パラメータと コンクリートの微視的破壊挙動、とりわけひび割れ 進展挙動との関係について考察を行った。 2.実験方法2.1
実験の概要 愛知工業大学 建築学科(豊田市) 本実験では、プレーンコンクリートおよび鋼繊維116 愛知工業大学研究報告,第四号B,平成5年, Vol.28-B, Mar.1993 Table 1 Specimens Kind of SpecbiII×lE Ilh×sil ze dethcoh f concrctc not 10x 10 x 40 15x 15x53 Plain 250x50x200 5 x 25 x 100 10x IOx40 5.0 15x 15x53 7.5 10x 10 x40 Stcel 2155 x x 1255 x x51300 fiber 50 x 50 x 200 10x IOx40 5.0 15x 15x53 7.5 bending span 30 45 75 150 30 45 30 45 75 150 30 45 官
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W!C (出) 55 [Uni t:cml 補強コンクリートはりの曲げ破壊挙動に及ぼ す試験体寸法の影響を調べるために、はり断 面が10x 10、15x 15、25x25および 50X50ci/.βナ
0 [Notel S S S S=10, i5, mの4種類の角柱試験体を用いた。試験体長 さは、原則として断面寸法の4倍(ただし、 〈 匂ω
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阿i 附 醐1W耐i抗tI刷悶削ltn白附ot凶cch:h3 (ゆS悶 i悶1with notch 25,50c冊 15c皿角断面の試験体は3.53倍)とし、 10、15 およびi
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角断面のものについては各3体、 50c皿角 断面のものについては2
体製作した。なお、 10およ ひQ5c皿角断面の試験体については、幅が2mmで、深 さをはりせいの1/2に設定したノッチ入り試験体を 各3体同時に製作した。試験体の種類および寸法の 一覧を表-1に示す。試験体の製作に際しては、普 通ボルトランドセメント、猿投産の山砂(最大寸法 =5剛、比重=2.57)、猿投産の山砂利(最大寸法 =印刷、比重=2.60)、A E減水剤および両端せん 断型フック付きスチールファイバー(断面: 0.5mm 角、長さ:30mm)を使用した。コンクリートの調合 は、水セメント比 (W/C)を55%、設計スランプを 18cmに設定して試し練りによって決定した。本実験 で用いたコンクリートの調合表を表-2
に示す。な お、試験体は、コンクリート打設後試験体脱型まで の1
週間は日に2
回の散水による湿布養生、試験体 脱型後試験時までは日に1回の散水による湿布養生 を行った。試験材令は 4~5週とした。2.2
載荷および計測方法 本実験では、はり試験体の曲げ載荷は、原則とし てJISAII06の規定に準じた3
等分点載荷としたが、 鋼繊維補強コンクリートはりの最大耐力以降の載荷 速度については、たわみ速度が曲げスパンに対して 1/1
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皿in となるように載荷した。なお、加力・ 支持点の境界条件は、一方がピンで他方がローラー となるように設定した。測定項目は、ノッチ無し試 Fig.l Sizes and proportins of specimens 験体が荷重および中央たわみ、ノッチ入り試験体が 荷重、中央たわみおよびノッチ先端における開口変 位とし、荷重および各変位データは、動ひずみ計お よびデジタル・データレコーダ(サンプリング速度 =2000点/秒)を使用して取り込むとともに、x-Y
レコーダで同時記録させた。また、4
チャンネル のA E計測システムを用いてA E法による2次元破 壊源探査を行った。なお、破壊源探査に必要な縦波 速度は、ファンクション・ジェネレータによって2
.
5μsの矩形パルスを試験体に入力することによって 計測した(プレーンコンクリート:3900皿I
s
、繊維補 強コンクリート:3700皿I
s
)
。各試験体のA Eセンサ ーの取付位置を図一1に示す。 2.3引張軟化特性の推定方法 本研究では、コンクリートの引張軟化特性を求め るための方法として、コンクリートはりの曲げ破壊 実験で得られた荷重 (P)ー中央たわみ (d)関係と有 限要素解析によって得られたP-d関係とが最もフ ィットするような引張軟化財パラメータを求める逆 解析法9)を採用した。図-2
および図-3
に、本解 析で用いたコンクリートはりの有限要素モデルおよ びひずみ軟化モデルを示す。なお、最適化の対象と したひずみ軟化則パラメータは、引張強度 (Ft)、 ヤング係数 (E)、A、Bおよび最終開口変位 (Wc) の5種類とし、非線形最適化手法として準ニュート ン法を用いた。AE
法を適用したコンクリートの曲げ破壊の追跡に関する実験的研究 117 口↓
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0 .0 5.0 1.50 2.50 35.0 40.0 加国:]IJnlt:α,I1190 el印lffits副 220llX踊耐el Fig.2 Example of analytical冊。del 回 目 由 ﹄ 判 的 唱 曲 判 制 Ft:Tensile strength G r: Frac ture energy Wc:Final opening displacement Ft:BxFt WI:A・(1-B) W1 Wc Opening dlsplacernent Fig.3 BHin甜 t邸 i∞
ooftening似lel3.
実験結果とその考察3.1
引張軟化特性 図-4は、それぞれプレーンコンクリートおよび 鋼繊維補強コンクリートのP-d関係に関する実験 結果と最適化された引張軟化則パラメータ値を用い て行った有限要素解析の結果とを比較したものであ る。これらの図によれば、いずれの試験体も実験結 果と解析結果とは良く一致しており、本研究で採用 した2
直線モデルはコンクリートの引張軟化モデル として妥当であったことがわかる。表-3
に、逆解 析手法を用いて算定したコンクリートの引張軟化モ デルのパラメータを一覧表にして示しである。この 表によれば、GF
値は一般に試験体寸法が大きくな るほど増大する傾向を示しているが、これはG
.V
.
Guineaら10)-12)が指摘しているような実験上生じ る各種のエネルギー消費の影響によるものと思われ る 。 図 -5 (a)および (b)は、それぞれ逆解析によ Cコ -u"ョ . N × ) 仏 ρ u t ρ u T E A、
B ' n L W F 町 u m 聞 n H ' E A 剛 山 n u ・ , s、
F L w n U A U n “ i q a I n v ・ ) A H U 2 u -( n U 0.Q 0.3 Cコ -u ? 白 U & 目 白 u F A n 且 、 v n h u n u o n u c p ・ 1 . 凶 油 p i v n u r oo
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2 C 0 D(c田) C 0 D (crn) (a) Pla-in coIlncrete (b)Steel fiber reiiiforced concrete Fig.5 Tension soft白川ingcharacteristics って得られたプレーンコンクリートおよび鋼繊維補 強コンクリートの引張軟化特性(図では、引張応力 度(
a
t)一関口変位(COD)関係)を示したものである。 ところで、2
直線モデルにおける第1
勾配領域と第2
勾配領域は、いずれもコンクリートの特徴的な破 壊過程と密接な関係があり、前者がマイクロクラッ キング域に後者がブリッジング域にそれぞれ対応し ているとされている13) 。まず、プレーンコンクリ Table 3 Opimizedparam~~rs in~i -linellrtensiQn softening model Kind of(kgGfyF cm) A B (dimZ) (×W10ユ!, cm)r
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fi?/tmlus concrete 0.181 0.250 0.251 5.01 0.936 0.035 20. 0 2.85xIO'-Plai日 O. 228 0.123 O. 398 9.89 O. 297 0.038 24.9:
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5 x 10. 0.352 0.120 0.476 9.46 0.316 0.068 19.9 3.01xI0. 0.943 0.148 0.406 9.17 O. 389 0.196 22. 7 2. 86x 10' 0.749 O. 339 0.598 10.64 O. 766 O. 128 17.8 2.2S-xI
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Steel ]. 435 0.172 O. 540 10.53 0.406 O. 265 19.6 2. 27x 10. fiber 0.626 0.057 0.571 9.52 O. 147 0.129 16.7 1.98><10. 8.044 I 0.078 0.618 8.21 O. 224 1.956 13.3 2.17xI0. ' ‘ ・ ~ n 上 品 ー 晶 . . A 円 『・可r、司 司E・ 園 、 v、 、官 ,ー、司E官 曹 、.
g e ./( 1 Fig. open)ng!llSp g118 愛知工業大学研究報告,第28号B,平成5年, Vol.28-B, Mar.1993 ー ト に つ い て 注 目 し て み る と 、 図-5 (a)に示すように、第 l勾配は 10c田角断 面の試験体が他の試験体と比較して若干 小さくなっているのを除けば、試験体寸 法にかかわらずほぼ同じ値を示している が、第2勾配は一般的に試験体寸法が小 さくなるほど増大しており、骨材の噛み 合せ効果などに関連するブリッジング域 の性状が試験体寸法に応じて相違し、一 般的に試験体寸法の増大に伴って骨材の 噛み合せ効果も増大することを示してい る。次に、鋼繊維補強コンクリートの結 果を示した図-5 (b)によれば、引張軟 化モデルの第 1勾配は試験体寸法が大き くなるほど増大していることがわかる。 このことは、鋼繊維によるマイクロクラ ックの進展に対する拘束効果が試験体寸法の増大に 伴って低下することを意味している。しかし、第2 勾配に及ぼす試験体寸法の影響については明確な傾 向を認めることができない。これは、鋼繊維補強コ ンクリートに対しては、本解析で用いた有限要素モ デjレの分割が十分ではなかったためと思われる。
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3.2 A Eの発生状況 図-6
および図-7
は、それぞれプレーンコンク リートおよび鋼繊維補強コンクリートの試験体寸法 の異なるノッチ無し試験体によって得られた荷重お - n u c目 。
〈コ 凶日 一 + ロ ヴ 寸 同 ト . D <=> Cコ CコIi:_._~..~~_~ 届こコ 160 320 0 宇 500 1000 Ti皿e(sec.) Ti田e(sec.) (司)S = 10c田 (b)S = 50cm Fig.6 Relationship between load. AE counts and time (Plain concrete) 。 同 . H 巴 ¥ 口 (柏村)唱団 N O J D . 同 N 凶 , N H ( L H H ) 古 田 口 ﹂Z
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10c田 (b)S=
50cm Fig.7 Relationship between load. AE' counts and time (Steel fiber reinforced concrete)o
5V↓
よびA E発生頻度と載荷時間との関係を示したもの で、図 (a)がlOcm角断面、国 (b)が50cm角断面の試 験体の結果である。まず、プレーンコンクリートに ついて示した図-6
に注目してみると、いずれの試 験体も最大耐力の少し手前からA Eが頻発し始めて 破壊に至っているのがわかる。また、 A Eイベント 数は 50cm角断面の試験体の方がかなり大きくなって おり、かっ載荷初期の段階からA Eが発生する傾向 を示している。これは、試験体寸法の増大に伴って 試験体内部の欠陥が増加し、巨視的な破壊とは直接 関係しない微視的ひび割れが低応力レベルから発生 しているためと思われる。なお、鋼繊維補強コンク リート(図-7
参照)の場合についても、プレーン コンクリートの場合と同様に最大荷重の少し手前か らA Eが頻発して破壊に至っているのがわかる。 3.3破壊源探査 図 -8(a)-(f)は、 25cm角断面の鋼繊維補強コ ンクリート試験体で得られたA E法による2次元破 壊源探査結果の一例を示したものである。なお、図 における円の中心は破壊源位置を、直径はA Eの振 幅を表している。また、各図の右側にある棒グラフ は、有限要素解析によって求められた各荷重レベル でのひび割れ進展状況を示している。これらの図に よれば、最大荷重の2/3までの範閤(図 (a)およ び (b)参照)ではA Eは殆ど発生していないが、こ れ以上の荷重レベル(図 (c)参照)の範囲になると、 A Eは試験体下方に集中して発生するようになり、1
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弘 U 千 A V A (ua ハυm 仰 c o n μ a E A A A U 1 n u = p u J n u n v a & L O U -n u n b a u n H ハU ι t nV6 0rr n M A U n -︾ , n v n u m m u u n u ρ u n 、 u ρ i v k uI
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--4E ・ ・ 0 0 ・ 、 ︼ 'cb q a -- a i、
n H a 10に示した鋼繊維補強コンクリートの場合には、ノ ッチ無しおよびノッチ入りの15cm角断面試験体(図 (a)および(
b
)
参照)のAE
発生位置は、ひび割れ の関口に対する鋼繊維の拘束効果のために、プレー ンコンクリートと比べて試験体全体に分散している。 これに対して、 50c皿角断面試験体(図(c)参照)で は、ノッチ無しの15c四角断面試験体(図(a)参照) と比べてAE
は巨視的なひび割れ発生位置近傍に集 中して発生する傾向を示している。これは、おそら く鋼繊維によるクラックアレスト効果が試験体寸法 の増大に伴って低下したためであろう。これらの傾 向は、前掲の図-5 (b)に示した鍋繊維補強コンク リートの引張軟化モデルの第1勾配の傾向とも合致 する。 論 本研究で得られた結果を要約すると、およそ次の ようにまとめられる。 1 )ノッチ入り試験体では、エネルギーはノッチ先 端部で集中して解放されるが、ノッチ無し試験 体では、エネルギーの解放は最大曲げモーメン ト区間内で分散される。2
)
錦繊維補強コンクリートのひび割れ発生位置は、 鋼繊維によるクラックアレスト効果のためにプ4.
結 かつ比較的規模の大きなAE
が発生しているのが読 み取れる。これに対して、最大耐力以降の範毘(図(d)-(f)
参照)では、ひび割れの進展に伴ってA
Eの発生位置は次第に試験体の下方から上方に移動 しているのが読み取れる。以上のように、AE
法に よる破壊源探査を適用することによって、ひび割れ の発生・進展過程をある程度正確に追跡することが できる。図-9
および図-10は、それぞれ試験体寸 法の異なるプレーンコンクリートおよび鋼繊維補強 コンクリートに対する最大荷重までの範囲における 破壊源探査結果を示したものである。まず、図-9
に示したプレーンコンクリートの場合には、ノッチ 無しの15c皿角断面試験体(図(a)参照)のAE
発生 位置はそれほど規則性は認められないが、ノッチ入 りの15c皿角断面試験体(図(b)参照)では、ノッチ 先端近傍にAE
が集中して発生しているのが観察さ れる。このことは、ノッチ入り試験体では、試験体 内部に蓄えられたひずみエネルギーの解放がほぼノ ッチ先端で行われているのに対して、ノッチ無し試 験体では、最大曲げモーメント区間内のいたる場所 でエネルギーの解放が行われていることを意味して いる。また、 50cm角断面試験体(図(c)参照)のA E発生位置は、広範留に分布しているものの15cm角 断面試験体のそれと比較すると巨視的なひび割れ発 生位置近傍に集中しているのがわかる。一方、図一120 愛知工業大学研究報告,第28号B.平成5年, VO!.28-B, Mar.1993 レーンコンクリートに比べて試験体全体に分散 する傾向がある。 3)コンクリートのひび割れ進展状況と引張軟化モ デルの第1勾配とは密接な関係がある。 〔 謝 辞 ] 実験および計測に際して御助言を頂きました東急 建設(株)の山本俊彦氏、石川雅美氏および豊田将文 氏、(有)日本計測の藤瀬克彦氏に謝意を表します。 また、実験および実験結果の整理に際して御助力を 得た愛知工業大学大学院生の浅井陽一君および渡部 憲君、並びに愛知工業大学工学部建築学科@山田研 究室卒研生諸君に謝意を表します。なお、本研究費 の一部は東急、建設(株)の奨学寄付金によったことを 付記し、謝意を表する。 〔引用文献