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幼児期における対人藩知構造の発達過程

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幼児期における対人認知構造の発達過程:対人魅力 が内的特性判断に及ぼす影響

著者 池上 貴美子, 中塚 智佳野

雑誌名 金沢大学教育学部紀要.教育科学編

巻 55

ページ 15‑29

発行年 2006‑02‑28

URL http://hdl.handle.net/2297/6268

(2)

幼児期における対人藩知構造の発達過程

一対人魅力が内的特性判断に及ぼす影響 ‑ 池上貴美子,中塚智佳野*

Th ede v e l o pme n t a l pr o c e s so fpe r s o npe r c e pt i o ni npr e s c ho o l c h i l dr e n: Ef f e c t s o fi n t e r pe r s o na l a t t r a c t i o no ni n f e r e nc e so t he r spe r s o na l i t yt r a it s ・

KimikoLKEGAMI,ChikanoNakatsuka

幼児は成長の過程で、初期の家庭内の親子関 係か ら次第に幼稚園や保育園での仲間や教師 と の関わ りを体験する。友達 と出会い相互交渉を 開始 し、遊びを楽 しんだ り、いざこざを経験す る中で、どのよ うに他者の性格 を認知 し理解す るのだろ うか。 この間題は幼児期の発達を支援 する上でも重要なテーマ となる。

<対人認知過程>

我々は 日常において人 と様々な相互作用を営 んでいるが、他者 との関わ り一対人関係‑は、

相互に相手をいかに認知 しているか とい う認知 内容によって左右 され る。我々はいずれの関係 においても、相手の性格を推測 し、自分の性格 に合わせた関係 を続 けている(松井,1990)。相手 が 「どのよ うな人かを認知 し、互いに相手の 言動や容貌などか ら、その相手の感情、動機 ・ 意図、パー ソナ リティ特性 を推測 し、全体像を 作 り上げていく。 このような認知の諸過程は対 人認知 (personperception)といわれ(岡,1990)

この時認知 された判断基準、評価基準が相手 と のその後の接 し方を決める対人関係の重要な入

り口となる(松本,1983)。この対人認知が幼児期 か らどのような過程を経て発達するのか、その 機構を解明することが待たれている。

対人認知‑相手がどのような人であるかを知 ろ うとするプロセス一においては、まず身体的 特徴か ら得る認知 (第一印象)を基に印象形成

を行い、相手 との相互交渉を通 して、内的な性 格特性 (以下、内的特性)を修正 しながら次第 に他者像を明確に してい く。印象形成 とは順に 入手する情報か ら他者についての認知を形成す る過程である。ただ し、内的特性は、身体的特 徴 と異な り、直接 目にす ることはできない。

では どのよ うに して他者の内的特性は把握 さ れ るのか。私たちが直接知 ることができるのは、

対象人物の行動であ り、行動それ 自体に 「優 し い」や 「知的や 「冷たいとい う内的特性の ラベルが明示 されているわけではない。直接知 覚す る対象の背後に安定 した内的特性 (内的属 性 ;意図や性格な ど)を想定 ・推測 し、対象の 行動の原因をそれに帰す る心理 メカニズムによ り認知す る(村 田,2004)。私たちは他者 の振 る舞 い ・会話な ど外に現われた行動を観察 し、それ が行為者の安定 した内的属性によると判断する とい う原因帰属を行なっている。 こうした他者 の行動の因果関係 をめぐる解釈の認知過程を帰 属過程 とい う(生熊,1983)

<幼児における対人認知帰属過程 >

幼児 も成人 と同 じような対人認知を行な うの だろ うか。林(2004)によれば、成人は 「経時的 安定性」(多少の変化はあっても時間経過による 変化は一貫 している)、「通状況的一貫性(多少 の変化はあっても、ある場面や状況ではかな り 共通 した特徴がみ られ る)、「因果性(行動の原 平成17101日受理

* 平成16年度金沢大学教育学部卒業生

(3)

因 としで性格を理解 している)をもつ構成概念 として性格 を理解 しているとされ る。

幼児については先行研究か ら、幼稚園年長児 (5‑6歳児)で性格の理解がな され るが、研究で 使 用 された特性用語が 「援助

信頼

好意的

寛大

意地悪

利己的

優 しい」な ど、向社会 的行動特性 に偏ってきた ことが指摘 されている。

林、≠ ill(1992)は、性格特性用語 には 「寛大

親切

援助的」な どの社会的意図を示す用語 と、

勇敢

悲観的

不安」な どの内的状態を示す用 語の2タイプがあ り、前者は後者に先立って理 解 され ることを示 した(林,2004)0

ジ ョー ンズ(Jones,E.E.)らは行為者の意図 と、

それに対す る知覚者の推測 との一致度が高 くな る条件を明 らかに し、社会的に望ま しい とされ る行為 よりも、社会規範か ら逸脱 しているよ う な行為の方が、行為者の意図を推測す るのが容 易であると指摘 した(神 田,1990)0

江川(1975)によれば、幼児はパー ソナ リテ ィ の認知 とい うよ りは一種の印象形成に似たかた ちで感覚的、表面的、断片的に周囲の人々の特 徴 を理解 しているとい う。4歳か ら年長になる とある特定の友達を好む ようにな り、

「 ○○

先生 は優 しい

」 「 ○○

ちゃんは意地悪

泣き虫

など と明確にとらえることがある一方で、見知 らぬ 人に食物や玩具をもらうと「い人だ と判断 し て安心 して一緒についてい くな ど、幼児の認知 は表面的で、本質 ・実態 を見抜けないこともあ るとされ る。

一方、松永(2002)は、幼児 も大人 と同様 に、

他者の過去の行動か ら自発的に内的特性 を抽出 して、行動を予測 した り内的特性 を推測 しなが ら他者 を見ること、幼児が単に他者の行動その ものを見るのではなく、そこか ら他者の行動傾 向や内的特性を推測する.ことを示唆 した。幼児 は、特定の他者の行動を、 「具体的な行動」とし てそれぞれの内容 を記憶す るのではな く、その 行動か ら一般的な特性 (ネガテ ィブ特性かポジ テ ィブ特性)を抽出 し、他者の一連の行動をそ の両極の特性に帰属 させて記憶 し、それに基づ

いて他者の内的特性 を把握す ることを示唆 した。

その上で松永は、特性の一般化の方向 (ニュー トラル特性 な どの側面)を検討す ること、また 内的特性判断に関わる多様な要因一頻度、新近 効果、他者の行動の質や、状況、子 どもの類似 体験な ど‑ の分析 を今後の課題 として指摘 して いる。

林(2004)によれば、smna(1981,85)は幼児が 他者の性格を、 どのような性格特性 personarib, trait用語を使 って評価 しているのかについて検 討 し、慰める行為には 「良い」、傷つける行為に は「悪い」とい う「良い一悪い」の評価が年少児ま でにでき、 「良い‑悪い」の評価が他者の性格を 理解す る上で重要であることを示 した。また幼 児は他者の性格を良い方に理解す るポジテ ィブ バイアスをもつため、良い側面 と悪い側面の理 解 は発達的に異なる と示唆 した。「特性の理解 は「次元」の理解 と密接に関連 してお り、例えば

良い」特性の理解は少な くとも「良い一悪い」と い う一次元の部分的な理解を意味 しているとい う。林は、子 どもが加齢 と共に使用す る対人認 知次元 (知的評価、力量の次元)が増加す る一 方で、社会的評価の次元は減少す ることを指摘 している。林は、成人の性格が5つの次元で過 不足なく記述可能だ とす るビッグ ・ファイブ説 に注 目し、成人の他者 についての認知において は外向性次元(外向性特性一 内向性特性)、愛着 性次元(愛着性特性一分離性特性)、統制性次元 (統制性特性一 自然性特性)、情動性次元 (情動 性特性一非情動性特性)、知性次元 (知性特性一 非知性特性)の存在が共通に見出 され ることを 報告 している。 この点は今後の幼児期研究にお ける内的特性の多様な次元についても示唆す る ものが大きい。林は先行研究を引き継いで質問 紙調査によ り、小学4年生以上か らビッグ・ファ イブ概念が理解 され ること、子 どもは年少の頃 か ら「良い一悪い」とい う全般的評価語を使い、

幼稚園年長頃か ら性格特性概念の獲得が始ま り、

小学校高学年で成人 と同様の性格特性/次元概 念であるビッグ ・ファイブが獲得 され ることを

(4)

明らかに した。またその獲得過程について、幼 児を対象 として、 ビッグ ・ファイブ仮説に基づ く行動予測法を用いた性格特性概念についての 理解内容に関する発達モデルを検討 した。その 結果、幼児が年長頃から全般的な「良い」次元を 内容 とした性格特性/次元の概念を獲得 し、発 達に伴い特性/次元を分化 させ、最終的に小学 校高学年頃に大人 と同様のビッグ ・ファイブ概 念を獲得する発達モデルを示 した。つま り、単 にポジティブバイアスのみで対人理解 をしてい るのではなく、すでに理解 している「良い」次元 を起点 として様々な性格特性 を考慮 した対人理 解能力が発達することを示唆 した。

清水(2003)によれば、成人は 「性格特性は特 定場面を越えて一貫 した行動の原因となる の概念をもつが、先行研究か ら、年少児 も 「 切な意地悪なとい う特性用語の語嚢はもつ ものの、その自発的使用は6‑9歳であ り、就学 前児においては、特性が特定場面を越 えて一貫 した行動の原因 となるとの理解は未成立 とされ た。これに対 し、清水は、先行研究における 「 悼‑行動のみの因果関係の分析よりさらに進 んで、「特性‑動機‑行動の分析、つま り幼児 が動機 と一致 した特性をラベ リングし、さらに ラベ リングした特性を行動予測に用いる [物語 の動機‑特性のラベ リングー他場面における行 動の予測]がすべて一致 している推論を行な う ことができるかを検討 した。その結果 「特性一 動機一行動の因果関係の理解は3・4歳から可 能になるが、年長か らより確実性を増す ことを 示 した。また特性が特定場面を越えて一貫 した 行動の原因 となることは、年長から理解 し始め るが、6歳頃か ら複雑な場面においても理解可 能 となることを示唆 した。また清水は子 どもの 誤回答のほとんどが行動予測課題において、 日 常的に要求 される向社会的行動 を回答 したもの であ り、ポジティブバイアスによることを報告 している。 ここでも今後 「良い一悪いの評価的 価値を含まない特性 を扱 う必要のあることが示

された。

また清水(2003)は従来の行動予測パラダイム を用いた研究では、ターゲ ッ ト人物のパー ソナ リティ特性 を表す行動が一つ しか呈示 されてい ないことか ら、複数の行動の呈示を提起 した。

以上か ら、就学前児においても他者の内的特 性の推論が可能であ り、それ らの特性がある程 度一貫 してお り、「良い一悪い」のような評価的 価値を含む特性は早い段階から理解 しやすい可 能性があること、幼児期では他者の内的特性認 知においてポジテ ィブバイアスや情報呈示の新 近効果の影響があることが明らかにされた。

本研究では、幼児が、 どのよ うに して他者の 行動か らその内的特性 を推測 ・把握す るのか と い う対人認知的評価を検討する。また今後の課 題 とされた、評価的価値 を含まないニュー トラ ルな行動をも呈示 し、それを幼児がどのような 内的特性に帰属 させるの.かを分析する。合わせ てポジティブバイアスや新近効果の影響につい ての検討を行な う。その際、清水(2003)の指摘 に従い、ターゲ ッ ト人物の行動情報量 (物語の 内容の種類)を増やす こととす る。

<対人認知が及ぼす対人間相互作用への影響>

行動の原因が行為者の内部にあるとみなす原 因帰属においては、知覚者の個人的欲求や相手 に対する期待によ り対人認知が歪められた り、

論理的に盲換ることがあるだけでなく、一度原因 帰属がなされ るとその影響のもとに他者に対す

る行動が とられ ることがある。

原(1997)は幼児の対人認知において、他者に 対する親密度の要因について分析を している。

同性のクラス仲間の中でお互いに仲良 しの友達 として選び合っている者 を「友達とし、それ以 外を「知っている子」として、「友達」が遊び場面、

援助場面、信頼場面で、 自分 と「知っている子

に対 してどのように振 る舞 うか行動予測をさせ た。その結果、幼児は「友達」が「知っている子」

よりも自分に対 して好意的に振 る舞ってくれる と予測 した。 これは従来の幼児期の友人関係に おける親密 さを度外視す る知見を覆す ことなっ

(5)

た。つま り幼児も友達に対 して親密 さに基づ く 好意的行動を期待 し、友達の行動が一般的な行 動特性か ら引き起こされるものではなく、自分 と友達 との間の友達関係から出てくる可能性が あることを示唆 した。

相手に対する期待は対人行動を通 じて相手に も影響を及ぼ し、一方、知覚者 自身の期待が、

先入観 ・偏見を生 じさせ る原因 ともな り、それ に伴 う行動を生起 させることになる。対人認知 にお ける帰属過程の分析は人間関係 の理解 に とって不可欠 といえる(生熊,1983)。そこで人間 関係 を円滑にし、 トラブルを避 けるためには、

知覚者の対人認知における歪みを無 くし、他者 を正確にとらえることが必要 とされ る。

我々は人を知覚する際、前提 となる自分 自身 の知識や経験の体系に基づいて、相手を理解 し 性格特性を把握 している。例えば 「ある人がA とい う特徴をもっていれば、同時にBとい う特 性 ももっているはずだと、過去の経験から自 分な りの関連づけを行なっている。認知者側の 経験により形成 されたパー ソナ リティの特性間 あるいは外見や行動 とパー ソナ リティ特性 との 関係 についての認知システムを「暗黙のパー ソ ナ リテ」とい う(榎本,2004)。つま り日常生活の 中で、人を知覚する際の前提 となる知識や体系 である。 このシステムは乏 しい手がか りから他 者のパー ソナ リティを推測するのに有効である が、パー ソナ リティの認知の歪みを生 じさせ る 原因 となる。暗黙のパー ソナ リティ観は、個人 的経験をもとに推測が起きるときには個人によ り内容が異なるが、ステ レオタイプのように多 くの人に共通 して見 られ、他者のパー ソナ リ テ ィ認知に影響するもの もある(山本,2000)O例 えば代表的なものには、容貌 ・体型 ・美醜など 外見的特徴に結びついたステ レオタイプや社会 的役割に関するステ レオタイプがある。

特に外見的特徴を扱った先行研究では 「美 し い人はそ うでない人に比べて、様々な側面で好 ま しい特徴を持っていると思われやすい とい う 「身体的魅力によるステ レオタイプの効果

EffectofPhysicalAttractivenessStereotype」と呼ば れ、容姿に伴 う一種の偏見 とも捉えられている (Dioneta1.,1972)0

Dionetal.(1972)とDion(1973)は 「一般的に容 姿が美 しい と人柄 も良い と思われやすい」 とい う 「美 しい人‑良い人」ステ レオタイプ (美ス テ レオタイプBea吋 isgoodstere吋 pe)が年長 児のみならず年少児にも認められることを明ら かに した。3‑6歳児は 「可愛い顔の子 どもはそ うでない子 どもより、他の子をい じめた り、た たいた りしないで他人に優 しい」 と、可愛い顔 の子 どもの内的特性 をそ うでない子 どもよりも 良い方向に判断 しがちで、友人 としてもかわい い顔の子 どもを選ぶ傾向が強いとい う結果を示

した(松井,ユool)0

このように、幼児期か ら 「美ステ レオタイプが他者の内的特性の判断に良くも悪 くも影響を 及ぼ し、それによって認知 された内的特性がそ の後の相互作用に影響を及ぼす ことが示 された が、この点について更なる検討 を行な う。

その際、先行研究でターゲッ ト人物が矛盾 し た行動を行な う (例えば先行刺激ではポジティ ブ行動を行なった人物が、テス ト場面ではネガ ティブ行動を行な うなど)ジレンマ課題を用い て、ターゲ ッ ト人物の未来の行動を予測 させ る 行動予測法を施行 したのにならい、本研究では

美ステ レオタイプに一致 した内的特性をもつ 人物 と、「美ステ レオタイプ」と矛盾 した内的特 性をもつ人物を呈示することにより、幼児期に おける内的特性判断が、外見 と行動情報のどち

らの影響を受けるのかについて検討する。

<対人魅力 ・対人好悪感情 と内的特性>

人間関係 を展開する上で、相手に対 して持っ ている感情は、その人の行動を受け入れる場合 にも、その人に対 してある行動を行な う場合に も、常 に大 きな影響 を与 える要因 とな る( 藤,1987)。特 に対人関係 を発展 させ るためには お互いが相手に魅力を感 じ、好意をもてること が重要 となる。他者に対する好悪感情はその他

(6)

者に対する自身の行動を大きく決定づける。例 えば好きな相手か らの援助行動に対 しては喜び、

感謝 し、より一層の好意を抱 くのに対 し、嫌い な相手か らの援助行動は気味悪 く感 じられた り、

援助 されで晦しい との感情を引き起 こした りす る。相手‑の好悪感情により同一の行動を受け ても異なる情緒を感 じ、対処法 も異な り、嫌悪 を感 じる他者に対 しては、その行動に嫌悪感が 先立って しまい、相互交渉を通 して二者関係 を 発展 させ るのには大きな障害 となる。

他者に対する好意的認知 ・非好意的認知は対 人魅力int叩 erSOnala肘actionが関係 している。

対人感情の決定要因 としては主に相手の特性、

相手の行動特徴、自己の特性、自己の行動特徴、

相互的特性関係、相互作用、環境要因が挙げら れ る(斎藤,1986)。この中で も対人魅力に大 きく 関係するのが相手の固有特性、相手の行動特徴 の「他者要因」であろ う。相手のある状況での働 きかけや行動特徴が対人感情の決定因 となる。

例 えば自分をはめてくれた人、高 く評価 して く れた人に好意をもつようになる。他者要因の う ち身体的魅力や性格特性のように、他者の固有 の特性が好ましくあれば魅力を感 じ、好意を抱 きやすいとされ、好悪の決定因や好悪感情下の 相互作用の機構を解明することが待たれている (斎藤,1987)0

Anderson(1968)の大学生対象の調査か ら、好 まれる性格の上位5位は誠実 ・正直 ・思慮 ・忠 実 ・信頼であり、嫌われ る性格 としては うそつ き ・だま しや ・けち ・冷酷 ・不正直であること が示 されている。松井 ・山本(1985)も魅力 を感

じる異性の性格特性 として、男女共思いや り、

優 しさ、生き生き、明るさな どをあげている。

ただ し身体的魅力 と性格的魅力のどちらを重視 す るかは、個人差があるとされ る(斎藤,1987)が、

外見美の評価 と性格の評価に順序をみ とめる先 行研究 もある(松井,2001)

松井(2001)によれば、松井 ・山本(1985)や広沢 (1994)は、外見美の評価 と性格の評価が、別々 に好意に影響すると考えるが、垣内(1996)は外

見美の評価が好意度を介 して性格の望ま しさの 評価に影響す ると考える。松井 らは外見情報か ら外見美の評価 と性格の評価の2つの評価が生 まれ、2つの評価が同時に好意度に影響すると 想定す るのに対 して、垣内は、外見情報から外 見の美 しさが評価 され、外見が美 しい人に好意 を感 じ、好意が性格の評価に影響するとい う順 序を示 したげig.1)。 この2説の過程について後 続の研究ではそれぞれを支持す る結果が出され てお り、両者一致 した結論は得 られていない。

松井 ・山本(198

5),広沢 (1994) 垣内(1996)

Fig.1対人認知構造 (松井,2001)

そこで本研究では先行研究で未だ明 らかにさ

ていない幼児期における対人魅力 ・対人好悪

情の決定因が、美 しさなどの外面的要因と、

格特性などの内面的要因のいずれが重要な要

となるのか、対人認知における感情的評価、

ま り好悪感情の決定因を検討する。その際、

悪感情下での相互作用の違いも合わせて分析 する。そこか ら議論の段階である 「外見美

の評 価 と性格の評価の順序について、一考察

を試

みる。

本研究では、年少児 と年長児を対

象 として、

幼児期における対人認知構造の発達過

程につい て次の6つの仮説 を検討す る。

仮説(

(7)

になるにつれてその理解が向上するだろう。

仮説② 幼児は「美ステ レオタイプをもち、そ れが内的特性判断 (認知的評価)や対人感情 (感情的評価)や対人関係 (行動的評価)に 影響するだろ う。

仮説③ 幼児は「美ステ レオタイプ」をもつが、

内的特性理解が向上 した年長児は年少児より も他者の認知的評価において、外見的魅力に よる影響、.与えられた行動情報か ら正確な内 的特性 を帰属 させるだろ う。

仮説④ 感情的評価について、年少児における 対人好意感情の決定因は、性格特性などの内 面的な要因よりも、美 しさなどの外面的な要 因が重要な決定要因 となるだろ う。一方、内 的性格特性理解が進展 した年長児における対 人好意感情の決定因は、美 しさなどの外面的 要因よりも性格特性などの内面的要因がより 重要な決定因になるだろ う。

仮説⑤ 行動的評価について、年少児における 対人関係(相互作用)においては、内的特性 よ りも、美 しさなどの外面的な要因が影響する だろう。一方、内的特性理解が進展 した年長 における対人関係においては、外面的要因よ りも内面的要因がより影響を及ぼすだろう。

仮説⑥ 幼児期における行動的評価には、好悪 感情が強 く影響するだろ う。

これ らを総合 した上で、外見美の評価 と性格の 評価のモデルについて発達的に検討する。

1 予備調査

目的 本調査に使用す る人物刺激の作成 対象児 金沢市内の保育園男女児各5 刺激

①顔刺激の作成 BradshowMckenzie(1971)

「目、鼻、口の変化によって作 られた16種類の 比較刺激および標準刺激などを参考にして男 顔 ・女顔のそれぞれの顔刺激を独 自に作成。

②髪型 ・服装刺激の作成 子 どもたちが普段描 く人物画、子供雑誌、幼児に人気のあるアニメ

キャラクター、子 ども服のカタログなどを参考 に して独 自に作成。

手続き 他児の影響を避けるため個別に面接。

質問1 男児 (女児)に 「どの子が一番かっこ いい (かわい)?」「どの子が一番好き?」 外見美の判断 と好意感情を尋ねた。

本調査用刺激材料の作成

男女それぞれで好ま しいとされた各パーツを 組み合わせた人物を 「身体的魅力が高い人物 (attractive;以下A),好ま しくないとされたパーツ

を組み合わせた人物を 「身体的魅力が低い人物 una肘active;以下U」とし、A,Uそれぞれ3 物を独 自に作成。刺激作成後A,Uとされた人 物画について再度聴 き取 り調査で追認。

質問2 男女児に対 して 「この子 どう思 う?」

この子好き?」と尋ねた。

結果 A人物 とされた絵に対 しては「かわいい」

かっこいい」好き上手」 との評価、U人 物 とされた絵に対 しては 「変な人かわいくな い」「やだ」との評価であったため、これ らの絵 刺激を本調査で使用することとした。

2 予備網査 Ⅱ

目的 本調査に使用する物語 り刺激作成のため ポジティブ行動、ネガティブ行動の評価基準を 決定する。

手続き 本調査で呈示するターゲ ッ ト人物の内 的特性を反映する行動情報は、一般的に好まし いとされ る性格特性 (ポジティブ特性 ;以下P と表記)、好ま しくないとされる性格特性 (ネガ ティブ特性 ;以下Nと表記)、また松永(2002) 今後の課題 としてあげられた評価的次元 (例え ばp/ N)でなく、かつ社会的規範を含まない 特性 (ニュー トラル特性 ;以下Tと表記) とい う異なる3特性を反映する行動を扱った。 pか Nかの判断は、行動予測法による先行研究(松永、

1995,2002)と和田(1996)が作成 したBigFive尺度、

A

nderson(1968)の 性格特性 の好意度順位 を参 考に した。

(8)

具体的な行動の内容はP‑N度が評価の中 立点か ら同程度離れた極端 さを持つ こととし、

心理学 コースの学生3人で評定 (一致率;.91) を行なった。その上で、幼児によくみ られ、か つ幼児にもわか りやすい行動にすべ く、保育園 の先生方か らの指導 を受 け修正 を加 えた。

清水(2003)の指摘に従い、ターゲ ッ ト人物の 行動情報の量を1つの場面でな く3‑ 4場面に 増や し、また 1つ 1つが途切れた場面でなく内 容につなが りのある3‑ 4場面 として、P行動、

N行動、T行動をそれぞれ独 自に作成 した。

3 本調査

被験児 金沢市内の2か所の保育園児計98 年少児47名 (男児27名,女児20名 ;38

〜4歳 8カ月、平均4歳 0ヵ月)年長児51 (男児29名、女児22名 ;58カ月〜68

月、平均6歳1カ月)

調査時期 200411〜12

刺激材料 予備調査 よ り作成 された 6人 (3対 のA,U)の人物刺激に3種の内的特性 (P, N,T)を表す行動を組合せ、 6パ ターンのタ ーゲ ッ ト人物を設定 した(Fig.2)

Fig.2物語登場人物(男

児用) 物語Ⅰ :A p‑UN,外見の魅力的な子

Aが良 い行動P(先生がつれ てきた小 さい組 の

子 に自 分の玩具を提供 して遊んであげる)を行

い、外

見の魅力的でない子Uがいや な行動N(その小 さい子を攻撃 し、泣かせ る な ど) をする 物語 Ⅱ:A N‑U P,外見の魅力的な子

Aがい やな行動N(友達 と トンネルを作 る時、友

達を突 き飛ば し場所 を占有)を し、魅力的でない

子Uが 良い行動P(砂場セ ッ トを運んできた り、

仲間に

入れてと言われ る と快諾す る な ど)を行

物語Ⅲ:A T‑U T,魅力的な子Aも魅 力的で ない子Uも同 じ中立的な行動T(折紙 をお

る、給 食 を食べ る 歌を歌 う)

行な う

各物語の絵 カー ドは着色 した。物語は紙 芝居形 式 とした。物語ⅠⅡではP/ Nを同時に

呈示 さ せ ることによ り魅力度がぼやけないよ うに

した。

手続 き 1つの物語につ き以下の 1‑ 4 の課題 1セ ッ トとし、 13セ ッ ト行なった

。各物 語はランダム順 に呈示 さ

れた。

1.対人感情課題① <第一 印象 >

2人の登場人物 を並べて呈示 し(Fig.2)

○○

ちゃん (被験児名)は どっちの子が好 き

?」 第一印象における好悪感情を尋ねた。次

になぜ その人物 に好意を感 じたか理由を尋

ねた。

2.内的特性判断課題 <認知的 評価 >

今か らこの2人がでて くるお話 を し ます。

お話が終わった ら

○○

ちゃんにいろいろ お尋ね す るか ら、よく聞いてね。」と教示 し、紙

芝居を 提示 した後、「今のお話聞いて、

○○

ちゃ

んはA 人物 (U人物)ちゃんの ことどんな子だ

と思っ ?」と2人の登場人物の内的特性 を、

自発的 な言語反応 によ り尋ねた。次に、

「 ○

(

ンパン マンー幼児の世界では善い人物 として代

表化 さ れ る)」、

「 ×

(バイキンマ ンー意地悪な人物

)」、

「 ?

(真顔 一中立ニュー トラル)」3 の絵カ

‑ ド伊ig.3)によ り内的特性 を判断 させた

。内的 特性絵カー ド選択後、選択の理由を尋ね

た。各 人物 について尋ね る順序はランダム とし

(9)

C

0

?

X

Fig.3 内的特性判断課題 絵 カー ド

3.対人感情課題② <感情的評価 >

「もう一度教えてね。○○ちゃんは どっちの 子好 き?」と対人感情 とその理由を尋ねた。

4.対人関係選択課題 <行動的評価 >

各登場人物 とどの位遊びたいか、を絵カー ド によ り、す ごく遊びたい(5点)・遊びたい(4点)・

わか らない‑どちらでもない(3点)・遊 びた く ない

( 2

点)・絶対遊びた くない(l点)5段階で 評定 させた後、その理由を尋ねた。各人物につ いて尋ねる順序はランダム とした。

1 対人感情課題① <第一印象 >

第一印象における感情的評価はFig.4に示す ように両年齢において全ての登場人物ペアにお いて外見が魅力的な人物Aに対す る好意が高 く x2検定の結果有意であった(p<.01,dFl)。外見 が与える印象が、対人魅力、対人好意感情に強 く影響することが示 された。感情的評価の理由 づけについては、松永(2002)を参考にカテ ゴ リ ー化 した結果、年少児では約7割、年長児では 4が無回答であったが、回答が得 られた児 の内、少数ではあるが第一印象においても内的 特性 を推測 (や さしそ うだか ら」)す る美ステ

レオタイプpion,1973)が示唆 された。

00080006一.2

(l)

Fig.4 対人感情課題①

E)

U 8

2.

的特性判断課題 <認知的評価 >

①言語反応によ

る内的特性判断 (認知的評価) 言語反応 は松永(2

002)を参考にカテ ゴ リー化 した。年少児に

おいては全物語で言語化出来な い者が約7割以

上を占め、言語化 された内容の 中では内的特性が

多かった。年長児は物語ⅠⅡ においては内的

特性が最 も多かったが、物語Ⅲ については無回

答が多 く、言語化 された場合は 内的特性が多かっ

た。P/Nの評価的価値基準 を含む物語

においては、年長になると、他 者について認知

した内容を、他者の行動そのも のでなく、行動か ら

帰属 させた 「優 しい」「い じ わる悪い

いい子な どの内的特性語を用 いて表現できた

。 しか し年少児では 「どんな子 だった?」の問

いかけに対 し無言になることが 多 く、言語化で

きず刺激の紙芝居を指差 し 「こ れ」と答 えることが

多かった。x2検定よ り物語

の全ての登

場人物において年長児が年少児 よ りも有 意

に 内的 特性 の発 話 が 多 か った が わく.01,df=l)、物

語Ⅲにおいては年齢差はなかっ た。全物語 におい

て外見美の違い(A/ U)によ る内的特性の言

語化人数に差はなかった。両年 齢共身体的特徴

や行動‑の言及は少な く、他者 の行動を示 され

た直後には、幼児は身体的特徴 や行動その ものよ りも内的特性 に言及

す ること が明 らかになった。

②特性把握絵カー ド選択による

内的特性判断 (認知的評価)各物語におけ

る内的特性絵カー ド判断の正答 と準正当をTablelに示 した

(10)

ける正答、準正答、誤答の生起率 (生起人数/

総被験児数)を年齢別 に示 した。この結果 より、

正答 と準正答を含めた正答生起率は両年齢共物 Ⅰが多 く、物語Ⅲは少なかった。年齢差をみ ると、全物語において、年少児 より年長児が正 答者が多かった (物語Ⅰ:x2(1)=47.078,p<.01)o

特に物語 Ⅱにおいては、正答は年長児が有意 に 多 く、誤答 は有意 に少なかった(x2(1)‑18.312, p<.ol)。年少児では正答 と誤答 の生起人数に有 意差はみ られなかったが、年長児では、正答者が 誤答者よりも有意に多かった(x2(1)‑39.705,p<.Ol).

しか し物語Ⅲにおいては年少 ・年長共、正答者 よ りも誤答者が有意 に多かった(x2(l)‑20.446, p<.ol;x2(1)‑20.446,p<.01)。これ らの結果か ら、

年長児は価値的評価(ⅣN)を含む行動 の見 られ る他者 については、その行動か ら正確 に内的特 性 を帰属 させ、また中立的な行動には内的特性 を帰属 しに くいことが明 らかになった。年少児 については、中立的な行動 と物語 Ⅱの登場人物 のよ うに美ステ レオタイプ と矛盾 した行動を示 す他者については、正確に内的特性 を帰属 しに

くい傾 向にあることが示 された。

Tab一e.1各物語における内的特性絵 カー ド判 断の正答,準正答

蘇 Ⅰ 餅Ⅱ

辞Ⅲ 正 答 A「OJ.UrXJ判 断 ArXJ.UrOJ判 断 Ar71,

Ur?」判断 中 正 等 Ar?).UrXJ判断 Ar7),UrOJ判 断 A

rOJ.UrOJ判 断 ArOJ.Ur?J判断 ArXl.Ur? J判断

(iR

)

000 8

0 0 0

0

8 4

2

Fi g .5

物語別の回答の年齢差

③内

的特性判断の理 由づけ 特性絵カー ド選択後に

、なぜそ う思ったか と

い う理由づけを求め、内容をカテ ゴリー化 して 分析 した。その結果年少児

70%は認知的評価 の理 由付けを言語化 しな

かったが、言語化 され た者では内的特性‑の言及が

多かった。年長児 では、物語 ⅠⅡにおいて、

行動‑の言及が50%

を占め、次いで内的特性

‑の言及が多かった。

両年齢共、身体的特徴‑

の言及は少なかった。

全体的に、年長児におい

ては評価次元を含む行 動を表す他者の場合には

、他者の行動か ら内的 特性‑帰属 させ るとい う

認知過程 を言語化 して 説明できるよ うになるこ

とが明 らかになった。

しか し年少児はこのよ う

な帰属過程を言語化す ることができず、言語化

できた としても内的特 性の認知的

評価の理由を再び内的特性 に帰属 さ

る傾 向にあることが示 された。

3.対人感情課題②

<感情的評価 >

各物語呈示後、「どっちが

好き?」と再び登場 人物に対す る感情的評価 (好意

感情)を尋ねた。

その結果Fig.6に示す よ

うに、登場人物の特性 を付与 した行動を呈示 し

た後の対人感情的評価 では、物語におい

て第一印象 と同様に全 登場人物ペ アにお いて、AがUよ

り好まれ た bではAがU<.01,dFl)。一方、物語よ り好 まれ た(x2においては、年少児(1)‑9.52

3,p<.Ol)が、

年長児ではUがAよりも好まれる傾向が み られ た(x2(I)‑2

.951,.05<p<.10).

Fi g .6

対人感情課題② ロ分からない■両方好

Uが好き E)Aが好き

またその理

(11)

言及が多かった。年少児では、内的特性 を認知 した後においても、身体的魅力が対人魅力 ・対 人好悪感情に影響す ることが示 された。年長児 においては、物語ⅠⅡにおいては 7割以上の者 が言語化 し、内的特性に言及 したものが最 も多

く、次に身体的魅力であった。

対人感情の変化

物語呈示前後で、対人好悪感情が どのよ うに 変化 したか (対人感情課題① と②‑の反応の変 化)について分析 した結果、物語においての みマ クネマ一法による有意な変化が見 られた (年少:x2(I)‑9.0,p<.Ol,年長:x2(1)‑26.0,p<.01). 具体的には年少児では、Aを好 きと答 えたもの は対人感情課題①では39(80.85%)で、② にな ると9名がUに変化 した。年長児は①ではAを 好 きと答えた者は51(100%)であったが、②に なると26名がUを好きと変化 した。 この変化 を 年齢間でみると、年長が年少 よ り好意を変化 さ せ た 度 合 い が有 意 に 多 か っ た(x2(l戸8.257, p<.ol).物語

IⅢ

においては両年齢共、①で も

②でもAを好きと答えた。

つま り、幼児は第一印象での対人感情は身体 的魅力が高いA外見人物に好意感情をもつが、

P/N特性 を付与 した行動情報を呈示 された後 の感情的評価では美ステ レオタイプ と‑敦す る。

あるいは内的特性 に差がない場合は好意感情は 変化 しないが、美ステ レオタイプ と矛盾す る行 動情報を示 されると、U外見であって も内的特 性がポジテ ィブな人物に対 して好意感情をもつ よ うにな り、かつその変化は年少 より年長で大 きいことが明 らかになった。

4.対人関係選択課題 <行動的評価 >

登場人物 と 「どの位遊びたいかとい う相手 に対する行動的評価について、す ごく遊びたい (5点)〜絶対遊びた くない(1点)5段階評定の 結果、Fig.7に示す ように行動評価得点 (遊びた い得点)は、両年齢において

A‑P

人物が最 も 高 く、U‑N人物が最 も低かった。年少児では 全てのA外見人物に対す る得点が、全てのU

物に対す る得点 よ りも高かったのが、年長児で はU‑ P人物 の得点 が、A‑N人物 よ りも高 かった。

幼児期において行動評価 に身体魅力 と内的特 性の望ま しさが どの程度影響 を及ぼすのか、行 動評価得点の平均値について年齢 (年少,年長)

×外見美 (A,U)×内的特性 (p,N,T) 3要因分散分析 を行なった結果、年齢の主効 果はみ られなかったが、外見美(F(1,96)‑98.645, p<.001)と、内的特性(F(2,192)‑58.884,p<.001) 主効果、年齢 ×内的特性(F(2,192)司 .062,p<.005) 外見美 ×内的特性(F(2,192)司 .942,p<.Ol)、年齢

×外見美 ×内的特性(F(2,1924.519,p<.05)の交 互作用が有意であった。年齢 ×外見美 ×内的特 性の交互作用に関 して、単純 ・単純主効果の検 定を行なった ところ、A‑N人物における年齢 の主効果(F(1,576)‑7.695,p<.Ol)

U‑P

人物に お ける年齢 の主効果 に有意 な傾 向がみ られた (F(I,576戸2.855,p<.10)。年少児ではすべての内 的特性 にお い て 、外 見美 の主効果 が有 意 で (P;F(I,288)‑20.138,N;F(I,288)‑35.043,℃F(I,288)

‑25.138,p<.Ooユ)、年長児において も全特性にお いて外見美 の主効果が有意であった伊;F(1288)

=10・599,N;F(1,288戸17.838,T;F(I,288P2.713,p<.

001)。年少では 〟U どちらにおいても内的特性 の 主 効 果 が 有 意 で(A;F(2,384)=5.819,p<.005, U;F(2,384)‑12.031,p<.001)、年長で も 〟U どち

らの外見で も内的特性の主効果が有意であった (A;F(2,384戸33.034,U;F(2,384戸36.600,p<.001)

ライアン法による多重比較によれば、年少では、

A外見の ときはP特性のみがN特性 よ りも行動 的評価(遊びたい)が高 く(t(384)‑3.336,p<.05)U 外 見 の と き はPNTよ りも高 か っ た (t(3844.808,t(384)‑2.453,p<.05).年長ではA外 見の ときN特性はPTよ り有意に行動的評価 が低 く(遊びた くない)(t(384)‑7.536,t(384)頚 .782, p<.05)、U外見の ときも同様であ り(I(384)‑8.572, I(384)‑2.826,p<.05)かつTがPよ り有 意 に低 かった¢(384)‑5.746,p<.05)(Fig.7参照)0

(12)

5

4

3

2

1

0 ̲r 一 :

〇人‑P IA‑N E)A

lUA‑P +UA‑N QUA

年少 年 鼻

Fig.7ターゲット人物 (外見美‑内的特性)に対 する行動評価得点の平均値

以上より、幼児の対人認知における行動的評 価に関 して、外見美 と内的特性の両方が影響 し ていることが示 された。外見美の影響について A外見人物に対す る行動評価がU外見人物に対 す る評価 より良いことが示 された。内的特性が 行動評価に及ぼす影響については、P特性に対 す る行動評価がTやNよりも高かった。年齢に ついては、A外見では、年少児 よりも年長児が 有意にN特性‑の評価が低かった。

好意感情 と行動的評価得点

対人好悪感情 と行動的評価の関連 をみるため 対人感情課題②で 「好きと回答 した人物‑の 行動評価得点 と、「好きと回答 しなかった人物

‑の行動評価得点 を比較 した(Fig.8)。その結果 両年齢において好意感情をもつ人物‑の得点が、

好意感情を持たない人物‑の得点よりも高かっ た (遊びたい)。行動評価得点の平均値について 物語別に年齢 (年少,年長選好感情 (好き,好 き じやない)の2要因分散分析 を行なった結果、

全物語において選好感情の主効果が有意であっ た(物語Ⅰ;F(1,91)‑192.5,物語Ⅱ;F(1,81)‑24.276, 物語Ⅲ;F(1,77)‑69.84,各々p<.001)0

すなわち対人好悪感情が行動的評価に影響を 及ぼす ことが示唆 された。美ステ レオタイプに 一致する物語 Ⅰにおいては、選好感情の違いに よる行動的評価点の差が大きかった。好意を持 つ他者に対 してはより 「遊びたいと評価 し、

好意を持たない他者に対 しては「遊びた くないと評価 し、その傾向は年長児の方がよ り顕著で あった。

S A. 3 2 ‑ 0 平均 得点

■物持 Ⅰ

■物楕 Ⅱ E)物椿Ⅱ

Fig.8 関係

選択課題 好意による平均点の差 次に行動的

評価の理由付け (なぜその人物 と 遊びたい (

びた くない)か)について、年少 児ではほとん

ど行動的評価の理由付けを言語化 できなかった

。年長児は内的特性を理由にあげ る一方で、思考

的発話 (や さしそ うで遊んで く れそ うだか ら

混ぜてあげた ら悪いことして、

意地悪 くして く

るかもしれん

「どうせ僕 もい じ められる

的特性か ら未来の行動を推測)や 共感的発話や

、身体的特徴についての発話が現 われた。A外

見人物には 「優 しいか らとP特 性 を付与 し、U

見人物には 「優 しいから 地悪や った

の両方の特性が付与 された。また

遊ばない」

と行動評価 した人物には 「鬼ごっ この時、走るのが

弱そ う「こんな子 と遊んでも ビー ビー弾探

しとかできそ うにない」など、登 場人物の能力を過

J評価する思考的発話がみ ら れる一方で、「

遊びたい」と行動評価 した人物に は 「鬼ごっこ

の時、走るのが強そ うなど過大 評価による思

考的発話がみ られた。つま り全 く 同 じ行動を行

な う他者を認知するときには、身 体的魅力 ・美ステ レオタイプの影

響が強まるこ とが示唆 され

た。 考 幼児期にお

ける対人由知構造の発達について 目的であ

げた仮説 との関連か ら検討す る。

1.認知

的評価 (内的特性判断)について

<仮説(∋年少

児で も他者の内的特性 を理解 し、

かつ年長にな

るにつれてその理解が進展する>

幼児が他者の

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