金沢大学十全医学会雑誌 第68巻 第1号 37−52 (1962) 37
悪性腫瘍並びに肝疾患における
血清酵素活性に関」す1る研究
〔1〕悪性腫瘍における血清Adenosine Deaminase の臨床的意義について
金沢大学大学院医学研究科第二内科教室(主任
小 原 修
(昭和37年1月13日受付)
村上元孝教授)
(本論文の要旨は第20回日本癌学会総会において発表した)
近年,血清Transaminase(S−TA)の測定が心筋 梗塞の補助診断に役立つことが明らかにされて以来 1),種々の病態の酵素学的研究がにわかに諸家の注目 をあびるに至った.悪性腫瘍に関してはすでに古くか ら骨肉腫,或いは前立腺癌などの骨転移により血清 Alkaline phosphatase或い1まAcid phosphataseの 増加することが知られているが2)一5),1943年War−
burg等6)が担癌動物の血清2Aldolaseの上昇するこ とを報告して以来,腫蕩組織の旺盛な解糖能と関連し て,癌患者の血清中に存する種々の解糖系酵素の消長 について,癌の診断的立場からも多大の関心が寄せら れてきた?)一15).しかしこれらの多くは担癌動物にお いて,その増加が腫瘍の発育とかなり密接な関係を有 することが明らかにされたが,癌患者の血清について は必ずしも満足すべき結果が得られなかった.
しかるに最近Straub等16)はPurine体異化酵素 の一種であるAdenosine deaminase(AD)が入獄清 中に存することを明らかにし,527例の癌患者の約 92%にその活性の増加を認め,癌の酵素学的診断に有 用であることを指摘した.その後Letnansky等17)は 特に肺癌において血清Adenosine deaminase(S−AD)
の増加することを報告したが,これに対しBodansky 等18)は彼等の解糖系酵素に関する一連の成績と同じ く,S−ADの増加は悪性腫瘍の存在よりはむしろ,そ の発育の度合に関係があることを示唆した.本邦にお いては未だその詳細な報告に接しないが,悪性腫瘍に 対するその診断的価値をより明らかにするために,著
者もまた白血病を含む種々の悪性腫瘍例及びその他の 諸疾患について,血清Cholinesterase(S−ChE)及び S−TAすなわち血清Glutamic oxaloacetic transami・
nase(S,GOT),血清Glutamic pymvic transaminase
(S−GPT)と同時にS−ADの測定を実施し,更に Ehrlich腹水癌マウスについても検討を加え,若干の 知見を補遣し得たので報告する.なお肝癌を含む諸種 の肝疾患について得た成績は第二篇において詳述す
る.
〔A〕臨 床 実 験 臨床材料及び実験方法 〔1〕臨床材料
患者は主として当内科を訪れた者より選ばれたが,
一部は当大学外科及び他の病院より資料を提供された もので,諸種の悪性腫瘍患者70例,非悪性腫瘍患者75 例(肝胆道疾患を除く),妊婦10例について検討した.
なお健康入対照には当科医局員,看護婦及び当科外来 において健康診断を受け健康であることを確認した20 例をこれにあてた.
〔皿〕採 血
普通朝食前空腹時に乾燥注射器で肘静脈より約10 m1採血し,これを小遠心管に移し,血清を分離し,
その血清につき諸酵素活性値を測定した.分離せる血 清は直ちに実験に供したが,氷室に保存したものは3
〜4日以内ならば殆んど活性の低下を認めなかった.
〔皿:〕 酵素活性の測定
Stlldies on Serum Enzyme Activities in Mallgnant Tロmors and:Liver Disease 〔1〕Clinical Signi丘cance of Serum Adenosine Deaminase in Malignant Tumbrs. Osamu Ohara, Depart−
ment of Internal Medicine(皿),(Director:Prof. M. Murakami), Faculty of Medicine, Univer−
sity of Kanazawa。
1・S−ADの測定(Letnansky:K. u. Seelich F.)17)
(原理)
基質としてAdenosineを使用し,その溶液に被検 血清を加えて一定温度で一定時間incubateし, Ade・
nosineの減少を分光々度計で測定した.
(試薬)
1)Adenosine溶液
0.1M燐酸緩衝液(pH 7.4)にて0.2%Adenosine 溶液を作成し,1週間以内に使用した(氷室保存).
2)除蛋白液 10%過塩素酸 (術式)
一環付試験管を4本準備し,次の如く実施した.
①0.1M燐酸緩衝液2.Om1十Adenosine溶液1.O m1
②被検:血清2.伽1十Adenosine溶液LOm1 ③被検血清2.Om1十 0.1M燐酸緩衝液1.Oml ④0.1M燐酸緩衝液3・Om1
これらを混和し,37σC恒温南中に1時間incubate した後,除蛋白液6.Om1を加えて振盈混和し,暫時 放置後遠心し,上澄を更に冷凍遠心機で6000rpm,
20分間遠心し,上澄を蒸溜水で40倍に稀釈し,日立分 光光度計にて④をブランクとして265叫でそれぞれ の吸光度を測定した.かくして①の吸光度と②から③ を差引いた吸光度との差を求め,あらかじめ作成した Adenosineの基準曲線より減少せるAdenosineの量
を求めた.
(活性の表わし方)
血清1mlで37qC,1時間のIPcubatlonにより減
少したAdenosineの量を計算し,軸MのAdenosine の減少を1単位と規定した.
∬S−GOT及びS−GPTの測定
S−GOT及びS−GPTの測定はCabaud等19)の方
法に準じて測定した.
皿S−ChEの測定
S−ChEの測定はMichel 20)のガラス電極pHメー ター法のAlcalde 21),高橋・柴田等22−24)の改良法に 準じて実施した.
実 験成績 1)健康人
健康男女おのおの10例について測定した結果を表1 に示した.S−ADは男子では0.40〜0.90(平均値0.・
63),女子では0.25〜0.89(平均値0.57),S−GOT は男子では8〜31(平均値29),女子では4〜30(平均 値19),S¢PTは男子では4〜30(平均値23),女子で は2〜29(平均値18),S−ChE Iは男子では0.80〜1.20
(平均値0.98),女子では0.80〜1.10(平均値0.89)
であり,女子では男子に比し4者とも僅かに低値を示 す傾向を有したが,推計学的には両者の間に有意の差 を認めなかった.また男女合計20例の平均値はS−A:D は0.60土0.19,1S−rGOTは20±9, S−GPTは21±8,
S£hEは0.94:ヒ0.15であった. S−A;Dの平均値は,
Letnansky等17)・のそれ(0.71±0.14)に比しやや低 値を示したが,その上界は0.90で彼等のそれとほぼ一 致した.またS−GOT, S㎡GOT及びS℃hEについて は,以前に報告された当教室の成績%)26)51)とほぼ一致
した結果を得た.
表 1 健康人血清AD活性
男
子
番号1被儲隣lADIG・TGPTchEi露
28 Q9 Q4 S1 R6 Q7 Q9 R2 Q4 Q7
難癖欝血泊鍛 12345678910 0.61
0.90 0.54 0,62
0.550.84
0.410.40 0.82 0。65
5106278563 233121 211 58806109052312221231
1.051.20 0.85 1.15 0.85 0.90 1.10 0.80 1.10 0.90
7.1 7.7 7.7 8。2 8.0 9.0 7.2 8.0 6.8 6.8
女 子
訓徽者1年齢IADIG・TGPTchEi囎
12345678910 野村
室谷 角
高野 丸山 大味 斎藤 岩下 美尾谷
永田
61721060112543423223 0.35
0.58
0.740.43
0.510.76 0.49 0.25 0.89 0.73
4090848159 ∩01009召0乙9召ーユ 2378296229 221121121
i.000.80 0.85
1.10 1.000;90 0.90 0.80 0.85 0.80
7.4 7.5 6.9 6.9 7.2 7.6 7.2 7.1 7.7 8.4
平均値i・・6312・「231・・9817・71i平均値1・・5711gi181・・8917・4
男女(20例) 平均値±標準偏差 AD O.60±0.19
GOT 20±9 GPT 21士8
ChE O.94士0.15
悪性腫瘍における血清Adenosine Deaminase
表 2 悪性腫瘍患者血清AD活性
39
番号1賭名陣副翻1病 名IADIG・TIGPTIChEl舗」備 考 12345678910111213141516171819202122 2324 252627282930 313233 34353637 38 39 40 柳田野田田子知解下藤瀬川田地 井崎崎根尾上中 谷 本本下ロ宮野 江口藤 原林瀬井 本 口 井 〃 奥〃 〃 〃士 〃 〃 〃 地 蓑 芝舛山宮北村竹 紺 三三道野中門 茅野斎 富小広荒 北 水 今小吉湊本島金平安杉斎広中池高 留65犯駆説磁飢怖653︒犯566335㎎妃朋留早早㎎駒別6︒8︒野田6︒四四留66開祖6︒磁壁姐B田 ♂♀♂♀O→83♂80→♀3小O$δδ♀♀aO→δ8 ♀6 388ε3♂ ♀6♂ ♂$♂δ δ ♀ O→ 胃
癌性腹膜炎
〃(2週後)
〃(2週後)
腹膜偽粘液腫 〃(1週後〉
上顎洞癌
163804908341750460032292 ﹃0ワ●nO−昌 7蟹−轟nO3
1
62000201轟 4441133 0◎
0000 1盈 000050050005000005055000500050500005GO50505000545883546745354468724522267246536675346577356768 00000000000000000000000000000000000000000000000
1405 8 9 0510 83122 2 2122 16605552127475 1 2139131221 1 慶0ワ8匿U2 Ω乙11り召 2
0﹁り2﹃0戸00POーユ7nO 11
1
0 貿U
2
5202184000066388149108088296154393983044800156467777667777666557756656467657657676667766577667 (手)肝転移
(手)肝転移
(手〉リンパ腺転移
(手)
肝・縦隔洞転移
(手)リンパ腺転移
(手〉 〃
(手) 〃
(手) 〃
(手) 〃
(手) 〃 肝転移
(手)
(手)
(剖)肝転移
(剖)肝転移
(手)リンパ腺転移
(手)編繕リン
(手)肝転移
(手)膵転移
(手沢擬管
(手)駝移・鞭
(手〉リンパ腺転移
(手)閉塞性黄疸
(手)閉塞性黄疸
腹水中に腫瘍細胞 を確認
(手)
(手)
41
42 S3 S4 S5 S6 S7 S8 S9 T0 T1 T2 T3 T4 T5 T6 T7 T8 T9
60
川間倉崎渡守湖川辻村谷二道野獣井原川向
石 月石山 水三隅 木田宮高西小柏川浦川
森 中 〃
71
66 U3 S3 T4 U3 T5 R0 U6 R4 T2 R4 S9 U1 U0 T2 S4 S4 S2
55
δ δ♀♀♀33δ3♀♀♀♀♀♀♀♀δδ
3
澗三三器溺澗溺認調部濁恋湘激溺朋船溺湘認朋湘認船溺 00一工1000111210100000111221 癌自働二二 月月月 頭カカカ 〃 Gω侮 喉〃〃〃肺
〃 〃 〃 〃癌癌癌
胱
毒蛾乳 論灘叢誌
子
ヨ ユ リぢ ヨ ジ 二二ー︵ ホ疑多〃〃〃 8054797511132221 ぼ04AUρ0 00EOΩ乙9召
1011﹂433∩δ999
323335・4臨終汐干瀦﹂ゆ駕鷲溺駕駕蘭盤駕畑 00000000000000000000000000 50902342 22QU﹂4004凸− ぼ022n6 00配U− 76 672469022 1322134 0144790809593200845349448887666675767677676767745549 全劉後肺転移
癌性胸膜炎
(剖)監撫その
(手)肝転移
(手)
脊髄転移
(手)リンパ腺転移
(手) 〃
(手)
(手)
(手)頭部皮膚転移
(剖)
悪性腫瘍患者 (60例) 平均値土標準偏差 AD 1.10±0.53
ChE O.55:ヒ0.22 GOT 31 GPT 30
(註)平均値は測定をくり返したものについては第1回の測定値のみを算入した.
(手)は外科手術,(剖)は剖検により診断を確定せられたもの.
2)胃癌その他の悪性腫瘍例(白血病を除く)
臨床的或いはレ線学的検査により診断のほぼ確実と 思われるもの,更に外科的手術及び剖検により診断の 確定された症例60例について得た成績を一括して表2 に示した。かかる悪性腫瘍患者におけるS−ADは0.35
〜3.61とかなりの変動を示したが,その平均値は L10±0.53で,健康入のそれに比し,推計学的にも 明らかに有意の上昇を示した.S−GOT及びS−GPT はそれぞれ3〜175,5〜225の範囲にあり,その平均 値は健康人のそれに比し必ずしも有意の差を認め得な かった.一方,S−ChEは0.10〜0.95の間に分布し,
その平均値は0.55士0.20で健康人のそれに比し,明 らかに有意の減少を示した.次にこれら酵素活性の異 常を示す割合を各種腫瘍別に分類して表3に示した.
先ずS−ADについては,ホヂキン氏病或いは多発性 骨髄腫等の全身性変化の強いものではすべて上昇する 傾向を示すが,各臓器癌では,正常値を示すものと,
増加を示すものとはほぼ相なかばする傾向を有し,そ
図1 肺転移を伴った喉頭癌(全点のの1例 71歳 δ
GOT
マイトマィンン2m船75日悶
AD GPT ChE MG
●
1.50 ア5 075
50
△ △ OAD
ムー△ChE
1.oo
50
05020
oノー一〇
.。___7∠88盟
0.50
25
0.2510
!@ ,@ ,
o、. .
ウミ1壬
,f xMG
入力BS
院ドミP 後 AウロピリノーゲンR バ ル ト 反 応
@ ウム 日
@ 反応 i45分値)
数
(一}
q4〔6)
@RgQ5%
1ケ月
i一)2ケ月
i一)q316
qじ5ケ月
i一)qoく3、
q12
の合計は,正常範囲内にとどまるもの60野中24例(40
%),境界値を示すもの8例(13%),明らかな増加を 示すもの28例(47%)であった.S−GOTについては,
正常範囲内にとどまるもの47例中38例(81%),上昇
をみるもの9例(19%)であり,S−GPTについては,
悪性腫瘍における血清Ade2soine Dea面nase 41
表 3 諸種悪性腫瘍の部位と血清AD活性
原発部位
胃 毎
食 道 曲 直 腸 癌
12指腸乳頭軽 骨 癌
腹部腫、瘍 癌性腹膜炎
腹膜偽粘液腫
上顎洞癌 喉肺腎膀乳子ホ三
頭
胱 宮 ポジキン州俗 多発性骨髄腫
癌癌癌癌癌癌
A D 虚数 33224221116114412
2
0.90 0.91 1.01
以 1 以 下1.00 上
qu11晶
9召省1り召ーユ009θ04
4
11
2 09召ーユー︷1ーニ
ー 11−Ω4
志下 83123211114112312
GOT1
40 41
以 1 下 100
io1 201 1 以 200 上
1
4
﹂1二
﹂1二400
1122111141
1
1
9召001一﹂
丁数 83123211114112312 GPT
1
40 41 101 201
以 l l 以
下100200上
731112111121
1
Ω乙0019召
1
1 1
2
1
1
例数 33224221116114412
ChE2
0.500.51 0.76
コ口 1 以 下 0.75上 15 5 3
2 1 1 1 1 1 2 2
2 2
1
120◎−
−KU
り4ーユ−唱一一﹂1二
1 1 合 訓6・}2482814713881 國4・51116・125251・
正常範囲にとどまるもの47例中40例(85・2%),上昇 を示すもの7例(14.8%)であった.一方S−ChEに 関しては,正常値を示したものは60例中10例(16.6%)
で他はすべて減少する傾向を有した.じたがつ.て一こτ一一一 に測定される酵素活性のうちで悪性腫瘍患者における 異常変動を示す頻度は,S−ChE(83.4%)が最も高
く,次いでS−AD(60%),S−GOT(19%), S−GPT
(14.8%)の順であった.
表4は諸種悪性腫瘍の組織診断と各酵素活性との関 係を表示したものであるが,これらの間には一定の傾 向は認められなかった.
表一ヒ「ぽがが石悪性腫瘍の他臓器への転移の有無と各一 酵素活性の変動との関係を表示したものである.先ず S−ADと転移の関係は,肝転移の証明された症例で は,所属淋巴腺及び他の臓器への転移の証明されたも のに比し,圧倒的にS−ADの上昇を示す傾向が強く 表 4 諸種悪性腫瘍の組織診断と血清AD活性
原発部位
胃
癌
直 腸 癌
膵 癌
上顎洞溢
乳 織
子 宮 癌
腎 癌 腹膜偽粘液腫
組織診断
純様
単一冗冗
A D
GOT[0.90
例
以 数十
001100
400ーユ﹃0 癌癌癌明
腺 癌 腺 癌
単 純 癌 単 純 癌 扁平上皮癌
腺 癌 腹膜偽粘液腫
11
10召
9召11Ω44110.91 1 1.00
1
1
2
40 ネ下
例 数
﹄以上
1
11
1 1
1111
941 9り 9召9召−﹂4 −﹂書二 04QU11﹂
1
41
1
100
1 10韮
1
200
40 ネ下 GPT
例 数 十以上 9召り召ユ4
1104Qu1ーユ
1141
!100
1
101
1
201
例 数
ChE
20 ネ上
0.50以 下
9召9召引100
4QU−﹂Eり 9劃ーユーユΩ乙﹂41属−
11 10,51 1 0.75
Ω乙︷1
1
11
︷■轟−
1 0.76
以 上
1
ーユー00
表 5 諸種悪性腫瘍患者における転移と血清AD活性
原発部位
田目 早
食 道 癌 直 腸 癌
12指腸乳頭癌
膵 癌
転 移
A D
0.90 例
以 数下
﹄陸 ピリ6 ワ8 0 1 移賢明 転 転偲 抄 肝リ不
リンパ腺転移 不 凹
面 転 移
りンパ腺転移
膵 転 移
:不 明
肝 転 移
りンパ腺転移 不 明
ーユ9召
−i
11−ニー9召
1
1
11
0.91 1 1.00
19召−﹂
1
1
GOT
40 ネ下
例 数
コ﹄以上
1
3﹂47貫 nO400
属U−﹂仙
2
11
1
ーユ2
一二Ω4
1
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2
1 11
41
f
100
3
1
1
1
101
﹁200
1
201
以 上
例数 nb48 19召 40 ネ下 GPT
1
11
1
2
ピ0﹂48
一二9ρ1
1 1
41
!100
1
1
101
i
200
1
例数 ChE
20 ネ上
1 0.50
以 下
64﹁0 nOワ80 1 19召
−1胃−暫一1111り々 111
1
1
11
0.51
「
0.75
20◎
1
1
1 1
0.76
以 上
−り召
1
喉頭癌1肺転移}1il1 11111 11ほ1 i1111[
腎 癌肝転移hI
膀胱癌瞬転劇11[111旨1
同1111111
11111111 巨1ilI 11111
乳 癌
子 宮 癌
移移明 転騰
髄が 脊リ不
皮膚転移
リンパ腺転移 不 明
ユー二〇召
11Ω4
111
1
11
2
11
﹂■■11
1
1
111
1
1
11︷具
1
1
−看響隔−
11り心 114り4 −■一−
r
1
1 1
2
10例中8例(80%)に明らかな上昇を認め,他の2例 も境界値:を示した.S−GOTについては肝転移の明ら かな9例中4例(44.5%),S−GPTでは9例申2例
(22.2%)にそれぞれ上昇を見たに過ぎなかった。し かしS−ChEに関しては肝転移の明らかなもの10例中 全例に,しかも比較的高度の減少を示したが,S−ChE の場合は肝転移巣の証明されなかったものにも極めて 高率(82%)にその減少を見たので,肝転移の有無と 直接的な関係を求めることは困難であった,
3)骨髄性白血病
骨髄性白血病10例について得た成績を表6に示し た.S−ADはその全例に明らかな増加を認め他の悪性 腫瘍例に比しその活性は比較的高値を示したが,白血 球数との間には一定の関係は認められなかった.しか し急性骨髄性白血病においては,慢性骨髄性白血病に おけるよりも高値を示す傾向がうかがわれた.S−TA は2,3の症例において,中にはその経過中に上昇を みるものもあったが,多くは正常範囲に属し,S−GOT とS−GPTではむしろ後者の変動がやや目立つた. S一
図2 急性骨髄性白血病の1例 38歳$
プレド属ゾロン
AD GOT
fP冗
ChETESPA l===コ
@ ● AD●!
自血球致
@(W)
5.oo
75
o.75●
v O 45x106
,ρ一一一・℃GP了
,ノ
2.00
50
0.501 1φ
ρGOT 50x104
!
1
ノ︐ム
! ノノ
1.00
25
o.25o
I
07・仁一一一一一一一一一一
誉\△義\
15刈04
,
+範
︵R0
%6
数ン応応︶
日→
ス轟 ノトム5
後リウ4 ビル︑ミ 院㌘土
入尿コカ盈
1㌍炉 1貯
R駕⊃
18.5%
ChEは3例に正常値を示したが,一般に低値を示す ものが多く・末期にはしばしば著明な減少をきたすも のも存した.
次にこれら悪性腫瘍群における各酵素活性の関係を 図3,4,5に示した.S−ADとS…GOT或いはS−
GPTとの間には一定の相関を認め難いが, S−ADと
悪性腫瘍における血清Adenosine Deaminase 43
表 6 白血病患者血清AD活性 番号
1
04Qり﹂仕 崖U67● 一
8
9
10 患者名
舟橋
〃 阿 部 成 山 西 〃 小 寺
門 田.
岡.崎 一
〃 斎 藤 〃 黒 崎 〃 〃 崎 川
年齢 28
1アーム
63209召GV 2413
36
38
15 性別
3
OTΩT小○ OT小○○→ δ
3
δ
病 名
慢性骨髄:性白血病 〃(1カ月後)
〃 〃 〃 〃(1カ月後)
〃
〃 〃 〃(1カ月後)
急性骨髄性白血病 〃(45日後)
〃 〃(110日後)
〃(117日後)
〃
白血球数 7,200 19,600 144,000 10,100 153,000 24;400 24,600 48,000 360,000 372,000 47,800 10,600 426,000 119,500 74,500 14,000
AD
1221111211213333 80505236087865516343547382271344 GOT 1 2 11112221243 nジ0 5674843067281
GPT
Qu8
ρ0ρ000563974955271331223311661 1
C『hE 0000QOOOOOOOOOOO 50000500550005507648986688563215
血清蛋白
(%)
29080088923641006566776667667666
白血病患者 (10例) 平均値±標準偏差
AD 2.17:±:0.70GOT 17±7 ChE O.62±0.19 GPT 26±15
S−ChEとの間には, S−ADの高値を示すものにS−
ChEの低値を示す傾向が多くみられた.
図6はS−ADと血清蛋白町回との関係を示したが,
各二三との間には一定の関係を見出し得ないが,S−
ChEについては図7に示した如くS−ChEの減少は 血清アルブミンの減少或いはγ一グロブリンの増加とか なり密接な関係が認められた.
血清AD
4.00
5.oo
2。00
1.oo
図3 悪性腫瘍患者並びに骨髄性白血病 患者の血清ADと血清GOT
x
貿
●
諏 ●
●
● ●●x 3 ・
℃・緊の
ぜ :.
● ●●
@ ●■
●
●3悪性腫瘍
X=骨髄性白血病4)妊 二
二7は妊娠4カ月〜10カ月の妊婦10例についてS−
AD及びS−ChEを同時に測定した成績である. S−AD は全例とも正常範囲内に存したが,S−ChEは6例に 軽度の減少がみられた.
5)その他諸疾患
表8に肝胆道疾患を除く非悪性腫瘍患者75例につい
血湾AD 400
5.oo
2』0
1』o
図4 悪性腫瘍患者並びに骨髄性白血病
患者の血清ADと血清GPT
Xx
■メ× ●
●
● ●
x ●x
X ●● x.
ね ●XOO● ●●
ね
0● ●
轟綿 . 08● ●
● ●u●
●
●
●
03悪牲腫瘍
×3骨髄性白血病
●
100
200 血清GOT100
200血消GP7血鴻AD
4.00
5.00
2.00
1.00
図5 悪性腫瘍患者並びに骨髄性白血病
患者の血清ADと血清ChE
●
○
●
3
●
×
×
● 3悪牲腫瘍
減 :骨髄牲白血病
ア謂一〇511
●
X
● ●●凶
の
●
●X
● X● 0
●
●●● ●
●●● ●●●
●● ●●
● ●●8●●
●
●●● ● ●■●●
●●●●●O O●8
●●●
L
表7 妊婦血清AD活性
番号 12345678910 被検者 松杉平山藤⁝横宮河池篠 島野井村井山崎内田田
年齢 48449859722222222222 妊娠工0カ月 妊娠月数
〃 妊娠8カ月 〃 妊娠6カ月 〃 〃 妊娠5カ月 〃 妊娠4カ月
平 均 値
AD
0,60 0.90
0.41 0.430.27 0.42 0.54 0.47
0.610.88 0,55
ChE
0.60 0.75 0.70 0.90 0.65 0.75
1.000.95 0.85 0.60 0.78
血清蛋
白(%)
6.4 6.8 7.0 7.0 6.6 6.8 6.8 6.8 6.4 7.2 6.8
妊婦(1・例)二値±標鞠差等8二ll圭朧
A恥.
50
40
30
20
050 !00血肩ChE
図 6 悪性腫瘍患者における血清ADと血清蛋白分劃
X 取 X
●●●
●
●ズ
●
●
●●
o● ●
● 0
●
100
●
蚤.
β一GIob・
20
17.5
15
12.510
75
××.× ●メ ●︑● ■● ● ●● ● ●●
●
●
メ
×
●
●:悪性腫瘍
x:骨髄性白」血病×
メ
●
4.00 AD 「一Glob・
55
1.00
2.00 3.00
αi}G蒐ob。
10
75
5
200
××
●
t
● × O●●o
●● ●
●● ● ●
300
×●
×
4.00AD 50
触・Glob.
聰.5
10
7.5
1.00
200●
●● ×● 亀● ・ ●
××●
3,00
×
● x
4.00AD
40
30 25 20
2.00 3,00
●●●
●
●
1.00
●
●
●
●
●●
む
x
● ●
3くX●
x X x
⑳ 3、oo
x
×●
4.00 ざD
て得た成績を一括して示した.これらのうちS−AD の明らかな高値を示したものは,Devic氏病の1例,
関節リューマチの1例,輩皮症の1例,慢性腎炎の1 例及び尿毒症の2例,計6例(8%)であった.境界 値を示したものは心筋梗塞等の9例(工2%)で他はす べて正常範囲内に存した.
1.oo 2.09
4.00ADS−TAは心筋梗塞の12例中4例にS−GOTの軽度の
増加がみられたが,多くは狭心症発作後1週闘以上を
経過しているのでその変動は比較的少なかった その
他の症例では,Devic氏病の1例,輩皮症の1例及び
尿毒症の1例にSGOT, S−GPTともに軽度の上昇を
みたのみで他はすべて殆んど変化を示さなかった.
●
●
蜘騎5・妬
40 R5
R0ィ20
?篇5 h
6一
●
。6
xーー−﹂. 欄6匿m祁
晦
悪性腫瘍における血清Adenosine Deaminase
図7 悪性腫瘍患者における血清ChEと血清蛋白分劃 x 卜Glob・ ●
:・・淡・・ 20 ・黒船臨
・ 婁。 17漏 ・・o.×
●ノ3 凱§富・xx
8・・。隻 ・一・・3・9 、。 ●蔓
● , x 7.5
●
120 ChE
1.20 ChE
45
0.40 080
α8−GBob。 0・40 0・80
・30.x3
● ×●x
×●●・妻●×x ●
X●●X×● ●● ×× ㎝・●●・ ●憾 ●●● ●
応﹂−1薯41星置−Il﹂一唖 0 8 0
●
×
×
1.20 ChE
卜Glob.
55 ●
50
弱 メ 冨一_o溺2
0 40
3 ●×
・・● E●×
?D瓢
25 0
蚤x
20 ● ×
0.40 0.80 t.20 ChE O.40
表 8 その他の諸疾患々者の血清AD活性
0.80 L20 C1しE
番号
重2 QU4POnO 78910111213141516171819202122232425
患者名
田井 野海村垣 村下村村島村波川田 川田本野代階向内端 〃 〃 小島 和河 越鴛西佐 木山中野川二才谷大 堀村山高栄高川寺川
年引金
17 1559 219500553081499333564 5665 3655573452152454557
♂δ 333a 33♀33δδε♂♂♀︿6δ♀δ3δεδ−病 名
心筋梗塞
〃 〃(10カ月後)
〃 〃 〃 〃 〃(1週後)
〃 〃 〃 〃 〃
〃 璽冠 不 全 〃 狭 心 症 心 筋 炎 遷延性心内膜炎 心 不 全
WPW症候群
〃
高血圧症
〃 〃 〃 〃
AD
ロ 603446227241448055451445847757797762965676617535759239
ロ コ コ コ コ コ コ ロ コ コ コ ロ コ
コ ロ000000000000000000000000000 GOT 285104901 51238999569280302 251112332 4413231 11313111
GPT612001857 00786288891025031
232111321 1312342 3223113 ChE055005000500050000000050000880187876893989919688786709
ロ ゆ コ コ ロ
の
ロ ロ ロ の コ ロコ
ロ ロ ロ
001100000001000010000000010
血清蛋白
(%)
22206026805080116220032015ー ロ コ コ コ コ コ コ コ ロ の コ コ コ ロ
コ877767665667658776777777777
閥佃MM鴇卵回㎝舘卵翻脇鴇佃㎝編二三篇鴇μ三三翻飴鵬脳鴇開恥M餉初鋼臼M
溺濁丁丁蕊溺調二二澗﹂り三二而﹂り二二二二濁創蕊温温溺珊濁温品濁乱濁而二二﹄n二二m⁝三滝り三二二二二二溺陛下 0ーム 0 引1 0 0 nUーユ 0 0一二 〇 〇 ーユ 0 0 0 1ニ 一■ ハ∪ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 響且 41 一二 〇〇 〇−← AU AU 1 0 0ーユ 0 0 0 0 ︵U O O O
21 Q9 Q0 P3 Q4 R0 Q1 R0 U4
X1733322018173021223161525153034312 30530 834165620211715162936743110325033
14 R0 P4 P9 Q0 P9 P8 Q5 V1 Q1 P9 P0 R2 P7 P2 P5 Q3 P5
Q202014371318282310 13619 102910462413392121282973118123030
駕研創門下門門丁丁朋溺茄二二﹄二二而伽溺釦⑳灘湖創晶晶忍溺溺溺鯖二二三三溺⑳丁丁丁丁溺朋託沿珊朋 000000001000000000000000000・00000001011000001100100
〃 〃 〃 〃 〃 蜘蛛膜下出血
片 麻 痺
脳軟化症
Devic氏病
多発性硬化症 筋萎縮性側索硬 化症
〃 多発性神経炎
脚 気 胃 潰 瘍
慢性胃炎
〃 〃 漫 状 胃 十二指腸潰瘍 〃
腸
〃 炎
急性虫垂炎
感
〃 〃 肺 結 〃
冒
核
症炎
腎 〃血 〃 性
敗慢 ゼ症 一 〃〃ロ毒〃 フ ネ尿
〃 再生不良性貧血
貧 血 〃 関節リュウマチ 〃
輩皮症多発性筋炎
糖尿病本態性低蛋白血 症
ノノ 甲状腺機能低下
症
♂∩午○→OT小○小O♀︿00T3小○小0δQT小O小OOT3QT小○小O小O∩干小OOT︵¥○→小○小0∩干小OOT︿○小O小0小O︿6小OOT小00†小OQTO†Q7小○小OQT3小○
48 U6 T3 T4 S7 R1 U1 U5 Q6 S7 S0 T1 R3 Q5 R0 Q7 T1 U1 P8 R7 Q8 T3 Q2 Q1 P8 R2 P8 Q4 T0 R8 P6 T5 T6 V4 S4 Q4 T7 T2 U0 R5 S8 U2 T9 U4 S2 R5 U7 Q6 R6 R6
田田村上本本井ロ崎野村岸本川本島林井中伯塚本谷田川田田塚村岸 間谷木江 谷水下川 川 寿丸田田口谷崎 泉 森 泉 森 芝津西田今山西入金西西片油皿村高平吉竹佐小藤長中伊正忌定西阿 本飴荒中 二一木橋 菱 多紙宮窪谷広宮
26
Q7
Q8
Q9
R0
R1
R2
R3
R4
R5
R6
R7
R8
R9
S0
S1
S2
S3
S4
S5
S6
S7
S8
S9
T0
T1
T2
T3
T4
T5
T6
T7
T8
T9
U0
U1
U2
U3
U4
U5
U6
U7
U8
U9
V0
V1
V2
V3
V4
V5
悪性腫蕩における血清Adenosine Deaminase 47
しかしS−ChEは75例中28例(37.3%)にその活性 の低下が認あられ,本態性蛋白血症の1例(Exsuda−
tive Gastroenteropathyの疑い)では特に著しい減少 を示した.
〔B〕動 物 実 験 実験材材反び実験方法 1)実験動物
市販の雄成熟マウスを使用し,飼料は固型飼料を用 い飲料水には0.6%食塩水を与えた.
2)Ehrlich腹水癌の移植
昭和33年4月以降累代移植により当教室に保存して あるEhrlich腹水癌を1週間毎に市販雄成熟マウスに 移植し,自家飼育室に保存した.移植は腹腔内移植後1 週間経過せる腹水をツベルクリン用注射器で吸引し,
これを生理的食塩水で2倍に稀釈し,約500万個の癌 細胞を含む量を無菌的にマウスの腹腔内に注入した.
3)MitOlnycin C(MC)投与法27)
MCは注射用蒸溜水で溶液0.1m1に1回の投与量 が含まれるように完全に溶解し,Ehrlich腹水癌移植 マウスには移植後24時間後より連日20mcg/mouseを 腹腔内に注射し,正常マウスにも同様に連日投与した.
4)採血及び腹水の採取
エーテル麻酔下にマウスを仰臥位に固定し,あらか じめヘパリン溶液で面内をうるおしたツベルクリン用 注射器で心穿刺により可及的採血し,動物を失血死せ
しめた.腹水は生理的食塩水でうるおした注射器で採 取した.得た血液並びに腹水は遠心して上澄を分離
し,直ちに実験に供した.
5)肝ホモジネートの作製
失血死せる動物の肝を速やかに取り出し,濾紙で充 分に吸水せる後秤量し,その一定量を硝子ホモジナ
イザーに移し,氷水中にて磨砕せる後,一定量の蒸溜 水を加えて均等なホモジネート(肝ADは20倍稀釈)
を作製し,直ちに実験に供した.
6)酵素活性の測定 1.ADの測定
(術式)
先に記した臨床実験の方法に準じて実施した.但 し,肝Adenosine deaminase(L−AD)の測定には20 倍稀釈の肝ホモジネートを用いて,30分間振壷しつ つ,incubateした.
(活性の表わし方)
血漿Adenosine deaminase(P−AD)は血漿1m1,
37。C,1時間,一方肝AD活性は肝1g(湿重量)に つき37。C,30分間のIncubationにより減少したAde・
nosineの量を計算し,1μMのAdenosineが代謝され る場合を1単位とした.
実 験成績
(1)正常マウス
正常マウス5頭についてP−AD及びL−ADを同 時に測定した成績を表9に示した.P−ADの測定は,
各マウスより得られる血漿の量が少ないのでやむを得 ず得られた血漿を前記の燐酸緩衝液で5倍に稀釈して 実施した.
正常マウスのP−ADは0.24〜0.64(平均値0.43)
で人血清のそれに比しやや低い活性を有し,L−AD は66.0〜76.0(平均値70.1)であった.
表9 正常マウスの血漿,肝AD活性
番号
19ヨQU﹂4EO
性別 公︶〃〃〃〃 重︶ 体㎏ ワ87nO匠0∩◎ 9θ9召04り召2
血 漿
環易曇lAD
6.0 5.4 5.8 6,2 5.6
0.40 0.52 0.64 0.36 0.24
肝
専m謬lAD
1,530
1,560 1,300 1,270 1,060
69.0 73.0 76.0 66.4 66.0
平均値15・81・・431
17・・1(2)Ehrlich腹水癌移植マウス(EATCマウス)
1)移植後5日群(表10)
P−ADはすでに上昇する傾向を有し,5頭中3頭に 明らかな増加を示し,一方L−ADもやや上昇する傾 向を示した(図8).また軽度の腹水の貯溜は5頭中3 頭に認め,腹水上澄のADは1.27〜1.90(平均値1.51)
とこの時期のP−ADの平均値の約2倍であった.
2)移植後10日群 (表11)
P−ADは更に増加し,5頭中4頭に増加を示し,う ち3頭は著明に増加し,平均値は正常群の2倍に達し た.:L−ADも移植後5日群に比し,僅かながら増加を 示した(図8).腹水のADは移植後5日群とほぼ同
じ程度の平均値を示した.
(3)正常マウスのP−AD,:L−ADに及ぼすMCの 影響(MC 20mcg/mouse連続5日間及び10 貸間投与群)(表12,13)
正常マウスにMCを連続5日間及び10日間投与せ る2群では,P−ADそれぞれ全く正常範囲に属し,
L−ADも全く正常範囲に属した.
(4)EATCマウスのP−AD, L−ADに及ぼすMC
の影響
表 10Ehrlich腹水癌移植マウス移植後5日群の血漿,肝及び腹水のAD活性
番号
123﹂4﹁0
性別
$〃〃〃〃 量一
体一 08nOnOどり 009θΩ49召り召
血 漿
蛋(白 刀j量 PAD
402UnOΩU 属unb44﹃0
0.861.02 0.52 0.56 0.95
量一 肝
r
重一
AD
1,460 1,330 1,340
960 920
78.2 81.6 69.6
75.280.8
腹 水
蛋(白
刀j馴AD2.8 3.1 2.7
1.27 1.35 1.90
平 均 値
5.3 0.78 77.1 2.9 1.51表 11Ehrlich腹水癌移植マウス移植後10日群の血漿,肝及び腹水のAD活性
番号
イ⊥234PO
性別
小Q〃〃〃〃 量一 9 体一 00000Q8 33322
血 漿
蛋(白 刀j馴AD
4.4 4.8 5.4 5.2 3,8
L24
0.75 1.50 1.20 0.50
肝 重一
mω 量
AD
1,260 870 960 940 830
84.6 75.6 80.0 83.2 74.0
腹 水
蛋(白
刀j馴AD屡り9μQU4nO 9召り召3り召9召
ユ.80 1.44L42
1.50 1.20
平 均 値
4.7 0.9579.5
2.6L47
表12正常マススの血漿,肝ADに及ぼす MCの影響(20mcg/mouse 5日間投与群)
番号
−呂043﹂4﹃0
性別
小O〃〃〃〃
表14Ehrlich腹水癌移植マウス移植後5日 群の血漿,肝のAD活性に及ぼすMCの影
響(20mcg/mouse 5日間投投群)
二 (9) P二二量IAD 三 漿
nO408nO O40421﹂−
6.85.7 5.8 6.3 6.0
0.30
0.24
0.50 0.48 0.25肝
瀞lAD
1,460
1,200980 1,150 960
72.8 64.8 75.0 73.6 67.0
平均値16・11・・36i
17・・6番号性別 1
iり召QU4屡り ε〃〃〃〃 薔
イ﹂置トー腹水
︶︶︶︶︑ 一 一一 ︵︵︵︵r 8ハ0どUり召0 22222
血 劇 肝 雫朗ADI蕃【AD
000◎ ﹃OnO
(一)}6.1
(一) 5.7
(一) 5.7
0.58 0.49 0.75 0.47 0.35
1,080 970 860 i:劉ll:1
79.0 67.0 65、8
平均値15・gl・・531
【72・・表13正常マススの血漿,肝ADに及ぼす MCの影響(20mcg/mouse 10日間投与群)
番号
−りθQU﹂4﹃0
副掴 1(・)}糊AD 血 漿
小O〃〃〃〃 nOρ0肖UO40 29召29β2
6.6 5.8 5.8 6.3 6.10.50 0.75 0.30 0.55 0.35
肝
A D
量幻 重@
1,36d72.0
1・3・・
I77・・
1,160、66.6
960175.2 890168・4
平均値16・11・・4gI レ1・8
表15Ehrlich腹水癌移植マウス移植後10日 群の血漿,肝のAD活性に及ぼすMCの影
響(20mcg/mouse 10日間投投群)
−り召QU4ピ0 3〃〃〃〃 ︶︶︶︶︶ 一 一± ︵︵︵︵︵ 00nOOOΩU 22221 曲
肝馴職
漿細 馴 血白% 蛋︵
6.2 5.9 5.8 5.2 4.3
0.68
0,80 0.480.30 0.76
1,450 74.2 1 1,350 79.0 97071.O l l羅:1
平均値15・51・・6・1 i73・9
悪性腫瘍における血清Adenosine Deaminase
49・1)移植後24時間よりMC 20mcg/mouse連続5日 間投与群(表14)
体重の増加,腹水の貯溜は全く認められず,P−AD,
L−AD共にほぼ正常範囲に属した.
2)移植後24時聞よりMC 20mcg/mouse連続10 日闘投与群(表15)
5頭中1頭のみに少量の漿液性の腹水を認めたが,
著明な体重増加はなかった.P−ADはやや増加の傾向 を示したが,L−ADは概ね正常範囲に属した.
図8 Ehflich一腹水癌移植マウスの血漿,
肝AD活性に及ぼすMCの影響
[==コ 担 癌 マ ウ ス(5匹平均値)、
1.00
血
漿
AD
活0,50
牲
80
肝
AD
ア。・活
60
懸 正常マウスのMC投与群
︵
〃︶
魎 担癌マウスの1履C投与群
︵
〃︶
・∫く、
○・「●勝●
D=づ==∵蛯P驚ζ轟.
●L㌧
Ti
ウi遊蝦薫蹴・
I怨;≧事 難︑3︑:撫・:︐㍉
正常 ■b日 10
:.■馴 X.凋3
:鴨=
T駿
繭.2.3︐
正常群
5日群総括並びに考按
10
卲Q体液殊に血清中に存在する酵素のうち,悪性腫瘍の 発生或いはその増殖と密接な関係を有する酵素系の変 動を明らかにし,これを悪性腫瘍の診断に役立てよう とする試みは,1943年置arburg等が担癌動物におけ る血清Aldolase活性の増加を発見して以来6),主と して解糖系酵素についそ検討が加えられ,今日におい ては,Aldolaseのみならず, Lactic dehydrogenase 8)一11),PhosPhohexose isomerase 7)26)等の活性もま
た二三動物において増加することが明らかにされた.
しかし実際の癌患者についての成績は,いずれも当初 期待された如き高率にはその増加を示さなかった.
しかるに最近,Puτine体異化酵素の一種であるAde・
nosine Deaminase(AD)力黄,癌患者の血清に極めて
高率にその活性を増加することがStraub 16)及びLet一 nansky 17)等によって報告され,癌の酵素学的診断に 極めて有用であることが提示された.一方,悪性腫瘍 のPurine体代謝については,1958年DeLamirande%)
等がラッチの正常肝と:Novikoffhepatomaとの間に,
Purine体異化酵素のPatfemに著しい差異のある
ことを見出し,5 一:Nucleotidase,:Nucleoside Phos−
phorylase, Guanase及びAdenaseはhepatomaの 組織においてその活性を減少し,Xanthine oxidase 及びUricaseは殆んどその活性を消失するに反し,
ADのみはむしろその活性の増加することを報告し た.Chan等29)もラッチの3」Me−DAB肝癌におい てもAD及びAde皿ylic acid deaminase活性の増加 していることを明らかにした.DeLamirande等%)は 上記のXanthine oxidaseをはじめとする一連のPur・
ine体異化酵素系の減少は,腫瘍組織においてPurine 誘導体の分解を防ぎ,核酸へのrecyclingを促進する ものと考え,他方,AD或いはAdenylic acid dea・
1ninaseの増加は, Adenine誘導体よりGuanine誘 導体への転換を促進し,このことは一方において,
hepatomaのRibonucleic acid(RNA)が正常肝のそ れに比し,Guanylic acidをより多く含有していると いう事実30)31)と何らかの関連を有するものと考えられ ている.更に鶏の胎児32)や,ラッチの再生肝33)の如
く,速やかに成長する組織においてもAD活性の増加 が報告されており,最近石塚等34)は人の腫瘍組織にお いてもその増加を発表している.かかる見地よりすれ ば,担癌動物或いは悪性腫瘍患者の血清ADの増加 は,恐らく腫瘍のPUfine体代謝異常の一端を直接反 映するものと理解されるかも知れない.
しかしながら著者が悪性腫瘍患者について検討した 成績では,骨髄性白血病,多発性骨髄等においては全 例にS−ADの比較的著しい上昇を示したが,胃癌を はじあとする種々の癌患者においては,約半数にその 増加が認められたに過ぎなかった.肺癌についても,
Letnansky等17)の報告に見られた如き高率にS−AD の増加が認あられず,他の癌患老の場合もほぼ同率で あった.かくの如く著者の成績がStraub 16)及びLet・
nansky等17)のそれに比し, S−ADの上昇をみるもの が比較的低率であったことの理由は,彼等の報告には 腫瘍の種類拡がり,或いは転移の有無等に関する記 載がないのでその詳細は不明であるが,最近Bodan・
sky玉8)は,55例の悪性腫瘍患者のうち,著者の成績よ
りも更に低率のi5%にS−ADの増加を証明し,腫瘍
の比較的限局せるものではS−ADの上昇を示すもの
が少ないことを報告している.著者の症例において
も,当初正常値であったが腫瘍浸潤の増大と臨床症状 の悪化につれて,S−ADの上昇を示す傾向がしばしば 認められたことは,腫瘍の存在よりはむしろその拡が りに関係のあることを示唆するものと考えられる.ま たEhrlich腹水癌移植マウスについても,移植後,腹 水癌細胞の増殖につれてS−ADの漸増が認められた が,マイトマイシンの投与により腹水癌の発育が阻止 せられたものではP−ADの明らかな増加が見られな かった事実も恐らくかかる事情を支持するかも知れな
い.
一方,75例の非悪性腫瘍群においても,尿毒症,そ の他2,3の疾病時にS−ADの上昇をみるものが僅 かながら存したことは,担癌動物或いは悪性腫瘍患者 におけるS−ADの増加が,必ずしも腫瘍の存在と特 異的な関係を有するものでないことを示している.
しかし著者の成績において比較的特徴的な点は,手 術或いは剖検により肝転移巣の存在が確認された症例 では,その80%にS−ADの明らかな増加が認めちれ,
他の20%も軽度ではあるがいずれも正常範囲以上の上 昇を示したことで,肝転移の有無もまた癌患者のS−
ADの上昇に大きな役割を演じているように思われ る.したがって上記の著者の成績からすれば,S−AD の癌に対する診断価値は必ずしも高くは評価され得な いが,臨床的に腫瘍の発育の度合或いは肝転移の有無 を推定する場合,或る程度有益な指標となりうるであ ろうし,また癌患者に抗癌剤を使用する場合,その効 果を判定する上にも一つの目やすを与えるものとして 臨床的な意義を有するであろう.
悪性腫瘍患者のS−TAについては,従来よりその 変動は比較的少ないとされており,著者の成績におい ても,S−GOTは19.6%, S−GPTは13.0%に軽度の 増加を示したに過ぎなかった.しかし肝転移を有する ものではかなりの頻度にその増加が報告されている が35)一39),著者の症例ではS−GOTの上昇は,44.5%,
S−GPTは22.5%にとどまり,上記S−ADに比し遙か にその変動は少なかった.またかかる場合には,一般 にS−GOTの活性がS−GPTよりも大であるといわ
れているが40)41),著者の成績では一定の傾向は認めら れなかった.
今日,悪性腫瘍患者の血中に増加する酵素が,果し て腫瘍組織それ自体に由来するものか否かは不明であ
るが.もしもその酵素が腫瘍組織にのみ特異的に多く 含有されているものであれば,それが直接腫瘍組織に 由来すると考えるのは比較的容易であろう.しかしな がら解糖系酵素をはじめ,現在悪性腫蕩患者の血中に 増加することの知られているものはすべて,腫瘍組織
のみならず生体の種々の臓器に広く分布しているの で,たとえ腫瘍患者の血中に増加しても,直ちに腫瘍 の存在と直接的な関係を結びつけることは危険であ る.このことがこれらの酵素学的面からの診断法に限 界の存する所以であろう.しかしながら最近或る種の 酵素について,たとえその機能が類似していても,臓 器により若干差異のあることが免疫化学的な面より解 明されつつあるので,かかる方面の研究の進歩と論証 って今後解決の期待されるところであろう.いずれに せよ現在の段階においては,かかる血清酵素の増加は これを多く含有する腫瘍それ自体の増殖,或いは腫瘍 の浸潤に伴なう隣…接組織の破壊,更にはToxohor・
moneその他癌腫毒といわれているものを介しての遠 隔臓器の変化等,宿主側に及ぼす種々の影響が同時に 加味されて生じた結果と考えねばならない.
S−ChEについては従来より悪性腫瘍患者において も減少することはよく知られているが25)26)42−46),著 者の成績では83.3%にその減少がみられた.殊に肝転 移の明らかなものでは,全例に比較的高度の減少がみ られた.爾来,血清中に存在するこのPseudocholin・
esteraseに関しては不明の点が多いが, S−ChEは主 として肝で産生され,また肝機能障害の著しいもので はS−ChEのの高度の減少をみる事実から,癌患者に おけるS−ChEの減少は二次的な肝障害に由来するも のとする説が多い.しかし語る種の担癌動物におい て,S−ChEの漸減が認められたにもかかわらず, L−
ChEの減少が見られなかったという報告47)もあり,
必ずしも肝におけるChE産生能の減弱に基因せしめ 得ないようである.しかし著者の成績においてもみら れた如く,多くの報告は血清アルブミンの減少とS−
ChEの減少との聞に比較的相関を示すことを指摘し ており4850),癌患者の蛋白代謝異常と何らかの関連 を有するものと考えられる.しかしこの点に関しても 最近,LaMotta等50)はモルモットの前眼房室中に入 のGliob玉astomaを移植すると,血清アルブミンの減 少が全く認められないにもかかわらず,S−ChEの著 明な減少をきたすことを報告し,必ずしも血清アルブ ミンの動態と直接的な関係を有しないことを示唆し た.したがって,悪性腫瘍患者のS−ChEの減少の正 確な機序に関してはなお不明であり,腫瘍組織の中に この酵素が奪取されるものなのか或いはまた,腫瘍組 織よりAnticholinesterase like substanceを産生し ている可能性も考えられており,これらについては更 に今後の研究に侯ちたい.
トギ.