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学位論文の要旨 Abstract of Thesis

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Academic year: 2022

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《H26 様式 甲2の1/Style Kou 2-1》

学位論文の要旨

Abstract of Thesis 研究科

School

自然科学研究科

専 攻

Division

産業創成工学

学生番号

Student No.

51423207

氏 名

Name

溝上 雅人

学位論文題目 Title of Thesis(学位論文題目が英語の場合は和訳を付記)

変圧器鉄心の騒音への影響因子に関する研究

学位論文の要旨 Abstract of Thesis

送配電に用いられる変圧器に対して要求される性能の一つに低騒音性がある。騒音は通電中の変圧器 で常に発生し,人にとっては不快で住環境を劣化させるため,その低減技術の開発と共に,法規制に基 づいた目標騒音値を精度良く実現できる変圧器の設計製造技術の確立が必要である。変圧器騒音の一因 は鉄心材料の電磁鋼板が磁化変化に伴った形状変化をする磁歪現象で,これが交流磁化では鉄心の振動 となる。また,鉄心に形成される接合部にギャップが生じると,鋼板間の電磁吸引力で振動が発生して 騒音を生じる。更に前記の振動を加振力とする機械的共振振動が鉄心に生じると騒音が増加する。

本論文では,まず変圧器の騒音と振動を評価するための実験手法の確立について述べる。最初に,評 価に用いるモデル鉄心の構造やその騒音測定方法の検討,振動測定システムの開発について述べる。こ れらの手法を利用し,次に騒音や振動を変動させる要因を検討する。各要因の変動が騒音にどのような 影響を与えるかを定量的に明らかにする。更に,磁歪などの振動実測値を騒音に換算する方法を取り上 げ,その精度を前記の実測結果を利用することで検討する。以上の取り組みで得られる研究成果は鉄心 が発する騒音の低減と予測のための技術の確立に繋がる。本論文の具体的な内容を以下で説明する。

実験では実機鉄心を小型化した 3 相のモデル鉄心を製作して騒音や振動を測定する。その設置方法の 検討から,横置きよりも実機と同形態となる竪置きが望ましいことを示した。また,騒音測定は鉄心を 囲む線上の複数の位置で行うが,その位置数は 8点以上とする必要があることを示した。更に,騒音の 評価精度の向上には鉄心と測定位置の距離の増加も有効であることを示したが,そのために生じる音の 減衰には面音源や線音源に対する減衰法則がほぼ成り立つことを確認した。更にレーザー振動計を用い た鉄心振動の自動測定システムを開発した。このシステムでは振動波形を鉄心の励磁周期に同期させて 測定することでノイズの低減を図った。この他に,実測された磁歪や鉄心の振動を速度に変換して人の 聴感特性で補正することで騒音レベルに換算する方法について詳述する。

電磁鋼板の磁歪は圧延方向への圧縮によって変化する。この現象の騒音への影響をモデル鉄心の圧縮 による騒音変化を実測して検討した。その結果,圧縮は騒音レベルを上昇させ,騒音増加率は約2dBA/MPa であることがわかった。加えて,圧縮によって騒音のほとんどの周波数成分が増加することも判明した。

また,鉄心素材の磁歪特性を測定して騒音換算法を適用し,得られた値が圧縮による騒音変化に対応す

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《H26 様式甲2の2/Style Kou 2-2》 氏名Name 溝上 雅人

るか調査した。その結果,換算結果と実測に乖離が見られ,換算法に改善が必要であると結論付けた。

次に,モデル鉄心の締め付け圧力を変化させながら振動と騒音を測定したところ,特定の圧力のみで振 動が極めて大きくなる現象が見られた。これは圧力を変えることで鉄心全体の剛性が変化して共振周波数 も変化し,特定の圧力で共振周波数が励磁周波数の 2倍の100Hz 付近になることで強い共振振動が発生 したためと考えられる。この共振の影響は騒音の100Hz成分にも明確に現れたが,100Hz成分は聴感補正 による減衰量が比較的大きいため,騒音オーバーオール値には共振の影響は現れなかった。更にこの鉄心 の表面振動を実測して騒音に換算したところ,100Hz成分と300Hz以上の成分との間の関係が実測騒音と

異なり,100Hz成分が強調されすぎる傾向となることがわかった。その原因は,100Hzの振動が鉄心内の

異なる場所の間で逆相となっており,音が相互干渉によって打ち消されたためと推定した。

続いて,鉄心の接合部形式と同時積枚数の変更で生じる騒音変化を調査した。その結果,ステップラッ プ接合が従来ラップ接合よりも低騒音で,同時積枚数の増加は騒音を増加させる場合があることがわかっ た。また,モデル鉄心上の多数の局部で歪ゲージによって測定された磁歪に騒音換算法を適用した結果,

換算値は実測結果と同様にステップラップ接合が従来ラップ接合よりも低く,更にラップ法の相違によっ て生じる高調波成分の差も実測結果と同傾向となることがわかった。よって鉄心の局部磁歪には騒音と一 定の相関があると共に,騒音換算法は局部磁歪に適用する場合には有効であることがわかった。一方,素 材の磁歪特性を測定して騒音換算法を適用したところ,鉄心の局部磁歪による換算結果とは一致しなかっ た。その理由は3相鉄心で発生する複雑な磁化条件が素材測定での単純な磁化条件と大きく異なっている ためと考えられる。

最後に,鉄心接合部において端面で突合せとなるべき鋼板同士が先端で重なってしまう異常接合を検討 した。その結果,通常接合に対して騒音が増加し,その増加原因がインパルス音であることがわかった。

このインパルス音は鋼板同士が接合部の空隙内で電磁吸引力によって衝突することで発生すると考えら れる。インパルス音は鉄心接合部の締め付けを強化することでほぼ消滅するが,騒音レベルはなお正常接 合よりも大きい。

参照

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