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学 位 論 文 の 要 旨

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Academic year: 2021

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(様式

6

号) 「課程博士用」

学 位 論 文 の 要 旨

専 攻 名 システム工学 専 攻 氏 名

ほうらい みお

宝来 美緒 ○

学位論文題目:情報通信システムに適用可能な数値解析手法に関する基礎的研究

(英訳:Fundamental Study on Numerical Analysis Methods for Applicable to Information Communication

Systems)

工学分野の様々な物理現象を数学的なモデルに帰着させ, 対象分野の物理現象に適した簡易なア ルゴリズム(計算手法)を用いて最適な解を求める数値解析手法は,多様な分野で複雑な問題を解決 するための手段として広く採用されている.情報通信分野においても,これまでに多くの数値解析 手法が提案され利用されている.例えば,時間軸と周波数軸における信号の評価・解析等において 連続信号と離散信号に対するフーリエ変換やチャープ Z 変換の利用, 熱雑音や干渉雑音により影響 を受けた受信信号の振幅,位相,周波数等の複数のパラメータ推定や, 不確かな情報を確率関数を 用いて統計的に推定する手法, 無線通信に特有のマルチパスフェージング回線下の最尤推定法 (ML:Maximum Likelihood Estimation)や補間法を用いた伝送路特性推定法,データ情報の復調に際 し て は , 高 精 度 な 復 調 デ ー タ を 実 現 す る た め の 最 少 二 乗 誤 差 法 ( MMSE:Minimum Mean Square Estimation)や ML 法が広く利用されている.一方,通信ユーザーの満足度を最大化することを目的 としたネットワーク利用効率最大化手法や所要品質の下でシステム容量を最大化する送信信号の変 調方式,符号化率,送信信号電力,割当て周波数チャネルや時間スロット等を伝送路状況に応じて 最適割当する問題には,シンプレックス法や勾配法等が広く利用されている.

一方,対象とする物理現象に対して数値モデル化が可能であっても, 既存の数値解析手法で解くこ とが困難な問題も多く存在している.その例として

,

偏微分方程式や漸化式の解をラプラス変換を用 いて簡易に求める手法が広く利用されているが,与えられた問題によっては解を求めることが困難 な場合がある.また,通信ネットワークリソース問題で見られる目的関数と制約条件がともに非線 形で非凸な大域的最適化問題等が挙げられる.非線形非凸最適化手法として,有力であるとされてい る遺伝子アルゴリズムを使用すると

,

局所的最適解を求めることができるが

,

その解が大域的最適 解であるかどうかは問題によっては保証されない.これら数値解析が困難な問題に対しては,現在 利用されている数値解析手法とは異なった手法で,より簡易に短時間で解を求めることを可能とす る新しい数値解析手法の開発が要求されている.

本論文では,従来の数値解析手法では解を求めることが困難な問題に対して,従来手法の改善や 新たな数値解析手法を提案することにより,これら問題を解決し,これにより数値解析手法の利用 拡大を図ることを目的とする.本論文では,工学分野で利用が可能となる

2

種類の数値解析手法の 提案を行い,提案した数値解析手法を用いた応用例について示し,理論解析結果及び計算機シミュ レーション結果より提案手法の有効性を実証する.

提案する数値解析手法の1つ目は

,

アナログのチャープ信号を使った新しい変換法であるチャー プ信号変換・逆変換の提案を行う.本論文では,チャープ信号変換はフーリエ変換と同様に,変数 が連続・離散の両方の場合で定義でき,逆変換・複素共役性も成立することを理論的に実証する.

続紙 有 無□

(2)

(様式2号-続紙) 「課程博士用」

氏 名

ほうらい みお

宝来 美緒 ○

次に,提案したチャープ信号変換法の応用例として,これまで利用されていたラプラス変換の代わ りにチャープ信号変換を用いることにより,常微分方程式や偏微分方程式を簡易に解を求めること が可能となること,さらに偏微分漸化式を解くことも可能となることを解析的に実証する.

一方,アナログのチャープ信号変換法を発展させた離散チャープ系列の信号変換法についても提 案する.チャープ系列は,CAZAC(Constant Amplitude and Zero Auto-correlation)系列の一種で,周 波数軸と時間軸領域ともに振幅値一定という特長と相互相関特性が

0

と言う直交系列の特長を有し ており,これまでにレーダー用の信号として広く利用されている.また,通信分野では符号分割多 元接続方式(

CDMA: Code Division Multiple Access

)の拡散符号としての利用や非線形回線とマルチ パスフェージング回線下での受信信号同期や周波数同期のための参照信号として広く検討されてい る.本論文では,

CAZAC

系列の新しい生成法について提案する.提案する

CAZAC

系列は,チャー プ信号に周期的に

0

を挿入する系列であり,CAZAC 系列の特長である時間軸信号の振幅値一定と,

相互相関値が

0

となる直交性の特長を有している.提案した

CAZAC

系列の応用例として,直交周波 数分割多重化(OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing)通信方式の伝送路特性推定用のプ リアンブルシンボル(参照信号)として利用する場合について示す.従来の

CAZAC

系列を用いたプ リアンブルシンボルでは,D/A 変換器出力で発生するエイリアス除去を目的として周波数軸上の

CAZAC

系列の両端にゼロパディングを挿入し時間軸信号をオーバーサンプリングする必要がある.

この場合は,

CAZAC

系列が有する振幅値一定と相互相関特性が

0

となる特長を満足しなくなり,伝 送路特性の推定精度が大幅に劣化することが問題となっていた. 本論文で提案する

CAZAC

系列は本 問題を解決するものであり,非線形回線とマルチパスフェージング回線下においても高精度な伝送 路特性の推定が可能となることを計算機シミュレーション結果より実証する.更に,伝送路特性が 時間的に変動する高速移動通信環境下における伝送路特性推定法を提案する.提案手法は,冗長信 号であるプリアンブルシンボルをフレーム内に周期的に挿入する必要が無く,復調データを用いた 最尤推定法により伝送路特性を推定することを特徴としており,伝送効率の大幅な改善を可能とし ている.本論文では,計算機シミュレーション結果より,提案方式が優れた伝送効率で優れた伝送 路特性推定精度を達成可能であることを実証する.

提案する数値解析手法の

2

つ目は,非線形非凸最適化問題に対する新しい解析手法の提案を行う.

本最適化問題は,独立変数が分数関数の和で表され,目的関数と制約条件が非線形関数の和となる

非線形非凸大域的最適化問題である.提案手法では,問題を複雑化している独立変数が分数関数と

いう形式を,分母と分子それぞれの関数を指数関数で表すことによって,分母をなくした形の同値

問題に変換する.これにより,非線形関数を線形緩和し,非線形最適化問題を線形計画法に帰着す

ることが可能となり,更に大域的最適化を保証するために分枝限定アルゴリズムを採用し,線形近

似最適解から大域的最適解の算出を行うことを特徴としている.更に,提案した最適化問題を発展

させ,分母の関数を閾値の上下で抑える値を求めることで,分母の関数をなくし,分子の関数を線

形緩和し,線形計画法に帰着させて解く手法を提案する.本解法は,最初に提案した解法よりも計

算量を大幅に削減することが可能となる.本論文では,複数の例題に対する計算機シミュレーショ

ン結果より,提案手法の有効性を実証する.

参照

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