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【学位論文審査の要旨】

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Academic year: 2021

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【学位論文審査の要旨】

1 研究の目的

半導体電力変換回路は,交流または直流電源から任意の電圧・電流の振幅・周波数に変 換できることから家電・産業機器の省エネルギーの実現に広く貢献している。しかし,電 力変換の過程において交流電源周波数の整数倍周波数,いわゆる高調波成分を多量に出力 することが知られている。これらの高調波は,配電系統の電源ひずみの要因となり,その 結果,電力機器などに悪影響を与えることが報告されている。近年では,特に家庭から発 生する高調波電流が大幅に増加し,配電系統に流出しているという解析結果が示されてい る。配電系統の高調波を補償するためには,受動素子または電力変換回路を用いた高調波 補償装置を設置する必要がある。しかしながら,従来手法を用いて不特定多数の家庭から 発生する高調波を補償することはできない。

本研究の目的は,太陽光発電装置を代表とする分散型電源装置に高調波補償機能を付加 することによって,三相配電系統に接続された不特定多数の家庭から発生する高調波電流 を補償することである。本研究では,単相の高調波抑制装置を使用して三相配電系統の電 力品質改善を行う方法を議論する。まず,高調波補償装置の接続位置と高調波抑制効果に ついて詳細に議論を行い,高調波発生源の接続状況によらず高調波電流を抑制するための 補償装置の制御手法を明らかにする。さらに,本論文で提案する手法の有効性を模擬配電 系統による実験により明らかにする。

2 研究の方法と結果

まず,三相配電系統のある一相に高調波発生源が接続された条件について検討を行う。

従来の単相高調波補償装置では,三相系統の 3 次高調波電流の増加を引き起こす可能性が あることを理論的に明らかにする。従来法の問題点を解決するために,3次高調波電流を環 流させる新たな高調波抑制法を提案し,模擬配電系統を用いた実験により妥当性の検証を 行った。

次に,二相に高調波補償装置が接続された場合について検討を行う。2つの高調波補償装 置を使用した抑制法として全高調波環流制御を提案する。提案法は,正相と逆相高調波成 分を零相高調波に変換することによって,配電系統の上位側へ流出する高調波電流を抑制 しようとするものである。三相系統の高調波電流を抑制するために,従来法では各相に高 調波補償装置を設置する必要があるが,提案手法は 2 台の装置で実現できることに特長が ある。提案手法の妥当性を明らかにするために,負荷不平衡状態を模擬した実験により検 討を行った。

最後に,複数台の単相高調波補償装置を用いて三相配電系統の高調波電流を抑制するた めの一般化について検討を行った。その結果,提案する高調波補償装置を適用することに よって,任意の負荷条件および高調波補償装置の接続状況において三相系統の高調波電流 を最小化することが可能となることを明らかにした。さらに,高調波補償装置の電力容量

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について解析を行い,従来手法に比べて電力容量低減が可能となる条件を明らかにした。

3 審査の結果

本論文では,複数台の単相分散電源装置を用いて配電系統の高調波電流の抑制手法につ いて検討を行った。従来は特定の高調波発生源を対象としたものであったが,本論文では 不特性多数の単相機器から発生する高調波電流を対象とした。従来手法を用いた場合の課 題を明確にし,さらにその問題を解決できる高調波補償法は独創性および有用性が極めて 高い。特に,配電系統内に高調波電流を環流させることによって高調波電流を抑制する手 法は高い新規性を有する。さらに,本論文で提案する高調波補償法は従来法に比べて電力 容量を低減できることも明らかにした。本論文で提案する手法は,分散電源装置の変更を 伴うものではなく制御手法の変更のみで機能を付加できるために,新規装置への導入だけ でなく既存の装置に対してもその機能を付加できる点で工学的価値を高く評価できる。

以上を総合的に判断した結果,本論文の成果は博士(工学)の学位論文として十分価値 があるものと認める。

4 最終試験の結果

本論文の内容および関連分野に関して多角的な視点から審査委員による筆答および口頭 の試験を実施した。また,公開の論文発表会を開催して,学内外から多数の出席者を得て 多角的な討論を行った。その結果,申請者は論文内容および専門科目・外国語に関して,

博士(工学)としての十分な知識・学力があることを確認した。以上の結果を総合的に考 慮し,慎重に審議した結果,合格と判定した。

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