経済的考え方と適応性
著者 岡田 敏裕
雑誌名 エコノフォーラム21 : 学生と教職員のインターコ
ミュニケーション誌
号 23
ページ 50‑50
発行年 2017‑03‑16
URL http://hdl.handle.net/10236/00026298
Econo Forum 21/March 2017 50 トランプ氏が︑極端に保守的な移民政策や反TPPを掲げて大統領に当選しました︒反グローバリゼーションの国民が多数存在するということです︒世論調査においても非常に多くの国民がグローバリゼーションは米国にとって良くないと答えています︒ ハーバード大のマンキュー教授は︑このことについて︑政治学者の研究を基に考えを述べていますが︑以下で紹介します︒注 経済学で通常考えるように︑人は自己の効用を最大化する合理的主体であるとし︑反グローバリゼーションの問題を考えると︑輸出に大きく比重を置く産業で働く人ほど︑よりグローバリゼーションや自由貿易に賛成し︑輸入に大きく比重を置く産業で働く人ほど反対の姿勢を示すはずです︒しかし︑政治学者の実証研究によるとこの仮説は否定されています︒ 研究よると︑反グローバリゼーションの態度は︑個々人が自身の利益を考えた結果ではなく︑米国全体にとって良いかどうかという︑利他主義的にも見える考え方に従っているとしています︒更に研究では︑反グローバリゼーションは︑孤立主義︑国家主義︑自民族中心主義と深く関係し︑そのような考え方をもつ人は︑グローバリゼーションにより反対しているとしています︒つまり︑反グローバリゼーションは︑客観的で経済的な思考ではなく︑主観的で心理的な︑思い込みのようなもので形成せれているのです︒ 以上のように︑マンキュー教授は述べています︒経済学では通常︑人は合理的な主体であると考え︑様々な問題を分析しますが︑上の問題では﹁合理的な主体﹂という根底が不適切で経済学的説明は困難です︒ 経済学は多くの問題に対して適切 な解決方法を導き出してくれます︒客観的に見てもそれは間違いありません︒しかし︑現実は複雑で︑経済学的アプローチだけでは答えがでない︑或いは︑その答えが時には意図したことと反対の結果を生み出す恐れもあります︒経済学を実社会に適用する時には︑﹁経済学ではこうだから︑これが常に正しいのだ﹂という考えをしないよう心掛ける必要があります︒多様性の重要性がよく言われますが︑それは経済学をより良いものにしていく上でも重要です︒ もう少し一般的に言うと︑自分がもっともだと思う考えでも︑いつも正しいわけではなく︑その考えでは説明できないことが多く存在するということです︒常に他の意見を聞くことが自己発展のために必要です︒ただ︑1つ強調しておきたいのは︑自分の意見を持たず︑ただ他の人の意見を聞くべきであると言っている わけではありません︒全ての考えが同様に重要だと言っているわけでもありません︒しっかりとした考えを持ち︑その上で必要であるならば他の考えを考慮すべきであるということです︒他者に論理的に説明できるような考えを先ず持たなければ︑他の意見と比較し︑より良い考えを構築していくことはできません︒ 経済学部生の皆さんは︑経済学的考えを身に着け︑そのうえで別の考えを考慮する柔軟性を持ってください︒経済学的考えを十分に身につけただけでも︑その力に深く感謝する時が必ず来ますが︑その上で適応性を幾らか意識していけば︑得られるものは飛躍的に多くなるでしょう︒■注︶