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駒澤大学佛教学部論集 28 005石井 修道・小川 隆「『禅源諸詮集都序』の訳注研究(六)」

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Academic year: 2021

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(1)

Komazawa University

NII-Electronic Library Service 『

丿

N工 工一Eleotronlo  Llbrary  Servloe Kom 三1z三1w三1 Umversrty     凡 例 、 凡 例 は 『 駒 沢 大 学 仏 教

研 究 紀 要 』 第 五 十 四 号 に 準 ず る 。           禅 源 諸 詮 集 都 序 目

  〔 一 〕 裴

の 序 巻   上 ( 目 次 省 略 )       〜 〔 二 〇 〕 ( 以 上 『 紀 要 』 第 五 十 三 号 ) 〔 二 一 〕 〜 〔 二 五 〕 ( 以 上 『 紀

五 十 四 号 ) 口 工 ハ 〕 〜 〔 二 九 〕   ( 以 上 『 論… 隹 木 』

一 十 七 口 写 ) 〔 三 〇 〕 〜 〔 三 二 〕 ( 以 上 『 紀

五 十 五

) 巻

 

下 駒 澤 大 學 佛 教 學 郡 論 集 第 二 十 八 號   卒 成 九 年 十 月 〔 三 三 〕 〔 三 四 〕 〔 三 五 〕 〔 三 六 〕 〔 三 七 〕 〔 三 八 〕 〔 三 九 〕 〔 四 〇 〕 〔 四 一 〕 〔 四 二 〕 〔 四 三 〕 〔 四 四 〕 〔 四 五 〕 空 宗 と 性 宗 の 十 の 相 違 点 法 と

釈 の 相 違 性 と 心 の

違 性 の 解 釈 の 相 違

と 知 の 解 釈 の 相 違

我 と 無 我 の

釈 の 相

理 の あ ら わ し 方 の 相

消 極 性 と 積 極 性

名 と 体 の 相

二 諦 と 三

の 解 釈 の 相 違 三 性 説 の

釈 の 相 違 仏 徳 の 有

に つ い て の 相 違

の 三 宗 は 根 本 に お い て は 】 つ で あ る ( 以 上 今 号 ) 頓 教 の 二 の 意 味

と 化 儀 の 頓

八 一

(2)

Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 〔 四 六 〕 〔 四 七 〕 〔 四 八 〕 〔 四 九 〕 〔 五 〇 〕 〔 五 一 〕 〔 五 二 〕           の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 )

漸 の 種 々 な 解 釈 一 真 心 体 こ そ 教 法 の 根 源 で あ る 仏 が 経 を 説 い た 本 意 仏 の 本 意 と 三

の 教

生 、 悟 と 迷 と の 関 係                     す が た 迷 い の 過 程     凡

の 相

り へ の 道         ホ   ホ       ホ   ホ 禪 源

詮 集

下       ホ             ホ       ホ       終 南 山 圭 峯

堂 寺 沙

  宗 密  

    〔 三 三 〕

 

空 宗 と 性 宗 の 十 の 相 違 点             ネ             ネ 上 之 三 教 攝 盡 佛 一 代 時 所

、 及 諸 菩                       ネ 薩 所 造 之 論 。 細 尋 法 義 、 便 見 三 義 全 殊 、 一 法 無 別 。 就 三 義 中 、 第 一 第 二 、 室 有 相                           ホ 對 、

一 、 性 相 相 封 皆 昭 然 易 見 。 唯 第 二 第 三 、 破 相 與 顯 性 相 封 、 講 者 禪 者 同 迷 、 皆 謂 同 是 一

一 教 、 皆 以 破 相 便 爲                       ホ       ネ 眞 性 。 故 今 廣 辨 室 宗 性

有 十 種 異 。 一 、 法

俗 異 。 二 心 性 二 名 異 。 三 、 性 字 二 軆 異 。 〔 五 三 〕 〔 五 四 〕 〔 五 五 〕 〔 五 六 〕 〔 五 七 〕 〔 五 八 〕 〔 五 九 〕                         八 二 悟 り と

い の

系 を 図 示 す る 理 由 悟 り と

い の 図 式 悟 り と

い の 図 式 に よ っ て 反 省 自

す べ ぎ こ と

道 の 心 が ま え む す び

e

む す び

 

記 禅 源 諸 詮 集 都

下       終 南 山

堂 寺 沙 門 、 宗 密 述 す                                                         お さ め つ く   上 の 三 教 は 仏 一 代 時 の 所 説 の 経 、 及 び 諸 々 の

の 所 造 の 論 を

尽 す 。 細 か に                                                       ( 1 ) 法 義 を 尋 ぬ れ ば 、 便 ち 三 義 は 全 く

な る も、 一 法 も 別 無 き を 見 る 。 三 義 の 中 に

                              ( 2 ) い て

一 と 第 二 と は 、 空 と 有 と 相 対 し 、 第 三 と 第 一 と は 、 性 と 相 と 相 対 す れ ( 3 ) ば 、 皆 な 昭 然 と し て 見 易 し 。 唯 だ 第 二 と 第 三 と の み は 、 破 相 と 顕 性 と 相 対 し て 、                                                     お も 講 者 も 禅 者 も 同 じ く 迷 い て 、 皆 な 同 じ く 是 れ 一 宗 一 教 な り と 謂 い 、 皆 な 破 相 を 以                                                                   ( 4 ) て 便 ち 真 性 と 為 す 。 故 に 今 ま 広 く

宗 と 性

と に は 十 種 の 異 有 る こ と を 弁 ぜ ん 。                       ( 5 ) 一 に は 、 法 と 義 と の

の 異 。                       ( 6 ) 二 に は 、 心 と 性 と の 二

の 異 。                     ( 7 ) 三 に は

の 二

の 異 。

(3)

Komazawa University

NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Umversrty 四 、

知 異 。     ネ 五 、 我 法

無 異 。 六 、 遮 詮 表

異 。 七 、 認 名 認

異 。 八 、 二

異 。 九 、 三 性 室

異 。 十 、 佛 徳 空

異 。 十 九 八 七 六 五 四 に に  に  に に に  に は は は は は は は 、    、    、    、    、    、    、             ( 8 )

智 と 真 知 と の 異 。           ( 9 ) 我 法 の 有 無 の 異 。             ( 10 ) 遮 詮 と

詮 と の 異 。                         ( 11 ) 名 を 認 む る と

を 認 む る と の 異 。             ( 12 ) 二 諦 と 三 諦 と の 異 。           ( 13 ) 三 性 の 空 有 の 異 。               ( 14 ) 仏

の 空

の 異 な り 。

   

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底 單

  )    o * 繆 南 山 闘 唐 ( 明 ) 。 * 圭 峯 “ ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 草 堂 寺 踊 ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 昭 冂 迢 ( 高 ) ( 弘 ) 11 條 ( 明 ) 。 * 有 11 有 其 ( 高 ) ( 弘   『

諸 詮 集 都

』 巻 下         終 南 山 圭 峰

堂 寺 沙 門 宗 密 述 す   上 に 述 べ た 三 教 ( 密

依 性 説 相

・ 密

破 相 顕 性 教 ・ 顕 示

心 即 性 教 ) は 釈 尊 が 一

で 説 か れ た 経 と 諸 々 の 菩 薩 が

述 さ れ た 論 の す べ て を 包 摂 し て い る 。

か に そ の 法 と 義 と を 究 め て ゆ け ば 、 三 つ の 義 ( 教 え ) は 全 く

な る け れ ど も 、 法 (

本 ) と し て は 何 ら 別 の も の は 無 い 、 と い う こ と が 判 る 。 三 つ の 教 え の 中 で 、

一 ( 密 意 依 性 説 相 教 ) と 第 二 (

意 破 相 顕 性 教 ) と は 、 空 と 有 の 対 比 で あ り 、

三 ( 顕 示 真 心 即 性

) と

一 と は

と 相 と の

比 で あ る の で 、 い ず れ も 明 確 に 見 分 け が つ く 。 し か し 、 第 二 と 第 三 と は 、 破 相 と 顕 性 と の 対 比 な の で 、 教 学 者 も

者 も 共 に 迷 っ て 、 と も に 同 一 の 宗 、 同 一 の 教 と 思 い 込 み 、 い ず れ に し て も 破 相 が そ の ま ま 真 性 な の だ と 見 な し て い る そ れ

こ こ で は 広 く 、 空 宗 と 性

に 十 の 相 違 点 が 有 る こ と を 弁 別 し よ う 。   一 に は 法 と 義 の 真 ・ 俗 に つ い て の 相 違 、       『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 )                                                   八 三 N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(4)

Komazawa University 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 十 九 八 七 六 五 四 三 二 に に に に に に に に に は は は は は は は は は 、   、   、   、   、   、   、    、   、 心 と 性 の 二 つ の 名 の 相

、 性 の

の 二 つ の 体 に つ い て の 相

智 と

知 の 相 違 、

我 と 無 我 の 相 違 、

理 の あ ら わ し 方 に お け る 遮 詮 と 表

の 相 違 、

を 認 め る こ と と 体 を 認 め る こ と の

違 、 二

と 三

の 解 釈 の 相

、 三 性 の 空 ・ 有 に つ い て の

違 、 仏 穂 の 空 ・

に つ い て の 相 違 八 四 Kom 三1z三1w三1 Umversrty (

1

)   法 義 を 尋 ね … …

11

八 段 と そ の 注 (

1

) お よ び 一 七 段 を 参 照。 『 宗 鏡 録 』 巻 三 四 に 二 一 段 よ り の 引 用 を 承 け て 、 こ の 三 三 段 よ り 四 四 段     ま で が 引 用 さ れ る ( 大 正 巻 四 八 − 六 一 六 a 〜 六 一 七 a ) 。 (

2

)   第 一 と 第 二 … …

11

第 一 の 密 意 依 性 説 相 教 に つ い て は 二 五 段 を 第 二 の 密 意 破 相 顕 性 教 に つ い て は 二 七 段 を 参 照。 第 一 が 有 を 主 張 し 、   第 二 が 空 を 主 張 し て 有 と 空 が 対 立 す る こ と は 二 八 段 に 詳 し い 。 空 を 主 張 す る 龍 樹 ・ 提 婆 ・ 清 弁 と 有 を 主 張 す る 無 著 ・ 世 親 ・ 護 法 に     つ い て は そ の 段 の 注 (

7

) (

8

) (

11

) 参 照 。 さ ら に 日 照 三 蔵 の 説 に よ る 戒 賢 の 有 宗 と 智 光 の 空 宗 の 対 立 に つ い て は 、 二 七 段 の     注 ( 1 ) 参 照 。 (

3

)   第 三 と 第 一 … … 目 第 一 一 の 顕 示 真 心 即 性 教 に つ い て は 二 九 段 参 照 。 性 と 相 と の 対 立 に つ い て は 前 注 の 相 当 箇 所 お よ び 二 五 段 の 将 識 破     境 教 の 説 と そ の 注 お よ び 次 注 を 参 照

4

)   皆 な 昭 然 … …

11

空 ・ 有 と 性 ・ 相 の 区 別 に つ い て 『 略 疏 』 巻 上 一 の 十 門 分 別 の 権 実 対 弁 の 中 の 終 教 の 項 に 次 の よ う に 言 う 。 「 然 れ ぽ 大     乗 教 に 総 じ て 三 宗 有 り 。 謂 く 法 相、 破 相 〈 二 は 皆 な 漸 教 の 始 な り 即 ち 戒 賢 ・ 智 光 の 二 論 師 、 各 々 一 経 に 依 り て 三 時 教 を 立 つ 。 互 い     に 相 い 破 斥 し て 伝 習 す れ ど、 皆 な 法 性 の 経 を 認 め て 自 宗 の 義 を 立 つ る な り 〉、 法 性 〈 頓 と 漸 と に 通 じ 、 漸 は 即 ち 終、 教 は 始 よ り 終 わ る                                         も     が 故 に 。 頓 は 後 説 の 如 し 〉 な り 。 今 ま 法 性 を 將 っ て 二 宗 に 対 し て 料 簡 せ ん と す る に 即 ち 二 門 と 為 す 。 一 は 法 相 に 対 す 。 二 は 破 相 に 対     す 。 初 中 に 性 と 相 の 二 宗 に 多 く 差 別 有 り 。 今 ま 類 に 随 い て 束 略 し て 十 條 を 敘 ぶ 一 、 三 乗 く 性 五 の 故 な り 。 初 め に 小 次 に 一 は 不 了 、

(5)

Komazawa University

NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Umversrty   後 に 三 乗 を 具 し て 了 と 為 す 。 『 深 密 』 に 云 々 〉 と 〜 乗 く 性 一 の 故 な り 。 初 め に 小、 次 に 三 は 不 了 後 に 唯 だ 一 乗 を の み 了 と 為 す 。 『 法   華 』 等 に 云 々

V

。 二 五 性 〈 『 楞 伽 』 等 の 中 に 皆 な 五 種 性 を 説 く が 故 に 〉 と 一 性 く 『 法 華 』 『 楞 伽 』 『 涅 槃 』 は 皆 な 唯 だ 一 性 の み 。 寂 に 趣                                                   コ さ   く 声 聞 は 余 国 の 仏 の 度 す る が 故 に 。 菩 薩 、 記 を 与 え て 当 に 作 仏 す べ き 故 に 。 闡 提 に 仏 性 有 る が 故 に 。 『 摂 論 』 に 法 を 立 て て 一 を 三 の 後     に 居 す る が 故 に 『 法 華 』 は 三 を 破 し て 嫉 怨 多 き が 故 に

V

。 三 唯 心 の 妄 く 八 識 は 惑 業 よ り 生 ず

V

と 真 〈 八 識 は 如 来 蔵 に 通 ず 〉 。 四   真 如 の 凝 然 〈 八 識 の 生 滅 す る が 故 に 随 縁 に あ ら ず 〉 と 随 縁 〈 八 識 は 蔵 識 に 依 る が 故 に 。 但 だ 是 れ 真 如 随 縁 し て 成 立 す る の み 〉 。 五 、 三   性 の 空 と 有 と の 離 く 偏 計 は 空 依 ・ 円 は 有 な り

V

と 即 〈 無 性 は 即 ち 円 な り 〉 。 六 、 生 ・ 仏 の 不 増 不 減 〈 定 性 と 無 性 と 決 し て 成 仏 せ ざ る   が 故 に 。 生 界 減 ぜ ず 、 一 理 斉 平 の 故 に 。 増 無 く 減 無 し 〉 。 七 二 諦 の 空 有 の 離 〈 真 俗 條 然 な り 〉 と 即 く 第 一 義 空 は 真 妄 を 該 通 す

V

    八 、 四 相 の 前 後 〈 滅 は 後 無 を 表 わ す 〉 と 同 時 〈 体 性 は 即 ち 滅 す 〉 。 九 能 所 断 証 の 離 〈 根 の 後 の 境 に 縁 り 滅 を 断 じ て 有 為 智 を 以 て 無                                       あ ら わ   為 理 を 証 す 〉 と 即 〈 滅 す れ ば 即 ち 菩 提 見 れ ば 即 ち 真 如 な り 〉 。 十 、 仏 身 の 有 為 〈 四 智 は 生 滅 識 種 に 依 る が 故 に 。 報 身 は 有 為 な り 〉 と     無 為 く 智 は 如 来 蔵 に 依 る が 故 に 。 仏 化 身 は 即 ち 常、 即 ち 法 は 諸 数 に 堕 せ ず 、 況 ん や 報 体 を や

V

。 若 し 二 教 の 権 実 を 知 れ ぽ 、 二 宗 も 亦 た     相 違 せ ず。 謂 く 機 に 就 け ば 則 ち 三 は 法 に 約 し て 則 ち 一 な り 。 新 熏 は 則 ち 五 な る も、 本 有 は 二 無 し 等 。 二 に 破 相 に 対 す る と は 略 し て                                                                                                           さ と     五 別 有 り 。 一 、 無 性 〈 諸 法 は 性 無 き を 以 て 真 如 と 為 す 〉 と 本 性 く 常 住 真 心 を 以 て 真 如 と 為 す

V

。 二 、 真 智 く 能 く 無 性 を 了 る 者 な り

V

と     真 知 〈 一 心 真 実 に し て 本 自 り 能 く 知 る 。 理 智 に 通 じ 、 染 浄 に 徹 る 。 『 華 厳 』 「 問 明 品 」 に 説 く が 如 し 〉 。 三 二 諦 〈 色 等 は 俗 な り 。 空 は 即     ち 真 な り 〉 と 三 諦 〈 第 一 義 諦 を 加 う 。 謂 く 一 真 心 性 は 空 に あ ら ず 色 に あ ら ず、 能 く 空 能 く 色 な り 。 鏡 の 明 ら か な る が 如 し 〉 。 四 、     三 性 の 空 と 有 〈 空 宗 の 有 は 依 ・ 計 を 謂 い 空 は 円 成 を 謂 う 。 性 宗 は 即 ち 偏 計 は 情 有 理 無、 依 他 は 相 有 性 無 円 成 は 情 無 理 有 相 無 性 有     な り 〉 。 五 、 仏 徳 の 空 〈 仏 身 を 説 く と 雖 も 、 五 求 得 ず 。 得 れ ば 則 ち 虚 妄 な り 。 得 る こ と 無 け れ ば 乃 ち 真 な り 。 一 切 の 相 を 離 る る を 仏 功     徳 と 名 つ く 〉 と 有 〈 諸 仏 皆 な 常 楽 我 浄 の 真 実 功 徳 を 具 す 。 身 智 通 光 、 一 一 無 尽 な り 。 性 自 ら 本 有 に し て 機 縁 を 待 た ず 〉 。 略 し て 此 の     五 を 弁 ず 。 余 は 例 し て 知 る ぺ し 。 然 る に 意 を 得 れ ば、 亦 た 相 違 せ ず 。 謂 く 一 切 法 は 既 に 皆 な 是 れ 真 心 縁 起 な り 。 縁 起 無 性 に し て     還 れ ば 即 ち 真 心 な り 。 始 は 本 に 異 な ら ず 。 知 の 外 に 智 無 し 。 余 の 諦 性 等 は 、 之 れ に 例 し て 明 か す べ し 。 然 れ ば 此 の 門 と 前 後 と 別 な り 。     但 だ 教 に は 始 終 頓 漸 の 殊 り 有 る も 法 に は 深 浅 の 異 り あ ら ず 」 ( 続 蔵 巻 一 五 ー 五 九 左 下 〜 六 〇 右 下 ) 。 こ の 箇 所 を 『 略 疏 鈔 』 巻 三 〜 四 ( 同     一 一 八 左 下 〜 = } 四 右 上 ) に 詳 釈 す る 。 そ れ ら の 相 当 箇 所 は   『 大 疏 』 巻 上 一 ( 続 蔵 巻 一 四 −

四 右 下 〜

六 右 上 ) と 『 大 疏 鈔 』     巻 二 下 〜 三 上 ( 同 二 四 七 左 上 〜 二 六 二 右 下 ) に 当 る 。 な お 、 宗 密 が 説 く 性 相 二 宗 の 対 立 の 十 條 の 説 は 、 澄 観 の 『 華 厳 経 疏 』 巻 二 ( 大 正     三 五 ー 五 一 一 a ) を 承 け た も の で あ る 。 (

5

)   法 と 義 … …

11

三 四 段 参 照 。 (

6

)   心 と 性 : : :

11

三 五 段 参 照 。 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 八 五 N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(6)

Komazawa University A    A14  13 )    ) A    A         A    A    A 121110987 )    )    )    )    )   ) 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 性 の 字 の … …

U

三 六 段 参 照 。 真 智 と 真 知 = : : 時 三 七 段 参 照 。 我 法 の 有 無 … …

11

三 八 段 参 照 。 遮 詮 と 表 詮 … …

11

三 九 段 参 照 。 名 を 認 む る と 体 を … … 口 四 〇 段 参 照 。 二 諦 と 三 諦 : … 目 四 一 段 参 照 。 三 性 の 空 有 … … ー 四 二 段 参 照 。 仏 徳 の 空 有 … …

11

四 三 段 参 照 。 八 六 Kom 三1z三1w三1 Umversrty 〔 三 四 〕   法 と 義 の

釈 の 相 違   ホ 〇 一 、 法

俗 異 者 室 宗 縁 未 顯

靈 之 性 故 、 但 以 一 切 差 別 之 相 爲 法 、 法 是 俗 諦 、 照 此 諸 法 無 爲 無

無 生 無 滅 無

無 減                       ホ 等 爲 義 、

諦 。 故 智 度 論 以 俗

法                             ホ 無 礙 辯 、 以

諦 爲 義

礙 辯 。 性 宗 以 一

                  ホ 之 性 爲 法 、 室 有 等 種 種 爲 義 。 故 經 云 無                 ホ 量 義 者 從 一 法 生 。 是 以

嚴 十 地 亦 云 、 法 者 知 自 性 、 義 者 知 生

。 法 者 知 眞 諦 、 義 者 知 俗 諦 。 法 者 知 一 乘 義 者 知 諸 乘 。 如     ホ                                       ネ       ネ 是 十 飜 釋 法 義 二 無 礙 義 。 一 一 皆 以 法

、 以 義 爲 俗 諦 。                                                               よ 〇 一 に 法 と

と の 真 俗 の 異 と は 、 空 宗 は 未 だ

霊 の 性 を 顕 わ さ ざ る に 縁 る が 故 に 、 但 だ 】 切 の 差 別 の 相 を 以 て 法 と 為 し 、 法 は 是 れ 俗

な り と し 、 此 の

法 の

、 無 生

、 無 増 無

等 に 照 ら し て 義 と 為 し 、

は 是 れ 真

な り と す る の                                                                   ( 1 ) み 。 故 に 『 智 度 論 』 は 俗 諦 を 以 て 法 無 礙 弁 と 為 し 、

諦 を 以 て 義

礙 弁 と 為 す 。 性 宗 は 一

を 以 て 法 と 為 し 、

の 種 種 を 義 と 為 す 。 故 に 『 経 』 に 云 く 、                 よ     ( 2 ) 「 無 量 の 義 は 一

従 り 生 ず 」 と 。

を 以 て 『 華 厳 』 十 地 に

た 云 く 、 「 法 と は

性 を

義 と は 生 滅 を 知 る な り 法 と は 真 諦 を 知 る 、 義 と は 俗 諦 を 知 る な り 。                                   ( 3 )       か く 法 と は 一 乗 を 知 る 、 義 と は

乗 を 知 る な り 」 と 。 是 の

く 十

し て 法 と 義 と の 二                                                                 ( 4 ) の 無 礙 の 義 を 釈 す 。 一 → 皆 な 法 を 以 て

諦 と 為 し 、 義 を 以 て 俗 諦 と 為 す な り 。 * 一

11

初 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 度 1ー ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) 。 * 以 11 則 以 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 種 11 種 差 別 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 是 以 1ー ナ シ ( 高 ) ( 弘 )

(7)

Komazawa University

NII-Electronic Library Service

( 明 ) 。 * 飜

11

番 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 一 一 腿 ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 皆 以 下 一 一 字 ナ シ ー

1

( 高 ) ( 弘 ) 。   第 一 に 、 法 と 義 の 真

に つ い て の 相 違 と は 、 次 の よ う な こ と で

る 。 す な わ ち 、 空

で は ま だ 「 真 霊 の 性 」 を 明 ら か に し て い な い の で た だ → 切 の 差 別 相 を 法 と し 、 そ の 法 を 俗 諦 と す る 。 そ し て 、 こ の 諸 法 の

為 無 相 、

生 無 滅 、 無

無 減 等 を さ し て 義 と し 、 そ の 義 を

諦 と す る の で あ る 。 そ れ 故 に 『 大

度 論 』 に 、 「 法 無 礙

を 俗

と し 義 無 礙 弁 を 真 諦 と す る 」 と 言 う 。 い っ ぽ う 性 宗 で は コ

の 性 」 を 法 と し 、 空 有 等 の

種 の 違 い を

と 見 な す 。 そ れ

に 『 ( 無 量 義 ) 経 』 に 、 「 無 量 の

( 俗

) は 一 法 ( 真 諦 ) か ら 生

る 」 と 言 っ て い る 。 こ の こ と か ら 、 『

厳 経 』 の 十 地 品 に も 、 「 法 と は 自 性 を 知 る こ と で

り 、 義 と は 生 滅 を 知 る こ と で あ る 。 法 と は

諦 を 知 る こ と で あ り 、 義 と は 俗 諦 を 知 る こ と で あ る 。 法 と は 一 乗 を 知 る こ と で

り 、 義 と は 諸 乗 を 知 る こ と で あ る 」 と あ り 、 同 様 に し て 法 と 義 と の 二 つ の 無 礙 (

) に つ い て 十 度 解 釈 し そ れ ぞ れ に 法 を

諦 と し 、 義 を 俗 諦 と し て い る の で あ る 。

N工 工一Eleotronlo  Llbrary  Servloe Kom 三1z三1w三1 Umversrty (

1

)   『 智 度 論 』 … … −ー 『 大 智 度 論 』 巻 二 五 に 義 無 礙 智 ・ 法 無 礙 智 辞 無 礙 智 ・ 楽 説 無 礙 智 の 四 無 礙 智 を 説 ぎ ( 大 正 巻 二 五 ー 二 四 六

bc

    そ の 前 二 つ を さ す 。 後 注 の (

4

) を 参 照 。 (

2

)   『 経 』 に 云 く … …

11

『 無 量 義 経 』 説 法 品 第 二 ( 大 正 巻 九 − 三 八 六 a ) に 基 づ く 。                                                                               い わ や (

3

)   『 華 厳 』 十 地 … …

11

八 十 巻 『 華 厳 経 』 「 十 地 品 」 の 次 の 文 に よ る 。 「 何 等 を か 四 と 為 す 。 所 謂 る 法 無 礙 智 義 無 礙 智、 辞 無 礙 智、 楽 説     無 礙 智 な り 。 此 の 菩 薩 は 法 無 礙 智 を 以 て 諸 法 の 自 相 を 知 る 。 義 無 礙 智 も て 諸 法 の 別 相 を 知 る 。 辞 無 礙 智 も て 錯 謬 の 説 無 し 。 楽 説 無 礙                               ミ     セ     も     も     ヘ     ム     ヘ     ヘ     ヘ     ヘ     モ     も     カ     も     ヘ           へ     し     ヘ    ヘ     ヘ     へ     も    も     ヘ     へ     し    も     ヘ     へ     智 も て 断 尽 の 説 無 し 。 復 た 次 に 法 無 礙 智 を 以 て 諸 法 の 自 性 を 知 る 。 義 無 礙 智 も て 諸 法 の 生 滅 を 知 る 。 辞 無 礙 智 も て 一 切 法 の 不 断 の 説 を     安 立 す 。 楽 説 無 礙 智 も て 随 所 に 壊 す べ か ら ざ る 無 辺 の 説 を 安 立 す 。 ( 中 略 ) 復 た 次 に 法 無 礙 智 も て 一 乗 平 等 性 を 知 る 。 義 無 礙 智 も て 諸     乗 差 別 性 を 知 る 。 辞 無 礙 智 も て 一 切 乗 無 差 別 を 説 く 。 楽 説 無 礙 智 も て 一 一 乗 無 辺 の 法 を 説 く 」 ( 大 正 巻 一 〇

1

二 〇 二 C 〜 三 a ) 。 次 注 も     参 照 。 ( 4 ) 是 の 如 く 十 飜 … … 隔 『 略 疏 』 巻 上 二 に 次 の よ う に 言 う 。 「 四 無 礙 智 と は く 智 は 四 境 に 縁 じ て 拘 礙 無 き が 故 に 一 は 法 な り 。 地 . 水 .     火 ・ 風 等 を 説 く が 如 し 二 は 義 な り 。 堅 ・ 湿 ・ 煖 ・ 動 等 の 如 し 。 三 は 辞 な り 謂 く 彼 の 方 言 を 得 て 以 て 地 等 を 説 く 。 四 は 三 種 の 智 の     中 に 於 い て 楽 説 す 。 上 は 『 智 論 』 に 依 る 。 若 し 『 華 厳 』 に 約 せ ば、 則 ち 初 め の 二 は 此 と 異 な る 謂 く 一 は 自 相 を 知 り 二 は 別 相 を 知     る 。 又 た 一 は 自 性 を 知 り 二 は 生 減 を 知 る 。 又 た 一 は 法 智、 二 は 比 智 な り 。 又 た 一 は 一 相 を 知 り 二 は 蘊 界 等 を 知 る 。 又 た 一 は 一 乗 平     『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 )                                                 八 七

(8)

Komazawa University 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 八 八 等 性 を 知 り 、 二 は 諸 乗 差 別 性 を 知 る 後 の 二 は 則 ち 同 じ 。 謂 く 辞 は 則 ち 法 義 を 説 き、 楽 説 は 乃 ち 辞 中 の 別 義 な り 〉 」 ( 続 蔵 巻 一 五 − 六 九 左 上 ) 『 略 疏 鈔 』 巻 八 ( 同 ー 一 七 五 右 下 〜 冖 七 六 右 上 ) に そ の 釈 が あ り そ れ ら に 相 当 す る 箇 所 は 『 大 疏 』 巻 中 二 ( 続 蔵 巻 一 四 − 一 四 九 左 上 ) と 『 大 疏 鈔 』 巻 入 上 の 四 無 礙 智 章 ( 同

i

三 七 六 右 上 〜 三 七 七 右 下 ) で あ る 『 演 義 鈔 』 巻 七 二 ( 大 正 巻 三 六 ー 五 七 一 c ) も 参 照 。 〔 三 五 〕

 

と 心 の 相

〇 二 、 心 性 二 名 異 者 、 室 宗 一 向 目 諸 法 本 源 爲 性 、 性 宗 多 目 諸 法 本 源 爲 心 。 目 爲 性       者 、 經 論

不 必

。 目 爲 心 者 勝                                                       ホ 鬘 經 云 、 自 性 清 淨 心 。

信 論 云 、 一 刧 法       從 本 已 來 、 離 言 説 名 字 心 縁 等 相 、 乃 至 唯             ホ 是 一 心 。 楞

經 云

心 。 罠 由 此 宗 所

本 性 、 不 但 室 寂 而 乃 自 然 常

故 、 應     ホ 目 爲 心 。                                         ひ と え                         な  

二 に 、 心 と 性 と の 二 名 の 異 と は 、 空 宗 は 一

に 諸

の 本 源 を 目 づ け て 性 と 為           お お む し 、 性 宗 は 多 ね 諸 法 の 本 源 を 目 づ け て 心 と 為 す 。 目 づ け て 性 と

す は 経 論 に

                        も ち ね 同 じ な れ ば 、 叙 述 す る を 必 い ず 。 目 づ け て 心 と 為 す と は 、 『 勝

経 』 に 云 く 、             ( 1 )                                                                   こ の か た 「 自 性

心 な り 」 と 。 『 起 信 論 』 に 云 く 「 一 切 の 法 は 本 よ り 已

、 言 説 と 名

と                                     ( 2 ) 心 縁 等 の 相 を 離 れ 、 乃 至 、

だ 是 れ 一 心 の み 」 と 。 『 楞 伽 経 』 に 云 く 、 「 堅

心 な ( 3 )       ま こ り 」 と 。 良 と に 此 の 宗 の 説 く 所 の 本 性 は 、 但 だ 空 寂 な る の み に あ ら ず し て 、 而 も                                                             ( 4 ) 乃 ち 自 然 に 常 に 知 な る に 由 る が 故 に 、

に 目 づ け て 心 と 為 す べ き な り 。 * 經

9

諸 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 心 也 ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 經 “ ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) * 論 1ー ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 已

11

以 ( 明 ) 。 * 經 凵 ナ シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 心 臚 Kom 三1z三1w三1 Umversrty   第 二 に 、 心 と 性 の 二 つ の 名 の 相 違 と は 、 次 の よ う な こ と で あ る 。 す な わ ち、 空 宗 は 諸 法 の 本

を も っ ぱ ら 「 性 」 と 名 づ け、 性

の 本

を ほ と ん ど 「 心 」 と

づ け て い る 。

づ け る も の に つ い て は 経 論 は お お む ね 同 じ で あ る の で 、 こ こ に 叙 述 す る に は 及 ぼ な い 。 一 方 、 心 と

づ け る も の と し て 、 『 勝

経 』 に 「 自 性 清

心 で あ る 」 と 言 い 、 『

』 に 、 「 一 切 の 法 は も と も と 言 説 と 名 字 と 心 縁 等 の 相 を

れ て お り 、 た だ 一 心 の み で あ る 」 と 言 い

 

『 楞 伽 経 』 に も 、 「 堅 実 心 で あ る 」 と 言 っ て い る 。 正 に こ の 性 宗 が 説 く 本 性 は 、 た だ 空

で あ る だ け で な く 、

に 「

る 」 も の で も あ る か ら 、 「 心 」 と 名 づ け

(9)

Komazawa University

NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Unlverslty ら れ ね ば な ら な い の で あ る 。 ( 1 )   『 勝 鬘 経 』 … …

11

『 勝 鬘 経 』 白 性 清 浄 章 ( 大 正 巻 一 ニ ー 二 二 二

b

) に よ る 同 語 は 二 九 段 お よ び そ の 注 (

5

) ( 6 ) 参 照 。                                                           こ の か た (

2

)   『 起 信 論 』 … …

11

『 起 信 論 』 の 「 是 の 故 に 一 切 の 法 は 本 よ り 已 来、 言 説 の 相 を 離 れ 名 字 の 相 を 離 れ 心 縁 の 相 を 離 れ 畢 竟 平                                                                       こ と さ     等 に し て 変 異 あ る こ と 無 く 破 壊 す べ か ら ず、 唯 だ 是 れ 一 心 な る の み な れ ば 故 ら に 真 如 と 名 つ く 」 ( 岩 波 文 庫 本 二 五 頁 ) に 依 る 。     一 七 段 の 注 (

8

) に 引 く 『 略 疏 鈔 』 巻 一 の 文 参 照 。 (

3

)   『 楞 伽 経 』 に … …

11

四 巻 『 楞 伽 経 』 コ 切 仏 語 心 品 」 に 「 諸 仏 心 第 一 〈 此 の 心 は 樹 木 の 如 し 。 堅 実 心 は 念 慮 心 に あ ら ざ る な り 〉 」 ( 大     正 巻 一 六 − 四 八 一 c ) と あ る に よ る 。 一 八 段 お よ び 注 (

8

) (

14

) 参 照 。 (

4

)   此 の 宗 の 説 く 所 … …

11

二 九 段 の 顕 示 真 心 即 性 教 の 説 お よ び そ れ に 対 応 す る と 宗 密 の い う 二 四 段 の 真 顕 心 性 宗 を 参 照 。     〔 三 六 〕   性 の 解 釈 の 相 違 〇 三 、 性 字 二

異 者 空 宗 以 諸 法 無 性 爲 性 、 性 宗 以 靈 明 常 住 不 空 之

爲 性 。 故 性           ホ 字 雖 同 、 而 體 異 也 。 * 體 口 其 體 ( 高 ) ( 弘 ) 。  

三 に 、 性 の 字 の 二 体 の 異 と は 、 空 宗 は 諸 法 の 無 性 を 以 て 性 と 為 し 性 宗 は 霊 明 に し て 常 住 な る 不 空 の 体 を 以 て 性 と 為 す 。 故 に 性 の 字 は 同 じ と 雖 も 、 而 も

は         ( 1 ) 異 な る な り 。   第 三 に 、 性 の 字 の 二 つ の

に つ い て の 相 違 と は 、 空 宗 が 諸 法 の 無 性 を 性 と す る の に 対 し 、 性 宗 は 霊 明 に し て 常 住 な る 不

の 体 を 性 と し て い る こ と を さ す 。 そ れ 故 に 性 の

は 同 じ で あ る が 、 そ の

は 相

す る の で あ る 。 ( 1 )   性 の 字 の … … “ 三 三 段 の 注 (

4

) に 引 用 し た 『 略 疏 』 の 空 宗 と 性 宗 の 五 別 の 第 一 を 『 略 疏 鈔 』 巻 四 に 次 の よ う に い う 「 疏 に 二 に 破 相 に     対 す る 中 の 文 に 二 あ り 。 初 は 異 を 弁 ず る に 二 あ り 。 初 に 且 く 其 の 五 別 を 弁 ず 。 文 中 に 四 対 あ り 皆 な 上 に 破 相 の 義 を 明 か し 下 に 法 性     の 義 を 明 か す 。 唯 だ 三 性 の 義 の 中 の 両 宗 は 皆 な 空 と 有 を 含 む 。 而 し て 義 は 同 じ か ら ざ る な り 。 一 の 中 〈 証 す る 所 の 理 な り 〉 の 無 性 と     『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 )                                                 八 九 N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(10)

Komazawa University 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 九 〇 は 破 相 宗 は 諸 法 の 空 な る を 以 て 即 ち 真 理 と 名 つ く 。 幻 華 の 体 無 き は 即 ち 是 れ 大 虚 に し て 、 第 二 月 に 性 無 ぎ は 即 ち 是 れ 本 月 の 如 し 故                           い わ ゆ に 『 門 論 』 に 云 く 、 大 分 深 義 は 所 謂 る の 空 な り 仮 名 及 び 中 道 を 但 だ 空 に 約 し て 説 く < 前 の 不 分 教 の 五 義 中 に 弁 ず る 所 の 如 し 〉 。 憑 公 は 存 世 の 所 亡 と 云 う と 雖 も 、 意 も 亦 た 但 だ 空 を 以 て 所 亡 と 為 す 。 本 性 と は 性 宗 は 自 性 清 浄、 常 住 真 心 を 以 て 証 る 所 の 理 と 為 す 。                                                                         も                                                                                                       こ の か 真 心 と は 色 を 会 し て 空 に 帰 す る を 待 た ず、 惑 を 断 じ て 浄 を 成 ず る に 因 ら ず、 自 心 本 と よ り 浄 な る が 故 に 自 性 と 云 う 。 無 始 の 時 よ り 来 た 乃 至 未 来 際 を 尽 く し 仏 有 る も 仏 無 き も 常 に 滅 壊 せ ざ る が 故 に 常 住 心 と 云 う な り 。 故 に 『 宝 性 論 』 に 云 く 清 浄 に 二 種 有 り 一 に は 自 性 清 浄 。 謂 く 性 浄 解 脱 は 自 性 清 浄 心 の 煩 悩 を 遠 離 す る を 以 て の 故 に 二 に は 離 垢 清 浄 。 謂 く 障 尽 き て 解 脱 す 。 真 如 と は                     さ と                                                                                                   は   じ                                                 は じ 前 に 但 だ 諸 法 の 無 性 を 了 る を 即 ち 実 理 と 名 つ く 。 此 れ 乃 ち 諸 法 皆 空 無 性 に し て 方 始 め て 自 心 の 本 性 を 顕 出 し 方 め て 実 理 と 為 す 。 天 上 の 雲 散 じ て 月 出 つ る が 如 く 鏡 中 の 垢 尽 き て 明 現 わ る る が 如 し 。 但 だ 雲 さ え 無 く ば 便 ち 月 と 名 つ く る に あ ら ず 。 晦 夜 に 雲 無 ぎ を ば 月 と 名 づ け ざ る が 故 に 」 ( 同 ! 一 二 二 右 上 下 ) 。 二 九 段 お よ び そ の 注 ( 5 ) ( 6 ) も 参 照 。 さ ら に 宗 密 は こ れ ら を 会 通 し て 同 書 に 次 の よ う に 言 う 「 先 ず 初 対 を 会 す る と は 謂 く 空 宗 の 言 う 所 の 無 性 は 是 れ 諸 法 縁 起 の 無 性 な り 。 今 ま 諸 法 は 皆 な 本 と よ り 是 れ 真 性 の 縁 起 な る を 明 か す が 故 に 。 之 れ を 推 せ ぽ 無 性 は 便 ち 是 れ 真 心 の 本 性 な る が 故 に 。 無 性 と 本 性 と は 但 だ 是 れ 一 な り 」 ( 同 − 一 二 三 左 上 下 ) 。 [ 三 七 〕   智 と 知 の 解 釈 の 相 違 〇 四 、

智 眞 知 異 者 室 宗 以 分 別 爲 知

分 別 爲

。 智 深 知 淺 。 性 宗 以 能 證 聖 理                                     ホ 之 妙 慧 爲

、 以 該 於 理 智 、 逋 於 凡 聖 之 眞 性

知 。 知 通 智 局 。 上 引 問 明 品 、 己 自 分         ホ 別 。 況 十 囘 向 品

眞 如 云 照 明 爲 性 、 起 信

如 自 體

實 識 知 。   〇 四 に 、 真 智 と 真 知 と の 異 と は 、 空 宗 は 分 別 を 以 て

と 為 し 、 無 分 別 を 智 と 為 す 。 智 は 深 く し て 知 は 浅 し 。 性 宗 は 能 く 聖 理 を 証 す る の 妙 慧 を 以 て 智 と 為 し 、 理         か                                                                                                   か ぎ と

と を 該 ね 凡 と 聖 と に 通 ず る の

性 を 以 て 知 と 為 す 。

は 通 じ

は 局 ら る 。 上                                       ( 1 ) に 問 明 品 を 引 い て 、 已 に 自 ら 分 別 せ り 況 ん や 十 回 向 品 に 、 真

を 説 い て 「 照 明               ( 2 )                                                                     ( 3 ) を 性 と

す 」 と 云 い 、 『

信 』 に 「

如 と は 自 体 に

実 識 知 あ り 」 と 説 く を や 。 Kom 三1z三1w三1 Umversrty * 眞

11

靈 ( 明 ) 。 * 囘 11 廻 ( 高 )

11

迴 ( 弘 ) ( 明 ) 。 第 四 に 、

智 と

知 の 相 違 と は 、 次 の よ う な こ と で あ る 。 す な わ ち 、 空 宗 は

別 を 知 と し 、 無 分 別 を 智 と す る 。 そ こ で は 智

(11)

Komazawa University

NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Umversrty                                               さ と が 深 く て 知 が

い と さ れ る 。 一

、 性 宗 で は 聖 理 を 証 る 妙 慧 を

と し 、 理 と 智 と に 兼 ね 通 じ 、 凡

と 聖 人 に 共 通 す る

性 を 知                                                               か ぎ と す る の で あ る 。 知 は ( 聖 人 と 凡 夫 ) 全 般 に 通 じ る が 智 は ( 聖 人 ) に 局 ら れ る わ け で あ る 。 先 に 間 明 品 を 引 用 し て 区 別 し た 通 り で あ る 。 ま し て 、 十 迴 向 品 に 真

に つ い て 「 照

( 照 し 出 す は た ら き ) を 本

と す る 」 と 説 き 、 『 起 信 論 』 に 「 真

は 、 そ れ 自 体 が あ り の ま ま に 識 知 す る 」 と 言 っ て い た こ と か ら す れ ば 、 そ の こ と は よ り 一 層 明 確 で あ ろ う 。 (

1

)   間 明 品 を 引 い て … …

11

二 九 段 お よ び そ の 注 ( 22 ) に 詳 し い 。 ( 2 )   十 回 向 品 … …

11

同 じ く 二 九 段 お よ び そ の 注 (

21

) に 既 出 。 ( 3 )   『 起 信 』 − … ・ ー 同 じ く 二 九 段 お よ び そ の 注 (

20

) 参 照 。 『 略 疏 鈔 』 巻 四 の 空 宗 と 性 宗 の 五 別 の 第 二 の 文、 「 二 の 中 〈 能 証 〉 」 以 下 は 、     二 九 段 の 注 (

22

) に 既 に 全 文 を 紹 介 し た 。 宗 密 の 会 通 の 説 は 次 の よ う に 言 う 。 「 次 に 第 二 対 を 会 す る と は 謂 く 真 智 は 是 れ 始 覚 真   如 は 是 れ 本 覚 な り 。 始 と 本 と 異 ら ざ る が 故 に 智 と 知 と は 一 な り 」 ( 同

1

= 一 三 左 下 ) 。 〔 三 八 〕

 

有 我 と 無 我 の 解 釈 の 相 違       ネ 〇 五 、 有 我 無 我 異 者 、 室 宗 以 有 我 爲 妄 、 無 我 爲 眞 、 性 宗 以 無 我

妄 、 有 我 爲

。 故 涅

經 云 無 我 者 名

生 死 、 有 我 者 名 爲

來 。 夊 云 、 我 計 無 我 、

顛 倒 法 。 乃                               ホ       ネ 至

破 二 乘 無 常 無 我 之 見 、

春 池 中 執 石 爲

、 廣 讚 常 樂 我 淨 而 爲 究

、 乃 至 云 無 我 法 中 有 眞 我 .

破 之 云 無 、 今 於 性 宗               ホ 直 明 實 體 故 顯 之 云 有 。   〇 五 に 、 有 我 と 無 我 の 異 と は 、 空 宗 は

我 を 以 て

と 為 し 、 無 我 を 真 と

し 、                                       ( 1 ) 性

は 無 我 を 以 て

と 為 し 、 有 我 を 真 と 為 す 。 故 に 『

槃 経 』 に 云 く 、 「

我 は                                           ( 2 ) 名 づ け て 生 死 と 為 し 、 有 我 は 名 づ け て

来 と 為 す 」 と 。 又 た 云 く 、 「 我 を

我 と                     ( 3 ) 計 す る は 、 是 れ 顛 倒 法 な り 」 と 。 乃 至 、 広 く 二 乗 の

と 無 我 の 見 を 破 し て 、 春                             ( 4 ) 池 の 中 に 石 を 執 り て 宝 と

す が 如 し と し 、 広 く 常

浄 を 讃 え て 而 し て 究

と 為 ( 5 )                           ( 6 )                   な し な し 、 乃 至 、 無 我 法 の 中 に

我 有 り と 云 う 。 〈 良 と に 衆 生 の 自 の 真 我 を 迷 い て 妄 に 五 蘊 に 執 し て 我 と 為 す に 由 る が 故 に 、 仏 は 大 小 乗 の 法 相 と 及 び 破 相 と の 教 の 中 に 於 て 、 之 れ を 破 し て 無 と 云 う も 今 ま 性 宗 に 於 て は 直 に 実 体 を 明 す が 故 に 之 れ を 顕 わ し て 有 と 云 う な り 〉 。 * 有 我 無 我

法 有 無 ( 高 ) ( 弘 ) 。 ・ 中

シ ( 高 ) ( 弘 ) ( 明 )

” 礫 ( 明 ) 。 ・ 〈 有

V

” 〈 有 也 〉 ( 明 ) 。 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 九 一 N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(12)

Komazawa University 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 九 二   第 五 に 、 有 我 と

我 ( 我 法 が

る こ と と 無 い こ と と ) の 相 違 と は 、 次 の よ う な こ と で あ る 。 す な わ ち 、 空 宗 は 有 我 を 妄 と し

我 を

と す る が 、 性 宗 は 無 我 を

と し

我 を 真 と す る 。 そ れ 故 に 『 涅 槃 経 』 に 、 「 無 我 を 生 死 と 名 づ け 、

我 を

来 と 名 づ け る 」 と 言 っ て お り 、 又 た 、 「 有 我 を

我 と 見 な す こ と は 、 顛 倒 し た

え で あ る 」 と も 言 っ て い る の で あ る 。 さ ら に 二 乗 が

く 無

と 無 我 の 見

を 広 く 破 り 、 そ れ を あ た か も

の 池 で 石 を 手 に 取 っ て 宝 と 勘 違 い す る よ う な も の だ と し 、 広 く 常 楽 我

を 讃 歎 し て 究 竟 と し 、 無 我 の

の 中 に 真 我 が 有 る 、 と 言 う の で あ る く 正 に 衆 生 が 自 ら の 真 我 を 見 失 っ て 妄 に 五 蘊 に 執 着 し て そ れ を 我 と 思 い 込 む か ら 仏 は 大 小 乗 の 法 相 と 破 相 の 教 の 中 で そ れ を 破 斥 し て 「 無 い 」 と 言 っ た の で あ る 。 だ が こ の 性 宗 で は ズ バ リ と 実 体 を 明 ら か に す る か ら 、 こ れ を 顕 示 し て 「 有 る 」 と 言 う の で あ る

V

。 Kom 三1z三1w三1 Umversrty                                                                                                                   け (

1

)   空 宗 は 有 我 … … 陛 『 略 疏 』 巻 上 一 に 「 我 聞 」 を 釈 し て 次 の よ う に 言 う 。 「 聞 と は 成 就 な り 。 我 と は 即 ち 文 殊 及 び 阿 難 海 な り 。 五 蘊 仮     な る に 云 何 が 我 と 称 す 。 我 に 四 種 有 り 。 一 に は 凡 夫 偏 計 。 二 に は 外 道 宗 計 。 三 に は 諸 聖 世 に 随 い て 仮 に 賓 主 を 分 か つ 。 四 に は 法 身 の     真 我 。 今 ま 是 れ 後 の 二 な る が 故 に 過 無 ぎ な り 。 聞 と は 、 謂 く 耳 根 の 識 を 発 す る な り 。 耳 処 に 因 る と 雖 も 別 を 廃 し て 総 に 従 う が 故 に     我 聞 と 称 す る な り 。 邪 慢 の 心 に し て 所 説 有 る に あ ら ず 。 若 し 無 相 宗 な ら ば 我 は 既 に 無 我 に し て 聞 も 亦 た 無 聞 な り 。 縁 に 従 う 空 な る が     故 に 仮 名 を 壊 せ ず 。 即 ち 不 聞 の 聞 な る の み 。 若 し 法 性 に 約 せ ば 此 の 経 の 旨 趣 に し て 伝 法 の 菩 薩 は 我 ・ 無 我 不 二 の 真 我、 根 ・ 境 の 一 ・     異 に あ ら ざ る の 妙 耳 を 以 て 真 俗 無 礙 の 法 門 を 聞 く な り 」 ( 同 ー 六 一 左 下 ) 。 同 文 は 『 大 疏 』 巻 上 二 ( 続 蔵 巻 一 四

1

= 一 二 左 下 ) に 出     づ 。 な お 二 五 段 に 密 意 依 性 説 相 教 の 我 説 を 詳 説 す 。 ( 2 )   『 涅 槃 経 』 に … …

11

『 大 般 涅 槃 経 』 巻 二 「 哀 歎 品 」 に 「 無 我 と は 即 ち 生 死 、 我 と は 即 ち 如 来 な り 」 ( 大 正 巻 一 ニ ー 六 一 七

b

) に よ る     こ れ よ り 以 下 の 『 浬 槃 経 』 の 「 哀 歎 品 」 は 『 大 疏 鈔 』 巻 一 上 ( 同 − 二 〇 七 右 上 〜 ) に す べ て 引 用 さ れ る

3

)   又 た 云 く 「 我 … … 巨 同 経 の 「 無 我 を 我 と 計 し 、 我 を 無 我 と 計 す る は 、 是 れ 顛 倒 法 な り 」 ( 同 ー 六 一 七 a ) に よ る 。                                                                                                   る     ウ (

4

)   春 池 の 中 に … …

11

同 品 に 次 の よ う に い う 。 「 讐 え ぽ 春 時 に 諸 人 等 有 り 、 大 池 に 在 り て 浴 し て 船 に 乗 り 遊 戯 し 琉 璃 宝 を 失 い 深 水 中                                                     も     と     に 没 す る が 如 し 。 是 の 時 諸 人 悉 く 共 に 水 に 入 り 是 の 宝 を 求 覓 め 競 い て 瓦 石 草 木 砂 礫 を 捉 え 各 各 自 か ら 琉 璃 珠 を 得 た り と 謂 い 歓     喜 し て 持 ち 出 し て 乃 ち 真 に 非 ざ る を 知 る 。 是 の 時 宝 珠 猶 お 水 中 に 在 り て 珠 力 を 以 て の 故 に 水 皆 な 澄 清 た り 。 是 に 於 い て 大 衆 乃 ち 宝       も と                                                                 み  

(13)

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NII-Electronic Library Service Kom 三1z三1w三1 Umversrty (

5

)   常 楽 我 浄 … …

H

同 品 に 「 諸 の 煩 悩 無 明 の 覆 う 所 と 為 り て 顛 倒 心 を 生 ず 。 我 を 無 我 と 計 し 、 常 を 無 常 と 計 し 浄 を 不 浄 と 計 し 楽 を 計 し     て 苦 と 為 す 。 以 て 煩 悩 の 覆 う 所 と 為 る 」 ( 同 ー 六 一 七 a ) と 衆 生 の 顛 倒 心 を 説 ぎ、 「 世 間 に も 亦 た 常 楽 我 浄 有 り 出 世 も 亦 た 常 楽 我 浄 有     り 」 同 − 六 一 七

b

) と 二 種 の 常 楽 我 浄 を 説 い て 「 仏 の 所 説 の 如 き は 四 倒 を 離 れ れ ば 則 ち 巳 に 常 楽 我 浄 を 了 知 す 」 ( 同 ) と す る 。 『 本   序 』 に 宗 密 は 「 常 楽 我 浄 は 仏 の 徳 な り 」 ( 同 ー 一 〇 八 右 下 ) と 述 べ 、 『 大 疏 鈔 』 巻 一 下 ( 同 ー 二 〇 六 左 下 〜 二 〇 八 左 上 ) に そ れ を 詳 釈 す 。 (

6

)   無 我 法 … … 口 『 大 般 浬 槃 経 』 巻 三 四 「 迦 葉 菩 薩 品 」 の 偈 に 「 無 我 法 の 中 に 真 我 有 り 」 ( 同 − 八 三 八 a ) と あ る に よ る 『 略 疏 鈔 』 巻 五     ( 同 − 二 二 七 右 下 ) と 『 大 疏 鈔 』 巻 四 上 ( 同 ー 二 八 九 右 下 ) 法 性 宗 の 説 の 経 証 と し て 同 文 が 引 用 さ れ る 。 〔 三 九 〕

 

真 理 の あ ら わ し 方 の 相 違

消 極 性 と 積 極 性 ( − )

0

亠 ハ   遮 詮

詮 異 者 、 遮 謂 遣 其 所 非 、 表 謂

其 所 是 。 夊 遮 者 揀 却

表 者 直 示

諸 經 所 説 眞 妙 理 性 、

云 不 生 不

、 不 垢 不 淨 、 無 因 無 果 、 無 相 無 爲                     ホ 非 凡

聖 、 非 性 非 相 等

、 皆 是 遮 詮 。                       儲

』 若 云

照 、 靈 鑑 光 明 、 朗 朗 昭 昭 、

惺 寂 寂 等

表 詮 。

無 知 見 等

何 法 爲 性           ネ                   ホ 説

法 不 生 不 滅 等 、 故 必 須

得 見 今 了 然     ホ                                               ホ 而

則 是 心 性 、

読 此 知 不 生 滅 也 。

              ホ                             ホ         ネ 鹽 、 云 不 淡 是 遮 詮 、 云 鹹 是

詮 、 説 水 云 不

是 遮 、 云 濕 是 表 。

云 絶 百

                    ネ 者 、 皆 是 遮 詞 、 直 顯 一 是 、

爲 表 語 。 (

2

) 空 宗 之 言 、 但 是 遮 詮 。 性 宗 之 言 、

      『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 )                             ( 1 )                               や  

六 に 、 遮 詮 と 表 詮 と の

と は 、 遮 と は 其 の

と す る 所 を 遣 る を 謂 い 、 表 と は                                                                 ( 2 ) 其 の 是 と す る 所 を 顕 わ す を 謂 う 。 又 た 遮 と は 諸 余 を 揀 却 し 、 表 と は

示 す 。 諸 経 の 説 く 所 の 真 妙 の 理 性 を 、 毎 に 不 生 不 滅 、 不 垢 不

、 無 因 無 果 、 無 相

、 非 凡 非 聖 、

性 非 相 な り

と 云 う が

き は 、 皆 な 是 れ

詮 な り 。 〈 諸 々 の 経                                       ぐ や 論 の 中 に は 、 毎 に 非 の 字 を 以 て 諸 法 を 非 却 し 、 動 も す れ ば 三 十 、 五 十 箇 の 非 の 字 、 及 び 無 の                 ( 3 ) 字 有 り 。 故 に 百 非 を 絶 す と 云 う な り

V

。 知 見 の

照 、 霊 鑑 の 光 明 、 朗 朗 昭 昭 、 怪 惺 寂 寂

と 云 う が 若 き は 、

れ 表 詮 な り 。 若 し 知

の 体

く ん ぽ 、 何 れ の 法 を 顕 わ し て か

と 為 し 、

れ の

を か 不 生 不 滅 等 と 説 か ん 。 故 に 必 ず 須 ら く 見 今 了                                                 は じ め 然 と し て 而 し て 知 る 則 ち 是 れ 心 性 な り と 認 得 し て 、

て 此 の 知 を 不 生 滅 と 説 く な                                                   か ん り 。 塩 を 説 い て 、 淡 な ら ず と 云 う は 是 れ 遮

に し て 鹹 な り と 云 う は 是 れ 表

な り 、 水 を 説 い て 、

な ら ず と 云 う は 是 れ 遮 に し て 、 湿 な り と 云 う は 是 れ 表 な る が 如 し 。 諸 教 の

に 百 非 を 絶 す と 云 う は 、 皆 な 是 れ 遮 詞 に し て 直 に 一 是 を 顕 わ

を 、 方 て 表 語 と 為 す 。 空 宗 の 言 は 但 だ 是 れ 遮 詮 の み に し て 、 ( 石 井 ・ 小 川 ) 性 宗 の 言 に は 遮 有 り 表 有 り 。                 九 三 但 だ

の み N工 工一Eleotronlo  Llbrary  

(14)

Komazawa University 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 遮 有

。 但

未 了 衆 表 者 乃 的 。

時 ホ 人 皆 謂 遮 言 爲 深 、 表 言

淺 。 故 唯 重 非 心                       非

、 無 爲 無 相 、 乃 至 不 可 得 之 言 。 艮 由 但 以 遮 非 之 詞 爲 妙 、 不

親 自 證 認 法 體 、           ネ   故 如 此 也 。 傭 舶 劾 鰍 即 喞                                                     九 四                                         あ き ら か な る は 未 了 に し て 、 表 を

ね た る

こ そ 乃 ち 的 な り 。 今 時 の 人 は 皆 な 、 遮 の 言 を 深 と

表 の 言 を 浅 と 為 す と 謂 い て 、

に 唯 だ 非 心 非 仏 、

為 無 相 乃 至 、 不 可

の 言 を の み 重 ん ず 。 良 と に 但 だ 遮 非 の 詞 の み を 以 て

し 、 親 し く 自 ら

体 を

認 せ ん と 欲 せ ざ る に 山 り て 故 に 此 く の

く な る な り 。 〈 自 心 を 悟 り て 後                       ( 4 ) は 、 即 ち 遮 表 の 時 に 臨 む に 任 す

V

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1

)  

六 に 、 遮 詮 と 表 詮 と の 相

は 次 の よ う で あ る 。 す な わ ち 、 遮 と は 非 と さ れ る べ き も の を 排 除 す る こ と を 言 い 、

と は

と さ れ る べ き も の を 顕 わ す こ と を 言 う ま た 遮 と は よ け い な も の を す っ か り よ り 分 け る こ と で あ り 表 と は そ の も の を ズ バ リ と 指 し 示 す こ と で あ る 。 た と え ば 諸 経 で 「

の 理 性 」 を 説 く の に 常 に 不 生 不

( 生 も な い

も な い ) 、 不 垢 不 浄 ( 垢 つ か   き よ                                                                                                       す が た           は か ら い ず 浄 ら か ず で も な い ) 、 無 因 無 果 ( 因 も な く 果 も な い )

為 ( 相 も な く 為 も な い ) 、 非 凡 非 聖 ( 凡 で も な く 聖 で も な い ) 、 非 性 非 相 ( 性 で も な く 相 で も な い )

と 言 う の は 、 皆 な 遮 詮 で あ る 〈 諸 々 の 経 論 の 中 で は 、 常 に 非 の 字 を 使 っ て 諸 法 を 否 定 し 、 と も す れ ば 三 + か ら 五 十 も の 「 非 」 の 字 や 「 無 」 の 字 が 有 る 。 そ れ 故 に 「 百 非 を 絶 す 」 と 言 う の で あ る 〉 。 ま た 、 知 見 覚 照 ( 知 見 の か が や き ) 、 霊 鑑 光 明 ( く も り な き 心 の

明 ) 朗 朗 昭 昭 ( あ か る く は っ き り し て い る ) 、 惺 惺 寂 寂 ( し ず か で お だ や か ) 等 と 言 う の は 、 皆 な 表 詮 で あ る 。 も し 知 見 等 の 本 体 が 無 い な ら ば 、 何 を 性 と し て 顕 わ し 、 何 を 不 生 不 滅 等 と 説 く の か 。 今 、

り あ り と し て 「 知 」 る も の そ れ こ そ が 心 性 で あ る と 判 っ て 、 始 め て こ の 知 が 不 生 滅 で あ る と 言 え る の で あ る 。 た と え ば 塩 に つ い         う す                                                   し よ つ ば い て 、

が 淡 く は な い と 言 う の は 遮 詮 で あ り 鹹   と 言 う の は

詮 で あ る 。 ま た 水 に つ い て 、 乾 い て は い な い と 言 う の は 遮 で あ     し め り 、

湿

っ ぽ い と 言 う の は 表 で あ る 。 諸 教 で 常 に 「 百 非 を 絶 す 」 と 言 う の は 皆 な 「 遮 」 の 語 で あ り 、 ズ バ リ と 「 一 是 を 顕 わ す 」

(15)

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の こ そ が コ 表 」 の 語 な の で あ る 。   (

2

 

空 宗 の 言 は た だ

の 言

だ け で あ り 、 性

の 言 に は

も 表 も と も に 有 る 。 た だ 遮 だ け し か な い の は ま だ 言 い 尽 く し て い な い の で あ り 、 表 を 兼 ね 備 え て こ そ 、 言 い 当 て て い る の で あ る 。 今 時 の 人 は 皆 な、 遮 の 言

が 深 く 、

の 言 葉 は

い と 思 い 込 ん で い る 。 そ れ 故 に 、 た だ 「 非 心 非 仏 」 ( 心 で も な い し 仏 で も な い ) と か 、 「 無

無 相 」 ( 為 で も な い し

で も な い ) と か 、 さ ら に 「 不 可

」 ( 「 切 は

握 で き な い ) と か い う 言

ば か り を 重 ん ず る の で あ る 。 正 に 否 定 の 詞 だ け を す ば ら し い と 思 い 込 み 、 自 身 で 真

の 本 体 を

認 し よ う と し な い か ら 、 こ の よ う な こ と に な る の で あ る 〈 自 ら の 心 を 悟 っ て 後 に は 遮 と 表 と は そ れ ぞ れ 場 に 応 ず る の み で あ る 〉 。

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1

)   遮 詮 と 表 詮 … … 留 こ れ ら の 二 つ の 語 は 澄 観 の 『 華 厳 経 疏 』 巻 三 四 に 九 種 甚 深 を 説 く 、 そ の 最 初 の 二 種 に 次 の よ う に 配 当 さ れ て い     る 。 コ に は 寂 静 甚 深。 謂 く 法 体 は 妄 計 実 有 を 離 る る が 故 に 寂 静 と 名 つ く 。 自 ら 是 れ 妄 計 す る も 中 に 於 い て 正 し く 取 れ ば 、 本 と よ り                                                                                     こ ニ     寂 な ら ざ る に は あ ら ず。 『 中 論 』 に 云 く 、 虚 誑 妄 取 す と は 、 是 の 中 に 何 の 取 る 所 か あ ら ん と 。 此 に 一 に 遮 詮 に 約 す 。 二 に は 寂 滅 甚     深 。 此 に 表 詮 に 約 す 。 論 に 云 く 法 と 義 の 定 ま る 故 に 謂 く 、 一 心 の 体 の 寂 な る が 故 に 法 の 定 ま る と 云 う 。 二 門 も 亦 た 寂 な れ ぽ 即 ち 是     れ 義 の 定 ま る な り 」 ( 大 正 巻 三 五 ー 七 六 六 ab ) 。 (

2

)   当 体

11

そ れ 自 体 の 意。 類 語 に 敵 体 ・ 剋 体 ・ 徹 体 ・ 全 体 な ど が あ る 。 入 矢 義 高 『 伝 心 法 要 ・ 宛 陵 録 』 ( 一 一 頁 筑 摩 書 房 ) 参 照 。 (

3

)   百 非 を 絶 す

11

三 三 段 お よ び そ の 注 ( 2 ) に 既 出 す 。 (

4

)   空 宗 の 言 は … … 肘 こ の 段 が 『 宗 鏡 録 』 巻 三 四 に 引 用 さ れ る 外、 巻 二 五 に も 次 の よ う な 同 趣 旨 の 主 張 が あ る 。 「 問 う 、 如 上 の 所 説 の 即     心 即 仏 の 旨 、 西 天 此 土 の 祖 仏 同 詮 に し て 理 事 分 明 に し て 眼 見 を 同 じ く す る が 如 し 。 云 何 が 又 た 非 心 非 仏 を 説 く や 。 答 う 即 心 即 仏 は                                         み ず か     是 れ 其 の 表 詮 な り 。 直 に 其 の 事 を 表 示 し て 親 ら 自 心 を 証 し 、 了 了 と し て 見 性 せ し む 。 若 し 非 心 非 仏 な ら ば 是 れ 其 の 遮 詮 な り 。 即 ち 過     よ り 護 り 非 を 遮 し て 疑 を 去 り 執 を 破 せ し む 。 情 見 を 奪 下 し 意 解 に 依 通 し て 妄 り に 之 れ を 認 む る は 、 心 仏 倶 に 不 可 得 な る を 以 て の 故     に 。 是 を 以 て 非 心 非 仏 と 云 う 。 此 は 乃 ち 能 心 を 払 下 し 権 り に 頓 教 泯 絶 無 寄 の 門 を 立 つ 。 言 語 道 断 、 心 行 処 滅 故 に 亦 た 是 れ 一 機 の 入     路 な り 。 若 し 円 教 な ら ば 即 ち 此 の 情 を 尽 く し 体 露 の 法 に し て 遮 有 り 表 有 り 即 に あ ら ず 離 に あ ら ず、 体 用 相 収 し 理 事 無 礙 な り 。                                         か     今 時 の 学 者 は 既 に 智 眼 無 く 又 た 多 聞 を 闕 き、 偏 え に 遮 非 の 詞 を 重 ん ず 。 円 常 の 理 を 見 ず 、 奴 郎 を 弁 ず る こ と 莫 く ば 真 偽 何 ぞ 分 か                                 や                               す く                                                                                             た   と     た ん 。 海 を 棄 て て 滬 を 存 し 金 を 遺 り て 礫 を 拾 い 泡 を 掬 い て 宝 と 作 し 石 を 執 り て 珠 と 為 す が 如 し 。 所 似 に 経 に 云 く 譬 如 え ば 痴 賊 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 六 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 九 五

参照

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