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日本内科学会雑誌第106巻第9号

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(1)

はじめに

 近 年, シ ェ ー グ レ ン 症 候 群(Sjögren’s syn- drome:SS)診療を取り巻く環境は変化を続け ている.2015年SSは指定難病に加わり,診断基 準と重症度分類を満たす場合は医療費助成の対 象となった.

 2016 年には,米国リウマチ学会(American College of Rheumatology:ACR)/欧州リウマチ 学 会(European League Against Rheumatism:

EULAR)が新分類基準1)を発表した.そして,

2017年には,厚生労働省「自己免疫疾患に関す る調査研究班」(研究代表者:住田孝之)ガイド ライン作成グループが作成した「シェーグレン 症候群診療ガイドライン 2017 年版」2)が公開さ れた.

 SSは多彩な病態を呈するため,適切な診断と治 療方針の決定には十分な病態理解が必要である.

 本稿では,本邦におけるSSの実態,病態生理,

臨床的特徴,診断と疾患活動性評価ならびに治

療法等について概説する.

1.疾患概念と疫学

1)病態生理3)

 SSは涙腺,唾液腺等の外分泌腺にリンパ球が 浸潤し,それに伴い腺組織が障害される自己免 疫疾患である.涙液や唾液等の分泌が低下し,

眼や口腔等に乾燥症状を呈する.病理組織学的 には,涙腺や唾液線において導管周囲の著しい リンパ球浸潤,腺房の萎縮や消失,小葉内及び 小葉間間質の線維化,脂肪変性等を認める.浸 潤するリンパ球はCD4陽性T細胞が優位である.

 明確な病因や発症機序は不明であるが,HLA

(human leukocyte antigen)等の遺伝的素因に環 境要因が関与して発症するとされる.環境要因 として,Epstein-BarrウイルスやヒトT細胞白血 病ウイルス等のウイルス感染や熱ショック蛋白 を産生する感染症が想定されている.それらの

兵庫医科大学内科学講座リウマチ・膠原病科

114th Scientific Meeting of the Japanese Society of Internal Medicine:Educational Lecture:19. Sjögren’s syndrome:Pathophysiology, diagno- sis and treatment.

Naoto Azuma and Hajime Sano:Division of Rheumatology, Department of Internal Medicine, Hyogo College of Medicine, Japan.

本講演は,平成29年4月16日(日)東京都・東京国際フォーラムにて行われた.

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 19

教育講演

シェーグレン症候群:病態・診断・治療

東 直人 佐野 統 Key words Sjögren症候群,腺外症状,診断基準,活動性評価,治療

(2)

構成成分の一部または感染により,アポトーシ スに陥った腺細胞からの自己抗原が提示され,

自己反応性T細胞が認識することで自己免疫応 答が惹起され,慢性炎症が生じる.最終的に細 胞傷害性T細胞が誘導され,CD4陽性細胞傷害性 T細胞はFas/Fasリガンドを介して,CD8 陽性細 胞傷害性T細胞はパーフォリン,グランザイムB を介して腺上皮や腺房細胞をアポトーシスに陥 らせ,腺組織の破壊が進行すると考えられてい る.また,リンパ球浸潤が強くなると,B細胞 の割合が増加する.自己抗体産生や高ガンマグ ロブリン血症,偽リンパ腫や悪性リンパ腫の発 現と関連する.

2)臨床分類

 SSは他の膠原病を合併しない一次性SSと,関 節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)や全身 性エリテマトーデス(systemic lupus erythema-

tosus:SLE)等の膠原病を合併する二次性SSに 大別される.

 一次性SSは,病変が涙腺,唾液腺等の外分泌 腺に限局し,ドライアイやドライマウス等の腺 症状(乾燥症状)のみを呈する腺型と,病変が 外分泌腺以外の全身諸臓器に及び,多彩な臓器 病変や検査異常を呈する腺外型に分類される.

3)疫学(図)4)

 厚労省研究班(住田班)拡大SS分科会による 全国疫学調査(2011年)では,患者数は68,483 人(有病率 0.05%)と推定された.1993 年の 調査では,年間受療患者数は約 17,000 人であ り,患者数は増加傾向だが,有病率は欧米に比 べて低く,本邦では診断されていない潜在患者 が相当数存在すると考えられる.男女比は 1:

17.4で圧倒的に女性に多く,発症年齢のピーク は 40~60 歳代であった.

図 Sjögren症候群に関する全国疫学調査(n=2,195)(2011年厚生労働省研究班)(文献4より引用改変)

A:性別

女性 不明

B:年齢

C:病型(一次性,二次性) D:一次性SSの病型 E:二次性SSに合併する膠原病

男性 0 ~ 19歳

40 ~ 59歳 60 ~ 79歳 80 ~ 99歳 不明 20 ~ 39歳

RA SLE SSc PM DM MCTD その他 不明 一次性

二次性 不明

腺型 腺外型 不明

SS:Sjögren症候群, RA:関節リウマチ, SLE:全身性エリテマトーデス, SSc:全身性強皮症, PM:多発性筋炎,

DM:皮膚筋炎, MCTD:混合性結合組織病 94.2%

94.2%

5.4%

0.4%5.4%

0.4% 0.6%0.6%

10.4%

10.4%

29.8%

29.8%

50.8%

50.8%

7.9%

7.9%

0.5%

0.5%

58.5%

58.5%

39.2%

39.2%

2.3%

2.3%

69.1%

69.1%

24.7%

24.7%

6.2%

6.2%

38.7%

38.7%

22.2%

22.2%

13.2%

13.2%

1.7%

1.7%

1.4%

1.4%

6.0%

6.0%

15.6%

15.6%

1.2%

1.2%

(3)

 病型は一次性/二次性SSが 58.5%/39.2%,一 次 性SSの う ち 腺 型/腺 外 型 は 69.1%/24.7% で あった.二次性SSに合併する膠原病ではRAが 38.7%と最も多く,次いでSLEが22.2%であった.

2.臨床所見

 SSの主な臨床症状と頻度を表 1に示し,以下 に主たるものを解説する.

1)腺症状(乾燥症状)3)

 主症状は腺症状であり,眼や口腔の乾燥症状 が代表的だが,自覚症状のない患者もいる.

(1)眼乾燥症(ドライアイ)

 自覚症状としては,涙が出ない,眼がゴロつ く(異物感),眼が熱い(灼熱感),眼が疲れる

(眼精疲労),眼が充血する,眼がかすむ,眩しい 等である.眼科的に乾性角結膜炎が認められる.

(2)口腔乾燥症(ドライマウス)

 自覚症状としては,口腔内乾燥感,唾液粘稠

感,口腔内灼熱感,飲水切望感,夜間の口腔内 疼痛,味覚異常,食物摂取困難,嚥下困難等で ある.他覚所見として,口腔内乾燥・発赤,舌 乳頭萎縮,溝状舌,歯牙・口腔内汚染,口角び らん,う歯多発,歯肉炎・歯周炎,反復性の耳 下腺・顎下腺腫脹等を認める.

2)腺外症状・合併症2,3,5)

 全身に多彩な症状を呈する.比較的軽症のも のが多いとされるが,重症のものや予後に影響 をおよぼすものもある.

(1)発熱

 微熱であることが多い.

(2)皮膚病変2,3,5)

 環状紅斑,高ガンマグロブリン血症性紫斑皮 膚血管炎が特徴的である.レイノー現象,凍瘡・

凍瘡様紅斑も認められる.SSは薬剤アレルギー が多く,薬疹が生じやすい.腺症状の範疇にな るが,発汗障害や乾皮症も呈する.

表1 一次性Sjögren症候群における腺症状・腺外症状・合併症の出現頻度(文献3より引用改変)

A:腺症状 腺症状 頻度

口内乾燥症 70~80%

乾燥性角結膜炎 60~70%

耳下腺腫脹 30~50%

上・下気道炎 10%

萎縮性胃炎 50%

膵炎 5~20%

乾燥性外陰炎 5%

B:腺外症状・合併症 腺外症状 頻度 腺外症状 頻度

発熱 10~30% 全身リンパ節腫脹 30%

関節炎 30~50% 悪性リンパ腫 5%

Raynaud症状 20~30% 過粘稠血症候群(高グロブリン血症) 15%

皮膚血管炎(環状紅斑) 20% 末梢神経炎(三叉神経痛) 10%

慢性甲状腺炎 25~40% 中枢神経障害 5~20%

間質性肺炎 20~25% 自己免疫性肝炎 <10%

間質性腎炎 30% 原発性胆汁性肝硬変 5%

糸球体腎炎 7.5%

(4)

(3)肺病変2,3,5)

 気道乾燥やそれに伴う気道過敏性亢進の関与 もあり,乾性咳嗽を高頻度に認める.気道病変,

間質性肺疾患が特徴的で,気道病変は細気管支 病変が多い.間質性肺疾患ではnonspecific inter- stitial pneumonia(NSIP)が最も多く,次いで usual interstitial pneumonia(UIP),lymphocytic interstitial pneumonia(LIP),organizing pneu- monia(OP)を認める.肺高血圧症の合併は少 ないが,生命予後に影響する重要な病態である.

(4)腎病変2,3,5)

 尿細管間質性腎炎,遠位尿細管性アシドーシ スが特徴的である.糸球体腎炎は少ない.無症 候性が多く,一般尿検査では正常または軽度の 異常のみであることが多い.尿細管障害の評価 には,尿中

β

2ミクログロブリンが有用である.

(5)神経病変2,6)

 末梢神経障害では多発性ニューロパチー(感 覚障害が主),脳神経障害(三叉神経炎,視神経 炎等),多発性単神経炎等を認める.自律神経障 害も生じ得る.中枢神経障害では脳症,無菌性 髄膜炎が多く,脳白質・脊髄病変(多発性硬化 症様)を認めることがある.SSの診断に先行し て神経症状が出現する患者や,無症状の神経障 害を有するSS患者が少なくない.

(6)関節病変2,5)

 RA様の関節症状を呈するが,SSでは罹患関節 5 関節未満の対称性多関節炎であることが特徴 である.X線写真上骨びらんは少なく(5%),

抗CCP抗体陽性率も低い(7%).

(7)血液異常・リンパ増殖性病変2,3)

 貧血,白血球減少,血小板減少を認める.病 態はさまざまだが,軽症であることが多い7). 多クローン性高ガンマグロブリン血症(60~

80%)やクリオグロブリン血症(5~10%)も 見られる.また,悪性リンパ腫の発生率が健常 人や他の膠原病に比べて高い.組織型はB細胞 系, 特 に 辺 縁 帯 リ ン パ 腫(mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫,節性辺縁帯

リンパ腫)が多い8).持続する耳下腺腫脹,紫 斑, 血 清C3・C4 低 下 等 が リ ス ク 因 子 と さ れ る9,10)

(8)消化器病変3,11)

 唾液量低下に伴う嚥下障害や胸焼け等の食道 炎症状が見られる.胃病変では慢性萎縮性胃炎 が最も多く,胃MALTリンパ腫のリスクも高い.

消化管運動障害と自己抗体(抗M3 ムスカリン 作動性アセチルコリン受容体抗体12),抗ガング リオニックアセチルコリン受容体抗体13))の関 連性が報告されている.肝臓病変では,原発性 胆汁性肝硬変,自己免疫性肝炎が主である.

(9)その他2,3)

 ①自己免疫性甲状腺疾患を合併することがあ り,多くは慢性甲状腺炎(橋本病)である.

 ②抗SS-A抗体陽性女性から出生する児の約 10%に新生児ループスが,約 1%で先天性心ブ ロックが発症する.主に妊娠 18~24 週に出現 するため,同時期には頻回に評価を行い,早期 発見に努める.内科・産科・小児科の連携によ る管理が必要である.

3)免疫学的検査所見:自己抗体2~4)

 抗SS-A抗体の陽性率は 50~70%と高頻度だ が,特異性は低い.抗SS-B抗体の陽性率は 20~

30%だが,特異性が高く診断意義が大きい.抗 核 抗 体 は 80~90%, リ ウ マ ト イ ド 因 子 は 約 70%で陽性となる.なお,通常抗SS-B抗体陽性 の場合,抗SS-A抗体も陽性である.一方,抗核 抗体陰性でも抗SS-A抗体陽性の場合があるた め,SSを含め膠原病を疑う場合には抗核抗体と 抗SS-A抗体を共に測定することが望まれる.

3.診断と活動性評価

1)診断2~4,14)

 IgG4 関連疾患,その他の膠原病,ドライア イ・ドライマウスを呈する疾患との鑑別が重要

(5)

であることをまず強調したい.

 診断のための基準は,本邦では「シェーグレ ン症候群改訂診断基準」(厚生省研究班,1999 年)(表 2)が汎用され,指定難病の医療費助成 制度の申請時にも使用されている.欧米ではア メリカ・ヨーロッパ合同検討グループ(Ameri- can-European Consensus Group:AECG)改訂分 類基準(2002年)が主に用いられる.また,よ り特異度の高い国際統一基準の策定を目指した ACR分類基準(2012年)も発表されている.こ れらの3基準のうち,AECG基準のみ評価項目と して乾燥自覚症状が含まれているが,自覚症状 による評価は感度は高いものの,特異度が非常 に低い点が問題となる.ACR基準(2012年)は シルマーテストと唾液腺に関する検査が含まれ ていない.2016 年に発表されたACR/EULAR新 基準はシルマーテストと唾液分泌量測定が含ま れた.しかし,唾液腺に関する画像検査は含ま れていない.近年,SSの診断において,超音波 検査やMRI(magnetic resonance imaging)検査 等の画像検査の有用性が認識されており,この 点は今後議論が必要だろう.なお,厚労省研究 班拡大SS分科会の検証4)では,日本人SS患者の 診断に関しては厚生省基準がAECG基準,ACR基 準(2012年)より優れている可能性が示されて いる.しかし,本邦ではSSの診断が乾燥自覚症

状と自己抗体検査でなされていることが多く,

各基準で診断に必要とされるその他の評価項目

(眼科検査,病理組織学的検査,唾液腺検査)が 実施されていないことが少なくないことも明ら かにされている.

2)疾患活動性評価と重症度判定2,3,14)

 SSの自覚症状や全身症状を評価する統一指標 が求められるようになり,EULARタスクフォー スが2つの疾患活動性指標を作成した.1つは質 問 票 形 式 で 患 者 自 身 が 自 覚 症 状 を 評 価 す る EULAR Sjögren’s Syndrome Patient Reported Index(ESSPRI)(表3)で,もう1つは医師によ る全身症状を評価するための活動性指標EULAR Sjögren’s Syndrome Disease Activity Index(ESS- DAI)(表 4)である.これら 2 つの指標は疾患 活動性の変化を見出すことに対する感度に優れ るが,両指標間に相関関係は乏しい.また,こ れらは臨床試験への組み入れ基準としての活用 が提唱されている.なお,本邦の指定難病制度 における重症度分類としてはESSDAIが使用さ れており,5 点以上が重症として医療費助成の 対象となっている.

表2 厚生省改訂診断基準(1999年)

1.生検病理組織検査で次のいずれかの陽性所見を認めること

A)口唇腺組織で4 mm2あたり1 focus(導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤)以上 B)涙腺組織で4 mm2あたり1 focus(導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤)以上 2.口腔検査で次のいずれかの陽性所見を認めること

A)唾液腺造影でStage Ⅰ(直径1 mm未満の小点状陰影)以上の異常所見

B) 唾液分泌量低下(ガムテスト10 ml/10分以下,またはサクソンテスト2 g/2分以下)があり,かつ唾液腺 シンチグラフィーにて機能低下の所見

3.眼科検査で次のいずれかの陽性所見を認めること

A)シルマーテストで5 mm/5分以下で,かつローズベンガルテストでスコア(van Bijsterveld score)3以上 B)シルマーテストで5 mm/5分以下で,かつ蛍光色素(フルオレセイン)テストで陽性

4.血清検査で次のいずれかの陽性所見を認めること A)抗SS-A/Ro抗体陽性

B)抗SS-B/La抗体陽性

上記4項目のうち,いずれか2項目以上を満たせばシェーグレン症候群と診断する

(6)

表4 ESSDAI(EULAR Sjögren’s Syndrome Disease Activity Index)

領域 重み(係数) 活動性 点数(係数×活動性)

健康状態 3 無0□ 低1□ 中2□

リンパ節腫脹 4 無0□ 低1□ 中2□ 高3□

腺症状 2 無0□ 低1□ 中2□

関節症状 2 無0□ 低1□ 中2□ 高3□

皮膚症状 3 無0□ 低1□ 中2□ 高3□

肺病変 5 無0□ 低1□ 中2□ 高3□

腎病変 5 無0□ 低1□ 中2□ 高3□

筋症状 6 無0□ 低1□ 中2□ 高3□

末梢神経障害 5 無0□ 低1□ 中2□ 高3□

中枢神経障害 5 無0□ 中2□ 高3□

血液障害 2 無0□ 低1□ 中2□ 高3□

生物学的所見 1 無0□ 低1□ 中2□

ESSDAI(合計点数)

【ESSDAIによる疾患活動性評価】

5点未満:低疾患活動性 5~13点:中等度疾患活動性 14点以上:高疾患活動性

0点~123点

・各領域の活動性の評価基準項目は省略している.

・各領域の重み(係数)に活動性の点数をかけたものの総和がESSDAIの点数になる.

(計算例)健康状態が「低活動性」,血液障害が「中等度活動性」,残りは「活動性無し」の場合には,

健康状態の重み(係数)3×1+血液障害の重み(係数)2×2=7点となる.

表3 ESSPRI(EULAR Sjögren’s Syndrome Patient Reported Index)日本語版

これからあなたの病気に関する質問をします.以下のすべての質問に答えてくださるよう,ご協力お願いします.

なお症状に対する質問は,最近の2週間で一番状態が悪かったときのことを答えてください.そして,あなたの 状態を最もよく表していると思う場所に,例にならって×印をひとつだけつけてください.

例:

痛みは感じない □ □ □ □ □ □ □× □ □ □ □ 考えうる最大の痛み 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

1)最近2週間で,乾燥症状(目,口,鼻,皮膚など)はどの程度ですか?

乾燥症状はない □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 考えうる最大の乾燥状態 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

2)最近2週間で,疲労感はどの程度ですか?

疲労は感じない □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 考えうる最大の疲労感 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

3)最近2週間で,痛み(上肢や下肢の筋肉痛や関節痛)はどの程度ですか?

痛みは感じない □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 考えうる最大の痛み 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

ご協力ありがとうございました.

・3項目の点数の平均がESSPRIの点数になる.(計算例)乾燥症状6,疲労感6,痛み3なら,(6+6+3)÷3=5点となる.

・【ESSPRIによる自覚症状の評価】5点未満:Patient-acceptable symptom state(PASS:患者が許容できる症状の状態)

5点以上:Unsatisfactory symptom state(患者が許容できない症状の状態)

(7)

4.治療と予後

1)治療2~4,15)

 SSの治療は腺外症状の有無で異なる.腺症状 のみであれば,対症療法が主体となる.ドライ アイについては,眼科に継続的なフォローを依 頼する.治療は点眼薬(人工涙液点眼薬)が中 心となるが,涙点プラグ挿入も行われる.保湿 メガネも考慮したい.

 ドライマウスに対しては,口腔衛生管理,日 常生活指導が重要である.薬物療法としては,

人工唾液,口腔湿潤剤,含嗽薬等による局所療 法と唾液分泌促進薬(ピロカルピン,セビメリ ン)によるものがある.唾液分泌促進薬は厚労 省研究班拡大SS分科会による調査4)ではSS患者 における使用率が31.7%であるが,会話困難や 嚥下困難等の改善効果もあるため,より積極的 に使用してよいと考える.なお,ステロイド薬 の全身投与による涙液・唾液分泌量の改善効果 についてエビデンスは乏しく,再発性唾液腺腫 脹やその疼痛を改善させる目的以外で腺症状に 対する使用は推奨されない.腺外症状を有する 場合は,活動性や病状に応じてステロイド薬,

免疫抑制薬を使用するが,コンセンサスが得ら れた使用法はなく,効果も確立したものではな い.二次性SSの場合は合併する膠原病の治療と 併行して腺症状に対する治療を行う.

 近年,SSに対する生物学的製剤の有用性が報

告されている4,15,16).リツキシマブ,アバタセ プトは腺・腺外症状に,ベリムマブは腺外症状 に有効である可能性が示されている.本邦にお いてRA合併二次性SS患者に対するアバタセプ トの有用性を検証した結果では,アバタセプト はRAの疾患活動性に加え,涙液・唾液分泌量及 び眼・口腔乾燥症状を有意に改善している4,17). 2)予後3)

 一般的に予後は良好で,標準化死亡率の有意 な上昇を認めない(1.38)18).しかし,悪性リン パ腫は予後に影響する合併症として注意が必要 である.また,予後に影響する特定の腺外病変 は明らかではないが,腺外病変の存在は予後に 影響するリスク因子として考慮することが適切 とされる11).ESSDAIで高い活動性の項目がある 場合,また,疾患活動性評価において点数が高 いほど生存率が低下するとの報告もある19)

おわりに

 SSは多彩な病態を呈するが,一つひとつ丁寧 に解きほぐし,適切な病態把握のもと,診断と 治療方針の決定において診療ガイドラインを活 かした有機的な診療を構築したい.

著者のCOI(conflicts of interest)開示:佐野 統;講演 料(アステラス製薬,田辺三菱製薬,中外製薬),寄附 金(アステラス製薬,田辺三菱製薬,中外製薬)

(8)

文 献

1) Shiboski CH, et al : 2016 American College of Rheumatology/European League Against Rheumatism classifica- tion criteria for primary Sjögren’s syndrome : A consensus and data-driven methodology involving three inter- national patient cohorts. Ann Rheuma Dis 76 : 9―16, 2017.

2) 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 自己免疫疾患に関する調査研究班(研究代表者:住田孝 之):シェーグレン症候群診療ガイドライン 2017 年版,診断と治療社,東京,2017.

3) 川上 純:Sjogren症候群,リウマチ病学テキスト 改訂第2版.日本リウマチ財団教育研修委員会,日本リウマチ 学会生涯教育委員会編,診断と治療社,東京,2016, 202―210.

4) 坪井洋人,他:Sjögren症候群.日内会誌 103 : 2507―2519, 2014.

5) Ramos-Casals M, et al : Characterization of systemic disease in primary Sjögren’s syndrome : EULAR-SS Task Force recommendations for articular, cutaneous, pulmonary and renal involvements. Rheumatology(Oxford)

54 : 2230―2238, 2015.

6) Gono T, et al : Clinical manifestations of neurological involvement in primary Sjögren’s syndrome. Clin Rheuma- tol 30 : 485―490, 2011.

7) 正木康史:腺外症状血液リンパ増殖性病変,シェーグレン症候群の診断と治療マニュアル 改訂第2版.住田孝之,

川上 純編,診断と治療社,東京,2014, 127―132.

8) Ekström Smedby K, et al : Autoimmune disorders and risk of non-Hodgkin lymphoma subtypes : a pooled analy- sis within the InterLymph Consortium. Blood 111 : 4029―4038, 2008.

9) Theander E, et al : Lymphoma and other malignancies in primary Sjögren’s syndrome : a cohort study on cancer incidence and lymphoma predictors. Ann Rheum Dis 65 : 796―803, 2006.

10) Baldini C, et al : A clinical prediction rule for lymphoma development in primary Sjögren’s syndrome. J Rheuma- tol 39 : 804―808, 2012.

11) 東 直人:シェーグレン症候群に伴う消化器病変.リウマチ科 56 : 488―494, 2016.

12) 坪井洋人,他:抗M3ムスカリン作動性アセチルコリン受容体抗体とシェーグレン症候群.日臨免疫会誌 36 : 77―

85, 2013.

13) Mukaino A, et al : Insights from the ganglionic acetylcholine receptor autoantibodies in patients with Sjögren’s syndrome. Mod Rheumatol 26 : 708―715, 2016.

14) 東 直人,佐野 統:シェーグレン症候群の診断と活動性評価.リウマチ科 56 : 445―451, 2016.

15) Ramos-Casals M, et al : Topical and systemic medications for the treatment of primary Sjögren’s syndrome. Nat Rev Rheumatol 8 : 399―411, 2012.

16) Sada PR, et al : Biologic treatment in Sjögren’s syndrome. Rheumatology(Oxford)54 : 219―230, 2015.

17) Tsuboi H, et al : Effectiveness of abatacept for patients with Sjögren’s syndrome associated with rheumatoid arthritis. An open label, multicenter, one-year, prospective study : ROSE(Rheumatoid Arthritis with Orencia Trial toward Sjögren’s syndrome Endocrinopathy)trial. Mod Rheumatol 26 : 891―899, 2016.

18) Singh AG, et al : Rate, risk factors and causes of mortality in patients with Sjögren’s syndrome : a systematic review and meta-analysis of cohort studies. Rheumatology(Oxford)55 : 450―460, 2016.

19) Brito-Zerón P, et al : Systemic activity and mortality in primary Sjögren syndrome : predicting survival using the EULAR-SS Disease Activity Index(ESSDAI)in 1045 patients. Ann Rheum Dis 75 : 348―355, 2016.

 

参照

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