ミクロ経済学
I(10)
生産者余剰と市場の効率性
丹野忠晋
拓殖大学政経学部
2018年 6 月
27日
この価格ならば買っても良いと考える金額が支払い意欲 復習
消費者余剰は支払い意欲と実際に支払った金額の差
消費者余剰は需要曲線と水平な価格線の間
価格の下落によって消費者余剰は増える
元から買っている消費者は価格下落分だけ利益を得る
新たな買い手の消費者余剰は価格下落分よりも小さい
企業の儲けと生産
アルバイトをするとアルバイト代が貰えて嬉しい
しかし,疲れたり他の活動ができなくなる
企業は財を販売することによって収入を得る
しかし,財を生産するには費用がかかる
費用は既に学んだ機会費用の概念で捉えたもの
生産のために諦めたものの価値が機会費用
収入が費用を上回れば生産を行う
真央のアイスショーの費用が
2000円とする
収入が
4000円出演する.
1000円だと出演しない
生産者余剰
収入から費用を差し引いた残りが企業の利益
この残り即ち,余剰が生産者余剰
真央はアイスショーを一回出演するか考えている
アイスショーの価格が収入になる
アイスショーの価格が
7000円ならば真央の余剰は
7000-2000=5000 (円
)
この
5000円が真央の生産者余剰だ
真央の他に宮原,鈴木明子,ザギトワ,村上佳菜子
各々の費用は違うときに販売の決定や余剰は?
売り手 費用 ( 円
)真央
4000宮原
5000鈴木明子
6000ザギトワ
7000村上佳菜子
8000アイスショーの売り手と費用
アイスショーの費用のグラフ
費用 ( 円 )
枚数
1 2 3 4 5
8000 7000 6000 5000 4000
真央の 費用
宮原の 費用
明子の 費用 ザギトワの費用
村上の費用
費用を 低い順に並べる
アイスショーのチケットは何枚売
れる 各人の費用を小さい額から並べた
価格>費用→ 販売を増やす
価格<費用 → 販売を控える
価格が高ければ沢山販売できる
実際に売れる枚数
(数量
) →価格=費用
価格が
5500円だったら何枚売れる?
売り手の費用から供給表を作る
価格帯 費用 売り手の数 売り手
8000以上
8000 5真央,宮原,明子, ザギ トワ,村上
8000
から
7000 7000 4
真央,宮原,明子, ザギ
7000から トワ
6000 6000 3
真央,宮原,明子
6000から
5000 5000 2
真央,宮原
5000から
4000 4000 1
真央
4000
未満
0いない
6000 4000
価格と販売量
費用 ( 円 )
枚数
価格は
5500円
2枚は売る
3
枚は売らない 価格から販売量が分かる 供給曲線と同じ機能
5500 8000 7000 5000
1 2 3 4 5
1 2 3 4 5
費用と供給量
費用 ( 円 )
枚数
真央の 費用
宮原の 費用
価格は
5500円 真央,宮原が供給
費用曲線の枠線が供給曲線
供給量
4000 8000 7000 6000 50005500
供給曲線=限界費用曲線
最後の一個の費用が収入
(価格
)よりも下回る或 いは等しいときに販売する
価格と費用が一致している費用を持っている売り 手は限界的売り手.その販売個数が市場での供給
価格=費用→販売量
これは供給曲線と同じ.販売しようとする数量
この費用曲線は各数量から
1単位増えたときに増 加する費用.これは限界費用と同じ
この曲線を限界費用曲線ともいう
生産者余剰
生産者余剰は売り手の収入から生産のための費用を 差し引いた額である
生産者余剰=収入ー費用
生産者余剰を英語で
Producer Surplusと言う
生産者余剰を記号
PSで省略して表す
真央の生産者余剰を正確には個別生産者余剰という
市場全体の生産者余剰を総生産者余剰と呼ぶ
生産者余剰は個別生産者余剰と総生産者余剰の両方の 意味でしばしば使われる
どちらなのか自分で判断
費用と生産者余剰
費用 ( 円 )
枚数
価格
5500円
真央の
PS=5500-4000=1500
宮原の
PS=5500-5000=500供給量 供給曲線 総生産者余剰
真央の PS
宮原の PS
4000 8000 7000 6000 50005500
1 2 3 4 5
生産者余剰の計算
価格が
5500円の時の
PSの計算
真央の 個別生産者余剰
=5500-4000=1500
宮原の 個別生産者余剰
=5500-5000=500総生産者余剰=
1500+500=2000
個別を全て足し合わせると総生産者余剰になる
グラフにおいて生産者余剰は供給曲線と価格線及
び縦軸の間の領域で表現できる
供給曲線と収入
/2価格
数量
0 2
5500
供給曲線
四角の面積=収入
供給曲線と費用
価格
数量
供給曲線
台形の面積=費用
0 2
5500
生産者余剰=収入ー費用
収入 -
= 生産者余剰
費用
供給曲線と生産者余剰
価格
数量
生産者余剰 供給曲線
0 2
5500
価格の上昇の効果
時給が上がると嬉しい.生産者余剰でどう表現?
アイスショーの価格が
6500円に上昇した
真央の
PS=
6500-4000=2500
真央の生産者余剰は
1500円から
1000円分増加した
宮原の
PS=
6500-5000=1500.
PSは
1000円分増加
既存の売り手は価格上昇分だけ余剰が増加
新たに鈴木明子が販売する
鈴木明子の
PS=6500-6000=500価格上昇と生産者余剰
費用 ( 円 )
枚数
元の価格
5500円
新しい供給量 供給曲線
新しい価格
6500円
真央の生産者余剰の増加
鈴木明子の生産者余剰
宮原の生産者余剰の増加
4000 8000 7000 6000 50005500
1 2 3 4 5
6500
価格の上昇は既存と新規の生産者 への効果をもたらす
既に売っている人には均等に価格上昇分だけの生 産者余剰が増える
価格上昇によって新たな生産者が現れる
新たに発生した生産者余剰は価格上昇分よりは小
さい
価格上昇,供給曲線,生産者余剰
価格
数量
供給曲線
0 Q
元の生産者余剰 元価格
P新価格
P’新たな売り手の生産者 余剰の増加
C B
D
A
既存の売り手の 生産者余剰の増 加
Q’
E
消費者余剰と生産者余剰の合計
価格
数量 供給曲線
消費者余剰 生産者余剰
需要曲線
Q P
経済厚生
経済学では自由な競争は効率をもたらすと考え る
余りや不足がないだけでなく,優れた点を持つ
経済厚生あるいは総余剰とは取引をしている全 ての主体の望ましさを表す
厚生
welfareや総余剰
total surplusから
Wや
TSの記号
買い手と売り手がいた
総余剰は消費者余剰と生産者余剰の和
W=CS+PS需要曲線と供給曲線の交わる点である完全競争市場の均
衡では総余剰が最大化される
総余剰あるいは経済厚生
価格
数量 供給曲線
需要曲線
Q P
総余剰
市場経済の効率性
経済全体を考える総余剰はお金のやり取りは問題で はない
消費者余剰=買い手の便益-支払った金額
生産者余剰=受け取った金額-売り手の費用
総余剰=消費者余剰+生産者余剰
=買い手の便益-支払った金額+受け取った金額-
売り手の費用
=買い手の便益-売り手の費用
経済全体では費用を上回る便益が創出されたかどう
かが重要である
効率と公平
総余剰が最大化された状態を効率的という
反対に非効率的であれば経済主体の間で取引をす ることによって余剰を増やす余地がある
言い換えればこれ以上取引をしても利益がもう生 まれない状態が効率的な状態である
様々な価格は所得分配を変える
他に公平性
(衡平性
)を考える事もある
効率性はパイをどれだけ大きくするか
公平性はパイをどのように平等に分けられるか
公平性を評価する方がずっと難しい
均衡価格と取引量
費用 ( 円 )
枚数
1 2 3 4 5
8000 7000 6000 5000 4000
均衡価格
6000円
イチロー,ダル,マー君が需要 真央,宮原,明子が供給
均衡取引量 需要曲線
供給曲線
均衡点
均衡点の総余剰
費用 ( 円 )
枚数
1 2 3 4 5
8000 7000 6000 5000 4000
イチロー
CS=2000
ダル
CS=1000
マー君
CS=0
真央
PS=2000
宮原
PS=1000
明子
PS=0
総余剰
=2000+1000+2000+1000
=6000
取引量
均衡取引よりも過小
費用 ( 円 )
枚数
1 2 3 4 5
8000 7000
6000 5000 4000
イチロー
CS=1000
真央
PS=3000
ダル,マー君や宮 原,明子は取引しな いとする
総余剰
W=1000+3000=4000
競争均衡の総余剰 よりも小さい
取引量 価格
7000円
数量一枚
均衡取引よりも過大
費用 ( 円 )
1 2 3 4 5 枚数
8000 7000 6000
4000
イチロー
CS=3000
ダル
CS=2000
マー君
CS=1000
大谷
CS=0
真央
PS=1000
宮原
PS=0
明子
PS=-1000
ザギトワ
PS=-2000
総余剰
=3000+2000+1000+100 0-1000-2000=4000
競争均衡の総余剰 よりも小さい
5000
価格
5000マイナス 円
数量
4枚
競争均衡の総余剰は最大化される
競争均衡の総余剰
=6000
過小な生産の時の総余剰
=4000
過大な生産の時の総余剰
=4000
他の取引量でも競争均衡の総余剰を上回ること はできない
競争均衡は総余剰を最大化させるという意味
で望ましい性質を持っている
総余剰あるいは経済厚生
価格
数量 供給曲線
需要曲線
取引量を減らした時の総余剰
Q P1
便益が費用を上回 る から生産を増やし た 方が良い
費用
便益
総余剰あるいは経済厚生
価格
供給曲線 数量 需要曲線
Q2 P
総余剰
P2
マイナス部分
便益が費用を 下 回るから生産 を減らした 方が良い
費用
便益なぜ均衡点で総余剰は最大か?
需要曲線と供給曲線の交点では便益
(支払意欲
)と 費用が等しい
これは総余剰を最大化させている.なぜか?
1.
均衡取引量よりも過小な生産では,便益が費用を上 回る.増産は総余剰を増やすことを意味
2.
均衡取引量よりも過大な生産では,費用が便益を上 回る.減産は総余剰を増やすことを意味
均衡点では生産量を増やしても減らしても総余剰は
増えない.よって総余剰は最大になっている
復習
価格
数量 Q
P
供給曲線 生産者余剰
消費者余剰
需要曲線
総余剰
総余剰は消費者余剰と生産者余剰の和