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ライソゾーム病の新生児スクリーニングの研究

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Academic year: 2022

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)

分担研究年度終了報告書      

ライソゾーム病の新生児スクリーニングの研究

分担研究者  奥山  虎之(国立成育医療研究センター臨床検査部)

研究要旨

ライソゾーム病の早期発見・早期治療の重要性が認識され、新生児マススクリーニングが 注目されている。我々は、治療可能なライソゾーム病5疾患を対象にした血液ろ紙検体に よる簡便かつ迅速なスクリーニング法の開発を目標とした。健康対照者284検体およびハ ーラー症候群、ハンター症候群、ゴーシェ病、ポンペ病、ファブリー病患者70検体を対象 として、Liquid Logic™ Newborn Screening Analyzerによるライソゾーム病5疾患の酵素 活性値の同時測定を行った。その結果、すべてのライソゾーム酵素活性測定において健康対 照者と患者を鑑別することが可能であった。またファブリー病の女性保因者では、活性値が 正常コントロールの活性値内に留まる症例が見られ、本法のみではスクリーニングが困難で あることが示唆された。

A.研究目的

ライソゾーム病に対する酵素補充療法は、症 状が進行する以前に開始することにより最大の 治療効果が得られるため、ライソソゾーム病の 早期発見・早期治療の重要性が認識され、新生 児マススクリーニングの開発が注目されている

我々は、すでにライソゾーム病のひとつであ るポンペ病の酵素活性測定をろ紙微量血液検体 を用いて可能とし、新生児マススクリーニング を開始した。本研究では、現在、我が国で酵素 補充療法による治療が可能であるライソゾーム 病5疾患のライソゾーム酵素をろ紙微量血液検 体を用いて同時測定することにより新生児マス スクリーニングを可能とする系の確立を目標と した。

B.研究方法

ろ紙微量血液検体を用いて、α-L-イズロニダー ゼ(ハーラー症候群)、イズロネート酸-2-スルフ ァターゼ(ハンター症候群)、β-グルコセレブロ シダーゼ(ゴーシェ病)、 酸性α-グルコシダー ゼ(ポンペ病)、α-ガラクトシダーゼ(ファブリ ー病)の各ライソゾーム酵素をLiquid Logic™

Newborn Screening Analyzer ( Advanced Liquid Logic社、米国)による4MU法により 同時測定を行った。検体は本研究に同意が得ら れた284 名の健康新生児からなる正常対照群と 70名の患者群(ハーラー症候群4名、ハンター症 候群15名、ゴーシェ病2名, ポンペ病31名、

男性ファブリー病18名)と女性ファブリー病17 名から得られたろ紙検体を対象とした。

(「ライソゾーム病の新生児スクリーニング検

査」、独立行政法人国立成育医療研究センター倫 理委員会承認、平成22年11月30日、受付番号 443)。

C.研究結果

対照群と患者群のそれぞれのライソゾーム酵 素活性平均値は、α-L-イズロニダーゼ(ハーラー 症候群) 23.6 (9.3-41.9) および 2.1 (1.4-2.6) μmol/L/h、イズロネート酸-2-スルファターゼ(ハ ンター症候群)27.7 ( 15.2-51.3)および 8.3 (3.9-12.1) μmol/L/h 、酸性α−グルコシダーゼ 22.3(ポンペ病) (9.4-46.6)と4.9 (2.3-8.3) およ び5.7 (2.6-15. 5、pseudodeficiency群) μmol/L/h 、 β-グルコセレブロシダーゼ(ゴーシェ病) 10 (4.7-22.1) と 1.93 (1.6-2.2) μmol/L/、ファブリー 病)α-ガラクトシダーゼ 値は、正常群では平均 32.5 (最小値11.3-最大値90.5)、男性患者平均値 4.6 (最小値1.9-最大値8.9)であった。さらに女性 ファブリー病患者のα-ガラクトシダーゼは平均 7.4、(最小値 2.7、最大値19.2)μmol/L/hであっ た。

D.考察

本研究では、ライソゾーム病5疾患の対照群と 患者群のライソゾーム酵素活性平均値は明らか に違いがみられ、Liquid Logic™ Newborn Screening Analyzerによるライソゾーム病スク リーニングが可能であることが示唆された。しか しポンペ病のpseudodeficiency(偽陰性)とファ ブリー病の女性保因者の酵素活性値は一部が患 者群あるいは対照群の結果とオーバーラップす る結果もみられた。ポンペ病のpseudodeficiency

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は多型解析による判別が可能であるが、ファブ リー病の女性保因者についてはGLA遺伝子解 析や血漿中の蓄積物質の解析が必要であり、ス クリーニングを実施するにあたり、これらの問 題点を克服する必要がある。

E.結論

284 名の正常対照群と70名のライソゾーム 患者群のろ紙微量血液検体を用いたライソゾー ム病5疾患のライソゾーム酵素活性同時測定に より正常対照群とライソゾーム患者群の鑑別が 可能であった。ポンペ病のpseudodeficiency(偽 陰性)とファブリー病の女性保因者の酵素活性 値は一部が患者群あるいは対照群の結果とオー バーラップする結果もみられた。

F.発表業績: 

1.論文発表 

1) Tajima G, Sakura N, Kosuga M et al.

Effects of idursulfase enzyme replacement therapy for Mucopolysaccharidosis type II when started in early infancy: comparison in two siblings.   Mol Genet Metab.

2013;108:172-7.

2.学会発表 

1)Tanaka A, Okuyama T, Suzuki Y, Sakai N, Hamazaki T, Kosuga M. Sawada T, Yabe H, Ishige M, Mugishima H, Kato S : EFFICACY OF ENZYME REPLACEMENT THERAPY VERSUS HEMATOPOIETIC STEM CELL TRANSPLANTATION ON BRAIN INVOLVEMENT IN MPS II, 12th International Congress of Inborn Errors of  Metabolism,Barcelona,Spain, 

September.4.2013.

2)小須賀基通、木田和宏、藤直子、奥山虎之:5 つのライソゾーム酵素同時測定によるライソ ゾーム病の新たなスクリーニング法. 第 116 回 日本 小児 科学 会学術 集会 学会、 広島、

2013.4.19.

3)奥山虎之:ライソゾーム病に対する新生児マ ス・スクリーニングの現状と今後の課題(シ ンポジウム).第40回日本マス・スクリーニン グ学会学術集会、大阪、2013.8.24.   

参照

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