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高次元写像のジュリア集合の可積分極限に於ける振 る舞い

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

高次元写像のジュリア集合の可積分極限に於ける振 る舞い

齋藤, 革子

横浜国立大学工学部

齋藤, 暁

首都大学大学院理学研究科

https://doi.org/10.15017/18720

出版情報:応用力学研究所研究集会報告. 21ME-S7 (30), 2010-03. Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University

バージョン:

権利関係:

(2)

応用力学研究所研究集会報告No.21ME-S7

「非線形波動研究の現状と将来 次の10年への展望」(研究代表者 矢嶋 徹)

共催 九州大学グローバルCOEプログラム

「マス・フォア・インダストリ教育研究拠点」

Reports of RIAM Symposium No.21ME-S7

Current and Future Research on Nonlinear Waves — Perspectives for the Next Decade

Proceedings of a symposium held at Chikushi Campus, Kyushu Universiy, Kasuga, Fukuoka, Japan, November 19 - 21, 2009

Co-organized by

Kyushu University Global COE Program

Education and Research Hub for Mathematics - for - Industry

Research Institute for Applied Mechanics Kyushu University

March, 2010 Article No. 30 (pp. 197-201)

高次元写像のジュリア集合の 可積分極限に於ける振る舞い

齋藤 革子 (SAITOH Noriko), 齋藤 暁 (SAITO Satoru)

(Received January 27, 2010)

(3)

高次元写像のジュリア集合の可積分極限に於ける振る舞い

横浜国大工学部        齋藤革子(SAITOH Noriko) 首都大理学研究科(特別研究員) 齋藤 暁(SAITO Satoru)

1

我々は今までの研究で高次元可積分系の周期点は充分な保存量があれば、不変周期点多 様体(IVPP)を各周期毎に形成するということを示してきた。一方、非可積分写像を特 徴付けるのはジュリア集合(不安定周期点集合の閉包)である。本研究では非可積分写像 と可積分写像をパラメーターで連続的に繋ぐ高次元有理写像を考え、ジュリア集合が可積 分極限ではどのように振舞って消滅するかを解析的に調べた。

結論は次のようにまとめることが出来る。

非可積分写像が可積分極限で消滅する不安定固定点多様体(UVFP)を持つ場合と 持たない場合で、ジュリア集合の振舞は大きく異なる。

UVFPを持たない場合、ジュリア集合は想定される可積分系の固定点及び各周期の IVPPにそれぞれ近付き、極限で突然現れたそれ等の多様体に吸い込まれて中立点 となる。

UVFPを持つ場合、ジュリア集合の点は可積分系の固定点やIVPPに吸い込まれる もの以外に、UVFPに吸い込まれるものが多数ある。

UVFPには全ての周期の点が集まるので、UVFPは各点が全べての周期の周期点か ら成る特異点多様体(VSP)に変わる。

1

(4)

2 特異点多様体 (VSP)

ここでは3次元Lotka-Volterra写像(3dLV)を例にとりVSPの概念を述べる。3dLV はCˆ3 上の以下で定義される可積分写像(x, y, z)(X, Y, Z)である。

X =x1−y+yz

1−z+zx, Y =y1−z+zx

1−x+xy, Z =z1−x+xy

1−y+yz. (1) この写像は保存量:r:=xyz, s := (1−x)(1−y)(1−z)及び以下の固定点を持つ

{x=y= 0} ∪ {y=z = 0} ∪ {z =x= 0} ∪ {x=y=z}. (2) n周期条件: (X(n), Y(n), Z(n)) = (x, y, z)を計算すると

Kj(n)(x, y, z)γ(n)(r, s) = 0, j =x, y, z (3) を得る。ここでγ(n)(r, s)は保存量r, sの関数で周期n毎にIVPPを生成する[1]。たとえば

γ(2)(r, s) = s+ 1

γ(3)(r, s) = r2+s2−rs+r+s+ 1

γ(4)(r, s) = r3s+s33rs2+ 6r2s+ 3rs−r3 +s γ(5)(r, s) = r3s2 −r36r4s3 + 10r3s4 + 3s3r+s4+s3

+3r4s23r5s−6r4s−r6s+ 3r5s2+s2 +21s2r2+ 6s2r+r3s5+s5+ 27s3r23s4r

−r3s3+ 21r2s4 10r3s−6rs5+s6 etc.

Kj(n)(x, y, z)は初期値(x, y, z)の複雑な多項式であり、一般には固定点及びnを割り切 る周期からの寄与を与える。それらは3つの多項式(Kx(n), Ky(n), Kz(n))を同時にゼロにす る点の集合として求まり、そのイデアルを考えることになる。Ki(2)Kj(2)からzを消去 すると以下が求められる。

⟨Kx(2), Ky(2)z = (1−y)(x−y)(1−x+xy),

⟨Ky(2), Kz(2)z = x(x−y)(1−x+xy),

⟨Kz(2), Kx(2)z = (x−y)(1−x+xy).

従って、固定点を除けば1−x+xy = 0がKx,y,z(2) が同時に零になるための必要条件であ る。同様にy, xを消去すればそれぞれ1−z+zx= 0と1−y+yz = 0が求まる。こうし て以下のことが分かる。

(5)

Kx,y,z(2) のイデアルは

Λ+ ={1−y+yz = 0 1−z+zx= 0 1−x+xy = 0}.

3個のうち2個だけが独立なのでΛ+Cˆ3の中の曲線

n≥2についてΛ+は(Kx(n), Kx(n), Kx(n))の共通なイデアル

n≥3については更に次のΛが共通のイデアル

Λ={1−z+yz = 0 1−x+zx= 0 1−y+xy= 0}

Λ±上の点は全ての周期の周期条件を満たすのでVSP

Λ+)上で3dLV写像(逆写像)は分母・分子共にゼロなのでΛ±は不確定点の集合

Λ±の和集合の上ではγ(n) = 0が全てのnについて成り立つので、Λ±はIVPPの共 通な境界になっている

3 ジュリア集合の行方

この節では高次元非可積分系を考える。特にジュリア集合が可積分極限ではどのように 振る舞い消滅するかに興味がある。

3.1 2次元に変形された obius 写像

以下の2次元写像を考える。

Xa = x2y

1−x +a x(1−x−xy) (1−x)(x+y+a), Ya = 1−x

x −a 1−x−xy

x(x+y+a). (4)

a= 0のときこの写像は保存量 r=xyを持ち M¨obius 写像 X0 = x2y

1−x, Y0 = 1−x

x X0 =r x

1−x, (5)

に帰着する。これは可積分写像であり次の固定点を持つ。

{xy+x−1 = 0}, (6)

変形された写像(4)は(6)に加えて

ΛM ={x+y = 0}. (7)

3

(6)

上に固定点を持つ。即ちΛM はUVFPである。Mapleを用いて調べた結果、可積分極限 で2,3周期点は

4個の2周期点の中、2個はIVPPに、他はΛM に動く

51個の3周期点の中、6個はIVPPに、他はΛM に動く

ΛM 上で写像のJacobianはa→0で次のように発散する JM|y=x = 1 (x2−x+ 1)(x2+x−1)

ax(1−x) . (8)

3.2 変形 3dLV 写像

ここでは可積分極限で3dLV写像(1)に近づく2個の変形された写像を考える。変形の 仕方によってジュリア集合の振る舞いが異なっていることが示される。

3.2.1 変形 3dLV 写像 I

以下の変形された3dLVを考える。

XI :=x1−y+yz

1−z+zx +a, YI :=y1−z+zx 1−x+xy +b, ZI :=z1−x+xy

1−y+yz +c. (9)

計算の結果以下のことがわかった。

3個の固定点は直線 (2)に近づく.

6個の2周期点は 2周期のIVPP に近づく.

UVFPは(∞,∞,∞)に在り、可積分極限でΛ±に跳んでVSPに変わる

(7)

3.2.2 変形 3dLV 写像 II

以下の変形は(9)とは異なる結果をもたらす。

XII :=x1 +a−y+yz

1 +a−z+zx, YII :=y1 +b−z+zx 1 +b−x+xy, ZII :=z1 +c−x+xy

1 +c−y+yz. (10)

固定点(2)はこの変形では不変である。加えて新しい固定点、即ちUVFPが生ずるが、こ れはΛ+に他ならない。実際(10)で1−y+yz = 1−z+zx= 1−x+xy = 0とおけば XII =x, YII =y, ZII =zとなっている。

計算の結果可積分極限で以下のことを得る。

2個の固定点は (2)上にある(2,2,2)に近づく。

1個の固定点はΛ+上の点に近づく。

6個の固定点は ( 1±√

3i

2 , 1±√ 3i

2 , 1±√ 3i 2

)3

. に近づく。これらは (2) と Λ+との境界線上にある。

3個の2周期点 p1, p2, p3

p1 (1,0,), p2 (∞,1,0), p3 (0,∞,1) に近づくが、これは Λ+上にある。

3個の2周期点p4, p5, p6はΛ+上の点に近づく。

6個の2周期点はIVPPに近づく。

以上から21個の固定点及び2周期点の中、13個はΛ+ に近付きVSPになる

参考文献

[1] Perturbative changes of the nature of invariant varieties for some higher dimensional integrable maps:

Noriko Saitoh and Satoru Saito, J. Phys. Soc. Jpn., Vol.77 (2008) 024001

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参照

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