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九州大学学術情報リポジトリ

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

B型箱玉系のソリトン解

広田, 良吾

早稲田大学名誉教授

長井, 秀友

東海大学理学部

https://doi.org/10.15017/27175

出版情報:応用力学研究所研究集会報告. 24AO-S3 (15), pp.101-106, 2013-03. Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University

バージョン:

権利関係:

(2)

応用力学研究所研究集会報告

No.24AO-S3

「非線形波動研究の最前線

構造と現象の多様性

—」

(研究代表者 太田 泰広)

共催 九州大学グローバル

COE

プログラム

「マス・フォア・インダストリ教育研究拠点」

Reports of RIAM Symposium No.24AO-S3

Frontiers of nonlinear wave science — various phenomena and structures

Proceedings of a symposium held at Chikushi Campus, Kyushu Universiy, Kasuga, Fukuoka, Japan, November 1 - 3, 2012

Co-organized by

Kyushu University Global COE Program

Education and Research Hub for Mathematics - for - Industry

Research Institute for Applied Mechanics Kyushu University

March, 2013 Article No. 15 (pp. 101 - 106)

B 型箱玉系のソリトン解

広田 良吾( HIROTA Ryogo ),長井 秀友( NAGAI Hidetomo

(Received 15 January 2013; accepted 6 February 2013)

(3)

型箱玉系のソリトン解

早稲田大学名誉教授 広田良吾 東海大学理学部 長井秀友

概 要 離散 方程式から導かれるある超離散方程式を紹介する.この方程式は超離散方 程式,超離散戸田格子方程式と同様の分散関係式で定義される種類のソリトン解を持ち,また負の ソリトン解も持つ.適当な変数変換を行うことでこれらの解の衝突等を観察する.

はじめに

箱玉系は無限個の箱を用意し,ある規則に従って有限個の玉を動かしていく時間発展系である

.簡単なルールからソリトンが持つ性質を再現することができることや,独立変数,従属変数 がともに離散値をとるという特徴を持つ.箱玉系を拡張した容量付箱玉系や周期箱玉系なども存 在し,同様にソリトンの性質を持つ .これら箱玉系の時間発展方程式は超離散化と呼ばれる 極限操作を離散ソリトン方程式に施すことで与えることができる .事実,離散方程式や 離散方程式,離散戸田方程式などを超離散化することによって上記に挙げた箱玉系が得ら れる .離散ソリトン方程式に超離散化をして得られる方程式を超離散ソリトン方程式と呼ぶ.

現在までに与えられている超離散ソリトン方程式は離散方程式から導かれるものが大半で ある.一方,離散ソリトン方程式には離散方程式以外にも,離散方程式などが存在する

.離散方程式の超離散化の研究は離散方程式と比べるとあまり多くないが,先行研究 の一つとして !"!!# $!方程式の超離散化がある% .この研究では !"!!# $!方程式を 超離散化して得られる方程式には通常のソリトン解の他に 解と呼ばれる周期位相項をもつソ リトン解が存在することを示している.元の !"!!# $!方程式には 解は存在せず,超離 散方程式において新しい解が発見されるという興味深い事実を与えている.本研究ではこのよう な結果を踏まえ, !"!!# $!方程式とは別の離散方程式に属し,かつ超離散化可能な新 しい方程式を考え,さらに方程式が持つソリトン解を与える.

型箱玉系

離散方程式は を任意定数として

&

で与えられる .この方程式を一般化した方程式(双線形形式)は

'(

'(

'(

'(

&

で与えられる.ただし は定数,# ($! $

の線形結合で表されるものとし,そ れぞれ

&

&

(4)

を満たす.本研究ではこれに属する次の方程式を出発点とする.

)

ここではそれぞれ時間,空間変数を表し, を満たす非負の定数とする.変数 変換

を行い )を超離散化すると

!'

)

を得る.次節に見るように )は超離散方程式のソリトン解を解として持つ.離散方 程式に属し,箱玉系を含んでいることから )をここでは型箱玉系と呼ぶことにする.

ソリトン解

型箱玉系のソリトン解を与える.まずソリトン解として

!' & ) に代入すると,

!' !' &

なる分散関係式を得る.この式をみたすものとして,たとえば

や,あるいは

* &

* &

などが存在する.これらの分散関係式はそれぞれ超離散方程式,超離散戸田格子方程式の 分散関係式と同じであることに注意されたい+ .同様にソリトン解,ソリトン解として次を 得る.

&

&

)

ただし

とし,

* !'

!'

)

とする.これらが型箱玉系の解となることは,直接方程式に代入することによって確かめるこ とができる, .上記の解は超離散方程式のソリトン解に他ならない.さらに )の条件式 とは別に

* &

* &

* !'

!'

)

としても )型箱玉系の解となることが示される.この分散関係式は超離散戸田格子方程式 のものと同じである.つまり型箱玉系は超離散方程式のソリトン解のみならず,超離散戸 田格子方程式タイプのソリトン解の種類を持つ.

(5)

数値実験

ここでは前節で得たソリトン解や,種類のソリトン解の衝突などを数値実験で観察する.はじ めに双線形形式で表された )において次の変数変換を行う&

これより )は次の式に変換される.

特に第式は

で定義すると

と表される.今を定数とし,周期境界条件

を課すと上式は

& & &

&

& &

& &

& &

& & &

& & &

で表される.したがって左辺の次正方行列をと表し,の逆行列を求めることで,次時刻の

が求まる.実際逆行列 は求まり,

によって与えられる.得られた ならびに

の時間発展方程式はすべて超離散化 可能である.ゆえに超離散化を行うことで,周期境界条件のもとでの型箱玉系の時間発展方程 式が与えられる.

!'

!'

!'

!' &

)

(6)

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...1221...

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1...122

1221... ..11....11...

...11..11...

...1111...

...11..11...

...11....11...

...11...11...

...11...11...

...11...11...

...11...11

.11...11...

- )で定義されるソリトン解 & &を初期値 に定め, )に従って時間発展を行った の挙動..)/&を表す.

...1...

...1...

...1...

...1...

...1...

...1...

...1...

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...1133...

...1331...

...3311...

...23111...

...132.11... ...33..11...

....231..11...

- )で定義されるソリトン解 & &を初期値に 定め, )に従って時間発展を行ったステップごとの挙動..)/&を,を表す. 前節の厳密解を初期値に定めた場合の の解挙動を図に示す.なおは時間発 展に寄与しないので省略をした.超離散方程式の解はの,超離散戸田タイプの解は の表示からソリトンの性質を持つことが確認できる.また,種類のソリトン解を初期値として与 えた際の解挙動を図に表す.別々のソリトン解の衝突においてもソリトンが壊れないことが観 察される. ...111...1...1...

...111.1...1...

...1.111...1...

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...1...1.111... ...1....1...111...

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....1221...1...

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...11...1221...

...11...1221...

...1...1221...

...11...1221...

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1...1...122

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...1221...1...

...1221...1...

...1221.11... ..11....11...11..33...

...11..11...11.132... ...1111...11.231... ...11..11..11.33... ...11....121132...

...11....11341...

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...13321...11...

...13321...11...

...23122...11...

...33.121...11...

...132.1111...11...

...231.11.11...11

.11...33..11..11...

....11...132..11...11...

...11...231..11....11...

...11..33...11...11...

-種類のソリトン解を初期値に定め, )による時間発展..)/&を, を表す.

(7)

..111...3...

...111.3... ...123...

...143...

...341...

...321...

...3.111... ...3...111...

...3...111...

...3...111...

...3...111..

...66...242...

...66...44...

...66...242...

...66..44...

...66242...

...624...

...6446...

...426...

...24266...

...44..66...

...242...66...

-左図:解 )表示.右図:解 )ステップごとの表示. のように下 線で負の値を表している.

負のソリトン解

前節で与えたソリトン解以外に負の解も持つことが示される.たとえば&を任意定数と した

!'

)

は解となる.ただし )で定義されるソリトン解であり

* &

とする.

同じく&を任意定数とした

!'

)

もまた解となる.ただし )で定義されるソリトン解であり

とする.これらはいずれも超離散方程式,超離散戸田方程式の負の解と同様の形 式をしている

まとめ

本研究では離散方程式に属し超離散化可能な方程式として,型箱玉系を導いた.ソリト ン解として超離散方程式や超離散戸田格子方程式と同様の分散関係式を持つ種が存在する こと,負の解をもつことを示した.また種のソリトンの衝突の解挙動を調べ,衝突後も壊れな いことを確認した.種のソリトン解を混合した厳密解を与えることや, 解のような新しい解 が存在するかを調べることは今後の課題となる.

参考文献

広田良吾,高橋大輔:「差分と超離散」共立出版 &&

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(8)

時弘哲治-「箱玉系の数理」朝倉書店 &&)

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参照

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2 ) The World Bank [2017] East Asia Pacific Economic Update: Sustaining Resilience , April , p.97. 3

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