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E f f e c t s  o f  i m p u r i t i e s  on p h o t o v o l t a i c  and p h o t o c a t a l i t i c   p r o p e r t i e s  o f  titanium d i o x i d e  

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(1)

近畿大学工学部研究報告 No392005年,pp.l25131 Research Reports of the School of Engineering, 

Kinki University No392005pp.l25131 

二 酸 化 チ タ ン の 光 電 池 特 性 お よ び 光 触 媒 特 性 に 及 ぼ す 不 純 物 添 加 の 影 響

倉 本 奏 * 椿 原 啓 * *

E f f e c t s  o f  i m p u r i t i e s  on p h o t o v o l t a i c  and p h o t o c a t a l i t i c   p r o p e r t i e s  o f  titanium d i o x i d e  

Canal KURAMOTO¥Hiroshi TSUBAKIHARA 

* 合

Synopsis 

Sol‑gel method has been used in the formation of thin titania layers.  The starting solution  used to  prepare titania films was a mixture of tetraethlorthotitanate (TEOT) dissolved in  ethanol and acetylacetone (acac).  The resulting solution was stirred and added a nitric acid,  and a yellow transparent sol was obtained.  In the case of metal‑doped titania, metal nitrates  were used with nitric acid.  By the spin"coating technique, titania sol deposited on qualtz and  ITO substrates. The resulting samples were heated up to 5500C and measured their optical  band gap and abilities of photoelectrochemical cell.  In lower iron content (up to 2at%)

, 

the  optical absorption spectra are same as a pure titania sample.  In higher iron content (more  than 5%), optical band gap have been lowered, and finally reaches about 2.geV (3.3eV in pure  titania).  The differences  of the  effects  of iron  and indium doping on optical  absorption  properties and photovoltaic/photocatalitic characteristics were also discussed. 

Keywords: photovoltaic, photocatalitic, titanium dioxide, titania, metallic impurities 

1.緒言

我々の暮らしは、電気がなくては成り立たない。家の中 を見回しても、テレビ、ラジカセ、パソコンなどなど、家 電製品ばかりが目に付く。最近ではガスを使わない電化住 宅なるものも登場している。これらの電気を得るために化

石燃料を使用してきたが、やがて枯渇すると言われている。

つまり、化石燃料に代わる新たなエネルギー源が必要とな る。そこで注目されているのが光エネルギーで、あるo 地球 に降り注ぐ太陽光を使用すれば、ほぼ無限にエネルギーを 得ることができる。太陽光の利用で注目されているのが光

*近畿大学大朝涜工業技術研究科

**近畿大学工学部電子情報工学科

Graduate Sch

, ∞

lofIndus出alTechnology,路nkiUniversity 

DeparentofElectronic Engineering and Compu'rSciena, Sch

, ∞

1 of  Engineering,回nkiUniversity 

125 

(2)

触媒である。光角蝶とは光が照射されると価電子帯から伝 導帯に電子が励起され、生成された電子の還元力とホール の酸化力を利用し、周辺の物質を分解するものである九 この反応を利用し、水が酸素と水素に分解されるという本 田・藤嶋効果2)が発見されて以来、多くの研究がなされて きた。水を分解して得られた水素を水に再酸化することで エネルギーが得られる。つまり、太陽エネルギーを用いて クリーンなエネルギーが得られるので、ある。しかし未だに 半導体をそのまま使う場合には効率が低く、実用化には至 っていない。光触媒である酸化チタンは紫外域の光しか吸 収できない。紫外域の光は、太陽光ではわずか3 %程度、

蛍光灯の光にはほとんど含まれていないため効率が悪い。

そこで、太陽光下での効率の向上、屋内での使用可能な酸 化チタン、つまり可視域の光にも応答する酸化チタンの作 製が期待されている。作製方法として窒素ドープ34)、イ オンインプランテーション5)、化学的金属不純物ドープ5)

などが研究されている。

本研究では不純物として鉄、インジウムをそれぞれドー プし、可視光応答型酸化チタンの作製を試みた。不純物の 添加は、チタニアゾ、ルの作製段階で、不純物を化学的にドー プする方法を用いた。

2.実験方法 2.1.光吸収特性

溶媒で、あるエタノール(和光純薬0100gに原料溶液のテ トラエトキシチタン(東京化成工業)34.2gを混合する。こ の溶液を撹枠しながら、協夜の温度が400Cを超えないよう に注意しながら安定剤であるアセチルアセトン(和光純 薬015.0gを滴下漏斗で、ゆっくり滴下した。この溶液に硝酸 水溶液(エタノーノレ47.9g、純水2.7g、硝酸(和光純鶏0.2

g)を混合し、 30分以上撹枠し、エチレングリコールモノ ブチルエーテノレ〈和光純諜0100gを混合し、揮矧企を抑えた。

このチタニアゾル溶液を、基板上に回転数 100p mで1 分間スヒ。ンコートした。これを種々の温度で45分間焼成

し、酸化チタン膜を作製した。

チタニアゾ、ル溶液を作製する過程で、不純物をドープし た。本研究では鉄とインジウムをそれぞれ酸化チタンにド ープした。料砕な酸化チタンの場合には加水分解、重縮合 反応のために硝酸水溶液を混合するが、鉄またはインジウ ムの添加には硝酸鉄、または硝酸インジウムを所定の量溶 解した硝酸水翻夜を用いた。本研究ではチタンの原子数に 対し鉄およびインジワムの原子数比が0"‑'20at%となるよ うな濃度で混入し、溶液を作製した。作製した翻夜を純粋 な酸化チタンの場合と同様、10(肋p mで1分間スピンコー トし、種々の温度で45分間焼成し、鉄およびインジウム を含む酸化チタン膜を作製した。作製した酸化チタンを可 視紫外分光光度計(島津製作所(株), UV'3100PC)を用い吸

光度を測定した。吸光度の上限を5、波長範囲は 200nm から3200nmの条件で、参照側には合成石英ガラスを使用

した。

2.2.光電池糊生

インジウム添加酸化スズを厚さ1.1mmのガラス板上に 焼結して作梨された透明導電ガラス

OTO

、面積抵抗15Q) を基板として用いた。光照射側電極は第3章で示したと同 様のゾル"ゲル製膜法により ITO基叛上に酸化チタン膜を 焼結した。対向電極は上述のITO基板に白金を蒸着して作 製した。白金蒸着にはイオンスパッター領空機工(株),超小 型イオンスパッター装置VP8‑02ωを用いた。セロハンテ ープ惇さ0.05、幅0.5mm)をスベーサーとし、両電極を向 かし、合わせて配置した。電極聞に電解質溺夜を注入し、光 電気化学電池とした。電解質瀦夜は、 3‑メチノレ‑2・オキサゾ リジノン(和光純鶏とアセトニトリノレ(和光純却を1:1の 割合で混ぜた持論夜にヨウ素0.05M、ヨウ化カリウム0.5M を混合溶解させ、その翻夜の半分の重量のターシャルブ、チ ルピリジン

ι

組 問S'r8ynthesisInc.}を混ぜ撹持したも

のを使用した。作製した光電気化学電池を用いてI‑V特性、

を測定した。光源は、コンパクト型セラミックメタルハラ イドランプ(PIDLIP8 ,CDM‑R 35W/830 PAR20 10

を使用した。また、電源電圧を0.6Vに固定し、光を照射 し定常状態となり一定電流(明電紛が流れていることを確 認した後、シャッターを閉じ電流が減少し一定値(暗電紛 となるまで、の電流の変化をオシロスコープで観察し、時定 数を求めた。

2.3.光舟融制朝生

2.1.で示したと同様のゾ、ル・ゲル製膜法によりスライドガラ ス基叛上に酸化チタン膜を焼結した。作製したTi02膜に 0.05wt%のメチレンブルー(Cl(J!lsCIN38)をスピンコート し、試料とした。この試料にブラックライト水銀ランプ (τ'08HIBA, H250BL‑υで光を照射し、可視紫外分光光 度計(島津製作所(株), UV‑31

PC)で吸光度の変化を測定

し、色素の分解速度でう間虫媒特性を評価した。

3.結果および考察 3.1.光吸収特性

鉄添加型酸化チタンを 5000C5500Cで焼成したものの可視 紫外吸収分光特性を図1、図2に示す。紫外域での酸化チ タンによる大きな光吸収が確認できる。可視域に表れる吸 光度のゆらぎは干渉によるものであることがすでに確認 されている的。鉄の濃度が2at%まで、はほとんど変化は見 られなかったが、 5at%で、吸収量が増加し、 10at%以上添 加する大きく吸収が増加した。 12at%以上の糊日に対して は吸光度はほぼ飽和した。インジウム添加型酸化チタンを 500t、5500Cで焼成したものの可視紫外吸収分光特性を図 3、図4に示す。インジウムの濃度を20at%まで、変化させ

(3)

二酸化チタンの光電池特性および光触媒特性に及ぼす不純物添加の影響 127 

たが、吸光度の変化は少なかった。

これらの結果を用いて光学的禁止帯幅を求めた。直接遷 移における禁止帯幅は横軸をエネルギ、縦軸をエネルギと 吸光度を乗じたものの二乗をとして図を描き直し、直線部 分を内挿した時の横軸との交点から求めた。無添加酸化チ タンにおいては直接遷移として求めた禁止帯幅は3.8eVと

0.5  0.4

0.4  0.35  tIl 0. 0.25

0. 0.15 

0. 0.05 

焼 成 温 度500"(; ・ーFeOatS 4圃トFaO.1atS

"'FaO.2atS 

*""FaO.5atS 

‑・Fe1atS

4Fe2at"

+Fe5al'll 4FelOat'll

~Fe1281'll

輔 噛Fe158tS

『き・Fe20at'll

300  350  400  450  500  550  600 

0.5  0.4

0.4  0.35  0.3

~0.25

lS!  0. 0.15 

0.1  0.05 

300 

波長 (nm)

図 1 鉄混合酸化チタン膜の光吸収特性

焼成温度550"C

350  400  450  500  波長(nm)

‑←FeOatl  .....FeO.1atl  .....FeO.2atl 

FeO.5a 却酔Fe1atl

Fe2atl 

Fe5atl  Fel0Z

~Fe12atl

Fe15atl

『告・Fe20atl

550 

図 2 鉄混合酸化チタン膜の光吸収特性

見積もることができた。縦軸をエネルギと吸光度を乗じた ものの平方根とおき、同様の操作をすることによって間接 遷移を仮定したときの禁止帯幅を求めることができる。無 添品目酸化チタンにおいては3.3eVとなった(図5)。一般 に酸化チタンは間接遷移型で、その禁止帯幅は 3.2eV6)と 言われており、本研究で求めた間接遷移光学的禁止帯幅も ほぼ同様の値となっている。以下の議論では間接遷移を仮 定した光学的禁止帯幅を単に禁止帯幅と呼ぶことにする。

5000Cおよび 5500Cで焼成した鉄添加酸化チタンでは、そ の禁止帯幅は大きく低下し、チタン原子に対し10at%鉄添 加した試料ではその禁止帯幅は2.geVとなった。

計算機実験7)の結果では、鉄不純物は酸化チタンの価電 子帯近傍に不純物準位を形成する。本実験で鉄濃度10at% を超える高濃度鉄添加による禁止帯幅の減少は、価電子帯 近傍の禁止帯中に生じた多数の不純物準位が密接に結び つき、効果的に価電子帯と一体となることにより、見かけ 上禁止帯幅を狭くしたのではなし、かと考えられる。それに

600 

対しインジウム添加試料では禁止帯幅の濃度依存性はほ とんど認められなかった。光吸収特性にも添加の影響がほ とんどないことから、インジウムの添加は鉄添加と比べ酸 化チタンの電子状態にはほとんど影響しないことがわか った。

0. 0.45 

0.4  0.35  0.3 0.25 0.

0.15  0.1  0.05 

‑・聞InOol'll 4・ ーInO.1atS

‑量ーInO.2al'll

InO.5al'll 

In1al'll

ln2a 田 和 ・ln5al'll 4Inl0a

~In12副Z

‑ ー..'lnn2105..ttSS

300  350  400  450  500  550  600  波 長 (nm)

図3 インジウム混合酸化チタン膜の光吸収特性

0. 0.45 

0.4  0.35  0. 0.25

0. 0.15 

0. 0.05 

300  350  400  450  500  波 長 印 刷

lnOat'll

4

InO.18t'11

4'InnOO..25.at1l'II

""*""In18t

 

...,n281'll 

ln5at

 

4In10・tS 4In1281

̲̲'n1581'11 

『告",In20at'll

550 

図4 インジウム混合酸化チタン膜の光吸収特性

3.一一一一一一一ー一一一一

. . .

3.

  . . .   .

. .

 

a

4E32

‑ .. 

4 3.

4

2.

10  15 

不純物漉度{at弛)

図5 光学禁止帯幅の濃度依存性 3.2光電池特性

焼成温度 5000C、550tとし種々の濃度で鉄を添加した酸 化チタンを用いた光電気化学電池のI‑V特性を図6、図7 に示す。縦軸は電流であり、軸上の測定値は忽格電流(電池 として取り出しうる最大の電流値〉を示す。また横軸は電圧 であり、軸上の測定値は開放電圧(電池として発生しうる最 大の起電力)を示す。 5000C、5500C焼成とも鉄添加により 忽格電流、開放電圧ともに急激に低下し、 2at%、5at%

600 

20 

(4)

0.005  0.0045  0.004  0.0035 

ω03 ~ 0.0025

0.002 0.0015  0.001  0.0005 

× 

O  O 

口 口

0.05 

種々の濃度のインジウム添加酸化チタンを用いた 光電気化学電池のI‑Y特性

りも大きく、O.004mAの値が得られた。しかしそれ以上の インジウム添加では電流は大きく低下し、特に5000Cで焼 成した場合は20at%で、電池特性を失った。

時定数の糊口濃度依存性を図10に示す。純粋な酸化チ タンにおいては0.6秒で、あったが、鉄不純鞠の添加に伴し、

増加し、 1at%添加時3.4秒となった。2'"'‑'5%の濃度では、

光電気化学電池としての機能を持たず、明電流と暗電流の 差はなかったので、時定数の測定はで、きなかったo 10at%以 上で時定数は飛躍的に増大し、 20at%で、21秒となり、無 添加時の35倍の値を示した。

インジウム添加においては添加量を変えても時定数は ほとんど変化せず、ほぼ0.7秒で一定の値を示した。15at%

以上の諸訪日領域では光電気化学電池とならず、時定数の測 定はできなかった。

{ ︿E }

EO

O R U

O

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A u nunuhunMAUnuhuuhuhu h M D D S β D 9 9 0 0  

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uhunununUAU

自 宅 自

v e

6 0

AVA×x

+ O

A O

添加においては電池としての機能は確認、で、きなかったo し かし、 10at%以上の鉄添加においては、再度、光電池織能 が回復しており、これら高濃度鉄納噸域では、鉄を糊日 しなかった場合と同等あるいはそれ以上の短絡電流値を 示した。

0.1 

0.25  0.2 0.15 電圧(V) 0.3

0.35  0.4

図9

⁝ぷ 吋

‑ 出

0

0

0.005  0.0045  0.004  0.0035  1 ' 10.003

0.0025

0.002

句>0.0015  0.001 0.0005

電圧(V)

種々の濃度の鉄添加酸化チタンを用いた 光電気化学電池のI‑Y特性

0.4

• 再

電圧(V)

種々の濃度の鉄添加酸化チタンを用いた 光電気化学電池のI‑Y特性

a ‑

ム慣 盆

→ て

0.05 

A O

0.1 

0.3 

0.3 

0.35 

0.35 

図6

図7

‑ m A

×x

・ + ︒

‑0.4 

4砂 4砂

25 

20 

15 

笹川間鼠

0.005  0.0045  0.004  0.0035  0.003  :;(  0.0025

. 5  

0.002

ρ015

0.001  0.0005 

り O 

‑ S 

o o  u  

15  20  10 

濃度(at%) 時定数の濃度依存性

図10

0.05 

種々の濃度のインジウム添加酸化チタンを用いた 光電気化学電池のI‑Y特性

‑0.1 

0.25 0.2 0.15 電圧(V)

0.3  0.35

0.4

図8

鉄納日酸化チタンの短絡電流の変化を縦軸に電流、横軸 に酸化チタンに対する原子数の割合とし図11に示す。こ の図から不純物濃度に関して3つの領域に大別すること ができる。鉄の濃度が 2a紛らまで、の低濃度領域、 2at%か

らlOat%の中濃度領域、10at%以上の高濃度領域の3つで ある。低濃度領域では鉄を添加することで酸化チタン内に 不純物準位が形成され、酸化チタン内を移動する電子の再 焼成温度 5000C、5500Cのインジウム添加酸化チタンを

用いた光電気化学智也のI‑Y特性を図8、図9に示す。鉄 蹴日と比べ、低濃度領域での匁格電流の低下は少なくなっ てはいるものの、鉄添加の場合と同様1'"'‑'2at%添加で、は 短絡電流の減少が見られた。中濃度領域でも、O.002mA以 上の忽格電茄が得られ、 10"‑'12at%の高濃度では無糊日よ

(5)

二酸化チタンの光電池特性および光触媒特性に及ぼす不純物添加の影響

結合中心として働くために、濃度を高くするにつれ短絡電 流が低下していると考えられる。中濃度領域では、励起さ れる電子がほとんど再結合してしまい、短絡電流が取り出 せないと考えられる。高濃度領域では図5に示したように、

実効的に禁止帯幅が減少しキャリア励起可能な光を大幅 に増加させるため、再結合も生じるがそれ以上のキャリア が生成され短絡電流が取り出せるのではなし、かと考えら れる。しかし、それほど大きな短絡電流の増加が得られな かったのは、禁止帯幅が減少したとは言え、キャリアが移 動するのは不純物で形成された部分(不純物伝導)であるの で移動度は極端に低下しており、そのことが短絡電流の増 加を阻害していると考えられる。図10にすでに示したよ うに、無糊日に比べ高濃度での時定数の数十倍の増加がそ のことを暗示している。

0.0035 

4砂 4

・ •

~ 0.0025 

Fe5500

。 。

費寝 園出霊15

• 。

0.001 

。 醐5

包三

10 

鉄濃度(at%) 15  20 

図 11  鉄添力I盟酸化チタンを用いた光電気化学電池の 短絡電流

インジウム添加酸化チタンの短絡電流を縦軸に、横軸を 酸化チタンに対する原子数の割合とし図12に示す。

10at%、12at%においてはインジウムを添加しなかった場 合よりも短絡電流が増加している。これは光吸収量の増加 に依ると考えている(図3、図4)。しかし添加濃度15at%、 20at%の焼成温度5000Cにおいては電池を構成せず電流が 取りだせない。

図13に不純物を添加していない酸化チタンを使用し た光電気化学雷也のI.V特性を示す。焼成温度3500Cでは 電池とLて機能しなかった。焼成温度を4000Cから550't まで変化させたが、光電気化学電池として機能しているこ

とがわかる。図14に作製した酸化チタンのX線回折スベ クトルを示す。図中のaはアナターゼを示す。括弧内は面

129 

まではアナターゼのピークが見られるが、 15a抄色、 20at%

で、は見られなかったo 無添加酸化チタンにおいて、光電気 化学電池として動作するためには酸化チタンの結晶化が 条件で、あったことと考え合わせると、 5000C焼成した高濃 度インジウム添加酸化チタンにおいて電池作用が失われ たのは、高濃度インジウム添加により酸化チタンの結晶化 が妨げられたからであると考えられる。

000.004045 

ム ム

In5000C

0.0035 In5500C

~ 0.003 

ム ム

梶.寝

0.0025 

 6

~

0.002  0.0015 

0.0005 

o  o 

5インジウム1

o

(at%)15  20 

図12 インジウム添加型酸化チタンを用いた 光電気化学電池の短絡電流の変化

350"C  400"C 450"C

500"C

550"C 

0.005  0.0045  0.004  0.0035  0.003  0.0025~

0.002

0.0015  0.001  0.0005 

0.4  0.35  0.3  0.25  0.2  ‑0.15  0.1  0.05  電圧(V)

図13 酸化チタンを用いた光電気化学電池のI‑V特性

01)

+ l l w

m

舘 ‑5000

‑4500

‑4000

‑3500

羽 田

28(dg) 

指数を表している。焼成温度3500Cでは回折線のピークは 図14 作製した酸化チタンのX線回折スペクトノレ 見られなかった。 4000C以上の焼成でアナターゼによる回

折ピークが見られた。このことから、光電気化学電池とし 3.3.光触媒相生

て作用するためには酸化チタンが結晶化していることが 酸化チタン表面への色素の吸着により 570n皿、 67伽 皿 に 必要であることがわかる。図15にインジウム糊口酸化チ 新たなピークが形成され、水銀ランプによる紫外光照射に タンのX線回折スベクトルを示す。インジウム濃度12at% より色素が退色していくことが実験により明らかとなっ

(6)

‑JrQl 一面企蛸

3)  3)  40 由 旬

28(deg) 

図15 インジウム添加酸化チタンのX線回折 スベクトノレ

0.1 

+Fe 

In

4

不2純物議度(a3t%

図16 色素分解時間の濃度依存性

た。退色の時間的な鑑品を明らかにするため、色素吸着図 前の吸光度を基準とし、紫外光照射による57m 光の吸 光度変化を求めた。紫外光照射開始近傍の直線部分を外挿 し、吸着色素の分解時間を求め、その逆数をもって分解速 度とした。結果を図16に示す。無納日酸化チタンにおい てその速度は最も速く、 0.08出血・

9

となった。鉄は少量の 糊日においても色素分解速度は低下する。その様子は電池 を構成したときの短絡電流のふるまい(図11)と良し、一

致を示した。しかし、 1at%以上の添加においては色素分 解速度は遅くなったまま一定となり。光電池講成時のよう

な高濃度添加における短絡電流の増加に相当する減少は 認、められなかった。光触媒作用においては光雷由講成時の ような内部電界は形成されず表面に形成される電子、正孔 が表面で分離し、還元点、酸化点となる。酸化チタンの全 体積における高濃度鉄不純物の増加が内部電界存在下に おいて再結合に優って電荷密度を増加させたのに対し、光 触媒作用では高濃度鉄脚日でも再結合が優勢となり、光分 解速度が低下したままになったと考えられる。インジウム 糊日においては、添加濃度を増加させても色素分解速度に はほとんど影響していない。光電池のときと同様、インジ ウムを添加してもほとんど再結合中心として働かないた め、表面で生成される電子、正孔の数がほとんど変化しな いためであると考えられる。

4

4.結論

添加酸化チタンは 10at%以上の添加で、長波長側の吸収 が大きく拡大した。価電子帯近傍の禁止帯中に生じた不純 物準位の密度が増加し、価電子帯と一体化することにより、

実効的な禁止樹高を減少させたためであろう。

インジウム添加酸化チタンは添加による吸光度の増加は ほとんど認められず、納日による電子状態の変化は少ない と考えられる。

鉄糊口の場合は低濃度(く2at%)であっても再結合中心

として作用し、電子、正孔密度を減少させるため、光電気 化学電池としての特性である開放電圧、短絡電流は著しく 低下する。さらなる添加(2'"'‑'5a仇)では短絡電流は低い状 態にとどまるが、 10at%以上の高濃度鉄脚日で、は、実効的 に禁止帯幅が減少し、長波長光による励起が可能となるた め短絡電流は増加する。しかし、その増加は無添加を若干 上回る程度にとどまる。

インジウムは添加しでも再結合中心として作用するこ とが少なく、電子状態に与える影響は少ないと考えられる。

耐日により短絡電流はわずかに増加するものの、光吸収特 性、時定数等、ほとんど変化しなかった。

鉄不純物の添加は低濃度('"'‑'labまで)は再結合中心と して働き、有効に酸化、還元作用をおこなわないため光触 媒磯能は低下する。このことは光電気化学電池の場合と同 様である。しかし、高濃度添加は光電気化学電池では光吸 収量の増加により電子、正孔の生成量が増加し、再結合を 超えるため、光電池機能が回復する。しかし、色素分解で は高濃度納日が表面での酸化点、還元点の増加につながら ず分解速度は遅いにとどまる。

インジウムは添加しでも再結合中心としてほとんど作 用しないため、表面に生成される電子、正孔の数がほとん

ど変化しないため、色素分解速度に関与しなし、。

鉄納日においては、低濃度糊日では再結合中心として働 くために電池特性、う鴎虫媒特性共に低下した。しかし、光 電池特性は高濃度励目することにより禁止帯幅が減少し、

光吸収量が増加し、回復することが確認できた。インジウ ム添加においては、インジウムはほとんど再結合中心とし て働かないため、光電池特性、光触虫期寺性ともにほとんど 変化がみられなかった。

酸化チタンへの化学的不純物添加は従来有効ではない とされてきた。しかし、光電気化学電池に使用する酸化チ タンには化学的不純物添加は有効であると確認できた。ま た、請訓する不純物の種類や濃度を検討することで、飛躍 的に光電池特性の向上が望めるかもしれない。

参考文献

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