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日本内科学会雑誌第105巻第9号

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(1)

はじめに

進行非小細胞肺がんの治療成績は明らかに向 上している.2007年に報告された4種類の抗が ん薬 2 剤併用療法を比較した第III相臨床試験 (FACS研)での生存期間中央値は1年前後であっ たが1),PS(performance status)良好なIV期EGFR (epidermal growth factor receptor:上皮増殖因 子受容体)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん症 例のEGFR-TKI(EGFR―チロシンキナーゼ阻害薬) 投与例の生存期間中央値は約 2~3 年と著明に 改善している(図1).二次治療に有効な抗がん 剤が同定され,実地診療に導入されたことも生 存期間の延長に寄与している.EGFR-TKIに引き 続き,EML4(echinoderm microtubule-associated protein-like 4)-ALK(anaplastic lymphoma kinase)阻害薬などの分子標的治療薬が臨床の 現場に導入され,進行肺がんの予後の改善に寄 与している.さらに,2015年末,日本でも免疫 チェックポイント阻害薬であるnivolumabが進 行非小細胞肺がんに適応拡大され,肺がん治療 はパラダイムシフトを迎えている.

1.driver遺伝子の同定

Driver遺伝子とはがん細胞の発生・増殖,生 存の維持に関与する遺伝子変異であり,その変 異が発がんに極めて重要な役割を果たすものを 指す.一方,passenger遺伝子とは,発がん・増 殖に影響せず,遺伝子の不安定性や細胞分裂過 程で偶然に発生しただけの遺伝子変異をいう. 日本人においては約 50%の腺癌でEGFR変異が 陽性であり,それ以外にもK-ras,EML4-ALK融 合遺伝子,MET増幅/過剰発現,HER2過剰発現,

BRAF変異,RET融合遺伝子,ROS1再構成などの

driver遺伝子の異常が,各々,15%,5%,4%, 3%,1%,1%,1%陽性であることが報告され ている(図 2)2).日本人は欧米人(白人)と比 べてEGFR変異の割合が多い.現在,これらの driver遺伝子異常を標的とする分子標的治療薬 順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科学

113th Scientific Meeting of the Japanese Society of Internal Medicine:Educational Lecture:14. Molecular target therapy for lung cancer.

Kazuhisa Takahashi:Department of Respiratory Medicine, Juntendo University Graduate School of Medicine, Japan. 本講演は,平成28年4月17日(日)東京都・東京国際フォーラムにて行われた.

肺がんの分子標的治療

高橋 和久

(2)

が臨床に導入,あるいは治験,開発の段階にあ り,肺がんの予後改善には,治療前にこれらの driver遺伝子を同定することが重要である.実 際,gefitinib承認前と承認後のEGFR変異陽性症 例の予後は承認後がはるかに良好であり,ALK 陽性でcrizotinibの投与を受けなかった症例は, 受けた症例に比べて極めて予後不良である.ま た,米国のがん拠点病院での後ろ向き研究で も,同様の結果が報告されている3).このこと は,driver遺伝子が存在する症例については, どこかの時点で阻害薬である分子標的治療薬を 使用することが必要であることを意味する.

2. 日本で承認されている

肺がんに対する分子標的治療薬

現在,日本で肺がんにおいて使用可能な分子 標的治療薬は,EGFR-TKI,ALK阻害薬,血管新 生薬であるbevacizumabであるが,2015 年暮れ に, 免 疫 チ ェ ッ ク ポ イ ン ト 阻 害 薬 で あ る Nivolumabが肺がんにおいても保険診療下で使 用可能になり,肺がん治療に新たな局面をもた らしている.本稿では,EGFR-TKI,ALK阻害薬, 免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1 抗 体について概説する.

3.EGFR-TKI

現在,日本で保険収載されているEGFR-TKIは 図2 日本人肺腺がんにおける driver遺伝子変異の頻度2) EGFR変異は50%の肺腺がんが陽性であ り,EML4-ALKは約5%の肺腺がんが陽性 である. EGFR 50% KRAS 15% ALK 5% MET 4% HER2 3% BRAF 1% Unknown 22% 図1 非小細胞肺がんの治療成績の変遷(全生存期間) EGFR変異陽性非小細胞肺がんはEGFR-TKI(gefitinib,erlotinib,afatinib)を使用 することで,2年を超える生存期間が得られる. 0 10 20 30 40 50 全生存期間(月) ジオトリフ® :afatinib タルセバ®:erlotinib イレッサ®:gefitinib アバスチン®: bevacizumab(Beva) アリムタ®:pemetrexed(PEM) BSC:最大支持療法 EGFR変異陽性+ Afatinib EGFR変異陽性+ Erlotinib EGFR変異陽性+Gefitinib シスプラチン2剤併用+Beva シスプラチン+PEM シスプラチン2剤併用 単剤 BSC

(3)

gefitinibとerlotinib(以上,第1世代のEGFR-TKI), afatinib(第 2 世代のEGFR-TKI)の 3 種類である が,2016 年 3 月末にこれらEGFR-TKIで耐性と なったT790M陽性の非小細胞肺がんに対する 特 異 的 阻 害 薬 で あ るosimertinib( 第 3 世 代 の EGFR-TKI)が日本でも承認された.いずれの EGFR-TKIもEGFR変異(エクソン 19 の欠失,エ クソン21の点突然変異(L858R)など)がある と効果が高い4).第1世代のEGFR-TKIはいずれも EGFRの細胞内ドメインのATP結合部位に競合 阻害するが,可逆的TKIであり,耐性化しやす い.一方,第 2 世代のEGFR-TKIであるafatinibは 不可逆的EGFR-TKIである.アジアで行われた国

際共同臨床試験iPASS studyで,EGFR変異陽性例

に対してgefitinibは標準的化学療法よりも無増 悪生存期間(progression-free survival:PFS)を 有意に延長させることが報告された5).その後 に行われた国内外の複数の同様の試験でも同じ 結果が得られ,gefitinib,erlotinib,そしてafa-tinib,いずれもEGFR変異陽性例に対して使用す るとプラチナダブレットよりも有意にPFSが延 長することが示された(図3)6,7).現在の肺癌診 療ガイドラインにおいては,EGFR変異陽性例に 対しては 1 次治療としてのEGFR-TKIの使用が推 奨されている(推奨レベルgrade A).これら第 1 および第 2 世代のEGFR-TKIの効果は第III相試 験におけるPFSを比較すると,afatinib>erlotinib >or=gefitinibの順で効果が高い(図4 ).EGFR-図3 EGFR変異陽性非小細胞肺がんにおけるEGFR-TKIと抗がん薬の無増悪生存期間の比較第Ⅲ相試験6,7) EGFR変異陽性非小細胞肺がんにgefitibを1次治療で用いると抗がん薬(A:CBDCA+PTX, B:CDDP+DOC) よりも無増悪生存期間を有意に延長する. Median PFS (95% CI)HR Gefitinib 10.8 mo 0.30 (0.22-0.41) p<0.001 Log-rank test CBDCA+PTX 5.4 mo A:NEJ002 study

Maemondo M et al:N Engl J Med:362, 2380-88, 2010

Progression-free Survival

(%)

Months since Randomization Gefitinib (N=114) CBDCA+PTX (N=110) Median PFS (95% CI)HR Gefitinib 9.6 mo 0.520 (0.378-0.715) p<0.001 Log-rank test CDDP+DOC 6.6 mo B:WJTOG3405 study

Mitsudomi T et al. Lancet Oncology:11, 121-8, 2010

0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 0 6 12 18 24 30 0 10 20 30 40 36 42 48 54 60 66 Months since Randomization

Progression free Survival

(%)

Gefitinib (N=86) CDDP+DOC (N=86)

(4)

TKIの副作用は,EGFR-TKIの種類によって異な る.皮膚毒性は共通の副作用だが,肝障害は gefitinibに多く,下痢はafatinibに多い.肺毒性 であるILD(interstitial lung disease)は,頻度は 少ないものの,いずれのTKIでも 4~5%程度生

じ,1%弱が致死的である(図 5)8).一方,第 1

世代あるいは第 2 世代のEGFR-TKIを 9~14 カ月 使用すると耐性が生じることが知られている. EGFR-TKIの耐性機序の 50%はgate keeper gene といわれるT790M(790 番目のスレオニンがメ チオニンに変異する)であるが,それ以外にも METやHGFの過剰発現,小細胞肺がんへのtrans-formationなどが報告されている(図 6)9) .Afa-tinibはgefitinibとerlotinibと 違 い, 不 可 逆 的 EGFR-TKIであり,gefitinib,erlotinib耐性例に効 果が期待されたが,単剤でのこれら耐性症例へ の効果は不十分である.最近,T790Mに対する 特異的阻害薬である第 3 世代のEGFR-TKIである osimertinibが承認され,第1,2世代耐性例に対 して高い有効性が示されている10).Osimertinib 図4 各種薬剤のEGFR変異陽性(Exon19 del/L858R)非小細胞肺がん症例における 無増悪生存期間 抗がん薬を使用した場合の無増悪生存期間が6カ月ほどであったものが,gefitinibで10カ月 程度,erlotinibで11カ月程度,afatinibで13カ月程度延長する. 6.3 9.2 10.8 11.5 9.7 11 12.5 13.1 13.6 13.8 0 2 4 6 8 10 12 14

gefitinib erlotinib afatinib

chemo LUX-Lung3JPN pts LUX-Lung3 OPTIMAL JapanP II (L858R) EURT AC NEJ002 (L858R) NEJ002 (del19) WJTOG3405 WJTOG3405 (Cis/DOC) JapanP II (del19) 図5 EGFR変異陽性患者でのEGFR-TKIによる各種毒性比較 2004~2014年にかけて行われた前向き21臨床試験(1,468症例)の統合解析8).Gefitinibでは肝障害の頻 度が高く,afatinibでは皮疹と下痢の副作用が多い.間質性肺炎の頻度は薬剤間で変わりなし.*p<0.05

Gef Erlo Afa 肝障害 A 20 15 10 5 0 * * 皮疹 下痢 間質性肺炎 Fr eq uenc y of g ra de >_ 3 to xi ct y( %)

Gef Erlo Afa B 20 15 10 5 0 * * Fr eq uenc y of g ra de >_ 3 to xi ct y( %)

Gef Erlo Afa C 20 15 10 5 0 * Fr eq uenc y of g ra de >_ 3 to xi ct y( %)

Gef Erlo Afa D 20 15 10 5 0 Fr eq uenc y of g ra de >_ 3 to xi ct y( %)

(5)

は野生型のEGFRを阻害しないため,皮疹などの 副作用が少ないのが特徴である.一方,耐性獲 得までの期間を遅らせる,あるいはEGFR-TKIの さらなる効果を目指し,第1,2世代EGFR-TKIに 抗がん薬,血管新生阻害薬などを併用する臨床 試験も進行中である.

4.ALK阻害薬

EML4-ALKは日本で発見された融合遺伝子で 肺発がんを引き起こす極めて強力なdriver遺伝 子である11).2番染色体の短腕上にあるEML4 ALKの 2 つの遺伝子が転座により逆向きに結合 した融合遺伝子である(図 7).ALKは肺腺がん の 5%程度で陽性であり,その検出のゴールド ス タ ン ダ ー ド はFISH(fluorescence in situ hybridization)であるが,PCRや免疫組織染色も 用いられる.日本において保険診療下で使用可 能なALK-TKIには,crizotinibとalectinibがある. また,2016 年 3 月末にceritinibが承認された. CrizotinibはALK,c-MET,ROS-1阻害作用を有す る多標的TKIで,第 1 世代のALK-TKIである.既 治療例に対するcrizotinibの奏効率は約 60%で ある.主な副作用としては,複視などの視覚障 害,消化器症状,肝機能障害,腎機能障害など が報告されているが,重篤な副作用はEGFR-TKI 同様,間質性肺炎である.既治療,さらに未治 療 のALK転 座 陽 性 非 小 細 胞 肺 が ん に 対 す る crizotinibと化学療法の第III相試験が実施され, いずれもcrizotinib群が化学療法群よりもPFSが 図6 日本人EGFR変異陽性非小細胞肺腺がんの EGFR-TKI耐性機序9) 第1世代あるいは第2世代のEGFR-TKIで耐性となった 約50%の症例はthreoninがmethioninに変異する2次 変異(T790M)が機序であり,それ以外にMetの過剰 発現や小細胞肺がんへの形質転換などが耐性機序と して報告されている. EGFRT790M and rare second site mutations (60%) HER2 amplification (12%) Unknown (18%) Small-cell transformation (6%) MET amplification (4%) 図7 ‌‌2種類の遺伝子が融合することによって生じた がん遺伝子EML4-ALK融合遺伝子11) 2番染色体の短腕上には微小管会合蛋白:EML4(echinoderm microtubule-as-sociated protein-like 4)と受容体型チロシンキナーゼ:ALK(anaplastic lym-phoma kinase)が存在している.EML4-ALKは,EML4 とALKが切断され,逆 向きに融合した融合遺伝子であり,強力ながん遺伝子である.

微小管会合蛋白

EML4(echinoderm microtubule-associated protein-like 4) 受容体型チロシンキナーゼ

ALK(anaplastic lymphoma kinase)

Exon 21 297bp Exon 13 variant 1 発現頻度: 腺がん 4%(26/662) 7 fusion variants 2番染色体短腕 ALK EML4 EML4-ALK ~ 3.6 kb

(6)

有意に良好であった12).一方,alectinibはALK 択的に強い阻害作用を有する第 2 世代のALK-TKIである.国内で実施された第I/II相試験では, ALK転座陽性非小細胞肺がんに対して,奏効率 は 93.5%であった13).海外の第I/II相試験では, crizotinibによる治療歴のあるALK転座陽性非小 細胞肺がんに対して,alectinibは 55%の奏効率 を示した.最近,crizotinibとalectinibを1次治療 で使用し,その効果(PFS)を比較した第III試験 が実施され,alectinibのPFSがcrizotinibより有意 に長いことが明らかになった.Crizotinib,alec-tinibはEGFR-TKI同様,長期使用により耐性にな ることが知られている.機序はEGFR-TKIと同 様,gate keeper geneである14).耐性機序の違い か らcrizotinibが 耐 性 と な っ た 症 例 の 50% は alectinibが有効であるが,逆にalectinibに耐性例 にはcrizotinibの効果は乏しい.Ceritinibはalec-tinibと比較して効果は同等であるが,消化器毒 性などの副作用がcrizotinibとほぼ同等である.

5.その他の分子標的薬

ROS1再構成は日本において腺がんの1%にみ られる稀なdriver遺伝子であるが,最近,crizo-tinibが有効であることが報告された15).また, 日本で発見されたRETはROS1同様,腺がんの 1%に陽性であるが,それを制御する分子標的 薬vandetanibの臨床試験が進行中である.

6.免疫チェックポイント阻害薬

本来生体が保有する腫瘍を排除する機構(免 疫力)を回復させる免疫チェックポイント阻害 薬であるnivolumabは細胞傷害性T細胞(cyto-toxic T-lymphocyte:CTL)の活性化を阻止する PD-1 を介するシグナルを遮断する抗PD-1 抗体 でありCTL活性化を誘導する(図 8).プラチナ 既治療の進行扁平上皮肺がん,および進行非扁 平上皮非小細胞肺がんを対象として,標準的治 療であるdocetaxelとnivolumabの効果を比較す る第III相試験が実施された16,17).いずれの試験 も主要評価項目は全生存期間(overall survival: OS)である.扁平上皮がんを対象としたCheck-Mate01716), 非 扁 平 上 皮 が ん を 対 象 と し た Check-Mate057試験(図9)17)ともに,nivolumab はdocetaxelよりも有意にOSを延長し,米国で 2015 年に進行非小細胞肺がんに承認となった. 2015 年 12 月には日本においても進行・再発非 小細胞肺がんに適応拡大になった.Nivolumab が奏効する患者を同定するいわゆるバイオマー 図8 免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体:nivolumab)の作用機序 T細胞表面にはPD-1が存在し,がん細胞表面のPD-L1と結合することで,T細胞 の活性化を抑制している.抗PD-1抗体:nivolumabはT細胞表面のPD-1に結合 することで,PD-1を介するT細胞抑制シグナルを遮断する.そのため,T細胞が 活性化し,腫瘍細胞を攻撃できるようになる.

(Luis Paz-Ares at 2015 ASCO Annual Meetingより一部改変) Tumor cell

Nivolumab:PD-1 Receptor Blocking Ab

Dendritic cell

T cell

T-cell

receptor receptorT-cell NFκBPI3K Other MHC MHC PD-L1 PD-L1 CD28 B7 PD-L2 PD-L2 PD-1 PD-1 PD-1 PD-1 Shp-2 Shp-2 IFNγR IFNγ

(7)

カーとして,腫瘍組織におけるPD-1のリガンド であるPD-L1 の発現が検討されている.実際, Check-Mate057 試験における非扁平上皮がんに おいては,PD-L1 の発現が高いほどnivolimabの 図9 再発非扁平上皮非小細胞肺がんにおけるnivolumabとdocetaxelとの全生存期間の比較 Nivolumabは2次治療の標準的治療であるdocetaxelに比較して生存期間を有意に延長する17)

(HR=073,96%信頼区間:0.96-0.89)(Luis Paz-Ares at 2015 ASCO Annual Meetingより一部改変)

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 0 3 6 9 12 15 18 21 24 27

number of patients at risk nivolumab docetaxel 292290 232244 194194 169150 111146 12388 6234 3210 95 00 O S(%) 1-yr OS rate=39% 1-yr OS rate=51% Nivolumab nivolumab (n=292) CheckMate 057

Symbols represent cansored observations.

SLIDES ARE THE PROPERTY OF THE AUTHOR. PERMISSION REQUIRED FOR REUSE. time(months) mOS,mo HR=0.73(96% Cl:0.59,0.89);P=0.0015 12.2 9.4 docetaxel (n=290) Docetaxel 図10 ‌‌再発非扁平上皮非小細胞肺がんにおける腫瘍組織内PD-L1発現別全生存期間比較(nivolumab vs. docetaxel) PD-L1発現が高い腫瘍は低い症例よりもnivolumabの効果が高い.非扁平上皮非小細胞肺がんにおいて腫瘍組織 のPD-L1発現はnivolumabの効果予測因子の1つである可能性がある.

(Luis Paz-Ares at 2015 ASCO Annual Meetingより一部改変)

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 0 HR(95% Cl)=0.59(0.43,0.82) 3 6 9 12

time(months)15 18 21 24 27 time(months) time(months)

Nivo Doc Nivo Doc 17.29.0 >_1% PD-L1 expression level mOS(mo)10090 80 70 60 50 40 30 20 10 0 0 HR(95% Cl)=0.43(0.30,0.63) 3 6 9 12 15 18 21 24 27 Nivo Doc 18.28.1 >_5% PD-L1 expression level mOS(mo)10090 80 70 60 50 40 30 20 10 0 0 HR(95% Cl)=0.40(0.26,0.59) 3 6 9 12 15 18 21 24 27 Nivo Doc 19.48.0 >_10% PD-L1 expression level mOS(mo) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 0 HR(95% Cl)=0.90(0.66,1.24) 3 6 9 12

time(months)15 18 21 24 27 time(months) time(months)

Nivo Doc Nivo Doc 10.410.1 <1% PD-L1 expression level mOS(mo)10090 80 70 60 50 40 30 20 10 0 0 HR(95% Cl)=1.01(0.77,1.34) 3 6 9 12 15 18 21 24 27 Nivo Doc 10.19.7 <5% PD-L1 expression level mOS(mo)10090 80 70 60 50 40 30 20 10 0 0 HR(95% Cl)=1.00(0.76,1.31) 3 6 9 12 15 18 21 24 27 Nivo Doc 10.39.9 <10% PD-L1 expression level mOS(mo)

Symbols represent cansored observations.

SLIDES ARE THE PROPERTY OF THE AUTHOR. PERMISSION REQUIRED FOR REUSE.

CheckMate 057

O

S(%)

O

(8)

効果が高いことが報告されている(図 10).一 方,Check-Mate017 試験における扁平上皮がん 症例においては,PD-L1の発現の多寡によらず, nivolumabが有効であることから,PD-L1以外の バイオマーカーも検討されている.Mutation burden,neoantigenなどもnivolumabの効果を推 測するバイオマーカーとしての有用性が示唆さ れている.現在,nivolumab以外の抗PD-1 抗体 としてpembrolizumabの試験が行われ,米国で 承認された.日本においては治験が進行中であ る.また,リガンドであるPD-L1 に対する抗体 製剤であるatezolizumabとMEDI14736 に関する 治験が進行中である.Grade3 以上の副作用は, Check-Mate017,057 試 験 と も に 10% 以 下 と docetaxelよりも少ない.しかし,免疫関連有害 事象として,内分泌機能異常(甲状腺機能異常, 下垂体機能異常,1 型糖尿病),大腸炎,重症筋 無力症などが報告され,注意が必要である.ま た,頻度の詳細は不明だが,間質性肺炎(inter-stitial lung diseases:ILD)も報告されている.

おわりに

非小細胞肺がん,特にdriver遺伝子変異陽性の 非小細胞肺腺がんの分子標的治療薬の効果は promisingであり,予後は劇的に向上している. Driver遺伝子変異陽性症例に対しては分子標的 治療薬を投与することが高い治療成績を維持す るために必須である.肺がんに対するEGFR-TKI とALK-TKIは 各 々 複 数 の 薬 剤 が 上 市 さ れ て い る.各薬剤の効果と有害事象のプロファイルを 理解して適正に使用することが重要である.一 方,これらの分子標的治療薬は使用後 1 年ほど で耐性になることが知られており,臨床的に克 服すべき課題である.最近,第1,2世代のEGFR-TKI耐性例のうち,約半数に有効な第 3 世代の EGFR-TKIが承認され,今後,その高い有効性が 期待されている.また,本来生体が備えている 免疫学的監視機構を再活性化する抗PD-1 抗体, いわゆるチェックポイント阻害薬が再発非小細 胞肺がんで承認となった.従来の 2 次治療の標 準的治療薬であるdocetaxelに比較して有意の 生存期間を延長することが示され,そのポジ ショニングが課題である.肺がん,特に非小細 胞肺がん治療はまさにパラダイムシフトの時代 を迎えた. 著者のCOI(conflicts of interest)開示:高橋和久;講演 料(アストラゼネカ),研究費・助成金(アストラゼネ カ,小野薬品工業,大鵬薬品工業,中外製薬)

(9)

文 献

1) Ohe Y, et al : Randomized phase III study of cisplatin plus irinotecan versus carboplatin plus paclitaxel, cisplatin plus gemcitabine, and cisplatin plus vinorelbine for advanced non-small-cell lung cancer : Four-Arm Cooperative Study in Japan. Ann Oncol 18 : 317―323, 2007.

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18) 日本肺癌学会:EBMの手法による肺癌診療ガイドライン 2015.https://www.haigan.gr.jp/modules/guideline/ index.php?content_id=3

参照

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