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Kyushu University Institutional Repository
海岸クロマツ林の維持・管理法に関する基礎的研究 : Haskell座標による複層林の林分密度管理法
増谷, 利博
https://doi.org/10.11501/3099966
出版情報:Kyushu University, 1994, 博士(農学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
海岸クロマツ林の維持 ・ 管理法lこ関する基礎的研究 一Haskell座標による複層林の林分密度管理法 一
増谷利博
目 次
第1章 緒 圭品b開‘
1.1. 研究の 目 的
1. 2. 既往の研究 2
1. 3. 論文の構成
第2章 海岸クロマツ林の林型区分
2. 1. 林型区分の必要性
2. 2. 対象地の概要
2. 3. 林型区分法 一多変量解析の適用一 8
2. 4. クラスター分析による林型区分 11
2. 5. 主成分分析による林型の意味付け 14
2. 6. 林型の相互関係 16
2. 7. 考 察 20
第3章 被害林の林分構造の変化 22
3. 1. マツノザイセンチュウによる海岸クロマツ林の被害 22
3. 2. 枯死木のパターンと林分動態予測モデル 22
3. 3. 固定プロ ットの概要 23
3. 4. 林分構造の変化 24
3.4.1. 立木本数及び枯死率の変化 25
3. 4. 2. 直径分布の変化 27
3. 4. 3. 枯死木, 残存木の空間パターンの経年変化 31
3. 5. 考 察 34
第4章 樹幹解析による老齢木の成長解析 37
4. 1. 成長解析の意義 37
4. 2. 資 料 37
4. 3. 絶対成長 39
4. 3. 1. 総成長量 39
4. 3. 2. 連年成長量 44
4. 3. 3. 絶対成長の特性 51
4.4. 相対成長 55
4. 4. 1. 解析方法 55
4. 4. 2. 相対成長の解析結果 56
4. 4. 3. 相対成長の特性 66
4. 5. 考 察 67
第5章 Haskell座標による複層林の林分密度管理法 70
5. 1. 林木の相互作用 70
5. 2. Haskell座標 71
5. 3. 林分の競争状態に対するHaskel1座標の適用 76
5. 4. Haskell座標による林分密度管理法 82
5. 5. 考 察 89
第6章 総 括 92
6. 1. 研究の要約 92
6. 2. 総括的考察 93
謝 百平 97
引用文献 98
第1章 緒 論
1.1. 研究の目的
わが国の海岸林は 海岸地帯の生産や活動の場を飛砂・ 潮風・ 高潮等による被害か ら保護するため, 400年以上も前から造成されてきた. しかし, 海岸林の成育環境は 元来, 劣悪な条件下にあることから長期にわたって保育・ 保護されなければ, 容易に 成林し がたいために, 今日の海岸林の存在には多くの先人の並々ならぬ苦心と努力が あった.
一方, 海岸林の有する意義あるいは役割は時代とともに変遷しつつある. つまり,
防災機能だけでなく 保健・休養・風致・ 自然、教育等の場として多様に利用される環 境の森林へと変化しつつある.
しかし, 現下の海岸林の実態、は地域的にかなり異なるものの 飛砂 ・ 塩害防止のた めに森林の造成が必要な地域, 造成された林帯が著しく侵食されている地域, 既存の 森林の保育・ 更新の必要な地域等さまざまな状態を呈している. 特に, マックイムシ の激害地で, しかも都市に近く, 管理・ 保全が十分に行われていない場所ほど, 海岸 林の荒廃, 換言すれば林型〈林分構造〉の多様化が進んでいると言われている.
このような海岸林をこのまま推移させた場合, 多面的な環境保全機能が低下してい くことは否めない. 健全な森林が成立しない限り, 防災的な働きはもとより, アメニ ティを享受できる環境にも成り得ないであろう. 先人の労苦の結品として受け継いで きた緑の遺産を守り, 育成し, 海岸林のあるべき林型へと誘導することが必要である.
以上のような状況から, これまでに造成された海岸林を公益上, 必要な限度におい て, いかにして維持, 育成するかが大きな問題となっている. 特に マックイムシの 被害を受け, 多様な林分構造を呈する海岸クロマツ林の維持・管理法の開発が必要不
可欠である.
そこで, 本論文は多様な林型を呈する海岸クロマツ林の維持・ 管理に関する基礎資
料を収集解析し, その結果 から, 林型に応じて適切に海岸クロマツ林を維持 ・ 管理す
るための林分密度管理法を明らかにすることを目的とした.
1. 2. 既往の研究
海岸林に関する研究は, 従来, いわゆる海岸砂防の分野が主であった. そのため,
海岸砂防に関する技術は一応, 確立されていると考えられる(田中,1992). 一方, 造
林後, 20--- 30年を経過した クロマツの造林地が全国的に広く分布し, 除 ・ 間伐の手遅 れ林分が多いことから, 間伐試験が行われるようになってきた. 間伐後, 数年が経過 し, 間伐効果が認められた研究例はきわめて少ないが, それらについて述べると次の
とおりである.
森(1981)が山形県酒田市で 行った間伐の結果は次のとおりであった. 林齢13年生の
クロマツ林で50%の本数間伐を実行した結果 , 間伐6年後, 間伐林分では枯死は認めら
れなかったが, 無間伐林では約10%の立木が被圧により枯死した. また, 間伐林分は
無間伐林分に比べて, 直径が大きく, 枝下高が低い樹形となり, 樹冠直径も10完程度
大きくなっていた.
小田(1984)は千葉県の九十九里浜で相対密度に基づく間伐試験を行った. 劣勢木の
伐倒を原則とし, 2年間隔で3 ---4回, 1回の本数間伐率を約20---40%とし, 間伐開始8年
後の結果は次のとおりであった. なお , 相対密度(P r)とは, ある林分 の立木密度
( P 1)と, その林分と同一胸高直径の林分が保ち得る最多密度(P k)との比率であ り, 次式で表される.
Pr= (Pl/Pk) x100完
最多密度は3/2乗則線(または最多密度曲線)上の立木本数である.
相対密度40--- 60%に抑えられた間伐林分は, 形状比(樹高/胸高直径)が低下し, 1
- 2 -
0に漸近しつつあり, 枝下高率も約40--55%で, 一定あるいは低下傾向にあった. しか
し, 相対密度が65完を越えた間伐林分では, 形状比は 90前後でほぼ一定, 枝下高率は
約55--60完で増加傾向にあった.
次に, 具体的な間伐方法 に関する研究例は少なく, 相対密度を用いる方法, 枝下高
を用いる方法, 直径階別本数間伐率に基づく方法 の3つの方法が提案されている が,
その概略について述べる.
(1)相対密度を用いた間伐法(小田.1984)
九十九里浜クロマツ林は相対密度50--55% (樹高約3m)でうつ閉することから, 相
対密度が60完を越えないうちに第1回目の間伐を実行する. 適正密度は, 林木の生育
環境と防災機能との両面によって規定されねばならないことから, 林木が良好な生育
を示し, 同時に防災機能が高度に発揮されるような密度が適正密度として望ましいと
述べている. しかし, 間伐後の生育環境及び防災機能の推移に関する報告はほとんど
なく未知な部分が多いため, 林分のうっ閉状態を大きく破らない, 並び に枝下高率,
形状比 をある程度低く抑える, という2つの条件下で適正密度を考え, うっ閉開始密
度は 相対密度50--55% 前後が望ましいとしている.
(2)枝下高を用いた間伐法(金沢ら.1987)
金沢らは茨城県や千葉県, 山形県等の海岸林の調査資料をもと に, 相対樹高(RII)別
の枝下高を立木密度と 樹高との関係で示した枝下高管理図を提唱している.
RIl=H/Hmax
ここに, Hは平均樹高(m), Hmaxは最高樹高(m)であり, この方法では RHがo. 8で10.000
本/ha植栽の林分の場合, 枝下高を2mに保つには, 樹高が4m!こ達する前に間伐を実行 し, 間伐により5.000本/haになった林分は5mに達する前に再び間伐を行う必要があ
る.
(3)直径階別本数間伐率に基づく方法(柿原 ・ 木梨.1984a.1984b.1985)
柿原 ・ 木梨は九州、!大学早良演習林において, クロマツ人工林の間伐試験地の設定に あたり , 直径階別本数間伐率に基づく間伐法を提案している. この方法は直径の揃っ た林分の育成を目的としていることから, 間伐直後の林分のワイブル分布の位置のパ ラメータであるaが増加し, しかも形状パラメータcも増加させる間伐法であって,
具体的には次の要領で行う.
最小直径階の林木はすべて間伐し, 直径が大きくなるに従って, 直径階別本数間伐 率(p)を徐々に減少させ, 相対直径(R)が30%付近で Pを50%程度とする. なお, Rは次式 で表される.
Ri=((di-dmin)/(dmax-dmin)) x 100児
ここに, d iは各直径階, dmaxは最大直径階, dminは最小直径階である.
その後, さらにPを落とし, R=50--60% (平均直径)付近でp=Oになるようにする.
以上, これまで に提案されたクロマツ林の密度管理法について概説した. 防風保安 林として造成された海岸林は非経済林であるため, スギ ・ ヒノキ等の人工林のように 生産目標を設定して施業されることはなかった. そのため, 林分密度管理に関する研 究はきわめて少なく, また, それらの研究も人工林(一斉林〉の除 ・ 間伐が主であり,
近年, 数多くみられるようになった複層林(異齢林)に関する研究は皆無といってよ い状況である.
間伐は個体聞の競争を緩和し, 同時に不良木を除去することを目的としているので,
一斉林型を呈している林分に対しては適用可能であるが , 複層林に対しては適用不可 能である. マックイムシの被害により 林型が多様化した海岸クロマツ林の現状から見 た場合, 林型によっては, 個体間競争を増加させる必要がある林分も見られる. した がって, 今後の海岸クロマツ林の維持 ・ 管理に当たっては, 個体間競争の緩和及び増 加にも対応可能な密度管理法の開発に関する研究が 必要である.
- 4 -
1. 3. 論文の構成
本論文はマックイムシによる被害を受け, 多様な林型で構成されている海岸クロマ ツ林の林分密度管理の方法を明らかにすることを目的とし, 6章で構成されている.
第1章では海岸クロマツ林の重要性と現状, 及び非経済林であるクロマツ林の一斉 林における密度管理法について概説し, 林型別の密度管理法の必要性について述べて いる.
第2章ではマックイムシによる被害後の林分構造を把握するために, 多変量解析を 用いて林型区分を行い, 各林型の林分構造から, 従来の人工一斉林の密度管理方法で 対応可能な林分と対応不可能な林分(複層林)の存在を明らかにしている.
第3, 4章では林分動態予測jモデル, 成長予測モデルによる密度管理法の開発が可 能かどうかを検討するために, 第3章では枯死率と直径の大きさとの関係, 直径分布 の経年変化, 枯死木及び残存木の空間パターンの経年変化について解析し, 第4章で は老齢木の樹幹解析の資料を用いて, 直径及び樹高成長の特性, 相対成長関係につい て明らかにした. また, それらの結果から, 特殊な環境下にある海岸クロマツ複層林 に対しては, 既往の林分動態予測モデル, 成長予測モデルが適用できないことを明ら かにしTこ.
第5章では相互作用に基づくHaskel1座標について概説し, Haskel1座標を用いれば,
クロマツ複層林における上層木と下層木との競争状態を表現できることを明らかにし,
その結果から, 複層林の林分密度管理法について述べた.
第6章は研究の要約と, 海岸クロマツ林の維持・管理に関する総括的考察である.
第2章 海岸クロマツ林の林型区分
2. 1. 林型区分の必要性
海岸林は厳しい自然条件の地に, 永年にわたり多くの人々の努力によって造成され,
防風・防砂 ・防潮等のための海岸防災林としての機能を果たしてきた. さらに, 近年 になって海浜の観光利用, レクリェーショ ン利用が盛んになり 生活環境保全林や保 健休養林として活用される傾向が次第に高まりつつあり 従来の保安林に対する考え 方も変化してきており, 各地に保健休養林等が設定されている〈筒井,1991).
このように海岸保安林の役割は重要度を増しつつあるが 昭和40年代後半から急激 に増加したマックイムシ被害によって海岸クロマツ林は多様な林分構造となっており,
防風・防砂 ・防潮, 景観維持あるいはレクリェーショ ンのための機能を十分に発揮で きるような林分構造とは言い難い林分も多く見受けられる. 例えば, 除・ 間伐の手遅 れにより過密となった若齢の一斉林や, 大径木がきわめて疎に点在するのみで後継樹 が育っていない林分等も多く, 一斉林型から異齢林の複層林型を呈する林分まで多種 多様な林分が存在するため, 林型に応じて適切な維持・ 管理を行うことにより, 防風 保安林, 景観維持, あるいはレクリェーショ ンのための機能を発揮する林分へと誘導 する必要がある. そのためには, 維持・ 管理が実行しやすいように, まず, 多様な林 分構造を呈している海岸林の林型区分を行い, 区分された林型ごとに取り扱いの方法 を定めていくことが必要であろう.
そこで, 本章では海岸クロマツ林のプロ ット調査の結果に多変量解析法を適用して 林型区分を行い, 林型の区分, 類型化の妥当性について検討するとともに, 林型の相 互関係を明らかにし, その結果から林型別の保育方法について検討した.
林型区分に多変量解析法を適用した報告は多く, 例えば, 西川(1975)は天然林の 分類において, 直径階別本数密度に対してクラスター分析と主成分分析を適用し, 田
- 6 -
中ら(1987)は樹種群別直径階別本数密度を解析している. また, 航空写真判読と多変 重解析法を組み合わせて天然、生広葉樹林を大径木, 中径木ごとの本数, 変動係数を用 いて解析した報告(Cha塁上�, 1988)もある. 本報告では, 森林計測の分野で最も一 般的に林分構造を表示する数値, つまり, 平均直径及び平均 樹高, 直径及び樹高の変 動係数, 最高樹高, ha当たり断面積, ha当たり材積, ha当たり本数を用いて, クラス ター分析及び主成分分析を適用した. このことは, 通常の林分調査の結果を直接用い て林型を区分できる利便性からである.
2. 2. 対象地の概要
対象とした海岸クロマツ林は福岡市西区に所在する九州大学農学部附属福岡演習林 早良実習場(旧早良地方演習林, 通称生の松原〉と, 佐賀県唐津市及び東松浦郡浜玉
町に跨がる虹の松原である.
生の松原は博多湾に面し, 面積は約50haで, クロマツを主とする海岸林であり, 防 風保安林及び玄海固定公園に指定されている. もともと, 大・ 中径木の多い海岸林で あった(柿原ら,1964)が, 昭和40年代半ば以降のマックイムシの被害(宮崎,1980)によ り, 中径木以上の立木が減少(村瀬,1988)した反面, 人工植栽により幼齢造林地が増 加した. その結果, 疎立する大・ 中径木の下に幼齢造林地がある箇所が多くなり, そ れらは2段林, あるいは多段林の林型を呈している. そのため, 生の松原の現状は,
一斉林型から異齢林の複層林型を呈する林分まで存在し, 多様な林分構造となってい る(柿原,1984 : Teraoka and Masutani,1993).
また, 虹の松原は松浦湾に沿って, 幅400""""700m, 長さ4.5 km, 面積約230haのクロ マツ海岸林でその大部分が国有林である. 防風保安林と潮害防備保安林に指定され,
また, 優れた景観を有し, 文化財としての価値も高いことから玄海国定公園(特別地 域) , 史跡名勝天然記念物, 保健保安林にも指定されている. また, 昭和40年代後半
からの特別防除〈薬剤jの空中散布)の継続的実施により, クロマツ林として比較的良 好な林相が維持されている.
生の松原では全域にわたるように56プロット〈プロット番号1--56)を設定し, プ ロットサイズは0.0625ha(25mX 25m)とした. プロットサイズを決定するに当たって
は, 林木そのものの大きさや微地形の影響(増谷,198 8 : Garcia, 1991)等、 考慮すべ き点が多いが、 プロットの1辺の長さが上層木の樹高程度とした。 虹ノ松原国有林内 では代表的な林相に13プロット(プロット番号57--69)を設定し, プロットサイズは 林相を考慮し, プロット64, 69ではO.Olha(10mX 10m) , プロット60では0.02ha(10 mX 20m) , その他の10プロットでは0.04ha(20mX 20m)とした. これらのプロット で, 胸高直径6 cm以上の立木を対象に, 胸高直径及び樹高の毎木調査を行い, その測 定値を用いて, プロットごとの平均直径, 直径の変動係数, 平均樹高, 樹高の変動係 数, 最高樹高, ha当たり断面積, ha当たり材積及び:'ha当たり本数を算出した.
これらの林分構造因子をプロットごとに総括表として表2. 1に示している.
2. 3. 林型区分法 -多変量解析の適用一
上述の林分構造を表示する8因子を変量として, まず, クラスター分析を適用した.
プロット聞の非類似度の尺度としては標準化ユークリッドの平方距離を, 階層的クラ スター分析の方法としては群平均法を用いた. これらの尺度によるクラスター分析の 結果をデンドログラムに表し, 適当な林型の類型化を行った. そして, それらの林型
ごとの林分構造の特徴を概説した.
次に, デンドログラムによって区分された林型ごとの意味付けのために主成分分析 を適用した. 用いた変量はクラスター分析の場合と同様, 平均直径, 直径の変動係数,
平均樹高, 樹高の変動係数, 最高樹高, ha当たり断面積, ha当たり材積及び、ha当たり 本数の8変量である. 主成分の数の決定基準は, 累積寄与率が80完以上であること, 及
- 8 -
表2. ] プロットの概要
プロット 平均 [立{壬の ミI�j句 tMr刊の ifヨZL 主!日主r] 断而松 ,{;,i・積 本数 番 ヲEラコー 直径 変動係数 m;高 変動係数秒j高
(cm) (も) (m) (弘) (m) (m2/ha) (m3/ha) (木/ha)
1 22. 2 12.6 10.4 33.1 19 16. 1 95.9 352
2 21. 7 43. 1 1 J. 9 18. 9 17 9.1 54.2 208
3 18. 9 40.3 10.8 25. 0 16 17.8 105. 4 544
4 24.4 37.3 11. 5 30. 3 16 19.5 115.5 368 5 24.2 34.9 1 2. �3 21. 8 18 19.7 ]23.0 384
6 21. 6 43.0 ] 2. :2 28.1 17 21. 5 138.0 496
7 17.8 50. 7 ]0.6 31.2 16 12.0 72. 5 384
8 21. 7 40.6 ]0.4. :16.0 16 12.4 72. 9 288
9 22. 8 32.0 10.9 16.3 15 15. 1 85. 3 336
10 20. 0 4ぺ. 2 10.4 29. 8 14 12.0 66. 3 320
11 27.6 36.0 12. 3 16.4 14 20. 5 121. 2 304 12 24.8 34.3 11. 6 16.4 14 18.1 103. 8 336 13 23. 3 38.8 10. 7 26. 9 14 12.5 71. 2 256 14 19.5 16.4 J O. 9 16.3 14 21. 5 123. 9 592
15 ] 9. 1 49.9 10. 2 ]8.0 15 ] 6. 1 89. 8 448
16 17. ] 41. 7 9. 9 21. 8 11 9. 5 53. 9 352
]7 54.3 1] . 9 ] 1. 7 4. 0 12 11.3 57.3 48
18 46.6 19.3 13.3 31. 0 19 25.4 155.3 114
19 5 1. 6 14. 7 14. 6 12. ] 17 23. 9 118.1 112
20 45.8 12.7 12. 3 10.6 14 10. 7 59.3 61 21 48.2 7.2 14. 0 10. ] 16 107.3 727.3 656
22 41. 0 15.0 10. :i 2�). 9 13 6. 5 32. 6 48
23 15.4 22. 3 11.5 15.0 17 10.9 70.9 64
24 46.9 16.6 16. 1 22. 2 19 25. 6 ] 82. 1 144 25 43.8 J6.0 16.0 23. 7 22 11.8 102. 8 96
26 37. 8 26. 6 13.5 32. J 20 7.7 51. 6 64
27 14.9 ] 2.4 15.8 2. 4 16 15. 5 105.0 96 28 49. 8 11. 8 17.0 25.4 17 9. 5 67.9 48
29 47.3 4.8 12.3 71. '1 20 5. G 43.9 32
30 34.6 72. 5 14.3 51. 9 23 10.9 90. 1 96
31 50.0 l. 0 24.5 6.1 26 6. 3 61. 7 32
32 37.8 21. 1 16. 1 37.9 23 15.0 116.8 128
33 9. 0 1l. 1 3. 5 14.3 4 O. 2 O. 5 32
ーcontinued.
34 25. 0 38. 5 7.2 18.8 9 6.3 24.0 96
35 26. 5 11.9 6. 0 11. 8 7 3. 6 11.0 64
36 21. 6 29. 2 10.1 3l. 4 16 9.0 49.4 224
37 40.3 29.3 7.3 17.0 9 6. 7 25. 2 48
38 4 1. 3 2:3. J 9. 3 24.7 12 20. 4 89. 1 144
39 23.4 15.9 7.6 27.1 13 1l. 7 51. 0 224 40 26. 2 37.9 1], 9 3l. 2 18 28. 6 180. 1 464
41 33.6 15. 9 15. 5 7.2 17 5.8 40.4 61
42 33.5 10.4 11.5 1.3 12 2. 9 15.4 32
43 37.1 ワつ つ 。.0 13.6 11 7.3 30. 1 61
41 29. 6 17.11 10. �) 24. J 16 13.6 70. 7 192
45 30.1 28. 2 12.8 20.1 16 22. 6 138. 7 288
46 37.3 20. 8 13. 8 11.7 16 10. 9 69. 3 96
47 26. 3 35. 7 11. 2 37.8 17 17.6 102. 1 288
48 32. 9 32.8 15.6 24.3 20 12.0 91. 1 128 49 35.4 25. 5 15. 9 17.9 20 16.8 122. 9 160 50 30. 2 30.9 14.3 28. 1 21 2l. 3 153. 2 272 51 33. 3 34.6 15. 9 29.2 21 15.6 122.8 160 52 37.2 11. 2 15. 3 11. 1 18 10.6 70. 7 96 53 36. 9 18.6 15.3 7.7 17 26. 5 181. 3 240
51 34.1 37.8 13.8 26. 1 18 6. 8 17.0 61
55 35.6 ] 8.1 18.8 4.1 20 6. 6 53.8 61
56 43.3 O. 5 16.7 10.2 19 7. 1 5l. 1 48
57 25. 3 36. 5 13.2 23. 9 18 42.8 288. 5 750 58 18.1 41. 7 9. 7 32. 5 23 31. 0 168. 0 1025
59 12. 5 34.7 7. G 19.5 10 2l. 2 96. 3 ]550
60 10.2 30.1 9. 1 11.0 12 29.9 160. 5 3350
61 34.0 30.8 19.2 2l. 3 23 59.8 522. 9 600
62 27.8 33. 1 J 9.5 17.6 23 57.1 519.2 850
63 12.5 J 30.1 8. 2 51. 1 21 65.5 499.5 2000
64 9.6 23. 4 6.9 15.3 9 15.9 67.2 2100
65 13. 8 127.0 7.7 59. 5 21 52.8 371.6 1350
66 9.2 62.8 4.9 29.5 9 14. 7 52. 8 1600
67 J9.3 43. 7 7.9 28. 9 11 25.4 112.8 725 68 20. 5 29.1 13. 9 14.3 16 37.4 261. 6 1050
69 18. 3 29. 7 12.5 6. 6 14 54. 2 312. 6 1900
ハU句la
び固有値が1以上であることとし, これらの条件を満足する主成分のスコア散布図を 作成した.
さらに, デンドログラムとスコア散布図を用いて, 各プロット聞の相互関係につい て考察し, 林型区分の妥当性について検討した. また, 区分された林型ごとに保育の 必要性の有無, その内容について若干の考察を行った.
2. 4. クラスター分析による林型区分
クラスター分析を適用した結果, 図2. 1に示すようなデンドログラムが得られた.
非類似度の尺度である標準化ユークリッドの平方距離15で林型区分を行うと, A'""'H までの8つの林型に区分された. 各林型に含まれるプロット数はAから]l固にそれぞれ5 2, Bに2, Cに2, Dに5, Eに2, Fに4, G'こ1, Hに1であり, 林型Aに約7割が区 分された.
これら8つに区分された林型の特徴を述べるが, 本論文では大径木, 中径木, 小径 木とは胸高直径がそれぞれ, 40cm以上, 20cm以上40cm未満, 20cm未満の林木のことで あり, 高木, 中木, 低木とは樹高 がそれぞれ, 20m以上, 10m以上20m未満, 10m未満の 林木のことである.
表2. 2に各林型に含まれるプロット数, 各因子のプロット聞の平均値及び範囲を示 している. まず, 林型Aは直径分布が小径木から中径木, あるいは大径木まで連続的 であり, 直径の変動係数は比較的大きい. 樹高の分布も直径同様, 低木から中木, あ るいは高木まで連続的lこ分布しており, その変動係数も比較的大きい. また, 本数密 度は疎で, 蓄積、は低い.
林型Bは小径木あるいは中径木の低木が点在し, 本数密度はきわめて低く, 蓄積も きわめて低い. 林型Cは大径木あるいは中径木で高木が点在するきわめて疎な林分で
蓄積は低い.
60
器国hh比川eLhphlH学掛聴
1111出16��斤�日|人口lllll n
40
20
。
プロット呑号
デンドログラム
- 12 -
図2.1
表2.2 クラスター分析による林型区分 林型 プロット数平均直径 直径の
平均樹高 樹高の 最高樹高 ha当たり ha当たり ha当たり
変動係数 変動係数 断面積 材積 本数
(cm) (弘) (m) (免) (m) (m 2 /ha) (m 3 /ha) (本/ha)
A 52 3l. 8 29. 1 12.4 2l. 2 16.3 14.86 90.4 235
17. 1- 54. 3 5.2-50.8 7.2-18.8 0.0-37.9 9.0嘩23.0 2.85-3l.03 15.4-182.1 32・1025
B 2 17.8 13.0 4.8 13.1 5.5 l. 91 5. 7 48
9.0・26.5 1l. 1-14. 9 3.5- 6.0 1l.8-14.3 4.0- 7.0 0.21-3.61 O. 5・ 1l. 0 32・ 64
C 2 40. 9 25.3 13.3 63. 2 2l. 5 8.27 67.0 64
34 6-47 3 4 8-45 8 12 3-14 3 54 9 -71 4 20 0-23 0 5 60-10 90 43 9- 90 1 3乙ー lli2
トー‘ D 5 25. 2 31. 9
lJ..) 15.6 16.8 18.8 50.33 387.0 1030
18.3-34.0 29.1-36.5 12.5-19.5 6.6-23.9 14.0-23.0 37.42-59.78 261. 6 -522.9 600-1900
E 2 13.1 28. 5 8.0 55.4 2l. 0 59. 19 437.1 1675
12.5-13.8 26.9-30.1 7.7- 8.2 5l.2-59.5 2l. 0・2l.0 52.83・65.54 374.6-499.5 1350-2000
F 10. 3 37.8 7.1 19.6 9.8 20.42 94.2 2150
9.2-12.5 23.4-62.8 4.9- 9.1 13.9-29.5 8.5-1l.5 14.74-29.87 52.8・160.5 1550-3350
G 50.0 1.0 24. 5 6. 1 26.0 6.28 6l. 7 32
H 1 48.2 7.2 14.0 10. 1 16.0 107.27 727.3 656
数字は上段がプロット聞の平均値、 下段が範囲を不すO
林型Dは中径木でしかも中木の林木が, 密度的に中庸に分布し, 蓄積も中程度であ る. 林型Eは小径木で, しかも低木である林木が多く, 大径木の高木が点在し, 本数 密度は高く, 蓄積は中程度である. 林型Fは小径木で低木の林木が多く, 大径木で中 木の林木が点在し, 本数密度は極めて高いが蓄積は比較的低い. 林型Gは直径及び樹 高ともに変動係数が小さいことから 大径木でしかも高木である林木が点在している 林分であるが, 蓄積は小さい. 林型Hは大径木で中木である林木が均一に分布し, し かも密度はかなり高い林分であり 蓄積はかなり大きい.
2. 5. 主成分分析による林型の意味付け
クラスター分析の結果により得られたデンドログラムをもとに8林型に区分し, そ れらの林型の特徴を述べたが, これらの林型の意味付け及び林型相互の関係をみるた めに主成分分析を行った. 各主成分ごとの因子負荷量, 固有値及び寄与率を示したの が表2. 3である. 主成分数の決定基準に従えば, 固有値が1以上であるのは, 第3主 成分までであり, 累積寄与率は83. 1%であることから, これら3つの主成分で8変量 の約8割強が説明できることになる.
次に, これらの3主成分の因子負荷量からの意味付けを行うと, 第1主成分は平均 直径と平均樹高が正で因子負荷量が大きく, 直径の変動係数とha当たり本数が負で絶 対値が大きいことから, 林木の競合状態を表す主成分である. つまり, 均一な大径木 が, しかも高木である林木が疎に点在する林分では第1主成分は大きくなり, 小径木 で低木の林木が密に分布する林分では小さくなる. したがって, 競合が弱し1林分ほど 第1主成分は大きくなり, 強い林分ほど小さくなる. 第2主成分はha当たり材積, ha 当たり断面積, 最高樹高が大きければ, 大きくなる主成分であることから, 蓄積量を 表す主成分である. 第3主成分は樹高の変動係数, 最高樹高, 直径の変動係数が大き ければ, 大きくなることから 樹木の大きさのばらつき, 特に樹高のばらつきの程度
- 14 -
表2.3 主成分ごとの因子負荷量 固有値及び寄与率
変量\主成分 2 3 4 5 6 7 8
平均直径 (crn) 0.540 0.015 -0.058 O. 292 -0.140 O. 758 -0.122 O. 101
直径の変動係数 偶) -0.419 -0.011 0.378 -0.510 -0.486 0.429 0.003 0.042
平均樹高 (rn) 0.473 O. 266 0.097 -0.466 0.141 -0.000 O. 654 -0.175
樹高の変動係数 (も) -O. 199 0.125 O. 681 0.572 O. 151 0.064 0.349 -0.068
最高樹高 (rn) O. 282 O. 387 0.492 -0.225 O. 236 -0.150 -0.629 0.066
トー・‘
ha当たり断面積 (m2/ha)
v、 - 0.126 0.578 -0.223 O. 160 -0.288 0.020 -0.119 -0.691
ha当たり材積 (rn3 /ha) -0.068 O. 600 -0.172 O. 122 -0.280 -0.140 O. 161 O. 683 ha当たり本数 (本/ha) -0.412 O. 263 -0.244 -0.135 0.696 0.441 -0.002 0.066
固有値 2. 848 2.479 1. 324 O. 663 0.456 0.171 O. 049 0.010
寄与率 (も) 35.6 31. 0 16.6 8. 3 5. 7 2. 1 O. G 0.1
累積寄与率 (も) 35.6 66.6 83. 1 91. 4 97.1 99.3 99.9 100.0
を表す主成分である. この主成分が大きいほど階層構造は多層となる.
各プロ ットのスコア散布図を示したのが図2.2--4である. まず, 第1主成分(Z 1 ) と第2主成分(Z2)の散布図(図2. 2)を見ると, 林型A, Cは重なっているが, 他 の6林型B, D, E, F, G, Hは明瞭に区分される. 特に, 林型GはZ 1の単一軸上 で区分される. Z 1のスコアが小さいE,Fの場合, Z 2で区分される. つまり, Z 2が大 きい場合Eに, 小さい場合Fに区分できる. また, Z 1のスコアが中程度である林型A,
B, C, D, HはZ2により一部, 区分可能である. つまり, Z 2がきわめて大きい場合 Hに, 大きい場合Dに, 小さい場合Bに区分できる.
次に, 第1主成分(ZI)と第3主成分(Z3)のスコア散布図(図2. 3)を見ると, 林
型AとD, BとDは一部重なっているが, 林型C, E, F, G, Hは明瞭に区分され
る. 林型Gは前述したとおりであるが, Z 1のスコアが中程度である場合, Z 3が大きけ
れば, Cに, 小さければ, Hに区分される.
さらに, 第2主成分(Z2)と第3主成分(Z 3 )のスコア散布図(図2. 4)を見ると,
林型A, G, Fは重なるが, 林型B, C, D, E, Hは区分される. Z 2が大きい場合,
Z 11の大小によりEとDが区分され, Z 2が中程度であれば, Z 3が大きいCが分離され
る.
このように各林型を区分する主成分を取りまとめたのが表2. 4である. この表から 明らかなように, 各林型は第3主成分までのいずれかの主成分で区分可能である.
2. 6. 林型の相互関係
まず, クラスター分析によるデンドログラムと, 主成分分析によるスコア散布図及 び主成分の意味付けから, 林型相互の関係について考察する. 主成分の意味付けから, 第1主成分は林木の競合状態を, 第2主成分は林分の蓄積を, 第3主成分は樹高のば りつきを表す主成分であると考えられたことから, 次のようにそれぞれの因子の大小
- 16 -
Z2
6 品 ABCDEFGH
・
・ + x
・ ロ a a
• x x
4
•
×
x 2
x ロ
•
+ ・ Z1
-4 ロ ,.2
0
.. - . . 10 4 6
-2・
ロ
•
•
-4
図2.2 スコア散布図(Z1-Z2)
Z3 6
+
A門RUFunυC」ESハUUH
. - + X 圃 O A a
4
+
2
. 、 .・
•• -.
• • • • • • Z1
ロ • A
-4 -2 .2 4 6
ロ x
•
ロ • ー2
ロ x
l>
-4
図2.3 スコア散布図(Z1-Z3)
林型 B A 22 B C D E F G
-4 !2
•
•
図2.4
Z3 6
44
I -
。
ロ ー2
-4
•
•
2 4 員
)(
ロ x
スコア散布図(22-23)
表2.4 林型区分の21斗全となる主成分
C D E F G
23 22 21,22 21 21
21.22.23 22 21,22,23 21,22 21,22,23
22,23 21,22,23 21,22 21,22,23 21 21,22 21,22,23
22 21,22 21
- 18 -
• A
• B +c
x 0
• E ロF J.G
6. H
Z2
6
企
H 22.23 21,22,23
22,23 22,23 21,22,23 21,22,23 21, 22, 23
により8林型の類型化, さらには相互関係も理解可能である.
林木の競合状態 林分蓄積
G< (A, 8, C, D, H) < (E, F) H> (D, E) > (A, C, F, G) >8 樹高のばらつき : C> (A, 8, D, E, F, G) >H
このこととデンドログラムのクラスター分割の順とを併せて考察すると, まず, A -Gの7林型と林型Hが分割されるが, Hは林分蓄積がきわめて大きく, 樹高がほぼ 均ーであることから, 対象プロ ットの中では特異な林分である. 次に, A..._. Fの6林 型と林型Gが分割されるが, Gは林木の競合が際立って弱し1林分である. さらに, A -Eの5林型と林型Fの分割は, H, Gの分割ほどには明確ではないが, 林型Fは小 径木で低木が密に分布するものの蓄積は低い2段林であるということが考えられる.
さらに, 林型A, 8, Cと林型D, Eとの分割は, 林型D, Eの林分蓄積がより大 きいことに起因している. 林型DとEは林木の競合状態の違いによるものであり, E の方がより強い競合状態にある. また, 林型A, 8と林型Cの分割は樹高のばらつき の程度によるものであり, 林型Cはきわめてばらつきが大きく, 多段林型である. 林 型AとBの違いは林分蓄積の差異であり, 林型Bはきわめて蓄積が小さい.
このようにクラスター分割の順序とその意味付けについて考察したが, クラスター が分割される要因は林木の競合状態, 林分蓄積及び樹高のばらつきの3因子で説明で きたことから, 対象としたクロマツ林が8つの林型に区分されることは妥当であろう.
しかしながら, 分割の順序での一定の傾向, 例えば, 通常の人工一斉林のように林齢 の増加に伴う蓄積の増加, あるいは本数の減少といった明確な傾向は認められない.
このことは各林分の成立過程の違いを反映しているものと考えられる. つまり, マッ
クイムシによる被害前の林分構造の違い, 被害の程度及び継続性, さらには被害後の 人為的取り扱いの差異(人工植栽の有無, 除 ・ 間伐の有無等) , 防除の実行方法等の 多くの要因の履歴の違いによって多様な林分構造となっているものと考えられる.
2. 7. 考 察
対象としたクロマツ林は8つの林型に区分されたが, 林型区分の目的は, 海岸クロ マツ林を海岸林としての機能を十分発揮するような林分に誘導するために必要な, 実 行容易な維持・ 管理法を明らかにすることである. そこで, これまでに得られた林型 区分の意味付け, 林型相互の関係から, 海岸林の維持・ 管理のための林分密度管理法 を林型ごとに考察することとする.
海岸林の存在意義としては, 従来から, まず第一に, 防災面の機能が重要視されて きており, そのために望ましい樹型, 林分構造は一般的には次の通りである. 樹木は 風に対する抵抗力が強い形状, つまり樹幹はうらごけで枝下高が低く, 枝が密である のが望ましく, 林分としてはある程度の樹高, 密度, 蓄積が必要である. したがって,
林分蓄積が比較的高く, 林木の競合状態も中程度である林型D, Hは当分, 人為を加 える必要はないであろう. 林型Gは大径木がきわめて疎に点在するのみで, 林木聞の 競合も認められないことから, 下層木の早急な植栽が必要であろう.
林型E, Fでは下層木が過密状態で競合が激しいことから, 除 ・ 間伐の必要がある が, 海岸クロマツの間伐試験結果の報告(森, 1987 :小田,1984a)や, 相対密度を用 いた間伐方法(小田,1984b), 枝下高を用いた間伐方法(金沢ら,1987)を参考に,
相対生長関係式や3/2乗則線等を求めて, 現地の林分に適合するように実行する必要 があろう.
しかしながら, 全プロ ットの約8割を占める林型A, 8, Cは2段林型, あるいは 多段林型, 換言すれば複層林であり, 直径も小径木から大径木まで連続的に分布して いるものの, 蓄積は低く, 競合状態も中程度であることから, 一斉林を前提とした保 育方式の適用には無理がある. したがって, このような複層林(多段林型)に対する 新たな保育方式の開発が必要である.
- 20 -
以上, 要約すると, 海岸林には従来の人工一斉林の密度管理法で対応できる林分と 対応できない林分が共存しているということである. 対応できない林分とは, 具体的 には複層林型を呈している林分である. したがって, 今後, 海岸クロマツ林の維持・
管理にあたっては, 複層林に対する適切な密度管理法の開発が重要な課題と考えられ る.
第3章 被害林の林分構造の変化
3. 1. マツノザイセンチュウによる海岸林の被害
マツの激害型枯損はマツノマダラカミキリを媒体としたマツノザイセンチュウに起 因することが解明されているが, マツの立ち枯れに関する確実な記録が残されている のは明治末期からといわれている.
枯死の原因は明らかではないが, 明治38, 39年に長崎市周辺のマツが枯れ始め, 同 じ頃, 福岡県遠賀郡芦屋町から岡垣町にかけての海岸防風林の枯死が出始め, 明治41 年には千本以上が枯れた. 同様の枯?員被害が, 同40年頃から鹿児島県吹上浜のクロマ ツ林に集団的に発生し, 同44年に5千本弱が伐採された(河合,1992).
被害統計が整備された昭和7年以降の年々の全国の被害量は 昭和40年代後半から 急激に増加し, 53年には高温小雨といった異常気象のために枯死木の総量は200万m3 を越えた. 54年には被害量はピークに達し, 243万m3に及んだ. 55年以降, 防除対策,
つまり, 樹冠への防虫剤の空中あるいは地上散布, または枯死木の伐倒, 焼却処理に より減少に転じた. 59年には被害量は 133万がとなり, ピーク時の 54年の約半分とな った. しかし, 北海道, 青森県を除く日本全国でなお, 被害が続いている(林業白書,
1885).
3. 2. 枯死木のパターンと林分動態予測モデル
海岸クロマツ林は防風 ・防潮・防砂機能 景観の維持 レクリェーショ ンの場とし て重要である. それゆえに, マツノザイセンチュウに対する新しい防除法の開発はい うまでもないが, マツ林の育林・保育方法に関する研究もまた, 海岸林としての機能 を発揮するととも に 海岸林の価値を高めるために重要である.
このような海岸クロマツ林の育林・保育計画の策定に当たっては, 一斉林の場合に
- 22-
は, 指針となり得る林分密度管理図があれば, その目的を達成することができる. し
かし, マツノザイセンチュウにより被害を受けた林分は複層林を呈するものが多いた め, 林分密度管理図は適用できない. したがって, 林分密度管理図に代わるものが必 要となるが, その一方法として, 枯死率, 枯死木の大きさのパターン, 枯死木及び残 存木の空間パターン等を考慮した林分動態モデルを用いた施業指針の作成が考えられ る.
林分動態モデルが作成されてあれば, 期首における林分構造や立木位置図等の情報 から, 枯死率, 枯死木の大きさ及び空間パターンの傾向に従って, 枯死木を発生させ
さらに地位指数曲線や疎開度に応じた相対成長関係を明らかにすることにより, 分期 における樹高及び直径成長量を与えることができる. また, 人工更新あるいは天然、更
新の情報を加えることにより, 期末における林分構造や立木位置図が明示可能となる.
このような操作を分期ごとに繰り返すことにより, 将来の林分構造, さらには人為を 加えた場合と放置した場合の林分構造の差異も提示できることになる. したがって 枯死木の発生を前提とした林分動態モデルの作成は, 復層林化が進んでいる海岸クロ マツ林の維持・ 管理上, きわめて重要である.
そこで, このような林分密度管理の情報が得られるような林分動態モデルの作成が,
可能であるかどうかを検討するための第1ステップとして, 固定プロ ットのデータを もとに枯死率, 枯死木の径級別傾向, 枯死木及び残存木の空間パターンについて解析 した
3. 3. 固定プロ ットの概要
1982年に九州大学農学部附属早良演習林内に6個の固定プロ ット(プロ ット1--6) を設定した. プロ ットの位置は図3.1に示すとおりであるが, プロ ット1--4は国道202 号線から演習林事務所側に設定した . 海岸線からの距離はそれぞれ, 約350m, 250m,
150m, 100mであり, 面積はいずれもO. 25ha(50mX 50m)である. プロ ットム 6は国道と 海岸線の聞に設定し, それぞれの面積は1. 20ha(100mx 120m), 1. 36ha(80mx 170m)で ある.
測定対象立木は胸高直径6 cm以上とし, 胸高直径及び樹高の毎木測定を行い, 同時 に立木位置図も作成した. また, 胸高直径, 樹高の測定及び枯死木の有無の調査は19 85年まで毎年, 実施した.
なお, 枯死木の伐採断面での年輪測定の結果, 最高齢の枯死木はプロ ット1-- 4では 約190年, プロ ットム 6では約220年であった.
博多湾
• plot5 • plot G
図3.1 プロット位置図
3. 4. 林分構造の変化
3. 2. で述べたようなシミュレーショ ンによる林分動態の予測モデルの作成が可能か どうかを, 固定プロ ットのデータを用いて検討した. まず, 枯死木の本数あるいは枯 死率が年度間あるいはプロ ット間で一定の傾向があるかどうかについて検討した.
次に, 枯死の発生に樹木の大きさによる傾向, つまり直径の大きい樹木ほど枯死率 - 24-
が高い, あるいはその逆, または大きさにかかわらず枯死率 は一定といった傾向が認 めるかどうかについて独立性の検定を行った. そして, 直径分布がどのように変化し ているかを確率密度関数のパラメータにより検討した.
さらに, 枯死木の空間パターンは集中, 規則, ランダムのいずれの分布様式である か, また, その結果としての残存木の空間パターンは経年的にどのように変化してい るかを解析した.
3. 4. 1. 立木本数及び枯死率の変化
上述の固定プロ ットのha当たり本数の経年変化を示したのが図3. 2であるが, 1982 年における プロ ットごとの立木本数の範囲は309 --792本/haであり, 本数密度はかな
り疎な状態である. 1985年には本数の範囲は218--444本/haで, さらに疎な状態とな っており, 1982年の約55--75完に減少している. また, プロ ットごとの年度別の本数 減少をみる と, 1982年のプロ ット2が最多で192本が枯死しており, 最少ではプロ ット 1の1982年及び1985年の12本であり, プロ ット間, 年度間で大きく変動しており, 一 定の傾向は認められない.
また, プロ ットの年度別枯死率を図3.3に示しているが, 年度ごとにプロ ット閣の 枯死率の範囲を見ると, 1982年では2.0--24.2%, 1983年では6.3--20.8%, 1984年では 9.5--20.0%, 1985年では3.2--14.8%となっており, プロ ット問で大きく異なっている.
さらに, プロ ットごとの年度別枯死率 はプロ ット1で2.0--14.4%, プロ ット2では10.0
"-24.2%, プロ ット3では5.8--20.8%, プロ ット4では2.7完--15.3%, プロ ット5では6.3
"-13.2%, プロ ット6では9.1--14.2%となっており, プロ ットム6では比較的に変動の 幅は小さいものの, プロ ット1--4は年度により大きく異なっている.
このように, 同一対象地域内の短期間における調査結果であるにもかかわらず, 立 木本数, 枯死率の経年変化はプロ ット間, 年度間で大きく異なることから, 枯死率の
本/ha
800-,
ま三
長4オ 州
200
。
%
30寸
悦十 民え
=w
10
。
@
、\
--...包 \ 、\
\札-...宵
トートー-A..
1982 1983 1984 1985
年
図3.2 立木本数の経年変化
\れ\八 /吹 V� \
-^- l I 、 l IA 、、 、
、 、 三-困-可島ー'
1982 1983 1984 1985
年
図3.3 枯死率の経年変化
@ plot 1 一-0-一一plot2
田 plot 3
x plot 4
一-0--plot 5 一一合一一plot 6
@ plot 1 一一任- plot 2
回 plot 3
plot 4 一-0一一-plot 5 一一合一- plot 6
予測は極めて困難であるといえる. 一方, 被害率は気象や立地に影響を受けるといわ れており(Dropkin全LQl,1981:Nickle, 1981) , また, 早良演習林においては5...._, 10 年周期で増減しているという報告(村瀬,1988)もあることから, 長期的 ・ 広域的な 観測が行われれば, マクロな被害率の予測は可能となるかもしれないが, ミクロな限 定地域における予測は依然として困難性がある(Masutani,1986)のではないかと考え
られる.
3. 4. 2. 直径分布の変化
マツの枯損について研究する場合, 興味あることの一つは枯死木の大きさの問題で ある. そこで, 直径の大きさと枯死率との聞に何らかの傾向があるかどうかを検定す るために, 独立性 のノンパラメトリックな検定方法であるSpearrnanのランク に基づく rhoの両側検定を行った(Conover,1980).
したがって, 帰無仮説及び対立仮説は次のとおりである.
帰無仮説Ho :直径の大きさと枯死率は互いに独立である.
対立仮説H1 :直径の大きさと枯死率の聞には正か, あるいは負の相関がある.
rhoが(1-α/2)quantileより大きいか, α/2quantileより小さければ, 有意水準αで 帰無仮説H。は棄却される. つまり, 直径の大きさと枯死率には正か負の相関があるこ とになる.
各プロットの年度ごとに検定を行った結果を表3. 1に示しているが, 検定統計量rho,
直径階の数n及び有意水準O. 05でのnに応ずるquantile, WDを示している. この表か ら明らかなように, 帰無仮説が棄却されたのは, 1983年におけるプロット6と1985年 におけるプロット1のみに過ぎず, 前者は正の相関が, 後者は負の相関がある. つま り, プロット6の1983年では直径の大きい林木ほど枯死率が高く, プロット1の1985年 では逆に直径の小さい林木ほど枯死率が高いという結果であった.