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九州大学学術情報リポジトリ

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

口唇裂口蓋裂患者における顎顔面成長変化に関する 研究 : 乳幼児期から成人までの経年的変化

田村, 直子

https://doi.org/10.15017/1398283

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(歯学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

(2)

口唇裂口蓋裂患者における顎顔面成長変化に関する研究 -乳 幼 児 期 か ら 成 人 ま で の 経 年 的 変 化 -

A study on maxillofacial growth of patients with cleft lip and/or palate.

- Longitudinal changes from infancy to adolescence -

2013 年

九 州 大 学 大 学 院 歯 学 府

口 腔 顎 顔 面 病 態 学 講 座 顎 顔 面 腫 瘍 制 御 学 分 野

田 村 直 子

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2

本 研 究 の 一 部 は 以 下 の 学 術 雑 誌 に 投 稿 中 で あ る 。

日 本 口 蓋 裂 学 会 雑 誌

口 唇 裂 口 蓋 裂 患 者 に お け る 顎 顔 面 成 長 変 化 に 関 す る 研 究 -乳 幼 児 期 か ら 成 人 ま で の 経 年 的 研 究 -

田 村 直 子 笹 栗 正 明 鈴 木 陽 中 村 誠 司

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3

略 語 一 覧

ANOVA : analysis of variance

ICC : intraclass correlation coefficient UCLA : unilateral cleft lip and alveolar UCLP : unilateral cleft lip and palate CP : cleft palate

SD : standard deviation ns : not significant

SN 比:

距離的計測頄目計測値

前頭蓋底長計測値

×100 (%)

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目 次

Ⅰ . 要 旨 5

Ⅱ . 緒 言 8

Ⅲ . 女 性 に お け る 口 唇 裂 お よ び 口 蓋 裂 の 有 無 に よ る 比 較 Ⅲ -1.対 象 12

Ⅲ -2.結 果 21

Ⅲ -3.考 察 31

Ⅳ . 男 性 に お け る 口 蓋 裂 の 有 無 に よ る 比 較 Ⅳ -1.対 象 42

Ⅳ -2.結 果 43

Ⅳ -3.考 察 47

Ⅴ . 総 括 51

Ⅵ . 謝 辞 52

Ⅶ .参 考 文 献 53

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5

Ⅰ.要旨

口唇裂口蓋裂(CL/P)は、組織欠損や形成手術による形態異常が問題となる ため、治療の遂行にあたっては顎顔面の潜在的な成長能や顎顔面の成長に対す る外科・矯正治療の影響を把握しておくことが重要である。本研究では、口唇 裂または口蓋裂の有無による顎顔面成長パターンの違いを明らかにするために、

同一患者の乳幼児期から成人までの正面・側面頭部X線規格写真を用いて経年 的な顎顔面形態の変化を検討した。

対象は、九州大学病院(2003 年以前は九州大学歯学部附属病院)で口唇また は口蓋形成術後に矯正歯科で治療を受けた CL/P 患者のうち、口唇形成術時 (4 か月)、口蓋形成術時(約 2 歳)、5 歳時、10 歳時および 15 歳以上の 5 時点 の経年的資料が得られた女性 46 例、男性 42 例である。女性患者は片側性口唇 顎裂(UCLA)11 例、片側性完全唇顎口蓋裂(UCLP)22 例、口蓋裂(CP)13 例 であり、男性患者は UCLA 14 例、UCLP 28 例であった。正面・側面頭部X線規 格写真をトレースし、二次元座標読み取り装置より座標入力後、顎顔面形態を 表す距離および角度を計測し、反復測定分散分析により裂型間の成長パターン の相違を比較した。

(1) 女性における口蓋裂および口唇裂の有無による比較

女性における UCLA と UCLP の比較では、上顎の前方成長を表す部位は成長パ ターンが異なり、5 歳時から口蓋裂を有する UCLP の方が小さくなっていた。前 上顔面高、後上顔面高ともに成長パターンに違いはなかったが、後上顔面高は 乳児期から UCLP の方が小さかった。下顎体長と下顎骨体長は成長パターンの違 いはなかったが、そのサイズは UCLP の方が小さかった。

CP と UCLP の比較では、ANS-PNS などの上顔面前後径を表す部位で成長パター ンに違いを認め、口唇裂のある UCLP の方が成長量が尐なく 15 歳以降で有意に

(7)

6

小さかった。前上顔面高、顔面幅径、下顎骨は成長パターンに差を認めなかっ た。

上顎骨の幅径において、口蓋裂があると眼窩、鼻腔、上顎歯槽などの上顎骨 幅径は術前に大きくなる傾向にあった。また、口唇裂があると内眼窩と上顎歯 槽などの幅径が大きくなる傾向にあった。

(2)男性における口蓋裂の有無による比較

男性における UCLA と UCLP の比較では、上顎の前方成長を表す部位や後上顔 面高は成長パターンが異なり、15 歳以降では口蓋裂を有する UCLP の方が小さか った。前上顔面高および下顎の全ての計測頄目では成長パターンもサイズも違 いがなかった。

以上のことより、口蓋裂と口蓋形成術の場合は、男女ともに上顎の前後的成 長には抑制的に働くが、前上顔面高の成長には影響を及ぼさないことが判った。

下顎骨に関しては、口蓋裂は女子では部分的に成長を抑制するが、男子では影 響を及ぼさないことが判った。また、上下顎ともに部位により口蓋裂による影 響に性差があることが判った。一方、口唇裂と口唇形成術の場合には、上顎の 前後的成長および後上顔面高の成長に抑制的に働くが、前上顔面高には影響せ ず、その他の顔面の成長パターンにも影響を及ばさないことが判った。

上顎幅径に関しては、口蓋裂がある場合は眼窩、鼻腔、上顎歯槽などの幅径 は術前に大きくなり、口蓋形成術は上 顎 骨 のより 下方の上顎 歯槽基 底部の側 方 成長 を阻害す る影響 を 及ぼし て いる こと が 判 った。内眼窩間幅径および 上顎歯槽基底幅径に関しては、口蓋裂の影響だけではなく口蓋前方部の裂や口 唇裂もその側方成長に大きく関わっており、その幅径を大きくする傾向にある と考えられた。

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7

Ⅱ.緒言

口唇裂口蓋裂(CL/P)は、顎顔面口腔領域の先天的な組織欠損があり、形成 手術後も顎顔面の劣成長や形態異常が問題となる。そのため CL/P 患者の治療 の遂行にあたっては、潜在的な成長能や外科・矯正治療が顎顔面成長に及ぼす 影響を把握しておくことが重要である。Graber(1)が手術例の CL/P 患者より も未手術例の顎顔面頭蓋の成長の方が非破裂者のそれに近く良好であったと報 告して以来、口唇および口蓋形成術の侵襲が顎顔面発育に与える影響が注目さ れるようになった。特に口蓋形成術が上顎骨の前方成長の抑制をもたらす原因 として、Ross(2)は push back 法による手術侵襲が蝶形骨翼状突起と上顎結 節から口蓋部全域に瘢痕組織を形成し、上顎骨後方部における骨添加の阻害に よって繊維性、瘢痕性結合を引き起こすことを指摘している。

CL/P 患者の形成手術後の顎顔面形態と非破裂者のそれを比較し、CL/P 患者 の顎顔面形態の特徴を指摘した報告は多い(3-12)。頭蓋底の前後的成長に関し て、未手術例より小さいとするもの(3,4,11)、差がないとするもの(5,8-10,

13)など様々な部分があり一定の見解が得られていない。また多くの報告では、

上顎歯槽基底前後径の短小(4,7,13,14)、上顎骨の後方位(5,8,15,16)、 中顔面高の短小(4,8,13)、下顎枝高の短小(4,5,8,11,13,17)、下顎角 の開大(4,8,10,11,13,18)、下顎骨の後方位(8,19)などの劣成長や形 態異常が指摘されている。しかし、そうした過去の報告は組織欠損である裂部 に対してさらに形成手術の侵襲が加わった後の評価であったため、顎顔面頭蓋 そのものの先天的な成長能については言及できなった。その後、非破裂者との 比較(18,24,25,27,28)や未手術の CL/P 患者の顎顔面発育に関する検討(29 -34,37)がなされ、CL/P 患者は術前に特徴的な顎顔面形態を有しているだけ でなく、もともと劣成長を表す部位があり、さらにその部位に形成手術などの

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8

侵襲が加わることで、顎顔面の成長過程において低形成となることが指摘され た。

また、こうした過去の報告は頭部X線規格写真を使用しているが、そのほと んどは横断的研究であり経年的研究は尐ない。CL/P 患者の長期的な経年的資料 の採取は困難である。それは CL/P の治療が機能回復または獲得のために早期 かつ長期の経過を要し、多方面の専門的治療を同時期に必要とするため通院が 煩雑になるためである。すなわち、CL/P は言語、咀嚼、呼吸、審美などに関わ る口腔顎顔面領域の重要な機能部位に存在する疾患であるため、成長段階に応 じて口腔外科・形成外科、言語治療、矯正治療、小児歯科、耳鼻咽喉科、小児 科、精神科など多科の受診が必要になるが、その長期の成長発育期間には社会 生活環境のさまざまな変化が起こるためである。こうした事情から、経年的研 究であっても対象期間が成長終了とみなされる思春期後までのものでないこと が多い。しかし、限られた期間の経年的資料では、各々の部位で起こる一連の 成長が分断され、その前後の成長変化が見逃されてしまう可能性がある。なぜ なら、頭蓋顎顔面の発育は個体内で調和を保ちつつも、成長の著しい時期や成 長変化はその部位によって時期によっても異なるためである。多方面の専門的 治療を要する CL/P 患者において、その治療自体が顎顔面頭蓋発育を複雑にして いることを鑑みれば、研究の対象期間を設定する際に、治療時期や各部位の成 長が著しい時期に対する配慮が必要不可欠であることは言うまでもない。

昨今では、限られた期間の経年的研究ではあっても、CL/P 患者の治療と発育 に関して、様々な論点から報告がなされてきた。年齢別、裂型別、性別、術式 による研究(18,19,20,38,39,40)のみならず、術前後や手術別、さらに は歯科矯正治療の経緯にも着目した研究も散見される(41,42)。CL/P 患者の顎 顔面成長に関する研究においては、藤野(43)が本邦で初めて導入した「チー

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9

ム医療」によって、九州大学では治療前の乳児期から思春期成長を越すまでの 一貫した治療での顎顔面形態の経年的評価資料を得ることができるようになっ た。

これまでの研究では、資料を採取した各時期の平均値と成長変化量を分析し て、顎顔面成長における裂型間の差を評価していた(14,24,39,40,44- 46,

48)。これらの裂型間の比較は、ある時期の断続的な比較であり、経時的な成長 全体を統計学的に有効に評価し得たものではなかった。過去の報告においては、

成長過程の長期的な経時的変化を成長パターンとしてとらえ、統計学的に評価 している報告は見られない。

そこで本研究では、裂型別の成長パターンを比較するために、5 つの時期で の経時的データを用いて、統計学的に一連の成長パターンと捉えて比較するこ とができる反復測定分散分析を適用した。裂型とそれに対応する形成手術の影 響を評価するため、片側性口唇顎裂(UCLA)と片側性唇顎口蓋裂(UCLP)、なら びに口蓋裂(CP)と UCLP における顎顔面形態の比較を行った。すなわち、口 蓋裂の存在と口蓋形成術の施行による影響を評価するために UCLA と UCLP の 比較を行い、口唇裂の存在と口唇形成術の施行による影響を評価するために、

CP と UCLP の比較を行った。CL/P 患者の顎顔面発育において性差があること が報告されているため(13,20,39)、男性と女性に分けて分析を行った。

CL/P 患者と未手術患者の顎顔面形態の成長パターンを比較することで、口唇 形成術や口蓋形成術の形成手術の影響を評価することができる。しかし、非破 裂者の乳幼児期からの経年的資料採取は困難で、未手術症例の資料も入手する ことはできない。このように非破裂者や未手術例の乳幼児期から思春期以降ま での経年的な資料採取は困難であるため、今回は反復測定分散分析(repeated measured ANOVA)を用いて CL/P 患者の顎顔面発育の成長パターンを統計学的に

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10

パターン化して、裂型による成長パターンの違いを比較した。本研究において は、CL/P 患者の頭蓋顎顔面成長の過程を見すえた治療を遂行する一端を担うべ く、裂型の違いおよび形成手術による CL/P 患者の顎顔面形態への影響をその成 長パターンでとらえることを目的とし比較検討を行った。

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11

Ⅲ.女性における口唇裂および口蓋裂の有無による比較

Ⅲ-1.対象

対象は、九州大学病院(2003 年以前は九州大学歯学部附属病院)にて 1975 年 から 1987 年までに口唇および口蓋形成手術を受けた後、同病院矯正歯科で矯正 治療を受けた CL/P 患者のうち、初回形成術時から思春期成長以降までの経時的 な頭部X線規格写真の資料が得られた女性 46 名である。裂型の内訳は、UCLA 11 例、UCLP 22 例、CP 13 例であった。

口唇形成術は平均 4 カ月時 に Cronin 法に準じて行い、全症例において McNeil 床、Hotz 床、Latham 装置などを用いた前顎矯正治療は行われていない。

口蓋形成術は平均 2 歳時に Wardill 法に準じた Push back 法にて行った。こ れらの症例は 4 歳時から正歯科にて咬合管理を開始し、5 歳時に検査を受け経 過観察を行い、上顎中切歯萌出期にリンガルアーチ装置を用いて歯の捻転の改 善を行った。9 歳時から上顎歯列弓の狭窄を表す症例においては上顎歯列弓の 拡大を行い、顎裂部犬歯が萌出する前の 10 歳時に顎裂部に自家腸骨移植術を行 い、骨移植術前に検査を行った。術後セクショナル・アーチ装置を用いて移植 骨の吸収を防止するため、移植骨へ後方歯の移動を行った。その後、第二大臼 歯が萌出すると、マルチブラケット装置を用いて最終的な歯の排列を行い咬合 を確立した。概ね 18 歳頃にこれらの治療を終了し、保定装置を装着し咬合の後 戻り等について経過観察を行っている。歯列矯正は顎内矯正のみで、チンキャ ップなどの顎間矯正は行っていない。

研究資料は口唇形成術時(stage 1)、口蓋形成術時(stage 2)、5 歳時(stage 3)、10 歳時(stage 4)、15 歳以降(stage 5)の 5 つの時点で撮影された正面・

側面頭部X線規格写真(セファロ) である。(図 1、表 1)

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12

図 1 正面・側面頭部X線規格写真

口唇形成術時(stage 1)、口蓋形成術時(stage 2)、矯正治療前 5 歳時(stage 3)、

矯正治療中 10 歳時(stage 4)、15 歳以降(stage 5)の 5 つの時点で正面・側面頭部 X線規格写真を示す。stage 1 および stage 2 では経口気管内挿管された状態である。

表 1 症例内訳と手術時平均年齢

口唇ならびに口蓋形成術時のセファロは、経口気管内挿管による全身麻酔下 に、手術室に設置した仰臥位撮影の乳幼児用 2 向頭部X線規格写真撮影装置(図 2)を用いて撮影した。(47)撮影条件は、X線管球の焦点から被写体中心矢状 面までの距離を 150 cm、被写体中心からフィルムまでの距離 15 cm、管電圧 78-80 KV、管電流・秒 18 mAs とした。経口気管内挿管による全身麻酔下で撮影されて いるので開口状態である。5 歳以降の頭部X線規格写真は、通法に従って患者

stage 1 stage 2 stage 3 stage 4 stage 5 3.6±0.7 か月 なし 4.7±0.5 歳 10.3±0.5 歳 15.8±1.4 歳 4.3±1.1 か月 1.7±0.5 歳 4.7±0.6 歳 9.9±0.7 歳 16.9±1.7 歳 なし 1.5±0.5 歳 4.9±0.3 歳 10.3±0.5 歳 16.7±1.6 歳 stage

UCLA (n = 11)

UCLP (n = 22) CP (n = 13)

stage 1 stage 2 stage 3 stage 4 stage 5

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13

は座位で、顎位は中心咬合位で咬合した状態とし、顔面フランクフルト平面を 床に平行にして撮影した。

図 2 乳幼児用2方向頭部X線規格写真撮影装置

X線管球の焦点から被写体中心矢状面までの距離を 150 cm、被写体中心からフィル ムまでの距離 15 cm、管電圧 78-80 KV、管電流・秒 18 mAs で経口気管内挿管による全 身麻酔下で撮影を行った。

正面・側面セファログラムの顎顔面骨格形態のトレースを行い、トレース上 に設定した計測基準点のX、Y座標を二次元座標読み取り装置 KD4030(Graphtec 社製、東京、日本)で読み取り、演算により頭蓋と上下顎における角度的、距 離的計測値を求めた。計測基準点と基準平面を図 3、4 に示す。基準平面として、

フ ラ ン ク フ ル ト 平 面 ( Frankfult horizontal plane : FH )、 下 顎 下 縁 平 面

(Mandibular plane:MP)、口蓋平面(Palatal plane:P.P)、前頭蓋底(Anterior

(15)

14

cranial base:SN)、咬合平面(Occlusal plane:OP)、下顎枝後縁平面(Ramus plane:RP)を用いた。距離的頄目の一部は、症例間の頭蓋骨の大きさの差を考 慮して前頭蓋底(S-N 間距離)を 100 として補正した SN 比で表した。

N:前頭鼻骨縫合部の鼻前頭最前点 S:トルコ鞍の壺状映像の中点 Ba:大後頭孔の前縁部の正中点 Or: 左右の眼窩骨縁最下点 ANS:前鼻棘の最先端点 PNS:後鼻棘の最前端点 A:上顎歯槽骨基底の前方限界

Pr:上顎中切歯間歯槽突起の最前先端点

(上顎乳中切歯が未萌出の場合は口蓋平面に対して 上顎歯槽部の最下点)

Ptm:翼口蓋窩の透過像の最下点

Pog:下顎骨下縁平面を基準としたオトガイ部の最前点 Me:オトガイ部断面像と下顎骨下縁の交点

Go:RPとMPの交点Gのなす角の二等分線が下顎骨縁と交わる点 Po:骨外聴道の上縁

Ar:下顎枝後縁と側頭骨下縁との交点 Cd:下顎骨顆頭の最上点

G :下顎下縁平面と下顎後縁平面の交点 Id:下顎中切歯間歯槽突起の最前先端店 B :下顎歯槽基底の前方限界

Gn:Facial plane と Mandibular plane との交角の二等分線が 下顎骨オトガイ部と交わる点)

Z :SN と RP の交点 G :RP と MP の交点

IO, IO’:左右眼窩の最内側点 OO, OO’:左右眼窩の最外側点

Zyg, Zyg’:左右頬骨弓最外側の上縁点 NC, NC’:左右梨状口の最外側点 Cl, Cl’:左右下顎顆頭の最外側点 Mx, Mx’:左右上顎骨基底部の最外側点 Go, Go’:左右下穎骨基底部の最外側点

図 3 正面頭部 X 線規格写真の計測基準点

図 4 側面頭部 X 線規格写真の計測基準点

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顎顔面形態に関する計測頄目または計測部位

(1)正面頭部 X 線規格写真における顎顔面幅径 OO-OO’: 外眼窩間幅径

IO-IO’: 内眼窩間幅径 Zyg-Zyg’: 頬骨弓間幅径 NC-NC’: 最大梨状孔幅径 Mx-Mx’: 上顎歯槽基底幅径 Cl-Cl’: 外顆頭間幅径 Go-Go’: 下顎角間幅径

(2)側面頭部 X 線規格写真における距離および角度計測頄目 a.距離計測頄目

頭蓋底計測頄目

S-N: 2 点 S と N 間の距離、前頭蓋底長 S-Ba: 2 点 S と Ba 間の距離、後頭蓋底長 N-Ba: 2 点 N と Ba 間の距離、全頭蓋底長

上顎骨に関する計測頄目

N to PP: 点 N から平面 PP に下ろした垂線の長さ、前上顔面高径 Or to SN: 点 Or から平面 SN に下ろした垂線の長さ

Or to PP: 点 Or から平面 PP に下ろした垂線の長さ

Pr to PP: 点 Pr から平面 PP に下ろした垂線の長さ、上歯槽骨高径 N-ANS: 2 点 N と ANS 間の距離、前上顔面高径

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ANS-PNS: 2 点 ANS と PNS 間の距離、上顔面下部長径 ANS-Pr:2 点 ANS と Pr 間の距離、前歯槽骨高径 S-PNS: 2 点 S と PNS 間の距離、後上顔面高径

A’-Ptm’: 点 A と点 Ptm から平面 PP に下ろした垂線の足(A’、Ptm)

の間の距離 下顎骨に関する計測頄目

G-Cd: 2 平面 MP と RP の交点 G と点 Cd との距離、下顎枝高径 Cd-Pog: 2 点 Cd と Pog 間の距離、下顎骨長

Gn-Cd: 2 点 Gn と Cd 間の距離、下顎骨長 Pog-G: 2 点 Pog と G 間の距離、下顎骨体長 Me-G: 2 点 Me と G 間の距離、下顎骨体長 Pog-Go: 2 点 Pog と Go 間の距離、下顎骨体長 Id-Me: 2 点 Id と Me 間の距離、下顎縫合部高 b.角度計測頄目

Facial plane angle: N-Pog to FH Angle of Convexity: N-A-Pog A-B plane angle: A-B to N-Pog Mandibular plane angle : MP to FH

SNP: SN 平面と N-P を結んだ線分とのなす角 SNA: SN 平面と N-A を結んだ線分とのなす角 SNB: SN 平面と N-B を結んだ線分とのなす角 ANB: N-A と N-B のなす角

SNBa: SN 平面と S-Ba を結んだ線分とのなす角 NSGn: SN 平面と S-Gn を結んだ線分とのなす角

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17

Y-axis: S-Gn to FH Gonial angle: Ar-Go-Me Ramus inclination: RP to FH GZN: RP to SN

統 計解 析方法

(1) UCLA と UCLP の 2 群間において、また(2)CP と UCLP の 2 群間におい て各計測時期の計測を行い、その成長パターンを比較するために、反復測定 分散分析(repeated measures ANOVA)により時間と裂型の 2 要因交互作用の 有無を解析し、有意水準 0.05 未満の場合を「交互作用あり」とした(統計パ ッケージ JMP5.01J、SAS Institute、USA)。「交互作用あり」の場合は裂型間 で成長パターンが異なることを意味し、「交互作用なし」の場合は裂型間で成 長パターンが同じであることを意味する。交 互作 用の有無に基づ いて個々 の 検 定 に す す み 、 「 交 互 作 用 あ り 」 の 場 合 は 各 計 測 時 期 で 分 散 分 析 を 行 い裂 型間の 差 が顕在 化 する時 期 を同定 した。一方、「交互作用なし」の 場合は同時に裂型間の形態差の有無まで解析されているので、形態差を認め た計測頄目においては、データの従属性を考慮している調整された Student t 検定により、裂型間の大小を検定した。(図 5)

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18

図 5 統計解析の流れ

反復測定分散分析法 ( repeated measured ANOVA) で 交 互 作 用 の 有 無 す な わ ち 、 成 長 パ ター ン の違 い の有 無 を 検討 し た。図 のよ う に 交互 作 用の 有 無に 基 づ いて 個 々 の 検定 に すす み 、「 交 互 作用 あ り 」の 場合 は 各 計測 時 期で 分 散分 析 を 行い 、

「交互作用なし」の場合は形態差がある場合のみデータの従属性を考慮している調整さ れた Student t検定を行い、裂型間の大小を検定した。

計測の信頼性

評価者内の計測の信頼性を評価するために、無作為に stage 1 から stage 5

(20)

19

の各ステージを全て含む 10 症例を抽出し、同一検者が 1 カ月の期間をおいて 2 回トレースを行い、透写図から計測した。2 回の計測に基づく計測値の級内相関 係数(intraclass correlation coefficient、ICC)を計算し、評価者内信頼性 を検討した。

(21)

20

Ⅲ -2. 結 果

1. 計測の信頼性

計測の評価者内信頼性を示す級内相関係数は、全ての計測頄目で、いずれの 計測時期においても 0.85 から 0.99 であり、本研究のセファロ計測における 評価者内信頼性は良好であった(表 2)

距離的計測項目 (㎜) stage 1 stage 2 stage 3 stage 4 stage 5 正貌計測項目

Oo - Oo ' 0.94 0.94 0.95 0.99 0.98

Io - Io ' 0.91 0.93 0.91 0.95 0.94

Zyg - Zyg ' 0.94 0.94 0.87 0.97 0.98

Nc - Nc ' 0.93 0.90 0.85 0.90 0.96

Mx - Mx ' 0.86 0.92 0.85 0.98 0.98

Cl - Cl ' 0.97 0.98 0.95 0.96 0.88

Go - Go ' 0.98 0.95 0.99 0.97 0.99

側貌計測項目

N-Ba 0.93 0.85 0.99 0.99 0.97

S-N 0.99 0.99 0.99 0.97 0.90

S-Ba 0.97 0.93 0.95 0.93 0.99

N to PP 0.93 0.99 0.99 0.96 0.98

Or to SN 0.90 0.98 0.95 0.96 0.92

Or to PP 0.92 0.94 0.99 0.96 0.97

ANS-Pr 0.99 0.91 0.94 0.94 0.93

Pr to PP 0.92 0.90 0.93 0.98 0.94

N-ANS 0.97 0.99 0.98 0.97 0.98

S-PNS 0.90 0.92 0.96 0.95 0.99

A'-Ptm' 0.93 0.93 0.93 0.97 0.91

ANS-PNS 0.92 0.91 0.93 0.97 0.92

Id-Me 0.92 0.93 0.92 0.98 0.97

Cd-Pog 0.94 0.99 0.99 0.99 0.96

G-pog 0.93 0.98 0.98 0.99 0.95

G-Cd 0.92 0.94 0.98 0.91 0.99

Me-G 0.91 0.98 0.95 0.97 0.90

Pog-Go 0.90 0.99 0.98 0.94 0.97

Gn-Cd 0.96 0.99 0.99 0.99 0.98

角度的計測項目 (degree)

SNA 0.92 0.94 0.96 0.99 0.99

Angle of Convexity 0.94 0.96 0.95 0.99 0.99

A-B plane angle 0.92 0.93 0.94 0.99 0.99

ANB 0.93 0.92 0.94 0.92 0.98

FH to SN 0.91 0.93 0.92 0.94 0.98

SNP 0.95 0.99 0.96 0.99 0.95

SNB 0.96 0.98 0.96 0.97 0.91

NSGn 0.93 0.98 0.94 0.98 0.94

GZN 0.93 0.99 0.96 0.98 0.99

Facial plane angle 0.98 0.95 0.97 0.96 0.98 Mandibular plane angle 0.99 0.92 0.99 0.99 0.99

Y-axis 0.93 0.97 0.98 0.98 0.99

Ramus inclination 0.93 0.95 0.98 0.99 0.90

Gonial angle 0.95 0.96 0.99 0.96 0.90

表 2 級内相関係数

(22)

21

2.頭蓋顎顔面形態の成長パターンの比較

口蓋裂の存在あるいは口蓋形成術の影響を検討するために UCLA と UCLP を比 較し、口唇裂の存在あるいは口唇形成術の影響を検討するために UCLP と CP を 比較した。

1)UCLA と UCLP の比較 計測結果を表 3 に示す。

(23)

22

stage 裂型

正貌計測項目

Oo - Oo ' 73.7 (2.7) 75.9 (2.7) 86.2 (3.4) 87.8 (2.8) 90.0 (2.8) 91.2 (2.8) 93.0 (3.4) 95.5 (2.8) Io - Io ' 16.6 (1.9) 19.2 (2.3) 20.4 (2.0) 23.4 (2.7) 22.4 (1.3) 25.1 (2.0) 24.4 (2.0) 27.7 (2.6) Zyg - Zyg ' 90.8 (3.2) 90.8 (16.2) 120.0 (4.7) 121.2 (3.2) 130.1 (3.8) 130.5 (5.3) 138.7 (4.1) 140.5 (3.5) Nc - Nc ' 23.1 (1.7) 31.8 (16.5) 27.7 (2.1) 29.8 (1.2) 30.7 (1.7) 32.4 (2.7) 32.8 (2.4) 35.5 (2.6) Mx - Mx ' 48.0 (3.0) 53.0 (3.6) 60.5 (2.2) 62.1 (2.3) 67.1 (2.8) 68.0 (3.7) 69.0 (3.2) 70.3 (3.8) Cl - Cl ' 84.1 (2.7) 86.7 (5.3) 111.7 (3.8) 112.1 (4.7) 121.8 (5.1) 121.6 (6.2) 130.1 (5.5) 130.7 (5.4) Go - Go ' 64.3 (3.7) 66.0 (3.0) 86.1 (3.5) 85.6 (3.4) 95.4 (4.2) 94.8 (3.4) 103.5 (4.1) 103.3 (3.3) 側貌計測項目

N-Ba 72.5 (2.8) 72.6 (4.4) 93.2 (5.2) 93.7 (4.0) 103.2 (4.2) 102.9 (5.0) 107.0 (4.5) 107.4 (5.4) S-N 47.5 (2.1) 48.0 (2.5) 61.5 (4.1) 62.6 (2.9) 66.8 (3.8) 66.6 (2.9) 69.2 (4.0) 69.5 (2.9) S-Ba 29.8 (1.3) 30.0 (2.6) 39.4 (2.1) 38.9 (2.3) 45.6 (2.7) 45.0 (3.2) 46.8 (2.1) 47.0 (3.8) N to PP 29.7 (2.1) 29.1 (2.3) 44.5 (2.4) 44.3 (2.4) 51.8 (3.3) 51.4 (2.7) 56.6 (2.7) 55.8 (2.8) Or to SN 18.6 (1.0) 17.5 (1.3) 24.8 (1.3) 23.3 (1.6) 26.3 (1.7) 24.7 (1.6) 28.1 (2.2) 26.2 (1.7) Or to PP 9.7 (1.6) 9.6 (1.9) 18.1 (2.1) 18.4 (1.4) 24.0 (2.6) 24.0 (2.2) 26.4 (2.1) 26.6 (2.4) ANS-Pr 12.2 (1.5) 12.3 (2.0) 17.0 (2.0) 16.6 (2.9) 15.3 (2.6) 13.0 (2.8) 17.2 (3.0) 14.8 (3.1) Pr to PP 11.7 (1.5) 11.6 (1.8) 16.4 (1.7) 16.0 (2.6) 15.2 (2.5) 12.8 (2.7) 17.1 (3.0) 14.5 (3.2) N-ANS 30.1 (2.1) 29.6 (2.2) 44.8 (2.5) 44.3 (2.4) 52.0 (3.5) 51.6 (2.7) 56.8 (2.8) 56.0 (2.9) S-PNS 27.0 (1.5) 26.0 (2.5) 40.1 (3.0) 37.3 (1.9) 46.8 (2.7) 43.1 (3.0) 49.0 (3.2) 46.2 (3.4) A'-Ptm' 36.1 (2.7) 35.0 (2.2) 45.9 (3.8) 42.7 (2.2) 48.7 (3.2) 44.1 (2.7) 50.4 (3.1) 45.2 (3.2) ANS-PNS 36.4 (2.4) 34.8 (2.5) 47.7 (3.1) 43.5 (2.4) 51.7 (3.3) 46.7 (3.3) 54.6 (3.2) 48.8 (3.2) Id-Me 19.2 (1.7) 19.8 (2.0) 28.9 (3.3) 28.5 (2.0) 31.4 (3.5) 31.1 (2.6) 36.0 (4.0) 35.3 (3.5) Cd-Pog 62.6 (3.2) 60.7 (5.9) 93.9 (2.6) 91.6 (3.1) 109.1 (4.1) 104.7 (4.8) 119.7 (3.3) 114.2 (6.2) G-pog 45.2 (3.1) 41.6 (2.8) 62.4 (3.2) 60.6 (3.0) 72.8 (4.1) 70.3 (3.3) 79.0 (4.1) 76.4 (5.2) G-Cd 26.1 (2.9) 27.0 (3.8) 46.6 (2.1) 43.9 (3.0) 54.9 (3.6) 50.2 (3.5) 63.1 (3.6) 57.3 (4.7) Me-G 40.1 (3.0) 37.1 (2.6) 57.5 (3.1) 55.8 (3.0) 67.9 (3.8) 65.9 (3.4) 74.4 (3.6) 71.6 (6.6) Pog-Go 43.2 (3.0) 40.0 (2.6) 60.4 (3.0) 58.6 (3.1) 70.4 (4.0) 68.3 (3.4) 76.7 (3.1) 74.5 (5.5) Gn-Cd 62.9 (3.4) 61.0 (5.7) 95.1 (2.8) 92.7 (3.2) 110.7 (3.7) 106.2 (5.2) 122.1 (3.3) 116.4 (7.0) SN 比 (%)

N-ANS/SN 63.5 (5.2) 61.6 (3.2) 73.0 (4.2) 70.9 (3.6) 78.1 (7.6) 77.4 (3.8) 82.3 (5.4) 80.6 (3.7) S-PNS/SN 56.9 (2.6) 54.1 (4.4) 65.4 (5.6) 59.6 (3.5) 70.3 (4.9) 64.8 (5.0) 71.0 (5.0) 66.5 (5.6) ANS-PNS/SN 76.7 (4.6) 72.5 (4.4) 77.8 (4.6) 69.5 (3.6) 77.6 (4.6) 70.1 (3.8) 79.1 (4.6) 70.3 (3.8) Id-Me/SN 40.6 (3.9) 41.1 (3.2) 47.3 (7.5) 45.5 (4.4) 47.1 (5.6) 46.8 (4.5) 52.1 (5.7) 50.8 (5.3) Pog-Go/SN 91.2 (7.2) 83.3 (3.9) 98.6 (5.8) 93.6 (5.9) 105.6 (5.9) 102.7 (6.0) 111.1 (5.0) 107.3 (8.0) Me-G/SN 84.7 (7.2) 77.3 (4.2) 93.7 (6.3) 89.3 (5.8) 101.9 (6.1) 99.0 (6.0) 107.7 (5.5) 103.1 (9.6) G-Cd/SN 55.1 (5.4) 56.1 (5.8) 76.1 (5.9) 70.2 (4.7) 82.5 (8.6) 75.4 (5.6) 91.6 (8.6) 82.5 (6.2) Gn-Cd/SN 132.7 (7.9) 127.1 (7.1) 155.2 (8.0) 148.2 (7.0) 166.2 (10.4) 159.6 (8.9) 177.1 (10.1) 167.6 (10.0)

SNBa 139.1 (7.0) 135.9 (4.1) 134.4 (7.3) 133.4 (4.9) 132.9 (6.9) 133.5 (4.6) 134.2 (6.6) 133.5 (5.9) SNA 86.1(4.7) 84.4(4.6) 83.8 (4.8) 78.0 (3.4) 82.2 (5.0) 76.2 (3.9) 80.5 (3.9) 74.9 (3.9)

Angle of Convexity 163.2 (5.6) 170.2 (4.8) 169.5 (5.4) 176.9 (6.2) 174.4 (4.9) 180.3 (7.3)

A-B plane angle -8.3 (4.6) -4.8 (3.1) -7.4 (3.0) -2.4 (3.1) -5.7 (3.4) -1.5 (3.5)

ANB 7.6 (3.4) 4.4 (2.4) 5.6 (2.6) 1.8 (2.6) 3.6 (2.5) 0.6 (2.9)

FH to SN 9.0 (3.4) 4.7 (2.3) 8.5 (2.9) 7.4 (2.4) 7.4 (2.9) 7.3 (2.5) 8.8 (2.6) 7.9 (3.3)

SNP 75.1 (3.9) 72.8 (2.5) 76.9 (2.9) 74.6 (2.7) 77.6 (3.1) 75.0 (3.9)

SNB 76.2 (4.3) 73.5 (2.6) 76.6 (3.2) 74.4 (2.8) 76.8 (3.4) 74.3 (3.7)

NSGn 71.5 (3.6) 72.6 (2.3) 71.7 (2.1) 73.1 (2.5) 72.8 (3.0) 74.3 (3.5)

GZN 90.0 (4.9) 89.3 (3.6) 91.7 (3.0) 91.9 (3.8) 93.5 (4.9) 94.6 (4.8)

Facial plane angle 83.6 (2.0) 80.3 (1.4) 84.3 (1.5) 81.8 (2.7) 86.5 (2.7) 82.9 (3.2)

Mandibular plane angle 29.1 (3.6) 32.2 (3.7) 29.3 (2.3) 32.3 (4.5) 28.0 (3.7) 31.7 (5.6)

Y-axis 63.0 (2.9) 65.1 (2.4) 64.2 (1.9) 65.8 (3.2) 64.0 (3.0) 66.3 (3.7)

Ramus inclination 81.5 (4.5) 81.9 (4.0) 84.2 (4.3) 84.7 (4.8) 84.7 (5.8) 86.7 (5.6)

Gonial angle 136.5 (6.2) 137.6 (6.2) 131.9 (3.7) 134.3 (4.2) 130.2 (3.7) 132.0 (4.9) 128.4 (4.7) 129.7 (5.7)

- -

平均 (SD)

- -

- -

- -

- -

- -

- -

- -

- -

- -

- -

角度的計測項目 (degree)

UCLA UCLP UCLA UCLP

距離的計測項目 (㎜)

UCLA UCLP UCLA UCLP

表 3 各計測時期におけるUCLAとUCLPの各計測項目の平均値

stage 1 stage 3 stage 4 stage 5

(24)

23

1)-ⅰ . 交互 作用 あ りの 頄 目

UCLA と UCLP の比較において、反復測定分散分析で交互作用を認めた頄目、つ まり成長パターンに違いを認めた計測頄目を表 4 に示す。

正面幅径において、上顎歯槽基底幅径(Mx-Mx')は口唇形成術時では UCLP で 有意に大きかったが、術後は口蓋裂がない UCLA と同じ幅径で経過した。

側面に おい て 、距離 的計 測頄 目は 上顔 面 下部長 径( ANS-PNS、A'- Ptm')、

前 歯槽 骨高径(ANS-Pr、 Pr to PP)、 下顎枝 高 径を表 す部位 ( G-Cd)で 交 互 作用 を認めた 。2 群 間で stage 1 は 差 はなか ったが 、stage 5 で は UCLP が 小さ かった。 角度的 計 測 頄 目で は 、SNA は口唇形 成術時 で は 2 郡間 で 差 はな か った が 、stage 3 以降 は UCLP が 小さかった 。SN 比 に おいて 、 G-Cd/SN のみ で計 測値 比較 と同 様の結 果 を得 た。Pog-Go/SN は 計 測値比較 の 結果 とは異な り交互 作 用を認 め た 。

stage 1 stage 3 stage 4 stage 5

距離的計測項目

Mx-Mx' UCLA<UCLP* ns ns ns

ANS-Pr ns ns ns UCLA>UCLP*

Pr to PP ns ns UCLA>UCLP* UCLA>UCLP*

A'-Ptm' ns UCLA>UCLP* UCLA>UCLP* UCLA>UCLP*

ANS-PNS ns UCLA>UCLP* UCLA>UCLP* UCLA>UCLP*

G-Cd ns UCLA>UCLP* UCLA>UCLP* UCLA>UCLP*

SN比

Pog-Go/SN UCLA>UCLP* ns ns ns

G-Cd/SN ns UCLA>UCLP* UCLA>UCLP* UCLA>UCLP*

角度的計測項目

FH to SN UCLA>UCLP* ns ns ns

SNA ns UCLA>UCLP* UCLA>UCLP* UCLA>UCLP*

 ns : non signifficant、* : p < 0.05 表 4 交互作用ありの項目

計測項目 分散分析 (UCLA : UCLP)

(25)

24

1)-ⅱ.交互作用なしの頄目

交互作用を認めなかった頄目、つまり成長パターンに違いを認めなかった頄 目を表 5 に示す。

成長パターンに違いを認めなかったが、計測値の差つまり形態差を認めた距 離的計測頄目は、正面幅径において、Oo-Oo'、Io-Io'、Nc-Nc'であり UCLP が 大きかった。側面においては、 Or to SN、S-PNS、Cd-Pog、G-Pog に差があり、

いずれも UCLP が小さかった。角度的計測頄目では、A-N-B、Angle of convexity、

SNB、 SNP、 Facial plane angle は UCLP で小さく、A-B plane angle は UCLP が大きかった。SN 比は N-ANS/SN、ANS-PNS/SN、S-PNS/SN、Gn-Cd/SN、Me-G/SN で差を認め、N-ANS、Gn-Cd、Me-G は計測値比較では差を認めなかったが、SN 比 では UCLP が小さかった。S-PNS、S-PNS/SN はともに UCLP で小さかった。

形態差を認めなかった距離的計測頄目は、頭蓋底長径(N-Ba、S-N、S-Ba)、 前上顎顔面高径を表す頄目(N to PP、Or to PP、N-ANS)、下顎骨体長径と下顎 骨長径を表す頄目(Pog-Go、Gn-Cd)であった。形態差を認めなかった角度的計 測頄目は、下顎骨の前後的位置関係を表す全ての計測頄目(Mandibular plane angle、Y-axis、NSGn、Gonial angle、GZN)であった。SN 比では、口唇形成術 時から Id-Me/SN のみで差を認めなかった。

(26)

25

反復測定分散分析 t 検定

形態差 距離的計測項目

Oo-Oo' あり UCLA<UCLP*

Io-Io' あり UCLA<UCLP*

Nc-Nc' あり UCLA<UCLP*

Zyg-Zyg' なし -

Cl-Cl' なし -

Go-Go' なし -

N-Ba なし -

S-N なし -

S-Ba なし -

N to PP なし -

Or to SN あり UCLA>UCLP*

Or to PP なし -

N-ANS なし -

S-PNS あり UCLA>UCLP*

Id-Me なし -

Cd-Pog あり UCLA>UCLP*

G-pog あり UCLA>UCLP*

Me-G なし -

Pog-Go なし -

Gn-Cd なし -

SN 比

N-ANS/SN あり UCLA>UCLP*

ANS-PNS/SN あり UCLA>UCLP*

S-PNS/SN あり UCLA>UCLP*

Id-Me/S-N なし -

Me-G/SN あり UCLA>UCLP*

Gn-Cd/SN あり UCLA>UCLP*

角度的計測項目

SNBa なし -

Angle of Convexity # あり UCLA>UCLP*

A-B plane angle # あり UCLA<UCLP*

ANB # あり UCLA>UCLP*

SNP # あり UCLA>UCLP*

SNB # あり UCLA>UCLP*

NSGn # なし -

GZN # なし -

Facial plane angle # あり UCLA>UCLP*

Mandibular plane angle # なし -

Y-axis # なし -

Ramus inclination # なし -

Gonial angle なし -

* : p < 0.05 # :stage 3 ~stage 5で分析 表 5 交互作用なしの項目

計測項目

(27)

26

2)CP と UCLP の比 較

計測 結果を表 6 に示す。

stage 裂型

正貌計測項目

Oo - Oo ' 80.6 (4.0) 81.6 (2.1) 85.4 (4.1) 87.8 (2.8) 89.5 (5.0) 91.2 (2.8) 93.0 (5.0) 95.5 (2.8) Io - Io ' 17.9 (2.8) 19.9 (2.3) 20.9 (2.5) 23.4 (2.7) 23.6 (2.7) 25.1 (2.0) 25.6 (2.7) 27.7 (2.6) Zyg - Zyg ' 107.8 (5.0) 109.3 (3.6) 119.2 (5.2) 121.2 (3.2) 129.2 (6.4) 130.5 (5.3) 139.9 (6.4) 140.5 (3.5) Nc - Nc ' 31.1 (20.4) 28.2 (2.4) 27.9 (2.3) 29.8 (1.2) 31.0 (3.0) 32.4 (2.7) 34.8 (3.6) 35.5 (2.6) Mx - Mx ' 51.1 (7.4) 56.8 (2.8) 61.2 (2.7) 62.1 (2.3) 66.9 (2.8) 68.0 (3.7) 69.1 (3.5) 70.3 (3.8) Cl - Cl ' 95.4 (12.5) 98.5 (3.9) 111.4 (4.4) 112.1 (4.7) 121.6 (5.3) 121.6 (6.2) 131.0 (6.8) 130.7 (5.4) Go - Go ' 77.3 (7.5) 75.5 (2.6) 85.5 (4.2) 85.6 (3.4) 95.8 (4.7) 94.8 (3.4) 103.5 (4.8) 103.3 (3.3) 側貌計測項目

N-Ba 83.2 (2.5) 85.1 (3.9) 89.6 (2.8) 93.7 (4.0) 99.5 (3.0) 102.9 (5.0) 104.2 (3.4) 107.4 (5.4) S-N 56.6 (1.6) 57.4 (2.6) 61.2 (2.0) 62.6 (2.9) 66.2 (1.9) 66.6 (2.9) 69.2 (2.3) 69.5 (2.9) S-Ba 33.8 (1.2) 34.9 (2.4) 36.2 (1.9) 38.9 (2.3) 42.1 (2.0) 45.0 (3.2) 44.3 (2.7) 47.0 (3.8) N to PP 37.3 (1.4) 36.0 (2.4) 44.2 (1.8) 44.3 (2.4) 52.5 (1.7) 51.4 (2.7) 57.0 (2.3) 55.8 (2.8) Or to SN 21.0 (1.4) 21.1 (2.0) 23.3 (0.9) 23.3 (1.6) 25.6 (1.1) 24.7 (1.6) 26.7 (1.3) 26.2 (1.7) Or to PP 14.6 (1.4) 13.1 (1.7) 19.1 (2.1) 18.4 (1.4) 24.7 (2.4) 24.0 (2.2) 28.1 (2.6) 26.6 (2.4) ANS-Pr 13.1 (1.5) 15.1 (1.4) 16.0 (1.4) 16.6 (2.9) 13.5 (2.5) 13.0 (2.8) 15.9 (2.8) 14.8 (3.1) Pr to PP 13.0 (1.6) 14.5 (1.4) 15.7 (1.4) 16.0 (2.6) 13.3 (2.5) 12.8 (2.7) 15.9 (2.8) 14.5 (3.2) N-ANS 37.4 (1.4) 36.1 (2.4) 44.3 (1.8) 44.3 (2.4) 52.7 (1.7) 51.6 (2.7) 57.3 (2.2) 56.0 (2.9) S-PNS 34.4 (1.8) 32.8 (1.9) 39.0 (2.4) 37.3 (1.9) 45.1 (2.3) 43.1 (3.0) 49.2 (3.0) 46.2 (3.4) A'-Ptm' 36.5 (1.1) 39.8 (1.7) 40.5 (2.5) 42.7 (2.2) 43.8 (2.6) 44.1 (2.7) 46.0 (3.3) 45.2 (3.2) ANS-PNS 36.1 (1.0) 39.9 (1.8) 41.7 (2.4) 43.5 (2.4) 45.8 (3.0) 46.7 (3.3) 48.5 (2.9) 48.8 (3.2) Id-Me 25.0 (1.6) 25.3 (1.5) 28.8 (2.4) 28.5 (2.0) 31.0 (2.3) 31.1 (2.6) 35.6 (3.0) 35.3 (3.5) Cd-Pog 79.7 (3.9) 78.3 (3.0) 91.1 (3.9) 91.6 (3.1) 105.4 (5.9) 104.7 (4.8) 116.4 (6.2) 114.2 (6.2) G-pog 51.6 (2.8) 50.2 (2.7) 60.5 (2.5) 60.6 (3.0) 71.0 (3.5) 70.3 (3.3) 77.6 (3.5) 76.4 (5.2) G-Cd 38.5 (2.7) 37.9 (2.3) 44.0 (2.6) 43.9 (3.0) 51.7 (3.4) 50.2 (3.5) 58.6 (5.2) 57.3 (4.7) Me-G 46.9 (2.5) 45.7 (2.6) 55.9 (2.1) 55.8 (3.0) 66.9 (3.4) 65.9 (3.4) 73.6 (3.3) 71.6 (6.6) Pog-Go 49.5 (2.4) 48.5 (2.8) 58.6 (2.2) 58.6 (3.1) 69.0 (3.4) 68.3 (3.4) 75.6 (3.4) 74.5 (5.5) Gn-Cd 80.2 (4.0) 79.0 (3.1) 92.2 (3.7) 92.7 (3.2) 107.1 (5.8) 106.2 (5.2) 118.5 (6.3) 116.4 (7.0) SN 比 (%)

N-ANS/SN 66.1 (3.0) 62.9 (3.9) 72.4 (2.4) 70.9 (3.6) 79.6 (2.7) 77.4 (3.8) 82.9 (3.5) 80.6 (3.7) S-PNS/SN 60.8 (4.1) 57.3 (3.5) 63.9 (5.1) 59.6 (3.5) 68.2 (3.7) 64.8 (5.0) 71.3 (4.7) 66.5 (5.6) ANS-PNS/SN 63.9 (2.6) 69.6 (4.0) 68.1 (3.5) 69.5 (3.6) 69.2 (4.5) 70.1 (3.8) 70.2 (4.1) 70.3 (3.8) Id-Me/SN 44.3 (2.8) 44.2 (3.5) 47.2 (4.5) 45.5 (4.4) 46.9 (4.0) 46.8 (4.5) 51.6 (5.3) 50.8 (5.3) Pog-Go/SN 87.5 (5.0) 84.6 (5.6) 95.8 (5.9) 93.6 (5.9) 104.4 (6.8) 102.7 (6.0) 109.5 (6.9) 107.3 (8.0) Me-G/SN 83.0 (4.9) 79.7 (5.2) 91.4 (5.5) 89.3 (5.8) 101.1 (6.8) 99.0 (6.0) 106.6 (7.0) 103.1 (9.6) G-Cd/SN 68.1 (6.0) 66.1 (5.0) 72.0 (5.2) 70.2 (4.7) 78.2 (6.1) 75.4 (5.6) 84.9 (9.1) 82.5 (6.2)

SNBa 132.3 (5.4) 132.9 (4.2) 132.4 (4.6) 133.4 (4.9) 132.3 (5.0) 133.5 (4.6) 132.4 (5.4) 133.5 (5.9) SNA 78.1(3.6) 81.5(4.1) 78.5 (4.1) 78.0 (3.4) 77.4 (4.0) 76.2 (3.9) 77.1 (4.0) 74.9 (3.9)

Angle of Convexity 172.4 (7.1) 170.2 (4.8) 175.2 (5.4) 176.9 (6.2) 178.4 (4.8) 180.3 (7.3)

A-B plane angle -1.4 (6.1) -4.8 (3.1) -3.8 (3.5) -2.4 (3.1) -3.0 (2.5) -1.5 (3.5)

ANB 2.5 (3.9) 4.4 (2.4) 2.6 (2.5) 1.8 (2.6) 1.5 (1.8) 0.6 (2.9)

FH to SN 4.9 (2.2) 5.7 (2.1) 6.8 (2.4) 7.4 (2.4) 7.7 (2.2) 7.3 (2.5) 8.5 (2.3) 7.9 (3.3)

SNP 74.6 (3.4) 72.8 (2.5) 75.0 (3.1) 74.6 (2.7) 76.3 (4.0) 75.0 (3.9)

SNB 76.0 (4.1) 73.5 (2.6) 74.8 (3.3) 74.4 (2.8) 75.6 (3.9) 74.3 (3.7)

NSGn 71.7 (2.8) 72.6 (2.3) 73.3 (3.0) 73.1 (2.5) 73.8 (3.8) 74.3 (3.5)

GZN 89.7 (3.9) 89.3 (3.6) 93.7 (4.6) 91.9 (3.8) 94.8 (5.6) 94.6 (4.8)

Facial plane angle 81.4 (2.7) 80.3 (1.4) 82.7 (3.4) 81.8 (2.7) 84.8 (4.4) 82.9 (3.2)

Mandibular plane angle 32.7 (4.3) 32.2 (3.7) 31.7 (4.5) 32.3 (4.5) 31.4 (6.7) 31.7 (5.6)

Y-axis 64.9 (3.0) 65.1 (2.4) 65.6 (3.5) 65.8 (3.2) 65.4 (4.2) 66.3 (3.7)

Ramus inclination 82.9 (4.1) 81.9 (4.0) 86.0 (5.0) 84.7 (4.8) 86.4 (5.7) 86.7 (5.6)

Gonial angle 137.0 (4.2) 138.3 (3.6) 133.7 (3.7) 134.3 (4.2) 129.9 (4.1) 132.0 (4.9) 129.2 (6.0) 129.7 (5.7)

- -

- -

平均 (SD)

- -

- -

- -

- -

- -

- -

- -

- -

- -

角度的計測項目 (degree)

CP UCLP

距離的計測項目 (㎜)

CP UCLP CP UCLP CP UCLP

表 6 各計測時期におけるCPとUCLPの各計測項目の平均値

stage 2 stage 3 stage 4 stage 5

(28)

27

2)-ⅰ. 交互作用 あ りの 頄 目

CP と UCLP の比較において、反復測定分散分析で交互作用を認めた頄目、つま り成長パターンに違いを認めた計測頄目を表 7 に示す。

側面において、距離的計測頄目では頭蓋底全長径(N-Ba)、上顔面下部長径なら びに前上歯槽高径(ANS-PNS、A’-Ptm’、ANS-Pr、Pr to PP)、後上顔面高径(S-PNS)

において交互作用を認めた。N-Ba は口蓋形成術時では両者で差がなかったが、

stage 3 以降は UCLP の方が大きかった。ANS-PNS、A’-Ptm’、ANS-Pr、Pr to PP は口蓋形成術時で UCLP の方が大きかったが stage 5 で差がなかった。

S-PNS は全 stage を通じて UCLP が小さく、成長に伴い両群の差は増大した。

また、交互作用を認めた角度的計測頄目は SNA、A-B plane angle、A-N-B、angle of convexity であり、SNA は口蓋形成術時に UCLP が大きかったが、stage 5 で は UCLP の方が小さかった。また、上下顎前後関係を表す ANB は stage 3 で UCLP が大きかったが stage 5 では UCLP の方が小さかった。SN 比においては、

ANS-PNS/SN のみが ANS-PNS の計測値と同様に口蓋形成術時では UCLP が大きかっ たが、その後両群で差を認めなかった。

stage 2 stage 3 stage 4 stage 5

距離的計測項目

N-Ba ns CP<UCLP* CP<UCLP* CP<UCLP*

ANS-Pr CP<UCLP* ns ns ns

Pr to PP CP<UCLP* ns ns ns

S-PNS CP>UCLP* CP>UCLP* CP>UCLP* CP>UCLP*

A'-Ptm' CP<UCLP* CP<UCLP* ns ns

ANS-PNS CP<UCLP* ns ns ns

SN比

ANS-PNS/SN CP<UCLP* ns ns ns

角度的計測項目

SNA CP<UCLP* ns ns CP>UCLP*

Angle of Convexity - CP>UCLP CP<UCLP CP<UCLP

A-B plane angle - CP>UCLP CP<UCLP CP<UCLP

ANB - CP<UCLP CP>UCLP CP>UCLP

表 7 交互作用ありの項目

計測項目 分散分析 (CP : UCLP)

 ns : non significant、* : p < 0.05

(29)

28

2)-ⅱ. 交互 作用 な しの 頄 目

交 互 作 用 を認 め なか っ た 、 つ まり 成 長パ タ ー ン に 違い を 認め な か っ た 頄 目を 表 8 に 示す 。

口蓋形成術時から 成 長パ ター ン に 違いが な く 、形 態差を 認めた計測 頄目 は 、正面 幅径の Io-Io'、Mx-Mx'お よ び 側面 の SN 比の S-PNS/SN で あった。

Io-Io'、 Mx-Mx'では UCLP が大 きく、 S-PNS/SN の後上顔面高を表す頄目で は UCLP が小さ か った 。

口蓋形成術時から成長パターンの違いも形態差も認めなかった距離的計測頄 目は、側面において S-N、N-Ba などの前後頭蓋底長径、N to PP、N-ANS などの 前方上顔面高径の下方成長を表す頄目と、下顎骨の全ての計測頄目であった。

形態差を認めなかった角度的計測頄目は、SN と FH を基準とする下顎骨の前後 的顎間関係を表す全ての頄目であった。SN 比において、N-ANS/SN と下顎骨の SN 比は計測値と同様に成長パターンに違いがなく、計測値にも差がなかった。

(30)

29

反復測定分散分析 t 検定

形態差 距離的計測項目

Oo-Oo' なし -

Io-Io' あり CP<UCLP*

Zyg-Zyg' なし -

Nc-Nc' なし -

Mx-Mx' あり CP<UCLP*

Cl-Cl' なし -

Go-Go' なし -

S-N なし -

S-Ba なし -

N to PP なし -

Or to SN なし -

Or to PP なし -

Id-Me なし -

Cd-Pog なし -

G-pog なし -

G-Cd なし -

Me-G なし -

N-ANS なし -

Pog-Go なし -

Gn-Cd なし -

SN 比

N-ANS/SN なし -

S-PNS/SN あり CP>UCLP*

Id-Me/SN なし -

Pog-Go/SN なし -

Me-G/SN なし -

G-Cd/SN なし -

Gn-Cd/SN なし -

角度的計測項目

SNBa なし -

Facial plane angle # なし -

Mandibular plane angle # なし -

Y-axis # なし -

FH to SN なし -

SNP # なし -

NSGn # なし -

SNB # なし -

Gonial angle なし -

GZN # なし -

Ramus inclination # なし -

表 8  交互作用なしの項目 計測項目

* : p < 0.05 # : stage 3 ~stage 5で分析

(31)

30

Ⅲ -3. 考 察

1)統 計学 的解 析法

CL/P 患者の顎顔面頭蓋の形態の特徴や成長パターンを把握しようと試みた 報告は数多い(3-5,7-11)。クラスター分析や因子分析、主成分分析等の多変 量解析による研究は、顎顔面形態の特徴を解析し分類することには優れていた が、時間的要素が反映されていなかった(8,24,48)。経時的研究においても 各時期での平均値や その 間の 成長変化量を比 較したものがほとんどで、裂型間 の比較は時点間の断続的な比較であったため、経時的な成長全体を統計学的に 有効に評価し得たものではなかった。成長を成長パターン全体として捉えるに は、統計学的には「検定多重性の問題」が指摘される。すなわち、過去の報告 にあるように、同一被験者から成長変化として反復して収集した経時的データ に対して、裂型間の平均値の差に対する t 検定や分散分析法を比較する群間で 繰り返し適用することは避けねばならない。設定した有意水準が比較回数を重 ねることにより緩められ、有意差が出やすくなるいわゆる「検定多重性の問題」

が生じるからである。

そこで本研究では「検定多重性の問題」を回避し、5 つの時期での経時的デ ータを一連の成長パターンと捉えて比較することができる反復測定分散分析法

( repeated measured ANOVA)を適用し、時間と裂型を 2 要因として交互作 用の有無を検討した。「交互作用あり」とは裂型によって成長パターンが異なる ことを意味する。成長パターンが異なる場合、成長量に差があり成長線の逆転 や二極化が考えられる。(図 4)「交互作用なし」とは裂型間での成長パターン が同じであり、さらに計測初期の計測値の差が統計学的に stage 5 まで継続し ていることを示している。UCLA と UCLP の stage 1および CP の stage 2 は 口唇形成あるいは口蓋形成術時で術前顎矯正治療を行っていない未治療の状態

(32)

31

であるため、裂型による頭蓋顔面形態への影響が最も反映されていると考えら れる。よって、stage 1 での計測値の差が stage 5 まで継続される場合、その 部位の成長パターンは形成手術の影響というより主として生来の裂型の影響を 受けていると考えられる。また、「交互作用なし」でさらに Studentt検定で裂 型による計測値の有意差がなければ、裂型にも形成手術にも影響を受けていな い部位であると考えられる。

2)頭 蓋基 底部 につい て

頭蓋基底は成長時期の異なる脳頭蓋と顎顔面との境界に位置し、両者の成長 速度の差を調節する部位と言われ(50)、この部の成長は顔面頭蓋の成長に影響 を及ぼすと言われている(51)。CL/P の頭蓋底の成長発育については過去に多く の報告がある。未手術例より小さいとするものもあるが(3,4,10)、差がない とするものが多くみられる(3,5,7,8,9,10,13,41)。頭蓋底角に関する 未手術例との比較では、CL/P 患者の頭蓋底角は大きいとするもの(4,7,8,26)、 小さいとするもの(18)、差がないとするもの(3,41)などの報告があり一定 の見解が得られていない。

本研究においては、UCLA と UCLP、すなわち口蓋裂の有無に関する比較で頭 蓋底のすべての成長パターンは違いを認めなかった。このことより、尐なくと も口蓋裂の存在は先天的および後天的に頭蓋底長径および頭蓋底角に影響を及 ぼしていないと考えられた。一方、CP と UCLP の比較、すなわち口唇裂の有無 に関する比較では全頭蓋底長のみに成長パターンの違いを認め、全頭蓋底長は 口蓋形成術時に両者で同程度であったが stage 3 以降は UCLP の方が大きかっ た。口唇裂および口唇形成術の存在により、5 歳以降の全頭蓋底長は長くなっ ていた。

(33)

32

頭蓋底の成長において、最後に癒合する蝶形後頭軟骨結合は主要な部位とされ ており、女子では 12~13 歳頃、男子では 2 年遅れて骨化が始まり、20 歳頃に 骨結合が完了する。ここでの成長が上顎骨を下顎に対して上前方に移動させる ことになり、上顎骨の深さと高さの増加に貢献すると言われている(52)。こ の成長様式を考慮すれば、遅れて成長する蝶形後頭軟骨結合部の影響が尐なか らず後頭蓋底長と頭蓋基底角に及び、その結果、口唇裂の有無による比較で全 頭蓋底長に形態差が生じたと考えられる。全頭蓋底長のみ統計学的な有意差が 表れたのは一見矛盾しているように思われるが、後頭蓋底長と頭蓋基底角にも 有意差には及ばない程度の差が生じており、有意差が顕著化した頄目が全頭蓋 底長であったと考えられる。

3)上顎骨について

Graber(1)が形成手術を受けた CL/P 患者よりも、未手術 CL/P 例の顎顔面頭 蓋成長の方が非破裂者の顎顔面頭蓋成長に近く良好であったと報告して以来、

口唇形成術や口蓋形成術の侵襲が顎 顔 面 領 域 の 成 長 に及ぼす影響が注目され て きた 。先天的な組織欠損である裂に対しさらに加わる形成手術の侵襲が、顎 顔面の成長にどのような影響を及ぼすかについては、過去にも術後の CL/P 患者 と未手術例の比較よる報告が数多くなされた。その中で、口蓋裂を有する UCLP や CP では上顎歯槽基底長径が短いとする報告は多い(16,35,40,44,53,54)。 真鍋(25)は、UCLA、UCLP、CP の術後の上顎骨はそれぞれに特有な顎発育を認 め、特に口蓋裂を有する裂型の中顔面の陥凹感は 8 歳まで経年的に著明となる とし、吉 田 (40) は UCL、 UCLA、 UCLP の比較 において 、 破裂部位が 広範 囲 に及 ぶほど ANS は術 後に 後 退す る 傾向に あるとし た。また後藤(48)は 4 歳までの上顎歯槽基底長径および SNA の手術前後の変化量に注目し、4 歳ま

図 1  正面・側面頭部X線規格写真
図 5  統計解析の流れ
表 3 各計測時期におけるUCLAとUCLPの各計測項目の平均値
表 6  各計測時期におけるCPとUCLPの各計測項目の平均値
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参照

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