国 際 ビ ジ ネ ス環 境 変 革 期 に お け る 国 際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 の 課 題
取 引 費 用 ア プ ロ ーチ の 適 用 に 中心
テ ィ オ フ ィ ラ ス ・ア サ モ ア
1.は じめ に
II.国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 の 基 本 認 識 1.既 存 研 究 に 関 す る 若 干 の レ ビ ュ ー 2.国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 に お け る 課 題 m.国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 の 類 型
1.国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 の 規 定 因 と そ れ に基 づ く分 類 2.国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 に お け る 取 引 の 重 要 性
IV.取 引 費 用 ア プ ロ ー チ に 基 づ く国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 の 考 察 1.取 引 費 用 ア プ ロ ー チ の 基 本 概 念
2.国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 の 取 引 特 性 3.国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 基 本 戦 略
V.結 論
1.は じ め に
国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ は,一 般 にi自 国 以 外 の 市 場{外 国 市 場)に 対 す る マ 一 ケ テ ィ ング活 動 をそ の研 究 対 象 と して い るユ)。 す な わ ち,企 業 が そ の 法 的 な
257
本 籍 地 で あ る 国 以 外 の 市 場 で マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を展 開 す る と き,国 際 マ,̲....
ケ テ ィ ン グ が 始 ま る の で あ る 。 こ の こ と は,企 業 が 自 国 の 他 の 市 場 に 参 入 す る の と は 異 な る レ ベ ル(水 準)の 不 確 実 性 に直 面 させ る と 同 時 に,そ れ に対
2)
す る適 切 な対 処 を迫 られ る こ とを意 味 す る。 外 国市 場 で マ ー ケ テ ィ ン グ活 動 を展 開 す る際 に生 じる不確 実 性 は,国 内 マ ー ケ テ ィ ング か ら国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ を識 別 す る主 要 な要 素 で あ り,国 際 マ ー ケ テ ィ ング を ひ とつ の研 究 領 域 と して研 究 す る理 由 もこ こに あ る。 本 縞 も,ま た,こ の 一般 的 な認 識 に した が い,国 際 マ ー ケ テ ィ ング の研 究領 域 を 「あ る企 業 が 法 的 な本 籍 地 の あ る国 の境 界 を越 え て実 施 され る すべ て の マ0ケ テ ィ ン グ活 動 」 と した上 で議 論 を 進 め る。
国 際 マ ー ケ テ ィ ング は,も はや 一 部 の企 業 の もの で は ない 。 企 業 規 模 の 大 小 を問 わ ず,多 くの企 業 が さ ま ざ まな形 態 にお い て 国 際 マ ー ケ テ ィ ング を展
3}
開 して い る。 この こ とは,国 際 マ ー ケ テ ィ ング にお け る 多様 な戦 略 タ イ プ の 存 在 を示 唆 して い る と思 わ れ るが,残 念 なが ら,既 存 の 国 際 マ ー ケテ ィ ン グ 研 究 は この点 に関 して あ ま り注 目 して こ なか っ た 。本 縞 は,ま ず,こ の 国際 マ ー ケ テ ィ ン グ にお け る戦 略 の 多 様 性 を基本 前 提 と して,企 業 が対 象 とす る 市 場 とそ れ らへ の 適 合 行 動 の相 違 か ら国 際 マ ー ケ テ ィ ング戦 略 の類 型 化 を試
してみ る 。 さ らに,国 際 マ.̲.̲ケテ ィ ング戦 略 で の外 国 市 場 へ の適 合 行 動 が 具 体 的 に は 自国市 場 に あ る本 社 と外 国市 場 に存 在 す る経 済 主 体 との 取 引 を通 じ
て な され る こ とか ら,国 際 マ ー ケ テ ィ ング戦 略 の構 成 要 素 と して 取 引 に注 目 し,そ の代 表 的 分 析 手 法 で あ る取 引 費 用 ア プ ロ ーチ に基 づ い て,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ戦 略 の 具 体 的 内容 に 関 して考 察 す る。
以 上 の2点 が 本 縞 の 主 要 な 目的 で あ るが,次 章 で は,ま ず,筆 者 が この よ うな 問題 意 識 を持 つ に至 っ た背 景 を明 らか にす る た め,既 存 の 国際 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 に関 して考 察 を行 う。
皿.国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 の 基 本 認 識
1.既 存 研 究 に 関 す る 若 干 の レ ビ ュ ー
国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ は,研 究 視 点 の 相 違 に よ り大 き く(1)発 展 段 階 ア プ ロ ー チ,(2)環 境 論 的 ア プ ロ ー チ,(3)戦 略 的 ア ブ ロ ー チ の3つ に 分 類 す る こ とが で き る 。
(1)発 展 段 階 ア プ ロ ー チ
発 展 段 階 ア プ ロ ー チ は,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ活 動 が い くつ か の 過 程 を経 な が ら段 階 的 に展 開 さ れ る とい う認 識 に 基 づ く もの で あ る 。 こ の 発 展 段 階 ア プ ロ ー チ は,Perlmutterが1969年 に堤 唱 したE.P.R.G.図 式 を そ の 理 論 的 基 礎
4}
と して い る。 こ のE.P.R.G.図 式 は,国 際 的 活 動 を 展 開 し よ う とす る 企 業 の 成 長 段 階 に 応 じた 国 際 化 に 対 す る 企 業 の 態 度 や 志 向 を 示 した も の で あ る 。E.
P.RG.は,各 々,本 国 志 向(Ethnocentric),現 地 志 向(Polycentric),地
域 志 向(Regiocentric),世 界 志 向(Geocentric)を 意 味 して お り,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ を展 開 す る 企 業 は,最 初 本 国 志 向 か らス タ ー ト し,現 地 志 向,地
5)
域 志 向 を 経 て 最 終 的 に 世 界 志 向 に 到 達 す る 。Robinsonも ま た 発 展 段 階 ア プ ロ ー チ に 依 拠 す る 研 究 者 の ひ と りで あ る が,彼 は,Perlmutterの4段 階 を 6段 階 に 拡 張 し,い くつ か の 企 業 に お い て は7段 階 の 発 展 段 階 が 観 察 さ れ る
s)
こ と を指 摘 した 。
発 展 段 階 ア プ ロ ー チ の 特 徴 は,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ を 展 開 す る 際 に 生 じる 不 確 実 性 の 問 題 が 各 段 階 を経 る こ と で 解 決 し得 る こ と を 示 した 点 に あ る 。 こ の こ と は,同 時 に,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ を 展 開 す る 企 業 が,こ の 「成 長 の 道 筋(pathofgrowth)」 に従 う必 要 が あ る こ と を意 味 して い る 。
国際 ビジネス環境 変革期 にお ける国際 マー ケテ ィング研 究の課題 一一 取引費用アプローチの適用 に中心 一259
(2)環 境 論 的 ア プ ロ ー チ
国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 に 対 す る 第2ア プ ロ ー チ は,環 境 論 的 ア プ ロ ー チ で あ る 。HessとCateoraは,外 国 市 場 で マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を展 開 して い
7)
る企 業 は 基 本 的 に統 制 不 可 能 な2つ の環 境 に直 面 して い る と主 張 した。 ひ と つ は 自国 環境 で あ り,も うひ とつ は外 国環 境 で あ る。 彼 らは,企 業 が実 施 す るマ ー ケ テ ィ ン グ活 動 は 自国環 境 の 影 響 の も とで 開発 され た もの,す なわ ち 基 本 的 に 自国 市 場 に適 合 す る もの で あ り,自 国 とは異 な る環境 に あ る外 国 市 場 に適 合 す る た め に は各 々 の 国 ご とにマ ー ケ テ ィ ン グ活 動 を変 更 す る必 要 が あ る と主 張 す る。 す なわ ち,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グの 課 題 は,各 々 の 国 の 環境 に合 致 した マ ー ケ テ ィ ング活 動 を開発 す る こ とで あ り,こ の こ と に よ って 企 業 が 直 面 す る不 確 実 性 の 問題 が 解 決 され る と考 えた の で あ る。
$}
この 考 え を よ り精 緻 化 した のが,Bartelsで あ る。Bartelsは,マ ー ケ テ ィ ン グ活 動 を技 術 的(非 人 間 的)過 程 と社 会 的(人 間的)過 程 に分 け,技 術 的 過 程 は普 遍 的 す な わ ち場 所 や 時 代 にか か わ らず潜 在 的 有 効 性 を持 つ が,こ れ が 社 会 的過 程 を経 る段 階 で そ の潜 在 的 有 効 性 が制 限 され る と主 張 した 。 そ し て,こ の社 会 的 過 程 に影響 を与 え る要 因 と して政 府 の 役 割 に注 目 し,国 別 に マ ー ケ テ ィ ング活 動 を開発 す る必 要 性 と と も に,比 較 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 で の 環 境 とマ ー ケ テ ィ ン グ活 動 との相 互 作 用 分 析 の 重 要 性 を 自適 した の で あ る。
(3)戦 略 的 ア プ ロ ー チ
国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 の 第3の ア プ ロ ー チ は,Levittに よ っ て1983年 に
9?
提 示 され た。Levittは,国 際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 にお い て 戦略 志 向 が 欠 如 し て い る こ と を指 摘 し,標 準 化 を基 本 戦 略 とす る グ ロ ーバ ル ・マ ー ケ テ ィ ング の概 念 を提 唱 したの で あ る。
この 標 準 化 とい う考 え方 自体 は,国 際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 にお い て決 して新
10)1ユ)
しい もの で は な い 。 しか し,標 準 化 を多 国 籍 企 業 が 国 際 マ ー ケ テ ィ ング に
お い て直 面 す る問 題 と して で は な く,彼 らが 選 択 す べ き一 つ の 戦 略 と して提 示 した点 に,Levittの 新 し さが あ る。彼 は,情 報 網 の発 展 や 技 術 の普 及 に と
もな い市 場 が全 世 界 的 に類 似 す る傾 向 に あ る とい う認 識 に立 ち,標 準 化 の も と優 れ た 品 質 を持 つ 製 品 を低 価 格 で全 世 界 的 に販 売 す る こ とが 企 業 を成 功 へ と導 く鍵 とな る と主 張 した ので あ る 。
国 際 マ ー ケ テ ィ ング の課 題 が 直 面 す る不 確 実 性 に どの よ う に対 処 す る か に あ る こ とは既 に述 べ た通 りで あ るが,こ の戦 略 的 ア プ ロ ー チ は他 の発 展 段 階 ア プ ロ ー チ や環 境 論 的 ア プ ロ ーチ と異 な る方 法 で 不 確 実 性 に対 処 す る。 す な わ ち,他 の2つ の ア プロ ー チ が 組 織 の情 報処 理 能 力 を増 大 させ る こ とで不 確 実 性 に対 処 しよ う とす る の に対 して,グ ロ ーバ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グは,標 準 化 が 展 開可 能 な市 場 領 域 にマ ー ケ テ ィ ング活 動 を絞 り込 む こ とで情 報 の負 荷
12)
を削 減 し不 確 実性 に対 処 し よ う とす る。 い ず れ に しろ,標 準 化 も また 国 際 マ ー ケ テ ィ ング に お い て不 確 実 性 を克服 す る ひ とつ を方 法 とみ なす こ とが で き る。
2、 国際 マ ーケ テ ィ ン グ研 究 に お け る問 題
と こ ろで,前 節 に示 され た 国 際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 の3つ の ア プ ロー チ は 各 々問題 を抱 い て い る。 第1の 発 展 段 階 ア プ ロ ー チ で は,発 展 の 過 程 で不 可
13)
欠 だ と思 わ れ て い た要 因が 必 ず し もそ うで は な い こ とが指 摘 され,ま た,発 展 段 階 ア プ ロー チ の 基 本 的前 提 で あ る 「成 長 の 道 筋 」 に必 ず しも全 て の企 業
14)
が従 うわ け で は ない こ とが 明 らか に され た。
第2の 環 境 論 的 ア プ ロー チ に 関 して は,そ の根 幹 を なす 「環 境 に対 す る適
15)
合 」 が 必 ず し も国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ に 固有 の 課 題 で な い こ と は明 白で あ る 。 また,環 境 の 理 解 は極 め て 主 観 的 で あ り,そ こ に何 ら客 観 的 基 準 は存 在 しな い 。 この こ とは,た とえ ま っ た く同 じ国(市 場,環 境)を 対 象 と してい て も 認 識 の相 違 に よ り企 業 に とっ て異 な る もの に な る と同時 に,国 とい う市 場 区
ユ6)
分 が 必 ず し も 硬 直 的 な も の で は な い こ と を 意 味 す る も の で あ り,こ れ が 環 境 国際ビジネス環境変革期における国際マーケティング研究の課題 一 取引費用アプローチの適用に中心一261
論 的 ア プ ロー チ を難 し くす る一 因 に な っ てい る。
第3の 戦 略 的 ア プ ロ ー チ の 基 礎 とな るLevittの 主 張 は,長 年 に わ た る論 争 の 末,1990年 代 初 め に よ うや く容 認 され た。 彼 の 主 張 が 容 認 され た の は, 国 ご とに個 別 に対 応 す る非 効 率 性 に悩 ま され て い た た め で あ る 。 つ ま り,多 国 籍企 業 が 国 間 の 相 違 をあ る程 度 無 視 し経 済 効 率 性 を追 求 す る こ とを正 当化 す る た め に理 論 的 根 拠 と して,そ れ を利 用 した こ とに 因 る と こ ろが 大 きい 。
しか し,だ か ら と言 っ てす べ て の マ ー ケ テ ィ ング活 動 が標 準 化 で きる わ け で 17)
は な い。
い か にLevittが 国 間 の 差 異 を無 視 す る こ とを企 業 に 求 め て も,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ にお い て,個 別 国 へ の適 合 を重 視 す る声 が い まだ 多 く存 在 す るの で あ る。
これ ら国 際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 の各 ア プ ロ ー チ にお け る 問題 は,突 き詰 め る な らば,多 くの研 究 者 が 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ戦略 の 多 様 性 を認 め て い な が らそ れ を類 似 化 す る方 法 論 を有 して い な い こ と に起 因 して い る。 もち ろ ん, 既 存 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 に お い て もい くつ か の 戦 略 類 型 が 存 在 す る が,こ れ らの多 くは発 展段 階 ア プ ロ ー チ の 各段 階 を ひ とつ の 戦 略 タ イ プ と し
18)
て記 述 した もの に過 ぎな い。 発 展 段 階 ア プ ロー チ にお い て,戦 略 を選 択 す る 余 地 無 しにす べ て の段 階 を通 過 しな け れ ば な らない 。 国 際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 の 問題 は,ま さ に,企 業 が 選 択 可 能 な戦 略 に対 す る理 論 的 考 察 の 欠如 に あ
る。
皿.国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ戦 略 の 類 型
1.国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ戦 略 の 規 定 因 とそ れ に基 づ く分 類
前 章 にお け る既 存 の 国際 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 に対 す る議 論 か ら,戦 略 と し て の 国 際 マ ー ケ テ ィ ング に対 す る理 論 的考 察 が 成 され て い な い こ とが 示 され た。 一般 的 に,マ ー ケ テ ィ ン グ戦 略 は市 場 に対 す る適 合 行 動 で あ り,国 際 マ
一 ケ テ ィ ン グ 戦 略 も企 業 が 対 象 とす る 市 場 特 性 お よ び そ れ に対 す る 適 合 行 動 の 相 違 か ら 同 様 に 規 定 さ れ る 。
以 上 の 認 識 に 基 づ き,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 は 大 き く図1の よ う に 分 類 す る こ と が で き る 。 図1の 縦 軸 は,標 的 とす る 市 場 が 単 一 か 複 数 国 家 と い う 企 業 が 対 象 とす る 市 場 の 範 囲 を 示 して お り,ま た,横 軸 は,こ の 標 的 市 場 に マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を適 応 させ る の か,ま た は 標 準 化 さ れ た 共 通 の マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を 展 開 す る の か と い う適 合 行 動 の 相 違 を 表 す 。 図1に 示 さ れ た4 つ の 分 類 の う ち,第1章 に 示 した 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 領 域 の 規 定 に よ り, 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 の 対 象 と な る の は,ド メ ス テ ィ ッ ク(自 国)・ マ ー ケ テ ィ ン グ(DomesticMarketing)を 除 く 「イ ン タ ー ・ネ イ シ ョ ンズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ(lnter‑NationsMarketing)」
,「 マ ル チ ・ネ イ シ ョ ンズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ(Multi‑NationsMarketing)」,「 グ ロ ー一バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ
(GlobalMarketing)」 の3つ で あ る 。 こ れ ら国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 の3つ の 違 い を よ り明 確 に す る た め に 図 式 化 した の が 図2で あ る 。
イ ン タ ー ・ネ イ シ ョ ン ズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ は,自 国 市 場 に お い て 展 開 し て い る マ.̲.̲ケテ ィ ン グ活 動 が そ の ま ま適 応 可 能 な 外 国 市 場 を対 象 と し て 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を展 開 す る 方 法 で あ る 。 した が っ て,外 国 市 場 を対 象 と し て い る も の の 実 質 的 に は 自 国 市 場 を 対 象 とす る の と 同 じ こ と で あ り(単 一
単一 国
多数国
図1
①
ド メ ス テ ィ ッ ク ・マ ー ケ テ ィ ン グ イ ン タ ー マ ー
③
マ ル チ ・ネ イ シ ョ ン ズ グ ロ ー バ ル マ ー ケ テ ィ ン グ
適応化
国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 の 類 型
②
イ ン タ ー ・ネ イ シ ョ ン ズ ・ マ ー ケ テ ィ ン グ
④
グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ
国際 ビジネス環境変革期 における国際マー ケテ ィング研究 の課題 一 取 引費用アブG'チ の適用に中心 一
標準 化 263
図2国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ戦 略 の 類 型 (国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ戦 略 の対 象 〉
イ ン タ ・ ネ イ シ ョ ン ズ ・ マ ー ケ テ ィ ン グ
C
マ ル チ ・ ネ イ シ ョ ン ズ ・ マ ー ケ テ ィ ン グ
B
(ニ ッ チ)
A C
(ホ ー ル)
グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ
国),当 然 の こ と な が ら展 開 さ れ る マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 も 同 じ もの で あ る (標 準 化)。 外 国市 場 が 自国 市 場 と異 な る こ と を前 提 とす る な らば,こ の 戦 略
?g}
は 外 国 市 場 の 一 部(ニ ッ チ)に 限 定 さ れ る で あ ろ う 。 マ ル チ ・ネ イ シ ョ ン ズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ は,企 業 が 対 象 とす る 各 々 の 国 に 対 して 異 な る マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を展 開 す る 方 法 を 表 す 。 自 国 を 含 め 個 々 の 国 が 他 国 と は 異 な る 市 場 で あ る と い う 認 識 の も と に マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を 計 画 し実 施 す る の で あ る 。 し た が っ て,マ ル チ ・ネ イ シ ョ ン ズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ で は,対 象 とす る 複 数 国 に 対 して 各 々 適 応 す る個 別 マ ー ケ テ ィ ン グ活 動 が 展 開 さ れ る 。 グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ は,複 数 国 を対 象 と し な が ら も,こ れ ら複 数 を あ た か も 同 一 の 市 場 と見 な し標 準 化 さ れ た 共 通 の マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を展 開 す る 方 法 で あ る 。 こ の 戦 略 は,標 準 化 の 対 象 と な る 市 場 の 相 違 に よ り,さ ら に,
「グ ロ ー バ ル ・ニ ッ チ(globalniche)」 と 「グ ロ ー バ ル ・ホ ー ル(global‑
whole)」 に 分 け ら れ る 。 グ ロ ー バ ル ・ニ ッ チ は,異 な る 複 数 国 の 市 場 の 中 の 共 通 す る 部 分 の み を対 象 に して マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を展 開 す る 。 あ る特 定 市 場,た と え ば 自 国 市 場 に 依 拠 す る こ と な く,対 象 とす る す べ て の 国 を 同 等
ao)
に扱 い標 的市 場 を設 定 す る こ とが グ ロ ーバ ル ・ニ ッチ の特 徴 で あ る。 対 照 的 に,グ ロー バ ル ・ホ ー ル は,複 数 国市 場 の相 違 を前 提 と しなが ら も,こ れ ら の 相 違 に包 括 的 に適 応 し得 る共 通 した マ ー ケ テ ィ ング活 動 を対 象 とす る市 場
21)
全 体 に対 して展 開す る方 法 を表 して い る。
2.国 際 マ ー ケ テ ィン グ戦 略 に お け る取 引 の 重 要 性
前 節 にお い て,企 業 が 対 象 とす る市 場 特 性 お よ び適 合 行 動 の相 違 か ら国際 マ ー ケ テ ィ ン グ戦 略 の 分 類 を行 っ た もの の,類 型 化 され た 戦 略 の 具 体 的 内容 に関 して は決 して 満 足 し得 る もの で は な い 。 そ の 理 由 は,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ戦 略 の課 題 が 自国 以 外 の市 場 を対 象 とす る こ とに よ り発 生 す る不 確 実 性 へ の対 処 方 法 で あ る に もか か わ らず,こ の点 が類 型 化 され た 国 際 マ ー ケ テ ィ ン
22;
グ戦 略 に お い て 明 示 的 に提 示 さ れ て い な い こ とに あ る。 した が っ て,上 述 し た国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ類 型 を よ り戦 略 的 示 唆 の 富 む もの にす る に は,各 戦 略 タイ プが 具 体 的 に どの よ う な方 法 に お い て 不確 実 性 に対 処 し よ う とす る の か を明 らか にす る必 要 が あ る 。 そ こで も う0度,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ研 究 の原 点 に戻 っ て,こ の 問 題 を考 えて み よ う。
そ もそ も,国 際 マ ー ケ テ ィ ング は,自 国 を超 え て実 施 され る マ ー ケ テ ィ ン グ活 動 を そ の研 究 対 象 と して い る。 「国」 はf現 在 の 社 会 制 度 の 中 で も っ と も明 確 で高 い独 立性 を有 す る法 的存 在 で あ る。 した が って,国 際 マ ー ケ テ ィ ング の展 開 は,具 体 的 には,自 国 とは異 な る法 的 構 造 の も とに存 在 す る経 済
23)
主 体 との取 引 関係 を通 じて 実 施 され る。 この こ とは,国 際 マ ー ケ テ ィ ング に お け る不 確 実性 へ の対 処 が 自国 とは異 な る法 的 構 造 の も とで 活 動 す る経 済 主 体 の 選 択 お よび 彼 ら との 取 引 関 係 の 調 整 を通 じて遂 行 さ れ る こ と を意 味 す る。 本 縞 がi国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ戦 略 にお い て取 引 に注 目 し,ま た,そ の 分 析 方 法 で あ る取 引 費 用 ア プ ロ ー チ を国 際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 に適 用 しよ う と す る理 由 は,ま さに こ こ にあ る。
既 存 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 も,こ の 取 引 の 問題 に まっ た く注 目 しなか っ た わ け で は ない 。 事 実,1980年 代 以 降,国 際 マ ー ケ テ ィ ング の定 義 にお い て,取 引 また は そ の類 似 概 念 で あ る交 換 とい う言 葉 が しば しば使 用 され て い
24)
る 。 しか し,こ れ は,1970年 代 後 半 か ら1980年 代 初 め に か け てBagozziや
25)
Huntの 研 究 に影 響 され る と こ ろが 大 き く,取 引概 念 を 中核 と して 国 際 マ ー
26)
ケ テ ィ ン グ 戦 略 を 分 析 す る に は 至 ら な か っ た 。
国際ビジネス環境変革期における国際マーケティング研究の課題 一 取引費用アプローチの適用に中心 一265
N取 引 費 用 ア プ ロ ー チ に 基 づ く 国 際 マ.,...ケテ ィ ン グ 戦 略 の 考 察
1.取 引 費 用 ア プ ロ ーチ の 基 本 概 念
取 引 費 用 ア プ ロ ーチ は,企 業 問 お よ び企 業 内 の取 引 を分 析 対 象 と し,取 引 特 性 ま た そ れ に よ り生 じる費 用 や 効 果 の相 違 に応 じて 適 切 な取 引 関係 を考 察
a7)
す る こ と を 目 的 とす る 。 そ の 際i取 引 に お い て 生 じ る費 用 が ど の よ う な 取 引 が 適 切 か を判 断 す る 基 準 と な る 。 す な わ ち,組 織 は こ の 取 引 費 用 を 最 も効 率 化 し得 る 取 引 の 統 御 機 構(governancestructure)を 選 択 す る とい う の が,
28)
取 引 費 用 ア プ ロ ー チの 基 本 命 題 で あ る。 取 引 関 係 は,基 本 的 に契 約 とい う形 態 に よっ て具 現 化 され る 。 以 下 に お い て,こ の取 引 費 用 ア プ ロー チ の 基 本 的
29)
考 え方 につ い て概 説 しよ う。
(1)契 約(Contracting)
取 引 費 用 ア プ ロ ーチ は,ま ず,組 織 の 契 約 方 法 に関 す る研 究 で あ る。 す な わ ち,取 引 の相 違 は,当 事 者 間 の契 約 の 相 違 と して具 現 化 され分 析 され る の で あ る。 契 約 は,大 き く古 典 的 契 約,新 古 典 的契 約,関 係 的契 約 の3つ に識
30)
別 す る こ とが で きる。
(a)古 典 的契 約:契 約 の基 本 目 的 は取 引 を促 進 させ る こ とに あ る。古 典 的契 約 は,取 引 の離 散 性(discreteness)を 高 め,将 来 起 こ り得 る こ と を現 在 化 (presentiation)す る こ とで取 引 を促 進 し よ う とす る。 こ こで は,考 え られ 得 る将 来 起 こ るで あ ろ うす べ て の事 柄 お よ び そ れ に対 す る解 決 方 法 が,当 事 者 の合 意 の も と契 約 の 中 に明 示 され る。 したが っ て,古 典 的契 約 は一 般 的 に 短 期 的 な もの とな り,ま た,法 的 規 範 や公 式 文 書 が 重 視 され る傾 向 にあ る。
(b)新 古 典 的 契 約:取 引 に は,そ の遂 行 に多 くの時 間 を費 や す 必 要 が あ る な ど,短 期 間 の取 引 に限 定 され る古 典 的契 約 に は適 さ ない もの も存 在 す る。 こ の よ うな場 合 に は,長 期 に及 ぶ 関係 の構 築 を前 提 とす る新 古 典 的 契 約 に よ っ
て取 引 が行 わ れ る。 す な わ ち取 引 に よっ て得 られ る成 果 と現 実 の 間 に大 き な 差 が あ り,成 果 達 成 の た め に何 段 階 か の 過 程 を経 な け れ ば な ら ない 場 合 に, この よ うな長 期 に及 ぶ 新 古 典 的 契 約 が 採 用 され るの で あ る 。 この よ うな状 況 に お い て,将 来 起 こ り得 る すべ て の 事 柄 に 関 して そ れ を明確 に し,そ の解 決 方 法 を契 約 に盛 り込 む こ とは非 効 率 で あ り,し た が っ て,新 古 典 的 契 約 は 内 容 に柔軟 性 を持 たせ る もの と な る。
(c)関 係 的契 約:関 係 的契 約 は,新 古 典 的契 約 と同様,長 期 に わ た る もの で あ るが,新 古 典 的 契 約 が 長 期 とはい え契 約 の効 力 が 及 ぶ期 間 を明 記 して い る の に対 し,関 係 的 契 約 は そ の期 間 を限定 して い な い と こ ろ に両 者 の 大 きな違 い が あ る。 また,古 典 的契 約 や新 古 典 的契 約 が 具 体 的 な取 引 内 容 に 関す る合 意 事 項 を契 約 す るの に対 し,関 係 的 契 約 と して 重 視 す る 点 も,関 係 的契 約 の 大 きな特 徴 で あ る。 条 件 適 合 的 要 求 契 約(contingentclaimscontracting)
と も呼 ば れ る この 契 約 形 態 は,将 来 起 こ り得 る事 柄 を特 定化 す る こ とが で き ず,し たが って,具 体 的 な取 引 内 容 に 関 して現 時 点 で合 意 す る こ とが で き な い場 合 に採 用 され る。
(2)統 御 機構(GovernanceStructure)
契 約 は取 引 を具 現 化 した もの で あ る が,単 に契 約 を結 ぶ だ けで 契 約 が完 結 す る わ け で は な い 。 契 約 は取 引 の ス ター トで あ り,そ れ を有 効 な もの にす る
に は,契 約 に記 載 され て い る 内 容 を実 行 し目的 を達 成 す るた め,実 際 に取 引 活 動 を円 滑 に遂 行 す る こ とが必 要 とな る 。 この 取 引 活 動 を計 画,実 行,管 理
31)
す る た め の 構 造 的 装 置 を,取 引 費 用 ア プ ロ ー チ で は 統 御 機 構 と呼 ん で い る 。 統 御 機 構 が 行 う活 動 に は,取 引 当 事 者 の 選 定 お よ び 彼 ら と の 基 本 的 関 係 の あ
り方 と い っ た 取 引 の 根 幹 に 関 わ る も の か ら,当 事 者 間 の 利 害 調 整,資 源 配 分 や 役 割 分 担,コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン方 法 の 確 立 や モ ニ タ リ ン グ の 実 施 イ ン セ ン テ ィ ブ の 決 定 や 制 裁 の 準 備,費 用 分 担 や 利 益 配 分 な ど実 際 に 取 引 を行 う の に 必 要 と さ せ る 具 体 的 活 動 に 至 る ま で,契 約 に 関 わ る す べ て の 事 柄 が 含 ま れ
国際ビジネス環境変革期における国際マーケティング研究の課題一 取引費用アプローチの適用に中心一267
32) る 。
(3)費 用(Cost)
取 引 に 関 わ る費 用 とい う と,一 般 には実 際 の 取 引活 動 にか か わ っ て生 じる 費 用 を思 い浮 かべ るが,取 引 費 用 ア プ ロ ーチ が 想 定 して い る費 用 に は こ れ以 外 の もの も含 まれ る。 た と え ば,資 産 の 移 転 に か か わ る とい う意 味 で,契 約 自体 も取 引 費 用 の 重 要 な 要 素 とな る。 ま た,取 引費 用 に は単 に 会計 的 に計 上
33)
され る もの だ け で は な く,社 会 的 費 用 と呼 ば れ る もの も含 まれ る。取 引 は そ の 取 引 費 用 に よ っ て評 価 され,最 も効 率 的 な取 引 関係 が 組 織 に よ っ て選 択 さ れ る。
(4)取 引 の 規 定 因(DimensionsofTransactions)
取 引 費 用 ア プ ロ ー チで は,取 引 費 用 に影 響 を及 ぼ す基 本 的 要 因 が い くつ か 指 摘 され て い る。 取 引 費 用 ア プ ロ ー チ の特 徴 は費 用 の側 面 か ら取 引 を見 る こ とに あ り,し た が っ て,こ れ らの 要 因 は,同 時 に取 引 そ の もの を規 定 す る 要 因 で もあ る 。
(a)特 定 的資 産:特 定 的資 産 は,取 引 を実 施 す る の に必 要 と され る投 資 に よ っ て形 成 され る。 これ らの投 資 の 中 に は,他 の取 引 関係 へ の転 用 お よび市 場 で の 回収 が 不 可 能 な もの が存 在 し,こ れ が 特 定 的資産 とな る。特 定 的資 産 は, 埋 没 原 価(sunkcost)と な り取 引 の 移 転 費 用 を高 め る こ とか ら,取 引 関係
を硬 直 化 させ る とい う特 性 を有 して い る。
(b)取 引 の 頻 度:取 引 の 頻 度 は類 似 した取 引 が どの程 度 発 生 す るか に よ って 測 定 され る 。 一 般 的 に,取 引 費 用 は 取 引 頻 度 に比 例 して 高 ま る傾 向 にあ り, 頻 度 が 高 い ほ ど取 引 を効 率 化 す る た め に何 らか の工 夫 が 必 要 と な る。
(c)不 確 実 性:望 まれ る成 果 に対 す る不確 実 性 は,取 引 の複 雑 性 と密 接 にか か わ って い る。 一 般 に,取 引 が複 雑 に な る ほ ど取 引 費 用 は高 ま り,し た が っ て,不 確 実 性 の 高 い取 引 を行 う場 合 に は,頻 度 の 高 い取 引 同様,効 率 化 の た
め に何 らか の工 夫 は必 要 とな る。また,不 確 実性 は特 定 的資 産 と関 係 が あ り, 不確 実 性 が高 ま る ほ ど特 定 的 資 産 が形 成 され る程 度 が 高 まる こ とが 指摘 され
34) て い る。
(d)競 争 者 数:同 じ取 引 に 参 加 し よ う とす る 競 争 者 の 数 も また 取 引 費 用 に 影 響 を及 ぼ す 要 因 の ひ とつ で あ る 。 なぜ な らば,競 争 者 数 が増 え る ほ ど,契 約 を締 結 お よび維 持 す る た め の費 用 が 増 加 す る か らで あ る。市 場 の 規 模 お よ
び 同 質性 が競 争 者 の 当 該 市 場 へ の 参 入 意 欲 を高 め る こ とか ら,一 般 に取 引 の 頻 度 と競 争 者 数 とは比 例 関係 にあ る。
2.国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 の 取 引 特 性
前 節 に お い て 取 引 費 用 ア プ ロ ー チ の 概 要 を 説 明 した が,本 節 以 降 に お い て, こ の 取 引 費 用 ア プ ロ ー チ の 基 本 概 念 を援 用 し な が ら,第3章 で 提 示 し た 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 の 基 本3類 型 の 具 体 的 内 容 に 関 して 考 察 す る 。 ま ず,本 節 で は,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 の 具 体 的 内 容 を議 論 す る 際 の 基 本 と な る 国
際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 各 類 型 の 取 引 特 性 を,取 引 の 規 定 因 と の 関 係 に お い て 考 察 す る 。
図3は,取 引 の 規 定 因 空 間 に お い て,類 型 化 さ れ た3つ の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 が ど の よ う に 位 置 づ け ら れ て い る の か を示 した も の で あ る 。 既 に 述 べ た よ う に,マ ル チ ・ネ イ シ ョ ン ズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ は対 象 とす る 国 ご と に 異 な る マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を展 開 す る 方 法 で あ る が,こ れ は 見 方 を 変 え れ ば 複 数 の 自 国 マ ー ケ テ ィ ン グ の 集 合 体 とみ な す こ と もで き る 。 した が っ て,国
ご と に 同 じ よ う な 取 引 が 繰 り返 さ れ る こ と に な り,取 引 頻 度 の 高 さ が マ ル チ ・ネ イ シ ョ ン ズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ の 取 引 費 用 特 性 の ひ とつ に あ げ ら れ る 。 ま た,マ ル チ ・ネ イ シ ョ ン ズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ は 対 象 と す る 国 の 全 体 市 場 へ の 適 応 を基 本 とす る た め,高 い 不 確 実 性 に 直 面 す る こ と に な る 。 以 上 の こ と か ら,マ ル チ ・ネ イ シ ョ ン ズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ は 図3に 示 さ れ た 取 引 規 定 因 空 間 の 右 上 に位 置 づ け ら れ る こ とが で き る 。
国際ビジネス環境変革期における国際マーケティング研究の課題一一取引費用アプローチの適用に中心一269
図3取 引 費用 ア プ ロ ー チ に よ る国 際 マ ー ケ テ ィン グ戦 略 の特 性
低 高
不確実性 レ
高 ▲
低 取 引 の 頻度
イ ン タ ー ・ ネ イ シ ョ ン ズ ・ マ ー ケ テ ィ ン グ
グ ロ ー バ ル ・ マ ー ケ テ ィ ン グ
特定 的 資産
マ ル チ ・ ネ イ シ ョ ン ズ ・ マ ー ケ テ ィ ン グ
レ
高
▲ 高
競 争 者数
低
低
対 照 的 に,イ ン タ ー ・ネ イ シ ョ ンズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ は,図3に お い て マ ル チ ・ネ イ シ ョ ン ズ ・マ.̲.̲ケテ ィ ン グ と は 対 極 の 左 下 に位 置 づ け られ る 。 イ ン タ ー ・ネ イ シ ョ ン ズ ・マ.̲̲̲ケテ ィ ン グ の 最 大 の 特 徴 は,自 国 市 場 で の マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 が 適 用 可 能 な 外 国 市 場 の み を対 象 とす る こ と に あ り,取 引 関 係 が 制 限 さ れ る こ と か ら結 果 と し て 取 引 頻 度 が 少 な く な る こ とが 予 想 さ れ る 。 ま た,自 国 と 同 じマ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 が 適 用 可 能 な市 場 で は 当 然 の こ と な が ら新 た に考 慮 す べ き要 因 は 少 な く,し た が っ て,不 確 実 性 の 程 度 が 低 い こ とが,こ こ に 位 置 づ け られ る も う0つ の 理 由 で あ る 。
Levittに よ っ て 提 唱 され た 標 準 化 を 基 礎 とす る グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ は,イ ン タ ー ・ネ イ シ ョ ンズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ とマ ル チ ・ネ イ シ ョ ンズ ・ マ ー ケ テ ィ ン グ の 中 間 に位 置 づ け られ る 。 とい うの は,グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ は,あ く ま で も標 準 化 可 能 な 市 場 に の み そ の 活 動 が 限 定 さ れ る た め 取 引 頻 度 に は 上 限 が あ り,ま た,取 引 頻 度 が 余 り に も少 な け れ ば,規 模 の 経 済 性 の 追 求 を主 要 目 的 と す る 標 準 化 の 意 義 そ の もの が 達 成 さ れ な い か らで あ
る 。 同様 にi不 確 実性 が あ ま りに も高 い と考 慮 すべ き要 因が 増 え標 準 化 が 難 し くな り,ま た,不 確 実 性 が 低 い場 合 に は,標 準 化 が 当 た り前 の こ と とな り 標 準 化 に よっ て競 争 優 位 を形 成 す る こ とが 出来 ない ため,標 準 化 を最 大 の強
み とす る グ ローバ ル ・マ ー ケ テ ィ ング の効 果 が発 揮 され な い こ と に な る。 以 上 の 理 由 か ら,グ ロ ーバ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グは,図3の 中心 に位 置 づ け られ
る こ とが 出来 る。
3.国 際 マ ー ケ テ ィン グの 基 本 戦 略
本 節 で は,前 節 で議 論 され た 国 際 マ ー ケ テ ィ ング戦 略 の 取 引 特 性 に基 づ き, 各 々の 戦 略 にお け る具 体 的 内容 に関 して考 察 す る。 既 に指 摘 した とお り,国 際 マ ー ケ テ ィ ング にお い て重 要 な戦 略 課 題 は,外 国市 場 に対 して どの よ う な マ ー ケ テ ィ ング活 動 を展 開 す るか よ りも,外 国 市 場 に存 在 す る経 済 主 体 との 取 引 を通 して 当 該 経 済 主 体 に効 果 的 な マ ー ケ テ ィ ン グ活 動 を展 開 させ る とい う,い わ ば 間接 的 市 場 適 合 行 動 の 仕 組 み を構 築 す る こ と に あ る。 以 上 の認 識 に基 づ き,本 稿 で は,国 際 マ ー ケ テ ィ ング戦 略 の基 本 的構 成 要 素 を,主 に取 引 関 係 の 具体 的 形 態 で あ る契 約,取 引 の根 幹 に か か わ る取 引 相 手 の 選定 お よ び彼 ら との 関係 に限 定 して考 察 して い る 。
イ ン ター ・ネ イ シ ョ ンズ ・マ ー ケ テ ィ ング に お け る取 引 は,そ の 頻度 お よ び不 確 実 性 の低 さに よ って 特徴 づ け られ る。 取 引 が この よ うな特 性 を有 す る 場 合 は,古 典 的 契 約 に基 づ い た取 引 関 係 の構 築 が 適 して い る 。 なぜ な らば, 取 引 の継 続 性 を必 要 とせ ず,ま た不 確 実性 が 低 い場 台,離 散 性 を高 め 将 来 起 こ りうる こ とを現 在 化 させ る古 典 的 契 約 が 効 率 的 に取 引 を促 進 す る こ とを可 能 にす るか らで あ る 。 この 古 典 的取 引 は取 引 相 手 との 緩 や か な関係 を もた ら す 。 また,契 約 期 間 が 基本 的 に短 期 で あ る こ とか ら,長 期 間 にわ た る 回収 を 必 要 とす る直接 投 資 は 適 さず,し た が っ て,取 引対 象 とな る経 済 主 体 も,代 理 店,取 り扱 い業 者,流 通 業 者 とい っ た資 本 を異 にす る もの に限 定 され る と 同時 に,彼 ら との 関係 を硬 直 化 させ る取 引 特 定 的 資 産 の 形 成 も避 け る必 要 が
国際ビジネス環境変革期における国際マーケティング研究の課題一一取引費用アプローチの適用に中心一一271
あ る。
マ ル チ ・ネ イ シ ョ ンズ ・マ ー ケ テ ィ ング の 取 引 特 性 は,取 引 頻 度 と不 確 実 性 の高 さに あ る。 この よ うな取 引特 性 を有 す る関 係 にお い て有 効 な の が 関係 的契 約 で あ る。 関係 的 契 約 は,取 引 の 具 体 的 内容 よ り も取 引 当 事 者 間 の 将 来 に わ た る関係 を重 視 した契 約 で あ り,取 引 頻 度 が 高 まる ほ どま た不 確 実 性 が 高 い ほ ど効 率 的 か つ 効 果 が 発 揮 され る 。 以 上 の 特 性 か ら も明 らか な よ う に, 関係 的契 約 は取 引 当事 者 間 の長 期 に わ た る強 い 関係 構 築 が 前提 とな る た め 取 引 対 象 とな る経 済 主 体 は子 会 社 な ど直接 投 資 に よ る もの が 多 く,ま た,何 ら か の 事 情 に よ り直 接 投 資 が不 可 能 な場 合 に は,両 者 の 関係 を よ り密 な もの に す る特 定 的資 産 の 形 成 が 求 め られ る 。
グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ング は,ど この 国 に も依 拠 しな い市 場 に対 して マ ーケ テ ィ ン グ行 動 を展 開 す る もの で あ り,そ の戦 略構 築 に は,あ る程 度 長 期 にわ た る期 間 を必 要 とす る反 面,市 場 が ど こに も依 拠 して い ない とい う意味 で 永 続 的 に そ の 市 場 に居 座 る こ と もまた 不 可 能 で あ る。 この よ う に,あ る程 度 長 期 に わ た りか つ 期 間 が 限 定 され た取 引 を行 う際 に適 して い るの が 新 古 典 的 契 約 で あ る。 取 引 頻 度 お よ び不 確 実 性 にお い て 中 間 に位 置 づ け られ る グ ロ ー バ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グの取 引特 性 が,こ の新 古 典 的契 約 の 適 合 を可 能 に し, また そ の 効 果 を高 め る の に貢 献 す る。 新 古 典 的契 約 が あ る程 度 取 引 内 容 を明 確 にす る と同時 に予 測 で きない 事 態 に対 処 で きる よ う柔 軟 性 を有 して い る こ とが,そ の理 由 と して あ げ られ る。 この よ うな契 約 は 基 本 的 に資 本 関 係 に な い経 済 主体 が 対 象 とな るが,両 者 の 関係 は フ ラ ンチ ャ イズ 契 約 な ど企 業 活 動
35)
全 般 にわ た っ て構 築 され る こ とが 多 い。
V.結
論
本 稿 は,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ に お け る 戦 略 の 多 様 性 を 基 本 前 提 と し て,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を類 型 化 し基 本 戦 略 タ イ プ を提 示 す る と と も に,そ の
具 体 的 内容 に関 す る考 察 を国際 マ ー ケ テ ィ ング戦 略 の 中核 をな す 取 引 に焦 点 をあ て て行 った。 この よ うな考 察 を試 み る背 景 に は,既 存 の 国 際 マ ーケ テ ィ ン グ研 究 が 戦 略 の 多様 性 を認 め なが ら も,そ れ を国 際 マ.̲̲̲ケテ ィ ング に対 す る ア プ ロ ーチ の違 い と して 扱 い,戦 略 類 型 化 の た め の 方 法 論 を開発 しなか っ た こ とが あ る。
以 上 の 問 題 認 識 に基 づ き,本 稿 で は,対 象 とす る市 場 とそ れへ の適 合行 動 の相 違 に よ り,国 際 マ ーケ テ ィ ン グ にお け る3つ の基 本 戦 略 ,す な わ ち,イ ン ター ・ネ イ シ ョンズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ,マ ル チ ・ネ イ シ ョンズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ,グ ロ ーバ ル ・マ ー ケ テ ィ ン グが提 示 され,こ れ ら基 本 戦 略 の 具体 的 内 容 を考 察 す る た め に取 引 費 用 ア プ ロー チ が採 用 され た 。 取 引 費 用 ア プ ロー チ は,現 時 点 にお い て取 引 を最 も包 括 的 に考 察 しえ る ア プ ロ ー チ で あ り,ま
た,取 引 費 用 ア プ ロ ー チ が 取 引 の 規 定 因 の一 つ と して 注 目す る不 確 実 性 は , 自国 以 外 の市 場 で マ ー ケ テ ィ ング活 動 を展 開 す る国 際 マ ー ケ テ ィ ン グの重 要 な課題 で もあ る。 さ らに,国 際 マ ー ケ テ ィ ング戦 略 の 中核 を なす 取 引,す な わ ち 「国」 とい う独 立 した法 的存 在 問 の取 引 関係 は,基 本 的 に契 約 を結 ぶ こ とで 初 め て成 立 す る もの で あ り,こ の 点 も,取 引 の 具 現 化 され た形 態 と して 契 約 を分 析 の 中核 概 念 とす る取 引 費 用 ア プ ロー チ を 国際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 に採 用 した理 由 の一 つ に挙 げ られ る。 以 上 の理 由 か ら,本 稿 は,取 引 費 用 ア プ ロ ーチ の 基 本 概 念 を援 用 し,国 際 マ ー ケ テ ィ ング戦 略 の具 体 的 内容 に 関 し て考 察 した。
この よ うな考 察 を通 して,こ れ まで 単 に標 準 化 か 各 国 市 場 へ の適 用 化 とい う非 常 に単 純 な 図式 の 中 で 展 開 され て きた 国際 マ ー ケ テ ィ ング行 動 に,新 た な戦 略 構成 要 素 す な わ ち取 引 の具 現 化 され た形 態 で あ る契 約 や 取 引 関係 の根 幹 に か か わ る取 引 相 手 の 選 定 お よび彼 ら との関 係 が 加 わ り,国 際 マ ー ケ テ ィ
ング戦 略 の 内容 が よ り具 体 化 され る と同 時 に,各 戦 略 問 の 相 違 が 対 象 とす る 市 場 とそ れへ の 適 合 活 動 とい う基 本 枠 組 み の 中で 提 示 され た。 以 上 の点 か ら 本 稿 が 意 図 した 目的 は達 成 され た と思 うが,提 示 され た戦 略代 替 案 の選 択 に
国際ビジネス環境変革期における国際マーケティング研究の課題一 取引費用アプローチの適用に中心一273
関 す る問 題 な ど,い ま だ解 決 すべ き多 くの課 題 が 残 され て い る。ま た,今 日, 企 業 の 国際 化 が 急 速 に進 展 して い る に もか か わ らず,国 際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 にお い て彼 らの 要 請 に十 分 応 え られ る だ け の理 論 蓄 積 が な され て い な い こ
とを考 え る な らば,今 後,国 際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 に対 す る期 待 は更 に高 ま る こ とが 予 想 され る 。本 稿 で 取 り上 げ た取 引 費 用 ア プ ロ ー チ は,こ の 期 待 に 十 分 応 え られ る 国際 マ ー ケ テ ィ ング研 究 を よ り豊 か にす る ア プ ロ ーチ の一 つ
だ と確 信 して い る 。
注
1)Hess,J,H.andP.R.Cateora,InternationalMarketin,RichardD.Irwin,
Inc.,1966p.4.(角 松 正 雄,江 夏 健 一,竹 田 志 郎 監 訳 「国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 管 理 」 ミ ル ネ ヴ ァ 書 房,1979年,p.2)。
2)Hess&Cateora,1966,0p.cit.p.4角 松 正 雄,江 夏 健 一,竹 田 志 郎 監 訳p.2。
3)Doyle,P.,&Hart,NA,eds.CaseStudiesinInternationalMarketin, WilliamHeinemannLtd.,London,X982.
4}Perlmutter,H,V,"TheTortuousEvolutionoftheMultinational
Corporation,"ColumbiaJournalofWorldBusiness,(Jan.‑Feb.)1969,pp.9‑S.
Wind,Y,S,P,DouglasandH,V,PerlmutterX973."GuidelinesforDeveloping InternationalMarketingStrategies,"TournalofMarketing,Vo1.37,No.2, (April},pp.14‑23.
5)ま た,発 展 段 階 ア プ ロ ー チ の 実 際 の 企 業 へ の 適 応 を 試 み た 事 例 研 究 と し て,
Wilkin.M.TheEmergenceofMultinationalEnterprise,HarvardUniv.Press,
Cambridge,1970,Wilkin.M.,TheMaturingofMultinationalEnterprise.
AmericanBusinessAbroadfrom1914to1970,HarvardUniv.Press,
Cambridge,1974,(江 夏 健 一,米 倉 昭 夫 訳 「多 国 籍 企 業 の 成 熟(上 ・下)」 ミ ネ ル ヴ ァ 書 房,1976年,1987年),衣 笠 洋 輔 「日 本 企 業 の 国 際 化 戦 略 」 日 本 経 済 新 聞 「1979」 な ど が あ げ ら れ る 。
6)Robinson,R,D,InternationalizationofBusiness,HoltRinehartand
Winston,N.Y.1984(入 江 猪 太 郎 監 訳 「基 本 国 際 経 営 戦 略 論 」)文 真 堂1985年 。 7)HessandCateora,1966.op.cit.pp.6‑8.
S)Bartels,R,.A"MethodologicalFrameworkfor{;omparativeMarketing Studies,"InGeyser,S,A,(e.d.).TowardScientificM麺g,AMA,Chicago,
1963,pp.383‑390.Bartles,R"AreDomesticandIllternationalMarketing Dissimilar?"ournalofMarketing,Vol.32,No.3,(July),[1968],PP.56‑61.
9)Levitt,T."TheGlobalizationofMarkets,"Harvard:BusinessReview,VoL61,
No.3,(May‑June),1983,PP.92‑102.(邦 訳 「地 球 市 場 は 同 質 化 へ 向 か う 」 「ダ イ ヤ モ ン ド ・ハ ー バ ー ド ・ ビ ジ ネ ス 」,1983年s8‑9月 号,pp9‑22)。
10)Levitt以 前 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 標 準 化 に 関 す る 研 究 と し て,以 下 の も の が あ げ ら れ る 。Buzzel,R.D.,"CanYouStandardizeMultinational
Marketing?,"HarvardBusinessReview,Vo1.46,No.6,(Nov‑Dec.)1968,pp.102‑
113.;Britt,S.H,"StandardizingMarketingfortheInternationalMarket,"
ColumbiaournalofWorldBusiness,9(Winter),1974,pp.39‑45.;SorensonR.Z.
&U.E.Wiechmann,"HowMultinationViewMarketingStandardization,"
HarvardBusinessReview,Vo1.53,No.3,(May‑June)1975,pp.38‑55.
11)こ の 多 国 籍 と い う 言 葉 を,Levittは,定 義 せ ず に 使 用 し て い る が,こ れ ま で の マ ー ケ テ ィ ン グ 研 究 で 使 用 さ れ て き た 意 味 で,こ の 多 国 籍 と い う 言 葉 が 使 用 さ れ て い る と 筆 者 は 理 解 し て い る 。
12)こ の 不 確 実 性 対 処 法 の2類 型 は,Galbraithの 以 下 の 論 文 に 基 づ い て い る 。 Galbraith,J.DesigningComPlexOrganization,ReadingMass.Addison‑
Wesley,1973;Galbraith,J,OrganizationDesign,ReadingMass.,Addison Wesley.X977.
13)DahringerL.D.&H.Muhlbacher,InternationliU‑
Perspective,Addison‑WesleyPublishingCompany,Mass.,1991,p.7andp.19
14)Asamoah,T.[1987],"lnternationalMarketingIndustrialization,"「 横 浜 市 立 大 学 学 生 論 集 」 横 浜 私 立 大 学 学 術 研 究 会,pp.81‑83.
15)Hess&Cateora,1966,0p.cit,pp.6‑S.
16)こ の こ と が,国 と い う 境 界 を 越 え て 共 通 し た 市 場 を 見 つ け 出 し,そ こ に 標 準 化 さ れ た マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を 展 開 す る グ ロ ー バ ル ・ マ ー ケ テ ィ ン グ が 成 立 す る 一 つ の 理 論 的 根 拠 に な る 。
17}Boddewyn,J.J.,R.Soehl&J.Picard."Standardizationininternational MarketingIsTedLevittinFactRight?,"BusinessHorizons,Vo1.29,Nov‑Dec.
X986,pp.69‑75.
18}Huszagh,S.M,R.J.Fox&E.Day,"GlobalMarketing.AnEmpirical
国際 ビジ ネス環境変革期 における国際マ ーケテ ィング研 究の課題 一 取引費用アプローチの適用に中心 一275
Investigation,"Columb正aournalofWorldBusiness.VoL21(Winter), TwentiethAnniversaryIssue,1985,pp.31‑43.;Dahringer,L.D.&H.
Muhlacher,op.cit,p.48.
19)当 然 の こ と な が ら,イ ン タ ー ・ネ イ シ ョ ン ズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ が 外 国 市 場 を ど の 程 度 カ バ ー で き る か は,自 国 市 場 に 展 開 し て い る マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 が ど の 程 度 外 国 市 場 に 適 応 可 能 か ど う か に 依 存 す る 。 し た が っ て,場 合 に よ
っ て は 外 国 市 場 に 大 き な 部 分 を 対 象 と す る こ と も あ り 得 る 。
20)こ の 点 が,外 国 市 場 に お い て 同 様 に ニ ッ チ 市 場 を 対 象 と す る イ ン タ ー ・ネ イ シ ョ ン ズ ・マ ー ケ テ ィ ン グ と グ ロ ー バ ル ・ニ ッ チ と の 相 違 点 で あ る 。 す な わ ち,グ ロ ー バ ル ・ニ ッ チ が 特 定 国 に 依 拠 し な い マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を 展 開 す る の に 対 し て,イ ン タ ー ・ネ イ シ ョ ン ズ,マ ー ケ テ ィ ン グ は 自 国 で の マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 が 適 応 可 能 な 市 場 を 選 定 す る と い う あ く ま で も 自 国 に 依 拠 し た マ ー ケ テ ィ ン グ 活 動 を 展 開 す る 。 グ ロ ー バ ル ・ニ ッ チ ・マ ー ケ テ ィ ン グ を 展 開 し て い る 企 業 の 具 体 例 と し て,ラ ガ ー ビ ー ル と し て の バ ド ワ イ ザ ー を 生
産 し て い るAnheusser‑Busch,Incや 高 級 ス ポ ー ツ カ ー の フ ェ ラ ー リ な ど が 上 げ ら れ る 。
21)グ ロ ー バ ル ・ホ ー ル ・マ ー ケ テ ィ ン グ を 展 開 し て い る 企 業 と し て は, McDonald's.PizzaHutやKentuckyFriedChickenな ど が あ げ ら れ る 。
22)第1章 参 照 。 ま た,既 存 の 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 研 究 の ア プ ロ ー チ も,基 本 的 に は こ の 不 確 実 性 の 対 処 方 法 の 相 違 に 基 づ く こ と が,第2章1節 に 示 さ れ て い る 。
23)自 国 と は 異 な る 法 的 構 造 の 下 に あ る 経 済 主 体 に は,支 店 や 子 会 社 な ど 直 接 資 本 関 係 に あ る も の か ら,代 理 店,取 引 業 者,流 通 業 者 な ど 資 本 関 係 の 無 い も の ま で,さ ま ざ ま な タ イ プ の 組 織 が 含 ま れ る 。 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 特 徴 は,た と え 直 接 的 な 資 本 関 係 に あ る 支 店 や 子 会 社 で あ っ て も,そ れ が 国 外 に あ る 場 合,そ の 所 属 す る 国 の 法 的 構 造 の 下 で 活 動 す る 異 な る 法 的 存 在 と み な
さ れ る 点 に あ る 。
24}Jain,S.C.,InternationalMarketinManaement,KentPublishing
Company,Boston,1984,p13.;嶋 正,「 国 際 化 と 新 た な 流 通 ダ イ ナ ミ ズ ム 」 「日 本 商 業 学 会 年 報 」,p114;Dahringer,L&H.Muhibacher1991,0p.Clt,p6.
25)Bagozzi,RP."MarketingasExchange,"ournalofMarketin,Vo1.39,0ct.
1975,pp.32‑39.;Baggozi,R.P.,"MarketingasExchange,ATheoryof TransactioninTheMarketplace,"AmericanBehavioralScientist,Vo1.21,
No.4,March‑April,1978,pp.535‑556.,Hunt,S.D.,"GeneralTheoriesandThe
FundamentalExplanadaofMarketing"Journalof」 幽 ㎎,VoL47,No.4, 1983,pp.9‑17.
26)マ ー ケ テ ィ ン グ 研 究 全 般 に お け る 取 引 費 用 ア プ ロ ー チ に 対 す る 関 心 の 高 ま り に 伴 い,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 研 究 で も 取 引 費 用 ア プ ロ ー チ に 基 づ く 研 究 が い く つ か な さ れ て い る 。 た と え ば,Anderson&Gatingtonは,取 引 費 用 ア プ ロ ー チ に 基 づ き,企 業 の 海 外 市 場 参 入 の 方 法 を17の 類 型 に 分 類 し て い る 。 ま た,Kleinは,国 際 間 に わ た る 同 一 企 業 の 組 織 間 関 係 を 取 引 費 用 ア プ ロ ー チ に 基 づ き 分 析 し,垂 直 的 統 制 の メ カ ニ ズ ム を 説 明 し よ う と し た 。Perryは, 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ に か か わ る 企 業 の 動 態 的 進 化 を 考 察 す る た め,取 引 費 用 ア プ ロ ー チ を 使 用 し た 。 し か し な が ら,こ れ ら 取 引 費 用 ア プ ロ ー チ に 基 づ く 研 究 は,企 業 が 実 施 し て い る 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 現 状 を 部 分 的 に 記 述 す る こ と に 焦 点 を 当 て た も の で あ り,国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 を 体 系 的 に 考 察 し よ う と す る 本 稿 の 目 的 と は 異 な る 視 点 で 取 引 費 用 ア プ ロ ー チ を 適 応 し て い る 。 以 上 の 理 由 か ら,紙 面 の 都 合 も あ り,こ れ ら の 研 究 に 関 す る 詳 細 な 議 論 は 機 会 を 改 め て 行 う こ と に し,本 稿 で は 省 略 す る こ と に す る 。Anderson,E.
&Gatington,"ModesofForeignEntry;TransactionCostAnalysisand
Prepositions,"ZournalofInternationalBusinessStudies.Vo1.17,No.3(Fall}, 1986,pp.1‑26,;Klein,S,"ATransactionCostExplanationofVerticalControl
InInternationalMarkets,"ournaloftheAcader ̲yof‑MarketingScience, Vo1.17No.3(Summer),1989,pp.253‑260.;Perry,A.C,."TheEvolutionofThe
U.S.InternationalTradeIntermediaryInThe].980;ADynamicModel,"
JournalofInternationalBusinessStudies.Vo1.21(Fi.rstQuarter},1990,pp.133一
153.
27)Williamson,0.E."Strategizing,andEconomizing,andEconomic
organization,"StrategicManagementJournal,Vo1.,12(SpecialIssueWinter), 1991,p.79.
28}Coase,R.H.,"R.H.CoaseLectures.1,TheNatureofTheFirm:Orgin,:2.
TheNatureofTheFirm:Meaning3.TheNaturfaofTheFirm:Influence,"
ournalofLawEconomics&Oranization,Vol.4,No.1(Spring),1988,pp.1‑47.
29)以 下 の 取 引 費 用 ア プ ロ ー チ に 関 す る 整 理 は,基 本 的 に 以 下 の 文 献 に 基 づ い て い る 。Williamson,0.E,EconomicOranizationFirms,MarketsandPolicy
Control,WheatsheafBooksLtd.,Britain,1986,pp.lE'4‑188.
国際 ビジネス環境変革期 における国際マ ーケテ ィング研 究の課題 一 取引費用アプローチの適用 に中心 一277
30)Williamson,0.E,19860p.cit.,pp.101‑105.;Macneil,1.R.,"Contract AdjustmentofLong‑termEconomicRelationsUnderClassical,Neoclassical andRelationaiContractLaw,"NorthwestUniversity .,̲̲LawReview,72,No.6, 1978,pp.854‑903.
31)Schneiberg,M.&R.J.Hollingsworth,"CanTransactionCostEconomics ExplainTradeAssociations?"inAoki,M.B.Gustafsson&0.EWilliamson eds.,TheFirmasaNexusofTreaties.SAGEPublications,London,1990 pp.321‑324.
32)Ibid.pp,321‑322.
33}Coase,R,H.[1960],"TheProblemofSocialCost,"JournalofLawand Economic,Vo1.3,No.1,1960pp.144.
34)Williamson,O.E.,1956,0p.cit,pp.117‑118.
35)Cateora,P.R.,InternationalMarketingRichardIrwinInc.,7th,ed.1990, pp.342‑343.
参 考 文 献
(1)Bjuggren,Per‑Olof,Sund,Lars‑Goran"ATransactionCostRationalefor TransitionoftheFirmwithintheFamily",SmallBusinessEconomics,Vo1.19, No.2,Sept.,2002,pp.123‑133.
(2)Blomgvist,K,Kylaheiko,K,Virolainen,V.M"FillingaGapinTraditional TransactionCostEconomics;TowardsTransactionBenefits‑BasedAnalysis", InternationalJournalofProductionEconomics,Vo1.79,Nol,Sept2002,ppl一
14.
{3)Brouthers,KeithD"institutional,CulturalandTransactionCostInfluences onEntryModeChoiceandPerformance",JournalofinternationalBusiness Studies,Vo1.33.No.2,2ndQuarter2002,pp.203‑221.
(4)Dixit,AvinashK著 北 村 行 伸 訳 「経 済 政 策 の 政 治 経 済 学:取 引 費 用 政 治 学 ア プ ロ ー チ 」(TheMakingofEconomicPolicy:ATransaction‑Cost
PoliticPerspective)日 本 経 済 新 聞 社,東 京,2000年 。
(5)丸 谷 雄 一 郎 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 概 念 規 定 に 関 す る 再 検 討,「 経 営 総 合 科 学 」,77,2001.9p.51‑70。
(6>諸 上 茂 登 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 関 連 行 動 と 企 業 グ ル ー プ 経 営 成 果 に つ い て,
「明 治 商 学 叢 」,83(3),2001:3,p.121‑146。
(7)沼 野 敏 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 に 関 す る 一 考 察,「 東 海 大 学 短 期 大 学 紀 要 」35,2001,p.1‑7。
(8)大 石 芳 裕 「日 本 的 」 国 際 マ ー ケ テ ィ ン グ の 特 徴,「 佐 賀 大 学 経 済 論 集 」, 27(4},1994.11,p123‑1670
(9)富 山 栄 子 取 引 費 用 理 論 と 競 争 戦 略 論 の 限 界 と 補 完 性 一 海 外 市 場 参 入 行 動 分 析 の た め の 既 存 理 論 の 批 判 的 検 討 「現 代 社 会 文 化 研 究 」23,2002.3, p.183‑2000
(10)津 曲 正 俊 契 約 と 組 織 の 理 論:取 引 費 用 と 取 引 関 係 の ガ バ ナ ン ス,「 三 菱 総 合 研 究 所 」,東 京,2001年 。
{II)Whitelock,Jeryl"TheoriesofInternationalisationandtheirImpacton MarketEntry",InternationalMarketingReview,Vo1.19,No.4,2002,pp.342‑
347.
(12)Williamson,Oliver,E.̀TheTheoryoftheFirmεLsGovernanceStructure:
FromChoicetoContract",ournalofEconomicP∈ 魍,Vol.16,No.3, Sept.2002,pp.171‑195.
国際 ビジネス環境 変革期 における国際マー ケテ ィング研究 の課題 一 取引費用アプローチの適用 に中心 一279