iii
▪
はじめに
▪
本書は経済・経営系の学生の皆さん,特に,数学が苦手で悩んでい るかたのために書きました.他の科目ではそのようなことはないで しょうが,数学に関しては,わからないと泣きたくなるほど惨めな思 いがしたり,数学と聞いただけで鳥肌がたったり,気分が悪くなった りする.また,数学問題を解かされると,わからないのでストレスが たまり,なんだか腹が立ってきたりする.そして,経済や経営の勉学 において数学は必要であることはわかっているが,すっかり数学の知 識が抜け落ちているので,どうしてよいかわからない.そのようなか たが多いのではないでしょうか.そうした悩める皆さんのために,本 書では,一語一語,語りかけるつもりで書きました.ぜひ,最後まで 目を通してください. 本書の特長は 2 つあります.1 つは,コンピュータ・グラフィクス を用いてビジュアルに説明していることです.特に,本書で扱ってい る最適化問題はビジュアルなアプローチに最適です.最大,最小の点 を見つければよいからです.国民所得決定問題などで頻繁に出てくる 関数シフトも,ビジュアルに説明すると理解しやすいかと思います. もう 1 つの特長は,本書で実践している「推論エンジンシミュレー ション法」です.これは,知識データベースの推論エンジンを真似て, 検索と推論により,問題を解いていく方法であり,著者のオリジナル です.本書で扱った需要と供給分析,国民所得決定問題,最適化問題 については,本書のグラフィクスを見て,説明を読めば理解できると 思います.さらに,「推論エンジンシミュレーション法」を使えば, 皆さんが将来,今まで習っていない,非常に難しい文章題に出合った ときも,「どこがわからないから解けないのか」が明確になり,まっ たくのお手上げ状態から脱することができます.つまり,先生に質問 に行きたくても,質問もできないという状態から,先生に「ここがわ からないので教えてください」と質問できる状態になります.面倒が らずに紙の上で手を動かして,ぜひ,繰り返し行ってください.必ず や文章題全般の解法スキルが向上するでしょう.iv はじめに それから,計算力は数学の本を読み進むために必要なスキルです. 計算ドリルもしっかり行ってください. 本書を書くにあたって,新たな試みをいくつか行いました. ⑴ グラフィクスを豊富に入れました.ドリルの解答にまで入れました. ⑵ 2 色刷にして,読みやすさに配慮しました.国内の大学用の数学テ キストとしては珍しいと思います. ⑶ ドリルの解答を章ごとに入れました.答え合わせが少しは楽になる かと思います. 欧米の数学テキストには,カラーのコンピュータ・グラフィクスが 豊富に入っているものがあります.それらを眺めて,グラフィクスが あれば学生もわかりやすいだろうに,と常々思っていました.今回, 本書のようなグラフィクスの豊富な本を出版できることになり,共立 出版には心より感謝しています. 最後に,本書執筆にあたり,構想まとめの段階から相談にのってく ださった共立出版編集部の石井徹也氏に深く感謝いたします.また, 推論プロセスのダイアグラムのレイアウトと数式表示のレイアウト, グラフィクスの色調整で何度も変更をお願いした,出版部の方々に深 くお礼申し上げます. 教師として一番うれしいことは,学生の皆さんが数学で自信をつけ てくれることです.少しでも皆さんの数学スキルが向上することを, 強く念じます.あきらめず,リラックスして,がんばってください. 2009 年 6 月 白田由香利