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第11回日本助産学会学術集会集録 一般演題 (口頭発表) 第2群

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Academic year: 2021

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第2群:6

オ レム 理 論 を適 用 した 妊 婦 の

セ ル フ ケ ア の探 索

徳島大学医療技術短期大学部 葉久真理 I.緒 言 妊 婦 は 、 妊 娠 期 間 中 に分 娩 や 育 児 に 向 けて 、 自 分 自身 並 び に児 の 健 康 の 維 持 増 進 が 求 め られ る存 在 で あ り、 妊 娠 と い う生 理 的 ・心 理的 そ して 社 会 的 に も大 き な変 化 を き たす 現 象 に対応 す るため に、 そ れ まで の 習 慣 化 して い る セ ル フケ ア の変 更 を余 儀 な くされ る。 妊 婦 を対 象 と した セ ル フ ケ ア と い う言 葉 は、 妊 婦 保 健指 導 書 や実 践 の場 で よ く用 い られ て い る が、 この セ ル フ ケ ア の 概 念 や 基 準 ・方 法 は不 明 瞭 で あ り、 そ の 妥 当 性 を判 断 す る指 標 も見 られ な い。 従 って 、 本 研 究 は、 オ レム 理 論 を 枠 組 み と して、 妊 婦 の セ ル フケ ア を明 らか に し、 か つ オ レム理 論 の 妊 婦 へ の適 用 の 可 能 性 とそ の 限 界 を 探 った。 II.研 究 の 方法 対 象 は 、 妊 娠 の 各 時 期 に あ る妊 婦46名 で あ る。 調 査 場 所 は、 地 方 都 市 に あ る第3次 医療 施設 で 、 助 産 婦 に よ る妊 婦 健 診(外 診 と保 健 指 導)が 行 わ れ て い る施 設 で 行 った。 方 法 は、 ① 研 究 者 が 作 成 した調 査 票 並 び に、 妊 婦 個 々 の カ ル テ か らの情 報 収 集 と、② 半 構 成 的 面 接 に よ る情 報 収 集 の2つ の 方 法 を とっ た。 これ に よ り、 オ レムの 提 示 す る セ ル フ ケ ア要 件 、 基 本 的 条 件 づ け要 因 、 セルフケア・エージェンシー 、 セ ル フ ケ ア制 限 要 因 に関 す る妊 婦 の デ ー タ を収 集 した。 デ ー タの 分 析 は、 得 られ た 内容 が オ レムの 提 示 す る要 件 や 要 因 の ど こ に該 当 す るの か を検 討 し記 述 した。 ま た、 調査 票 に よ るセ ル フ ケ ア要 件 遂 行 得 点 と他 の要 因 との 関係 は 、統 計的 に 分析 した。 III.結 果 お よび 考 察 1.対 象 妊 婦 の背 景 得 られ た対 象 は 、 妊婦46名 で あ る。 年 齢 は、31.1±4。5歳 の範 囲 に あ り、平 成5年 度 統 計 に よ る母 の平 均 出 産 年 齢29.0歳 と比 べ て 、 約2歳 高 い年 齢 集団 で あ っ た。 健 康 状 態 と して 既 往疾 患 や 合 併 妊 娠 を有 す る者 は 、 そ れ ぞ れ9名 ・2名 と少 数 で あ り、 妊 娠 経 過 中 に健 康 上 の 注 意 事 項 を 有 す る者 は19名(41.3%) お り、 セ ル フケ ア の 変更 が 必 要 にせ ま られ て い た 。 社 会 的 要 因 と して の 対 象 妊 婦 の 出 産 経 験 は、 初 産26名(56。5瓢)と 経 産20名(43.5沁 で あ り、 この う ち、 経 産 婦 で は、 前 回 妊 娠 中 に正 常 逸 脱 を 経 験 した者 が13名 い た。 2.セ ル フケ ア要 件 調 査 票 に よ り回 答 され た セ ル フ ケ ア 要 件 得点 は、 126∼221点 の 範 囲 に あ り、 平 均174.0±18.5で あ っ た。 1項 目 あ た りの セ ル フケ ア要 件 得 点 は 平 均3.1 で あ り、 本 対 象 者 は、 セ ル フ ケ ア 要 件 を 「時 々行 って い る」状 況 に あ っ た 。 一方 、 要 件 得 点 の最 低 値 の者 は 平 均2.3で あ り 「まれ に 行 って い る」 状 況 で あ った 。 しか し、要 件 得 点 の 高 低 と健 康 逸 脱 者 の数 に は関 係 が な く、 要 件 得 点 が 低 い者 で も、 健 康 逸脱 して い な い者 が い た 。 8っ の 普 遍的 セ ル フ ケ ア 要 件 別 にみ た得 点 を 、 セ ル フ ケ ア を遂 行 した の か ・しな か っ た の か の2 つ の 側面 か ら見 た。 妊婦 が よ く遂 行 して い た セ ル フケ ア 要 件 は 、( 無 理 を しな い 、疲 れ た ら横 にな る、 ゆ っ く り動 く )と い う 「活 動 と休 息 の バ ラ ンス の 維 持 」 、(鉄 分 や カ ル シウ ム に富 む 食 品 の 摂 取 、合 成 保 存 料 や 着 色 料 の 添 加 物 を避 け る、 減 塩 、 バ ラ ン ス よ く食 べ る)と い う 「十 分 な食 物 摂 取 の維 持 」 、(重 い もの を持 ち運 び しな い、 腹 部 を 打 た な い と い う よ う な慎 重 な行 動 を と る)と い う 「生 命 、 機 能 、 安 寧 に対 す る危 険 の 予 防 」 で あ った 。 これ ら は、 日 々の 生 活 行 動 で あ り経 験 的 知 識 も ―49―

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あ り、 日常 生 活 に取 り入 れ や す い もの で あ っ た。 ま た、 女 性 は 、 〈妊 娠 す る と無 理 を しな い よ う にす る〉 ・ 〈自分 や胎 児 の発 育 の た め の 栄 養 を十 分 と る よ う に気 を つ け る 〉 ・ 〈腹 部 を 打 た な い、 遠 出 を しな い な ど危 険 を避 け る〉 と い う よ う な、 妊 婦 は どの よ う な行 動 を と るべ きか と い う文 化 的 に存 在 して い る教 え の 影 響 を受 けて い た。 オ レム は、 セ ル フ ケ ア は 、個 人 が 持 つ 自己 概 念 や 、 文 化 的 な 目標 お よび慣 習 に よ って 影 響 を 受 け る1)と 述 べ て い る。 す な わ ち 、 妊 婦 は 、 妊 娠 して い る 自分 と胎 児 を い た わ る とい う よ う な、 社 会 的 に望 ま しい と され て い る妊 婦 行 動 を 遂 行 して い た 。 逆 に、 妊 婦 が 遂 行 しな か った セ ル フケ ア 要 件 は、 息 苦 し くな らな い よ う深 呼 吸 を す る(十 分 な 空 気 摂 取 の維 持)・ 必 要 量 を 考 え て 水 分 摂 取 す る(十 分 な水 分 摂 取 の維 持)・ 妊婦 体 操 や 呼 吸 法 の 練 習 、 乳 房 の手 入 れ(正 常 性 の 促 進)、 他 者 との 関 係 性 の調 整(孤 独 と社 会 的 相 互 作 用 の バ ラ ンス の 維 持) で あ った 。 十分 な空 気 や 水 分 摂 取 の維 持 は 、正 常 を逸 脱 して は じめ て 意 識 され る もの で あ り、 妊 婦 体 操 や呼 吸 法 の 練 習 、 乳 房 の 手 入 れ は、 い ま ま で の生 活 の場 に は ほ とん ど存 在 せ ず 、 前 提 的 知 識 ・ 経 験 的 知 識 が少 な く、 日常 生 活 へ の取 り入 れ が 難 しい もの で あ った 。 以 上2つ の側 面 か らみ た妊 婦 の セ ル フケ ア は 、 オ レム の 言 葉 を 借 りれ ば 妊 婦 で あ る 自己 を認 識 し、 自分 と胎 児 を守 ろ う とす る と き経 験 す るデ マ ン ド へ の実 践 的反 応 で あ る と言 え る。 3.基 本 的条 件 づ け要 因 妊婦 の セ ル フ ケ ア に影 響 を与 え ると考 え られ る 基 本 的 条 件 づ け 要 因 を、 オ レ ムの 提 示 す る要 因 に 沿 って6要 因 、10変 数 を調 査 した。 そ の中 の8変 数 が 、 妊 婦 の セ ル フケ ア を どの 程 度 説 明 す るの か 、 重 回帰 分 析 した 。 セ ル フケ ア要 件 得 点 を基 準 変 数 に 、基 本 的 条 件 づ け要 因 を説 明 変 数 と して 、減 増 法 に よ り分 析 し た(図1)。 そ の結 果 、妊 娠 中 の 健 康 上 の 注 意 事 項(β=.16) ・出産 回 数(β=1 .34)・ 流 早 死 産 経 験(β=.27) ・妊 娠 週 数(β= .30)の4要 因 に よ り、 セ ル フケ ア全 体 の19%が 説 明 され た。 図1妊 婦 の 基 本 的 条 件 づ け 要 因 この う ち 、 出 産 回 数(r;-.36,P=.018)と 妊 娠 週 数(r=.32,P=.035)の2要 因 が 、 妊 婦 の セ ル フケ ア 遂 行 の 有 意 な 予 測 要 因 と な って い た 。 す な わ ち、 妊 娠 中 の 健 康 上 の 注 意 事 項 の な い者 ・出 産 回 数 の多 い者 ・流 早 死 産 経 験 の な い者 ・妊 娠 週 数 の 進 ん で い な い 者 ほ ど 、 セ ル フ ケ ア 要 件 は 遂 行 され な い とい う結 果 で あ っ た。 「妊 娠 中 の 健 康 上 の 注 意 事 項 の な い者 」 「流 早 死 産 経 験 の な い 者 」 「妊 娠 週 数 の 進 ん で い な い者 」 は 、 妊 娠 期 に 望 まれ るセ ル フケ ア の 遂 行 が 意 識 さ れ な い状 況 に あ り、 セ ル フケ アの 価 値 を まだ 見 い だ して い な い こ とを示 す もの で あ る と推 察 され た 。 これ は 、 基 本 的 条 件 づ け 要 因 は 、 セ ル フ ケ ア要 件 を充 足 す る価 値 に影 響 す る と い うオ レ ム の論 述 を支 持 して いた 。 ま た、 「出 産 回 数 の 多 い者 」 は、 セ ル フ ケ ア 制 限 を有 す る た め に、 セ ル フケ ア要 件 が遂 行 され な い と推 察 さ れ た。 4.セ ル フケ ア ・エ ー ジ ェ ン シー 1)妊 婦 の セ ル フケ ア ・エ ー ジェ ン シーの 概 要 妊婦 の セルフケア・エージェンシー は、 妊 婦 との 面 接 か ら得 られ た 内容 を、10の パ ワ ー 構 成 要 素 に 照 ら して記 述 した 。 そ の結 果 、10の パ ワ ー 構 成 要 素 の う ち の1つ を 除 く、9つ の パ ワ ー構 成 要 素 す べ て が 認 め られ た。 10の パ ワ ー構 成 要 素 は 、 妊 婦 が妊 娠 と い う変 化 して い く現 象 に対 応 した 日常 生 活 を 送 る た め の能 力 を あ らわ して お り、 本 研 究 の 対 象 者 の セルフケア・エー ジェンシー は、10の パ ワ ー構 成 要 素 に内 包 され て い た。 よ って 、 妊 婦 の遂 行 して い た セ ル フケ ア 要 件 は、 10の パ ワ ー構 成 要 素 に よ り、 その 持 ち う る能 力 を 説 明す る こ とが 可 能 で あ る と考 え られ る。 これ は 、 セルフケア・エージェンシー が 、 セ ル フケ ア の遂 行

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に と って"特 有 な10の 能 力"か ら成 り立 って い る2⊃ とい う看 護 開 発 協 議 会 の論 述 を支 持 して い た。 本 研 究 の 対 象 者 が 該 当 しなか った1つ の パ ワ ー 構成 要 素 は、 先 行 の行 為 と後 続 の 行 為 を関 連 づ け る能 力(バワγ9)であ った 。 この能 力 は、 妊 婦 の 語 った エ ピソー ドの 中 か ら 見 いだ す こ とは 難 し く、 この パ ワ ー9に 示 され た 能 力 が 、 妊婦 の セ ル フケ ア要 件 の 遂 行 に必 要 な 能 力 で あ るの か 否 か は、 今 後 の課 題 で あ る。 2)妊 娠 生 活 の エ ピソ ー ドとセルフケア・エージェンシー 妊 婦 が 語 って くれ た生 活 の様 々 な エ ピソ ― ドは、 前述 した能 力 を み て い く時 、10の パ ワ ー構 成 要 素 の うち の単 一 の 能 力 と して だ け に 該 当 す る もの で はな く、 複 数 の 能 力 と して み え て きた。 〈子供 が お昼 寝 す る時 に 、 一 緒 に休 ん で い る 〉 と い う行 動 は 、8っ の能 力 が み え て きた。 つ ま り、 疲 れ な い よ う に必 要 な警 戒 と用 心 を向 け(パワー1)身 体 的 エネ ル ギ ー の 制 御 的 使 用(パワー2)をはか り、 疲 労 に よ る影 響 を予 測 し休 む こ と の必 要 性 を認 識(バ ワー4)し、 家 族 の 安 寧 と い う 目標 指 向(パワー5)のも と、 子供 と一一緒 に休 む とい う意 思 決 定(パワー6)をし、 技 術 的知 識(パワー7)を持 って 、上 の 子供 と の関 係 性 を 確 保(酌 一8)しな が ら、母 親 役 割 と妊婦 役 割 を統 合 (パワー10)す る と い う能力 が 浮 か び 上 が っ て き た。 この よう に 、 妊 婦 の 語 った1つ の エ ピソ ー ドか らい くつ も の能 力 が 多 面 的 に 見 え て きた。 妊 婦 の セルフケア・エージェ"一 は 、 妊娠 を 正常 に維 持 して い く為 に必 要 な 能力 と して の み な らず 、 妻 役 割 や 母親 役 割 な ど多 くの役 割 を 遂 行 す る能 力 が存 在 して い た。 この こ とは 、 実 践 で 応 用 す る際 に、 語 られ た エ ピソー ドの背 景 と な る多 面 的 な 能 力 を 査定 す る こ との 可 能 性 を 示 唆 して お り、 オ レム理 論 を 実践 上 で用 い る際 の 、 新 しい知 見 と思 わ れ る。 3)10の パ ワー 構 成 要 素 間 の 関 連 性 妊 婦 の 語 った1つ の エ ピソー ドは、 い くっ か の パ ワー 構 成 要 素 に該 当 し、 それ ら構 成 要 素 は円 環 的 な 関 連 性 を 認 め た。 〈赤 ち ゃん の た め に、 カ ル シ ウムが 必 要 なの で、 コー ヒー を飲 む の を止 め牛 乳 を飲 ん で い る〉 と い う行 動 は、 赤 ち ゃん の た め に とい う動 機(パワー5)が、 まず 認 め られ 、 自 己 と胎 児 に と って 必 要 な 注 意 と 警 戒 を 向 け る こと(バり一1>や、 カ ル シウ ム の必 要 性 とい う セ ル フケ ア の推 論(パワー4)、カ ル シ ウム摂 取 に む け て の意 思 決 定(パワー6》、 コ ー ヒー よ り も牛 乳 の 摂取 を とい う技 術 的 知 識 の 獲 得 と実 行(パワー7)は 円環 的 に関 連 し、 日常 生 活 に取 り入 れ て い る(パワー 10)言 動 と して あ らわ され た 。 パ ワ ー構 成 要 素 が密 に 関 連 して い た も の は 、 パ ワ ー1の 自己 と胎 児 に と って 必 要 な注 意 と警 戒 を 向 け、 パ ワ―4の セ ル フケ アの 推 論 と、 パ ワ ー6 の 意 思 決 定 、 パ ワー7の 技 術 的 知 識 の 獲 得 ・記 憶 ・実施 で あ り、 これ らは円環的 な関連性 を認 めた。 セ ル フケ アの遂 行 に は 、 そ の 背 後 に、 目標 に向 か う と い う動機 づ け が先 行 して 認 め られ 、 セ ル フ ケ アの 遂 行 の 有 無 に よ る結 果 を推 論 す る 能力 が 、 その 実 行 に先 ん じて 認 め られ た。 それ に続 い て 、 セ ル フケ ア を遂 行 しよ う と い う意 思 決 定 が あ った 。 この意 思 決 定 は、 知 識 や 技 術 の 獲 得 の後 に行 わ れ た り、推 論 に続 い て行 わ れ る場 合 が あ っ た。 この こ とか ら、セルフケア・エージェンシー と して の10の パ ワ ー構 成 要 素 に は、 円環 的 な関 連 性 が あ る と推 察 され た。 この点 は 、 オ レム の論 述 に 見 られ な い こ と で あ っ た。 オ レ ム理 論 を実 践 に 適 用 して は じめて 見 い だ され た と思 わ れ る。 5.セ ル フケ ア制 限 1)妊 婦 の セ ル フ ケ ア 制 限 の 概 要 妊婦 の セ ル フケ ア を 妨 げ て い る要 因 は 、 セ ル フ ケ ア要 件 を 遂 行 して いな か っ た こ と に関 して面 接 し、 得 られ た内 容 を 、 オ レ ムの 提 示 す る3つ の制 限 要 因10セ ッ ト30項 目 に照 ら して記 述 した 。 本 研 究 の 対 象 者 の 制 限 要 因 は、3つ の 制 限 要因 30項 目の 中 の26項 目 に あ て は ま っ た。 あて は ま ら なか っ た制 限 要 因 は 、知 る こ とに つ い ての 制 限 の 中 の 知 る た あ の機 能 障害(セット2)の2 項 目 と、 結 果 達 成 行 動 に つ い て の制 限 の セ ッ ト4 の 家族 成 員 の 意 図 的 な妨 害 とセ ル フケ ア を妨 げ る 災 害 の合 計4項 目で あ っ た 。 妊婦 は 、 あ る セ ル フ ケ ア 要 件 に関 して は制 限 要 因 が あ る た め に遂 行 で き ず 、 ま た あ る セ ル フケ ア 要 件 は遂 行 され 、 そ こに はセルフケア・エージェンシー を認 め ―51―

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た 。 この よ う に、 妊 婦 に は 、 セ ル フケ ア制 限 とセル フケア・エージエンシー が 同 時 に存 在 して い た 。 2)制 限 要 因 間 の関 連 性 妊 婦 の セ ル フケ ア制 限 要 因 を記 述 して い くと 、 1つ の エ ピソ ー ドが 、 い くっ も の制 限 要 因 に該 当 し、妊 婦 は 、様 々 な制 限 要 因 を有 して い た。 〈は じめ て の 経 験 で あ る こ と〉 ・ 〈セ ル フケ ア を遂 行 して い な い に もか か わ らず 正 常 に経 過 して い る とい う安心 感 〉 ・ 〈前 回 の 妊 娠 経 過 が 順 調 で あ った とい う 自信 〉 は、 知 る こ と ・意 思 決 定 す る こと ・結 果 達 成 行 動 につ いて の 制 限 と い う、3つ の制 限 要 因 そ れ ぞ れ に関 わ って い た。 これ ら3つ の 制 限 要 因 は、知 る こ との 制 限 が あ る た め に意 思 決 定 が で きず 、状 況 を 認 知 して い な い こ と よ りセ ル フケ ア 要件 の充 足 に対 す る関心 の 欠 如 が み られ 、 そ の結 果 、知 識 や 技 術 は獲 得 され な い と い う、 悪 循 環 を 引 き起 こ して い た 。 1つ の 制 限 要 因 の存 在 が 、 他 の 制 限 要 因 に つ な が っ て い る こ と は オ レム の提 示 す る制 限 要 因 が 、 独 立 した も ので は な く、相 互 に 関 連 の あ る もの と 考 え られ る。 オ レム理 論 に は 、 これ に関 して の指 摘 が 認 め ら れ ず 、 新 しい視 点 と考 え られ る。 IV.結 論 本 研 究 で は、 オ レム理 論 を46名 の妊 婦 の生 活 現 象 に 適 用 させ 、 オ レムの 提 示 す る各 要 因 に よ り、 妊 婦 の セ ル フケ アの 特 徴 が 認 め られ た。 ① 妊 婦 の セ ル フケ ア要 件 は、 日常 生 活 に取 り入 れ や す い もの と、 妊 婦 は どの よ う な行 動 をす る べ き か とい う文化 的 に知 られ て い る要 件 が 遂 行 され て い た 。 ② 妊 婦 の基 本 的 条 件 づ け要 因 は、 妊 娠 中 の 健 康 上 の注 意 事 項 ・出 産 回 数 ・流 早 死 産 経 験 ・妊 娠 週 数 の4要 因 に よ り、 セ ル フケ ア 全 体 の19%が 説 明 され た。 す な わ ち 、 セ ル フケ ア を遂 行 しな い妊 婦 は、 妊 娠 中 の 注 意 事 項 の な い 者 、 出 産 回 数 の 多 い 者 、 流 早 死 産 経 験 の な い者 、 妊 娠 週 数 の 進 ん で い な い者 で あ っ た 。 ③ 妊 婦 のセルフケア・エージェンシー は 、 妊 婦 の 生 活 行 動 を 10の パ ワ ー 構 成 要 素 で 分 析 す る こ と に よ り明 らか に な っ た 。 妊 婦 に は、10の パ ワ ー構 成 要 素 の う ち の1つ を除 く、9つ の パ ワー 構 成 要 素 が 認 め られ た。 ④ 妊 婦 の セ ル フ ケ ア 制 限 要 因 は、 オ レ ムの 提 示 す る3つ の 制 限 要 因10セ ッ ト30項 目の うち 、26項 目 に該 当 した。 しか し、 妊 婦 の エ ピソ ー ドは 、 オ レ ム の 指 標 か らみ る と制 限 と して認 め られ たが 、 妊 娠 と い う現 象 の特 異 性 か らす る と 、 必 ず しも制 限 と して と ら え 、 す ぐに 看 護 シス テ ム を 作 動 させ な くて は な ら な い状 況 に は な い と考 え られ た 。 そ の理 由 は、 妊 娠 と い う現 象 の特 異 性 が 、疾 患 と は違 う と らえ 方 を され て い る こ とか ら も考 え られ る よ う に 、 正 常 と い う もの の幅 が 非 常 に 広 い と い う こ と が あげ ら れ る。 鉄 分 の不 足 は 、 直 ち に胎 児 貧 血 に は 至 らな い し、 妊 娠 母 体 は多 くの 生 理 的 な変 化 を来 し、 妊 娠 を 維 持 して い く。 す な わ ち、 妊 娠 と い う現 象 の な か で は、 ホ メ オ ス タ ー シス機 構 が よ り活 発 に 機 能 して い る と考 え られ る。 本 研 究 で も、 セ ル フ ケ ア 要件 得 点 が 低 い妊 婦 で も、 健 康 逸 脱 を 来 して い な い者 を 認 め た。 妊 娠 の 正 常 性 の維 持 に は 、妊 娠 期 に望 まれ るセ ル フケ ア を 遂 行 す る こ とが 必 要 と され て い る。 しか し特 別 な セ ル フケ ア を 遂 行 して い な くて も、 正 常 性 が 維 持 され て い る こ とが あ る。 以上 の こ とか ら、 オ レム の 提 示 す るセ ル フケ ア 制 限 要 因 に該 当 す る妊 婦 の制 限 要 因 は 、 必 ず しも 看 護 シス テ ム の 作 動 に結 び っ か な い可 能 性 が あ る と示 唆 され た 。 す なわ ち 、 オ レ ム の セ ル フケ ア不 足 理 論 か ら考 え る と、 例 外 的 存 在 を意 味 す る。 こ の点 は 、 妊 婦 にオ レムの セ ル フケ ア制 限 を 適 用 す る際 に 、検 討 す べ き課 題 と考 え た。 引 用 文 献

1. Orem D. E. :Nursing, concepts of practice, Fifth edit ion, Mosby-Year Book, 106, 1985.

2.前 掲 論 文2),221

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第2群:7

の あ

妊 婦

日 常 生 活 の実 態 に関す る研 究

聖路加看護 大学大学 院博士後期課程 ○桃 井 雅 子 I.は じめ に 腰 痛 の あ る妊婦 は,妊 婦 全 体 の過 半 数 を占 め る とい う報 告 が あ り1),日 常 生 活 を送 る上 で も様 々 な支 障 を体 験 す る とい う こと が言 わ れて い る。 し か し,腰 痛 が あ る妊 婦 が な い妊 婦 に比 ぺ て,日 常 生活 上 の支 障 が 大 きい か ど うか に つ いて 集 団 を対 象 と した実 態 調 査 は未 だ行 わ れ て い な い。 本 研 究 の 目的 は,腰 痛 の あ る妊婦 とな い妊 婦 の 日常 生活 上 の支 障 を 測 定 し,比 較 す る こ とで あ る。 II.研 究 の方 法 1.デ ー タ収 集 の方 法 対 象 は都 内二 か所 の産 科病 院 と都 市近 郊 の一 総 合病 院 に通 院 す る妊 婦 で あ る。 デ ー タ収 集 は1996 年7月22日 か ら同年9月7日 に か け て実 施 した。 便 宜標 本 抽 出を行 い,ま ず調 査 者 が 外 来 に訪 れ た妊 婦 に研 究 の説 明 と依 頼 を文 書 及 び 口頭 で 行 った後, 同意 が得 られ た 妊 婦 に対 して 質 問 紙 を配 布 した 。 診 察 ま で の待 ち時 間 を利 用 して回 答 して も らい, 回収 は記 入 後 速 や か に行 うた。 回収 数 は520名 、 その う ち515名(99%)が 有 効 回答 で あ った。 2.測 定 用具 に つ いて 質 問紙 はRoyモ デ ル の概 念 枠 組 み に基 づ き研 究 者 が 作成 した(以 下r腰 痛:生 活支 障質 問紙 」と呼 ぷ)。Royに よ れ ば人 間 は生理 的 ・精 神 的 ・社 会 的 な統 合 の ニ ー ドを持 ち そ の充足 度 は内 的 ・外 的 な 環 境(焦点轉徹,関連轉徹,残存轉徹,)の影 響 を受 けて絶 え ず変 化 す る。 変 化 に対 して は各 自 の持 つ 対 処機 制 が働 き, この対 処 機制 は調 節 器 と認 知 器 と して,ま た先 天 的 な もの と後 天 的 な もの と して説 明 され て い る2). 先 天 的 対 処 機 制 は「遺 伝 に よ り決 定 され …一 般 に 自動 的 な プ ロセ ス(自動的・無意輸的に起こる)と考 え られ て お り,思 考 を必 要 と しな い」,一 方 後 天 的 対処 機 制 は「学 習 の プ ロセ ス を通 じて 発 達 す る」ま た「人 間 は人 生 に お い て い ろ い ろ な経 験 に 遭遇 す る こと に によ って特 定 の刺 激 に対 す る習 慣 的 な反 応 を 習得 す る。 … この反 応 は熟考 され た 意 識 的 な もの で あ る」と い う。 これ らの対 処 機 制 が うま く作 用 し, 四 つ の適 応様 式(生理的機能,自己概念,役害機能,相互依存)を通 じて 統 合 の ニ ー ドが 促進 され るの で あ る。 本 研 究 で は,妊 娠 に よ る心 身の変 化 を 内 的 ・外 的 な環 境(先の3つの轉徹)の変 化 と捉 え,こ の変 化 に対 して 妊婦 自身 の対 処機 制 で は対 処 が 困難 な場 合 に "適応術 動 上 の 問題"が 表 出 す る と考 え た 。 こ こで "適応 上 の 問題"と は:腰 痛 に よ る 日常 生 活 上 の支 障"の こ とを指 す。 今 回,腰 痛 の あ る妊 婦 の適 応 行動 を適 応様 式 の四側 面 か ら査 定 し,特 に後 天 的 対処 機 制 を測 定 した。 また,質 問紙 の信 頼 姓 ・妥 当 性 を検 討 す る た め に,他 の標 準化 され た 質 問紙 を併 用 した。 1)「 腰 痛:生 活 支 障 質 問紙 」 につ いて Royモ デ ル に基 づ く,各 適 応様 式 に お け る査 定 (測 定)の 視 点 を 図1に 示 した 。 2)測 定 用 具 の信頼 性 ・妥 当 性 の検 討(図1参 照) (1)信 頼 性 の検 討 内 的一 貫 性 の検 討 で はCronback'sα 係 数 を算 出 した 。 そ の結 果 質 問紙 全体 で0.76,4つ の下 位 尺 度 で0.7以 上 を得 、質 問 紙 の信 頼 性 が確 保 され た。 (2)妥 当 性 の検 討 内容 妥 当 性 で は質 問項 目を4つ の適 応 様 式 に分 類 した後,17名 の看 護学 研 究 専 門家 に依頼 し質 問 項 目を最 もふ さわ しい と考 え る適 応様 式 に振 り分 け て も らい,そ の後分 類 を修 正 した 。 また,プ レ テ ス トを都 内 の 産 院 に通 院 す る妊 婦13名 に対 して 行 い,修 正 を 行 った 。 併 存妥 当 性 ば役 割機 能 と 自己概 念 の二 つ の適 応 様 式 で検 討 した。 『Rosenberg自 尊 感 情 尺度 』 と

『Inventory of Functional Status-Antepartum

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図1.Royモ

デ ル に 基 づ く概 念 枠 組 み

Period 45-Item(以 下IFSAPと略、 当モデルの役割機能様式を査定する質問 紙として開溌された)』の 家 事 に 関 す る 質 問 を 用 い た 。

構 成 概 念 妥 当 性 の 検 討 で は 先 の3つ の 測 定 用 具 に 加 え 『MOS 20-Item Short-Form Health Survey (以下『SF-20』と略)』と 『RAND 36-ITEM HEALTHSURVEY

1. 0(以下「RAND』と略)』を 用 い た(「SF-20』 繊 び『RAND-36』 は異なる医療状況や心理的状況にある患者の健康状態の変化をADLにおける 機髭及びWell-beingの 視点から測定するものである)。 こ れ ら全 質 問 項 目 の 因 子 分 析 を 主 因 子 法 バ リ マ ッ ク ス 回 転 に よ り行 っ た 。 そ の 際 共 通 性 が 低 い(0.3以 下)5項 目 は 除 外 し た 。 そ の 結 果6つ の 因 子 が 抽 出 さ れ 累 積 寄 与 率 は46.7% で あ っ た 。 そ の6因 子 と は,第1因 子 はr自 己 概 念 」, 第2因 子 は 「セ ル フ ケ ア と 家 事 」,第3因 子 は 「役 割 機 能 」,第4因 子 は 「相 互 依 存:生 じて い る依 存 ニ ー ド」,第5因 子 は 「相 互 依 存:依 存 ニ ー ドの 充 足 度 」, 第6因 子 は 「特 定 の 動 作 を す る 時 の 困 難 さ 」,以 上 で あ る 。 一 項 目 を 除 く全 て の 質 問 項 目 が,最 初 に 概 念 規 定 した も の と 同 一 の 因 子 に 分 類 さ れ た 。 ま た 各 因 子 の 寄 与 率 も7∼8%と ほ ぼ 同 じで あ っ た 。 以 上 か ら,質 問 紙 の 構 成 概 念 妥 当 性 は 支 持 され た 。 III.結 果 1.対 象 の特 性 全 対 象515名 の うち"腰 痛 が あ る"と 答 え た者 は309名 で,全 体 の60%を 占 め て い た。 一 方,腰 痛 が無 い と答 え た の は206名 で 全 体 の40駕で あ った。 平 均 年 齢 は全 体29.4歳(SD=4.4),腰 痛 あ り群28.9 歳(SD4.0),腰 痛 な し群30.2歳(SD=4.7)。 調 査 時 の妊 娠 時期 を 初 期 ・中 期 ・末 期 の別 で み る と,腰 痛 あ り群 は 初 期13名(4.3%)・ 中期103名(34.4%)・ 末 期183名(61.2%),腰 痛 な し群 は初 期12名(6.2%)・ 中期72名(37.1%・ 末 期110名(56.7%)で あ り,両 群 の 分 布 に有 意 差 は無 か った。 2.日 常 生 活 上 の支 障 に 関 す る二 群 の比 較 日常 生 活 上 の支 障 をr腰 痛:生 活 支 障 質 問紙 』で 測 定 した結 果 を,腰 痛 の あ る群 と な い群 とで比 較 した(表1参 照,デ ー タ の範 囲 は 図1を 参 照)。 そ の結 果,生 理 的機 能 ・自 己概 念 ・相 互 依 存 に お い て 有 意差 が 認 め られ た。

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1)生 理 的機 能:平 均 値 は全 体 で20.9,腰 痛 あ り群 は20.2,腰 痛 な し群 は21.9で あ り,腰 痛 あ り群 の機 能 状 態 が腰 痛 な し群 に比 べ て低 くか った。 妊娠 時期 別 にみ た機 能 状 態 は両 群 共 に妊 娠 が進 む につ れ有 意 に(P<0。001)機 能 状 態 が低 下 して いた 。 2)自 己概 念;平 均 値 は全 体 で11.7,腰 痛 あ り群11.4,腰 痛 な し群12.3で あ り,腰 痛 あ り群 の 自己概 念 が腰 痛 な し群 に比 べ て低 くか った 。 3)役 割 機 能:両 群 の平 均 値 に有 意 差 は認 め られ ず,腰 痛 あ り群 と腰 痛 な し群 の役 割機 能状 態 は同 じで あ った 。 4)相 互 依 存:"生 じて い る依 存 ニ ー ド"は両 群 間 に有 意差 は認 め られ なか った。 一 方,"ニ ー ドの充 足 度"は 差 が 認 め られ,腰 痛 あ り群 は25.2, な し群 は27.2で,腰 痛 あ り群 のニ ー ド充足 度 が腰 痛 な し群 に比 べ て低 くか った 。 妊婦 へ の サ ポ ー ト が期 待 で き る医 療 者 ・友 人 ・ピ ア グル ープ の三 者 か らのニ ー ド充足 度 に 関 して は,い ず れ も腰 痛 あ り 群 が腰 痛 な し群 に比 べ低 か った。 一 方 家 族 か らの ニ ー ド充 足 度 は 両群 に差 は無 か った 。 3.腰 痛 の あ る妊 婦 の実 態 1)腰 痛 の あ る妊 婦 の特 徴 『腰 痛 に かか わ る既 往 歴 の有 無 』と『腰 痛 に関 し て援 助 を受 けた か ど うか 』にお いて,腰 痛 あ り群 と腰 痛 な し群 と の間 に有 意 差 が認 め られ た。 "腰痛 の既 往 が あ る"と答 え た者 は 全 体 で76名 お り,そ の71%に 当 た る54名 が腰 痛 あ り群 に 含 まれ て い た。"腰 痛 に 関 して援 助 を受 け だ と答 え た者 は,腰 痛 あ り群 は,な い群 に 比 べ て倍 で あ っ た。 しか し,そ れ で も腰 痛 あ り群 の う ち10.8%し か, 援 助 を受 け て い な か った 。 2)下 位 尺 度(適 応 様式)間 の 関係 腰 痛 あ り群 の結 果 を,4つ の 適 応様 式 間 の関 係 と い う観 点か ら分 析 した 。 そ の結 果,『 生 理 的 機 能 一自 己概 念(F0.3,P<0.001)』,「 相 互 依 存 のニ ー ド充足 一 自己概 念(r=0 .14,Pく0.05)』との間に, 弱 い な が ら有 意 な正 の相 関 が認 め られ た 。生 理 機 能 が低 い者 ほ ど 自己 概 念 も低 く,ま た,相 互 依 存 ニ ー ドの充 足度 が低 い者 ほ ど 自己概 念 も低 か った 。 IV.考 察 1.腰 痛 が あ る妊 婦 の生 活 上 の 支 障 につ いて 本 対 象 で あ る妊婦 の6割 に腰 痛 が 認 め られ た。 腰 痛 の あ る妊 婦 は な い妊婦 に比 べ る と,生 理 的 機 能 で は機 能 状 態 が低 い こ と,相 互 依 存 で は依 存 ニ ー ドの充 足 度 が低 い こ と,ま た 自己概 念 で は低 い 自己概 念 を持 つ,以 上 が 明 らか に な うた 。 2.生 理 的機 能及 び相 互 依 存 と 自 己概 念の 関係 腰 痛 に伴 う生 理 的 機 能状 態 の低 さ と 自己概 念 の 表1.腰 痛 に よ る 日 常 生 活 上 の 支 障 ∼ 二 群 の 比 較 ∼ 注)表 中の得 点は以 下の ことを示 してい る 生 理 的 機 能,役 割 機 能:高 得 点 ほ ど機 能 状 態 が 良 好 で あ る 自 己概 念:高 得 点 ほ ど 自 己概 念 が 高 い 相 互依 存 ・生じているニート:高得 点 ほ どよ りニ ー ドが生 じ て い る ・ニードの充足度:高 得 点 ほ ど よ りニ ー ドが充 足 して い る ―55―

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低 さが 関連 す る こ と と,ま た腰 痛 に よ り生 じて い る依 存ニ ー ドの充 足 度 の低 さ と自 己概 念 の低 さが 関 連 す る こ とが示 唆 され た 。先 行 研 究3)で も,腰 痛 の あ る妊婦 の生 理 的機 能 お よ び相 互 依 存 に お け る生 活 上 の支 障 が,自 己 概 念 に負 の 影響 を もた ら す こ とが 明 らか に され て い る。 1)生 理 的 機 能 と 自 己概 念 Rubin4)に よ れ ば,妊 娠 中 の機 能 力 や統 制 能力 の変 化 に伴 う喪 失 感 はBody imageに 負 の 影 響 を 与 え る と い う。Royモ デ ル で はBody imageを 身 体 的

自 己概 念 の重 要 な構 成 要 素 と捉 え て い る。 よ って, 本 対 象 で も腰 痛 に伴 う生 理 的 機 能 の低 下 が,自 己 概 念 の低 下 を もた ら した の で は な い か と考 え た 。 2)相 互 依 存 と 自己 概 念 Stainton5)に よ れ ば,妊 娠 中 は他 者 か ら受 容 さ れ る こ とを願 い,先 行 き の不 確 か なハ イ リス ク妊 婦 で は 一層 そ の思 い が強 ま る。 ま た医 療 者 は妊 婦 と接 す る機 会 が 多 い分,そ の対 応 の仕 方 が妊 婦 の 思 い に影 響 を与 え る と もい う。今 回,「 生 じて い る依 存 ニ ー ド』は腰 痛 あ り群 と腰 痛 な し群 とで 差 が無 い に もか か わ らず,『 依 存 ニ ー ドの充 足 度 』で は 、腰 痛 あ り群 が 医 療 者 ・友 人 ・ピア か らの充 足 度 が な し群 に比 べ て 有 意 に低 くか った 。 さ らに, 腰 痛 の あ る妊 婦 の うち医 療 者 か らの援 助 を 受 けて いた の は わ ず か1割 で あ る こ と も明 らか に な った 。 こ う した こ とは妊 婦 に 「他 者 か ら受 容 され な い 自 己 」 と い う思 い を生 じ させ,そ の結 果,自 己概 念 が低 下 した こ とが考 え られ る。看 護 者 は マ イ ナ ー トラ ブル を軽 視 しが ち と言 わ れ るが,そ れ らの症 状 に対 して よ り積 極 的 に援 助 を行 う必 要 が あ ろ う。 3。 腰 痛 が あ る妊 婦 の役 割 機 能 に つ い て 役 割 機 能 に お い て は両群 で 有 意 差 は 認 め られ な か った。 腰 痛 の有 無 に関 わ らず妊婦 は"妻 や 母親" 等 の役 割 を果 た して い る ことが 明 らか に な り,よ っ て普 通 に役 割 機 能 を果 た して い る妊 婦 の 中 に も, 腰痛 を持 つ者 が い る可 能 性 が示 唆 され た と言 え る。 看 護 者 が腰 痛 の有 無 を査 定 す る際 に,役 割機 能 に 関 す る質 問 は その 実態 を適 切 に反 映 しな い と思 わ れ る た め,他 の 適 応様 式 で査 定 す る必 要 が あ る。 4.対 象 の 特 性 と 腰 痛 発 現 と の 関 連 に つ い て 腰 痛 の 既 往 歴 が あ る 妊 婦 は,腰 痛 が 生 じ や す い こ と が 明 ら か に な っ た 。 「腰 痛 準 備 状 態 」と し て の 既 往 歴 が あ る 場 合 そ れ が 何 ら か の ス ト レス を 契 機 に 再 発 す る と言 わ れ る6).妊 娠 は 心 身 の ス ト レス を 伴 う事 象 と い え,よ っ て 既 往 が あ る場 合 は 再 発 す る可 能 性 が 高 い と 言 え る 。 腰 痛 の 既 往 が あ る 妊 婦 に対 し て 注 意 深 い 症 状 の 観 察 と事 前 の 予 防 策 を 講 じる 必 要 が あ る だ ろ う。 妊 娠 が 進 む に つ れ 腰 痛 の あ る妊 婦 の 生 理 機 能 状 態 は よ り低 下 す る こ とが 明 ら か に な っ た 。 妊 娠 前 半 期 か ら の 腰 痛 を 悪 化 さ せ な い 援 助 と,ま た 実 際 に 妊 娠 後 期 で 腰 痛 に よ る 支 障 が 大 き い 妊 婦 に 対 して は,セ ル フ ケ ア 動 作 を ど う行 え ば よ い か 等 の 具 体 的 な 援 助 が 必 要 で あ る 。 V.結 論 1.本 対 象 の 妊 婦 の60%に 腰 痛 が 認 め ら れ た 。 2.腰 痛 あ り群 の 妊 婦 は 腰 痛 な し群 に 比 べ て, 生 理 的 機 能 ・相 互 依 存 に お い て よ り 多 く の 支 障 が あ る こ と,ま た 自 己 概 念 に お い て も腰 痛 な し群 に 比 べ て 低 い 自 己 概 念 を 持 つ こ と が 明 らか に な っ た 。 3.腰 痛 の 既 往 歴 が あ る妊 婦 に 腰 痛 が 生 じ や す い こ と,ま た 妊 娠 が 進 む に つ れ 腰 痛 に よ る 生 理 的 機 能 は よ り低 下 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。 今 後, 積 極 的 か つ 具 体 的 な 援 助 を 行 う こ と が 望 ま れ る 。 謝 辞 研 究 の 全 過 程 に 渡 り 細 や か な ご指 導 を 下 さ っ た 、 聖 路 加 看 護 大 学 堀 内 成 子 教 授 に 感 謝 致 し ま す 。 引 用 文 献 1) 友田昭二他:妊娠中の腰痛,産婦人科の実際,41(10),1483-1486,1992. 2) Roy, C.: Essentials of the Roy Adaptation

M

odel, 1986, 松木光子監訳,ロイ適応看護論人門,44,医学書院,1995. 3) 桃井雅子: 多胎妊婦の腰痛に対する訪問援助の評価研究, 1994年度聖路加看護大学大学院

博士前期課程(修士課程)修士論文.

4) Rubin, Reva: Body Image and Self-Esteen, Nursing Outlook, June, 20-23,1968.

5) Stainton, M. C: Supporting Family Functioni-ng DuriFunctioni-ng a High-risk Pregnancy, MCN, 19, 24-28,1994.

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第2群:8

妊 娠 期 の 女 性 の 生 活 満 足 感 に

関 す る 研 究

「1」 先 行経 験 お よび期 待 感 別 に みた生 活満 足 の 実 態

金 沢大 学 医 学 部 保 健 学 科 看 護学 専 攻 ○ 島 田啓 子 田淵 紀 子 坂 井 明 美 1.は じ め に 従 来 か ら 妊 娠 や 出 産 に 関 す る 研 究 は 身 体 的 ・ 生 物 的 な 特 異 性 と そ の 安 全 性 を 追 究 し た 医 学 的 研 究 が 多 か っ た 。 看 護 的 視 点 か ら 報 告 さ れ る も の も 同 様 に,入 院 中 の ニ ー ズ や 不 安 な ど 異 常 対 象 に 焦 点 を あ て た 研 究 が 多 い 。1)2)し た が っ て 健 康 な(と 医学的に称 されて いる)妊 娠 生 活 を 送 る 人 自 身 が も つ 生 活 の 実 態 と い う 視 点 か ら 報 告 さ れ た も の は 少 な い 。 本 研 究 は 医 学 的 に 正 常 と 称 さ れ る 普 通 の 妊 婦 が,ど れ く ら い 内 面 的 な 豊 か さ を も ち な が ら 生 活 し て い る の か を 探 る こ と を 課 題 に した 、 そ こ で 生 活 を 通 して 妊 婦 自 身 が 内 面 的 に 充 足 し 幸 福 と 感 じ ら れ る 種 々 の 要 素 を 総 称 し て 「生 活 の 質;QualityofLife(以 下QOL)」 と 捉 え た 。 こ う し た 視 点 か ら 妊 婦 の 生 活 の 質 を 探 究 す る 意 義 は,従 来 の 医 学 的 視 点 か ら 明 示 さ れ な か っ た 部 分 に 焦 点 を あ て る こ と に あ る 。 そ こ で 本 研 究 は 妊 娠 期 の 女 性 の 生 活 の 質 に 関 す る 概 念 枠 組 み を 考 案 し,構 成 要 素 の 関 連 性 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 に し た 。 今 回 は,妊 娠 期 の 女 性 の 生 活 満 足 感 を 先 行 経 験 お よ び 期 待 感 か ら 分 析 した も の に つ い て 報 告 す る 。 1.「QOL」 と 「妊 娠 」 に 関 す る 文 献 検 討 妊 娠 期 の 女 性 を 対 象 に し た 研 究 お よ びQOL概 念 が 使 用 さ れ て い る 学 術 研 究 を,「 医 学 中 央 雑 誌 」,「MEDLINE」 お よ び 社 会 学 的 範 疇 の 学 術 研 究 を 網 羅 し て い るSocialsciencesearch Index(SSCI)か ら,以 下 に 述 べ るKeywordsを 中 心 に 先 ず 量 的 な 検 討 を 行 っ た 。 1)f医 学 中 央 雑 誌(国 内)」 で,QOLに 関 連 し た 研 究 は,表1に 示 す よ う に1990年 の120 件 か ら1993年 に は744件 に 急 増 し て い た.他 に f満 足 度 」,「 ニ ー ズ 」 ,「 不 安 」,「 ス ト レ ス 」 をQOLの 近 接 概 念 と し て 位 置 づ け る な ら 、 こ れ ら がKeywordsに 使 用 さ れ て い る 研 究 で は, 過 去4年 間(遡 及入カの範囲)で 約2000件 が ヒ ッ ト し た 。 さ ら に こ の 中 か ら 「妊 娠 期 」 とrQOL」 の 双 方 を 含 む 報 告 は,1990年 に6件 だ け 上 げ ら れ た 。 こ の6件 の 内 容 は,ハ ン デ イ キ ャ ッ プ を も つ 妊 産 婦 に 対 す る 支 援 方 法 や 在 日 外 国 人 に 対 す る 妊 娠 ・出 産 時 の 支 援 ・管 理 方 法 に 関 す る も の で, 今 日 の 社 会 性 を 映 し た 総 説 や 解 説 が 主 で あ っ た 。 2)rMEDLINE個 内外)」 で"QOL"& "Preg nancy"の,双 方 のwordsを 含 む 研 究 は38件 が 検 索 さ れ た 。 こ れ ら の 概 観 の 一 部 は 表 2に 示 す よ う に,妊 娠 ・出 産 と 合 併 症 を も つ 場 合 の 管 理 が 多 く,早 産 し た 児 に 対 す る 関 係 者 の 責 任 性 の 論 説 で あ っ た り,周 産 期 に お け るQO L成 果 に つ い て の コ メ ン タ リ ー3}等 も み ら れ る が,正 常 な 妊 娠 期 の 女 性 に 焦 点 を あ て た も の は 皆 無 で あ っ た 。

3)「Social Science Search Index:SSCI」 か ら み て み る と1987年 か ら1993年 ま で(塑 及 入力範囲;60万 件)に 収 容 さ れ て い る 論 文 の う ち," QOL"のwordsで 検 索 さ れ た も の は36件 で,そ の 内 容 は 医 学 研 究 の 範 疇(前 述.MEDLINE)を 超 え る も の で は な か っ た 。 し た が っ てQOL研 究 の 対 象 や 領 域 は,あ く ま で 何 ら か の 健 康 障 害 を 有 す る こ と が 前 提 で あ っ た 、 妊 娠 や 出 産 が 大 き な 社 会 的 イ ベ ン トで あ り, 心 身 の 健 康 に 関 与 す る と 言 わ れ な が ら,こ う し た 妊 娠 期 の 女 性 の"生 活 の 質"を 捉 え る 研 究 は QOLのwordsで み ら れ な か っ た 。 た だ 従 前 の 研 究 の 多 く は,必 ず し も"QOL"と い うwordsを 使 用 し て い な い が,対 象 が も つ 欲 求 や 援 助 の 在 り 方 を 探 る 意 図 で 「ニ ー ズ 」 の 研 究 が な さ れ た り 「満 足 度 」 を 測 る 調 査4)が 行 わ れ て い る こ と か ら,本 質 的 に はQOL研 究 に 包 括 さ れ る も の と 解 釈 し た 。 ―57―

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表1文 献 レ ビ ュ ー

〔医 学 中央 雑 誌 か らの シ ソー ラス検 索:件 数 】

表2 QOL & Pregnancyの 文 献 概 略 MFDUNE検 粟:1990∼1994(38件) 糖 尿 病 合併 妊娠 ・出産 管 理 ・経 口 治 療薬 の 適用 腎 移 植 レ シ ピエ ン トの妊 娠後 の機 能低 下 妊 娠 中の 吐 き気 とQOLへ の影 響 胎 児心 疾 患 の出 生 前診 断 とQOLのProspectlve research 出 産 後の 痛 み とQOLへ の影 響 HIV感 染 胎児 の 性別 診 断 と 母 のQOLの 影 響 質 保 証 シス テム と周産 期 のQOLの 成 果 2.本 研 究 の 概 念 枠 組 図1に 示 した本 研 究 の 概 念 枠 組 み を考 案 す る に あ た っ て,正 常 ・異 常 の 医 学 的 視 点 を後 退 さ せ,対 象 の 個 人 的 視 点 を優 先 した 。 な ぜ な ら 臨 床 的 に 合 併 症 を もち 、 種 々 の リ ス ク を負 うて い る 人 で も満 足 感 が 高 く幸 福 感 に 満 ち て い る 人 達 が 少 な くな い こ と 。 逆 に 医 学 的 に 正 常 で あ りな が ら も満 足 感 や 幸 福 感 が 低 く,不 穏 で か つ 抑 欝 的 な 日 々 を 過 ご して い る 人 達 も臨 床 的 に 見 られ る こ とで あ る 。 した が っ て 従 来 か ら客 観 的 指 標 と さ れ て い る 疾 患 の有 無 や 検 査 値 よ り も,個 々 人 の 生 活 者 と して の評 価 を反 映 す る こ と を 意 図 して い る。 妊 娠 生 活 を 構 成 す る 軸 と して,第1 に 妊 娠 に よ る 「生 活 変 化 の 程 度 とそ れ へ の 対 処 力 」 を あ げ た 。 これ は 妊 娠 に よ る 身 体 的 変 化 の バ リ エ ー シ ョ ンが 個 人 に よ っ て 違 う こ と に 加 え, 何 が ど れ く ら い変 化 した の か,そ の 変 化 に 対 す る個 々 人 の 対 応 能 力 い か ん によ っ て 妊 娠 生 活 へ の適 応 度 も異 な る こ と が考 え ら れ る か らで あ る 。 第2に 妊 娠 して 親 に な っ て い くプ ロ セ ス を 一 つ の 役 割 移 行 と考 え た 。 そ の移 行 段 階 に あ る 妊 婦 役 割 の 達 成 感 は,役 割 移 行 の 促 進 又 は 困 難 を もた らす で あ ろ う 。 更 に第3の 要 素 と して,上 述 した 役 割 へ の移 行 は,「 そ の 時 の 妊 娠 」 に 対 す る 妊 婦 自 身 の 理 想 や 目標 に加 え 、周 囲 の 関 心 ・ 期 待 の 程 度 に も 影 響 され や す い 。 した が っ て 妊 婦 の 生 活 に 関 与す る ソ ー シ ャル サ ポ ー ト(と りわけ 家族内のカ動的関係や重製他者との関係)が 重 要 な 生 活 要 素 に含 ま れ る と考 え た 。 この 生 活 領 域 の 三 要 素 は,統 合 され て 妊 婦 の役 割 移 行 に 関 与 し 、 結 果 的 に 妊 娠 期 の 「生 活 満 足 感 」 や 「自己 価 値 」 に 反 映 さ れ る と考 え た 。

図1 Matemity Stageに お け るQOLの 最 念 枠 組 み

II.方 法 1.対 象 調 査 対 象 は 北 陸,関 西 地 区 に居 住 す る妊 婦565名 (640名 配 布,有 効 回 答88.3%)に 対 して 自記 式 調 査 用 紙 を 用 い て 妊 婦 健 診 時 に 配 布 ・回 答 す る 据 え 置 き 法 を と り,施 設 ご と に 一 括 郵 送 回 収 した. 2.測 定 用 具

「生 活 満 足 感 」 尺 度 はFerrans & powersが 腫 瘍 学 の 文 献 の 広 汎 な レ ビ ュ ー を も と に 開 発 さ れ た も の を 利 用 した 。 これ は 既 存 のQLI(Quallty of llfe Index)と関 連 し て 内 容 妥 当 性 が 支 持 さ れ,病 気 の 有 無 に 関 わ らず す べ て の 成 人 を対 象 に 作 成 し て あ り,満 足 度 に 加 え て そ の 重 要 度 を 問 う こ と に よ っ て 満 足 の 個 人 的 な 重 み ず け が 考 慮 さ れ て い る 。(健 康と機能的.社 会経済的,心理学精 神学的.寂族の4領域を包括した35局面から構成された質問紙)こ の 尺 度 を 参 考 に して,内 容 の 一 部 を 妊 婦 用 に 修 正 して 用 い た 。 「先 行 経 験 」 は 過 去 の 妊 娠 ・出 産 に 関 す る 母 体 異 常 、 児 の 異 常 お よ び 不 妊 既 往 の 記 述 か ら分 類 し た 。 「期 待 感 」 は 「こ の 妊 娠 が 切 実 な も の で,次 の 妊 娠 に 期 待 す る 余 裕 が な い 」 の 設 問 か ら,5段 階 評 定 (全く違う∼全くそうである)で 測 定 した 。 3.統 計 的 解 析 は 主 因 子 分 析(Varlmax回 転),分 散 分 析 (Flsher'sの検定),一 部 は ノ ン パ ラ メ ト リ ッ ク の Kruskal-Wamesの 検 定 を 用 い た 。(5%有 意水率) III.結 果 1.「 生 活 満 足 感 」 尺 度 の 信 頼 性 と 妥 当 性 Varimax回 転 に よ る 因 子 分 析 を し た 結 果,最 終 的 に17項 目 の1因 子 に 集 約 さ れ た.

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こ の 第1因 子 の 固 有 値 は5.826,寄 与 率 は 36.4%で 生 活 の4領 域(健 康,心 理的 ・精神的,社 会 的 ・経済的。家族)の 全 て を 含 ん で い た こ と か ら 「生 活 満 足 感 」 と 命 名 し た 。(第2因 子以降は因子負荷量が 小さく削除 した)ま た 内 的 一 貫 性 を み たCronbach's α係 数 は0.881で あ っ た 。 2.調 査 地 域 と 回 収 数 分 析 の 対 象 に し た 有 効 回 答 数 を 地 域 別 に み る と,北 陸 地 区 は404名(71.6%),関 西 地 区 は 161名(28.5%)で あ っ た 。 3.生 活 満 足 感 の 属 性 別 比 較 「生 活 満 足 感 」 は17項 目 の5段 階 評 定 か ら な る 尺 度 で,一 設 問 の 重 要 度 と 満 足 度 の 両 項 を 乗 し た も の を 集 計 し て 生 活 満 足 得 点 と し た 。 得 点 可 能 範 囲 は17点 ∼425点 で,今 回 の 対 象 は 最 低97 点 ∼ 最 高400点 に 分 布 し 、 全 体 平 均 値 は236。3 ±45.7(SD)点 で あ っ た 。対 象 の 属 性 別(表3) に 生 活 満 足 感 を み る と,1)年 齢 別 で は25∼29 歳 が242.3点 で 最 も 満 足 感 が 高 く,30∼34歳 が 233.0点,35歳 以 上 が232.1点 の 順 で あ っ た 。 逆 に10代 の 妊 婦 は140.0点 で 最 も 低 か っ た(P く0.005)。2)職 業 別 で は 専 業 主 婦 の23L3 点 に 比 べ,有 職 者 は244.3点 で 満 足 感 が 高 か っ た(P<0.001)。3)年 間 所 得 別 で は500万 か ら900万 の 所 得 者 が243,8点 ∼261.1点 で 満 足 感 が 高 い 傾 向 を 認 め た(P<0.001)。 そ れ に 比 し て500万 以 下,1000万 以 上 で は219.8点 ∼ 228.5点 と 低 か っ た 。4)教 育 背 景 別 で は,中 ・ 高 卒 者 の219.5点 に 対 し て 短 大 ・専 門 学 校 卒 が 239.4点,大 卒 以 上 が270.7点 と 高 等 教 育 を 受 け た 人 ほ ど 満 足 感 が 高 か っ た(P<0.005)。 図2先 行経 襲別 の生活溝 足感 5)出 産 回 数 別 で は 経 産 婦 の230.1点 に 比 べ て, 初 産 婦 の 方 が242.0点 で 満 足 感 が 高 か っ た(P〈 0.005)。6)妊 娠 の 初 期,中`期,後 期 別 で は 満 足 感 に 有 意 な 差 は み ら れ な か っ た 。 4.先 行 綬 験 ・期 待 感 別 に み た 生 活 満 足 感 現 在 に 至 る ま で の 「(先 行)経 験 別 」 に 今 の 妊 娠 生 活 の 満 足 感 を み る と(図2),正 常 に 経 過 し て き た 人(N=312)の 生 活 満 足 得 点 は 241.5点 で あ っ た 。 そ れ に 比 べ て 既 往 歴 や 現 在 の 妊 娠 経 過 に 母 体 の 産 科 的 異 常 が 有 っ た 人 (N=212)は231.9点,不 妊 相 談 ・治 療 の 経 験 者(N=24)が221.0点,児 の 異 常(母 児複合含む) 経 験 者(N=17)が218.3点 で あ っ た 。 つ ま り現 在 ま で に 異 常 を 経 験 し た こ と の 有 る 人 の 方 が 生 活 満 足 感 は 低 か っ た(P<0.050).こ う し た 異 常 の 内 容 は,母 体 で は 流 早 産 や 神 経 症 に 加 え 内 科 的 合 併 症 ・帝 切 が 含 ま れ,児 の 異 常 で は 奇 形 や 障 害,死 産 及 び 出 生 後 の 大 き な 病 気 が 含 ま れ て い た 。 ま た 「期 待 感 」 の 程 度 別 に 生 活 満 足 感 を み る と(図3),今 の 妊 娠 を 切 実 に 強 く 期 待 し 表3 対象の属性 図3 期待感 と生活満足感 ―59―

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て い る 人(N=117)の 生 活 満 足 得 点 は220.5点 で あ っ た 、 そ れ に 対 して,期 待 ・切 実 感 が 強 く な い 人(N=228)の 方 が249.0点 で あ り,高 い 満 足 感 を 示 した(P<0.0001)。 な お 期 待 感 と 生 活 満 足 感 の偏 相 関 係 数 は,r=-0.249,P< 0.001で 弱 い 負 の 相 関 を示 した 。 IV.考 察 今 回 の 対 象 は,医 学 的 に 正 常 で 定 期 健 診 時 に 「順 調 で す 」 と 称 され て い る 女 性 で あ る。 した が っ て従 来 の報 告 にみ る よ う に,医 学 的 リ ス ク を も っ た 入 院 と い う環 境 の 下 で 調 査 した 妊 婦 の 不 安 や ニ ー ズ と は 生 活 基 盤 を 異 に して い る。 ま た 特 殊 な 疾 患 ・背 景 に伴 う母 児 の 生 活 へ の 影 響 を み た もの と も 異 な り,現 在 は 健 康 に 普 通 の 妊 娠 生 活 を過 ご して い る 対 象 と い う特 徴 が あ る 。 1.属 性 と生 活 満 足 感 対 象 の10代 妊 婦 に 満 足 度 が 低 か っ た こ とや 高 等 教 育 終 了 者 ほ ど満 足 感 が 高 か っ た と い う 結 果 に つ い て は,サ ン プ ル 数 の偏 り を考 え る必 要 が あ る。 ま た就 労 に関 して,妊 娠 生 活 に 順 応 で き た り,出 産 ・育 児 準 備 の た め の 時 間 的 ゆ と りな ど か ら,専 業 主 婦 の方 が 安 定 した 生 活 感 情 を も ち や す い と 考 え て い た が,予 想 に 反 して 就 労 妊 婦 の 方 が 今 の 妊 娠 生 活 に満 足 して い た 。 青 木5) に よれ ば,女 性 自 身 の 就 労 希 望 が 強 い と き,専 業 主 婦 で あ る 人 々 は 生 活 に 不 満 を 抱 きや す い と 報 告 して い る。 今 回 の 調 査 で は妊 娠 を機 に 職 場 を 離 れ,生 活 に 充 足 感 が もち に くい と い う 自 由 記 述 も み られ た 。個 々 の就 労 目 的 や 仕 事 を も つ こ と の 意 味 に よ っ て も違 うが,就 業 意 欲 に反 し た 妊 娠 生 活 へ の 転 換 は,健 診 で 順 調 と され て い る妊 婦 で あ っ て も,豊 か で 充 足 し た 生 活 に は な りに く い こ と が 推 察 さ れ る。 2.先 行 経 験 ・期 待 感 と 生 活 満 足 感 先 行 経 験 の 重 要 性 は,そ の 経 験 を 個 人が ど の よ うに 意 味 づ け す る か で 異 な りの,ま たそ の 意 味 づ け に よ っ て は,次 の 妊 娠 に影 響 しや す い7) か らで あ る 。 妊 娠 して い る女 性 のQOLを 考 え る と き,児 の 異 常 を経 験 した り,自 然 な 妊 娠 の 成 立 に 困 難 を 感 じて き た 人 ほ ど,今 の 妊 娠 生 活 に お け る満 足 感 が 低 い こ と を 認 め た 。 先 行 経 験 の 中 で も,母 体 異 常 の よ う に 妊 婦 が 自覚 で き る も の に比 べ て 予 測 で き な か った り,妊 婦 の 生 活 コ ン トロ ー ル に関 係 な く生 じ る 児 の 異 常,更 に 自 然 に受 胎 で きな か っ た と い う 経 験 は,「 今 の 妊 娠 生 活 」 に 特 別 の 意 味 を もた せ や す い と考 え る 。 同 時 に そ の こ と は 今 の 妊 娠 に 対 す る 強 い 期 待 感 に つ な が り や す い だ ろ う 。 そ の 結 果,今 の 妊 娠 を 失 敗 す る こ と は 許 さ れ な い と い う 切 迫 感 情 が 強 く あ ら わ れ や す く8),そ う し た 人 ほ ど,今 の 妊 娠 生 活 に 満 足 し に く い こ と も 考 え ら れ る 。 期 待 感 の 強 さ は,こ う し た 過 去 の 経 験 を 反 復 す る か も し れ な い と い う ス ト レ ス,さ ら に 再 現 し た 場 合 の 脅 威 が 潜 在 し て,逆 に 妊 娠 生 活 の 安 寧 さ を 妨 げ て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ る 。 よ っ て 現 在, 健 診 が 順 調 な 妊 婦 に 対 し て,先 行 経 験 の 受 け 止 め や 今 の 妊 娠 に 期 待 す る 思 い の 深 さ を 傾 聴 ・観 察 す る こ と,ま た 就 業 の 中 断 が 有 っ た と し て も 妊 娠 生 活 を 豊 か に,発 達 的 に と ら え ら れ る よ う な 助 産 ケ ア ー が 求 め ら れ る 。 V.結 論 1.医 学 的 に 正 常 な 経 過 を し て い る 妊 婦 の 中 で,先 行 経 験 に 児 の 異 常 ・不 妊 治 療 ・母 体 異 常 が あ る 人 は, そ う し た 経 験 を も た な い 人 に 比 べ て,今 の 妊 娠 生 活 へ の 満 足 感 が 低 か っ た 。 2.現 在 の 妊 娠 に 対 して 切 迫 した 期 待 感 が 強 い 人(次 回妊娠に期待できないという恩い)は,そ うで な い 人 に 比 べ て 妊 娠 生 活 へ の 満 足 感 が 低 か っ た 。 3.20代 後 半 か ら30代 前 半 の 初 妊 婦 で,高 等 教 育 を 受 け た 人 ほ ど,更 に 専 業 主 婦 よ り も 有 職 者 の 方 が 生 活 満 足 感 が 高 か っ た 。 引 用 文 献 L内 藤哲雄他:出 産育児に関す る不安や悩みの個人 的構造分析, 母性衛 生,VoL33,No.4,5n,1992. 2.西田裕子他:高年初産婦への援助.満足度の高い体験 への働きかけ, 母性衛生.Vo1.33.No.4,pp565,1992. 3 JacksonLG:Commentary;Prenataldlagnosis,themagn ltude of dysgenic effects is small, the human benefit s great, Birth,Jun, vol. 17. No2, p80, 1990.

4.Lye DN, BiBlarz TJ, The Effects of Attitudes toword Family-Life and Gender-Roles on Marital Satisfaction, Journal Family Iss. , Vol. 14. No. 2. D1)157-188. 1993.

5.青 木 ま り他:母 性 意 識 か ら見 た 母 親 の 特 徴 ー ライ フ ・ス テ ー ジ,自 己 評 価,充 実感 との 関 係 か ら一.心 理 学 研

究.Vd.57,N6.4,pp.207-213,1986.

6.Swanson-Kauffman KM,Caring In Instanse of Unexpected Early Pregnancy Loss, Top- din- Nur, Jul, 8(2), 37-46, 1986.

7.Rubln.R.Attelnment of the Maternal Role Part 1&2,臼 倉 佳 子 (訳):母 親 役割 の 連成 過程 モ デ ル.助 産 婦 雑 誌.Vol.36,no.4.

25-37,医 学 書 院 、1982.

8.島 田 啓 子:切 迫 流 産 妊 婦 の 体 験 に 関 す る 質 的 研 究.金 沢 大 学 医 療 枝 術 短 期 大 学 部 紀 要,Vol.19,101-108,1995.

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第2群:9

産 婦 自身 に よ る 分 娩 時 の 行 動 評 価

― 経 産 婦 の 陣 痛 体 験 に 焦 点 を 当 て て ―

日本 赤 十字看 護 大 学 ○ 滝 沢 美 津 子 1は じ め に 助 産 婦 は 母 子 看 護 学 領 域 に お け る ヘ ル ス ケ ワ の 専 門 家 と して 、特 に 周 産 期 母 子 看 護 の 管 理 や 方 法 に つ い て 多 方 面 か ら ア プ ロ ー チ を 行 っ て い る 。 これ は 母 子 に と って 安 全 な 結 果 を 生 む 仕 事 を す る 、 と い う専 門 職 業 人 の 立 場 に 立 っ た 観 点 か ら で あ る 。 一 方 分 娩 を 体 験 す る産 婦 は 勿 論 、 自分 と 子 ど も に と っ て 安 全 な 結 果 を 望 ん で い る の で あ るが 産 婦 自 身 は 、 い か に う ま く陣 痛 を 管 理 し耐 え 抜 くか 、 あ る い は切 り抜 け る か と い う観 点 か らの ア ブ ロ ー チ で あ る 。 Willmuth,L.(1975)は ラマ ー ズ法 で 出 産す るた め の 出 産 準 備 教 育 を した145人 の 女 性 達 に対 して 、 出産 に 対 す る肯 定 的 で 好 意 的 な 評 価 に っ な が る 主 な 要 因 に つ い て 調 査 を した そ の結 果 、女 性 達 は 分 娩 中 に痛 み の 知 覚 、感 覚 や 行 動 、決 断 、 また 自 分 自 身 が 出 産 に対 し て 積 極 的 な 参 加 者 に な る こ と等 に お い て 、出 産 を 自分 自 身 で コ ン トロ ー ル す る こ とが で き る と い う感 覚 を 持 っ た 。 そ して 出 産 準 備 教 育 の 中 で こ の よ うな 出 産 コ ン トロ ー ル の 維 持 の 仕 方 を 学 ぶ こ と が で き た と 、述 べ て い る 。 そ の 他 い くっ か の 先 行 研 究 が 示 唆 す る分 娩 中 の 産 婦 の 行 為 や 管 理 に 関 す る 要 因 か ら 、我 々 は 助 産 婦 と して 女 性 達 の 出 産 経 験 に つ い て の 理 解 を 深 め る こ とが 出 来 る 。 女 性 に と って 分 娩 体 験 と そ の 管 理 は 、非 常 に 重 要 な 仕 事 で あ る こ と が わ か る 。 そ こ で 、今 回 助 産 婦 の 産 婦 に対 す る ケ ア へ の 具 体 的 な 示 唆 を 得 る 目 的 で 産 婦 の 分 娩 中 の 行 為 、 特 に 陣 痛 に 対 す る 対 処 行 為 を 産 婦 が 産 婦 自身 の 観 点 か ら評 価 し た こ とを 記 述 す る 。 II 方 法 1対 象 者:17名 の 既 婚 者 で 経 産 婦 。 サ ン プ ル の 基 準 と して 、夫 と共 に 出 産 準 備 教 育 で 分 娩 時 の 産 痛 緩 和 方 法 を 受 講 した も の で 少 な く と も1人 以 上 の生 児 を 得 て お り 、 か っ 経 膣 分 娩 の 体 験 を 持 つ 女 性 と した 。 尚 、研 究 参 加 に つ い て は倫 理 的 保 護 手 段 を 確 認 す る同 意 が 得 られ た 対 象 の み と した 。 2出 産 場 所:10名 が 大 学 病 院 を 含 む 総 合 病 院 、7名 が 個 人 病 院 や 産 科 専 門 ク リニ ッ ク で 出 産 した 。 い ず れ の 医 療 機 関 で も妊 娠 、分 娩 、 産 褥 期 を 通 して 一 貫 した 関 わ り を も っ て い た 。 3研 究 方 法:上 記 の 医 療 機 関 で 産 褥 入 院 期 間 を 過 ご して 自 宅 へ 退 院 した 褥 婦 を 、 産 褥6-7日 目 に家 庭 訪 問 し半 構 成 面 接 に よ る イ ン タ ビ ュ ー を 行 っ た 。 面 接 は テ ー プ レ コ ー ダ ー に 録 音 し内 容 は 逐 語 で 書 き 起 こ し質 的 分 析 を 行 っ た 。 面 接 で は 自 由 回 答 で 分 娩 体 験 の 様 々 な 側 面 に つ いて 、 ま た 分 娩 体 験 全 般 に つ い て 評 価 の 記 述 を 依 頼 し た 。 質 問 内 容 は1)分 娩 経 過 全 体 に つ い て ど う感 じた か 、2)分 娩 体 験 中 に 予 期 しな か っ た こ と や 予 想 し な か っ た よ う な こ と が 起 こ っ た か 、等 で あ る 。 ま た 女 性 が 自 分 の 分 娩 体 験 を ど の よ う に 評 価 す る か 、そ の 質 的 な 内 容 を 知 る た め に 以 下 の 二 つ の 質 問 を し た 。3)分 娩 に 自 分 は ど の よ うに 参 加 した と思 い ま す か?4)分 娩 の 、特 に陣 痛 コ ン ト ロ ー ル と い う こ と ば に は 人 に よ っ て 受 け 取 り 方 は 異 な りま す が 、 あ な た に と って こ の こ と ば は ど の よ う な 意 味 を 持 ち ます か? 今 回 の 調 査 研 究 で は 主 に 後 者 の2っ の 質 問 に対 す る 反 応 と 、 分 娩 を 自 分 で ど の 程 度 管 理 で きた か、の 極 め て 個 人 的 な 内 容 に つ い て 自 発 的 な発 言 を 取 り上 げ た 。 ―61―

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III 結 果 1分 娩 体 験 の 全 体 的 評 価 女 性 は 分 娩 時 の 自 分 自 身 の 行 為 を1)う ま く で き た 、2)困 難 を 感 じ た 、3)う ま くで き な か っ た 、 の い ず れ か で 記 述 した,。 こ れ は主 に 出 産 準 備 教 育 の ク ラ ス で 産 痛 緩 和 の 方 法 を 指 導 され た 時 の 基 準 と 自 分 を 比 較 し て の 評 価 で あ っ た 。 1)う ま くで き た 女 性 の 反 応:17名 中 、7 名(約41.2%)が 「う ま くで き た 」 と述 べ 、 そ の 内 容 と して は 分 娩 体 験 全 体 の 評 価 と産 痛 緩 和 方 法 の評 価 に 特 定 した も の た が あ った 。 (表1参 照)評 価 の 妥 当 性 の 証 明 と して は7 名 全 員 が 、 自 分 が う ま く対 応 で き て い る こ と を 分 娩 に 立 ち 会 っ た 他 者 が述 べ て く れ た 言 葉 が 証 明 して い る 、 と述 べ た 。 2)困 難 を 感 じた 女 性 の 反 応:17名 中 、5 名(約29.4%)が 「困 難 を 感 した 」 と述 べ た 。 内 容 と して は 、 分 娩 時 の 自分 自身 の 行 為 に対 す る全 体 的 評 価 と産 痛 緩 和 の テ ク ニ ッ ク に特 定 した もの と が あ った 。(表1参 照)ま た こ の カ テ ゴ リー の 女 性 達 は 理 想 と現 実 の ギ ャ ッ プ を い か に 調 和 さ せ た か 、 に つ い て の 意 見 を 述 べ た 。 3)う ま くで き な か った 女 性 の 反 応:17名 中 、5名 が 「う ま くで き な か った 」 と述 べ た 。 そ の 内 容 は2)の カ テ ゴ リー の 女 性 と 同 様 で あ っ た 。(表1参 照)彼 女 達 は 理 想 通 りに は で き な か っ た と い う事 実 を 、 い か に 受 容 した か に つ い て 語 った 。 しか し 「う ま く で き な か っ た 」 こ と に 苛 立 ち を 感 じた り落 胆 した り で そ れ を 受 け 入 れ る こ と は 非 常 に 困 難 で あ る 、 と の 意 見 も あ っ た 。 2分 娩 体 験 の 評 価 に 寄 与 した 関 連 因 子 1)う ま くで きた こ と に 寄 与 し た 因 子: ① 分 娩 の 性 質 ② 呼 吸 方 法 の評 価 ③ 夫 の 参 加 ④ 情 報 が 与 え ら れ た 、恐 怖 感 が 無 か っ た ⑤ 自 己 能 力 、気 丈 さ⑥ 薬 物 の 使 用 ⑦ 助 産 婦 の 参 加 ⑧ 医 師(女 医)の 参 加 2)困 難 で あ っ た こ と に 寄 与 した 因 子: ① 分 娩 の 性 質 ② 情 報 が 無 か っ た 、 恐 怖 感 が あ っ た ③ 疲 労 感 ④ 薬 物 の 使 用 3)う ま くで き な か っ た こ と に 寄 与 し た 因 子 :① 分 娩 の性 質 ② 呼 吸 法 の 準 備 不 足 ③ 夫 の 参 加 不 足④ 情 報 が 無 か っ た 、恐 怖 感 が あ った ⑤ 疲 労 感(表1参 照) IV 考 察 本 研 究 で は 、 分 娩 体 験 を した 女 性 が 分 娩 時 の 行 為 を 自分 自 身 で 評 価 し と も の で 、1)う ま くで き た 、2)困 難 を 感 じた 、3)う ま く で き な か っ た 、 の3群 に 分 け られ た 。 う ま くで き た 、 と し た 女 性 は 分 娩 中 ず っ と 陣 痛 に 対 す る コ ン トロ ー ル が で き た と 述 べ た 。 分 娩 進 行 中 の 事 柄 が 理 解 で き 、 産 痛 緩 和 方 法 も適 材 適 所 で 対 応 さ せ る こ と が で き た 。 さ ら に 望 ま し くな い 行 動 も避 け ら れ た 、 と い う こ と で あ っ た 。 困 難 を 感 じ た 、 と述 べ た 女 性 は分 娩 体 験 全 般 と して は 概 ね う ま くで き た が 、分 娩 進 行 中 の あ る 時 期 に 限 っ て う ま く で き な か っ た 、 (例 え ば 分 娩 第2期 で 胎 児 娩 出 時)と 評 価 し た 。 呼 吸 法 、 リ ラ ク セ ー シ ョ ン 、怒 責(い き み)、 と い っ た 特 定 の テ ク ニ ッ ク が う ま く で き ず 、 コ ン ト ロ ー ル を 失 い か け た の で あ っ た 。 rう ま くで き な い ・ ・」 と思 え ば 思 う程 コ ン トロ ー ル を 失 い そ う に な り 、 う め き 声 や 叫 び 声 を あ げ て し ま っ た 。 ま た 不 平 、 不 満 を 眩 く と い っ た 望 ま し く な い 行 動 を と って し ま っ た と 言 っ た 。 う ま く で き な か っ た 女 性 は分 娩 時 の 陣 痛 に 対 して 終 始 コ ン トロ ー ル を 維 持 で きず に 望 ま し く な い 行 動 を と っ て し ま った と 評 価 し た 。 特 に 呼 吸 法 を 適 切 か つ 上 手 に 使 い 分 け る こ と が で きず 、 叫 び 声 を あ げ て し ま った と 言 っ た 。 こ れ らの 結 果 は 、Humenick,S.(1981)や Butani,P.(1980)ら の 先 行 研 究 で 示 唆 さ れ て い る 「女 性 は 自 分 の 分 娩 や 陣 痛 を コ ン ト ロ ー ル し う ま く対 応 した い と 望 ん で い る」 と の 内 容 を 支 持 す る も の で あ る 。 今 回 の 調 査 で 女 性 達 は 自 分 の 行 為 に か な り焦 点 を 当 て 、 う ま く で

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き た 時 に は 大 変 喜 び 、 う ま くで き な か った と 思 う時 に は 苛 立 った り 落 胆 した 。 こ の こ と が 示 して い る よ う に 、 特 に分 娩 中 の産 婦 自 身 の 行 為 に 関 す る 質 の 重 要 性 と意 味 づ け が 今 後 は 論 じ られ る こ と で あ る 。 っ ま り 、 個 々 の 産 婦 が 捉 え る 分 娩 時 の 産 婦 自 身 の行 為 と そ の 評 価 を 助 産 婦 は い か に理 解 と 共 感 を 持 って 受 け と め る か で あ る 。 また 、 い か に う ま く で きた か を 述 べ る 際 い くっ か の 促 進 要 因 、 阻 害 要 因 も明 ら か に され た 。分 娩 所 用 時 間 の 長 短 、陣 痛 の 性 質 、参 加 者 の 介 入 の 仕 方 、 情 報 提 供 の 時 期 と 内 容 、個 々 の 性 格 、有 能 感 、疲 労 、薬 物 使 用 の 有 無 、 前 回 の分 娩 体 験 等 の 関 連 要 因 か ら極 め て 個 人 的 な内 容 に 言 及 して い た 。特 に陣 痛 の コ ン ト ロ ー ル の 仕 方 で 困 難 を 感 じた 場 合 そ の原 因 、 理 由 を 明 確 に させ 次 回 の 分 娩 に生 か した い 。 ま た 自分 が 考 え て い た ほ ど う ま く完 壁 に は で き な か った が 、 自分 の 行 動 の 限 界 を 受 け 入 れ る 努 力 を して い る言 っ て い た 。今 回 、 自 分 の 分 娩 体 験 を 語 って くれ た 女 性 の 多 く は こ の 体 験 に期 待 を 持 っ て 臨 み か っ 積 極 的 な 関 わ り と 評 価 を 行 った の で あ る 。 今 回 の 調 査 は分 娩 体 験 を し た 女 性 が 個 入 的 な 経 験 を 語 り 記 述 した も の で あ る が 、 こ れ ら を デ ― タ と して 取 り扱 う に際 して 些 か の 警 戒 心 を 抱 い て い る 。 周 知 の よ う に体 系 的 な 事 実 の分 析 に 基 づ か な い 個 人 的 な 経 験 に 依 拠 した デ ― タ と い う もの は 、 しば しば 当 事 者 の 先 入 観 や個 人 的 状 況 を 色 濃 く反 映 す る か らで あ る 。 しか し一 方 で 潜 在 的 な 問 題 や 課 題 が 明 確 に さ れ 具 体 化 さ れ る と い う一 面 を 持 つ 。 こ こ に 質 的 研 究 が 含 み 持 っ 問 題 と 限 界 を 示 す もの で あ る 。 V結 論 及 び ケ ア 実 践 へ の 示 唆 今 回 の研 究 か ら分 娩 期 に あ る女 性 は 重 要 な 仕 事(所 行)に 携 わ っ て い る と考 え て い る こ と が 確 認 さ れ た 。事 実 、女 性 達 は 分 娩 時 の 自 分 自身 の 行 動 は 分 娩 経 験 の 中 で 最 も重 要 な も の の 一 っ 、 あ る い は 最 も重 要 だ 、 と述 べ て い た 。 分 娩 準 備 ク ラ ス で は 産 痛 緩 和 の テ ク ニ ッ ク を 指 導 し 、 そ れ が 本 番 の 分 娩 で 実 践 で き る と 望 み を 抱 か せ る も の で あ っ た 。産 痛 緩 和 方 法 の 中 で 特 に 呼 吸 法 は 陣 痛 へ の 対 処 の 仕 方 を 学 ぶ う え で 役 立 っ た 一 方 で 、 自分 の 分 娩 が あ た か も呼 吸 法 の テ ス トで あ る か の よ う に感 じ て い た 。試 験 に及 第 す る か 、 落 第 す る か と い っ た 捉 え 方 の 側 面 も あ っ た 。多 くの 女 性 は こ の 試 験 に 真 剣 に 臨 み 呼 吸 法 が 分 娩 を 評 価 す る 唯 一 の 基 準 で あ る か の よ う な 思 い こ み もあ っ た 。 ま た 陣 痛 初 来 の 分 娩 第1期 か ら胎 児 ・胎 盤 娩 出 終 了 の 分 娩 第3期 ま で の 期 間 を 障 害 物 競 争 や 競 泳 の レ ー ス に例 え て 、 と に か く自 分 自 身 との 闘 い で あ った と言 った 。 こ の 調 査 に あ た り 、助 産 婦 の 立 場 と して 分 娩 時 の 他 の 参 加 者 の 言 動 に ど の よ うな 期 待 を 抱 い て い た の か 、 そ の 内 容 を 知 りた い と思 っ た が 結 果 は 自 己 を 評 価 の 中 心 に 据 え た 極 め て 個 人 的 な 、 し か し 自発 的 な 発 言 が 多 か った 。 最 後 に 分 娩 を 援 助 す る 助 産 婦 の介 入 の あ り 方 が 示 唆 さ れ た の で 以 下 に 示 す 。 1.助 産 婦 は 個 々 の 女 性 が 望 む 分 娩 の 仕 方 を 尊 重 し、 一 方 で は非 現 実 的 な 基 準 に 基 づ く励 ま しは しな い よ う に 注 意 す る 。 2.夫 や 家 族 が 分 娩 に立 ち 会 う場 合 は 、分 娩 時 産 婦 を 支 え ら れ る よ う に 出 産 準 備 ク ラ ス (ペ ア ク ラ ス 等)を 充 実 さ る 。 3.助 産 婦 自 身 も産 婦 や 夫 を 励 ま し産 痛 緩 和 の 実 践 を 助 け な が ら適 宜 、 分 娩 進 行 状 況 の 情 報 を 提 供 す る 。 4。 助 産 婦 を 含 む 医 療 従 事 者 は 、 ど の よ うな 医 療 介 入 や ケ ア が 産 婦 の 分 娩 へ の 取 り組 み に 役 立 っ か、阻 害 す る の か を よ く考 え る必 要 が あ る 。 以 上 の よ う に 女 性 は 分 娩 が う ま くで き る か 否 か を 重 要 視 して い る こ と を 考 慮 す る と 、今 後 の 研 究 や ケ ア 実 践 で は女 性 が 自分 自 身 の 行 動 に 対 して 抱 く期 待 を 明 か に す る こ と と 、 そ の 目 標 を 達 成 す る た め に助 産 婦 は ど の よ うな サ ボ ー トが で き る か に 焦 点 を 当 て る こ と で あ る 。 ―63―

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表1.産 婦 に よ る分 娩 体 験 評 価 と 産 婦 の 行 動 に 寄 与 し た 関 連 要 因

参 考文 献

1 ) Butani,P.,& Hodnett,E:Mothers'Perce-ptions of their labor experiences. Maternasl-Child Nursing Journa1,1980 9.

2) Humenic,S. :The key to childbirth satisfaction ?

Birth and the Family Journa1,1981 8-2

3) Willmuth,L.:Prepared and the concept of control.

Jounal of Obsteric,Gynecologic and Neonatal Nursing,1975 4-5

参照

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