• 検索結果がありません。

少子高齢社会の社会保障に関する中学校社会科授業開発 : 介護制度を事例として

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "少子高齢社会の社会保障に関する中学校社会科授業開発 : 介護制度を事例として"

Copied!
132
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

学位 論 文 『少子高齢社会の社会保障に関する中学校社会科授業開発 一介護制度 を事例 として一」

H28年

度修 了 兵 庫 教 育 大 学 大 学 院 教育 内容・方法開発専攻

M15137K

学 校 教 育 研 究 科 認識形成系教育コース 船

(2)

【目

次 】

序章 研究 目的 と手順.…… … … …1

1章

少子高齢化の現状 と課題.…… … … …… … … …… … … …3

1節

少子高齢化の現状.…… … … …… … …… … … …… … …… … … …… … … …… … … …・3

2節

少子高齢社会の課題.…… … … …… … … ……8

2章

介護制度の現状.…… … … …16

1節

日本における介護の現状 と保険制度.…… … … ¨… … … … …・16

2節

諸外国における介護の現状 と保障制度.…… … … …26 1.スウェーデ ンの介護保障.…… … … …26 2.アメ リカの介護保障.…… … … …… … … …… …… … ……… … … ……31 3.ドイツの介護保障.…… … … …36

3節

日本の介護制度の課題.…… … … …… … … …45

3章

中学校社会科における社会保障に関す る教育.…… … … …55

1節

公民的分野の教科書における社会保障の記述.…… … …… … … …55

2節

社会保障に関す る先行授業の分析.…… … … …… … … …62 1.先行授業1.…… …… …… …… …… … … ……… … … …… …… ¨… … … …… …・62 2.先イ報 業ヨ2.…..………¨¨・・………¨¨・・¨・・¨¨・・¨¨・・・・……¨………¨¨¨………70 3.先行授業3.…… … …… …… … … …… … … …74 4.先行授業分析のまとめ.…… … … …79

4章

介護制度を事例 とした授業開発.…… … … …・80

1節

授業開発の視点 と単元構成の方法.…… … … …… … … …

80

2節

授業モデル.…… … ………… …… … … …… … … …… …… ……… … … …… … ……83 終章 研究成果 と課題.…… … …… … … …。98 教授用資料。… … … …・100 参考文献.…… … … …… 128

(3)

序 章 研 究 目的 と手 順 日本国憲法では第

25条

1項

において、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利 を有す る。」と生存権 を規定 している。また、第

2項

では「国は、すべての生活部面について、社会福祉、 社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければな らない。」と定め、 日本の社会保障制度は憲法の 規定にもとづ き整備 されてきた。 その中で現在、日本は世界で最 も速い速度で高齢化が進み、それに伴い医療費が膨張 し、要介護の高齢 者が増 えることが経済的、社会的に大きな政策課題 となつている。同時に少子化 も起 こる中で生産年齢 人 口が減少 し、経済力や技術力 といつた国力の低下が起 こり、国民の労働や消費に伴 う税収 も減少す る 事が考 え られ る。 日本の社会保障制度は、高齢者が使 う費用をその時の若 い現役層が保険料や税で負担 す る賦課方式 とい う財政方式を とつてお り、今後、少子高齢化が進む中で高齢者一人を支 える現役層の 負担は増カロしていく事も問題 となる。 西村 は『 希望の社会保障改革』1で、少子高齢化の問題 を抱える中で社会福祉は大きな転換 を迫 られて お り、特に増大す る社会保障費のための資金 を誰が どのよ うな形で負担す るか といつた財政面の課題が 問題であると主張 している。一方で負担は、医療や年金や福祉サー ビスといった「給付」を賄 うための手 段の問題 にす ぎず、社会保障は病気や障害や貧困な ど、人び との直面 しているニーズに応 じて給付を行 うために、まず 「あるべき給付 とは何か」 とい う視点に立って考えていくことも必要だ と述べている。 日本では、2000年に約200万人であつた要介護高齢者が、2025年には520万人に増大す ると推計 され ている。また、認知症高齢者 も増加 していることに加 えて、介護期間 も長期化 してお り、現在 の介護問題 は、かつて 自宅で家族が担つてきた介護 とは質的にも量的にも大きく異なる様相 を呈 している。いまや 高齢者の介護は家族にとつて肉体的・精神的な重圧 とな り、その結果、家族関係の崩壊や介護者の離職 な どさまざまな問題の原因 となつている2。 高齢者介護が普遍的な社会的問題であると認識 され、これを社 会的ケアで支 えなくてはな らない とい う主張が起 こる中で、2000年4月 に介護保険制度が施行 された。 本研究では、中学校

3年

生を対象に単元名を 「少子高齢社会の介護制度のあ り方」 として、介護制度 を手がか りに少子高齢社会の課題に向き合 う授業開発を行いたい。社会保障制度は、市民相互の協同と 連帯によつて支えられるものであ り、市民は、この制度 を将来世代にわたって持続可能なもの としてい く責務を負つている。 これか ら社会保障制度を支えていく生徒に、 日本の少子高齢化の現状やそれに伴 う問題 を把握 させ、 日本の介護制度の成立の経緯を探求 し、 日本 と海外の介護制度の事例の比較を行わ せた うえで、討論 を通 して今後の 日本の介護制度のあ り方を提案 させたい。単に介護制度の理解を深め るだけでなく、国、要介護者、介護者 とい う

3つ

の立場か ら考えさせ、ビジネスとして高齢者介護に関 わる企業の存在や 自治体による要介護者への支援等、介護問題 を個人か ら社会全体の視点 として捉 える 事で多面的・多角的に考察 させたい。 本研究では上記の 目的を達成す るため、次のよ うな手順で進めてい く。 (1)少子高齢化の現状 と少子高齢社会がもた らす問題 を明確にし、介護制度の現状 と課題 を考察す る。(2) 中学校社会科公民的分野における社会保障に関す る先行授業を分析 し、その現状 と課題 を考察する。 (3)日本での介護制度の現状 と課題 を事例に取 り上げ、主に介護者、要介護者、国 とい う

3つ

の立場か ら

1西

村淳 「社会的排除の克服に向けて」駒村康平 菊池 馨実 (編)『希望の社会保障改革―お年寄 りに 安心を・若者に仕事を 。子どもに未来を』旬報社

2009 p.52

2石

橋敏郎 (編)『わか りやすい社会保障論』法律文化社 2010 pp.95‐ 96 1

(4)

考 えさせ ることで、問題の対立構造 を明確にす る授業モデル を開発す る。 本研究では介護制度を通 して少子高齢化について考えを深める授業 を開発す る。そこで本研究で扱 う 単元では、第二次の「問題の探求」の段階で 日本の介護制度の問題はなぜ起きているのか探求 し、日本の 社会保障の特色を考察 させ る。柴 田は、討論を核 とした授業の留意点 として、知識 0理解に関わる目標や 内容を軽視 しないことだ と述べている。単なる印象や思いつきによる討論 (議論

)で

は、社会科授業 とし て要件 を満た さず、社会的事象に関する知識 (社会認識

)の

確かな習得が前提 となる。学習テーマ となつ ている問題 に関 して、過去か ら現在まで、かつ身近な地域か ら他地域 (国

)に

わたるまで といった、丹念 な研究があつてこそ、将来 どうすべきか(ど うす るか)と いつた考察や討論が成立す ると主張 している3. 日本の介護制度が抱 える問題の背景には少子高齢化が関係 している事に気付かせ るため、まずは授業者 自身が少子高齢化 と介護制度の現状や課題についての教材研究を行い、考察を深めることが必要である。 また、第二次の「意見の表明」の段階では、識者や専門家の主張を踏まえ、論題 に対す る自分の考えをま とめる活動 を行 う。授業者が少子高齢化 と介護制度に関す る資料を豊富に準備す ることで、生徒が将来 の介護制度のあるべき姿を考える際の選択肢 を増や し、根拠に基づいた判断を行 うことに繋がると考え るからである。 現代社会はますます価値多元社会の様相 を呈 している。地球環境 問題、資源・エネルギー問題、人種・ 民族問題 、地域紛争に格差経済の問題な ど、二者択一の解決策を提示す る事 さえ困難な課題が山積す る 時代 となつた。本授業では、今後、少子高齢化の進行が避 けられない中で、それに伴 う課題を生徒達によ り切実に考えさせ るため、日本の介護制度の現状 と課題 をい くつかの事例を基に分析・整理 させ る。そ こ では介護者 、要介護者、国の

3つ

の立場で 「誰が」「どうやつて (どこで)」 「負担」するのかをまとめさ せ る。 中学校

3年

生の段階では、「国は財源が無限にある」「介護者や要介護者がかわいそ うだか らもつ と国が負担す るべきだ」といつた一方的な認識や意見により、討論が成立 しない事 も考えられる。言いた い放題 のかみ合わない討論に しないため、それぞれの立場の見解が どのよ うな理 由か ら、 どのような主 張 として展開 されているのかを分析的に把握 し、議論の構図をつかませ る必要がある。

3柴

田康弘 「現実社会との関わりを意識 した討論活動を一政府の大きさを考える一」ガヽ原友行 (編)『「思考力・判断力・表現力」をつける中学公民授業モデル』明治図書 201l p。120 峯明秀

(5)

1章

少 子 高 齢 化 の 現 状 と課 題 第

1節

少子高齢化の現状 人 口の年齢構成 を知 る一つの指標 に、年齢

3区

分別人 口が ある。 この指標 では、0∼

14歳

を 「年少人 口」、15∼

64歳

を 「生産年齢 人 口」、

65歳

以 上 を 「老年人 口」の

3つ

に区分 している。我 が国では、老年 人 口が年 々増加す るのに比べて、年少人 口は減少 の一途 をた ど り、

1997年

には初めて老年人 口が年少人 口を上回 つた。す なわち「少子高齢社会」の到来であ り、その後 、老年人 口と年少人 口の差 は一層大 きく な る傾 向 にあ る (図 1)。 「少子高齢社会」に至った基本的な要因 として、晩婚化や出産の選択 な どによつて出生率の低 下が進ん だ こと、一方では、社会経済や 医学、公衆衛生の発達 によ り生活環境や 生活 の質が向上 し死 亡率の低 下や 寿命の伸 長 に よる長寿化が進んだ こ とな どが あげ られ る。 人 口全体 の中で

65歳

以 上の高齢者 の比率が高 まつてい くこ とを 「高齢化 」 とい う。 また、

1956年

の国 連 報告 書 では、総 人 口に 占め る老年人 口 (65歳 以 上

)の

比率が、

7%を

超 える と高齢化社会 (日本は1970 年 に突入)、

14%を

超 え ると高齢社会(1994年に突入)、

21%を

超 え る と超 高齢社会 (2∞

7年

に突入

)と

してお り、現在 も高齢化 を示す指標 となつている4。 我 が国の人 口の年齢構成 は しだいに高齢化 し、2013 年 の高齢 化率 は25.1%であつたが、

2035年

の33.4%を経て、

2060年

には39。

9%に

達す る と推計 され て い る (図 2)。 都 道府 県別 に高齢化率 をみ る と、

2013年

では最 も高い秋 田県で31.6%、 最 も低 い沖縄 県で 18,4%と なっ て いる (表 1)。 国立社会保障 。人 口問題研 究所 で 「日本 の将来推 計人 口 (平

25年

3月 推計)」 によれ ば 、今後 、わが国にお ける高齢化率の上昇はすべての都道府 県でみ られ る と考 え られ る。

2040年

には、 最 も高 い秋 田県で43.8%、 最 も低 い沖縄 県で30.3%に達す る と見込 まれ てい る。 また首都 圏な どでは、 今 後の高齢化 が よ り顕著で あ り、た とえば千葉 県の高齢化率は

2013年

の24。

3%か

2040年

には

36.5%

に、神奈川県では

22.4%か

ら35,0%に上昇す る と見込まれている (表 1)。 国際的 に高齢化 をみ る と、

1950年

、お よそ

25億

人 だつた世界の総人 口は、

2010年

には

68億

1618万人 に増大 し、

2060年

には

95億

5740万

人 にな る と見込 まれてい る。そ して高齢化率は、

1950年

5.2%

か ら

2010年

には7.6%に上昇 し、さらに

2060年

には17.6%まで上昇す る と見込まれてい る (表 2)。 日 本 の高齢 化率 を世界各国 と比較 してみ る と、

2005年

には、高齢化が進行 しやすい先進諸国のなかで も最 も高い水 準 とな り、現在 、世界 に例 をみ ない超 高齢社会 を迎 えて いる (図 3)。 また高齢化率が

7%を

超 えてか ら (高齢化社会)、

14%に

達す るまで (高齢社会

)の

所要年数 を比較す ると、フランスが

115年

、 ス ウェーデ ン

85年

、 ドイ ツが

40年

、イ ギ リスが

46年

であるなか、 日本 は

24年

と大変速 い速度で高齢 化 が進行 して いる (図 3)。 高齢化 とともに少 子化 も進行 し、合計特殊 出生率は

2005年

で 1.26と 最低 を更新 した(図 0。 合計特殊 出 生 率 とは、女性 一人あた りが一生涯 に産む平均子 ども数 、つ ま りは一人の女性 が平均何人子 どもをもつ か とい う数字である。一人の女性が約 2.07人 子 どもを産 めば、計算上は 日本の人 口は長期的に増減な し とい うことになる。合計特殊出生率が

2を

下回 る状態が長 く続 けば、長期的に人 口は減少局面 とい うこ ととな り、実際に

2005年

か ら減少が始 まつた とい うことである5。

4大

和田猛 (編)『高齢者への支援 と介護保険制度』みらい

2014

5山

田昌弘『 少子社会日本一 もうひとつの格差のゆくえ』岩波新書 3 pp.14‐15 2007 pp.17‐ 18

(6)

▲ 15∼ “ 歳 ヽ .

ヽ…

……。

.∵

し´

=1-´

……二

f=・

75日:1■ く,t) 80 70 60 " 10 30 " 10 0 昭 籠 " “ 00 43 " 861ト 図

1

年齢

3区

分別人 口割合の推移 :0.372品 1

(昭

25年

∼ 平 成

26年

) 61_3Ъ′ お 0%, 13.8・・ 12.5% 26 17 55 " 平 曖2年 7 18 出 典

:統

計 局 ホ ー ム ペ ー ジ 「人 口推 計 (平 成 ht●ψW甲中 鴨tatigojノぬ 協linSun/2014npr 2016年 12月 (万人) 14.000 "lo」

: 12.000 10.000 8.000 6.000 4.ooo 2.000 0 11,194慶11 9.342 &928 a320 77 π ︲ ︲ ︲ ふ ︼

26年

10月

1日

現 在

)結

果 の 要 約 」 4日 アクセス 4329 (%) 45 40 35 30 25 20 15 10 5 a674

匡コ65歳以上人□ E]15∼64歳人□ 囲困14歳以下人□ ‐V‐自齢化宰 図

2

我が国の高齢化の推移 と将来推計 出典 :内閣府 「平成

26年

版 高齢社会自書 (全体版

)1高

齢化の現状と将来像」

httpttwww8.¨

.gojp畦oⅧ “ 」whibpaperノw‐2014/zenbunFel_l_1.htm1 2016年 12月 4日 ‘ “ 7 8 ■ 7 1 11 ︲ = 4︲ 8   ,       1

(7)

1

都道府 県別高齢化 率の推移 平 成25年 平月たr,nan、524「 高 齢 化 率 の伸 び (ポイント) 総 人 口 (千 人) 65歳以 上 人 口 `■ 人 ヽ 高 齢 化 率 `%ヽ 高 齢 化 率 `%ヽ JヒX轟コ自 5.431 1^469 27_0 40.7 13.7 青 森 県 1_335 373 27.9 41.5 13_6 岩 手 県 1.295 372 28.7 39.7 11.0 宮 城 県 2.328 553 23.8 36.2 12_4 FA・田 県 1_050 331 31_6 43_8 12.2 山 形 県 1.141 332 29.1 39.3 10.2 福 島 県 1_946 524 26_9 39_3 12.4 茨 城 県 2.931 728 24.8 36.4 11.6 栃 末 県 1.986 480 24.2 36.3 12_1 群 馬 県 1.984 512 25_8 36.6 10.8 埼 玉 県 7.222 1.661 23.0 34.9 19 千 葉 県 6_192 1_505 24_3 36.5 12.2 東 京 都 13.300 2.914 21.9 33.5 11_6 申箸吾]‖県 9_079 2_033 22_4 35_0 12.6 新 潟 県 2.330 655 28.1 38.7 10_6 富 山 県 1_076 309 28_7 38_4 9.7 石J‖県 1.159 302 26.1 36.0 9.9 冨」ロト1晨 795 214 27_0 37_5 10.5 山 製 県 847 225 26_5 38.8 12_3 長 野 県 2.122 600 28.3 38.4 10_1 皓 豊 瞑 2_051 539 26_3 36.2 9.9 静 岡 県 3.723 966 26.0 37.0 11_0 曇 知 県 7_443 1.662 22_3 32_4 10.1 二 重 県 1.833

480

26.2 36.0 9_8 滋 智 県 1_416 319 22_5 32_8 10.3 京 都 府 2.617 676 25.8 36.4 10_6 大 阪 府 8_849 2.184 24.7 36_0 11.3 兵 庫 県 5.558 1.408 25.3 36.4 秦 良 県 1_383 369 26_7 38_1 11.4 和 歌 山 県 979 288 29.4 39.9 10_5 鳥 取 県 578 163 28_2 38_2 10.0 島 根 県 702 217 30.9 39.1 8_2 岡 山 県 1_980 524 27.1 34_8 7.7 広 島 県 2.840 743 26.2 36.1 9.9 山 口 県 1_420 429 30.2 38_3 8.1 棟 島 県 771 224 29.1 40.2 11.1 層ロトJl:!偏l 985 277 28.1 37.9 9_8 菫 爆 県 1_405 404 28_8 38_7 9.9 高 知 県 745 232 31.1 40.9 9_8 冨岡 県 5.000 1.230 24.2 35_3 11.1 佐 賀 県 840 219 26.1 35.5 9.4 侵│●県 1_397 390 27.9 39_3 11.4 熊 本 県 1.801 491 27.2 36.4 9.2 大 分 県 1.178 337 28_6 36_7 8.1 宮 崎 県 _120 310 27.6 37.0 9.4 鹿 児 島 県 1.680 467 27.8 37.5 9_7 沖 縄 県 1_415 260 18_4 30_3 11.9 出典 :内閣府 「平成

26年

版 高齢社会白書 (全体版

)2地

域別にみた高齢化」 httpソWttW8。 cao.go.jp/koureirwhitepaper′ w‐2014/zenbun/81_1_2.html

(8)

2

世界 の人 日の動 向 出典 :内閣府 「平成

26年

版 高齢社会白書 (全体版

)5高

齢化の国際的動向」 httpイムⅣ¬日F8。cao.go.jp/kourei/whitepaper/n7‐ 201″zenbun/sl 1 5。

html

1.欧米 (,も, 2. ア ジア ■ 綸 ' 一 ― 籠 ='値 (%) 45 45 (`010■) │● ='0 ― 日 本 (23.0) ・ イ タ リ ア (203) ‐ ス ウ ェ ー デ ン (182) ● ス ベ イ ン (17_,) ● ド イ ツ (208) フ ラ ン ス (163) ‐‐ ‐イ ギ リ ス (166) ◆ ア メリカ 合 彙 口 (13_1) 一 完 二 施tt (16.1) 一 日 鶴 腱 崚 :53) 40 ¨ (23.0, (3_4〕 (51) (5.0〕 (3_7) (11_1) (9.0) (89) (:6.1) (5_3) ― 日 本 。 中 国 → ― イ ン ド ● イ ン ドネ シ ア ● フ ィリ ピ ン ● □ ‐‐ ― シ ン ガ ポ ー ル ◆ タ イ ¨ ― 先 菫 地 壌 ― 鵬 鉦 地 域 ● ‐ ◆ 15 10

資 會l tヽ ヽり,lr●11ヽ=:"th:│,:::'ぃ 、 ス・ヾ:ヽT:it凛),2 it・、i、

“ ,:1 ・ ・ た:_‖ネ:= ,':(,ti=゛こ は 鮨 密 ‖ '■ ″ .コ:3年以 ":=:`:● │「魚 報 降 ヘ ロ 同 出 鶴 発 晰 ‖ 本 み11章轟 計 へ:: ・rt3ol・ 口,■ .ヽい わ::‖ 中 ' t亡 =:'1'04ttiよ ι"“ :鶴桑 `=よる ・:● 九二 ■ ■=:3_t認 ′`:'● ::本.11-1,′′・.■― ■ トラ:ル・ た ず 二l」― プー・'シ :=か ら ■ らuを ‐ ■ 日 発 途L地餞=こ ,・ フ ", rル ‐´.Hネt rF( =:"鮨 木. ′ ラ ●,T_ 1'='オ・ シ ∵ 及 ず=':''t・シ・r,r.なら な 崚 ■ヽ・‐I 図

3

世界の高齢化率の推移 出典 :内 閣府 「平成

26年

版 高齢社会 白書 (全体版

)5高

齢化の国際的動 向」 httpソ′■翻w8.cao.go.jp/kouren/whitepaper′w‐2014/zenbun/sl_1_5.html 19504(昭和る 年) 20n∝

K平

成22つ 20604(平成

720

総人 口 2′5場779千人 6ρlQ183千人 9,95■騨 千人 ∞歳以上人口 1劉427千人

"Q507千

人 1,74印71千人 鋤 ∝窟

9千

人 19り37千人 斜印28千人 開発途上地減 鳴768千人 ∞

lcD千

人 1.4∝∝3千人 ∞歳以上人口比率

51%

77%

176%

先進地 域

77%

161%

265%

開発途上地域

38%

53%

162%

平均寿命(男性) 459年 665」弔 751年 同(女性) 479年 710年 刀5」軍 合計特殊出生率 50 25 22

澪 斗

いわru nD口虫誠bn ProspDds T降 2012 Reuabn (注1)平均瞬命及び合計特殊出生率は、1950-1955年、20M―

"10年、知邸

-20∝年

(注2)先進地減とは、ヨーロッパ、Jヒ部アメリカ、日本、オーストラリア及びニュージーランドカらなる地域をい悦

(9)

(万人)

300「

一百

―一―一― ――

-5

肛イ

“ "7∼

lelo2∼

劉鋤

0.

鍵野

29年

緊設闘

:1

411年 :漢Pま

1 1.57油

"

8

1.m・9■

/

11.57

靴 生

11"│■

LJI I

°

響鷲畦

8、

1

兵早

=元 )年

1・

43 、

44

合ll特殊出生串

1.57

ヽ ヽ 資料:厚生労働省「人口働麟繊計J

4

出生数及び合計特殊出生率の年次推移 出典:内閣府 「平成

27年

版少子社会対策自書

1出

生数、出生率の推移」

ht●イ′WttF8.cao,pjp/8hOuShirshoushika肝 hね paper/measuresrw‐ 201572737ebttWht甜 l_Sl‐

1.html

││││││││││││‖││││││││││││lhLn」

L‐

___

12:

(10)

2節

少子高齢社会の課題 人 口構成 が変 わ らず に、総 人 口が減 るのな らば大 きな問題 はない。 しか し、現在進行 中の少子化は、子 ど もの数 が少 な くな り、高齢者 の割 合 が増 えてい く少 子高齢化 で あ る。 子 どもの数 が減 り続 ければそれ に 引 き続 いて働 く人、つ ま り生産年齢人 口の減少 とい つた人 口構成 の変化が起 こる。生産年齢 人 口とは、15 歳 か ら

64歳

の現役層の ことであ り、労働力 と して 日本 の経済成長に貢献 し、保険料 を支払 つて高齢者 の 年金や 医療 、介護 を支 える年齢層 の ことであ る。

1995年

の約

8700万

人 を ピー クに生産年齢人 口は減少 してお り、以降は人 口減少 が加速 してい くことが考 えられ る6。 少 子高齢 化の問題 の一つ として、人 口構成の変化があげ られ る (図 2)。 中で も生産年齢 人 口の減少 は、 労働力 と して国に貢献 し、保 険料 を支払 つて高齢者 の年金や 医療 、介 護 を支 え る力 を失 う事 を意味す る。

1995年

の約 87CЮ 万人 を ピー クに生産年齢人 口は減少 し、今後 は人 日の減少が加速 してい く事が考 え られ る。

2030年

には約

6700万

人 と、 ピー ク時 か ら

2000万

人 も消失 し、

1965年

(昭和

40年

)ご

ろの 水 準に低 下 して しま う。 さらにその後 も人 口減少 は進み 、

2050年

には約

4900万

人 と、戦後 直後 の

1950年

ごろの水準にまで 戻 つて い る。戦後 、

50年

近 くの間伸 び続 け、経済成長 の最大の原動力 となった労働力は、再び

50年

ほ ど の年月 をかけ、もと来た道 を逆戻 りす ることになる。その後 も人 口減少 は とどま らず、

2100年

には生産 年齢人 口は

2400万

人 ほ どで

1995年

の ピー ク時 の三割以下になつて しま う事が予想 されている7。 日本 の社会保障制度 は、年金 であ ろ うと、医療保 険、介護保険 であろ うと、高齢者が使 う費用 をその時 の若い現役層 が保険料や税 で負担す る賦課方式 とい う財政方 式 を とつている。年金制度 については、次 の世代 が前の世代 を支 える世代間扶養 の考 えに基づ く賦課方式の仕組み になつている。 医療保険につい て も、「収入」である保険料や税金 を主に払 う人 々は若 い現役層、「支出」であ る医療費 を主 に使 う人々は 高齢者 で あ り、現役層が 高齢層 を支 えている賦 課方式 とい うことにな る。介護保険 も同様 に、要介護状態 となつて介護費 を使 うのは高齢者、主な財源 である税・保険料 を多 く支払 うのは現役層 となるため、賦課 方式に他 な らない。この生産年齢人 日の減少 は、その賦課方式の社会保障制度 を支 える「支 え手」の数が 急 速に少 な くなることを意 味 し、同時に 日本 の経済成長率の急落 を意 味す る。今後、年間

1パ

ーセ ン ト 前後の生産年齢 人 口減少 とい う成長 の押 し下げ要因が働 き続 ける ことに よ り、 日本経済はゼ ロ成長、 も しくはマイナス成長が常態化 してい くことが考 え られ る8。 日本の賦課方 式の社会保障制度 に とって、高齢者 を何人の現役層 で支 えるか とい う「高齢者

/現

役比率」 は重要 な概念である。一人の老人に支払 う社会保障費を何人の現役 で 「割 り勘」にす るか、つ ま り現役層 一人ず つ の負担額 を決 めることになる。賦課方式の財政方式の下では、「高齢者

/現

役比率」 と現役層の 負 担額 は 、完全 に比例す る関係 となつてお り、少 子高齢化 が進む 中で高齢者 一人 を支 える現役層の負担 は増カロしてい く事は確実である。

6鈴

木 亘『 財政危機 と社会保障』講談社現代新書 7 _上掲 書 pp.102‐104 8 上掲 書 pp.104‐105 2010 pp.102‐ 103 8

(11)

(万人) 14』Ю0 12000 11)JDEX》

Om

am

4ロ

amo

0 ほal●

ω

00 日‖あ ∞ “

4046"55m早

2712'72327■

,4247腱

57腱 6772{年

)

1贅酬19511剛1900“

mm嗜

1剛llulmll田lmol僣国 oolat3的19僣剛 囲n口剛 1851120401鰍贈mlFj僣国

Eコ75E以 上

Eコ

65∼74饉 目目15∼

“ 餞

Eコ

0∼14餞 責 ":"l● 年1で は■膚省 1回●●金1、 "13年 は総着書 :人口出ニヤl'平■3年1011日 現在ヽ,"15年以 "は ‖ヤIL安暉口 。人ロロ■麟究所 I絆ネ撃計人口(平曖●J年1'1●計,Jの出t● 彙・死亡中位慎定による曇31綺果 図

5日

本の高齢者

/現

役比率の推移 出典 :内 閣府 「平成

26年

版 高齢社会 自書 (全体版

)1高

齢化 の現状 と将来像」 htぃ

:rr_8.cmgojpttШ

面師

hね

paper●・

2014zenbun/81_l_1.hml

5は 15歳

か ら

64歳

までの生産年齢人 口に対す る

65歳

以上の高齢人 日の比率、つまり日本の 「高 齢者

/現

役比率」の推移を描いたものである。

1950年

では約

12人

の現役世代で一人の高齢者 を支えて いた事になる。この比率は

1960年

には現役約 11人 対

1人

の高齢者、

1970年

には約

10人

1人

と徐々 に上昇 したが、この時点では穏やかな上昇に過 ぎず、日本社会は活力のある若者中心の社会であつたと 言える。 しか しそれ以降、加速度的に高齢者

/現

役比率が上昇 していることが分かる。

1980年

には約7.5人対

1人

1994年

には約

5人

1人

2000年

には約

4人

1人

と急速なペースで上昇 し、

2∞

8年

には約3 人の現役世代で

1人

の高齢者を支える水準にまで達 している。 近年、年を追 うごとに年金、医療保険、介護保険の財政が苦 しくなり、その財政を立て直すために保険料 の引き上げや給付カット、自己負担率引き上げといつた改革が行われた理由はここにあると言える9。 2010 pp.108‐ 110 9

9鈴

木亘『財政危機と社会保障』講談社新書

(12)

少子化の結果 としての「人 口構造の変化」によつて、日本社会には、①労働力不足、②社会保障負担の 増大、③経済成長の鈍化な どのデメ リッ トが生 じることが確実視 されている10。 ・ 日本全体の少子化によるデメ リッ ト ① 労働力不足 日本は働 いている高齢者が、他の先進国 と比べて多い社会である。しか し、今後、後期高齢者 と言われ る

75歳

以上の人が増える。日本でも

75歳

以上の労働力率は低い。働 く気 はあつて も、有病率、要介護率が 高ま リリタイアす る人が増 える。一方、少子化によ り働 く世代は今後減少 してい く。その結果、日本全体 で労働力不足が起きることが′い配 されている。 ② 社会保障負担の増大 現在、原則

65歳

以上の高齢者には、公的年金が支給 される。 日本では賦課方式 といって、現役世代が支 払 つてい る拠出金で高齢者 の年金を賄 うとい うシステムとなつている。年金 を受け取 る高齢者が増え、 働 く現役 世代が減 ると年金財政が破綻す る懸念が出て くる。医療保険について言えば高齢者は有病率が 高いので、実質的に現役世代の掛 け金によつて高齢者の医療費が払われている。そのため少子高齢化は、 健康保険財政にも悪影響 を与える。そ して介護保険 となると、その財政状況が急速に悪化す ることが考 えられ る。 ③ 経済成長の鈍化 消費が旺盛な現役世代が減 り、全体の人 口が減れば需要 も減 る。需要が低下するところでは、新規の投資 も起 こりにくい。それだけ、経済成長に悪影響 を及ぼす ことが懸念 されている。 少子化のデメ リッ トは、日本社会全体に留まるものではないH。 現在の少子化は、地域格差 と家族格差を 伴 つて進行 している。地域の問題で言えば、先に述べたデメ リッ トである①労働力不足、②社会保障財 政、③経済成長の問題がより増幅 した形で現れ る。それは大都市 と地方の格差、それか ら地方の中でも活 性化 した地域 とそ うでない地域の格差の問題 として現れ る。 地方、および活性化 していない地域は、子 どもの数の減少による自然減 と若い人の流出による社会減 によって、人 口減少 と高齢者割合の増加 とい う二重の問題に見舞われ る。 ・地域の少子化によるデメ リッ ト ①生産のための労働力不足だけでなく、需要が減少 した人 口減少地域か らはサー ビス業 も経済的に維 持できず に撤退せ ざるを得ない。介護や医療の労働 力 も不足することになる。 自由主義経済下では、「有 利l」 な職場がある地域に労働力は移動する。専門職やサー ビス業に従事する労働者は、活性化 している地 域や大都 市に移動 して しま うだろ う。彼 らを引き留めるには「補助金」が必要で、相当の公的資金を投入 しなけれ ばな らないが、それが過疎地域の財政状況を悪化 させ るとい う悪循環に陥 る。 ②社会保障財政に関 しては、地域 レベルの自立は不可能になる。経済的に活性化 してお り、若い人、そ し 10山 田昌弘『少子社会 日本一 もうひとつの格差のゆくえ』岩波新書 2C107 pp.34‐35 11上 掲書 pp.38‐40

(13)

て、金銭的に裕福な高齢者 が多い地域では、地域の社会保障財政は維持 していけるか もしれない。 しか し、急速 な高齢化が進む地域では現役世代の拠出が少ないだけでな く、資産はな く収入 も少ない高齢者 が多い。つま り、若い人が高齢者 を支える賦課方式をとろ うが、金銭的に裕福な高齢者が低収入の高齢者 を支える「世代内の助け合い方式」をとろ うが、どちらも不可能 とい う地域がこれか らもでて くることに なる。そのような地域か らは、負担能力がある若年、壮年層や金銭的に裕福な高齢者 も「逃げ出す」率が 高まるため、さらに格差は拡大す る。 ③経済成長に しても、活力のある人は雇用機会や ビジネス機会を求めて活力ある地域に移動する。わ ざわざ人 口減少地域に投資 しよ うとする者はいないため、経済成長的にも取 り残 され る地域が出現する。 日本 を トータルで見た場合は、人の移動 とい う要素を大きく考慮す る必要はないため、少子化への対 策 を立て ることも出来 る。 しか し、地域の状況 を考えるときには人の移動や資本の移転 を常に考慮 しな くてはな らない。現在、地方分権など地域の 自立を求める風潮が強いが、「移動」を考慮す ると少子化の デ メ リッ トを地域内部で解決す ることは現実的でない。人 口減少、高齢化が急速に進む地域への特別の 対応策を、「日本全体」で考えなくてはならない。 少子化が進行 している以上、何 らかの政策的対応 を しなければ少子化のデメ リッ トが必然的に顕在化 す ることとな り、対策が十分に行われれば 日本社会全体にとつて人 口減少は怖 くない と言 える。少子化 対策 と呼ばれ るものには、「出生率を上げる」ことを目的 とす るもの と、「少子高齢化を前提 とし、それに 対応 した社会を作 る」ことを目的 とするものがあ り、後者の対策には次のものがあげられている1% ①労働力不足に対 しては、女性や高齢者 自身の就労率を上げるとい う対策が推奨 され る。 日本は既婚 女性の労働力率が諸先進国に比べて低いので、様々な年代の女性が働 きやすい環境 を整 えることが求め られる。日本では、高齢者で働 く人は諸外国に比べて多いが、これか ら高齢者になる人にも働 きやすい環 境 を整備す ることが必要 となっている。それで も不足すれば、外国人労働者 を受 け入れ るとい う手段 も 挙げられている。 ②年金や健康保険な ど、社会保障に関 しては何 らかの形でその負担割合や負担方式を変える対策が求 め られ る。年金に関 しては、年金財政を健全化 させ るには現役世代の拠出を増や し、高齢者が受け取る年 金額を徐 々に減 らしていく以外に方法はない。健康保険に関 して も高齢者 自身の負担 を増や し、保険料 を上げるとい う方法 しかない。少子高齢化によつて生 じる負担をどのよ うに公平に分担す るかを議論 じ なければな らない。 ③経済成長に関 しては、経済の一層の効率化や高付加価値産業の育成な どによつて、国民一人あた り の生産性 を上げる努力をすれば需要減の中で も経済成長 をプラスに保つことが可能 とされている。 12山

田昌弘『少子社会日本一もうひとつの格差のゆくえ』岩波新書

2∞

7 pp.36‐38 11

(14)

また人 口構造の変化による 「貯蓄率の低 下」も進行す ると考え られ る。貯蓄率 とは、国民所得 に占める 貯 蓄の割 合 であ り、日本の家計貯蓄率は 1980年 代初頭 には

15%程

度 と高い水 準であったが、その後は 一 貫 して低 下傾 向にあ り、2008年時点 では1.9%と な つて いる13。 こ うした低 下傾 向の 1つ の背景 として、 日本社会の高齢化が挙げ られ るc「虐i齢化 」は貯蓄取 り崩 し主 体 の比率 が増加す るこ とを意味 し、高齢化の進展 は貯蓄率低 下の一要因 とな る。貯蓄率 の推移 は、貯蓄率 は 1998年以降急激 に低 下す るが、その動 きは

2003年

頃には収 ま り、それ 以降 は 一転 して安定期 に推移 す る。高齢 化は貯 蓄率の低 下を もた らす ものの、近年 にお いて高齢 化の動 きは一貫 して い るた め、清i齢化 の要因だ けでは貯蓄率の不安定な動 きを説明す ることはできない。 日本経済は

1998年

の金融危機以降、 景気が後 退 した。また この頃 、企業 は大規模 な リス トラを進 めてお り、特 に比較 的年配者が対象であった ため、高齢勤労世帯の所得水準が大 きく低 下した時期で もある。そのため、彼 らは高齢化による貯蓄率の 不安定化 を背景 と して 、1998年以降の景気後退 は高齢勤労 世帯 の所得減少 を通 じて、貯蓄率を急激 に低 下 させ た と考 え られ る。 前i・ 財 務総合政策研 究所研究部の小林 、財務総合政策研究所研:究部の大野 ら11による と、家計貯蓄率の 動 きは政府 の財政 運営 に対 して影響 を与 える と述べ てい る。1990年以降 、政府の国債発行 は景気対策の 財源 を賄 う目的で急増 した。但 し、日本は これ までに高い家計金融資産 とい う強み を有 していたため、家 計 の資産 が政府 の負債 を買い支 えるだ けの余裕 が あつた と言 える。しか し家 計貯蓄率がマイナ スに転 じ ることに よ り、家計金融資産は減少 し、それ に伴 い│コ内にお ける国債の購 入主体 と して海外か らの投資 が相対的 に高 まるため、財政再建が 一層求め られ る。 今後 、人 口減少 が起 こる ことは確 実で あ り、少 子化対策が功 を奏 して少 子化傾 向が反 転す るに して もそ の効果が現れ るのは早 くて

20年

後 (子どもが成人 して労働力人 口に加 わ る時間を考慮す るため

)で

ある か ら、 このよ うな対策 を行 うことは、必要かつ不可欠 といえる。 急速な少 子 高齢化 は、世帯構成や老後観 、保 険や年金 、医療 な どの社会保 障分野 をは じめ、家族支援や子 育て支援 、老後 の生 きがいにいた るまで、経 済、社会 に大 きな影響 を与 え、課題 を生み 出 している。その 中で社会保障 は さま ざまな リス クを分散 し、軽減す る仕組みで ある。社会保障 は、所得の低 い人 に対 して 所得の移転 を通 じて生活 を保障 した り、病気や けが、障害や高齢 に よ り、生活 上の困難 を抱 えた ときに、 それ を乗 り越 えるのに必要 な専門的なサー ビスや生活費 を保障す る。 このよ うな働 きによ り、人び とが 同 じ社会 の一員 と してお互いに支 えあつてい る こ とを実感 し、その社会へ の帰属意識 を共有す ることが で きる。 この よ うな社会的な統合 を促進す る とい うことも社会保障の大切 な機能 といえる。社会が用意 してい る こ うした働 きのこ とをセー フテ ィネ ッ ト(安全網)とい う。万が一の ときのために受 け止 める仕 組 みが あ るため、安心 して毎 日の仕事や生活 を送 る ことがで きる15。 社会保 障 は、国や 自治体 、 これ らに準ず る特別 な法律 に基づ いて設立 され る法人 な どが国民 (家計や企 業

)か

ら資金 を集 め、これ らを用いて、国民への金銭給付や現物給付 を行 う仕組みである。財政資金の主 な ものは、租税 (税金

)と

社会保険料の

2つ

である16 国の租税 のほ とん どは国の一般会計 に入 る。国は社会保障以外 に も、国防か ら農業、教育、科学技術 、 13小林航 大野太郎 「日本の家計貯蓄率」

http8:〃WWWmofgo.jp/prゴresearch/special report/f01_2010_04.pdf

14同

15椋 野美智子『 は じめての社会保障』有斐閣、2015 pp.275‐280

(15)

公共事業など、さまざまな任務を果た してお り、その費用に租税があてられる。どの事業にどれだけの支 出をするかは、国民が負担する租税の使途に関する重要な問題 といえる。その中で平成

28年

度の国の一 般会計に占める日本の社会保障費は約

31兆

円となってお り、一般会計全体の 33.1%と 他の経費を引き 離 した大きさとなつている(図 0。

饉出】

戯入 】

18■300 0-その● ●●●● 島● ● “ │ "ヽ ■●及び “ ●●■ 03‐ 6贅 一 般 会 計 ヽ″日 歳 出 総 額 ` 967.218 (1∞%)´ _、 ′綸方会.・ "、 一 般 会 計 麟 出 総 額 967.218 (1∞

%)

(単位:●円) 法人● │"" =2“ ■曖 及び印●● 入 57000 00ヽ 自 出 全 体の フロ │

︼¨喘

¨¨”¨

“¨¨

¨

¨

¨

¨

※『基礎的財政収支対象経費Jとは、餞出のうち日侵費」除いた経費のこと。当年度の政策的軽費を表す指標。 ※ 詢 G緊舶ヽlla収支対餞経動 も地方交付税交付金簿を際 ヽたま "におけ疏 会保障関係●

0,恰

:ヨЮ

%

6

平成

28年

度一般会計予算 (平成

28年

3月 29日 成立

)の

概要 出典 :財務省 「平成

28年

度一般会計予算 (平成

28年

3月 29日成立

)の

概要」 http7′ … InoigO・jp/taxJolicy/summary/condition/002.htm 平成

28年

度一般会計予算は約 96.7兆円であ り、この うち歳出についてみ ると、国債の元利払いに充て られる費用 (国債費

)と

地方交付税交付金 と社会保障関係費で、歳出全体の

7割

超 を占めている。一方、 歳入の うち税収は約

58兆

円であ り、一般会計予算における歳入の うち、税収でまかなわれているのは約

6割

であ り、残 りの約

3割

は公債金収入によるものである。つま り国の借金に依存 しているのであ り、そ の利払い も含めて後の世代が負担す る租税で償還 しなければならない とい う現状がある。 また、

2025年

には 「団塊の世代」がすべて

75歳

以上 となる「超 齢 社会」を迎え、医療・ 介護のニーズ もピークに向か う。 社会保障給付は、齢 化 とともに今後 も急激な増加がli■まれ、税0社会保険料 とい つた国 負 担の増大が考えられ る。特に、医療分野は

2012年

度の 1.5倍 である 54.0兆 円、介護分野は同 年の 2.3倍 である 19.8兆 円と、給付の増加が顕著であ り、この

2つ

の分野は消費税収 と現役世代の負担 能 の 伸び (保険料収

)を

上回つて増加 してい くことが見込まれ る (図 7)。 "L■■ "": 13

(16)

介■a nJkロ

そm― ED (1.5%) GO'2具 も:iE8兆 円 を =二 ==7戸 三豆二

F=F]'GDP21残

iE6JL¬ II[[]EEEI二三二 ''GOP2£ 基£磯6JL円 (‖t典帥 年度に,■ 'る it彙餘r●綸ft,ltllとll会はF●・入ロロ題研究所「社会はr●費用崚al:,(::■1=内 閣FrF口 l(経済計 “ lit Lろ。Ю:2年は■び鋤23年度`二お:するIL会ltrl綸1,貴及供:1■ヽ=平 成■年3""‖暉労rrlL全 保障:[係る費用のlit僣 ′「σttt:二 ついて(平成23年3':)1lt tる。 (111)Aえ額は・■■.0内″.■■=Gl)IDL . (it2)F社会保障改革め,11夕や、■体臓び費用ま轟Jを睛Lえ、充実と重点化・効1:化の場撃を反映して:ヽ4 ・ 図 7 社 会 保 障 給 付 費 の 見 通 し 出典 :平成

26年

10月 8日 財務省主計局 「社会保障① (総論、医療 0介護、子育て支援)」 http87′VttLIIlofgO.jp/aboutmof/COullcils/16scdJystem counciVsub‐

o卸随cユJystem/proceeding8ノ mate五a1/zaiseia261008/01.pdf

少子高齢化に向けた社会保障の課題 と今後の展望について、椋野は以下のよ うに述べている1■ 「急速な少子高齢化は、まず年金財政に深刻な影響を与える。高齢者 の数が増えるだけ受給者が増える。 加 えて

1人

ひ とりの高齢者の平均寿命が長 くなるとい うことは、終身年金である公的年金においてはそ のまま年金の受給期間が長 くなることを意味す る。他方で、年金を支える勤労世代は減つてい くため、賦 課方式または修正積立て方式の財政方式を採用 している公的年金では、勤労世代の負担が増加 し、その 負担への合意 自体が崩れていくおそれがある。 また、高齢者 、とりわけ後期高齢者は病気にかか りやす く、複数 の慢性疾患をもつことが多い。また、寝たき りや認知症な どの要介護者の発生率 も、後期高齢者 の年齢が増す ごとに急速に高 くなる。このよ うな高齢期の病気や介護などは、今後、若い ときか らの予防 や リハ ビリテー ションの充実な どによ り、今 よ りもある程度は改善できる可能性はあるが、それで も若 い世代 と比べて有病率や要介護率が著 しく高 くな り、その分、医療や介護の費用が急増す ることは避 け られない といえる。」 出生率の低下は、ある程度は政策努力や社会の意識の変化などにより回復す る可能性 はある。しか し、 現在見通 されている少子高齢化 とい う現実そのものは基本的には変えよ うがない。その現実を受け入れ た うえで、社会に活力を維持 し、負担を共有 し合い、有効で効率的なサー ビスに費用を重点化す るなど、 17椋

野美智子『 はじめての社会保障』有斐閣、

2015 p.291

(17)

制度の給 付 と負担 のあ り方 をこれか らも引 き続 き見直 してい く必要が ある。 社会保 障 が備 える社会的 な リス クはその性格 上、高齢時 にな つて集 中的 に現実的 な もの とな る。病気 に な る リス ク、要介護 状態 にな る リスク も高齢 時、 とくに

75歳

以 上の後期 高齢者 になってか ら一気 に高ま る。 そのた め、年齢 階層別 に見 る と社会保 障 をめ ぐる金 の流れ は現役層 か ら高齢層へ とい う所得移転 とい う形 を とる。 したが つて、少 子高齢化 が進展す る中で こ うした年齢 階層 間の所得移転 に依存す る社会保 障 制度 が持続 で きるか、とい う問題 が ある。高齢層向 けの給付水準 を維持 しよ うとす る と、現役 層に求 め る負担 を増やす しかない。 ところが現役層 に とつては負担の増加 は避 けたい とい う現実がある。政府 が 国債 を発 行 し、それ で給付 の うち足 りない分 を埋 め合 わせ て も ら うとい う考 え方 が あ るが、国債発行 は 将 来世代 へ の負担 の先送 りにつ なが る。 現在、日本 の社会保 障制度 の財政 は、現役 世代 が高齢者 を支 える賦課方式 を採用 してい る。少子高齢化 に よ り増加 してい く老人 を現役世代が支 えていかなけれ ばな らない。今後 の社会保障制度 を支 えてい く世 代 であ る生徒達 に とつては深刻 な問題 で あ り、 これ か らの社会保 障制度 は ど うあ るべ きか、現実 と向き 合 つて い く必要があ る。 15

(18)

2章

介 護 制 度 の 現 状 第1節 日本における介護の現状 と保険制度 介護現場の現状は、それぞれ置かれている家庭環境 (家族関係 など)、 心身状態 (疾病や精神状態を含 む)、 経済状況、住環境、施設環境 (介護従事者や建物など

)等

によつて大きく異なる。 開発予定の本単元では第一次の「問題発見」段階において、生徒が介護の現状 と保険制度のあ り方につ いての考 えを深める為、文字資料を用いてそれぞれ異なる視点 (立場

)の

事例を挙げる。 授業開発 を想定 して介護問題 を教材化す る事例 を以下に示す。 〔事例1〕 。病気による後遺症により地元を離れての介護生活を余儀なくされた母親 (要介護者

)の

立場 。都内で母親を介護する事 となつた息子夫婦 (介護者

)の

立場 〔事例2〕 。「老老介護」世帯で寝たきりの妻を支える夫 (介護者

)の

立場「老老介護」世帯で要介護者の夫による在宅介護を受ける妻 (要介護者

)の

立場 〔事例3〕 。少子高齢化の中、限 られた財源で どのように社会保障制度を維持するのかを考える国の立場 ○事例

1:介

護生活を続けてきたある家族18 介護問題 に関わる人々の視点…介護者 (息子夫婦

)の

立場、要介護者 (母親

)の

立場 宮崎純一氏 (仮名

)は

1944年

生まれ。高校 まで出身地の福井県で暮 らし、上京 して大学卒業後、現在 の会社に入社 し、結婚 して都内で暮 らしてきた。 両親二人はそれまで福井県で暮 らしていたが、

80歳

になった父親が突然脳梗塞で倒れ、救急車で病院 に運ばれた。治療の結果、右半身麻痺 とい う状態で病状が落ち着 き、退院 してか ら在宅での介護生活が始 まつた。 地方 とい うこともあ り、父親は広々とした農家の一軒家で在宅介護生活を送 り、昔なが らの近所付き合 いによつて夫婦の生活は支 えられていた。

70歳

半ばの妻が夫を介護す る 「老老介護」の生活ではあつて も、親戚や知人 らによる声掛けや見守 りな どの支援 によつて、母親の介護生活は肉体的にも精神的にも 追い込まれ ることはなかつた。当時、介護保険制度はまだ始 まつてお らず、措置制度 (役所が適格者にサ ー ビスを提供する制度

)に

よるヘルパー派遣 を受けていた。その後、父親は再度体調を悪化 させ、やがて 亡 くなった。 氏の母親 は独 り暮 らしとなつたが、近所の親戚や知人 と交流を深めなが ら平穏に暮 らしていた。 しか し、

2003年

頃父親 と同 じく脳梗塞で倒れ、救急車で病院に運ばれた。治療後、病状は落ち着いたものの 要介護度 5と の認定が下され、ほぼ寝たき り状態 となった。 父親 と違い母親の場合は、「独 り暮 らし高齢者」であつた。介護保険サー ビスを利用するとした ら、朝 昼晩のヘルパー派遣 を受 けることは可能なはずであったが、深夜な どの トイ レ介助や身の回 りのことま

B結

城康博『 介護 一現場か らの検証一』岩波新書、2008 pp.2‐ 12

(19)

で頼めるヘルパー業者は地元では見つか らなかつた。そのため、長男 とい うこともあつて、宮崎氏が母親 を引き取つて看 ることにな り、都内の リハ ビリ専門病院へ転院 させ ることになつた。つま り、母親は生ま れ育つた福井の地を離れるつ らい決断を した ことになる。 その後、老人保健施設へ入所 させることになつた。施設でもリハ ビリは継続 され、要介護度

2ま

で状 態が改善 し、車椅子での生活が可能 となつた。ただ し、福井県に戻つて独 り暮 らしを始める状態にまでは 回復 しなかつた。そのため、氏の自宅で在宅介護生活を始めることにな り、その主な介護者は氏の妻 (50 代 半ば

)に

なつた。 母親の在宅生活はデイケアに週三回通い、ヘルパーサー ビスを週二回程度利用す るといった ものだつ た。ケアマネジャー と一緒に、そ うしたケアプラン (介護保険サー ビスを利用する うえで、要介護者や要 支援者に合つたサー ビスが提供 され るために計画 してい くもの

)を

作成 し、介護保険サー ビスを利用 し ながら在宅生活を続 けていつた。デイケアでは リハ ビリや入浴 といつたメニューを利用 した。 氏によると、母親は在宅生活になつてか ら、リハ ビリの機会が減つたとい う。リハ ビリ専門病院に入院 していた間は毎 日のよ うに リハ ビリが継続 されていた。 しか し、在宅生活になるとデイケアには通 うも のの、その内容や量が極端に削減 されて しまつた。在宅で簡単な体操はす るものの、母親の身体機能は 徐 々に低 下 していつた。 そ して、何 よりも近所に知人が誰 もいなく寂 しい思いを していた。話 し相手は、「嫁」である氏の妻や デイケアに通 う仲間たちであつたが、福井での知人のように何十年 も交流を深 めてきた人間関係 とは異 な り、精神的にかな り落ち込んでいた とい う。その うち、母親はス トレスがたまるよ うにな り、些細なこ とでも氏の妻にあたるようになった。 妻は「姑」との生活に悩むようにな り、身体的にも精神的にも疲れていつた。その後、彼女が「姑」の 介護を続 けてい くことが精神的に難 しくな り、母親 もそのことを理解 して施設入所を決意す るようにな つた。しか し、特別養護老人ホームは待機者が多 く、す ぐの入所はとても無理で、有料老人ホームを探す ことになつた とい う。そ して入居後、 しばらく時は過ぎ、母親は体調 を崩 しホーム内で亡 くなつた。 氏の話か ら、同 じ寝たきりとなった父親 と母親で、結末は大きく異なっていたことが理解できる。父親 の場合は、主な介護者である妻がいたため、「老老介護」であつても、介護サー ビスを活用 しながら在宅 での生活が可能であつた。しか し、母親の場合は介護者が身近にいなかつたため、た とえ介護保険サー ビ スを利用 した としても、地元福井での在宅サー ビスは難 しかつた。都内で氏の妻が介護者になることで は じめて、介護保険サー ビスを利用 しなが らの在宅生活が可能 となつたのである。 17

(20)

事例

1:介

護生活を続けてきたある家族」か ら生徒に 日本の介護制度の現状を理解 させ る。現在の在宅 での介護サー ビスは、あくまでも家族介護が前提 となつてお り、それを補完す る機能に過ぎない。本来な ら、独 り暮 らしの寝たき り高齢者であっても、介護保険サー ビスのみで手厚い介護が受けられ、在宅生活 が可能になるべきである。生徒 には、事例

1か

ら介護 の責任が どこにあるのかについて 「誰が」「どうや って (どこで)」 「負担」 しているのかをまとめさせ、第二次の討論の活動につなげていきたい。 以下の表は、執筆者 (船石

)が

事例

1か

ら介護者・要介護者の視点で介護の責任の所在をまとめたもの である。

介護者の視点】

誰 が どうやつて (どこで) 負 担 ・主に息子の妻が介護 →後に居宅サー ビス(デイケ ア)、 有料老人ホームを利用。 ・ 息子が暮 らす東京 での在 宅介護 →東京での介護生活の中で、 母 と妻 との関係が悪化 し、そ れぞれの精神的 。身体的負担 となつている。 ・居宅サー ビス (デイケアに よるリハ ビリテーシ ョン) →在宅での介護サー ビスは 家族介護 が前提 となつてお り、家族の介護 を補完す る機 能に過ぎない。 高齢者 が独 りで も生活 で き るよ うな手厚 い介護 サー ビ スが確立されていない。 ・有料老人ホーム →特別養護老人ホー ムは待 機者が多 く、金銭的に負担の 大 きい有料老人ホー ムヘ入 所 した。 ・本人 (母) 0息子夫婦 ※介 護 サ ー ビス を利 用 して い る為、負担は本来の

1割

の 金額 で利用で きる。 ※有 料 老 人 ホー ムの費用 に ついては、都 内であれば毎月

23万

円前後が相場 であ り、地 方 に よつては約

15万

円以 下 の施設 もある。入居金 に関 し ては、100∼

1000万

円まで と いつたよ うに幅がある。

(21)

要介護者の視点】

誰 が どうやつて (どこで) 負 担 ・本人 (母) →脳 梗塞で入院 した当初 は 要介護度

5で

あつたが、リハ ビリを終 えて要介護度

2ま

で状態が改善 し、車椅子での 生活が可能 となつた。 ・ 息子が暮 らす東京 での在 宅介護 → 地元での在宅生活 が困難 のため、生まれ育つた福井を 離れなければな らなかつた。 近所に知人 も少ないため、寂 しい思いを している。 ・居宅サー ビス (デイケアに よる リハ ピリテーシ ョン) → 東京では親 しい知人が少 な く、話 し相手は妻かデイケ アの利用者である。 ・有料老人ホーム 0本 (母) 0息子夫婦 ※介 護 サ ー ビス を利 用 して い る為 、負担 は本来の

1割

の 金額 で利用で きる。 19

(22)

○事例 2:「老老介護」の夫か ら聞 く19 介護問題 に関わる人々の視点・¨介護者 (夫

)の

立場、要介護者 (妻

)の

立場 高齢社会において、「老老介護」は珍 しいことではなくなつた。「娘」「息子」「嫁」が親の介護 を担 うの ではなく、妻や夫が高齢なが らも介護者 とな り、要介護者の在宅介護 を支 えている。しか も、介護者 自身 も軽度の要介護者であることも少なくない。

2007年

6月 5日 、ある 「老老介護」世帯を訪問 した。夫である山本健二氏 (仮名

)は

70歳

代後半、 両膝関節症で杖歩行であるため要介護度 1と 判定 され、ヘルパーサー ビスを週に数回利用 している。妻 も

70歳

代後半 とな り、要介護度

5で

認知症が激 しく寝たき り状態 となっている。二人の間に子 どもはな く、6∼

7年

前に妻が寝たき りとなつて、以後、夫が妻の介護 をしている。 妻は痰がか らみ、自力で出す ことができず、吸引を必要 としている。特に、夜中にむせ ることが多い。 そのため、夫は常時、近 くで待機 している。毎 日、午前中と午後に妻が依頼 しているヘルパーが来て、お むつ交換や食 事の世話 をす る。また、週二回、訪問看護師が来て排泄介助 を行い、理学療法士によるリハ ビリも受 けている。しか し、その時間以外は、夫がすべての介護を行つているとい うが、腰痛 もあつてお むつ交換な どは辛そ うだ。 妻はアルツハイマー型認知症ではあるが、日と耳は しつか りしている。昔のことは思い出せないが、新 しく来たヘルパー さんのことな どに興味を示 し、 じつと観察 しているとい う。 そばに誰かいなくなると不安にな り「アーアー」 と声を出すが、「ここに居 る」 と夫が答 えると安心 し て何 も言わなくなる。寝たきりで認知症が進んでも、妻には一定程度、認識能力が維持 されているそ う だ。だが、運動神経が麻痺 しているため、寝返 りが打てない。 妻が夫のことを、どの程度認識 しているかは分か らないが、それな りの反応があるため、夫はできる限 りのことは していきたいとい う。しか し、夫 も要介護度

1で

介護保険サー ビスを利用 している身なので、 あま り無理はできず、ヘルパーサー ビスや訪問看護サー ビスが命綱である、とのことであった。 寝たき りとなつた高齢者を介護す ることは、家族にとってはかな りの負担 とな り、

24時

間体制で介護 す る状況である。それに対 して介護保険サー ビスでは、長 くて

120分

程度のヘルパーサー ビスを、1日 3 回程度 (介護度によつて週何回使えるかは異なる

)使

えるのみで、それ以外は家族介護に依存する。 もう少 し、家族の負担を考えて、長時間のヘルパーサー ビスや訪問看護サー ビスが利用できなければ、 家族の介護疲れは解消 されない。「ショー トスティ」 といつて、短い期間介護施設へ預けるサー ビスもあ るが、利用す るには全国平均で

2か

月待ちとい う状態である。 そのため、寝たきり高齢者のいる世帯では、

6時

間程度の長時間ヘルパーサー ビスや訪問看護を利用で きる介護 システムを早急に導入 して、家族介護の負担軽減を図るべ きである。現在の在宅介護保険サー ビスは、あま りにも家族介護に依存 しているのである。

2005年

65歳

以上の高齢者のいる世帯は、合計約1853万世帯で、全世帯の約

4割

を占めている (図 0。 しか も

65歳

以上の高齢者世帯に占める単独世帯及び夫婦世帯は、年々増え続け半分以上に及ぶ。「独 り暮 らし高齢者」「老老介護」 といつた問題が顕在化 している。

"

19結城康博『 介護一現場か らの検証一』岩波書店、2008 pp.26‐29

"上

掲書 pp.140‐141 20

(23)

(子●●) … … … m eao 25'2! 10ア │ 3風0 │,"' .│、104: 1費

11り:「

__lrl:L

l11.一二・

1:=十

113

310● I ,S3‐ 3'1ア │ 132■ ●●● ♂●3 22411 11'3: 366P 105 、

:T

2 1蜜

ri

l14013

L・` 09'マ : ,0` "フ 11`脅 "● "0 ■撃 亀1,P “ ● “ 102 a,s “ ∞ 手″ 7 12 17 ,0 19 " 21 2 23 2 お お 〔口 (口 13mD(lgb)― D― lmm (富 Юo)― l‐ 10●0,1)● 012D●01310014)(年) : :● "●● 1 :貴 ■のあの曽● 睡爛 口 と表■の子のみの■● l:I三宙lt世 尋 L_二 その他の,3 -全 世●I_占 め ら “ 墟V上の “ ″い う●80■含 費ll:晴僣 “ ■鳳麟0腱●33暉 牛宙「暉││=j薇 鞭 月 金」.用●61年 3t膊0腱慎 `=甲 け,■■「:■民嗜嬌 ニロ■ ●1による (`‖)平C'年の腱038碑申me朦いた もの。 平曖31:の■■は,:r略.富崚 “ たび■島颯 ●欧い た もの.・7■211:0■● は日島喘 ● はいた ものであ3. (1● =)( )内の腱・′は、6Salス:.の■のいるR●●腱に占め`“合 くヽ 〕 (lt3)日薔 ′二人のため 介3133・g.ず しも ‐彙 しない. 図

8 65歳

以上の者のいる世帯数及び構成割合 (世帯構造別)と全世帯に占める

65歳

以上の者がいる世 ∞ 帯の割合 出典 :内閣府 「平成

28年

版高齢社会 白書 (全体版

)1高

齢者の家族 と世帯」 httpγ′ … 8。cao.go.jp/kourei/77hitepaper/w‐ 2016/htm1/zenbun/sl lこ 1.html 12月 6日ア クセ ス

4,2410■

°

416 21

(24)

「事例 2:「 老老介護」の夫から聞く」から生徒に介護制度の現状を理解 させる。寝たきりとなつた高 齢者を介護す ることは、家族に とつてかな りの負担 とな り、

24時

間体制で介護 を行 う状況である。それ に対 して介護保険サー ビスでは長 くて

120分

程度のヘルパーサー ビスを 1日

3回

程度使 えるのみで、そ れ以外は家族介護 に依存す る。家族の負担 を考 え、長時間のヘルパーサー ビスや訪問看護サー ビスが利 用できなければ家族の介護疲れは解消されない。寝たきりの高齢者のいる世帯では、

6時

間程度 の長時間 ヘルパーサー ビスや訪問看護 を利用できる介護 システムを早急に導入 し、家族介護の負担軽減を図るベ きである。事例 1と 同様に、現在の在宅介護保険サー ビスは家族介護 に依存 していることが分かる。 以下の表は、執筆者 (船石

)が

事例

2か

ら介護者・要介護者の視点で介護の責任の所在 をまとめたもの である。

介護者の視点】

誰 が どうやつて (どこで) 負 担 ・夫 →夫 自身 も両膝 関節症で杖 歩行 で あ るた め要介護度 1 と認定 されている。 →ホームヘルパー・訪問看護 師・理学療法士の支援 を受け る

070歳

代後半の夫婦での老 老介護 →二人の間に子 どもはなく、 6∼

7年

前に妻が寝たき りと なつて以降、夫が妻の介護 を している。 ・ ホームヘル パー に よるお むつ交換や食事介助 ・ 訪 問看護 師 に よる排泄介 助 ・ 理学療法士 に よる リハ ピ リ → 時間外は夫が全ての介護 を行 つてい るが負担 が大 き い。 ・ 要介護者 (妻) 0介護者 (夫) → 介護 サー ビス を利 用 して い る為、負担は本来の

1割

の 金額で利 用で きる。 → 長 くて

120分

程度 のヘル パーサー ビスを、1日

3回

程 度使 えるのみ で、それ以外 は 家族介護 に依存す る。 ※介護者 (夫

)自

身 も要介護 度

1で

介護 保 険 サ ー ビス を 利用 して いる。

要介護者の視点】

誰 が どうやつて (どこで) 負 担 ・本人 (妻) →

70歳

代後 半、要介護度

5で

認知 症 が激 し く寝 た き りの 状態。 ・ 自宅での在宅介護 ・ ホー ムヘル パー によるお むつ交換や食事介助 ・ 訪 問看護師 による排泄介 助

0理

学療法士 に よる リハ ビ リ ・ 要介護者 (妻) ・ 介護者 (夫) ※介 護 サ ー ビス を利 用 して い る為、負担は本来の

1割

の 金額で利用で きる。

(25)

○事例

3:社

会保障の財喫 1," 介護問題 に関わる組織 の視点…国の立場 社会保障は、国や 自治体、これ らに準ず る特別な法律に基づいて設立 され る法人な どが国民 (家計や企 業

)か

ら資金を集 め、これ らを用いて、国民への金銭給付や現物給付を行 う仕組みである。財政資金の主 なものは、租税 (税金

)と

社会保険料の

2つ

である。 国の租税のほとん どは国の一般会計に入 る。国は社会保障以外にも、国防か ら農業、教育、科学技術、 公共事業な ど、さまざまな任務 を果た してお り、その費用に租税があて られ る。どの事業にどれだけの支 出をす るかは、国民が負担す る租税の使途に関す る重要な問題 といえる。その中で平成

28年

度の国の一 般会計に占める日本の社会保障費は約

31兆

円となつてお り、一般会計全体の 33.1%と他の経費を引き 離 した大 きさとなつている (図 9)。 平成

28年

度一般会計予算は約96.7兆円であ り、この うち歳出についてみると、国債の元利払いに充 て られ る費用 (国債費

)と

地方交付税交付金 と社会保障関係費で、歳出全体の

7割

超を占めている。一 方、歳入の うち税収は約

58兆

円であ り、一般会計予算における歳入の うち、税収でまかなわれているの は約

6割

であ り、残 りの約

3割

は公債金収入、つま り国の借金に依存 している。 また、2025年には 「団塊の世代」がすべて75歳以上 となる「超高齢社会」を迎え、医療・介護のニー ズもピー クに向か う。 社会保障給付 は、高齢化 とともに今後 も急激な増加が見込まれ、税・社会保険料 といつた国民負担の増大が考えられ る。特に、医療分野は2012年度の 1.5倍である

54.0兆

円、介護分 野は同年の2.3倍である 19.8兆 円と、給付の増加が顕著であ り、この

2つ

の分野は消費税収 と現役世代 の負担能力の伸び (保険料収入

)を

上回つて増カロしていくことが見込まれる (図 10)。 日本は、少子高齢化が進む状況下にある中で「賦課方式」とい う財政方式を続けている。賦課方式 とは、 高齢者世代が受け取つている年金、医療、介護、その他の福祉サー ビスにかかる費用を、主に今の現役層 が支えるとい う財政方式である。 日本では主な給付はほとん ど高齢期に発生 してお り、逆に負担はほぼ 現役層 に集 中 している。さらに、今の現役層が負担 しきれない分は、赤字国債を発行 して将来に負担を先 送 りに している現状であ り、これか ら生まれ る将来世代の負担は さらに過酷なもの となる。少子高齢化 で高齢者 の数が増え、現役層の数が減 る中で賦課方式を続 ける事は現役世代の負担を強める事になるた め、社会保障制度の維持を考える際に財政方式のあ り方を見直 していく必要がある。 21椋 野美智子『 はじめての社会保障』

2鈴

木亘『 社会保障亡国論』講談社、有 斐閣 、2014 pp.24‐ 43 pp46‐ 2015 pp.280‐47289 23

表 1  都道府 県別高齢化 率の推移 平 成 25年 平月た r,nan、 524「 高 齢 化 率 の伸 び (ポイント ) 総 人 口 (千 人 ) 65歳 以 上 人 口 ̀■ 人 ヽ 高 齢 化 率̀%ヽ 高 齢 化 率 Jヒ X轟 コ 自 5.431 1^469 27̲0 ̀%ヽ 40.7 13.7 青 森 県 1̲335 373 27.9 41.5 13̲6 岩 手 県 1.295 372 28.7 39.7 11.0 宮 城 県 2.328 553 23.8 36.2 12̲4 FA・ 田
表 2  世界 の人 日の動 向 出典 :内 閣府 「平成 26年 版 高齢社会白書 (全 体版 )5高 齢化の国際的動向」 httpイ ム Ⅳ¬ 日 F8。 cao.go.jp/kourei/whitepaper/n7‐ 201″ zenbun/sl 1 5。 html 1.欧 米 (,も , 2.  ア ジア ■ 綸 '  一 ―   籠 ='値   (%)45 45(̀010■) │● ='0 ― 日 本      (23.0) ・    イ タ リ ア     (203) ‐   ス ウ ェ ー デ
図 5は 15歳 か ら 64歳 までの生産年齢人 口に対す る 65歳 以上の高齢人 日の比率、つまり日本の 「高 齢者 /現 役比率」の推移を描いたものである。 1950年 では約 12人 の現役世代で一人の高齢者 を支えて いた事になる。この比率は 1960年 には現役約 11人 対 1人 の高齢者、 1970年 には約 10人 対 1人 と徐々 に上昇 したが、この時点では穏やかな上昇に過 ぎず、日本社会は活力のある若者中心の社会であつたと 言える。 しか しそれ以降、加速度的に高齢者 /現 役比率
表 8  訪間介護サー ビスの内容 身体介護 生活援助 ・排泄介助 (ト イ レ 。ポー タブル利用につい ての介助 。おむつ交換 ) 0食 事介助 0清拭・ 入浴介助 ・身体整容 ・ 洗面 ・ 更衣介助 ・ 体位 変換 ・ 移乗・ 移動介助 ・ 通院・ 外出介助 ・ 就寝 0起 床 介助 ・ 自立支援 のための見守 り援助 ・専門的配慮 をもつて行 う調理 (廉 下困難者 のための流動食 0糖 尿食等 の調理 ) 掃 除洗濯 ベ ッ ドメー キング 衣類 の整理 、被服の補修一般的 な調理0配下膳買い物・
+6

参照

関連したドキュメント

 食品事業では、「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い、代理人として行われる取引について売上高を純

つまり、p 型の語が p 型の語を修飾するという関係になっている。しかし、p 型の語同士の Merge

411 件の回答がありました。内容別に見ると、 「介護保険制度・介護サービス」につい ての意見が 149 件と最も多く、次いで「在宅介護・介護者」が

父親が入会されることも多くなっています。月に 1 回の頻度で、交流会を SEED テラスに

関係会社の投融資の評価の際には、会社は業績が悪化

場会社の従業員持株制度の場合︑会社から奨励金等が支出されている場合は少ないように思われ︑このような場合に

視覚障がいの総数は 2007 年に 164 万人、高齢化社会を反映して 2030 年には 200

  NACCS を利用している事業者が 49%、 netNACCS と併用している事業者が 35%おり、 NACCS の利用者は 84%に達している。netNACCS の利用者は netNACCS