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プログラマの数値解析+α

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Academic year: 2021

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(1)書 評 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 齋藤鐵男(著). み記事で書いてから説明している.プログラムは各々が 1 ページ,長くても2ページに収まるようにしてあり, 基礎が少しできていればプログラムを見るだけでも方式 が分かるであろう.内容は,章ごとにほぼ独立しており, 高校での数学の知識があれば,どの章からでも読むこと. プログラマの数値解析+α 丸善プラネット(株), 207p., 2,400 円 + 税 ISBN 978-4-901689-85-4. ができる. 説明は,章ごとに,まず基本的な方式から始め,それ を効率化する方法とか,問題となる場合の回避方法など に進むというように,次第に踏み込んでゆく形をとって いる.たとえば,数値積分では,高校の数学で習うシン. 数値解析の本は多々あるが,本書は少し毛色が変わっ. プソン積分から始め,精度を上げるための区間分割,関. ている.それは 30 年以上実務としての数値解析を行っ. 数値計算の重複回避,許容誤差を指定して区間を自動等. てきた技術者が書いたものだからである.取り上げられ. 分割する方法,精度が問題となる区間を細かく自動分割. ている項目は,著者が実務上重要と考えたもので,教科. する方法,というように進めている.. 書的に主要技術を網羅した形ではない.取り上げられて. 著者は C の出現以前に Fortran で育った世代であり,. いない分野もいろいろあるが, 基礎が理解できていれば,. (Fortran の)複素数演算の機能を利用すると座標回転等. あとはトピックスごとの知識を得ることで対処すること. が簡単にできると言っている.しかし,現在は C が最も. ができるであろう.技術者が書いたものだけあって,実. 広く使われていることを考慮して,本書の例題プログラ. 際に結果を得るために注意すべきことが問題の種類ごと. ムはすべて C で書かれており,付録に C による複素数演. に述べられており,先達が陥った同じ罠に落ちなくてす. 算関数のソースプログラムをあげ,それを利用すること. むように配慮されている.実用上重視しなくてよいこと. によって,座標変換等が簡単になることを示している.. も適宜述べられていて,それを心得ていれば無駄な努力. 変数名や関数名の頭文字に大文字が多いのは,Fortran. をせずにすむ場合も多いであろう.. 世代の名残であろう.. 評者も数値解析をちょっとかじったことがあるが,離. 各章の始めと本論の説明の随所に,コンピュータがよ. れてから久しい.本書を読んでみると,蒙を啓かれるこ. うやく実用され始めたころの苦労話やデバッグを効率よ. とが多い.当時は,良い結果が得られずやたらに試行錯. く行う方法などが述べられており,これらの脇道の話. 誤を繰り返したこともあるが,本書のようなものがあれ. も面白い.配電ケーブルの不良個所を突き止めるため. ば,そのような無駄はしなくてすんだと思われる.. に,ケーブルを半分に切ってどちらが不良かを調べ,悪. 内容としては,. い方をさらに半分に切って調べるということを繰り返し. 1 章 補間法(ラグランジュ,順不同点列,曲線,他). ていたという話から,プログラムの不良個所を突き止め. 2 章 方程式の解法(代数方程式,超越方程式,周期関. るためには,半分まで走らせた結果を調べることを繰り. 数方程式,他) 3 章 数値積分(シンプソン, 自動等分割, 自動不等分割, 他) 4 章 連立方程式の解法(ガウス・ジョルダン,逆行列, S.O.R ,他) 5 章 最小二乗法(直線当てはめ, 多変数関数, 代数関数, 他) 6 章 平面ベクトル(行列による座標変換,複素数によ る座標変換,他). 返す 2 分探索でやればよいというような話も,なるほど と思わされる.著者の若いころと現在では,コンピュー タの性能や利用の仕方に隔世の感があるが,著者は最近 までコンピュータを使いこなしてきたようで,現在の環 境ではどのようなプログラム開発方法が良いかというこ とも,観念論でなく実際に即した形できちんと書かれて いる. 実務者が本を書くことは少なく,経験に基づくノウハ ウが伝承されないことが多いが,本書は限られた範囲で. 等である.小項目ごとに丁寧な注釈のついたプログラム. はあるがノウハウを伝えようとしているものである.文. とその実行結果があり,書かれた内容をすぐに確かめる. 章が「です」「ます」調であるのは,技術文書として冗長. ことができる.方式説明が数学的な面とプログラム技法. と感じる人もあると思われるが,単なる技術以外の内容. の面の両方から簡明になされているのは,著者が大学で. も伝えたいという著者の心情の表れかもしれない.数値. の非常勤講師の経験もあるためである.読者としてプロ. 計算の門外漢であっても,プログラミングやデバッグの. グラマや学生を想定しているが, 「面倒くさがり屋や理. 仕方等について,参考になる点が多いと思われる.. 論嫌いであっても読みやすいように」と,まず要点を囲. . (渡邊 坦). 情報処理 Vol.49 No.5 May 2008. 579.

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