哺乳類遺存体{
こ鳥浜貝塚85区出土の獣骨をとおして
残された解体痕の研究
本 郷 一一美
はじめに 1.方 法 2.結果と考察 (1)解体痕および焼痕の見られる頻度 (2)解体痕がつけられる部位 (3)骨に解体痕を残す活動 (4)シカ,イノシシの四肢骨に見られる破損 3.解体,分配,調理の単位 4.骨の二次的利用と,人間以外の動物による損 傷について まとめと今後の課題はじめに
縄文時代の遺跡から出土する動物遺存体には,さまざまな傷や変形が残されている。これら の損傷には当時の人間の狩猟活動における,獲物の獲得から解体,肉の分配と調理,不用な部 分の廃棄に至る過程の中でつけられた人為的なものと,風化などの自然力や人間以外の動物に よるものが含まれる。図1は,狩猟から廃棄に至る一連の人間の活動の中で骨が損傷や破壊を 受ける過程を示したものである。考古学者が分析の対象とするのは,このように自然あるいは 人為的な要因によりさまざまな変形を受けたり,一部が消失したりしたのちに残された骨であ る。 古生物学で使われるtaphonomyという用語は,動物の死からその化石が研究の対象となる までの過程を,標本に影響するさまざまな要因を含めて指すものである。考古学においてこの 過程が論じられる際には,特に,動物遺存体の廃棄や残存状態に関わる文化的な要因が重視さ れる(Meadow,1980:66)。獲物が一定の手順にしたがって処理された場合,損傷の残される 部位やその状態には規則性が認められるはずである。遣跡から出土する動物遺存体から,狩猟 をめぐる当時の人間活動を復元しようと試みる際には,骨に残された傷が重要な手がかりとな る。動物遺存体に残された解体痕の位置や頻度と,筋肉のつき方などに関する解剖学的な知識 とを組み合わせることにより,過去および現在の人間の,動物を解体する技術を知ることがで きる(Bunn&Krol11986:436)。 本論文では,福井県三方町鳥浜貝塚で1985年度に発掘された動物遺存体のうち,L2区出土 149哺乳類遺存体に残された解体痕の研究 の哺乳類の骨,計8229点を対象として,骨に残された人為的な傷や骨の破損状態に注目し,獲 物の解体,分配,消費をめぐる人間活動について考察することを目的とする。ここで扱う標本 は,図1中の「動物遺存体2」(集落において廃棄された骨)にあたる。
狩猟地
皮剥ぎ 第一次解体 解体痕1 廃棄 自然力による破壊 動物による破壊 変形,消失 l l l | } (一部他の集落へ?)1 4 1 ‘ 1 : (分配?) 一一一一狩猟具? 集 落 第2次解体 分配 解体痕2 骨の破壊 自然力による破壊 動物による破壊 変形,消失 図1 狩猟の獲物をめぐる人間活動と考古遺物として残る動物遺体 150はじめに 1 ン
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図2 シカ・イノシシの各部位で解体痕の多い場所 1:イノシシ下顎骨(外側) 2:シカ下顎骨(外側) 3:環椎(図はシカ。イノシシの場合も同じ位置に付けられる) (腹面) 41シカ肩甲骨(右)(外側) 5:シカ肩甲骨(右)(内側) 6:イノシシ肩甲骨(右)(外側) 7:シカ擁骨お よび尺骨(内側) 8:イノシシ僥骨および尺骨(内側) 9:シカ上腕骨(前面)10:イノシシ上腕骨(内側)11:イ ノシシ寛骨 12:イノシシ大腿骨(内側) 13:イノシシ脛骨(内側)14:シカ大腿骨(前面)15:シカ脛骨(前面)骨 幹部に多数のキズが見られ,後面にも多い 151嵩N 表1 鳥浜貝塚85L2区出土の解体痕のあるシカの骨 番号 リド グツ 層
部位
55506a2125055622333355⑨55∈
111
1 −1 1寸⊥ 1 1 1IKJHH
JIHJGH
11701600696000707679617817
IGIGKJKGHIIJKGK
44344344333444343333343343
霊霊㎜鑑瓠耀㍑響霊瓢㎜霊鵬㎜
環椎
環椎
第6頸椎仙骨
椎骨
前頭骨 前頭骨 前頭骨 前頭骨 前頭骨 前頭骨 前頭骨 前頭骨 角 角3 角
3 角
3 角
3 角
5 角
5 角
9 角
5 角
5 角
6 角
2 下顎骨傷 の 位 置 1
近國遠囲端国∋司外倒後倒背1側
1 111⊥−
11
11
1 1111
1
1▲− 1 11
11
1ーム
傷の状態
1剰深倒長倒複
1 111
1 1 1 11← 11市⊥ 1 1 1 1 1 傷の方向 平行1垂申め 1 1 1 111
十1 1 十1 1 焼 備 考 椎体 角つけ根 2−3本 角つけ根,眼窩上 部 角つけ根 切断? 角第3枝すりきり 切断 溝+周囲に傷 すりきり 先端近くに2,5× 1cmの穴 枝に沿う溝 すり切り 削り 付け根 又 2ケ所 一 品 磐溢磁載巷π麟碑ぎ盲溝妾鴬O剣﹃㌫口 番号 リド クツ
G
CGGGGIGJKKIJKGGIJKGIIIJIKHG17908109086918081091981710014334344343334343443433434444
7993877904162420199
47 66 96 62 78 留 85 96 81 30 20 04 06 35 63 30 81 95 姐9636197333848710753
1
00149251
一 旬 92 88 循 43 万 姐 ゐ67472999
層 部 位 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨顎顎顎顎顎顎顎顎顎顎顎顎顎顎顎顎顎甲甲甲甲甲甲甲甲甲甲甲
下 下 下下下下下下下下下下下下下下下肩肩肩肩肩肩肩肩肩肩肩
2 2 2 2 2 222335510101010162
2223355588
傷 の 位 置近倒遠川端国右w外倒後陶背1側
1 −¶⊥ 1 1 1 1 1111
1 1 1 1ームー 111111
11
1111
1 111
1 1 1111
1 1 111
11111
11
11
1 十1 111
11
11
1 11111
1 1 1 傷 の 状 態∋司幅肉短惨
1 1 1 1 1 1 1 111
11
1 1 1 1 111
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 傷の方向 平行陣斜め ームー 1 1 1 1 1 111
11
1 1 1 焼 f止田 考 下顎枝 日後部 下顎枝 下顎枝付け根 下顎枝付け根M2の下
日後部 下顎体 3本 周辺に数ケ所 唇巨さπ」
O
へ 番号 グツ リド 層 部 位 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 腕 腕 腕 腕 腕 腕 腕 腕 腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕椀腕腕椀腕
上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 上 9臼 ウ“ 9臼 2 ワ“ 9錫2222233335555555555101010
D
GHHGGKJJKHKIKKKIIIIJIHHIKJH
訂 41 40 38 39 39 39 41 40 37 39 39 41 ω 40 36 37 38 37 36 40 ▽ 37 ▽ 38 39 40 40 64 65 83 32 64 29 01 91 32 45 46 03 12 46 17 95 31 42 95 12 56 48 69 26 34 04 06 85 67 02 36 85 40 39 34 57 59 00 53 43 48 74 74 82 39 85 3952239636331妬2189
1 1 傷 の 位 置近幹園片端左右1内外前後腹背側
1 1 1 1 寸⊥− 11111
1111111111111
11111
11
−▲1111
11111上−
1十 1 1 1 −11 1 111
1 111
111111
1 1 1 1 111
11
1 1 1 1 1 1 −▲1ームームー11
−←ーユー111
1 1 1 111
十1 1 1 1 1 1 1 1 1 −占11 1 十1 傷 の 状 態浅深幅長⇒複
1111寸⊥−
111
1 1 1 11⊥111
11
111
1 1 1 1 十1 −⊥−⊥ 1 1 1 十1 1 1 1 ユ 1 傷の方向平行⇒綱
1 1 1 1 11▲ 1 1 1 1 1 111
1 1 十1 十1 1111
11
十1 焼 備 考 本本 数 3 多数 2ケ所咬痕穴
方向不定 前下がり 2本 連続削2ケ所 多数,後ろ下がり 全体に細かい傷+ 咬痕 多数 喘「 溢磁噺辞育違妙き津漬森満O卑」 軌 朝 番号
235295868344668211763876490684793031099843688209736848167087878888890959927092803404
286495941336368668
840630743
1
1 リド クッ 391 41H 37J 38H 41K 39J 41K 36G 41H 37G 37G 36G 38G 381 40J 39G 41」 36G 41G 36G 401 38G 40K 39G 39K 層 部 位 傷 の 位 置近剰遠片副左∋内肉司後腹背側
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1鵬
噸
齢
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鴎
鴎
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15 91122222255555555101010122510
3手根骨3 2 中手骨 2 中手骨 111寸1111
1 1111
111
1 111
111
1 111
1 1 1 1111
1 111
1 1−▲111
1 1111119.−
1 111
1 1 1 1 1 1 ¶⊥− 11⊥ 1 1 1 1 1 十1 1 1 1 1 1 1 1111
十1 111
1 1111
十1 十111
傷 の 状態浅深帷1副短複
111
1 1 1 111
11
1 1 1 1 1 1 十1 1 111
111
11111
11
−よ111
1 傷の方向 平行已「斜め 1 1 1 十1 1 1 1 1 1 1 111
111
−よー 1 1 1 1 焼 ‘止田 考 多数 多数 4−5本 叩き? 上腕骨接続部上縁 近位 切断 汁G
&六」 軌 ぴ 番号 リド クッ
GIHGGGHGHJKK∼IJHIGIHGJIIGIH1
68087601710081801810989601613343334434443434434433334434
067873034812254208475396547176462795177514924177561439338595855217445444235796866394
7445771216291935546545
68848
層2501113532335555589122222222
1ふ9 0∨ 部 位 中手骨 中手骨 中手骨 中手骨 傷 の 位 置 中手/足骨 中手/足骨 中手/足骨 中手/足骨1 寛骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 脛骨 脛骨 脛骨 脛骨 脛骨 脛骨 脛骨 脛骨1111
1 1 1 1近1幹司片剛左肉内外前後腹同偵1
11
111
11111111
1111
111
11▲−11111ふ
−▲− 1111
111
11
1 1 1 1 1 1 1 11111
1 1111
11⊥− 1 1111
11
11
1 −⊥11 111
1 11よ 1 1 −1寸⊥11
11
−⊥− 1 1 1 111寸⊥−11
1 傷 の 状 態浅深⇒長倒複
1111よ
−111 1 11ふ 1 1 1 11111
−ふー 1 1 1 1 1 1 11⊥ −⊥− 1 1 1 1 1 −11 傷の方向 平行垂昧め 111
1 11← 1 1 111
1 1111
十1 1 1 1 1 1 焼 十1 備 考 全体 密 転子付近 多数 数ケ所 数本 関節沿いにも 方向不定 孟蝋F通ぷ荊壽π湛倍ぎ\ミ グリ 番号 層 部 位 ッド 傷 の 位 置
近幹同片倒左同内囲前肉腹1背側
傷の状態 傷の方向
焼 備浅倒司長倒複⇒郵斜め
考 663140G 745640K 382641J 745540K 247138G 247538G 830541K 804436H 774539」 151138J 778338J 819138K 828536K 318941J 210940K 285737G 1032038G233333555515555000
−ふ11 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 脛 脛 脛 脛 脛 脛 脛 脛 脛 脛 脛 脛 脛 脛 脛 脛 脛 1111▲−
11111
μ1戸111ーユー111
1 1111
11
1 1 11111
111
−←11エ −11 1 1 111
1 1 11十1
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1 1 1 十1 十1 11十1
1 十1 ユ 1 111
1 1 −よ11 1 1 1 1予111
1 1 1 1 111
1 1 十1 1 1 1 1 十1 1 十1 1 1 十1 1 1 数本 2ケ所 2ケ所 多数 多数 多数 2157 2149 40K 40K 10 10 脛骨 脛骨 1 1 1 ヱ11
1ヱ
1 ︷
1+・﹁ 1 多数 多数 削り +咬 痕? 682 39G 10 脛骨 1 1 1 1 1 1 1 1 十1 10171 39H 10 脛骨 1 1 1 1 1 1 2791 391 15 脛骨 1 1 1 1 1 1 1 前下がり 5117 38G 15 脛骨 1 1 1 1 1 1 1 1 2895 36G 15 脛骨 1 1 1 1 1 1 1 2911 381 15 脛骨 1 1 1 1 1 1 2223 40K 18 脛骨 1 1 1 1 1 1 7847 40K 20 脛骨 1 1 1 1 1 1 1 全面平行1−2cm 長 636 36K 1 距骨 1 1 1 1 十1 1 十1 十1 存巴&丙宗o。 番号 リド クツ
IIKIHGKIJIIJJIIIKICKIIIJKJGG
40 41 39 41 36 路 40 41 39 39 41 41 43 37 田 40 40 39 37 38 37 38 41 38 41 38 40 41043622563874009976090884726701516380947594312590275821656444193465476554526355271434
5535367756552779336378279490
1
層2222555522223338222335558586
11 1 1 部 位 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 骨 距 距 距 距 距 距 距距踵踵踵踵踵踵踵踵
足根骨c+4 中足骨 中足骨 中足骨 中足骨 中足骨 中足骨 中足骨 中足骨 中足骨 基節骨 基節骨 傷 の 位 置 1 111
1 1近∋剥片司左固内囲前倒腹倒側
1111⊥
111
1 1 ユ 111
1 1111
1 1 1111
11⊥11
1 1−⊥111
1 11⊥−11
111
1 十111
1 1 1 十1 1 111111
1 十1 111
1 111111
111
傷 の 状態浅圏幅1長∈複
1 1 111
1111
11
1 十1 1 1 1 1 1 1 1 111
1 1 111
1 1 1 1111
111
傷の方向 平行∈酬め111
11111111111
1 1 1111
1111
十1 1 十1 焼 備 2−3本 全面5mm幅
1縦に半割 4ケ所 削り 2cm 削り 轡 滋 溺 剤蔀百灘碑さ汁轄森満○草遼 考一
番号 9975 7376 リド グツ 41H 36K 層
2FD 1
部 位 中節骨 末節骨 傷 の 位 置近倒遠囲副左∋内外司後司背1側
1 傷 の 状態浅剰幅長短惨
1 1 傷の方向 平行輌斜め 1 焼 備 考 咬痕? 近:近位部,幹:骨幹,遠:遠位部,片:破片,端:骨端内:内側,外:外側,前:前面,後:後面,腹:腹側,背:背側,側:左右不明の場合の側面,浅:浅いキズ,深:深い キズ,幅:幅のある切り込み,長:長いキズ(1.5cm以上),短:短いキズ(0.5cm以下),複:同じ位置・方向で数回以上繰り返し切りつけている場合,+:2ケ所以上にキズがある こと,(例1:近と片とに1とある場合は近位部の破片であることを示している。例2:内と前に1とあるときは,内側前方を示している) 略号・その用い方は表5まで共通 表2 鳥浜貝塚85L 2区出土の解体痕のあるイノシシの骨 ㌫Q 番号 2372 9531 6788 3792 4368 1655 2915 7918 9919 5685 6908 3960 4507 4532 3214 リド グ ツGGDJIGHIIHJGGKKJ81706088819899803434343334333334
層2223300532252052
11ふ1
11
部 位 環椎 環椎 環椎 環椎 環椎 環椎 環椎 環椎 腰椎 上顎骨 頭頂骨 側頭骨 後頭骨 後頭骨 後頭骨 後頭部 傷 の 位 置∋幹遠囲端国右倒外前国腹1背側
1 1 1111
11
1 1 −▲−⊥111111⊥
11111
111
−寸⊥ 十1 1 1 1 傷 の 状 態浅深幅1∋短複
1 111
1 1 十1 1 1 1 1 1111
1 1 1 1 111
傷の方向 平行鎚【斜め 1 1 1 1 焼 備 考 背:1 腹:数本 多数 犬歯槽部 額中央 割 眼窩上部 後頭穎 直下 後頭願 割,溝 藁G&古宗⇔ 番号 リド グツ 層
3444344334433334433444433444
G
K
K
∋JlGGHHHHJHJIHGKIHKHHGJJH1
8111910960098880178101079010
㎜
㌶隠㌫蒜鷲㌫獺霊卿㌶皿鎚㌶郷㌶
1
部 位 傷 の 位 置∋幹倒∋端国右画外前1剰腹間側
灘璽灘謙巖嬬巖購璽描購醐騨
2 ウ錫22222233355551010101522235551010
1 1 1111
1 11111
111
了11 1 1 111
111
11
1 1 111
11
1 1 1 1 1111
11ーユーユ
1111
1 111
11
1ーム 1 1 111
傷 の 状 態 傷の方向劇司幅園副複平行煽鍋
11
1111
111
11
1 1 1 1 ユ 1 1 1 1 111
1 1 1 1 1 1 1 111
1 1 1 ユ11
1 1 1111
11
1 焼 備 考 日後部 2−3本 2−3本 下顎枝切断 2ケ所 日後部 数本 数本 日後部 咬痕? 日後部 正中部 横断 咬痕? 溝 すったような傷 咬痕 = 爵 摯 滋 蕗 荊喜市灘峡ぎ詩忘﹂ 番号 リド グ ツ
層 部位
傷 の L乙 仁 置近倒遠∋剃左肉内パ前i糾夏間側
卵
㌶
鴎
鴎
罐
麟
鴎
鴎
灘縮鴎賠賄鵠欝翼
第 15222255555681010102318222
3 5 5 5 1 2 2JIJGHIHJKJHJJIJKJGIIIIGGHGIJ
38 41 41 39 40 41 36 41 39 39 38 41 勾 40 40 36 41 36 41 38 38 37 40 38 訂 39 39 39 05 83 70 15 38 56 37 92 99 97 06 84 14 11 13 73 47 67 83 60 61 10 37 26 51 92 28 92 44 53 57 40 36 22 31 31 78 40 17 92 82 20 82 86 38 77 54 48 48 75 24 69 63 62 58 56 1 11111
11
1 1 1 11111
11111
11
11
1 1 1 1 1 1 111
11
111
11⊥− 1 −ふー 1111
11
1 1111
1 1 111
11
1111
11
11111111
111
十1 1 十1 1 1 1 111
1 1 1 111
11
1 1 1 1111
1 傷 の 状態浅肉司長∈惨
1 1 1 1111
111
11
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 −11 1 1 1 1 1 1 1 1 1 傷の方向 平行1垂直1斜め111
111
1 1 −⊥− 1 1 1 1 1 1 焼 ‘出田 考 後ろ下がりの傷 多数 3.5×2cmの穴 穿孔 多数 方向不定多数 咬痕? 1本 2本腸骨側 舜巨5六宗ふ 番号 リド クツ 層 部 位 傷 の 位 置
近倒遠匡端国右倒外司後1腹倒側
1 1 1 1鯖
鑓翼鶴蕪鶏欝鵬㌶㌶囎囎㌶鯖㌶㌶
222510101515225222223551010102318222
㌶㌶霊劉㌃瑚㌶姐餌㌶霊叫姻姻鰻麸㌫
43 79 64 ▽ 92 17 16 23 01 23 69 31 47 59㎜
農黙獺霊皿霊霊
13 39 74 30 81 82 82 82 56 33 77 98 55 641
1111
1 1111
1 1 ユ11
1 1 1 1 1 1 1 1 1 −▲− 11111
11111
111
111
111
111
1 1 −呼⊥11ふー⊥11111
11
11
111111
十1 1 1 −⊥− 1 1 1 1 1111よ
1 1+1
傷 の 状 態 傷の方向副深曄長∈惨平行∈畔め
111
111
111
1 1 1 1 ームー− 1 1 1 1 111
1 1 1 1 1 1 十1 1 1 1 −¶⊥ 1 1 1 ¶⊥1111
11⊥111
1 1 1 1 1 1 焼 十1 +田 9 腸骨側 恥骨 腸骨 坐骨板上 寛骨日周囲 寛骨臼 前 仙結節付近 轟 苦 滋 磁馨市溺峡Sけ遭令満e司冶 考一
後上一前下 日後部 数本 前下がり 咬痕 3ケ所 遠位端に咬痕 2本 上端切断」巴 番号 9584 7814 9895 9897 9740 リド クッ
K
K
H
K
K
K
118111
4ユ4ユ3444
層558220
1
1 部 位 首 勿 f の 位 置 踵骨 踵骨 踵骨 中節骨 中負行背’ 中節骨近肉遠片圃左肉内囲前肉腹閂側
1 111
11
111
1 1 傷 の 状 態浅酬∋∋短複
11
1 1 1 傷の方向 平行1⇒斜め 1 焼 備 考 咬痕? 咬痕? 表3 鳥浜貝塚85L2区出土の解体痕のあるイノシシ・シカ以外の哺乳類の骨 番号巴
990641K 793941J 578341J 160941G 801841H 1579411 766537K 410339J 789439J 143739G 802641G 346039K 163840G 層2526893558120
17
0∨ − 種 名 オオカミ カモシカ カモシカ カモシカ カモシカ カモシカ オットセイ? ニホンザル ニホンザル ニホンザル タヌキ ッキノワグマ ツキノワグマ 傷 の 位 置 部位近岡細端左同内囲前1粋倒側
中足骨 下顎骨 大腿骨 上腕骨 上腕骨 椀骨 上腕骨 大腿骨 下顎骨 寛骨 犀骨 下顎骨 頭頂骨 1 1 1 11i
li 1 1 111¶ユー11
1 1 1 1 1 11
111111
1 11
11
11 11
1 傷 の 状 態司深倒長短惨
−ふ111
111
1111 1 1
傷の方向 平行1⇒斜め 1111
111
1 1 1 十1 焼 備 考 咬痕? 多数 2本 +咬痕 十両立掲 1旋丹芝 下顎枝付け根 存 頭頂 前後 G 六ま瓜 表4 鳥浜貝塚85L2区出土の解体痕のある種不明の骨 番号 8828 8822 8824 7887 6574 8638 5469 10262 2373 5623 5624 9002 910 10216 7842 7818 4016 南口 リト グツ
GGGIIHIGGIIHHHGGG7770981180008990933343344344433
4 3
3
11122
11122222222000002
部 位 ? ? ? ? ? ? ? 上腕/大腿 寛骨 肋骨 肋骨 肋骨 肋骨 肋骨 肋骨 肋骨 脛骨 傷 の 位 置 近 幹 遠 傷 の 状態∋端左右内囲∋後腹固側浅深幅長同複
11ーム ー−⊥
1 1 1111111111
1 1 1? 9・・11
1 1 1 十1 1 1 −寸⊥11
1⊥− 1 11 11
1 1 1 111
11
11
傷の方向 平行垂昧め11 1
111
焼 十1 七日” B 考 多数方向不定 多数方向不定 2本 咬痕/叩き 全面 表5 鳥浜貝塚85L2区出土の焼骨 番号 4981 4978 4979 リド グ ツ 36G 36G 36G 37G 層1111
種名
Or・ 9・ 9・ Or・ 部 位 9・9・9・9・ 傷 の 位 置近倒遠片端左固内囲司後凶背側
1111⊥
傷 の 状態浅深圃長短複
備 考 毒輪[蟷磁尉書育灘領ぎ汁覇巷穎O宗O 番 号 4982 4983 6900 8824 9987 4630 9986 5669
638 30832
69 84 51 一 63 σ 88 64 68646 45764
6795641667382278
一〇4696164
06494055
1 1 リド グ ツGGGGHGHJHKCGJIGJIGGGKJGHGGJ166891019717000090061700109913333444334344443443434444334
層 種 名1111222222222222222222222222
9・9・9⇔9・?・9・9・?・9・9’9・9・9・?・9・9・9・?・9・9・?・?・?・9・9・9・9’9・ 部 位 9・9・9・9・9・9・9・9・9・9’9・9“9・9・9’9但9‘9・9否9・9・9・9・9・9・9・9・9ウ 傷 の 位 置 近 幹 遠 片1111111111111111111111111111
端 左∋内
外 1 前 後 腹 背 狽‖ 傷 の 状 態 浅 深已長∈
複 備 考 ㍍G&日ま軌 番 号 リド クッ
JKJGKHGHGJJJKIHIIJJHIIJIJKKJ77997191077776767918978019003333343443333333334333344344
658148349103 60
20∨ 71 06 88 04 06 98 96 98 63 61 61 61 一 39 17 一二9850二484230527126
806409396999
1 1 ﹂4∠−70
1
524744
090∨4▲78
1層1種名
12222222223333333555555588000
111
9・9◆9・9・9・9・9・9・?・9⇔9◆9・9・︹了9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・ 部 位 9・9・9・?・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・9・?・ 傷 の 位 置近倒遠片副左右内外∋後1腹背}側
11111111111
11111111111ーユー111
1 傷 の 状 態浅剰幅司司複
1
備 考 輿 懲 磁 荊巷n麟仙ぎ汁遭寡鴬θ自宗S 番 号 9695 8955 8140 8265 10347 10349 4500 7853 7852 7413 7851 5011 7418 7420 7417 4877 5330 4974 7752 4844 1530 6871 5657 リド クッ
K
H
JJGGJHJHJHIHHKKKIHGJGIGHJK
10108899689898099989690711774444333333333343333333434433
層000000555555553555221525201
11111111111111
111 1
種名
シ シ シ シ シ シ 9・9・9・9・?・9・9・9・9・9・?・?・9・?・9’9・9・9・?・?・9・9・?・?・ノノノ
イイイ
11イノシシ 部 位 傷 の 位 置近幹遠片剛∋右内外圃後倒背1側
? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? 腰椎? 頭蓋骨 頭蓋骨 頭蓋骨 角? 肩甲骨 脛骨 中手/足骨 肋骨 1 頭蓋骨 胸椎 側頭骨 犬歯 肩甲骨 11111111111111111111111
111
1 1 1 1 1 1傷 の状態
浅糾冨長国複
備 考 占⋮ 7 下顎窩 斉巨&丙宗 。。 番号 リド クッ
H
JIKGGHHJJKKKHGIKKKG∼GGGJIKG8767ユ80617119991888910006071
3 333434343443334333344443434
40 39 12 59 76 46 74 76 「 73 96 94 28 57 40 90 16 17 06 42 56 47 48 ▽ 67 99 72 4367564366 8665305048056666592
8 5903 6994544318486665559
1
層1251202121000222512202221228
1 111 1種名
イノシシ イノシシ イノシシ イノシシ イノシシ イノシシ イノシシ イノシシ イノシシ イノシシ イノシシ イノシシ イノシシ イノシシ シカ シカ? シカ シカ シカ シカ シカ シカ シカ シカ シカ シカ シカ シカ部位
灘藁無囎謙㌶麟角角角露露灘
傷 の 位 置 近 111
1 1 1 1 幹 1 1 1 1 遠 1 1 1 1 片 1 端 左 1 1 1 1 11111
1 右 内 111
1111
1 1 1111
1
1←− 1 111
111
外 1 1 前 1 1後腹
1 背 但ロ傷の状態
浅 1 深 百 田 巾 長短複
備 病変 後頭頼 先端先端磨
茜蝋[遼距詞禽市麟以≒泣潰S満δ司藷 考一
\ ぴ ℃ 番 号 “ソト グツ 表
G
H
K
GIHGGHHHGJGKKKHGHJIKGGK1
1997107989890910008696061909
333443333334344443333434343
80 43 10 61 90 71 55 23 36 07 92 03 99 00 04 28 26 27 88 76 09 51 研 84 33 22 25 73 38 勾 53 563206011702963241437777778849535655827677747
1
1← 層221201220012550005122250002
1 111111
1占11
種 名O∼
カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ
シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ 部 位 梼骨 榛骨 梼骨 尺骨 尺骨 尺骨 中手/足骨 中手/足骨 中手/足骨 中手/足骨 中手/足骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 大腿骨 脛骨 脛骨 脛骨 脛骨 脛骨 脛骨 脛骨 脛骨 脛骨? 傷 の 位 置 傷 の 状態近幹遠同端左右|内⇒前後腹背側当深幅長短複
111
−よ−入−111
1 1 1 1 1 1 1 1 −11よ 1 111
¶11ふー111
1 1 111
1111
1111
11
1 1 1 ¶⊥− 111
1享 1 1 1 11111
111
1 1 1 1 1 1 1 1 備 考 +咬痕 ㌫巨&六さ 番号
4988 720 5478 5660 6877 4631 6740 4480 6519 8034 9909 9908 リド グツG
GIKJGKJJGKK691770890111
’4’4
3343343344
層102112252122
1 1種名
カカカカカカカカカカカカ
シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ シ部位
距骨 距骨 踵骨 中足骨 中足骨 中足骨 中足骨 中足骨 中足骨? 基節骨 基節骨 中節骨 傷 の 位 置近∋遠片剛左右内囲前剰腹背側
1 −占11寸⊥− 1 111
11
1 −寸← 1 1傷の状態
浅深幅長短複
備 尋 書 溢 磁 荊 森六違肋き汁濡妾満O潮藷 考 表6 L2区で解体痕の見られた骨片層序
1235689056
11寸⊥
ニホンジカ
解顧惨骨
5279062145
624 21
12
1504010120
1 イ ノ シ シ解体痕 焼骨
1412110760
412
16601000500
カモシカ0101001001
オオカミ0100000000
ツキノワグ マ0100000100
タ ヌ キ0000000000
オットセイ?
0010000000
ニホンザル0002010000
種 不 明
解体痕 焼骨
3600000300
00 19680020970
1層序
8081
1279
ニホンジカ
解体痕 焼骨
110QO
0000
イ ノ シ シ解体⇒焼骨
3000
0000
カモシカ0010
オオカミ0000
ツキノワグ マ0000
タ ヌ∋
1
オットセイ?
0001
0000
ニホンザル[種不 明
0000
解体痕 焼骨
0100
00︵UO
総⇒・96
54 106 18 5 1 2 1 1 3 13 91 表7 解体痕のある骨および焼骨(部位別) (%は部位ごとの出土数に対する割合) 」ご部 位
頭部 角 下顎骨 椎骨 肩甲骨 上腕骨 梼骨 尺骨 寛骨 大腿骨 脛骨 腫骨 シ カ解 体 痕
No. %8
12 18 環12 頸:1 仙:1 11 30 185
1
11 358
5.0 4.0 11.3Ll
1.7 10.0 8.7 17.4 12.0 5.7 0.9 4.9 15.6 8.7 焼 骨 No. %5
4
0
環:234330891
3.1 1.3 0.0 1.1 2.4 2.3 2.0 3.4 0.0 3.640
1.1イ ノ シ シ
他 の 哺 乳 類解 体 痕
No. % 7 19 環:8 腰:184361316
1 1
1 2.5 7.9 11.0 1.6 9.8 14.4 5.7 8.3 18.3 3.3 10.3 16.2 焼 骨 No. % 10
胸:122030241
0.4 0.0 1.6 2.4 2.1 0.0 4.2 0.0 2.2 3.7 2.7 解 体 痕 No、2030
03101200
クマ,タヌキ ニホンザル,クマ,カモシカ オットセイ1、カモシカ2 カモシカ ニホンザル カモシカ種 不 明
解体痕
No.0000
00001000
焼 骨
No.5
1?0
腰:1 ㌫巨さπ10000010
」
N
∼ 部 位 距骨 中手骨 中足骨 中手/中足 指骨 その他 部位不明 シ カ 解 体 痕 No. %9694211110
節 節 節 根根 基中末手足
9.3 3.9 2.9 2.3 1.5 1.4 3.7 5.3 2.9 0.0 焼 骨 No. % 2 0 6 5 基節1 中節1 0 0 2.1 0.0 2.0 2.8 0.7 1.4 0.0 0.0 イ ノ シ シ 他 の 哺 乳 類 解 体 痕 No. %31凸001
節 中 犬歯1 0 16.7 1.6 0.0 0.0 4.8 0.0 焼 骨 No. %01000
0 0 0.0 1.6 0.0 0.0 0.0 0.0 解 体 痕 No.00100
0 0 オオカミ 種 不 明 解 体 痕 No.00000
肋骨6 上腕/大腿1 7 焼 骨 No.00010
肋骨1 80 ・・| 54・.・1 ・・1・8い・1
13 「 吾 轡 滋磁荊巷碕湛暁さ汁漬巷溝S睾 十 ⇒=ロ ・961 106 15 91 表8 シカとイノシシの四肢骨の破損状態。状態を示す番号(1−13)は図3を参照のこと。 下段は各部位の出土総数に対する割合(%) (若:若年個体,近位または遠位1/2の列で(2/31)とあるのは2/3残存している点数) シ カ 大腿骨 脛骨骨端部を含むもの
1 完 形14
000
α 2 遠位端欠14
α14
α 3 近位1/276
号⊥ ° 7 25(2/3:2) 11.2 4 近位1/3 43 19.295
1⊥ ° 8 5近位端
48
工 10(若2) 4.5 6 近位端欠00
α14
α 7 遠位1/2 −占4 9臼゜ 9 35(2/3:3) 15.6 8 遠位1/361
1 ° 7 61 27.2 9遠位端
19(若3) 8.5 14(若3) 6.3 骨 幹 部 10近位半
80
1 ° 8 11遠位半
56 25.0 7‘6 1 ° 7 α00
12 中 央14
0 13両端欠
28
α14
α 0100
存G餅丙 部 幹 骨 の も む 含 を 部 端 骨 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
両端欠
央 中遠位半
近位半
遠位端
遠位1/3 遠位1/2 近位端欠近位端
近位1/3 近位1/2 遠位端欠 形 完43
200
α 4︵3a
るユ ー& 1 0.7 10 11.100
023
工23
1 6 3.5 15(若12) 10.0 18105
67 40.0 32 18、637
1 22147
26 17.3 17. α 9(若1) 8.4 0 0.0 0 0.0 18 20.0 「 D9臼 500
0 0 0.0 17(若3) 17.5 ロUρ041
ユさ 13 5ーユ若﹄
1KO
22
4ーユ
ユ 13 2 0 110(2/3:2) 0.0 1 11、103
1° 9 21(若1) 19.6旬9
ム2若&
反
87
0∨3
ロ ー9 437
L22
工 −ρ0 α 上腕骨 26 17.3 2令︼ 147
2
梼骨 シ カ67
6 9(若5) 8.4 11 11.321
2
12124
28289
16 16.5 5(若1) 5.257若口
4琢2
67‘47・
6 3
00
ユユエ 0
44
4
大腿骨38
2
脛骨28
300
0 10ソ エ37
5
10(若9) 18.954
9
00
0.00
α 呼⊥0∨ 1 11 20.8 0 0.0 8 15.100
0
8 15.128
00
α &
上腕骨 焼骨イノシシ
」 〉 口哺乳類遺存体に残された解体痕の研究
1.方
法
鳥浜貝塚85L 2区より出土した哺乳類遺存体に伴出する土器は,羽島下層H式から北白川下 層H式併行のものであり,いずれも縄文時代前期に位置付けられる。 出土した骨を観察し,解体痕,焼痕など,動物の解体や調理に際して残された損傷のある骨 をすべて抜き出し,標本番号,出土地点と層位,種名,骨の部位名,左右の別,傷の位置と状 態を記録した(表1∼4)。焼痕のみが見られる骨は別に扱った(表5)。明らかに骨角器の未 製品や破損品と思おれるものは除いた。 次に,解体痕のないものも含め,シカとイノシシの四肢骨の破損の位置と状態を記録した (表8,図3)。 なお,資料中には人間以外の動物による咬痕の残された骨がかなり含まれていたが,ここで はその一部を観察するにとどめた。 5 6 2 9 1 図3 四肢骨の破壊のタイプ 1741.方 法
a
b
心
|‘ー‘ーノ 図4 シカ・イノシシの解体における解体痕と骨の破壊 a:シカ b:イノシシ 図中矢印は解体痕の多い部分。実線は破壊されることの多い位置。 破線で囲まれた部分は比較的残りがよい 175哺乳類遺存体に残された解体痕の研究
2.結果と考察
(1)解体痕および焼痕の見られる頻度
解体痕が残されていた骨は,シカ196点(標本中のシカの骨片総数の6.1%,以下かっこ内は 同様),イノシシ106点(6.1%),ツキノワグマ2点(33%),カモシカ5点(13.2%),ニホ ンザル3点(1工5%),タヌキ1点(5%),オオカミ1点(3a3%),オットセイと考えられ るもの1点(100%),種不明のもの15点,合計330点であった。これは出土総数8,229点の4% にあたる。 焼骨は,シカ54点(1、7%),イノシシ18点(1%)種不明91点,合計161点で,出土総数の 2%であった。表6に各層位ごとの,また表7には種別に部位ごとの点数を示す。 このように,出土した動物遣存体のなかで解体痕のある骨や焼骨の割合はむしろ少ないとい える。ふつう,ひとつの遣跡から発掘された動物遺存体のうち,解体痕のある骨片の割合は 1−10%どまりであり,20%を越えることはごくまれであるという(Bunn 1982:210)。鳥浜 貝塚においても,同様の結果が得られた。筆者は石器を使ってヤギを解体する実験に参加した ことがあるが,経験の豊富な者が作業を行なった場合,骨に達する傷はあまり残らず,また傷 の多くは浅いものであることが観察された。石器が金属器ほど鋭利な刃をもたないことが,骨 に残される解体痕が少ない理由のひとつであろう。 (2) 解体痕がつけられる部位 シカとイノシシでは,傷がつけられる部位はやや異なっている。シカでは脛骨,上腕骨で解 体痕のある骨の割合が高く15%を越え,焼骨,下顎骨が次いで多く10%を越える。イノシシで は,寛骨,距骨,踵骨で解体痕のある骨の割合が高く15%を越え,脛骨,上腕骨も10%を越え る。シカとイノシシで差が顕著な部位は,寛骨,距骨,踵骨(イノシシに多い),擁骨(シカ に多い)である(図5)。 また,椎骨と肋骨には解体痕のあるものが非常に少なく,特に椎骨はイノシシの環椎以外に はほとんど傷はみられなかった。 傷は,下顎骨を除いて,内側についているものがやや多いが,前面が後面かにっいては傾向 性は認められない。骨端より骨幹部に傷が多く,方向は骨軸に垂直かやや斜めのものが大部分 を占める。左右の別による差はみられない。シカの脛骨は,2ヵ所以上に傷がついているもの が多い。 1762.結果と考察
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15% 20% 25% 図5 イノシシ,シカの各部位で解体痕の観察された骨の割合(%) (実線の範囲は標準偏差の2倍を示す) as:距骨 ca:踵骨 fe:大腿骨 hm l上腕骨 mc:中手骨 md:下顎骨 mt:中足骨 p:寛骨 rd:椀骨 sc:肩甲骨 sk:頭骨 ti:脛骨 v:椎骨 177哺乳類遺存体に残された解体痕の研究
(3)骨に解体痕を残す活動
ここで観察し,解体痕と総称した損傷には,解体,分配,調理,さらに骨の二次的利用(骨 角器の制作など)の各段階でつけられた傷がすべて含まれており,それらの判別はむずかし い。Binford 1981:(107−142)は,動物遺存体に残る傷を,皮を剥ぐ(skinning)時のも の,解体(dismemberment)の時のもの,肉を切り取る(filleting)時のもの,骨髄を取り出 す(marrow cracking)時のものに分類している。獲物を解体する際の傷は,関節の周辺など の特定の部位に,骨幹に垂直方向につけられるものが多い。一方,縦方向に長い傷と,筋肉の 集中する部位や骨の湾曲した部分につけられた斜め方向の短い傷は,肉を切り取る際の損傷で あるという。骨髄を取り出すために骨を打ち割る前に,骨の表面に残った肉を削ぎ落とす際 にも,これと同様の傷がつく。しかし,この場合の傷は四肢骨の遠位端付近などの,比較的 肉の少ない部位に見られるので,ある程度,肉を切り取った際の傷と区別することができる (Binford 1981:138)。 また,Binfordは狩猟活動の直後に獲物を運搬しやすいような大きさに分ける一次的解体と, それらをさらに肉を分配するために分ける二次的解体の区別を試みている(p.127)。一次的 解体には,四肢や頭部の切り離しが含まれ,この作業は狩猟活動の一部とみなされる。二次的 解体には,肉の切り離しや骨髄の取り出しが含まれ,集落に獲物を持ち帰った後に作業が行な われる。ただし,これらの二種類の解体作業の区別は必ずしも明確とはいえない。獲物が大型 動物の場合,肉を切り取る作業の一部は狩猟地での一次的解体作業に伴って行なわれるであろ う。骨に残された傷のみから一次的解体と二次的解体を区別するのはさらに困難である。今回 観察した出土資料においては,解体の時の傷と分配の時の傷とを識別できないものが多かった。 今回観察した骨に残された傷のうち,解体,分配,消費のどの段階でつけられた傷かを判別 できたのは以下の部位であった。①解体の際,頭を切り離す時に,環椎の頭側(ほとんどの場 合腹面)と後頭骨の底部につく傷(写真1−4∼5,4−1∼4)。②解体の時,下顎枝につ く傷(写真1−1,1−3,4−5∼6)。③シカの皮を剥ぐ時,角の付け根につく傷(写真 9−10)。これらの傷のつく位置は決まっており,傷の方向にも規則性があり,獲物が一定の 手順にしたがって処理されたことをものがたっている。四肢骨の傷は,どの段階で残されたも のかを判別することは困難であった。 (4) シカ,イノシシの四肢骨に見られる破損 鳥浜貝塚出土の哺乳類遺存体の大部分は破損している。これは,刃器によってつけられた解体 痕が残る骨が,全体の4%とむしろ少ないという事実と対照的である。鳥浜貝塚出土の骨に完 形のものが少ないことは,1972年度の発掘資料においても観察されている(稲波1983)。した 1783.解体,分配,調理の単位 がって,解体痕の残る位置と骨の破損状態との関係を追求する必要があると考えた。そこで, シカとイノシシの大腿骨,脛骨,上腕骨,挽骨の破損状態を13タイプに分類し(図3,表8), 各タイプの頻度を調べた。骨幹部の破片は,神経孔などのある特徴的な部分が同定されやすく, 結果に偏りを生じるおそれがあるため,除外した。 シカ,イノシシとも,脛骨と上腕骨は近位端側が破損しているものが圧倒的に多い。大腿骨 は,骨端部の残りがわるい傾向がある。シカの大腿骨は,遠位端側と近位端側の残りかたに差 は見られない。イノシシの大腿骨,イノシシ,シカの焼骨はむしろ遠位端が破損している。最 も保存がよいのは上腕骨の遠位側である。 以上の結果は,1972年度出土の資料から得られた結果(稲波1983)とほぼ一致する。ただし, 上腕骨の近位側は,イヌなどの動物によると考えられる咬痕がもっとも集中していた部位でも あるので,破損がすべて人間の手によるものとみなすことはできない。また,上腕骨,脛骨と ともに遠位端の方が近位端より骨が丈夫であることなど,骨そのものの性質の違いによる各部 分の保存率の差も考慮せねばならない。上腕骨の場合,遠位端周辺の腱を切らずに,尺骨,梼 骨の近位端とつながったままで廃棄する例が多いとの報告がある(丹羽1983)。鳥浜貝塚にお いても同様に,上腕骨と椀骨は骨幹部で破壊されることが多かったので,上記のような破損の 傾向が認められたと考えられる。 大腿骨の破損の傾向は,シカとイノシシでやや異なっている。これは,解体痕がシカでは寛 骨にほとんどみられず,反対にイノシシでは寛骨がもっとも解体痕のある割合が高い部位であ ることに関係があると考えられる。つまり,解体と分配の単位がシカとイノシシでは異なって いた可能性がある。
3. 解体,分配,調理の単位
前章で四肢骨の損傷について述べた。しかし,骨に残された解体痕や損傷が,獲物の処理の どの段階でつけられたかを区別することは困難である。これらの損傷が,解体の際の破損では なく,骨髄を取り出すなどの調理,消費の段階で生じた破損である可能性も高い。また,観察 した資料中には焼骨が比較的少なく,焼け方も軽度であることから,火で軽くあぶったり,あ る程度肉を削ぎ落とした後で骨ごと煮たりする調理方法がとられていたと推定される。調理の 際の処理の仕方の違い(たとえぽ煮る前に肉を削ぎ落とすかどうか,調理具の大きさに合わせ て骨ごと切断するのかどうかなど)によっても,解体痕や破損の状態に違いが生じることを考 慮に入れる必要がある。 そこで,骨に残された解体痕と四肢骨の破損の傾向をまとめて,解体,分配,調理の単位に ついての考察を試みた。図4に,シカとイノシシにおいて解体痕が多く見られた部位を矢印で, 179哺乳類遺存体に残された解体痕の研究 四肢骨の破損の位置を実線で示した。点線で囲んだ部分は,特に破損の少ない部位である。 動物の筋肉や腱が骨につく位置は決まっているので,動物を解体処理する際には,これが一 つの制約要因となる。したがって,解体痕は,解剖学的にみて肉や関節をはずす際に重要な部 位に集中するはずであり,ある程度文化や時代の違いを越えた普遍的なパターンを示すと考え られる。また,人為的な解体痕は,廃棄後についた傷とは異なった部位に分布するはずである。 解剖学的にみて重要な部位につけられた深い切り傷などは,石器による人為的なものと断定し て差し支えない(Olsen&Shipman 1988:551)。 一次的解体の一般的な手順を,Binfordは,北アメリカのヌナミュート(Nunamiut)族,ナ バホ族,アフリカにおけるいくつかの観察報告にもとついて次のようにまとめている(1981: 91)。 1.頭を環椎と後頭頼の間で切り離す。 2.首の部分と脊椎の他の部分を分ける。 3.四肢を切り取る。ただし,寛骨の部分を後肢側に付ける場合と椎骨側に残す場合がある。 4. 肋骨と椎骨の部分は,他の部分とは別に扱われるが,解体の方法は多様である。 Marshall(1988)は,ケニャの新石器時代のNgamuriak遺跡の動物遺存体を分析し,大型 動物と小型動物では解体痕のつけられる部位や,四肢骨の破損状態が違うことを指摘している。 大型のウシ科動物では,骨幹の部分の5α5%に解体痕があるのにたいし,骨端部では解体痕の ある破片は22.1%であった。一方,小型のウシ科動物では,骨幹部で54%,骨端部で6.8%と, 解体痕のある破片の割合にはあまり差が見られなかった。また,解体痕のある骨の総骨端数に 対する割合は,大型動物では18.3%で,小型動物の3.4%をうわまわっている。四肢骨の骨端 の残存率を見ると,大型動物では骨端が完形のものは2%にすぎないのに対し,小型動物では 42%が完形であった(p.667−8)。このように,動物のサイズの違いが,解体,調理の単位に 大きく影響すると考えられる。同じ種でも,幼獣と成獣では解体の方法が異なるであろう。 今回の出土資料の観察結果から推測すると,鳥浜貝塚においても,基本的に上記の解体の手 順と同じ方法がとられていたといえるだろう。頸椎には解体痕が少なかったが,出土率が脊椎 の他の部分に比べ高いので,首は一つの単位として扱われたと推定される。肋骨の部分の扱い は不明だが,解体痕の残されたものが数点あり,近位端に多いことから,脊椎の部分とは別の 単位として扱われたと推測できる。 イノシシの前肢は,梼骨から下はそれ以上分割されなかったのではないだろうか。シカの場 合は,中手骨が骨角器の材料として二次的に利用されたため,破損したものが多いと考えられ る。イノシシとシカは,サイズのうえではさして違わない。したがって,基本的な解体の手順 には大きな差はなかったと考えられる。解体痕の位置および四肢骨の破損状態に,イノシシと シカでほぼ共通の傾向性が認められるゆえんである。しかし,この二種類の動物は,体型と肉 180
4.骨の二次的利用と,人間以外の動物による損傷にっいて の集中する部位においてはかなり異なっている。イノシシは,足が短く,後肢の上部と腰のま わりに肉が集中している。このような体型的な特徴が,後肢の付け根付近の解体方法に影響し ていると考えられる。イノシシの後肢には寛骨と大腿骨を切り離す際につく傷が,寛骨臼や大 腿骨頭の周囲に観察された。イノシシの大腿骨骨頭は,シカのものに比べてがっしりしており, 寛骨臼もより深い。このため,骨頭を引き抜いて靱帯を切るのは困難である。寛骨に解体痕が 多く,大腿骨の骨幹部には少ない一方で大腿骨が遠位側で破壊される傾向が認められるのは・ イノシシの後肢のこのような特徴によるものであろう。一方,シカの場合は大腿骨は骨幹部に 解体痕が多い。したがって,寛骨と大腿骨が連結したままで処理されたか,後肢が寛骨臼から 引き抜かれ,顕著な解体痕を残すことなく靱帯が切断されたと考えられる。 第一次の解体が,狩猟地で行なわれたか集落へ獲物を持ち帰ってから行なわれたかは別とし て,各部分の骨の残存状態からみると,鳥浜では獲物は一頭分が全部集落へ持ち帰られたので はないだろうか。ただし,シカの場合,胸椎と腰椎の出土数が少ないことから,狩猟地で解体 処理が行なわれ,一部は廃棄されたのち,運搬しやすい大きさの単位ごとに持ち帰られた可能 性も考えられる。
4.骨の二次的利用と,人間以外の動物による損傷について
表1∼4に示した解体痕のある骨以外に,骨角牙器として再利用するために加工を施した骨 (未製品,破損品を含む)が,合計192点あった。骨角牙器の大部分は発掘時にとりあげられ ているので,ここでは一部を写真で示すにとどめ,詳しくは触れない(写真9)。 骨角器の材料として多く用いられる部位は,尺骨,シカの角,中手骨,中足骨,イノシシの 犬歯,腓骨である。また,出土したシカの中手骨と中足骨は大部分が縦に細長く割れており, 骨の性質をふまえたうえで,骨角器の素材とするために意識的に割られた可能性が高い。この 中には,焼いてから先端を磨いたものも見られた。 シカの前頭骨は,角の付け根の部分が,角とともに割りとられているものが多い(写真9− 10)。角に縦に溝を切ってから割っているものもある(写真9−8∼9)。これと同じ技法は, イギリスの中石器時代のStar Carr遺跡でGroove and splinter techniqueとして報告され ている(Clark&Thompson,1953)。 人間以外の動物(おそらくイヌ)による咬痕は,他の要因による骨の破損との区別が難しい ものもある。また,咬痕の頻度は,年齢や部位ごとの骨の強度の差とも関係が深いと考えられ る。したがって,ここではおおよその傾向を述べるにとどめたい。 咬痕が多い部位は,上腕骨(特に近位端),肩甲骨(特に若年個体のものの近位端),尺骨の 近位端,大腿骨の近位端,下顎骨の下顎角部などである(写真7,8)。尺骨は,はっきりし 181哺乳類遺存体に残された解体痕の研究 た咬痕が残されていないものでも,大部分は近位端が破損している。シカよリイノシシの骨に 咬痕があるものが多いようであるが,骨の硬さの違いに関係するのかもしれない。 咬痕の研究には,イヌなどの動物に骨を与えるなどの実験によって,咬まれる部位,損傷の 程度や特徴を調べることが必要である。今後,このような実験の成果の蓄積を期待する。
まとめと今後の課題
鳥浜貝塚85区出土の哺乳類遺存体中,石器などによる解体痕のある骨は全体の4%であり, 焼骨を合わせても約6%にすぎない。一方,大部分の骨は破損している。この二つの事実から, シカとイノシシの解体の単位の推定を試みた。頭,前肢,後肢を切り取るという基本的な手順 には従いながらも,イノシシとシカでは後肢の寛骨と大腿骨の部分の扱いが異なっていた可能 性がある。イノシシでは,腰の部分と大腿部は別の単位とされ,シカではこれらの部位を合わ せて一単位として扱ったと推定される。 イノシシでは四肢の下半分(梼骨,中手骨,中足骨以下)には傷や破損は少ない。シカ,イ ノシシとも椎骨,肋骨にはほとんど解体痕は見られず,胸椎と肋骨は出土数そのものが少ない。 したがって,体幹の部分は,頭や四肢とは解体および調理の段階での扱いが異なっていたと考 えられる。 鳥浜貝塚出土の哺乳類遺存体に残されたさまざまな解体痕が,獲物の獲得から廃棄までの間 のどの段階で付けられたものかは,今のところ特定できていない。部位ごとの解体痕の有無や 傷の状態を観察することにより,狩猟の方法,獲物の分配の仕方,調理法などの人間活動を探 る手がかりを得ることが,本研究の最終的な目標であった。皮剥ぎ,第一次の解体,分配後の 二次的解体,調理,消費,骨角器の制作などの人間活動に伴い,動物骨に残される損傷の部位 や傷の状態には,それぞれ特徴や規則性が見られるはずである。たとえば,骨角器の素材とし て利用される骨は,解体や調理の段階においても,その用途を意識した扱われ方をするであろ う。また,動物の大きさや年齢により,解体方法や傷のつけられる部位に違いがある。動物遺 存体に残る損傷に見られるはずの,このような規則性を正しく区別し定量的に把握することが, 動物考古学的分析における重要な課題のひとつであろう。本論文では,石器などによってつけ られた,明らかに人為的な要因による損傷を,研究の中心とした。しかし,人間以外の要因に よる骨の破損や咬痕の特徴をとらえ,人為的な損傷と識別することは,このような研究の重要 な前提である。狩りの獲物をめぐる,一連の人間活動および人間以外の要因がどのように考古 学的遣物としての動物遺存体に反映されるか,taphonomyの過程を探ることを,今後の課題 としたい。また,縄文時代の狩猟活動を論じるためには,他の縄文時代の遺跡から出土した動 物遺存体との比較研究が必要である。縄文時代以降,特に金属器の導入に伴って,動物の解体 182参考文献 のパターンに変化があらわれるかどうかも,今後研究されるべき興味深い問題のひとつであろ う。 〔謝 辞〕 本研究を進めるにあたり,濁協医科大学第一解剖学教室の茂原信生先生と桜井秀雄氏には, すべての面でひとかたならぬ御指導を賜りました。江藤盛治教授をはじめ,教室の方々にさま ざまなご援助をいただきました。獣骨の研究を許可してくださった,福井県立若狭歴史民俗資 料館の森川昌和副館長,網谷克彦氏はじめ,皆様に厚く感謝いたします。また筑波大学の西田 正規先生,埼玉大学の小池裕子先生ほか,多くの方々にご教示をいただきました。心から感謝 いたします。 参考文献 Binford, L. R.(1981)βoηθ5:Aηεゴε尻Mεηα旭!MO4θrπル〔y疏5 New York:Academic Press. Bunn, H. T.(1982)漉αz一θα’碗gαη∂1ZμクηαηEτoZα彦‘oη:ぷω4ゼθs oη劫εDゴθ’απ4ぷμbs‘ぷz¢ηcθ Pα祝εrη50プPZゴo’Pτθ‘5zooθηε1売励ηゴ4s iπEσsオ4ρicα. Ph. D. dissertation, Department of Anthropology, University of California, Berkeley. Bunn, H. T.&Kroll, E.(1986)Systematic butchery by Plio/Pleistocene hominids at Olduvai Gorge, Tanzania. Cz〃reηz Aη’んroヵ010gy 27:431−452. Clark, J. G. D., Thompson, M. W.(1953)“The Groove and Splinter Technique of working Antler in Upper Palaeolithic and Mesolithic Europe.・with Special Reference to the Material from Star Carr’, Proεθθ4iη9ぷ げzんθ Pブθ九‘∫τoric 30cZθ彦ツ,19:148−164. 稲波素子(1983)「鳥浜貝塚のシカ,イノシシ遺体」(鳥浜貝塚研究グループ編)鳥浜貝塚一縄文時代前期 を主とする低湿地遺跡の調査 3:65−81若狭歴史民俗資料館 Marshall, F.(1986)Implications of Bone Modification in a Neolithic Faunal Assemblage foτthe Study of Early Hominid Butchery and Subsistellce Practices. Jo%プηα1げ仇沈αηEηoZμ彦ゴoη,15: 661−672. Meadow, R. H.(1980)“Animal Bones:Problems for the Archaeologist together with Some Possible Solutions”P凌1εoηθ抱’, 6 :65−77. 丹羽百合子(1983)「解体・分配・調理」縄文文化の研究 2,生業:103−121雄…山閣 Olsen, S. L.&Shipman, P.(1988)Surface Modification on Bone l Trampling versus Butchery. JoμrπαrZ (ゾ∠4rcんαε0108「ゴ6αZ ぷciεπcθ 15:535−553. (筑波×学 考古学教室) 183
AStudy of Butchery Marks Left on Faunal Remains of the Early Jomon Period:An Analysis of Mammal Bones from 1985 Season of the Torihanla Shell Mound, Fukui. HONGo Hitomi Faunal remains from an archaeological site are the end products of various modifica・ tions both by human and non.human agents. Modification of bones by humans occur in the process between the k輌11ing of animals and the discarding of unnecessary bones. Various activities such as butchering, distribution of the meat, and cooking are included in this pro㏄ss. In order to reoonstmct the hunting and oonsequent human activities in the Early Jomon period,8229 fragments of mammal bones which have been excavated from the Torihama Shell−mound in 1985 are examined. The location and the characteristics of butchery marks on the bones are recorded. Bumt bones are also examined and reoorded. In addition, breakage patterns of the limb bones of deer and boar, the two major ani. mals in the faunal assemblage, are analyzed. The proportion of modified bones in the sample is rather small:Only about 4%of the sample bear butchery皿arks, and about 2%of the sample are bumt. On the other hand, most of the bones have been broken. Butchery marks were left on the bones during the primary butchery following the hunting activities(including skinning and dismemberment), and also during the seoondaオy butchery in the pro㏄ss of oooking of the game. An attempt is made to distinguish the characteristics of modificatioll by the primary and the s㏄ondary butchery. Few butchery marks are observed on vertebrae(except for boar atlas)and ribs. There are some di倫r飢ces between deer and boar in the location of butchery Inarks and in the breakage patterns of limb bolles. Butchery marks are observed on more than 15%of the pelvis of boar, while they are not found on many of the deer pelvis in the sample. OII the other hand, many of the deer femur are broken at the distal half of the shaft. It seems that the hind limbs of boar seems to have been separated at the proximal epiphisis of fem肛and processed as two different units・The pelvis and proximal femur of deer seem to have been treated as a unit. Lower parts of the limbs of boar seem to have been disc訂ded intact, while metacarpals of deer were usually broken, probably to utilize 184
them for making toois. These d湿eren㏄s would re且ect the units of carcass treatment of
the two animals, which result from the d証飴rence in the location of meat.bearing parts
between d㏄r and boar.
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写真1 鳥浜貝塚85L2区出土の解体痕のあるシカの骨(1目盛lcm・矢印は解体痕を示す) 1:左ド顎骨(標本番号1632) 2:1の拡大 3:1の拡大 4:環椎腹面(7405) 5:環椎背面 (8307) 6:f山骨腹面(2966)一
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写真2 鳥浜貝塚85L2区出土の解体痕のあるシカの骨(1目盛1cm・矢印は解体痕を示す) 1:上腕骨(左)内側遠位半(5769) 2:肩甲骨(左)前面(7764) 3:肩甲骨(左》内側(3449) 4:桟骨(右)後面(9838) 5:饒骨(右)前面(9838) 6:中手骨(右)後面近位半(8566) 7:中手骨(右)後面遠位半(8566)8:尺骨(右)外側近位端(10238)」
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一一一 写真3 鳥浜貝塚85L2区出土の解体痕のあるシカの骨(1目盛lcm・矢印は解体痕を示す) 1:大腿骨(右)後面遠位端(6422) 2:脛骨(左)後面近位半(2475) 3:脛骨(右)外側遠位 半(4937) 4:脛骨(右)内側(4937) 5:脛骨(右)外側近位半(4646) 6:脛骨(右)内側 近位部片(7847) 7:踵骨(右)内側(5477) 8:距骨(右)後面(636) 9:距骨(左)後面 (3453) 10:中足骨(左右不明)前面近位半(3256)11:中足骨(右)前面近位半(2258)聾
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写真4 鳥浜貝塚85L2区出土の解体痕のあるイノシシの骨(1目盛1cm・矢印は解体痕を示す) 1:後頭部底部(4507)2:後頭部底部(4532}3:環椎腹面(1:方か頭側)、(1655)4:環椎腹面(2915) 5:下顎骨(右) (2369)6:ド顎骨(右) (6622) 7:頭骨(上方,やや後方よ1)撮影) (3214) 8:頭蓋骨後半部(右)(ヒ方より撮影) (6908)撫グ