Title
ラット好塩基球性白血病細胞 (RBL-2H3) の分泌応答におけ
る蛋白質チロシンキナーゼの関与 (I) ラット好塩基球性白
血病細胞 (RBL-2H3) の抗原刺激およびCa^<2+>イオノフォ
ア刺激によるセロトニン分泌応答と蛋白質チロシンリン酸
化 (II) Involvement of tyrosine phosphorylation in IgE
receptor-mediated phospholipase D activation in rat basophilic leukemia
(RBL-2H3) cells( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
熊田, 貴彦
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第298号
Issue Date
1995-03-24
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14830
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氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 熊 田
土
彦(岐阜県)博
士(医学)
甲第 298 号 平成 7年
3月
24 日 学位規則第4条第1項該当 ラット好塩基球性白血病細胞(RBL-2H3)の分泌応答における蛋白質チロ シンキナーゼの関与 (I)ラット好塩基球性白血病細胞(RBL-2H3)の抗原刺激およぴCa2+イオ ノフォア刺激によるセロトニン分泌応答と蛋白質チロシンリン酎ヒ (H)JnvoJvementoftYrOSinephosphoryJationin fgEreceptor-mediated phosphoIipase D activationin rat basophiljcJeukemia
(RBL-2H3)colls
審 査 委 員 (主査)教授 宮 (副査)教授 北 教授 野 澤 義 則雄雄
英康田島
論 文内
容 の 要旨
高柳口性IgE受容休を有する肥満細胞は,抗原刺激による受容体の架橋で活性化され,細胞内に貯蔵されてい る化学伝達物質の分泌やアラキドン酸代謝産物の生成を介して,Ⅰ型アレルギー反応の病態形成に深く関与して いる。肥満細胞活性化の際には・細胞膜リン脂質のホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PIP2) がイノシトール特異的ホスホリパーゼC(PI-PLC)で分解され,二種類のセカンドメッセンジャー,イノシトー ル1,4・5-トリスリン酸(1・4・5-IP3)とジアシルグリセロール(DG)が産生される。また,肥満細 胞を含めた種々の免疫応答細胞では・抗原刺激によりぶrC,如などの非受容体型チロシンキナーゼが活性化され, 種々の蛋白質のチロシンリニ働ミ左遷ナあガJ乳どアノノダノム♂一フ彪♂′戌プクタ/≠ノー僻ぎ 有する増殖因子受容体によりチロシンリン酸化を受けて活性化されることが示されており,抗原刺激時にも同様 のメカニズムが作用することが推測されている。一方,膜リン脂質の主要構成成分であるホスファチジルコリン (PC)を分解しセカンドメッセンジャーを生成するホスホリパーゼD(PLD)が,分泌応答に関与している可能 性が示され,注目されている○しかし,PLDの活性制御機構は必ずしも明らかではない。 そこで本研究では,肥満細胞の抗原刺激による活性化メカニズムをより明らかにする目的で,チロシンキナー ゼの活性化とPI-PLC,PLDを介するリン脂質代謝の変動について検討し,以下の結果を得た。 研究方法と結果 1)粘膜型肥満細胞のモデル細胞である・ラット好塩基球性白血病細胞(RBL-2H3)の分泌応答を検討する ため,[14C]セロトニンで細胞を標識し・IgEで感作した後,アスカリス抗原(100ng/ml)で刺激した。分泌 応答は経時的増加を認め・抗原刺激後30分で約50%となったoCa2-イオノフォアであるイオノマイシン(1〟M) 刺激も分泌応答を惹起し,分泌量,時間経過とも抗原刺激と類似していた。 2)RBL-2H3細胞を1%TritonX-100で可溶化し,蛋白質のチロシンリン酸化を抗ホスホチロシン抗体を用いた イムノブロットで検出すると,抗原刺激により72kDa蛋白質のチロシンリン酸化の冗進が著明に見られ,刺激後 10分で最大となった。イオノマイシン刺激でも,刺激後5分より72kDa蛋白質のチロシンリン酸化の冗進が見ら れた。 3)[3H]イノシトル標識細胞を用いて・[3H]イノシトルリン酸の産生を指標にP膵LCの活性化を検討す ると,抗原刺激では[3H]イノシトルリン酸の産生が見られたが,イオノマイシン刺激では有意な産生は認 められなかった。イムノブロット法でRBし2H3細胞のPI-PLCアイソザイムを検討したところ,PLC-rのみが検 出され,抗原刺激によりチロシンリン酸化の冗進が観察された。 254)PLDは,1級アルコールであるブタノール存在下ではホスファチジル基転移反応を触媒し,PAの代わりに PLD活性の特異的指標となるホスファチジルブタノール(PBut)を産生する。そこで,[3H]オレイン酸で棲 識したRBL-2H3細胞をブタノrル存在下で抗原刺激し,抽出した脂質の総放射活性に対するPButの放射活性の 割合でその産生量を評価した。PLD活性は,抗原刺激後10分で4倍以上の酵素活性を示しピークに達した。 5)抗原刺激によるPLD活性化は,チロシンキナーゼ阻害剤であるゲニスタイン(25-50fLg//ml)前処理によ り80%以上抑制された。他のチロンンキナーゼ阻害剤も抗原刺激によるPLD活性化を著明に抑制した。 6)72kDa蛋白質のチロシンリン酸化は,ゲニスタイン(25-50〟g/ml)によりはぼ完全に抑制され,ゲニスタ インによるPLD活性化の抑制の濃度依存性と類似していた。 7)抗原刺激によるPI-PLC活性化はゲニスタイン(25〟g/ml)により約30%抑制され,PLD活性の抑制程度 とは異なる濃度依存性を示した。 考察 以上の結果から,分泌応答には細胞内Ca2▲の増加に伴う72kDa蛋白質のチロシンリン酸化が重要であると考え られた。特に抗原刺激では,PI-PLCの活性化は細胞内Ca2⊥の増加をもたらすための重要な初期段階の役割を果 たすと考えられた。一方,抗原刺激によるPLD活性は.この72kDa蛋白質のチロシンリン酸化の程度と良い相関 を示し,PLDの活性化にチロシンキナーゼが関与すること,さらにはPLDが分泌応答に関与する可能性が示唆 された。また,PI-PLCとPLDのゲニスタインに対する感受性の違いから,抗原刺激によるPLD活性化経路は, イノシトールリン脂質代謝系,すなわちPI-PLC/PKC経路の下流には位置しないと考えられた。 論文審査の結果の要旨 申請者熊田貴彦は,ラット好塩基球性白血病細胞(RBし2H3)を用いて,分泌応答とチロシンキナーゼの活 性化および細胞膜リン脂質代謝について詳細な解析を行った。その結晃 チロシンキナーゼは抗原刺激によるホ スホリパーゼC(PI-PLC),ホスホリパーゼD(PLD)の活性化に関与することを示し,さらに蛋白質のチロシ ンリン酸化が,RBし2H3細胞の分泌応答に重要な役割を果たすことを示唆した。これらの知見はt 肥満細胞の シグナル伝達機構の解明に少なからず貢献するものと考えられる。 [主論文公表誌] ラット好塩基球性白血病細胞(RBし2H3)の分泌応答における蛋白質チロンンキナーゼの関与 (I)ラット好塩基球性白血病細胞(RBし2H3)の抗原刺激およびCa2-イオノフォア刺激によるセロトニン分 泌応答と蛋白質チロシンリン酸化 平成4年12月発行 アレルギー 41(12):1710∼1716
(Ⅱ)InvoIvement of tyrosine phosphorylationinIgE receptor-mediated phospholipase D activationin rat basophilicleukemia(RBL-2H3)cells
平成5年3月発行 Biochem.Biophys.Res.Commun.191(3):1363-1368