• 検索結果がありません。

Hall効果測定による化合物半導体中の不純物準位の評価に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Hall効果測定による化合物半導体中の不純物準位の評価に関する研究"

Copied!
84
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

大阪電気通信大学大学院 平成14 年 1 月 9 日 工学研究科長 越川 孝範 殿 工学研究科 博士前期課程 専攻名 総合電子工学専攻 学生番号 M00121 氏 名 西川 和弘 印

修士学位論文審査願

大阪電気通信大学大学院学位規則第2条により、修士(工学)の学位を受けたい ので下記の学位論文を提出いたしますので、審査くださるよう申請いたします。 記

論 文 題 目

Hall 効果測定による化合物半導体中の

不純物準位と密度の評価に関する研究

指導教員 印

(2)

大阪電気通信大学大学院 平成14 年 2 月 22 日 工学研究科長 越川 孝範 殿 工学研究科 博士前期課程 専攻名 総合電子工学専攻 学生番号 M00121 氏 名 西川 和弘 印

修士論文目録

論 文 題 目

Hall 効果測定による化合物半導体中の

不純物準位と密度の評価に関する研究

参 考 論 文

(ジャーナル紙,学会誌,学会発表論文等)

H.Matsuura, K.Nishikawa, K.Morita, M.Segawa, and W.Susaki: Determination of densities and energy levels of impurities and traps in semiconductor by a new method based on Hall-effect measurements, Extended abstracts of the 20th electronic materials symposium (EMS20). pp 135-138 (F5). Jun.2001

H. Matsuura, K. Morita, K. Nishikawa, T. Mizukoshi, M. Sagawa and W. Susaki : Acceptor Densities and Acceptor Levels in Undoped GaSb Determined by Free Carrier Concentration Spectroscopy, Jpn. J. Appl. Phys. to be published at February 1, 2002.

(3)

修士学位論文

題 目

Hall 効果測定による化合物半導体中の

不純物準位と密度の評価に関する研究

担当指導教員名 松浦 秀治 申 請 年 月 日 平成 14 年 2 月 22 日 専 攻 名 総合電子工学専攻 学 生 番 号 M00121 氏 名 西川 和弘 印

大阪電気通信大学 大学院

(4)

平成

14 年 2 月 22 日提出

修士学位論文の概要

(2000 字以内)

論文題目

Hall 効果測定による化合物半導体中の不純物準位と密度の評価に関する研究

本研究では、Hall 効果測定による化合物半導体中の不純物準位と密度の評価に関する研究をおこな う。本論文では、化合物半導体であるGaSb、InGaSb、AlGaSb、4H-SiC に注目し、Hall 効果測定か ら求められる多数キャリア温度依存性から不純物準位と密度を評価する方法として当研究室で提案し

ているFCCS(Free Carrier Concentration Spectroscopy)法を用いて不純物準位と密度の評価をお

こなったので報告をおこなう。

第1 章では、GaSb、InGaSb、AlGaSb、4H-SiC の物性とこれらを用いた半導体デバイスの作製の

背景と問題点について述べ、不純物準位と密度の評価の必要性および、本研究の目的について述べる。

第2 章では、Hall 効果測定から求められる多数キャリア温度依存性から不純物準位と密度を評価す

る方法として、FCCS 法の理論について述べる。

第3 章では、Molecular Beam Epitaxy(MBE)法で成長させた InGaSb、AlGaSb の組成分析のた

め、X-Ray Diffraction(XRD)測定をおこない、格子定数の決定をおこなう。FCCS 法で求めた不純 物準位と密度を用いて多数キャリア密度の温度依存性のシミュレーションをおこなうため、有効質量、 誘電率の決定をおこなう方法について述べる。 第4 章では、GaSb、InGaSb、AlGaSb、4H-SiC の Hall 効果測定をおこなうための装置概要、装置 改良に至る問題点と改善点について述べ、Hall 効果測定におけるオーミック電極について述べる。 FCCS 法以外の他の評価方法について述べる。また、Hall 効果測定から求められる移動度の温度依存 性における散乱機構とイオン化不純物散乱からイオン化不純物密度を求める方法について述べる。 第 5 章では、ショットキーダイオードの空乏層容量−電圧測定から求められる不純物密度を求める 方法について述べる。また、4H-SiC のショットキーダイオードの空乏層容量−電圧測定方法について 述べる。

第6 章では、アンドープ GaSb、アンドープ InGaSb、Al をイオン注入した 4H-SiC、Al ドープ 4H-SiC 、

Te ドープ AlGaSb について、FCCS 法で求めた不純物準位と密度の結果について検討をおこなう。 4H-SiC については、ショットキーダイオードの空乏層容量−電圧測定から求めた不純物密度について 検討をおこなう。 学 生 番 号 M00121 氏 名 西川 和弘 印

大阪電気通信大学 大学院

(5)

目 次

第1章 序論 (1) 1.1 はじめに (1) 1.2 GaSb 系半導体 (2) 1.2.1 Undoped GaSb (2) 1.2.2 InGaSb,AlGaSb (2) 1.3 4H-SiC (3) 1.4 本研究の目的 (6)

第2章 Free Carrier Concentration Spectroscopy(FCCS)法 (7)

2.1 S

(

T, Eref

)

関数 (7)

)

2.2 H

(

T, Eref 関数 (12) 2.3 ピーク移動パラメータEref (15) 第3章 X-Ray Diffraction(XRD)測定 (16) 3.1 Bragg の反射条件 (16) 3.2 Vegard の法則 (17) 3.3 混晶におけるバンドギャップ (17)

3.4 Undoped InGaSb,Te doped AlGaSb の格子定数、組成の決定 (20)

第4章 Hall 効果測定 (23)

4.1 van der Pauw 法による抵抗率、移動度、多数キャリア密度の測定 (25)

4.2 Hall 効果測定装置 (31)

4.3 オーミック電極の形成 (36)

4.3.1 実験方法 (36)

4.3.2 実験結果・検討 (37)

4.4 移動度の温度依存性 (39)

4.5 Differential Hall Effect Spectroscopy(DHES)法による不純物準位・密度の評価 (42)

4.6 FCCS 法による不純物準位・密度の評価 (44)

第5章 ショットキーダイオードによる評価 (48)

5.1 空乏層容量−電圧測定による不純物密度の評価 (48)

(6)

第6章 実験結果・検討 (52)

6.1 undoped GaSb (52)

6.1.1 Double Acceptor Model の妥当性について (55)

6.1.2 Acceptor1 及び Acceptor2 の密度について (55) 6.1.3 Acceptor3 のアクセプタ準位について (55) 6.1.4 Acceptor4 及び Acceptor5 のアクセプタ準位について (56) 6.2 undoped InGaSb (57) 6.2.1 In,Ga の組成を変化させた Undoped In0.16Ga0.84Sb, In0.18Ga0.82Sb (61) 6.2.2 Sb/(In+Ga)比を 2, 3, 5 と変化させた Undoped In0.2Ga0.8Sb (61) 6.3 4H-SiC (62) 6.3.1 Al implanted 4H-SiC (62)

6.3.2 Al doped 4H-SiC Wafer (68)

6.4 Te doped AlGaSb (71)

第7 章 結論 (76) 謝辞

(7)

1 章 序論

1.1 はじめに

現在、CPU(Central Processing Unit)や DRAM(Dynamic Random Access Memory)な どのLSI(Large Scale Integrated Circuit)の主要構成要素はシリコン(Si)である。シリ コン中に含まれ、半導体デバイスとして動作するために意図的に添加する不純物は、ppm (Parts Per Million)(100 万分の 1)レベルで制御され、欠陥もかなり低減されている。一 方、元素半導体であるシリコンにはない物性を生かし、新しい化合物半導体デバイスの開発 がおこなわれている。例えば、直接遷移型を生かし、高移動度、高発光効率として期待され ているⅢ-Ⅴ族化合物半導体の GaAs、GaSb、GaN 系半導体、ワイドバンドギャップを生か し、パワーデバイスとして期待されているⅣ-Ⅳ族化合物半導体の SiC がある。しかし、この ような新しい半導体の結晶成長をおこなった場合、意図としない不純物の混入や欠陥の形成 のため、良好な電気的特性が得られないことがある。 半導体デバイスを作製するためには、電気的に良好なp 型半導体及び n 型半導体の結晶成 長条件を見つけ出し、精密にpn 制御する必要がある。そのためには、意図的に不純物を添加 していない結晶中に含まれる電気的に活性な残留不純物及び欠陥を低減できる結晶成長条件 を求め、イオン化エネルギーの小さいドーパント(ドナー及びアクセプタ)を探すことが必 要である。 Hall 効果測定から得られる多数キャリア密度温度依存性には不純物及び欠陥の密度とエネ ルギー準位の情報が含まれている。そのため、Hall 効果測定は、結晶成長をおこなった後、 電気測定としてよく用いられる方法である。しかし、現状では特定の仮定の下で、不純物及 び欠陥の密度とエネルギー準位の評価をおこなわれている。 当研究室では、Hall 効果測定に注目し、Hall 効果測定から得られる多数キャリア密度温度 依存性から特定の仮定を必要とせず、不純物及び欠陥の密度とエネルギー準位の評価する方 法としてFCCS(Free Carrier Concentration Spectroscopy)法を提案してきた。

本論文では、GaSb 系半導体、6H-SiC、4H-SiC について注目し、FCCS 法を用いて、Hall 効果測定を用いた実験的検証をおこなう。

(8)

1.2 GaSb 系半導体

半導体レーザの発光は、pn 接合の順バイアスによる少数キャリアの注入と再結合が利用さ れ、再結合による発光波長

λ

は、半導体のエネルギーギャップ

E

gとすると

λ

=

1

.

24

/

E

g

[

µm

]

となり、エネルギーギャップによって決まる。 現在の半導体レーザの多くは、Ⅲ族元素とⅤ族元素との化合物であるⅢ−Ⅴ族化合物半導 体が用いられている。これらのⅢ−Ⅴ族化合物を 2 種類以上混合する即ち、混晶を成すこと によりエネルギーギャップの制御が可能となり、発光波長特性を制御することが可能である。 波長が2∼5 µm の近・中赤外光は、近年環境問題になっている環境ガス(CO2、CH4など) の吸収波長帯にある。この近・中赤外光帯域を発振波長にもつ半導体レーザは、地球温暖化 ガスの微量分析装置に用いられる光源として期待されている。 現在、室温発振が可能で実用化にいたっている赤外半導体レーザは、InP 基板を用いたも のが多く、波長の範囲が 2 µm 以下と限られている。近・中赤外帯域波長を持つような赤外 半導体レーザの材料として、GaSb, InAs, InSb, AlSb などの混晶を用いたものが注目されて おり、1.6∼5 µm の発振波長が期待されている1)GaSb 基板を用いた半導体レーザを作製す るには、GaSb に不純物をドープし、p 型半導体及び n 型半導体の結晶成長条件を見つけ出す 必要がある。

1.2.1 Undoped GaSb

Undoped GaSb を MBE(Molecular Beam Epitaxy: 分子線エピタキシ)法で結晶成長さ せた場合、エピタキシャル成長層の電気的特性がⅤ族元素とⅢ族元素の分子線強度比に依存 し、伝導型はp 型となる2)。そこで、GaSb を pn 制御する場合には、Undoped GaSb に存 在するアクセプタ密度を低減するために、Undoped GaSb を成膜する際に最適なⅤ族元素と Ⅲ族元素の分子線強度(Beam Equivalent Pressure, BEP) 比条件を調べる必要がある。

1.2.2 InGaSb, AlGaSb

GaSb, InSb, AlSb の混晶である InGaSb, AlGaSb は、GaSb 基板を用いた半導体レーザ構 造の作製において、井戸層及び障壁層、クラッド層に用いられる。例えば、1.9 μm の発振 波長をもつTypeⅠIn0.2Ga0.8Sb/Al0.4Ga0.6Sb/GaSb 量子井戸構造の作製においては、井戸層で あるUndoped In0.2Ga0.8Sb の成膜が必要であり、電気的に活性な不純物・欠陥を低減するた めに最適な成膜条件を求める必要である。また、AlGaSb は障壁層として用いられ、伝導型 をn 型にするには、Te をドープする必要がある。MBE 法で結晶成長させた場合、AlGaSb 層にTe ドープをおこなうためには、材料源となる Kundsen cell(K-セル)に入れた Ga2Te3 を加熱することにより、分子線を供給する。しかし、不純物ドーピングの分子線量では、BEP を測定することはできず、セルの温度の制御により、Te の蒸発温度を制御している。そこで、 Te の蒸発温度を変化させたとき、AlGaSb 層に Te が取り込まれ、ドナーとして働く Te 密度 を調べる必要がある。

(9)

1.2 4H-SiC

パワーデバイスは大電流・低電圧のON 状態と大電圧・低電流のオフ状態との間を高速ス イッチングすることで、DC・AC 変換、DC・DC 変換などの電力変換をおこなうデバイスで ある。パワーデバイスに要求される主な特性は、高耐電圧、低オン抵抗、高速スイッチング、 低スイッチング損失である。現在、パワーデバイスのほとんどはSi で作製されており、非常 に多くのデバイス構造が考案されている。しかしながら、全ての機能を兼ね備えたデバイス は存在しない。大容量であるが高速性はあまり要求されない電力制御用では少数キャリアデ バイスのサイリスタ、高速スイッチングが強く要求されるスイッチング電源用では多数キャ リアデバイスのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が使用さ れている。また、近年産業用モータ制御用に中容量でスイッチングも比較的速い IGBT (Insulated Gate Bipolar Transistor)が使用され注目されている。パワーデバイスに対する 低損失化、高速化、高耐圧化の要望は年々大きくなる一方であるが、現在のSi を用いたデバ イスでは、その物性で決まる理論的性能限界に近づいており、飛躍的な発展を期待すること はできない。 そこで、低損失、高耐圧、かつ高温で動作する次世代パワーデバイス用半導体として SiC(Silicon Carbide)が期待されている。Si では、禁制帯幅が 1.1 eV と小さく、200 ℃以上 の高温では、真性領域に入りデバイスとして動作しなくなる。SiC では 300 ℃以上でも動作 させることができ、熱損失もSi パワーデバイスの 100 分の 1 以下に低減でき、冷却装置の簡 素化・小型化を実現することができる。また、Si に比べても、禁制帯幅が 2∼3 倍、絶縁破 壊電界が10 倍など、多くの優れた特性をもっている。最近では、12.3 kV の高耐圧、約 300 ℃ の高耐熱性を持ち、電力損失もSi パワーデバイスの約5分の1以下の超低損失 SiC ダイオー ドも開発されている。しかしながら、SiC パワーデバイスの発展には、結晶成長技術や不純 物ドーピング技術などに多くの課題がある。 SiC には、化学的には同一組成でありながら、積層順序が異なるポリタイプが存在する。 炭素(C)原子とシリコン(Si)原子の 1 つの対(球)と考えた場合、この球が最密構造をとるた めには、まず球を平面上に一面に並べる。この紙面に垂直な方向を積層方向と考え、図 1 の ように第1 層目の配置を A とすると第 2 層目は B と C の 2 通りの可能性がある。

A

C

B

図1 SiC のポリタイプによる積層面

(10)

同様に、B の上の層は C と A、C の上の層は A と B のそれぞれ 2 通りの可能性がある。 このように、積層方法が複数あるようなポリタイプが存在する。現在、ポリタイプの種類は、 200 通り以上あると言われている。

SiC のポリタイプの1つである 4H-SiC の構造を図 2 に示す。4H-SiC は SiC ポリタイプの 中で現在最もデバイス応用に適していると考えられている。4H-SiC の特徴として、禁制帯幅 が3.3 eV とすべてのポリタイプの中で 2H-SiC に次いで大きく、熱的、化学的にも非常に安 定しており、6H-SiC を凌ぐパワーデバイスとして期待されている。4H-SiC の 4H とは、 Ramsdell の表記法で図 2 のように積層方向(C 軸、[0001]方向)に ABCB の 4 層周期で積 層し、結晶系が六方晶(hexagonal)であることを意味する。 C Axis [0001]

4 Layers

A B C A B C

Si Atoms

:C Atoms

Hexagonal Site

Cubic Site

図2 4H-SiC の構造

(11)

SiC を電子デバイスとして機能させるためには、SiC 結晶成長技術、pn 制御するための不 純物ドーピング技術が不可欠である。SiC 結晶成長の歴史上、改良 Lely 法による大型 SiC イ ンゴット成長技術の確立、ステップ制御エピタキシー法による高品質SiC エピタキシャル成 長技術の確立がブレイクスルーとなり、CVD(Chemical Vapor Deposition)(化学気相堆積) 法を用いた結晶成長がSiC デバイス作製に用いる結晶の標準として定着している。また、SiC の場合、不純物原子の拡散係数が非常に小さいため、拡散法による不純物注入が困難である。 ここで、次式に不純物拡散係数 D と温度 T の関係を示す。       − = kT E D D 0exp a 。 この式より、温度 T が大きくなるほど、拡散係数 D が大きくなることがわかる。表 1 は、Si と SiC のそれぞれの温度における不純物(Al)原子の拡散係数を示す。これより、SiC は、 Si より高温のときでも、Si より拡散係数が小さい。Si と比較しても、SiC では、不純物の拡 散係数が非常に小さく、不純物注入に拡散法をよく用いられているSi に比べても、SiC の拡 散法による不純物注入が困難であることがわかる。また、1800 ℃以上の高温では、拡散マス クの使用ができないなどという問題点も生じる。 また、デバイスとして実用化するためには、不純物の濃度や深さ方向分布を高精度に制御 し、選択的にドーピングする技術の開発が必要である。そこで、不純物の濃度や深さ方向分 布を高精度に制御可能であるイオン注入法を用いた不純物注入法によるドーピングが試みら れている。中でも高エネルギーイオン注入は、1 μm 以上の深さを持つドーピングが可能で あり注目されている。しかし、イオン注入した場合、結晶の損傷が大きく、そのままでは注 入した不純物がアクセプタまたはドナーとして働いていない。そのため、イオン注入した後、 アニール(熱処理)することにより、結晶の回復をおこなう。結晶の回復とともにアクセプ タまたはドナーとして働いている割合とイオン注入温度、アニール温度の関係を詳細に調べ る必要がある。 表1 Si と SiC における Al 原子の不純物拡散係数の比較 SiC Si 1800∼2300 ℃ High Temperature 900∼1400 ℃ Low Temperature 3×10-146×10-12 cm2s-1

Low Diffusion Coefficient

1×10-145×10-10 cm2s-1 High Diffusion Coefficient

(12)

1.4 本研究の目的

これらの半導体中の不純物密度とエネルギー準位を評価するためには、一般的にはHall 効果測定をおこない、多数キャリア密度の温度依存性p

( )

T を求める。この より のグラフを用いて、出払い領域の飽和値からアクセプタ密度を、不純物領域の 傾きからアクセプタ準位を見積もる。しかし、二種類以上のエネルギー準位が半導体中に存 在する場合、この方法が適用できない。そこで、我々は仮定を必要とせず、微分を用いない で から密度とエネルギー準位を高精度で決定できる方法として、FCCS(Free Carrier Concentration Spectroscopy)法を提案してきた。そこで、本方法を用いて、

( )

T p

( )

(

pT

)

1/T ln −

( )

T p

・ 半絶縁性GaAs 基板上に MBE 法で成長させたアンドープ GaSb 層 ・ 半絶縁性GaAs 基板上に MBE 法で成長させたアンドープ InGaSb 層 ・ n 型 4H-SiC 基板上にイオン注入法で形成した Al ドープ 4H-SiC 層 ・ 昇華法で成長させたAl ドープ 4H-SiC ウェーハ

・ 半絶縁性GaAs 基板上に MBE 法で成長させた Te ドープした AlGaSb 層 において、密度とエネルギー準位の決定を試み、不純物準位と密度の評価をおこなう。

(13)

2 章

Free Carrier Concentration Spectroscopy(FCCS)法

2.1

S

(

T, Eref

)

関数

当研究室では、Hall 効果測定により求めた正孔密度温度依存性p

( )

T (n 型の場合は電子密 度温度依存性 )を用いて、仮定を立てず、フィッテング、更に微分を用いない方法を提 案している。評価関数を定義し、その評価関数から不純物及びトラップの準位及び密度を評 価する方法について述べる。ここで、評価関数を次のように定義する

( )

T n 3)-9)

(

)

( )

      ≡ kT E kT T p E T

S , ref exp ref (2.1)

ただし、k:Boltzmann 定数、T :温度、Eref:ピーク移動パラメータとする。 アクセプタは正孔を放出して負に帯電し、電子トラップは電子を捕獲して負に帯電し、ドナ ーは電子を放出して正に帯電し、正孔トラップは正孔を捕獲して正に帯電する。正孔密度p

( )

T は半導体中の電気的中性条件から

( )

(

)

(

)

(

[

(

)

[

]

( )

T

n

E

f

N

E

f

N

E

f

N

E

f

N

T

p

l i i i k i i i m i i i n i i i

+

+

=

= = = =

   

   

   

   

1 A A TH 1 D D D 1 TE D TE 1 A A A

1

1

)]

(2.2) のように表すことができる。 ただし、 種類のアクセプタについて、密度n NAi、エネルギー準位∆EAi m 種類のドナーについて、密度NDi、エネルギー準位∆EDi k 種類の電子トラップについて、密度NTEi、エネルギー準位∆ETEi l 種類の正孔トラップについて、密度NTHi、エネルギー準位∆ETHi また、すべてのエネルギー準位 E∆ は、価電子帯からのエネルギー とする。 また、 は電子密度、 はドナー及び電子トラップに対する Fremi-Dirac 分布関数 で、

( )

T n fD

(

E

)

( )

     ∆ −∆ + = ∆ kT E E g E f F exp 1 1 1 D D (2.3)

(14)

また、 fA

(

E

)

はアクセプタ及び正孔トラップに対するFermi-Dirac 分布関数で、

( )

     ∆ −∆ + = ∆ kT E E g E f F exp 1 1 A A (2.4) と表すことができる。ただし、 はフェルミ準位、 と はそれぞれドナー、アクセプ タの縮退度である。正孔の場合は、重い正孔、軽い正孔の二重縮退とスピンを考慮して、g は 4、電子の場合、スピンを考慮して は 2 を用いる。電気的中性条件である(2.2)式と Fermi-Dirac 分布関数である(2.3)及び(2.4)式を用いて、(2.1)式を展開すると は F EgD gA A

(

)

D g ref , E T S

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

( )

     +             + − ∆       ∆ − − + ∆       ∆ − − + ∆       ∆ − − + ∆       ∆ − − ≡

= = = = = = kT E kT T n kT E kT N N E F kT E E kT N E F kT E E kT N E F kT E E kT N E F kT E E kT N E T S n i i m i i i i l i i i k i i i m i i i n i ref ref 1 TH 1 D TH A ref TH 1 TH D D ref D 1 D TE D ref TE 1 TE A A ref A 1 A ref exp exp 1 exp exp exp exp ,                                    (2.5) となる。ただし、

( )

     ∆ −∆ +       ∆ = ∆ kT E E g kT E E F D F F D exp exp (2.6)

( )

     ∆ −∆ +       ∆ = ∆ kT E E g kT E g E F F A F A A exp 1 exp (2.7) である。 右辺第4項までに含まれる項のみ注目すると       ∆ − − kT E E kT Ni i ref exp (2.8) とまとめることができる。

(15)

(2.8)は

T

の関数となり、 k E Ei ref peak T = ∆ − (2.9) のときピーク値

(

)

( )

peak ref peak 1 exp , kT N E T S = i (2.10) をもつ関数となる。いま、p 型半導体を考えているので、(2.5)式のS

(

T, Eref

)

の6 項目の は無視できる。従って、 は

)

(T

n

(

T, Eref

)

S

(

)

( )

      

      

+

=

= = =

kT

E

kT

N

N

E

F

kT

E

E

kT

N

E

T

S

n i i m i i i i j i i ref 1 TH 1 D ref 1 ref

exp

1

exp

,

(2.11) とまとめることができる。ここで、 j=k+l+m+nである。S

(

T, Eref

)

は各不純物及びトラッ プの準位で複数のピークを持つ関数となる。 ここで、NA=1×10

(

T p D 15 cm-3=0.2 eV、 =1×10 A E

(

Eref D N 14 cm-3 の場合の理論曲線 を図 2.1 に示す。 を用いて に変換したものを図2.2 の実線で示す。peak より求めた 、∆ 、N を用いてシミュレーションした

( )

T p

)

S T,

)

A N EA S

(

T, Eref

)

を図2.2 の破線で示す。S と シミュレーションした はよく一致することが見られる。このとき、peak より求め た 、 、 は =1×10

(

T, Eref

)

(

T, Eref

)

S A N A NEA ND 15 cm-3、∆EA=0.2 eV、ND=1×1014 cm-3である。 H ol e C on cen tr ati on [ ×10 14 cm -3 ] NA = 1×1015 cm-3 ∆EA = 0.2 eV ND = 1×1014 cm-3 Temperature [K] p type Si EF -EV [e V ] 200 300 400 1012 1013 1014 1015 0 0.1 0.2 0.3 0.4 図2.1 理論曲線p

( )

T 及び∆EF

(16)

S( T ,0 )[ ×10 16 cm -3 eV -1 ] peak Temperature [K] 200 300 400 0 1 2 図2.2 S

(

T, Eref

)

関数 (NA=1×1015 cm-3、∆EA=0.2 eV、ND=1×1014 cm-3の場合) H ol e C on cen tr ati on [ cm -3 ] NA = 6.6×1018 cm-3 ∆EA = 0.64 eV ND = 1.4×1010 cm-3 Temperature [K] p type Si EF -EV [e V ] 200 250 300 350 400 1010 1011 1012 1013 1014 1015 0 0.1 0.2 0.3 0.4 図2.3 理論曲線p

( )

T 及び∆EF S( T ,0 )[ ×10 20 cm -3 eV -1 ] peak Temperature [K] 200 250 300 350 400 1.1 1.2 1.3 図2.4 S

(

T, Eref

)

関数 (NA=6.6×1018 cm-3、∆EA=0.64 eV、ND=1.4×1010 cm-3の場合)

(17)

次に、NA=6.6×1018 cm-3、∆EA=0.64 eV、ND=1.4×1010 cm-3の場合を考える。p

( )

T を 図2.3 に示す。理論曲線p

( )

T を用いてS

(

T, Eref

)

に変換したものを図2.4 の実線で示す。peak より求めたNA、∆EANDを用いてシミュレーションしたS

(

T, Eref

)

を図2.4 の点線で示す。 200 K 付近でシミュレーション値との不一致が見られる。このとき、peak より求めた 、 、 は =6.7×10 A N A END NA 18 cm-3、∆EA=0.64 eV、ND=9.3×109 cm-3であり、理論曲線と一 致しない。

(18)

2.2

H

(

T, Eref

)

関数

)

ここで、S

(

T, Eref の代わりに評価関数H

(

T, Eref

)

( )

     ≡ kT E kT T p E T H ref 5 . 2 2 ref) ( ) exp , ( (2.12) と定義する。また、価電子帯の有効状態密度及び正孔密度は、

( )

1.5 1.5 V0 5 . 1 5 . 1 5 . 1 h V

2

2

k

T

N

k

T

h

m

T

N

=

=

π

、 (2.13)

( )

( )

      ∆ − = kT E T N T p V exp F (2.14) である。定義式(2.2)式の一方のp

( )

T に(2.13)式、他方のp

( )

T に(2.14)式を代入し、展開すると、

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

( )

      −∆ +       −∆       + − ∆       ∆ − − + ∆       ∆ − − + ∆       ∆ − − + ∆       ∆ − − ≡

= = = = = = kT E E kT N T n kT E E kT N N N E I kT E E kT N E I kT E E kT N E I kT E E kT N E I kT E E kT N E T H n i i m i i i i l i i i i k i i i i m i i i i n i i F ref V0 F ref V0 1 TH 1 D TH A ref TH 1 TH D D ref D 1 D TE D ref TE 1 TE A A ref A 1 A ref exp exp exp exp exp exp ,                                    (2.15) と表すことができる。ただし、

( )

     ∆ −∆ + = ∆ kT E E g N E I F D V0 D exp 1 、 (2.16)

( )

     ∆ −∆ + = ∆ kT E E g N E I F A V0 A exp (2.17) とする。 また、 は価電子帯における正孔の有効質量、 h を Plank 定数とする。ここでは、p 型半 導体を考えているので、(2.15)式の右辺第6項の h m

( )

T n は無視できる。(2.15)式も の時 と同様に右辺第4項までに含まれる項のみ注目すると

(

T, Eref

)

S

(19)

      ∆ − − kT E E kT Ni i ref exp (2.18) とまとめることができる。(2.18)は

T

の関数となり、 k E Ei ref peak T =∆ − (2.19) のときピーク値

(

)

( )

peak ref peak 1 exp , kT N E T H = i (2.20) をもつ関数となる。H

(

T, Eref

)

は、

(

)

( )

      

      

+

=

= = =

kT

E

E

kT

N

N

N

E

I

kT

E

E

kT

N

E

T

H

n i i m i i i i j i i F ref V0 1 D 1 TH ref 1 ref

exp

exp

,

(2.21) とまとめることができる。ここで、j=k+l+m+nI

(

Ei

)

は(2.16)式または(2.17)式を示す。 従って、H

(

T, Eref

)

は 個の複数のピークを持つ関数となり、j H

(

T, Eref

)

− T のグラフの各

ピーク温度Tpeak iより不純物及びトラップの準位∆ 、ピーク値Ei H

(

Tpeak i, Eref

)

より密度 を

求めることができる。 i N そこでS

(

T, Eref

)

と同様に、NA=1×1015 cm-3、∆EA=0.2 eV、ND=1×1014 cm-3の場合を考 える。図2.3 の理論曲線p

( )

T を用いてH

(

T, Eref

)

に変換したものを図2.5 の実線で示す。peak より求めたNA、∆EANDNA=1×1015 cm-3、∆EA=0.2 eV、ND=1×1014 cm-3を用いて シミュレーションしたH

(

T, Eref

)

を破線で示す。このとき、S

(

T, Eref

)

のとき同様、H とシミュレーションした はよく一致することが見られる。

(

T, Eref

)

(

T, Eref

)

H H (T ,0.62) [× 10 40 cm -6 eV -2 .5 ] peak Temperature [K] 200 300 400 0 1 2 3 図2.5 H

(

T, Eref

)

関数 (NA=1×1015 cm-3、∆EA=0.2 eV、ND=1×1014 cm-3の場合)

(20)

次に、NA=6.6×1018 cm-3、∆EA=0.64 eV、ND=1.4×1010 cm-3の場合について考える。 H (T ,0.62) [× 10 40 cm -6 eV -2 .5 ] peak Temperature [K] 200 250 300 350 400 4 5 6 図2.6 H

(

T, Eref

)

関数 (NA=6.6×1018 cm-3、∆EA=0.64 eV、ND=1.4×1010 cm-3の場合) このように、評価関数 を用いた評価では深いアクセプタ準位や >> の時は、 正確に評価できないことがある。そのため、現在では、

(

T, Eref S

)

NA ND

(

T, Eref

)

S から に移行して いる。本研究では、評価関数として

(

T, Eref

)

H

(

T, Eref

)

H を採用した。

(21)

2.3 ピーク移動パラメータ

Eref Hall 効果測定により求めた正孔密度温度依存性p

( )

T ref E を用いて に変換し、 において測定範囲内にピークが存在しない場合、 を変化させることによって測定範囲内 にピークを移動させることが可能となる。 ) , (T Eref H H(T,0) いま、NA=1.0×1017 cm-3、∆ =0.1 eV の場合を考える。図 2.7 に を示す。 E =0 eV のときは測定温度範囲にピークは見られない。 =0.06 eV を代入したとき 225 K 付近 にピークが見られ、正の値を入れることによりピークが低温側へ移動させることができる。 A E H(T,0) ref ref E 同様に、NA=1.0×1017 cm-3=0.1 eV の場合を考える。図 2.7 に を示す。E =0 eV は測定温度範囲にピークは見られない。 =-0.03 eV を代入したとき 225 K 付近にピー クが見られ、E に負の値を入れることにより、ピークが高温側へ移動させることができる。 A E H(T,0) ref ref E ref

Temperature T [K]

H(

T

,E

re f

) [

×10

38

cm

-6

eV

-2 .5

]

Eref=0 Eref=0.06 peak p type NA = 1×1017 cm-3 ∆EA = 0.1 eV 100 150 200 250 300 0 1 2 3 図2.7 Eref=0 → Eref=0.06 のとき

Temperature T [K]

H(

T,

E

re f

) [

×10

38

c

m

-6

eV

-2. 5

]

Eref=0 Eref=-0.03 p type NA = 1×1017 cm-3 ∆EA = 0.032 eV peak 200 300 400 0.5 1 1.5 図2.8 Eref=0 → Eref =-0.03 のとき

(22)

3 章 X-Ray Diffraction(XRD)測定

X-Ray Diffration(XRD)(X 線回折)測定は、結晶表面にX線を照射し、結晶の格子面に よって回折したX線を測定することによって、結晶構造を分析することができる。周期的な 原子配列をもつ結晶では、原子間隔の大きさがX 線の波長領域と近いため、格子面間距離を 測定することが可能である。

3.1 Bragg の反射条件

原子が3次元的に規則正しく配列した結晶の内部に入射したX線は、二次元的に配列した 原子の格子面で回折する。図3.1.1 のように、それぞれの格子面で回折するX線は行路差をも つため、互いに干渉する。このとき、Bragg の反射条件

λ

θ

n

d

sin

=

2

(3.1.1) を満たし、干渉波は強めあう。

λ

は結晶に照射される入射X線の波長、θはX線の入射角、d は格子面間隔、 は回折の次数である。X 線は波長領域が約 0.1Å∼100Åの電磁波である。 X 線源には、加速電子の制動輻射によりターゲット金属から発生する特性 X 線を利用する。 ターゲット金属はCu を用いて、K

n

α線で1.54 Å、Kβ線で1.39 Åの波長が利用され、回折 角を検出することにより格子面間隔が求まり、格子定数が決定する10)。また、X線の入射角

θ

に対して、回折角は2θで検出される。 入射X 線 図3.1.1 Bragg の反射条件 dsinθ d d θ θ 回折X線 2θ:回折角

(23)

3.2 Vegard の法則

Ⅲ族原子及びⅤ族原子からなる2 元化合物半導体は、材料固有の物性定数を持っており、2 種類以上の 2 元化合物半導体を組み合わせることで、物性定数に自由度を持たせることがで きる。2 種類の 2 元化合物を組み合わせた場合は、3 元混晶、3 種類の場合は4元混結晶とい う。 混晶の物性定数は、その混晶の構成要素である結晶の物性値からある程度の予測が可能で ある。L.Vegard は、混晶の格子定数を XRD 測定から求め、それらが組成に対しほぼ直線的 に変化することを指摘した。物性定数がその構成化合物の組成比に比例して変化することを Vegard の法則と呼ばれる。Ⅲ-Ⅴ族混晶の格子定数は、全ての材料において Vegard の法則が よく成り立つ。エピタキシャル成長をおこなう場合、基板とエピタキシャル成長する結晶の 格子定数が一致する必要があり、格子定数 を求めることは重要である。例えば、3元混晶 の Al a xGa1-xSb は AlSb と GaSb からなる混晶であり、格子定数は 6.096 Å∼6.136Åの間を とる。Vegard の法則に従えば比例配分が成り立つとして次式で与えられる4)

(

x x a=6.136 +6.0961−

)

)

(3.2.1) また、同様に、InxGa1-xSb は InSb と GaSb からなる混晶であり、6.096 Å∼6.478 Åの 間をとり、

(

x x a=6.478 +6.0961− (3.2.2) となる。また、同様に有効質量、誘電率もVegard の法則が成り立つとされている。

3.3 混晶におけるバンドギャップ

混晶におけるバンドギャップは、Vegard の法則が成り立たない。混晶のエネルギーギャッ プ

E

gは、k空間の主要な点である

Γ

,

Χ

, 各点近傍において組成比の 2 次非線形性が加わる。 この2 次項にかかる係数は、非線形因子と呼ばれる。例えば、InGaSb のバンドギャップ は、 GaSb のバンドギャップ 0.72 eV、InSb のバンドギャップ 0.18 eV、非線形因子 0.42 として 次式で与えられる。

L

g E

( )

0

.

72

(

1

)

0

.

18

0

.

42

(

1

)

g

x

=

x

+

x

+

x

x

E

(3.3.1) InxGa1-xSb における

Γ

, , 点のバンドギャップを図 3.2.1 に示す。

Χ L

間接遷移型と直接遷移型の混晶を考える場合は、

Γ

,

Χ

, 各点の非線形因子が異なるため、 組成の範囲で与えられる式が異なる。例えば、間接遷移型の AlSb と直接遷移型の GaSb の Al

L

xGa1-xSb3元混晶を考える。AlxGa1-xSb における

Γ

,

Χ

, 点のバンドギャップを図 3.2.2 に 示す。 付近で

L

48 . 0 = x

Χ

L

点が交差しており、xが0 以上では間接遷移であることがわ かる。 48 . xが0.48以上のバンドギャップ Xを次式に示す。 g E

( )

x

(

x

)

x EgX =1.051− +1.61 (3.3.2)

(24)

ここで、用いた、InxGa1-xSb 、AlxGa1-xSb における

Γ

,

Χ

, 点のバンドギャップ、非線形 因子を表3.2.1 に示す。また、In

L

0.16Ga0.84Sb、In0.18Ga0.82Sb、In0.2Ga0.8Sb、Al0.6Ga0.4Sb の場 合のバンドギャップEgを表3.3.2 に示す。

Γ

L

X

E

ne

rgy G

ap

, E

g

[eV]

Mole Fraction InSb , x

GaSb

InSb

In

x

Ga

1-x

Sb

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0.5 1 1.5 2 図3.3.1 InxGa1-xSb のバンドギャップ

Γ

L

X

E

ne

rgy G

ap

, E

g

[eV]

Mole Fraction AlSb , x

GaSb

AlSb

Al

x

Ga

1-x

Sb

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0.5 1 1.5 2 図 3.3.2 AlxGa1-xSb のバンドギャップ

(25)

表3.3.1 InxGa1-xSb 、AlxGa1-xSb における

Γ

,

Χ

, 点のバンドギャップ、非線形因子

L

Band Gap [eV] InxGa1-xSb AlxGa1-xSb InSb or AlSb 0.18 2.30 GaSb 0.72 0.72 Γ g E BowingParameter 0.42 0.47 InSb or AlSb 1.63 1.61 GaSb 1.05 1.05 X g E BowingParameter 0.33 0 InSb or AlSb 0.93 2.21 GaSb 0.76 0.76 L g E BowingParameter 0.38 0.55 表3.3.2 InGaSb, AlGaSb のバンドギャップEg In0.16Ga0.84Sb In0.18Ga0.82Sb In0.2Ga0.8Sb Al0.6Ga0.4Sb

[eV]

g

E

0.57 0.56 0.54 1.39 図3.4.1 閃亜鉛鉱構造 (004)

a

a

(26)

3.4 Undoped InGaSb,Te doped AlGaSb の格子定数、組成の決定

ここでは、MBE 法にて成長した Undoped InGaSb 層、Te doped AlGaSb 層について、XRD 測定から、格子定数、組成の決定をおこなう。XRD 測定には、Rigaku 製 Rint Ultima+を用 いた。

半絶縁性(001) GaAs 基板上に、MBE 法にて In,Ga の組成を変化させた Undoped InGaSb 層を2 µm 成長させた。図3.4.4 に試料構造を示す。そのときのXRD 測定結果を図 3.4.2 に示 す。図 3.4.2 より、60°付近のピークは、図 3.4.1 のような閃亜鉛鉱構造をもつ Undoped InGaSb (001)面からの回折と考えられる。これより、60.0°、59.9°の回折角から InGaSb の格子定数は、それぞれ 6.16 Å、6.17 Åと求められる。(3.2.2)式より、組成は、それぞれ In0.16Ga0.84Sb、In0.18Ga0.82Sb と求められる。そのときの成長条件を表 3.4.1 に示す。 X -r ay I nten sity [ a. u.] Angle 2 θ [deg.] : In0.16Ga0.84Sb : In0.18Ga0.82Sb InxGa1-xSb (004) GaAs (004) 60.0 deg. 59.9 deg. 60 65 0 0.5 1 1.5 図3.4.2 Undoped InGaSb 層の XRD 測定結果 表3.4.1 Undoped InGaSb 層の成長条件

BEP Ratio Sb/(In+Ga) = 3 In0.16Ga0.84Sb In0.18Ga0.82Sb

In 1.57×10−8 1.73×10−8

Ga 6.56×10−8 6.16×10−8

BEP [Torr]

(27)

また同様に、半絶縁性(001) GaAs 基板上に、MBE 法にてⅤ族元素(Sb) とⅢ族元素(In+Ga) のBEP 比を 2, 3, 5 と変化させた Undoped InGaSb 層を 2 成長させた。また、そのとき のXRD 測定結果を図 3.4.3 に示す。図 3.4.3 より、60°付近のピークは、Undoped InGaSb (004)面からの回折と考えられる。これより、59.8°の回折角から InGaSb の格子定数は、6.19 Åと求められる。(3.2.2)式より、組成は、In µm 0.2Ga0.8Sb と求められる。そのときの成長条件を 表3.4.2 に示す。 X -ra y Int ens ity [a .u.] Angle 2 θ [deg.] In0.2Ga0.8Sb :Sb/(In+Ga)=2 :Sb/(In+Ga)=3 :Sb/(In+Ga)=5 In0.2Ga0.8Sb (004) GaAs (004) 59.8 deg. 60 65 0 0.5 1 1.5 図3.4.3 Undoped InGaSb 層の XRD 測定結果 表3.4.2 Undoped InGaSb 層の成長条件 Undoped In0.2Ga0.8Sb 2 3 5 In 710 710 710 Ga 915 915 915 Evaporative Temperature [℃] Sb 435 440 450 Substrate Temperature [℃] 440 440 450 2 μm InGaSb or AlGaSb Semi-Insulating GaAs (001) 図3.4.4 試料構造

(28)

次に、Te doped AlGaSb 層の格子定数、組成の決定をおこなう。半絶縁性(001) GaAs 基板 上に、MBE 法にて半絶縁性(001) GaAs 基板上に、MBE 法にて Te の蒸発温度を 330 ℃、 440 ℃と変化させた Te doped AlGaSb 層及び Undoped AlGaSb 層を 2 成長させた。ま た、そのときのXRD 測定結果を図 3.4.5 に示す。図 3.4.5 より、60°付近のピークは、AlGaSb 層(004)面からの回折と考えられる。これより、60.5°の回折角から AlGaSb の格子定数は、 6.12 Åと求められる。Te の蒸発温度を 330 ℃、440 ℃と変化させた Te doped AlGaSb 層 及びUndoped AlGaSb 層のいずれにおいても、回折角の変化は見られなかった。(3.2.1)式よ り、組成は、Al µm 0.6Ga0.4Sb と求められる。そのときの成長条件を表 3.4.3 に示す。 Angle 2 θ [deg.] GaAs (004) AlxGa1-xSb (004) X -r ay In te ns ity [ a. u. ] 60.5 deg. 60 65 0 0.5 1 図3.4.5 Te doped AlGaSb 層の XRD 測定結果 表3.4.3 AlGaSb 層の成長条件 Al0.6Ga0.4Sb Te dope Undope Te evaporative Temperature [℃] 330 410 --- Ga 910 910 910 Al 1084 1084 1084 Evaporative Temperature [℃] Sb 457 443 443 Substrate Temperature [℃] 470 470 440

(29)

4 章 Hall 効果測定

Hall 効果とは、1879 年、E.H.Hall が発見した現象で、図 4.1 のように半導体中に電流が 流れているとき、電流の直角方向に磁界を加えると両者の直角方向に起電力が生じる現象で ある。 p 型半導体において電流に寄与する正孔(図 4.1 における黒丸は多数キャリアで p 型の場 合は正孔、n 型の場合は電子)に働く Lorentz 力 は、電荷量 、ドリフト速度 とすると 次式のようになる。 B F q v

(

)

B

q

qvB

F

=

v

×

B

=

。 (4.1) Lorentz 力 により、誘起した正孔の電荷によって生じる電界によって、磁界によるLorentz 力とは逆向きの力F B F Eを受ける。

d

V

q

qE

F

E

=

=

H 。 (4.2) これらの力のつりあいにより、FB =FEあるから、(4.1)式及び,(4.2)式から Hall 電圧V は H vBd VH = (4.3) と表すことができる。正孔によって流れる電流

I

qpvad

I

=

(4.4) である。但し、

p

は正孔密度とする。(4.3)式及び(4.4)式より

d

IB

R

qpd

IB

vBd

V

H

=

=

=

H (4.5) で与えられる。p型かn型の判断は、一般にHall 係数RHの正負で決められる。

nq

R

H

=

1

(n 型)

pq

R

H

=

+

1

(p 型) (4.6) (4.6)式のように、Hall 係数RHが負のときはn 型、正のときは、p 型であるといえる。 a d FE FB I B VH 図4.1 Hall 効果

(30)

更に、(4.5)式より多数キャリア密度

p

(n 型の場合は )は、 n q R I V qd B p H H 1 =       = (4.7) となる。測定温度 T におけるキャリア密度は、p 型の場合、正孔密度温度依存性p

( )

T , n 型の 場合、電子密度温度依存性n

( )

T となる。 また、Hall 移動度

µ

は、(4.7)式を用いて、

ρ

ρ

ρ

µ

H H

1

I

R

V

B

d

qp

=

=

=

(4.8) で与えられる。ここで、

ρ

は抵抗率である。測定温度

T

におけるHall 移動度は、移動度の温 度依存性

µ

( )

T となる。 エピタキシャル層のような薄膜状の半導体の Hall 効果測定をおこなうのに適した方法と してvan der Pauw が提案した方法がある。本研究では次項にて述べる van der Pauw 法を 用いて抵抗率、移動度、多数キャリア密度の測定おこなう。

(31)

4.1 van der Pauw 法による抵抗率、移動度、多数キャリア密度の測定

van der Pauw 法は本来、任意の形状試料を Hall 効果測定するために考案されたものであ る

。理想的な試料の形状は、図4.1.1 のようなブリッジ形であるが、高度なへき開技術が必要 となり、加工が困難である。また、van der Pauw 法における理想形状はクローバ型であるが、 これも加工が困難であり、実際の測定においてはある程度均整のとれた形状で正方形に近い のものを用いる。また、電極は、理想的には試料の端部に形成することになっているが、多 層の薄膜状のものでは、端部に形成することは困難であり、表面四隅に形成することになる。

一般に、抵抗率の測定には4 探針法が用いられる。最も簡便な方法であるが、抵抗率のみ か測定できず、キャリア密度、移動度の測定もあわせておこなうので、van der Pauw によ る方法が有効である。van der Pauw 法による測定も本質的には 4 探針法であり、抵抗率ρは 次式で与えられる12)

d

R

R

F

R

R

+

=

41 , 23 34 , 12 41 , 23 34 , 12 43 , 12

ln

2

2

π

ρ

(4.1.1) 但し、ρ12,43のときは、R12,43,R23,41、 ρ23,41のときは、R23,41,R34,21 のときは、 , 、 のときは、 , 21 , 34 ρ R34,21 R41,32 ρ41,32 R41,32 R12,43 ここで、 は試料の膜厚、d

41 , 23 34 , 12

R

R

F

は試料の形状、電極の位置などから生じる不均一性を補 正するための係数として与えられる。

理想形状 ブリッジ型) van der Pauw 法における 実際の測定に用いる形状

図4.1.1 Hall 効果測定における試料の形状(図中の黒丸は電極を表す)

(32)

ただし、抵抗率

ρ

12,34,

ρ

23,41と抵抗 , の関係は次式の条件を満たさなければなら ない。 43 , 12 R R23,41

1

exp

exp

43 , 12 41 , 23 43 , 12 34 , 12

=

+

ρ

π

ρ

π

R

d

R

d

(4.1.2) ここで、 43 , 12 34 , 12

ρ

π

R

d

y

x

+

=

, 43 , 12 41 , 23

ρ

π

R

d

y

x

=

とおくと、

(

12,43 23,41 43 , 12 2 R R d x= +

ρ

)

π

(4.1.3)

(

12,43 23,41 43 , 12 2 R R d y= −

ρ

)

π

(4.1.4) となり、(4.2.3)、(4.2.4)式を用いて、(4.2.2)は次式のようになる。

(

)

(

)

(

(

)

)

(

)

(

)





+

=

=

+

+

=

+

41 , 23 34 , 12 43 . 12 43 , 12 41 , 23 43 , 12 34 , 12

2

cosh

2

cosh

2

exp

exp

exp

exp

R

R

d

y

x

y

x

y

x

d

R

d

R

ρ

π

ρ

π

ρ

π

(4.1.5)

また、exp

( )

x cosh

(

xy

)

=cosh

( )

y より、

(

)

(

+

=

12,34 23,41 43 , 12 41 , 23 34 , 12 43 , 12

2

exp

2

1

2

cosh

d

R

R

d

R

R

ρ

π

ρ

π

)

(4.1.6)





=

+

2

2

ln

exp

arccosh

2

ln

41 , 23 34 , 12 41 , 23 34 , 12 41 , 23 34 , 12 41 , 23 34 , 12

R

R

F

R

R

F

R

R

R

R

(4.1.7) 但し、R12,34 >R23,41

(33)

従って、(4.1.1) の抵抗率

ρ

は、 (4.1.7)式を満たす

41 , 23 34 , 12

R

R

F

で与えられる。

図4.1.2 に正方形型試料を用いた場合の van der Pauw 法における抵抗率ρ測定の電流,電圧の

方向の図を示す。図 4.1.2 の矢印は電流の向きである。(Source+)-(Source-)間で電流を印加し、 (Measure +)-(Measure-)間で電圧測定をおこなう。ここで、Rを、 1 2 1 2

I

I

V

V

R

=

(4.1.8) と定義する。R12,43,R23,14,R34,21,R41,32はそれぞれ、 ) 12 ( 1 ) 12 ( 2 ) 43 ( 1 ) 43 ( 2 43 , 12 I I V V R − − = ) 23 ( 1 ) 23 ( 2 ) 14 ( 1 ) 14 ( 2 14 , 23 I I V V R − − = (4.1.9) ) 34 ( 1 ) 34 ( 2 ) 21 ( 1 ) 21 ( 2 21 , 34 I I V V R − − = ) 41 ( 1 ) 41 ( 2 ) 32 ( 1 ) 32 ( 2 32 , 41 I I V V R − − = となる。Rの添え字は、図4.1.2 のそれぞれの状態を示す。

(34)

12 / 43 I2 I1 V1 V2 (Source -) 1 (Source +) 2 3 (Measure -) 4 (Measure +) (Source +) 1 (Source -) 2 3 (Measure -) 4 (Measure +) I1 I2 23 / 14 (Measure+) 1 (Source -) 2 3 (Source +) 4 (Measure -) (Measure+) 1 (Source +) 2 3 (Source -) 4 (Measure -) V2 V1 34 / 21 I2 I1 V2 V1 (Measure -) 1 (Measure +) 3 (Source -) 4 (Source +) (Measure -) 1 (Measure+) 3 (Source +) 4 (Source -) 41 / 32 (Source +) 1 (Measure-) 3 (Measure +) 4 (Source -) (Source -) 1 (Measure-) 3 (Measure+) 4 (Source +) V2 V1 I1 I2 図4.1.2 抵抗率ρ測定における電流,電圧の方向の図(図中の黒丸は電極を表す)

(35)

図4.1.3 にキャリア密度 及び Hall 移動度n µHの測定の電流,電圧の方向の図を示す。但し、 図4.1.3 の太い矢印は電流、細い矢印はキャリアに働く力の方向、紙面を貫く方向は磁界の向 きとする。(4.7)式より、キャリア密度 は n      ∆ +∆ = 2 31 , 24 24 , 13 R R qd B n (4.2.10) また、(4.8)式より、Hall 移動度µHは、 ρ µ 1 2 31 , 24 24 , 13      ∆ +∆ ∆ = R R B d H (4.2.11) で与えられる。但し、d は試料の膜厚、∆ は磁界の強さ、抵抗率B ρとする。 24 , 13 R ∆ ,∆R24,31はそれぞれ、 ) 13 ( 1 ) 13 ( 2 ) 24 ( 1 ) 24 ( 2 24 , 13 I I V V R − − = ∆ (4.2.12) ) 24 ( 1 ) 24 ( 2 ) 31 ( 1 ) 31 ( 2 31 , 24 I I V V R − − = ∆ で与えられる。但し、図 4.2.3 で 、 に対応するV 、V を(Measure+)-(Measure-)間電圧 とする。 1 I I2 1 2

(36)

13 / 24 I2 I1 (Source -) 1 (Measure +) 3 (Source +) 4 (Measure -) (Source +) 1 (Measure +) 3 (Source -) 4 (Measure -) 24 / 31 4 (Source -) I2 I1 (Measure -) 1 (Source -) 2 3 (Measure +) 4 (Source +) (Measure -) 1 (Source +) 2 3 (Measure+) 13 / 24 4 (Measure -) I2 (Measure +) 3 (Source +)

(Source +) 1 I1 (Source -) 1 4 (Measure -)

(Measure+) 3 (Source -) 24 / 31 4 (Source -) 3 (Measure+) (Source +) 2 (Measure -) 1 4 (Source +) (Source -) 2 (Measure -) 1 I2 I1 3 (Measure +) 図4.1.3 キャリア密度 及び Hall 移動度n µH測定における電流,電圧の方向の図 (図中の黒丸は電極を表す)

(37)

4.2 Hall 効果測定装置

当研究室で使用しているMMR 社製 Hall 効果測定システムは、電流計の測定範囲が 20 ∼50 µA 、電圧源、電圧計の測定範囲が 2.0 ∼0.1 µV までの制限により 200 kΩ以上の高抵 抗測定ができない。そのため、低温において抵抗値が200 kΩ以上となる AlGaSb や SiC は 測定が不可能であった。そこで、有効数字3桁を考慮して、200 kΩ以上の高抵抗でも測定可 能なシステムを構築する必要がある。MMR 社製の Hall 効果測定システムの構成を図 4.2.1 に、システム仕様を表4.2.1 に示す。 mA V Sample

Measuring Instrument Controlled Computer

Serial Comunication

A

Magnetic Coil Suppling for Magnetic Field Power Unit Suppling for Magnetic Coil

Temperature Controller Magnet Field Controller and Voltage Source Meter

H‐50 K‐20 V V A 図4.2.1 MMR 社製の Hall 効果測定システムの構成図 表4.2.1 MMR 社製 Hall 効果測定システム仕様 Measuring Range Voltage Controlling and Measure Range 50µV ∼2.0 V

Current Measure Range 0.1µA∼20mA Temperature Controlling and Measure Range 80K ∼730 K

(38)

温度制御は、N2高圧(125 kgf/cm2)ガスを用いたJoule-Thomson 効果による冷却に加え、 電熱線ヒータによる昇温を用いている。電熱線ヒータの制御には、試料台に設置された Pt 熱電対で温度を測定し、ヒータパワーを調整しながら、MMR 社製 K-20 温度制御システムに て目標温度の設定をおこなう。また、磁界印加には、電磁石コイルに電源を供給することに より制御する。磁界方向、磁束密度の制御は、試料台に設置されたHall センサで磁界を測定 し、MMR 社製 H-50 によってコイルに供給する電源を調整しながら、目標磁界の設定をおこ なう。 Sample

Current Measure Meter Switching System Voltage Measure Meter

GP-IB Comunication

Cable Connecting Box Power Unit Suppling for Magnetic Coil

Temperature Controller

Measuring Instrument Controlled Computer

Magnetic Coil Suppling for Magnetic Field

Magnet Field Controller Voltage and Currnet Source Measure Unit 7001

A 2001 V 2000 287‐S SMU238 MU

H‐50

K‐20

V A V A 図4.2.2 新しい Hall 効果測定システムの構成図

(39)

Sample SwitchingCircuit

Keithley Degital Multi Meter 2000 LO

HI

V

Keithley Scanner 7001 Switching System Keithley SMU 238

Keithley Degital Multi Meter 2001 LO LO LO HI HI HI LO HI

A

図4.2.3 新しい Hall 効果測定システムの回路図

(40)

このHall 効果測定システムでは、電圧源、電流源、電流計、電圧計、磁界及び温度の制御 測定装置が内蔵されており、Windows 用自動制御アプリケーションが付属している。そのた め、200 kΩ以上の高抵抗でも測定可能な Hall 効果測定システムを構築するには、磁界及び 温度制御以外の測定機器の構成を変更し、新たなWindows 用自動制御アプリケーションの作 成が必要である。 新しく設計したHall 効果測定システムの構成図、回路図及び、各装置を図 4.2.2、図 4.2.3 及び表4.2.2 に示す。新しいシステムでは、電圧・電流源、電圧計、電流計に加え、van der Pauw による測定方法を用いるために、電圧・電流源、電圧計及び電流計と試料電極端子間を接続 するスイッチングシステムが必要である。そこで、Keithley Scanner 7001 Switching System を用いる。

Keithley Scanner 7001 Switching System では、電圧・電流源、電圧計及び電流計と電極 端子間の接続をおこなうスキャナカード(Keithley 7012 Matrix Card)の仕様上の制限があ る。スキャナカードの最大印加電圧は110 V、接触電圧 0.5

µV

以下である。そこで、電圧計 は0.1 以上の測定可能であるKeithley Degital Multi Meter 2000 を用いた。また、1 nA 以下も測定可能なKeithley Degital Multi Meter 2001 を用いた。制御用コンピュータと各測 定装置の通信には、GP-IB 通信方式を用いて、Windows 用自動制御アプリケーションの作成 をおこなった。作成したWindows 用アプリケーションを図 4.2.4 に示す。

µV

表4.2.2 新しい Hall 効果測定システムの各装置名と役割及び測定範囲

Measuring Instrument Name Using Function Control and

Measure Range

MMR H-50 Magnet Field Controller ∼1.4 T MMR K-20 Temperature Controller 80 K ∼730 K

Keithley Degital Multi Meter 2000 Voltage Measure Meter 0.1

µV

∼1000 V

Keithley Degital Multi Meter 2001 Current Measure Meter 10pA∼3 A Keithley SMU 238 Voltage and Current Source 10

µV

∼1000 V

1 pA∼1 A Keithley Scanner 7001 Switching System ---

表4.2.3 新しい Hall 効果測定システムの仕様

Measuring Range

Voltage Controlling and Measure Range 1µV∼110 V Current Controlling and Measure Range 1nA∼ 1 A Temperature Controlling and Measure Range 80 K ∼730 K

Magnetic Field Controlling Range ∼1.4 T Resistance Measuring Range 1

µ

∼1GΩ

参照

関連したドキュメント

 「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号

トリガーを 1%とする、デジタル・オプションの価格設定を算出している。具体的には、クー ポン 1.00%の固定利付債の価格 94 円 83.5 銭に合わせて、パー発行になるように、オプション

① 新株予約権行使時にお いて、当社または当社 子会社の取締役または 従業員その他これに準 ずる地位にあることを

基準の電力は,原則として次のいずれかを基準として決定するも

以上の基準を仮に想定し得るが︑おそらくこの基準によっても︑小売市場事件は合憲と考えることができよう︒

を基に設定するが,敷地で最大層厚 35cm が確認されていることも踏まえ,堆積量評価結果

この標準設計基準に定めのない場合は,技術基準その他の関係法令等に

都内の観測井の配置図を図-4に示す。平成21年現在、42地点91観測 井において地下水位の観測を行っている。水準測量 ※5