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第4章  Hall 効果測定

4.3 オーミック電極の形成

4.3.2 実験結果・検討

p-type 4H-SiC Wafer上に形成した電極の種類とアニール条件を表4.3.1.1に示す。Au電

極, Al 電極(アニール温度 900℃), Al(アニール温度 700℃)及び Ti/Al 電極を用いたときの

4H-SiC Waferの室温時(R.T.)における電流電圧特性を図4.3.1.1に示す。

4H-SiC Waferとの接触抵抗が最も小さい電極はTi/Al電極であることがわかる。Al電極にお いては、900℃でアニールをおこなったところ、電極間抵抗は1GΩ以上となり、Alが電極と して働いていないことがわかる。また、アニール後はアニール前と比べ金属色がなくなり、

SiC中に拡散したとは考えにくいことから、アニール温度が高温だったためAlがドロップア ウトしたと考えられる。そこで、アニール温度を 700℃としたところ、アニール後のAlは金属 色を保っており、電流電圧特性の傾きより電極間抵抗は約25 kΩとなった。Auにおいては、オ ーミック性は見られず、電極間抵抗は20kΩ〜1GΩとなりオーミック電極としては使用でき ない。

表4.3.1.1 電極の種類とアニール条件

Contact Anealing Temperature, Time

Au 400 ℃, 1 min.

Al 900 ℃, 1 min.

Al 700 ℃, 1 min.

Ti/Al 900 ℃, 1 min.

Voltage [V]

C urre nt [m A ]

:Ti/Al Contact

:Al Contact(700 Anealed) :Al Contact(900 Anealed) :Au Contact(400 Anealed) p type 4H-SiC Wafer

Temperature R.T.

-10 -5 0 5 10

-2 -1 0 1 2

図4.3.1.1 電流電圧特性(室温)

 

131KにおけるAl(アニール温度700℃)及びTi/Al電極を用いたときの4H-SiC Wafer(の電 流電圧特性を図4.3.1.2に示す。室温時と同様に、4H-SiC Waferとの接触抵抗が最も小さい電

極はTi/Al 電極であることがわかる。また、Ti/Al 電極においては、Al(アニール温度 700℃)

に比べて低温時でも良いオーミック特性を示している。

 ここで、Hall効果測定時に測定するHall電圧について述べる。Al電極を用いた場合、磁 界無印加、零バイアス時における試料の電極間電圧は、試料と電圧計間の接触電圧等をキャ ンセルしている状態で、低温になるにつれて電圧が大きくなることが確認された。Hall電圧 の測定をおこなうには、磁界無印加、零バイアス時の電圧を小さくしなければならない。図

4.3.1.3に131 Kにおける零バイアス時の電極間電圧特性を示す。Al電極では、0.1 mVとな

り、Ti/Al 電極に比べて 10 倍程度大きいことがわかる。また、室温時では、Al 電極、Ti/Al

電極とも1μV以下であった。これは、Hall電圧が0.1 mV以上になるような電流値を選ぶ 必要があり、更に低温になり高抵抗になると、この電圧のためにHall電圧の測定ができなく なる。このことにより、Alドープしたp type 4H-SiCのHall効果測定においてオーミック 電極として適した電極はTi/Al電極である。

Voltage [V]

C urre nt [m A ]

: Ti/Al Contact

: Al Contact(700 Anealed)

p type 4H-SiC Wafer

Temperature 131 K

-10 -5 0 5 10

-1 -0.5 0 0.5 1

図4.3.1.2 電流電圧特性(131 K時)

4H-SiC Wafer 131 K

0 0.05 0.1

Al (700 ℃ Anealed) Ti/Al

Voltage [mV]

図4.3.1.3 零バイアス時の電極間電圧特性(131 K時)

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