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博 士 ( 工 学 ) 汪 志 全

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 汪    志 全

学 位 論 文 題 名

EPMA 無 作為 全 面 分 析 に基 づ ぃ た 焼結 鉱の 組成と 組織の 解析 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近年、良質鉄鉱石の枯渇と原料コスト低減のため、焼結鉱の原料に品位の低い鉄鉱 石を使用せ ざるを得 なくなっ てきてい る。それにより、鉄鉱石の脈石中のアルミナ (Al:Oヨ)含有量やりン含有量の増加及びその高結晶水化が問題視されるようになってき ている。こ れまでの研究からは、焼結鉱中のAlっOユ含有量が高くなると高炉操業に 様々な悪影響のでることが報告されている。しかし、その因果関係の詳細、特に溶融 還元温度域でのAl:Oユの挙動について具体的な機構は不明で、明確な結論を出すには 至っていない。

  本 研究 で は 、焼 結鉱の 鉱物相分布 を定量的 に明らか にする手 段として 、EPMA無 作為全面分析法を適用し、これに基づき、焼結鉱の還元特性及び高温性状と鉱物相組 織 の 対 応 関 係 に つ い て 明 ら か に し た 。 本 論 文 は 全 七 章 で 構 成 さ れ て い る 。   第一章は序論であり、製銑原料技術研究の歴史について紹介し、本研究の目的を述 べた。

  第二章では 、Al203含有量 の異なる2種類の焼結鉱を用い、高炉を模擬した条件で 昇温還元実験を行い、焼結鉱中のAl:Oヨが還元挙動および高温性状に与える影響につ いて検討した。Al:Oヨ含有量の高い焼結鉱の昇温還元の結果、現行焼結鉱(Al20ユ濃度 の低い焼結 鉱)と比較して、以下の差違が明らかになった。(1)比較的低温から急激 な軟化収縮 傾向を示 す。(2)圧力 損失が急 上昇し始める温度が低い。また、S値(圧 損‐時間曲線を積分した値)も大きい。(3)、溶融還元の開始温度が低く、溶融還元の 温度幅が広い。

  第三章では、高アルミナ鉱石を多配合した焼結鉱に無作為全面分析法を適用し、ア ル ミ ナ 含 有 量 の 変 化 に 伴 う 焼 結 鉱 組 織 の 変 化 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。   焼結鉱の性質(高温性状及び被還元性など)は構成鉱物相の組織と密接な関係があ り、焼結鉱の性質を設計制御するにはその組織を明白に把握理解することが重要とな る。焼結鉱の鉱物組織観察は焼結鉱の特性評価手段のーっとしてその重要性が認識さ れ て い る が 、 実 機 焼 結 鉱 の 組 織 を 簡 単 に 定 量 化 す る 方 法 は確 立 して い な い。

  EPMAで 焼結 鉱 の組 織を定量 化する場合 、時間と 経費の節 約から注 目した組 織主 体の分析になり、組織全体の客観的な情報が得られにくい場合がある。特に成分量の 微量な変化に対応した組織変化などを抽出する場合には、誇張されたりあるいは過小 評価したりして実体が見落とされる懸念がある。これを回避するーつの手法として無 作為全面分 析が用いられた。その結果、(1)焼結原料中のアルミナ成分の増加に従い カルシウム フェライト量が増加し、酸化鉄、スラグ量が減少する、(2)高アルミナ焼

(2)

結鉱 のAちOユは低アルミナ焼結鉱と比べていずれの組織でも高濃度であるが、持に 400/oくFe203く60%のカルシウムフェライト中で高濃度となっている、(3) Ca0とMg0 の存 在組 織が それ ぞれ 異なる こと から 、焼 結鉱 の溶 融凝 固組 織が形成される際の Ca0とMg0の働きは異なる、などが明らかになった。

  第 四章 では 、2種 類の 低Si0っ焼 結鉱 を用 いて 、EPMA全 面分 析を適用し、その組 成解析を行った結果について述ぺた。近年、エネルギーやスラグを低減するため、低 Si0。焼結鉱の使用も進められつっある。低Si0っ焼結鉱の使用は、直接的に、スラグ 発生 量、 高炉 燃料 比の 低減及 び高PCI操業の安定化をもたらす。しかし、焼結原料 中のSi0っの低減に伴い、従来と異なる焼結過程が生じ、焼結鉱の組織特性が変化す ることが考えられるが、低Si0っ焼結鉱の組成解析はまだ十分なされていない。本解 析の結果、焼結鉱中のシリカ成分の低減に伴い、焼結鉱の鉱物構成は従来と異なり、

酸化鉄が増加し、カルシウムフェライトが減少する。しかも、カルシウムフェライト 中のFe:03濃度が高いものが多くの割合を占める、など、焼結鉱性状とって好ましい 性状が得られることが始めて明らかにされた。

  第 五章 では 、焼 結鉱 の主要 鉱物 相で ある 多元 系カ ルシ ウム フウライト(SFCA)相 の 組 成 を 解 明 す る た め 、 無 作 為 全 面 分 析 法 を 適 用 し た 結 果 に つ い て 述 べた 。   焼 結鉱 の組 織は スラ グ、多 元系 カル シウ ムフ ェラ イト(SFCA)相と酸化鉄によっ て構 成さ れる が、 特にSFCA相 の特 性は 焼結 鉱全 体の 性質 に大 きな影響を与えるた め、組成や結晶構造について多くの研究が行われてきた。しかしこれまでの研究は、

主に単結晶を対象とした解析であり、SFCA相の組成、結晶構造、Fe2゛Fe3゛は研究者 によって異なっており、その詳細はいまだ明確にはなっていない。本解析の結果、焼 結 鉱 中 のSFCA相 は 特 殊 な 結 晶 構 造 を 持 つaenigmatite相 で あ り 、 擬 三 元 系 (CaO+MgO)‑Si02‑(Fe203+Al203)プッロトにおいて、C。S3‑C(A,F)3、CS−C(A,F)6及びS− C(A,F)3に よ っ て 囲 ま れ る 領 域 に 存 在 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。   第六章では、昇温還元過程でスラグが焼結鉱粒子から流出する温度近傍の、1300℃ で昇温を中断し、還元途中のスラグ生成に及ぼすアルミナの影響について検討した。

  前述したように、焼結鉱中のAlっ03は焼結鉱の組織、還元挙動及び高温性状に大き な影響を与える。焼結鉱組織と焼結鉱の高温性状との関連を解明するためには、高温 の還 元過程におけるアルミナの成分移動について検討する必要がある。その結果、

(1)シェル部のスラグにアルミナ濃度が高く、2Ca0. Si01より、2Ca0. Al203. Si02の 量が多く、コア部ではスラグ成分が2 CaO ‑ Si0:に近い、(2)流出スラグはカルシウム フェライ卜由来のものである、(3)高アルミナ焼結鉱ではカルシウムフウライトの割 合が多く、さらにそのアルミナ濃度も高いため、より低温度で多量の低融点融液が生 成する、などが明らかとなった。またこれにより、昇温還元過程で高アルミナ焼結鉱 の高い圧力損失が説明された。

  第7章では本研究の総括を行った。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教授 教授 教授 教授 助教授

石 井 邦 宜 工 藤 昌 行 大 貫 惣 明 成 田 敏 夫 柏 谷 悦 章

学 位 論 文 題 名

EPMA 無作為全面分析に基づぃた焼結鉱の組成と組織の解析

  近 年、 良質 鉄鉱 石の 枯渇 と原 料コ スト 低減のため、焼結 鉱原料にアルミナ(Al203)濃 度 の 高 い 鉱石 を使 うよ うに な って きた 。焼 結鉱 中のAl203含有 量が 高く なる と高 炉操 業に 様々な悪影響のでることが報告されているカiなお、その原因は不明である。本 研究では、

焼結 鉱の 幽 犬を左右する組成 と組織を定量的に明らかにする手段として、EPMA無作為 全 面分析法を開発した。さらに、これを用いて高温陸 冫伏と鉱物相組織の対応関係について明 らかにした。本論文は全七章で構成されている。

  第一章は序論であり、製銑原料技術研究の歴史に ついて紹介し、本研究の目的を述べた。

  第 二章 では 、Al203含 有量 の異 なる2種 類の 焼 結鉱 を用 い、 高炉 を模擬した条件で昇 温 還元 実験 を行 い、高温幽犬に与 えるAl203の影響について検 討した。Al203含有量が高い 場 合、(耻匕較的低温から急激な軟化収縮を示す、◎ 圧力損失が急上昇し始める温度が低い、

◎溶 融還 元の 開始 温度 が低 く、 溶融 還元 の温 度 幅が 広い 、な どの ことを明らかにした 。 そして、これらカix}5下部圧力損失や装入物分布の 降下不良を通じて炉況不安定を招く原因 であることを明らかにした。

  第 三 章 で は 焼 結 鉱 の 組 織 解 析 にEPMA無作 為全 面分 析 法を 適用 した 結果 につ いて 述べ た。1試 料あ たり 全 面積 の10%程 度の 面積 に正 方メ ッシ ュを 敷設 し、400以上の点につ い てEPMA定 量分 析を 行っ て統 計処 理を 行え ば化 学 分析 に相 当す る分 析値がえられること を 明ら かに した 。これに基づき、 @焼結鉱組織のスラク|カルシウムフェライト、酸化鉄 の 3つ の組 織はS i02/Fe203比 とFe203濃 度の 一義 的関 係か ら判 別で きる 、◎Ca0はSi02に 比 例し て増 加す るが 、同 じ塩 基陸 成分 であ るMg0はSi02と 反比 例の 関係 にある、◎Al203含 有量 が増 加す るとカルシウムフ ェライト量が増加し、酸化鉄とスラグの量が減少する、 @ Al203の50% 以上 が カル シウ ムフ ウラ イト に濃縮している、などの事実を明らかにした 。   第 四 章 で は 、2種 類 の 低 シ リ カ(Si叫 焼結 鉱にEPMA無 作為 全面 分析 を適 用し 組成 解析 を行 った 結果 につ いて 述べ た。 その 結果 、焼 結 鉱中Si02成分 の低 減に伴い、@焼結鉱 中 の酸 化鉄 が増 加し、カルシウム フウライトが減少する、◎カルシウムフェライトのFez0:3 濃 度 が 高 く な る 、 な ど 、 焼 結 鉱 組 織 が 著 し く 改 善 さ れ る こ と を 明 ら か に し た 。

(4)

  第五章では、カルシウムフウライトの鉱物相とその組成範囲を解析した結果について述 べた。6成分の定量値からなる測定データ群について、まず、Mg0濃度で層別して2群に わけ、高濃度側の一群をさらにSぬ濃度とFe:0ユ濃度で判別してMg0含有酸化鉄とスピネ ルスラグを分離する。Mg0低濃度側の測定値群はFe.,0:3濃度によって層別してヘマタイ ト・マグネタイト、カルシウムフェライト、スラグに分別する。こうして全ての測定値を、

スラク沐目3相、ぬ劉ヒ鉄3相、カルシウムフウライトの7相の単相測定値およびそれらの境 界部分の測定値の合計12種類に自動分別することに成功した。また、こうして得た焼結 鉱中のカ ルシウムフェライトは鉱物学上aenigmatlte相であることを明らかにした。

  第六章では、昇温還元過程で生成流出する溶融スラグの起源を明らかにするため、

1300℃中断試料をEPMA無作為全面分析で解析した結果について述べた。試料シェル部は スラグが過半を占め、その組成はAlユ0ヨを多く含むメリライト相で融点が低い。一方、コ ア部はウスタイトが多く、その間隙を埋めるスラグは高融点のダイカルシウムシリケート であった。以上より、流出スラグはA1203濃度カ滴いカルシウムフウライト由来のもので あり、高アルミナ焼結鉱ではカルシウムフェライトの割合が多く、且つA1203濃度も高い た め 、 よ り 低 温 度 で 多 量 の ス ラ グ 融 液 が 生 成 す る 、 こ と を 明 ら か に し た 。   第7章では本研究の総括を行った。

  これを要するに、著者は複雑物質の組織と組成を解析する手段としてEPMA無作為全 面分析法に基づく新手法を開発し、鉄焼結鉱に適用して組成解析に成功したものであり、

材料プ口セス工学の発展に寄与するところ大なるものがある。

  よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照

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